JP3409428B2 - 燃料蒸気処理装置の燃料蒸気パージ量制御装置 - Google Patents

燃料蒸気処理装置の燃料蒸気パージ量制御装置

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JP3409428B2
JP3409428B2 JP09471694A JP9471694A JP3409428B2 JP 3409428 B2 JP3409428 B2 JP 3409428B2 JP 09471694 A JP09471694 A JP 09471694A JP 9471694 A JP9471694 A JP 9471694A JP 3409428 B2 JP3409428 B2 JP 3409428B2
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エンジンの燃料タンク
等から蒸発する燃料蒸気を一時的に吸着した後、吸気系
にパージさせて処理する装置に関し、特に、燃料蒸気の
パージ量を適正に制御するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の燃料タンクの燃料蒸気処理装置と
しては、例えば特公昭53−19729号公報に開示さ
れるものがある。このものは、燃料タンク内の圧力が所
定値以上の正圧になったときに、燃料タンク内で蒸発し
た燃料蒸気をキャニスタに導き、該キャニスタ内に充填
されている活性炭等の吸着剤に前記燃料蒸気を吸着さ
せ、該吸着剤に吸着された燃料蒸気を所定の運転条件で
パージ通路を介してエンジンにパージするようにしてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、燃料
蒸気放出量の規制強化に伴い、大型のキャニスタを用い
て大量のパージを行うことが要求されてきているが、前
記従来方式ではパージ量がコントロールされないため、
パージによる空燃比の変動が大きく、大量のパージを行
うことができなかった。
【0004】また、パージ量を制御するものとして、例
えば特公昭63−39787号公報に開示されるよう
に、パージ通路に介装される弁を流量を可変制御できる
流量制御弁とし、パージを行う際に該流量制御弁の開度
を徐々に変化させるようにして急激なパージ量の変化を
抑制するようにしている。しかしながら、このものは、
単に開閉時のパージ量の急激な変化を抑制する機能しか
有していないため、パージ中に空燃比を一定に保持でき
るものではなく、やはり大量のパージという要求に応え
られるものではなかった。
【0005】パージ中の空燃比を安定化するためには、
吸入空気流量に対する燃料蒸気のパージ量の割合を一定
にすればよいが、パージ混合気 (燃料蒸気とパージ用エ
アとの混合気) 中に占める燃料蒸気の比率がキャニスタ
内に残留する燃料蒸気量に応じて異なるため、前記割合
を一定に制御するだけでは十分でなかった。そこで出願
人は、特願平5−51744にて、キャニスタに残留す
る燃料蒸気量はエンジン始動後燃料蒸気のパージが進む
ほど減少するので、該パージ量の総量を求め、エンジン
始動時の残留燃料蒸気量からパージ総量を減算すること
で推定可能であることを提案した。
【0006】ところで、このようにして空燃比一定とな
るように要求パージ流量を設定しても、吸気負圧の小さ
い運転領域では前記流量制御弁を全開にして最大流量と
しても設定された要求パージ流量に対して実際のパージ
流量が不足することがある。その場合、前記パージ量の
積算が、設定された要求パージ流量に基づいて燃料蒸気
パージ量を積算する方式であるため、実際にパージされ
る量より大きい量が積算されてしまい、かかる状態が繰
り返されるとパージ量の積算値の誤差が増大して該積算
値に対して設定されるパージ率が過剰な値に設定されて
しまい、空燃比がリッチ化して排気エミッション性能を
悪化させてしまうこととなる。
【0007】実際のパージ流量を検出して積算すればか
かる問題は生じないが流量センサを設けるとコスト高と
なる。本発明は、このような従来の問題点に鑑みなされ
たもので、パージ量の積算を精度良く行うことにより、
パージ量の積算値に基づいて制御されるパージ流量の制
御精度を向上し、以て空燃比の過剰リッチ化を抑制して
排気エミッション性能の悪化を防止できるようにした燃
料処理装置の燃料蒸気パージ量制御装置を提供すること
を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】このため請求項1に係る
