JP3405803B2 - 顆粒状有機質肥料の製造方法 - Google Patents

顆粒状有機質肥料の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は顆粒状有機質肥料の製造
方法および該方法により得られた顆粒状有機質肥料に関
する。より詳細には、本発明は、適度の比重と粒径を有
していることによって流動性に富み且つ粉塵が立ちにく
くて取扱性に優れ、しかも植物体に濃度障害による悪影
響を及ぼさず、その上悪臭のない顆粒状有機質肥料を、
バインダーなどを使用することなく極めて簡単な操作で
製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】植物の育成のためにこれまで化成肥料が
多用されてきたが、化成肥料は即効性はあるものの濃度
障害による植物の成育不良や枯れ、連用による土のや
せ、環境汚染等の問題を生じている。そこで、化成肥料
のそのような欠点を解消するものとして、鶏糞、豚糞、
牛糞等の動物由来の有機質や、油カス、麦かん、稲藁、
落葉等の植物由来の有機質を原料とする有機質肥料が見
直され、使用されるようになっている。
【0003】しかしながら、動物の糞尿を主成分とする
有機質肥料の場合は、それ固有の悪臭を有していること
が多いために、公園、ゴルフ場、遊園地などの遊戯施設
や植木や草花の肥料として適さない場合が多い。また、
油カス、麦かん、稲藁、落葉等の植物由来の有機質肥料
は、通常、塊状であったり固まり易くて流動性に劣って
いるために、ゴルフ場や公園の芝生などのような広い面
積に散布して施すことが困難であり、取扱性が悪い。
【0004】また、ゴルフ場などの芝地に対しては、芝
の活性化のために年に1〜3回程度の更新作業が行われ
ることが多く、この更新作業ではエアレーションとして
芝地に多数の穴を開けた後(コアリング)、その穴(コ
ア)に目砂と土壌改良剤を投入して穴を埋める作業が通
常行われている。この作業を行うと、コア部分に新根と
ほふく茎が侵入してくることにより芝の生育が促進・活
性化される。通常、目砂および土壌改良剤は2〜4回に
分けてコアに投入され、その際のコアへの投入方法とし
ては、コアを多数開けた芝地に目砂を散布した後、箒、
ブラシ、絨毯などでコアに擦り込む方法が一般に採用さ
れている。
【0005】上記の場合に、目砂と共に肥料や病原菌防
除剤を使用してコア中に投入するようにすれば、芝の育
成や芝草病原菌の防除に有効であることが考えられる。
しかし、従来の粉末状の化成肥料や病原菌防除剤を使用
した場合は、粒径や比重が川砂や土壌改良剤と比べて著
しく小さいために、擦り込み作業を行っても芝生上にそ
のまま残留してコアに入りにくく、しかも散布時に粉塵
を生ずるという欠点がある。また、動物の糞尿等に由来
する上記した従来の有機質肥料をペレット化してコアに
投入することも考えられるが、その場合には土壌中に投
入する窒素分が過剰になって、植物体が濃度障害のため
に枯死するという問題があり、また悪臭の心配がある。
しかも、芝地などのように植物が既に生育している場所
に有機質肥料を高濃度で土壌中に投入すると、再発酵し
て発酵熱で植物体に悪影響を及ぼし易い。
【0006】上記のような点から、有機質肥料を顆粒な
どの粒状にしてその取扱い性を改良することが試みられ
ており、その一つとして、堆肥、ゼオライト、パーライ
トおよび水と共に水溶性接着剤を使用して、堆肥、ゼオ
ライトおよびパーライトを水溶性接着剤で包囲して粒状
にする方法が提案されている(特開昭62−16728
1号公報)。しかし、この方法による場合は、粒状肥料
の製造に際して水溶性接着剤を別途使用する必要があ
り、水溶性接着剤に充分な接着力を発揮させるために、
水溶性接着剤を堆肥などと混合する前に予め水に溶かし
ておくことが必要ある。そのために、材料的に経費がか
かりしかも粒状化工程が繁雑である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、適度
の比重および粒径を有していて流動性に富み、且つ粉塵
が発生しにくくて取扱性に優れ、しかも悪臭がなく、植
物に施したときに濃度障害などの悪影響を与えない顆粒
状有機質肥料を接着剤などの余分な副資材を使用するこ
となく、簡単な工程で製造しうる方法を提供することで
ある。更に、本発明の目的は、そのような種々の優れた
特性と共に、植物育成作用および植物病原菌防除作用に
も優れた顆粒状有機質肥料を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明者らが検討を続けた結果、有機質肥料の主成
