JP3405856B2 - リン除去方法 - Google Patents
リン除去方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、リン含有水の脱リン方
法に関し、特に金属鉄と活性アルミナなどの水和酸化ア
ルミニウム及び／又はアルミニウム水酸化物を含有する
粒状物の両者を用いて水中のリンを極めて効果的に除去
する新技術に関するものである。 【０００２】 【従来の技術】下水、工場廃水などのリン含有水からア
ルミニウム化合物を利用してリンを除去する方法として
活性アルミナなどのリン吸着能力を利用する方法があ
る。この方法は粒状の活性アルミナなどのリン吸着剤を
充填した充填層にリン含有水を通水し、リンを吸着除去
するものである。しかし、この方法は活性アルミナなど
のリン吸着剤のリン吸着容量が小さいため、リン吸着剤
の頻繁な再生が必要であり、しかもリンを含有したリン
吸着剤を再生した時に発生する再生廃液の処分が困難で
あるため実用性がなく、事実、工業規模での実施例も存
在しない。 【０００３】また、リン含有水に硫酸アルミニウム、塩
化第二鉄などの凝集剤を添加し、リンを凝集除去する方
法もあるが、リンイオンの２〜４倍モル量のアルミニウ
ムイオン、鉄イオンを添加する必要があるためにバルキ
ーな難濃縮脱水汚泥が大量に発生するという大きな欠点
があった。また、リン含有水を金属鉄と接触させ、リン
含有水の金属の腐食作用によって金属鉄から金属イオン
を溶出させ、この鉄イオンによってリンを燐酸鉄として
不溶化して除去する技術も知られている。しかしこの場
合には、リンを燐酸鉄として不溶化するに（実用的に）
十分なほど鉄イオンが溶出せず、高いリン除去効果が得
られないという欠点があった。 【０００４】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な従来技術の諸欠点を根本的に解決し、特に水和酸化ア
ルミニウム及び／又は水酸化アルミニウムを含有する吸
着剤のリン吸着容量を著しく大きくできる新技術を提供
することを目的としている。 【０００５】 【課題を解決するための手段】本発明の上記課題は、本
発明の新規なリン除去方法によって解決される。すなわ
ち、リン含有水を金属鉄と接触させた後、水和酸化アル
ミニウム及び／又はアルミニウム水酸化物を含有する粒
状物の充填層に通水することを特徴とするリン除去方法
である。本発明に用いる金属鉄としては、屑鉄、くぎ、
砂鉄など金属鉄からなるもの、あるいは金属鉄を含むも
のなら特に制限されない。しかし、屑鉄、くぎ、砂鉄な
ど金属鉄からなるものが好ましい。 【０００６】水和酸化アルミニウム及び／又はアルミニ
ウム水酸化物を含有する粒状物としては、粒状の活性ア
ルミナ、水酸化アルミニウムの造粒物、粒状の鹿沼土や
アロフェンの造粒物などが好適である。活性アルミナは
水中で水和して水和酸化アルミニウムとなる。水和酸化
アルミニウム及び／又はアルミニウム水酸化物を含有す
る粒状物の粒径は、０．５〜５ｍｍ、好ましくは１〜３
ｍｍ程度である。実処理装置内に設置する充填層の高さ
は、偏流を防ぐため、低すぎるのは不都合であり、実処
理装置規模では充填層の高さは１〜３ｍ程度が好適であ
る。原水を金属鉄と接触させる方法は屑鉄などを充填し
た充填層内に原水を数分間通水させる方法が好ましい。
金属鉄と接触を終えたリン含有水の粒状アルミナ充填層
内に通水させる速度は、原水のリン濃度に応じてＳＶ１
〜１０（１／ｈｒ）程度とする。原水のリン濃度が高い
ときにはＳＶを小さくする。 【０００７】 【作用】本発明者は、金属鉄と接触させた原水を水和酸
化アルミニウム及び／又はアルミニウム水酸化物を含有
する粒状物の充填層に通水することにより水和酸化アル
ミニウム及び／又はアルミニウム水酸化物を含有する粒
状物のリン吸着容量が著しく増加することを実験的に見
出した。このような顕著な効果が現れる理由は明確では
ないが、原水中のリン酸イオンが金属鉄と接触後もほと
んど除去されていないことからみて、水和酸化アルミニ