発明は、燃料蒸気を一時的に吸着手段に吸着し、該吸着
手段に吸着された燃料蒸気を所定のエンジン運転条件で
パージ用エアと混合させて流量制御弁が介装されたパー
ジ通路を介してエンジンの吸気系にパージするように構
成された燃料蒸気処理装置において、エンジン運転状態
を検出する運転状態検出手段と、エンジン運転状態に基
づいて要求パージ流量を演算する要求パージ流量演算手
段と、エンジン運転状態と前記要求パージ流量とに基づ
いて前記流量制御弁の開度を制御する弁開度制御手段
と、エンジン運転状態に応じて現時点の運転状態におけ
るパージ可能最大流量を演算するパージ可能最大流量演
算手段と、前記要求パージ流量と前記パージ可能最大流
量とを比較し、小さい方の流量をエンジン始動後にわた
って積算する比較積算手段と、を備え、かつ、前記要求
パージ流量演算手段は、前記比較積算手段によるパージ
流量積算値によって要求パージ流量を補正する補正手段
を含んでいることを特徴とする。
【0009】また、請求項2に係る発明のように、前記
運転状態検出手段が、エンジンの吸入空気流量を検出す
る手段を含み、前記要求パージ流量演算手段は、前記パ
ージ流量の積算値に基づいて吸入空気流量に対するパー
ジ流量の目標比率としての目標パージ率を設定し、該目
標パージ率とエンジンの吸入空気流量とに基づいて要求
パージ流量を演算する構成としてもよい。
【0010】また、請求項3に係る発明のように、前記
運転状態検出手段が、エンジンの吸気系の開口面積とエ
ンジン回転速度とを検出する手段を含み、前記パージ可
能最大流量演算手段が、エンジン吸気系の開口面積とエ
ンジン回転速度とに基づいてパージ可能最大流量を演算
する構成としてもよい。また、請求項4に係る発明のよ
うに、前記運転状態検出手段は、エンジンの吸気系の開
口面積とエンジン回転速度とを検出する手段を含み、前
記パージ可能最大流量演算手段は、エンジン吸気系の開
口面積とエンジン回転速度とに基づいてパージ可能最大
流量を演算する構成としてもよい。
【0011】また、請求項5に係る発明のように、前記
比較積算手段は、前記上限パージ率をパージ流量の積算
値に対して設定される目標パージ率と比較し、目標パー
ジ率が上限パージ率を超えるときに該上限パージ率に基
づいて演算されたパージ可能最大流量を積算させる構成
としてもよい。また、請求項6に係る発明のように、前
記運転状態検出手段は、吸気負圧を検出する手段を含
み、前記パージ可能最大流量演算手段は、エンジンの吸
気負圧に基づいてパージ可能最大流量を演算する構成と
してもよい。
【0012】
【作用】比較積算手段により積算される燃料蒸気パージ
量は、基本的にはエンジン運転状態に基づいて演算され
た要求パージ流量を用いて積算される。しかし、パージ
可能最大流量演算手段によって演算されたパージ可能最
大流量が、要求パージ流量演算手段によって演算された
要求パージ流量を下回るときは、実際のパージ流量は、
パージ可能最大流量に制限されることになる。
【0013】したがって、上記の場合は、補正手段によ
り該パージ可能最大流量で制限された値を積算すること
によりパージ量が過剰に積算されることを防止でき、該
パージ流量の積算値に基づき流量制御弁の制御を介して
行われるパージ量の制御が適切に行われ、空燃比がリッ
チ化されることを防止できる。尚、パージ量の積算にパ
ージ流量を実測することなくエンジン運転状態から演算
した要求パージ流量を用いているため、構成が簡単で済
み、また、実測値と要求流量とが最も大きくずれる最大
流量付近でのみ要求流量を補正しているので積算精度は
実用上十分に確保できる。
【0014】また、前記積算される燃料蒸気パージ量の
積算値が増大するほど吸着手段に残留する燃料蒸気量が
減少して、パージ混合気中の燃料蒸気の比率が低下し、
したがって、燃料蒸気パージ中の空燃比を一定に維持す
るためには、吸入空気流量に対するパージ流量の比率を
大きくする必要がある。そこで、前記要求パージ流量演
算手段が、パージ量の積算値に基づいて吸入空気流量に
対するパージ流量の目標比率としての目標パージ率を設
定し、該目標パージ率とエンジンの吸入空気流量とに基
づいて要求パージ流量を演算するようにすれば、パージ
中の空燃比を一定に維持できるように要求パージ流量を
設定することができる。
【0015】また、エンジン吸気系の開口面積とエンジ
ン回転速度とに基づいて吸気負圧に相当する値が求めら
れるので、それによって流量制御弁を全開としたときの
パージ可能最大流量が決定される。そこで、前記パージ
可能最大流量演算手段が、前記エンジン吸気系の開口面