分として、小麦フスマ、米糠、コーンブランなどの穀類
の糟糠類を発酵させたものを使用し、これに有機質肥料
よりも大きい特定の粒径を有する芯物質を混合し、それ
に水を加えて緩めに混合・撹拌すると、適度の比重およ
び粒径を有していて流動性に富み、粉塵が発生しにく
く、取扱性に優れ、悪臭がなく、しかも植物に施したと
きに濃度障害などの悪影響を与えない顆粒状有機質肥料
を接着剤などの余分な副資材を使用せずに得られること
を見出した。そして、更に研究を進めたところ、そのよ
うな顆粒状有機質肥料の製造に際して、植物病原菌に対
して拮抗性を有する微生物を任意の段階で更に含有させ
ると、上記した種々の優れた特性と共に、良好な植物育
成作用および植物病原菌防除作用をも併せもつ顆粒状有
機質肥料が得られることを見出した。
【0009】すなわち、本発明は、(1) 粒径0.3〜2.0mmの肥料成分を含まない
物質、芯物質の粒径以下の糟糠類から主としてなる有機
質肥料および水を混合・撹拌して粒状物とすることを特
徴とする顆粒状有機質肥料の製造方法である。そして、
本発明は(2) 芯物質:有機質肥料の配合割合を、重量で10
0:30〜60とする前記(1)の製造方法;および(3) 植物病原菌に対して拮抗性を有する微生物を任
意の段階で更に含有させることからなる前記(1)また
は(2)の製造方法;である。さらに、本発明は、 (4) 粒径0.3〜2.0mmの肥料成分を含まない芯
物質の表面に芯物質の粒径以下の糟糠類から主としてな
る有機質肥料が付着してなることを特徴とする顆粒状有
機質肥料である。
【0010】 本発明の方法を行うに当たっては、粒径
が0.3〜2.0mmの範囲にある、肥料成分を含まな
芯物質を使用する。上記の範囲の粒径を有する芯物質
を使用することによって、流動性が良好で散布し易く、
しかも散布したときに粉塵が生じにくく、芝地などに開
けたコアに目砂と共に円滑に擦り込むことのできる適切
な比重、粒径、保形性を有する顆粒状有機質肥料を得る
ことができる。
【0011】顆粒の製造を円滑に行うためには、芯物質
はできるだけ粒度が揃っているのが好ましく、芯物質の
全体が0.5〜1.0mmの粒径範囲に入っていること
がより好ましい。芯物質の粒径が0.3mmよりも小さ
いと、顆粒化した有機質肥料の流動性が悪くなり、一方
2.0mmよりも大きいと付着させた有機質肥料が脱落
しやすくなって粉塵を生じ易く、いずれの場合も望まし
い結果を得ることができない。
【0012】 芯物質は、顆粒状有機質肥料を製造する
際の芯(核)となるものであるから、顆粒を製造する際
の混合・撹拌時に崩壊せず適度な硬さを有していて且つ
肥料成分を含まないものであればいずれも使用でき、好
ましい例としてはゼオライト、バーミキュライト、ガラ
スビーズ、小石、炭粒などを挙げることができる。芯物
質は1種類のみを使用しても2種以上を併用してもよ
く、2種以上を併用する場合は顆粒の製造が円滑に進行
するために嵩比重の差の小さいものを組み合わせて使用
するのが好ましい。
【0013】また本発明では、肥料成分として糟糠類か
ら主としてなる有機質肥料を使用することが必要であ
り、糟糠類としては、小麦や大麦などの麦類のフスマ、
米糠、トウモロコシ外皮(コーンブラン)などを挙げる
ことができ、特に小麦フスマが好ましい。糟糠類から主
としてなる有機質肥料としては、予め発酵させたものを
使用するのがよく、それによって芯物質の周囲を有機質
肥料が包囲した本発明の顆粒状有機質肥料を極めて円滑
に製造することができる。その理由は明確ではないが、
糟糠類中に含まれる澱粉が発酵により分解されてバイン
ダーとしての働きを有するためではないかと推定され
る。
【0014】そして、有機質肥料は、その粒径が芯物質
の粒径以下であることが必要であり、有機質肥料の粒径
が芯物質の粒径よりも大きいと、芯物質の回りに付着し
にくくなり、顆粒の形成が阻害される。その場合に、有
機質肥料の粒子のすべてが芯物質の粒径よりも小さい粒
径を有していることは必ずしも必要ではなく、有機質肥
料を構成する粒子の約50%以上が芯物質の粒径よりも
小さければよい。
【0015】有機質肥料は糟糠類のみからなっていて
も、場合によっては少量(通常有機質肥料の乾物換算で
50重量%以下)の他の有機質肥料を含んでいてもよ
い。また、本発明では、有機質肥料以外に、必要に応じ
て炭類等の発酵助材、硫酸アンモニウムや過リン酸石灰
等のチッソ源、リン源、カリ源、鉄源となる無機質肥料
成分、発酵促進微生物などを使用してもよい。