ウム及び／又はアルミニウム水酸化物を含有する粒状物
の界面が金属鉄から溶出した微量の鉄イオンを吸着し、
リン吸着性が著しく大きいなんらかの複塩化合物などを
形成するためではないかと推察される。 【０００８】 【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。 【０００９】実施例１ 図１に示した、内径５ｃｍ、高さ８０ｃｍのカラム１内
に鉄くぎ（長さ０．６ｃｍ）を高さ１０ｃｍに充填した
鉄くぎ充填層３を設け、網４を介してその下部に粒径１
〜２ｍｍの活性アルミナを高さ３０ｃｍに充填した活性
アルミナ充填層２を設け、カラム１の上からリン濃度２
ｍｇ／リットル、ｐＨ６．５の原水４（水道水にリン酸
ナトリウムを添加したもの）を活性アルミナ充填層２に
対しＳＶ６で通水した。（リン含有水が、鉄くぎ充填層
３内に滞留する時間は３．３分間程度、活性アルミナ充
填層２内に滞留する時間は１０分間程度とする。） 前記条件で実験を行い、活性アルミナ充填層２から流出
する処理水７のリン濃度の経時変化を測定した。この結
果を図２のグラフＡに示した。処理水７のリン濃度が
１．０ｍｇ／リットルに達するまでの通水日数は１６０
日間と極めて長い期間であり、その間リンを安定して除
去できた。なお、鉄くぎ充填層３から流出する流出水の
リン濃度を測定したところ、１．８２ｍｇ／リットルで
あり、原水４に含まれているリンは金属鉄との接触によ
ってはほとんど除去されていないことが確認された。ま
た、鉄くぎ充填層３からの流出水の鉄イオン濃度は２．
２〜３．５ｍｇ／リットルであった。 【００１０】比較例１ 鉄くぎとの接触工程を除去した以外は実施例１と同一条
件でカラム１内通水試験を行った場合の活性アルミナ充
填層２から流出する処理水７のリン濃度の経時変化を測
定した。その結果を図２のグラフＢに示す。処理水７へ
のリンのリークは、実施例１の場合より著しく早く、通
水後２０日間で処理水７のリン濃度が１．０ｍｇ／リッ
トルに達し、活性アルミナによるリン吸着量は本発明の
方法に比べて大幅に少ないことが認められる。 【００１１】 【発明の効果】本発明によれば、リン含有水から安定し
て高除去率でリンを除去でき、汚泥の発生量も少なく、
水和酸化アルミニウム及び／又はアルミニウム水酸化物
を含有する粒状物（リン吸着剤）のリン吸着容量を著し
く高くすることができるので、再生処理の頻度は大幅に
少なくできる。従ってリン除去処理の管理も容易になる
等大きな効果がある。すなわち、凝集分離法、吸着法、
金属鉄接触法などでは欠点が多いために問題となってい
た従来のリン除去技術の諸問題を効果的に解決できる。
法に関し、特に金属鉄と活性アルミナなどの水和酸化ア
ルミニウム及び／又はアルミニウム水酸化物を含有する
粒状物の両者を用いて水中のリンを極めて効果的に除去
する新技術に関するものである。 【０００２】 【従来の技術】下水、工場廃水などのリン含有水からア
ルミニウム化合物を利用してリンを除去する方法として
活性アルミナなどのリン吸着能力を利用する方法があ
る。この方法は粒状の活性アルミナなどのリン吸着剤を
充填した充填層にリン含有水を通水し、リンを吸着除去
するものである。しかし、この方法は活性アルミナなど
のリン吸着剤のリン吸着容量が小さいため、リン吸着剤
の頻繁な再生が必要であり、しかもリンを含有したリン
吸着剤を再生した時に発生する再生廃液の処分が困難で
あるため実用性がなく、事実、工業規模での実施例も存
在しない。 【０００３】また、リン含有水に硫酸アルミニウム、塩
化第二鉄などの凝集剤を添加し、リンを凝集除去する方
法もあるが、リンイオンの２〜４倍モル量のアルミニウ
ムイオン、鉄イオンを添加する必要があるためにバルキ
ーな難濃縮脱水汚泥が大量に発生するという大きな欠点
があった。また、リン含有水を金属鉄と接触させ、リン
含有水の金属の腐食作用によって金属鉄から金属イオン
を溶出させ、この鉄イオンによってリンを燐酸鉄として
不溶化して除去する技術も知られている。しかしこの場
合には、リンを燐酸鉄として不溶化するに（実用的に）