積とエンジン回転速度とに基づいてパージ可能最大流量
を演算することができる。
【0016】また、吸入空気流量は吸気系の開口面積に
対して比例的に増大し、一方、パージ流量は流量制御弁
の開度 (開口面積) に対して比例的に増大する。したが
って、吸気系の開口面積に対する流量制御弁の開口面積
の比率は、吸入空気流量に対するパージ流量の比率、つ
まり前記パージ率を表す値となるので、流量制御弁を全
開にしたときの最大開口面積と吸気系の開口面積との比
率によって上限のパージ率が求められるのである。そこ
で、前記パージ可能最大流量演算手段が前記のようにし
て求めた上限パージ率に基づいてパージ可能最大流量を
演算することができる。
【0017】そして、前記したように、パージ量積算値
に基づいて目標パージ率を設定した場合、該目標パージ
率が前記上限パージ率を超えているときには、実際のパ
ージ流量は前記パージ可能最大流量に制限されることと
なる。そこで、前記比較積算手段は、前記目標パージ率
が上限パージ率を超えるときに該上限パージ率に基づい
て演算されたパージ可能最大流量に基づいて燃料パージ
量を積算することで正しい積算を行うことができる。
【0018】また、吸気負圧を直接検出する手段を備え
た場合には、該検出された吸気負圧に基づいて直接パー
ジ可能最大流量を演算することができる。
【0019】
【実施例】以下に本発明の実施例を説明する。一実施例
のシステム構成を示す図2において、エンジン1には、
スロットルチャンバー2及び吸気マニホールド3を介し
て空気が吸入される。前記スロットルチャンバー2に
は、図示しないアクセルペダルと連動するスロットル弁
4が設けられていて、吸入空気流量Qを制御する。吸気
マニホールド3には、各気筒毎に電磁式燃料噴射弁5が
設けられていて、図示しない燃料ポンプから圧送されプ
レッシャレギュレータにより所定の圧力に制御される燃
料を吸気マニホールド3内に噴射供給する。前記燃料噴
射弁5による燃料噴射量の制御は、マイクロコンピュー
タ内蔵のコントロールユニット6で行われるようになっ
ている。
【0020】また、前記エンジン1には、燃料タンク20
の燃料蒸気処理装置21が備えられている。前記燃料蒸気
処理装置21は、吸着手段としてのキャニスタ22内に充填
された活性炭などの吸着剤23に、燃料タンク20内で発生
した燃料の燃料蒸気を吸着捕集させ、該吸着剤23に吸着
された燃料を、パージ通路24を介してスロットル弁4下
流側の吸気通路に供給するものである。
【0021】前記キャニスタ22には、燃料タンク20内の
正圧が所定以上になったときに開くチェックバルブ25が
介装された燃料蒸気通路26を介して燃料タンク20内の燃
料蒸気が導入されるようになっており、また、前記パー
ジ通路24には、前記コントロールユニット6からの制御
信号に基づいて開弁デューティ制御される電磁駆動式の
流量制御弁27が介装されている。
【0022】また、内燃機関1の吸入空気流量Qを検出
するエアフローメータ51,機関回転速度Nを検出する回
転速度センサ52,前記スロットル弁4の開度を検出する
スロットルセンサ53が設けられ、それらの検出信号はイ
グニッションスイッチ54のON, OFF信号と共に、コ
ントロールユニット6に出力され、燃料蒸気のパージ制
御条件等の判別に用いられる。
【0023】また、前記スロットルチャンバ2にスロッ
トル弁4をバイパスして接続される補助空気通路55と、
該補助空気通路54に介装されたアイドル制御弁56とが設
けられている。コントロールユニット6は、前記各種の
センサからの信号に基づいて燃料噴射弁5による燃料噴
射量や点火時期等を制御すると共に、アイドル時に前記
アイドル制御弁55を制御して補助空気流量を制御するこ
とによりエンジン回転速度を目標アイドル回転速度にフ
ィードバック制御し、かつ、所定の運転条件で前記流量
制御弁27の開弁デューティを運転状態 (吸入空気流量)
及び燃料蒸気パージ量の積算値に基づいて制御すること
により空燃比を一定に保持するように燃料蒸気を吸気系
にパージする。尚、本発明のエンジン運転状態検出手
段,要求パージ流量演算手段,弁開度制御手段,パージ
可能最大流量演算手段、比較積算手段、補正手段は、コ
ントロールユニット6がソフトウエア機能によって備え
る。
【0024】ここで、キャニスタ22の燃料蒸気の脱離特
性は図3のAに示すようになる。図で明らかなように、
パージの初期ではキャニスタ22内に残留する燃料量が多
いため燃料蒸気圧が高く、したがって、パージ混合気中