【0016】本発明で使用する有機質肥料は、糟糠類か
ら主としてなるものであればいずれでもよく、その調製
法などは特に制限されず、いずれの方法で調製されたも
のであってもよい。そして、有機質肥料として予め発酵
させたものを使用する場合は、例えば吸着性好物材料
(ゼオライトやバーミキュライトなど)や炭類(木炭、
クン炭、モミガラ炭、活性炭、骨炭など)の存在下に、
発酵促進微生物を加えてまたは加えずに糟糠類を一段階
でまたは二段階以上で発酵させて得られたものを用いる
と、本発明の目的に一層適った特性を有する顆粒状有機
質肥料を円滑に製造することができる。
【0017】そして、本発明の顆粒状有機質肥料の製造
に当たっては、糟糠類から主としてなる有機質肥料、芯
物質、水および必要に応じて上記したような他の成分な
どを混合した後、その混合物を緩めに撹拌すると湿潤し
た顆粒状物が得られる。その場合に、有機質肥料の水分
含有量、芯物質の種類などによって変わり得るが、芯物
質と有機質肥料を、乾物重量で、芯物質:有機質肥料=
100:30〜60の割合になるように混合するのが顆
粒の形成を円滑に行うために好ましく、100:40〜
50がより好ましい。また、顆粒状肥料の製造時に添加
する水の量は、乾物重量で、有機質肥料:水=100:
80〜120の割合にするのが好ましい。水の量が上記
よりも少ないと、顆粒の形成が円滑に行われにくく、一
方上記よりも多いと有機質肥料が芯物質の周りに付着し
にくくなり、しかも後で乾燥する場合には乾燥に時間が
かかり不経済である。
【0018】上記の混合・撹拌操作は、ミキサー、コン
ベアなどの通常の混合撹拌装置を使用して、約5〜40
℃の温度で約1〜60分間行うのがよい。その際の混合
・撹拌速度は速過ぎないようにするのがよく、顆粒の形
成に適した混合・撹拌速度は、使用する混合・撹拌装置
の種類や規模などに応じて実験を行うことにより決める
ことができる。混合・撹拌速度が速すぎると、生成した
顆粒同士が擦れ合って芯物質の周りに付着した有機質肥
料が剥がれ易くなる。そして、芯物質の周りに有機質肥
料がほぼ均一に付着して、ほぼ均一な顆粒が得られた時
点で混合・撹拌操作を停止するのがよい。
【0019】混合・撹拌操作はバッチ方式で行ってもま
たは連続方式で行ってもよい。また、バッチ式および連
続式のいずれの場合も、混合と撹拌の両方の機能を有す
る一つの装置を用いて混合・撹拌して造粒を行っても、
または混合装置と撹拌装置とを別にしておいてそれら複
数の装置を使用して順に混合および撹拌を行って造粒し
てもよい。特に、芯物質および有機質肥料を含有する原
料に水を均一に散布しながら原料の混合と加水を連続に
行った後に、その加水された原料を連続的に撹拌しなが
ら造粒を行う連続方式を採用した場合には、目的とする
顆粒状有機質肥料を連続して大量に生産することができ
る。
【0020】上記した連続方式を採用する場合に、そこ
で用いる混合・撹拌方法や装置は特に制限されないが、
例えば特公昭61−21693号公報に記載されている
ような粉粒体の混合装置(例えば日清エンジニアリング
社製「スーパーターボ」)を用いて芯物質、有機質肥料
および必要に応じてその他の成分の混合並びに加水を連
続的に行った後に、その混合・加水された原料を撹拌羽
根や撹拌用スクリューなどの撹拌装置を内部に有する連
続式の撹拌装置(アジテーターコンベアーなど)を用い
て連続的に撹拌・造粒すると、原料の混合、原料への加
水および造粒を連続しながら極めて均一に行うことがで
き、その結果、粒径や品質の揃った加水状態の顆粒状有
機質肥料を大量に連続して得ることができ好ましい。そ
の場合に原料への加水は混合装置でのみ行っても、また
は混合装置と撹拌装置の両方で行ってもよい。
【0021】そして、上記したスーパーターボのような
粉粒体の混合装置を使用する場合は、芯物質、有機質肥
料および必要に応じて他の材料が横方向に配置した円筒
状のケーシング内にその一端の供給口から連続的に供給
され、そしてケーシング内の回転軸に取り付けられた分
散羽根、混合羽根および送り羽根によって順次均一に分
散および混合されながらケーシングを取出口に向かって
移動し、それと同時にケーシング内に水が連続的に供給
されてこの水が回転軸に設けた液体分散羽根に当たって
飛散して原料に水が均一分散されて加水が行われ、ケー
シング内で均一に混合・加水された原料は、ケーシング
のもう一方の端部に設けた取出口から連続的に取り出さ
れる。次いで、該混合装置から取り出された加水された
原料は、上記したアジテーターコンベアーなどの連続式
の撹拌装置に供給され、必要に応じて更に加水されなが