十分なほど鉄イオンが溶出せず、高いリン除去効果が得
られないという欠点があった。 【０００４】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な従来技術の諸欠点を根本的に解決し、特に水和酸化ア
ルミニウム及び／又は水酸化アルミニウムを含有する吸
着剤のリン吸着容量を著しく大きくできる新技術を提供
することを目的としている。 【０００５】 【課題を解決するための手段】本発明の上記課題は、本
発明の新規なリン除去方法によって解決される。すなわ
ち、リン含有水を金属鉄と接触させた後、水和酸化アル
ミニウム及び／又はアルミニウム水酸化物を含有する粒
状物の充填層に通水することを特徴とするリン除去方法
である。本発明に用いる金属鉄としては、屑鉄、くぎ、
砂鉄など金属鉄からなるもの、あるいは金属鉄を含むも
のなら特に制限されない。しかし、屑鉄、くぎ、砂鉄な
ど金属鉄からなるものが好ましい。 【０００６】水和酸化アルミニウム及び／又はアルミニ
ウム水酸化物を含有する粒状物としては、粒状の活性ア
ルミナ、水酸化アルミニウムの造粒物、粒状の鹿沼土や
アロフェンの造粒物などが好適である。活性アルミナは
水中で水和して水和酸化アルミニウムとなる。水和酸化
アルミニウム及び／又はアルミニウム水酸化物を含有す
る粒状物の粒径は、０．５〜５ｍｍ、好ましくは１〜３
ｍｍ程度である。実処理装置内に設置する充填層の高さ
は、偏流を防ぐため、低すぎるのは不都合であり、実処
理装置規模では充填層の高さは１〜３ｍ程度が好適であ
る。原水を金属鉄と接触させる方法は屑鉄などを充填し
た充填層内に原水を数分間通水させる方法が好ましい。
金属鉄と接触を終えたリン含有水の粒状アルミナ充填層
内に通水させる速度は、原水のリン濃度に応じてＳＶ１
〜１０（１／ｈｒ）程度とする。原水のリン濃度が高い
ときにはＳＶを小さくする。 【０００７】 【作用】本発明者は、金属鉄と接触させた原水を水和酸
化アルミニウム及び／又はアルミニウム水酸化物を含有
する粒状物の充填層に通水することにより水和酸化アル
ミニウム及び／又はアルミニウム水酸化物を含有する粒
状物のリン吸着容量が著しく増加することを実験的に見
出した。このような顕著な効果が現れる理由は明確では
ないが、原水中のリン酸イオンが金属鉄と接触後もほと
んど除去されていないことからみて、水和酸化アルミニ
ウム及び／又はアルミニウム水酸化物を含有する粒状物
の界面が金属鉄から溶出した微量の鉄イオンを吸着し、
リン吸着性が著しく大きいなんらかの複塩化合物などを
形成するためではないかと推察される。 【０００８】 【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。 【０００９】実施例１ 図１に示した、内径５ｃｍ、高さ８０ｃｍのカラム１内
に鉄くぎ（長さ０．６ｃｍ）を高さ１０ｃｍに充填した
鉄くぎ充填層３を設け、網４を介してその下部に粒径１
〜２ｍｍの活性アルミナを高さ３０ｃｍに充填した活性
アルミナ充填層２を設け、カラム１の上からリン濃度２
ｍｇ／リットル、ｐＨ６．５の原水４（水道水にリン酸
ナトリウムを添加したもの）を活性アルミナ充填層２に
対しＳＶ６で通水した。（リン含有水が、鉄くぎ充填層
３内に滞留する時間は３．３分間程度、活性アルミナ充
填層２内に滞留する時間は１０分間程度とする。） 前記条件で実験を行い、活性アルミナ充填層２から流出
する処理水７のリン濃度の経時変化を測定した。この結
果を図２のグラフＡに示した。処理水７のリン濃度が
１．０ｍｇ／リットルに達するまでの通水日数は１６０
日間と極めて長い期間であり、その間リンを安定して除
去できた。なお、鉄くぎ充填層３から流出する流出水の
リン濃度を測定したところ、１．８２ｍｇ／リットルで
あり、原水４に含まれているリンは金属鉄との接触によ
ってはほとんど除去されていないことが確認された。ま
た、鉄くぎ充填層３からの流出水の鉄イオン濃度は２．
２〜３．５ｍｇ／リットルであった。 【００１０】比較例１ 鉄くぎとの接触工程を除去した以外は実施例１と同一条