に占める燃料蒸気の割合が大きくなって、パージ流量
(積算値) の増加と共に燃料蒸気パージ量 (脱離量) の
積算値も大きく増加していくが、パージが進行するにつ
れて、キャニスタ22内の残留燃料量が少なくなってパー
ジ混合気中に占める燃料蒸気の割合が小さくなり、積算
値の増加は鈍ってくる。
【0025】図3のBは、上記燃料蒸気の脱離特性に応
じたパージ混合気中の燃料蒸気の比率 (パージ空燃比A
/F) の変化特性を示したもので、パージの進行につれ
て、パージ空燃比が大きくなることが分かる。図3のC
は、かかるパージの進行によるパージ空燃比の変化が空
燃比フィードバック制御に与える影響を、パージ率 (吸
入空気流量に対するパージ流量の比率) をパラメータと
して示したもので、パージ空燃比が大きくなるに従っ
て、燃料蒸気の供給量が少なくなるため、空燃比フィー
ドバック補正係数αの目標空燃比に対応した基準値から
のズレは小さく、空燃比に与える影響は小さくなり、そ
のためズレ量を一定に保持するにはパージ率を増大すれ
ばよいことが分かる。
【0026】そこで、エンジン始動後の燃料蒸気パージ
量の総量によって、それから推定されるキャニスタ内の
残留燃料蒸気量に応じた目標パージ率を設定し、該目標
パージ率となるように流量制御弁27の開度を制御してパ
ージ流量を制御すれば、吸入空気量に対する燃料蒸気量
の比率が一定に保持されて空燃比一定に保持できること
になる。しかし、既述したように実際には、吸気負圧が
小さい運転領域では流量制御弁27を全開にしても目標パ
ージ率に達しないことがあり、その場合には、パージ流
量は、流量制御弁27全開時のパージ可能最大流量に制限
されることとなる。
【0027】そこで、本発明では、前記のように実際の
パージ流量が制限される場合には、前記パージ量の積算
に際しては該パージ可能最大流量に基づいて燃料蒸気パ
ージ量を積算する構成として、過剰量の積算を防止し、
以てその後のパージ量積算値に基づく目標パージ率の設
定,延いてはパージ量の制御を適切なものとして空燃比
のリッチ化を抑制することとした。
【0028】以上の点に基づいて行われる本実施例の燃
料蒸気パージ制御を図4,図5のフローチャートに従っ
て説明する。図4は、エンジンの吸気負圧に相当する体
積流量係数を求めるルーチンを示す。ステップ (図では
Sと記す。以下同様) 1では、スロットルセンサ53によ
って検出されたスロットル弁開度TVOを読み込む。
【0029】ステップ2では、コントロールユニット6
のROMに記憶されたマップテーブルからの検索によ
り、前記スロットル弁開度TVOに対応する吸気マニホ
ールド3の開口面積ATVOを求める。ステップ3で
は、前記アイドル制御弁55の開度を求める。一般的に行
われているデューティ制御によるものでは、開度に相当
する開弁デューティISCDTYを読み込む。尚、アイ
ドル制御弁55は、前記したようにアイドル時には目標ア
イドル回転速度となるようにフィードバック制御される
が、かかる制御時以外には固定開度に制御されるので、
その場合は、該固定開度 (開弁デューティ) を読み込
む。
【0030】ステップ4では、前記同様ROMに記憶さ
れたマップテーブルからの検索により、前記開弁デュー
ティISCDTYに対応する補助空気通路55 (アイドル
制御弁56) の開口面積AISCを求める。ステップ5で
は、前記ステップ2で求めた主吸気通路である吸気マニ
ホールド3の開口面積ATVOと、ステップ4で求めた
補助空気通路55の開口面積AISCとを加算して吸気系
の総開口面積AAを求める。
【0031】ステップ6では、前記回転速度センサ51に
よって検出されたエンジン回転速度Nを読み込む。ステ
ップ7では、吸気系を単位開口面積に設定したときに前
記エンジン回転速度Nによって発生する吸気負圧相当値
GNMVを次式により演算する。 GNMV=K/ (N×排気量) 但し、Kは単位合わせ用の定数である。
【0032】ステップ8では、前記ステップ5で求めら
れた吸気系の総開口面積AAに対して発生する吸気負圧
相当値AADNVを次式により演算する。 AADNV=AA×GNMV ステップ9では、前記吸気負圧相当値AADNVから、
体積流量係数QH0 (吸気系の開口面積を最大としたと
きの最大体積流量に対する%比率) をROMに記憶され
たマップテーブルからの検索により求める。
【0033】このようにして求められた体積流量係数Q
0 に基づいてパージ可能最大流量を演算しつつ、流量
制御弁27の開度を制御してパージ量制御を行うルーチン