ら撹拌・造粒されて撹拌装置から湿潤した顆粒状になっ
て取り出される。
【0022】上記したような混合・撹拌処理によって湿
潤した顆粒状物が生成するが、この顆粒状物は乾燥せず
にそのまま使用してもまたは乾燥して使用してもよい。
特に乾燥した場合には、サラサラとして流動性に富み取
り扱い性に優れ、しかも長期保存が可能な顆粒状有機質
肥料を得ることができるので、乾燥して用いるのが好ま
しい。乾燥は、一般に顆粒の水分含有量が約15重量%
以下になるまで行うのが、得られる顆粒状有機質肥料の
保形性、流動性、保存性、含有する微生物の菌数および
拮抗性維持などの点から好ましい。乾燥は天日乾燥、各
種乾燥機を使用しての乾燥など常法により行うことがで
き、併用した微生物が死滅してしまうような過激な乾燥
を避ける必要がある。
【0023】そして、本発明の顆粒状有機質肥料の製造
に当たっては、その任意の段階で、上記した有機質肥料
や芯物質などの材料と共に、植物病原菌に対して拮抗性
を有する微生物を含有させることができ、それによって
良好な植物病原菌防除作用および植物育成作用を併せも
つ顆粒状有機質肥料を得ることができる。その場合に、
顆粒状有機質肥料に植物病原菌に対して拮抗性を有する
微生物を含有させるに当たっては、例えば、芯物質およ
び/または有機質肥料に予め担持または含有させる、顆
粒状有機質肥料の製造時に混合する、顆粒状有機質肥料
の製造後に混合するなどの方法を採用することができ
る。
【0024】その場合に、植物病原菌に対して拮抗性を
有する微生物としては、ストレプトミセス(Streptomyc
es)属の放線菌、シュードモナス(Pseudomonas)属の
細菌、バシルス(Bacillus)属の細菌などを挙げること
ができる。より具体的には、本発明で用いることのでき
る植物病原菌に対して拮抗性を有するストレプトミセス
属の放線菌の例としてはストレプトミセス・ヘイミ(St
reptomyces heimi)、ストレプトミセス・フラベオラス
(Streptomyces flaveolus)、ストレプトミセス・ミシ
オネンシス(Streptomyces misionensis)、ストレプト
ミセス・ヒューマナス(Streptomyces fumanus)、スト
レプトミセス・アルブラス(Streptomyces albulus)お
よびストレプトミセス・グリセオフスカス(Streptomyc
es griseofuscus)等を挙げることができ、またシュー
ドモナス属の細菌の例としてはシュードモナス・フルオ
レセンス(Pseudomonas fluorescens)、シュードモナ
ス・プチダ(Pseudomonas putida)等を挙げることがで
き、バシルス属の細菌の例としてはバシルス・サーキュ
ランス(Bacillus circulans)、バシルス・ズブチルス
(Bacillus subtilis)等を挙げることができる。これ
らの微生物は単独で使用してもまたは2種以上併用して
もよく、2種以上併用した場合には種々の植物病原菌に
対する防除効果を兼ね備えた顆粒状有機質肥料を得るこ
とができる。
【0025】上記した植物病原菌に対して拮抗性を有す
る微生物は、いずれも既知のものを使用すればよく、市
販のものまたは分譲入手可能なものを使用することがで
き、ストレプトミセス・ヘイミの例としては(財)発酵
研究所(Institute of Fermentation, Osaka:IFO)のI
FO 13048、American Type Culture Collection, USA(A
TCC)のATCC 25460を、ストレプトミセス・フラベオラ
スの例としてはIFO 3408、IFO 3715、IFO 12768、ATCC
3319を、ストレプトミセス・ミシオネンシスの例として
はIFO 13063、ATCC 14991、ATCC 25475を、ストレプト
ミセス・ヒューマナスの例としてはIFO 13042、ATCC 19
904、ATCC 25454を、ストレプトミセス・アルブラスの
例としてはIFO 13410、IFO 14147、ATCC 12757を、スト
レプトミセス・グリセオフスカスの例としてはIFO 1287
0、ATCC 23916を挙げることができ、シュードモナス・
フルオレセンスの例としてはIFO 13922、IFO 14160、
(財)応用微生物学研究奨励会(Institute of Applied
Microbiology, Universityof Tokyo:IAM)のIAM 109
2、IAM 1154を、シュードモナス・プチダの例としてはI