件でカラム１内通水試験を行った場合の活性アルミナ充
填層２から流出する処理水７のリン濃度の経時変化を測
定した。その結果を図２のグラフＢに示す。処理水７へ
のリンのリークは、実施例１の場合より著しく早く、通
水後２０日間で処理水７のリン濃度が１．０ｍｇ／リッ
トルに達し、活性アルミナによるリン吸着量は本発明の
方法に比べて大幅に少ないことが認められる。 【００１１】 【発明の効果】本発明によれば、リン含有水から安定し
て高除去率でリンを除去でき、汚泥の発生量も少なく、
水和酸化アルミニウム及び／又はアルミニウム水酸化物
を含有する粒状物（リン吸着剤）のリン吸着容量を著し
く高くすることができるので、再生処理の頻度は大幅に
少なくできる。従ってリン除去処理の管理も容易になる
等大きな効果がある。すなわち、凝集分離法、吸着法、
金属鉄接触法などでは欠点が多いために問題となってい
た従来のリン除去技術の諸問題を効果的に解決できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明のリン除去処理フローの１例を示す説明
図である。 【図２】本発明のリン除去カラム及び比較のリン除去カ
ラムからの処理水中のリン濃度の経時変化を示すグラフ
である。 【符号の説明】 １ カラム ２ 活性アルミナ充填層 ３ 鉄くぎ充填層 ４ 原水 ５ 多孔板 ６ 網 ７ 処理水
図である。 【図２】本発明のリン除去カラム及び比較のリン除去カ
ラムからの処理水中のリン濃度の経時変化を示すグラフ
である。 【符号の説明】 １ カラム ２ 活性アルミナ充填層 ３ 鉄くぎ充填層 ４ 原水 ５ 多孔板 ６ 網 ７ 処理水
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項１】 リン含有水を金属鉄と接触させた後、水
和酸化アルミニウム及び／又はアルミニウム水酸化物を
含有する粒状物の充填層に通水することを特徴とするリ
ン除去方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP14425795A JP3405856B2 (ja) | 1995-05-19 | 1995-05-19 | リン除去方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP14425795A JP3405856B2 (ja) | 1995-05-19 | 1995-05-19 | リン除去方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH08309341A JPH08309341A (ja) | 1996-11-26 |
| JP3405856B2 true JP3405856B2 (ja) | 2003-05-12 |
Family
ID=15357897
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP14425795A Expired - Fee Related JP3405856B2 (ja) | 1995-05-19 | 1995-05-19 | リン除去方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3405856B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2011062680A (ja) * | 2009-09-16 | 2011-03-31 | Kimihiko Okanoe | 液体浄化装置 |
-
1995
- 1995-05-19 JP JP14425795A patent/JP3405856B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH08309341A (ja) | 1996-11-26 |
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