を図5のフローチャートに従って説明する。このルーチ
ンは、イグニッションスイッチ54がOFFからONに操
作されたときに開始される。ステップ11では、回転速度
センサ52によって検出された機関回転速度Nと別途設定
された基本燃料噴射量TP とに基づいてマップテーブル
から流量制御弁27の基準開口面積指数EVPSSTを検
索する。これは、流量制御弁27が同一の開口面積に制御
されても、吸気負圧によってパージ流量が異なるので運
転条件によって異なる吸気負圧に応じて同一のパージ流
量が得られるように開口面積を補正するための指数であ
り、したがって吸気負圧が小さい運転領域では大きく設
定されている。但し、該基準開口面積指数は、キャニス
タ22内が燃料蒸気で満たされている場合を基準として最
小の値に設定されており、これに後述する目標パージ率
を乗じることによりキャニスタ22内の残留燃料蒸気量が
減少するにしたがって開口面積指数を増大させるが、そ
の結果、残留燃料蒸気量が所定以上に減少したときに吸
気負圧が小さい運転条件では、流量制御弁27を全開にし
ても所望のパージ流量に対して不足することとなるので
ある。
【0034】ステップ12では、エアフローメータ51によ
り検出された吸入空気流量Qを読み込む。ステップ13で
は、要求パージ流量qP を次式により演算する。 qP =Q・EVPTRold /K2 ここで、EVPTRold は、マップテーブルから前回検
索された目標パージ率であり、一定の空燃比に保持する
には必要な燃料蒸気の流量は吸入空気流量Qに対して比
例的に設定すればよいが、既述したようにパージ混合気
中の燃料蒸気の比率がキャニスタ22内の残留燃料量等に
よって異なるので、燃料蒸気の比率が大きいときはパー
ジ率を小さく、比率が小さいときにはパージ率を大きく
設定してあり、該パージ率を乗じることで燃料蒸気の比
率によらず、必要な燃料蒸気流量が得られるべく設定し
てある。K2 は単位合わせ用の定数である。
【0035】ステップ14では、前記図4のフローチャー
トで求められた体積流量係数QH0を読み込む。ステッ
プ15では、ステップ14で読み込んだ体積流量係数QH0
に対して流量制御弁27を全開にしたときにパージ可能な
パージ可能最大流量qPmaxをROMに記憶されたマップ
テーブルから検索して求める。体積流量係数QH0 が増
大するほど吸気負圧が小さく、パージ可能最大流量q
Pmaxが減少する特性となっている。尚、本実施例では、
前記吸気負圧相当値AADNVを体積流量係数QH0
換算してからパージ可能最大流量qPmaxを求める構成と
したが、吸気負圧相当値AADNVから直接パージ可能
最大流量qPmaxを求めるようにしてもよいことは勿論で
ある。
【0036】ステップ16では、前記ステップ13で求めた
要求パージ流量qP とステップ15で求めたパージ可能最
大流量qPmaxとを比較する。そして、要求パージ流量q
P がパージ可能最大流量qPmax以下である場合には、そ
のままステップ18へ進んで燃料蒸気パージ量を積算する
が、パージ可能最大流量qPmaxを超えている場合には、
ステップ17へ進み、qP =qPmaxとして、パージ積算用
のパージ流量をパージ可能最大流量qPmaxに制限した
後、ステップ18へ進む。
【0037】ステップ18では、燃料蒸気のパージ量の積
算値の前回値EVPCNTold に前記要求パージ流量q
P を加算することにより、積算値の更新値EVPCNT
newを求める。ステップ19では、前記更新された積算値
EVPCNTnew に基づいて前記マップテーブルから新
たな目標パージ率EVPTRnew を検索する。
【0038】ステップ20では、流量制御弁27の目標開口
面積指数EVPSを次式により演算する。EVPS=E
VPSST・EVPTRnewステップ21では、流量制御
弁27の前記目標開口面積指数EVPSに対応する開弁デ
ューティEVSTPDをマップテーブルからの検索によ
り設定し、出力する。
【0039】かかる構成とすれば、エンジン運転状態と
エンジン始動後に積算される燃料蒸気パージ量の積算値
とに基づいて行われるパージ量制御において、要求パー
ジ流量がパージ可能最大流量より大きく実際のパージ流
量が該パージ可能最大流量によって制限される状況で
は、該パージ可能最大流量に制限した値でパージ量の積
算を行うようにしたため、パージ量積算値が過剰となる
ことを防止できる。したがって、その後吸気負圧が増大
したときにパージ量積算値に基づいて設定される目標パ
ージ率が過大となってパージ量が過剰となることを防止
できるので、空燃比のリッチ化が防止され、排気エミッ