FO 3738、IFO 12653、IF0 12996、IFO 13696、IFO 1416
4、IFO 14796、ATCC8209、ATCC 12633を挙げることがで
きる。
【0026】また、バシルス・サーキュランスの例とし
てはIFO 3329、IFO 3967、IFO 13625〜13640、IAM 114
0、北海道大学農学部農芸化学科菌株保存室(Departmen
t ofAgricultural Chemistry, Faculty of Agricultur
e, Hokkaido Univ.:AHU)のAHU 1363、AHU 1365、AHU
1646、ATCC 4513、ATCC 8384、ATCC 9966、ATCC 1417
5、ATCC 14176を挙げることができ、バシルス・ズブチ
ルスの例としてはIFO 13722、IFO 14117、IFO 14140、I
FO 14144、IFO 14191、IFO 14192、IFO 14357、IFO1441
1〜14419、ATCC 19659等を挙げることができる。
【0027】また、本発明では、植物病原菌に対して拮
抗性を有する微生物を含有させる際に、必要に応じて該
微生物の植物病原菌に対する拮抗性を高める物質を共に
含有させることが好ましく、そのような物質としてはベ
タインや銅フタロシアニンなどを挙げることができる。
植物病原菌に対して拮抗性を有する微生物や該微生物の
植物病原菌に対する拮抗性を高める物質は、本発明の顆
粒状有機質肥料を製造する際の任意の段階で含有させる
ことができ、例えば上記した芯物質に予め担持させてお
いても、有機質肥料中に予め含有させておいても、顆粒
状有機質肥料の製造時に他の成分と同時または逐次に混
合しても、または顆粒状肥料の製造後に混合してもよ
い。それらのうちでも、有機質肥料中に該微生物を予め
含有させ有機質肥料中で増殖させておくのが、該微生物
の植物病原菌に対する防除作用をより有効に発揮させる
ことができ、好ましい。
【0028】植物病原菌に拮抗性を有する微生物や該拮
抗性を高める物質の使用割合は、微生物の種類、顆粒状
有機質肥料に対する微生物の配合時点、得られる顆粒状
有機質肥料の使用目的などの各々の状況に応じて適宜調
節することができる。例えば、有機質肥料に予め植物病
原菌に対して拮抗性を有する微生物を含有させておく場
合は、有機質肥料に対して、微生物を乾燥菌体に換算し
て、約0.05〜0.2重量%の割合で含有させ、水分
含量を35〜50重量%程度に調節して約20〜70℃
の温度に保って該有用微生物を増殖させ、次いでそれを
そのまままたは乾燥して、顆粒状有機質肥料の製造に用
いるのが好ましい。
【0029】本発明により得られる顆粒状有機質肥料
は、悪臭がなく、特に乾燥した場合にはサラサラとして
流動性に富み取り扱い性が極めて良好であり、草花、野
菜、稲、麦、まめ類、樹木、果樹等の種々の植物に対し
て極めて有効である。特に、本発明の顆粒状有機質肥料
は、芝草用の肥料として適しており、そのうちでも上記
した芝地のコアリング作業、サッチング作業、バーチカ
ル作業等の後に目砂代わりに使用するのに特に適してい
る。その際には、目砂と併用してもよく、芝地に開けた
コアに簡単に且つ円滑に充填することができ、それによ
って濃度障害を生ずることなく、芝草の育成、更には病
原菌の防除を行うことができる。
【0030】本発明で製造した顆粒状有機質肥料は、そ
のまま単独で有機質肥料として用いても、または必要に
応じて他の肥料成分などと併用して、芝草やその他の植
物の肥料に使用することができる。特に、芯物質および
糟糠類から主としてなる有機質肥料と共に植物病原菌に
対して拮抗性を有する有用微生物を併用して得られた本
発明の顆粒状有機質肥料は、顆粒状有機質肥料中で該有
用微生物が長期に亙って良好に生存し続けて、植物病原
菌に対する良好な拮抗作用を長期間維持することができ
る。
【0031】
【実施例】以下に本発明を実施例などにより具体的に説
明するが本発明はそれにより限定されない。比較例に実
施例および比較例において、顆粒状有機質肥料の製造に
用いたフスマ堆肥の粒径の測定、芯物質(ゼオライト)
の粒径の調整、得られた顆粒状有機質肥料の粒径の測
定、得られた顆粒状有機質肥料の嵩比重の測定並びに流
動性および保形性の評価は次のようにして行った。ま
た、以下の例中における%は重量%を表す。
【0032】フスマ堆肥の粒径の測定:目開き0.21
mm、0.50mm、0.71mmおよび2.0mmの
篩を用いて篩分けし、目開き0.21mmスルー、0.