ション性能を良好に維持することができる。
【0040】また、エンジン運転状態から演算した要求
パージ流量を用いてパージ量を積算しているため構成が
簡単で済み、また、実測値と要求流量とが最も大きくず
れる最大流量付近でのみ要求流量を補正しているので積
算精度は実用上十分に確保できる。次に、本発明の第2
の実施例を図6に基づいて説明する。尚、システム構成
については、前記実施例の図2と同様であるので図示及
び説明を省略する。本実施例は、上限パージ率と目標パ
ージ率とを比較することで、より簡易にパージ可能最大
流量の演算, 積算時の制限が行えるようにしたものであ
る。
【0041】図6において、ステップ31では、前記図4
のステップ1〜ステップ5と同様にして吸気系の総開口
面積AAを求める。ステップ32では、流量制御弁27を全
開 (開弁デューティ=100 %) としたときの上限パージ
率EVPTRmax を次式により演算する。 EVPTRmax =APmax /AA ここで、APmax は流量制御弁27の全開時の開口面積で
ある。即ち、吸入空気流量Qは吸気系の総開口面積AA
に対して比例的に増大し、一方、パージ流量は流量制御
弁の開度 (開口面積) APに対して比例的に増大する。
したがって、吸気系の開口面積AAに対する流量制御弁
の開口面積APの比率は、吸入空気流量に対するパージ
流量の比率、つまり実際のパージ率を表す値となり、流
量制御弁27全開時の最大開口面積APmax と吸気系の開
口面積AAとの比率として上限のパージ率EVPTR
max が求められるのである。
【0042】ステップ33では、マップテーブルから前回
検索された目標パージ率EVPTR old と、前記ステッ
プ32で求めた上限パージ率EVPTRmax とを比較す
る。そして、目標パージ率EVPTRold が上限パージ
率EVPTRmax 以下である場合は、そのままステップ
35へ進んで前記目標パージ率EVPTRold に基づいて
要求パージ流量qP を演算するが、上限パージ率EVP
TRmax を超えている場合は、要求パージ流量演算用の
パージ率として上限パージ率EVPTRmaxを用いるべ
くステップ34へ進んでEVPTRold =EVPTRmax
として設定する。
【0043】ステップ35で、エアフローメータ51により
検出された吸入空気流量Qを読み込んだ後、ステップ36
で次式に基づいて要求パージ流量qP を演算する。 qP =Q・EVPTRold /K2 この演算式は、図5のステップ13と同様であるが、前記
目標パージ率EVPTRold が上限パージ率EVPTR
max に制限されるときには、前記要求パージ流量qP
該上限パージ率EVPTRmax で制限されたパージ可能
最大流量qPmaxが演算されることとなる。
【0044】ステップ37では、同図5のステップ18と同
様の演算式でパージ量の積算が行われるが、要求パージ
流量qP がパージ可能最大流量qPmaxで制限されている
ときには、該パージ可能最大流量qPmaxが積算されるこ
ととなる。以下、ステップ38でマップテーブルからの検
索により運転状態に応じた流量制御弁27の基準開口面積
指数EVPSSTを求め、ステップ39でマップテーブル
からの検索によりパージ量積算値に応じた目標パージ率
EVPTRを求め、ステップ40で前記基準開口面積指数
EVPSSTに目標パージ率EVPTRを乗じることで
流量制御弁27の目標開口面積指数EVPSを演算し、ス
テップ41でマップテーブルからの検索により前記目標開
口面積指数EVPSに対応する開弁デューティEVST
PDを設定して出力することは、前記実施例同様にして
行われる。
【0045】本実施例では、前記実施例のようにエンジ
ン回転速度Nを用いて吸気負圧相当値を演算することが
不要となり、また、簡単に演算できる上限パージ率と目
標パージ率とを比較することにより目標パージ率に応じ
た要求パージ流量がパージ可能最大流量を超えることが
わかっているときには、最初から最大パージ率に基づい
て最大パージ流量を求めるようにしたため、演算時間の
短縮を図れる。
【0046】次に、第3の実施例を図7及び図8に基づ
いて説明する。図7は、本実施例のシステム構成を示
し、スロットルチャンバ2のスロットル弁4下流部分に
吸気負圧を検出する負圧センサ57を備えている。吸入空
気流量Qを検出するエアフローメータを備えてもよい
が、本実施例ではエアフローメータを備えず吸気負圧で
燃料噴射量を演算する所謂Dジェトロ型燃料噴射量演算
方式のものに適用したものを示す。その他の、構成は図
2と同様である。
【0047】図8のパージ量制御を示すルーチンにおい
て、大部分が第1実施例の図5で示したルーチンと共通
であるので、相違する部分のみ説明する。ステップ52
で、前記負圧センサ57によって検出された吸気負圧Pと
エンジン回転速度Nとの関数f (P, N) としてエンジ
ンの吸入空気流量Qを演算 (又はマップテーブルから検
索) する。
【0048】ステップ54では、前記吸気負圧Pに応じて
設定されたマップテーブルからの検索によりパージ可能
最大流量qP を求める。ステップ55〜ステップ60は、図
5のステップ16〜ステップ21と同様にして実行される。
このように、Dジェトロ型燃料噴射量演算方式において
も特別センサを追加することなく、本発明を適用したパ
ージ量制御が行える。
【0049】また、以上の実施例ではパージ量の積算を
パージエアを含むパージ混合気の要求パージ流量を積算
することで行ったが、パージエアを除いた燃料蒸気のみ
の要求パージ流量qE を積算して行ってもよい。かかる
要求パージ流量qE を積算するものの実施例を図9のフ
ローチャートに従って説明する。尚、システム構成は、
図2のものと同様である。
【0050】ステップ71〜ステップ73では、前記図6の
ステップ31〜ステップ33と同様にして吸気系の開口面積
AAから上限パージ率EVPTRmax を求め、現在の目
標パージ率EVPTRold と比較する。そして、EVP
TRold ≦EVPTRmax のときは、ステップ74で吸入
空気流量Qを読み込み、ステップ75でパージエアを除い
た要求パージ流量qE をqE =Q/K2 として求める。
【0051】また、EVPTRold >EVPTRmax
ときは実際のパージ率が目標パージ率EVPTRmax
達せず、上限パージ率EVPTRmax に制限され、前記
Q/K2 として求められる値は、目標パージ率EVPT
max が確保されているときの値であるから、上限パー
ジ率EVPTRmax に制限される値として積算される要
求パージ流量qE を次式により補正して求める。
【0052】qE = (Q/K2 ) ・ (EVPTRmax
EVPTRold ) ステップ78では、パージ量の積算値EVPCNTを前回
値EVPTRold に前記ステップ75又はステップ77で求
めた要求パージ流量qE を加算して更新する。ステップ
79〜ステップ82では、図6のステップ38〜ステップ41と
同様にして流量制御弁27の開口面積指数に応じた開弁デ
ューティを求めてデューティ制御する。
【0053】
【発明の効果】以上説明してきたように本発明によれ
ば、エンジンの運転状態に応じて要求されるパージ流量
に対して実際のパージ流量がパージ流量を制御する流量
制御弁を全開にしても不足する場合には、該実際のパー
ジ可能最大流量で制限された値に基づいてパージ量を積
算する構成としたため、パージ量の積算値に基づき流量
制御弁の制御を介して行われるパージ量の制御が適切に
行われ、空燃比がリッチ化されることを防止でき、排気
エミッション性能を改善できる。る。
【0054】尚、パージ流量を実測することなく、エン
ジン運転状態から要求パージ流量を演算して積算する構
成としたため、構成が簡易で低コストで実施でき、ま
た、実測値と要求流量とが最も大きくずれる最大流量付
近でのみ要求流量を補正しているので積算精度は実用上
十分に確保できる。また、パージ量の積算値に基づいて
吸入空気流量に対するパージ流量の目標比率としての目
標パージ率を設定し、該目標パージ率とエンジンの吸入
空気流量とに基づいて要求パージ流量を演算するように
すれば、パージ中の空燃比を一定に維持できるように要
求パージ流量を設定することができる。
【0055】また、エンジン吸気系の開口面積とエンジ
ン回転速度とに基づいてパージ可能最大流量を精度良く
演算することができる。また、流量制御弁を全開にした
ときの最大開口面積と吸気系の開口面積との比率によっ
ても上限のパージ率を精度良く演算することができ、そ
の場合、目標パージ率が上限パージ率を超えるときに該
上限パージ率に基づいて演算されたパージ可能最大流量
に基づいて燃料パージ量を積算することで正しい積算を
行うことができる。
【0056】また、吸気負圧を直接検出する手段を備え
た場合には、該検出された吸気負圧に基づいて直接パー
ジ可能最大流量を演算することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構成・機能を示すブロック図。
【図2】本発明の第1の実施例及び第2の実施例に共通