21〜0.50mm、0.50〜0.71mmおよび
0.71〜2.0mmの各画分の重量を測定した。な
お、目開き2.0mmオーバー画分は除去した。
【0033】芯物質(ゼオライト)の粒径の調整:芯物
質を所定の目開きを有する篩(A篩)とそれよりも大き
な目開きを有する篩(B篩)を用いて分級し、B篩を通
過し且つA篩上に残留する芯物質を用いた。
【0034】顆粒状有機質肥料の粒径の測定:フスマ堆
肥の粒径の測定と同様にして測定した。
【0035】顆粒状有機質肥料の流動性の評価:ゴルフ
場のベントグリーンに常法によりコアリングを行い、こ
れに実施例または比較例の各顆粒状有機質肥料を散布
し、ブラシによるすり込みを行った時の、各顆粒状有機
質肥料のコア内への落下の程度およびグリーン上への残
存の程度を下記の表1の評価基準に従って観察して評価
した。
【0036】
【表1】 顆粒状有機質肥料の流動性の評価基準 ○・・すり込みによりほぼ全量が効率よくコア内に落下
する △・・すり込みによりほぼ半分程度がコア内に落下する ×・・すり込んでもほとんどコア内に入らない
【0037】顆粒状有機質肥料の保形性の評価:実施例
または比較例の各顆粒状有機質肥料30mlを50ml
容のファルコン製コニカルチューブに入れ、シェーカー
(ヤマト科学社製;SA−31)で水平振とうを30分
間行った後、目開き0.15mmの金網篩で30秒間篩
った時の状態を下記の表2の評価基準に従って観察し評
価した。
【0038】
【表2】 顆粒状有機質肥料の保形性の評価基準 ○・・篩を通過する微粉がほとんどなく、粉塵が立たな
い △・・篩を通過する微粉が少しあり、粉塵が少し立つ ×・・篩を通過する微粉がかなりあり、粉塵もかなり立
【0039】
【実施例】
《実施例 1》 (1) 市販の小麦フスマ50kgに市販のバーミキュ
ライト25kgおよび水45リットルを混合し、途中数
回切り返しを行いながら20〜60℃で14日間発酵さ
せて、下記の表3に示す粒径(粒径分布)を有するフス
マ堆肥を製造した。
【0040】
【表3】 フスマ堆肥の粒径 0.21mmスルー 8.9% 0.21〜0.50mm 34.0% 0.50〜0.71mm 17.0% 0.71〜2.0mm 40.1%
【0041】(2) 上記(1)で製造したフスマ堆肥
4kgに、粒径が0.3〜0.8mmの範囲にあるゼオラ
イト(日東粉化工業株式会社製)8kgを加え(乾物重
量でフスマ堆肥:ゼオライト=42.5:100)、ミ
キサーに入れて混合した後、水4リットルを加えて低速
で常温で約30分間混合・撹拌したところ、湿潤した顆
粒状物が得られたので、これを水分含量15%にまで乾
燥して本発明の顆粒状有機質肥料を得た。 (3) 上記で得られた顆粒状有機質肥料の粒径および
嵩比重を測定すると共に、流動性および保形性を上記し
た方法で評価したところ、下記の表4に示すとおりの結
果を得た。
【0042】《実施例 2》上記した実施例1の工程
(2)において、粒径0.8〜1.7mmのゼオライト
を用いた以外は実施例1と同様にして本発明の顆粒状有
機質肥料を得た。この顆粒状有機質肥料の粒径、嵩比
重、流動性および保形性を実施例1と同様にして測定ま
たは評価したところ、下記の表4に示すとおりの結果を
得た。
【0043】《比較例 1》上記した実施例1の工程
(2)において、ゼオライトを混合せずに水のみを混合
した以外は実施例1と同様にして顆粒状有機質肥料の製
造を行った。得られた顆粒状有機質肥料の粒径、嵩比
重、流動性および保形性を実施例1と同様にして測定ま
たは評価したところ、下記の表4に示すとおりであっ
た。
【0044】《比較例 2》上記した実施例1の工程
(2)において、粒径0.1〜0.25mmのゼオライ
トを用いた以外は実施例1と同様にして顆粒状有機質肥
料を製造した。この顆粒状有機質肥料の粒径、嵩比重、
流動性および保形性を実施例1と同様にして測定または
評価したところ、下記の表4に示すとおりの結果を得
た。
【0045】《比較例 3》上記した実施例1の工程
(2)において、粒径3.5〜6mmのゼオライトを用
いた以外は実施例1と同様にして顆粒状有機質肥料を製
造した。この顆粒状有機質肥料の粒径、嵩比重、流動性
および保形性を実施例1と同様にして測定または評価し
たところ、下記の表4に示すとおりの結果を得た。
【0046】
【表4】
【0047】上記表4の結果から、粒径が0.3〜2.
0mmの範囲にある芯物質(ゼオライト)に平均粒径が
それ以下の小麦フスマから主としてなる有機質肥料およ
び水を混合し撹拌して顆粒状有機質肥料を製造している
実施例1〜2の場合は、その粒径が川砂にほぼ近く且つ
ほぼ揃っており、しかも流動性および保形性に優れた顆
粒状有機質肥料が得られることがわかる。それに対し
て、芯物質を用いない比較例1で得られる顆粒状有機質
肥料は、粒径が0.01〜2.0mmに分布し不揃いで
あり、嵩比重も川砂に比べて大幅に低く、しかも流動性
および保形性に劣っていること、また芯物質の粒径が
0.3〜2.0mmの範囲から外れた芯物質を用いた比
較例2〜3の場合は、流動性および保形性の両方または
一方に劣っており、特に比較例3では顆粒状有機質肥料
の粒径が著しく大きなものになってしまうことがわか
る。
【0048】《実施例 3》実施例1の(1)で製造し
たのと同じフスマ堆肥を330kg/hrの割合で、ま
た実施例1の(2)で用いたのと同じ粒径が0.3〜0.
8mmの範囲にあるゼオライトを666kg/hrの割
合で(乾物重量でゼオライト:フスマ堆肥=100:4
2.5)、粉粒体の連続式混合装置[日清エンジニアリ
ング(株)製「スーパーターボST−10」;羽根回転
数360rpm)の投入口に同時すると共に、スーパー
ターボの投入口付近から水を384リットル/hrの割
合でケーシング内に供給して材料に散布して、混合と加
水を均一に行わせながら取出口側に向かって連続的に移
送して、混合・加水された材料を取出口から排出させ
た。それを連続式撹拌装置[岡田工業(株)製「アジテ
ータコンベアー」;羽根回転数19.5rpm]に連続
的に供給し、更に144リットル/hrの割合で加水し
ながら撹拌を行って造粒し、湿潤した顆粒状物を得た。
これを水分含量15%にまで乾燥して本発明の顆粒状有
機質肥料を製造した。その結果得られた顆粒状有機質肥
料は、粒径0.3〜1.0mmおよび嵩比重0.8であ
った。また、得られた顆粒状有機質肥料の流動性および
保形性を上記した方法で評価したところ、いずれも良好
(○の評価)であった。
【0049】《実施例 4》 (1) 小麦フスマ(アラビノキシラン含量30%)5
0kg、市販のバーミキュライト20kgおよびゼオラ
イト5kgを大型ミキサーを使用して均一に混合した
後、水を40kg加えて加熱蒸気により滅菌処理した。
滅菌処理後の混合物の水分含量は約45%であった。こ
の混合物に、アスペルギルス・オリゼー菌(IFO 30105)
の乾燥菌体70gを加えて均一に混合した後、雰囲気温
度を27℃に調整して好気的条件下に途中で2回切り返
しを行って72時間一次発酵させた。この一次発酵生成
物のpHを測定したところ、5.1であったので、消石
灰1kgを添加してpHを6.5に調整した。なお、p
Hの測定は土壌pH測定装置(藤原製作所製「PHS−
33型」)を使用した。
【0050】(2) 上記(1)で得られたpHを6.
5に調整した一次発酵生成物の全量に対して、ストレプ
トミセス・フラベオラス菌(IFO 12768)、シュードモ
ナス・プチダ菌(IFO 3788)およびバシルス・スブチル
ス菌(IFO 13722)をそれぞれ70gずつ加えて均一に
混合した後、雰囲気温度を25℃に調整し、水分含量を
40%に保ちながら、24時間ごとに切り返しを行って
好気的条件下に96時間二次発酵させ、二次発酵終了後
に乾燥を行って水分含量を15%にして乾燥してフスマ
堆肥(有機質肥料)を得た。なお、この二次発酵中、発
酵物のpHを上記したpH測定装置により連続して測定
し、pHが9を超えた時点でリン酸一ナトリウム1kg
を添加してpHを8まで低下させた。ここで得られた有
機質肥料(フスマ堆肥)の粒径は、下記の表5に示すと
おりであった。
【0051】
【表5】 フスマ堆肥の粒径 0.21mmスルー 9.8% 0.21〜0.50mm 31.7% 0.50〜0.71mm 17.5% 0.71〜2.0mm 41.0%
【0052】(3) 上記(2)で得られた有機質肥料
(フスマ堆肥)4kgを加熱蒸気により滅菌し、冷却し
た後、ストレプトミセス・フラベオラス菌(IFO 1276
8)、シュードモナス・プチダ菌(IFO 3788)およびバ
シルス・スブチルス菌(IFO 13722)をそれぞれ4gず
つと水2kgを加えて均一に混合した。混合後、雰囲気
温度を28℃に調整して、好気的条件下に72時間保っ
て、菌類の増殖を行わせて、植物病原菌に対して拮抗性
を有する有用微生物を含有する有機質肥料(水分含量=
約40%)を得た。
【0053】(4) 上記(3)で得られた有用微生物
を含有する有機質肥料5kgに、粒径が0.3〜0.8
mmの範囲にあるゼオライト(日東粉化工業株式会社
製)7kgを加えて、ミキサーに入れて均一に混合した
後、更に水4kgを加えて、低速で常温下に約30分間
混合・撹拌したところ、湿潤した顆粒状生成物が得られ
たので、これを水分含量15%にまで乾燥して、植物病
原菌に対して拮抗性を有する微生物を含む本発明の顆粒
状有機質肥料を得た。この結果得られた顆粒状有機質肥
料は、粒径0.3〜1.1mmおよび嵩比重0.8であ
り、更にその流動性および保形性を上記した方法で評価
したところ、いずれも良好(○の評価)であった。
【0054】《実施例 5》[芝草生育試験] (1) プラスチック容器(縦×横×高さ=6cm×6
cm×10cm)の各々に、黒土200gと実施例4の
(4)で得られた本発明の顆粒状有機質肥料10gの混
合物を入れて表面を平坦にならし、その土壌表面にベン
ト芝の種子2cm3を蒔いて、1カ月間25℃で芝草を
生育させた(試験区)。 (2) 顆粒状有機質肥料を用いずに、黒土のみをプラ
スチック容器に入れて、上記(1)の試験区と同様にし
て芝草を生育させた(対照区1)。 (3) 顆粒状有機質肥料の代わりに、市販の化成肥料