のシステム構成を示す図。
【図3】燃料蒸気の脱離特性等を示す線図。
【図4】第1の実施例の体積流量係数を演算するルーチ
ンを示すフローチャート。
【図5】同上実施例のパージ量制御ルーチンを示すフロ
ーチャート。
【図6】第2の実施例のパージ量制御ルーチンを示すフ
ローチャート。
【図7】第3の実施例のシステム構成を示す図。
【図8】第3の実施例のパージ量制御ルーチンを示すフ
ローチャート。
【図9】第4の実施例のパージ量制御ルーチンを示すフ
ローチャート。
【符号の説明】
1 エンジン 3 吸気マニホールド 6 コントロールユニット 20 燃料タンク 22 キャニスタ 23 吸着剤 24 パージ通路 27 流量制御弁 51 エアフローメータ 52 回転速度センサ 53 スロットルセンサ 54 イグニッションスイッチ 55 補助空気通路 56 アイドル制御弁 57 吸気負圧センサ

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】燃料蒸気を一時的に吸着手段に吸着し、該
    吸着手段に吸着された燃料蒸気を所定のエンジン運転条
    件でパージ用エアと混合させて流量制御弁が介装された
    パージ通路を介してエンジンの吸気系にパージするよう
    に構成された燃料蒸気処理装置において、 エンジン運転状態を検出する運転状態検出手段と、 エンジン運転状態に基づいて要求パージ流量を演算する
    要求パージ流量演算手段と、 エンジン運転状態と前記要求パージ流量とに基づいて前
    記流量制御弁の開度を制御する弁開度制御手段と、 エンジン運転状態に応じて現時点の運転状態におけるパ
    ージ可能最大流量を演算するパージ可能最大流量演算手
    段と、 前記要求パージ流量と前記パージ可能最大流量とを比較
    し、小さい方の流量をエンジン始動後にわたって積算す
    る比較積算手段と、 を備え、 かつ、前記要求パージ流量演算手段は、前記比較積算手
    段によるパージ流量積算値によって要求パージ流量を補
    正する補正手段を含んでいることを特徴とする燃料蒸気
    処理装置の燃料蒸気パージ量制御装置。
  2. 【請求項2】前記運転状態検出手段は、エンジンの吸入
    空気流量を検出する手段を含み、前記要求パージ流量演
    算手段は、前記パージ流量の積算値に基づいて吸入空気
    流量に対するパージ流量の目標比率としての目標パージ
    率を設定し、該目標パージ率とエンジンの吸入空気流量
    とに基づいて要求パージ流量を演算することを特徴とす
    る請求項1に記載の燃料蒸気処理装置の燃料蒸気パージ
    量制御装置。
  3. 【請求項3】前記運転状態検出手段は、エンジンの吸気
    系の開口面積とエンジン回転速度とを検出する手段を含
    み、前記パージ可能最大流量演算手段は、エンジン吸気
    系の開口面積とエンジン回転速度とに基づいてパージ可
    能最大流量を演算することを特徴とする請求項1又は請
    求項2に記載の燃料蒸気処理装置の燃料蒸気パージ量制
    御装置。
  4. 【請求項4】前記運転状態検出手段は、エンジンの吸気
    系の開口面積を検出する手段を含み、前記パージ可能最
    大流量演算手段は、流量制御弁全開時の最大開口面積の
    エンジン吸気系の開口面積に対する比として上限パージ
    率を求め、該上限パージ率に基づいてパージ可能最大流
    量を演算することを特徴とする請求項1又は請求項2に
    記載の燃料蒸気処理装置の燃料蒸気パージ量制御装置。
  5. 【請求項5】前記比較積算手段は、前記上限パージ率を
    パージ流量の積算値に対して設定される目標パージ率と
    比較し、目標パージ率が上限パージ率を超えるときに該
    上限パージ率に基づいて演算されたパージ可能最大流量
    を積算させることを特徴とする請求項4に記載の燃料蒸
    気処理装置の燃料蒸気パージ量制御装置。
  6. 【請求項6】前記運転状態検出手段は、吸気負圧を検出
    する手段を含み、前記パージ可能最大流量演算手段は、
    エンジンの吸気負圧に基づいてパージ可能最大流量を演
    算することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の
    燃料蒸気処理装置の燃料蒸気パージ量制御装置。
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