(チッソ:リン:カリ=8%:8%:8%)を窒素量が
試験区と同じになるように黒土に混ぜて、上記(1)の
試験区と同様にして芝草を生育させた(対照区2)。
【0055】(4) 芝草病原菌として、ピシウム・ア
ファニデルマータム、リゾクトニア・ソラニ、スクレロ
チニア・ホモエオカルパ、ゴイマノマイセス・グラミニ
コーラおよびコレトトリカム・グラミニスの5菌株のそ
れぞれを、ツァペック・ドックス培地(NaNO3 3g,K2H
PO4 1g, KCl 0.5g, FeSO4・7H2O 0.01g, シュークロ
ース30g,MgSO4・7H2O 0.5g, イーストエキス1g/純
水1リットル)を用いて9日間培養した後、凍結乾燥し
て乾燥した芝草病原菌を調製した。 (5) 上記(4)で調製した乾燥芝草病原菌のそれぞ
れを黒土に5%の割合で混合して芝草病原菌/土壌混合
物をつくり、この混合物1gを、上記(1)〜(3)の
試験区、対照区1および対照区2の芝草のそれぞれに対
して種蒔後6日目に芝草の表面に施して、芝草の生育状
態を観察して評価を行った。その際の芝草の生育状態の
評価は、上記の芝草病原菌/土壌混合物を芝草に施して
1週間後に、下記表6に示した評価基準にしたがって行
った。その結果を下記の表7に示す。
【0056】
【表6】 [芝草の生育状態の評価基準] 評点: 芝 草 の 生 育 状 態 5 : 芝草の葉部が鮮やかな緑色を呈し、健全で病斑がない 4 : 芝草の葉部にやや病斑がみられ、2〜3割が枯れている 3 : 芝草のほとんどの葉部に病斑がみられ、約5割が枯れている 2 : 芝草の葉部にわずかに緑色が残っているが7〜8割が枯れている 1 : 芝草が全て枯れている
【0057】
【表7】 芝草の生育状態 試験区 対照区1 対照区2 芝草病原菌の種類: P・アファニデルマータム 5 2 2 R・ソラニ 3 1 1 S・ホモエオカルパ 5 2 3 G・グラミニコーラ 3 2 2 C・グラミニス 4 3 2
【0058】上記表7の結果から、植物病原菌に対して
拮抗性を有する微生物を含む本発明の顆粒状有機質肥料
(試験区)は、上記した5種類の芝草病原菌のすべてに
対して、対照区1および対照区2と比較して、芝草病原
菌の防除効果が高く優れており、特にピシウム・アファ
ニデルマータムおよびスクレロチニア・ホモエオカルパ
に対しては極めて高い防除効果があることがわかる。
【0059】《実施例 6》[フェアリーリング(芝草
病害)に対する発病抑制効果試験] (1) ベント芝100m2に、実施例4の(4)で得
られた本発明の顆粒状有機質肥料を30日ごとに200
g/m2(窒素量3.5g/m2)の割合で散布した(試
験区)。 (2) 顆粒状有機質肥料の代わりに、市販の化成肥料
(チッソ:リン:カリ=8%:8%:8%)を窒素量が
試験区と同じになるように30日ごとに散布した(対照
区)。 (3) 上記(1)の試験区および(2)の対照区の芝
草100m2に自然発生したフェアリーリング病斑(は
っきりとした円形病斑)を、施肥開始時、30日後、6
0日後、90日後および120日後に肉眼で観察して病
斑の箇所数を数えたところ、下記の表8に示すとおりで
あった。 なお、対照区では、施肥開始90日後にフェアリーリン
グ病斑が13箇所に発生したので、そのうちの7箇所に
対して実施例4の(4)で得られた本発明の顆粒状有機
質肥料を300g/m2の割合で散布し、残りの6箇所
に対してはそのまま化成肥料を上記(2)と同様にして
散布したところ、下記の表8に示すように、本発明の顆
粒状有機質肥料を散布した部分では、7箇所のフェアリ
ーリング病斑のうち5箇所は消失したのに対して、化成
肥料を散布した部分では6箇所のフェアリーリング病斑
のうち1箇所しか消失しなかった。
【0060】
【表8】 フェアリーリング病斑数(箇所) 施肥開始時 30日後 60日後 90日後 120日後 試験区 0 0 1 1 0 対照区 0 2 11 13 (A)(7箇所) 2 (B)(6箇所) 5 A:実施例4の(4)で得られた本発明の顆粒状有機質肥
料を散布 B:化成肥料を散布
【0061】上記表8の結果から、植物病原菌に対して
拮抗性を有する微生物を含む本発明の顆粒状有機質肥料
を散布した試験区では、フェアリーリングの発生が殆ど
なく、本発明の顆粒状有機質肥料を定期的に散布するこ
とにより芝草病害であるフェアリーリングの発生を効果
的に予防できること、更にフェアリーリングが発生した
場合にも本発明の顆粒状有機質肥料を散布することによ
ってフェアリーリングを消失させて芝草のフェアリーリ
ングからの回復をはかることができることがわかる。
【0062】《実施例 7》[カーブラリア性葉枯れ病
に対する発病抑制効果試験] (1) コーライ芝100m2に、実施例4の(4)で
得られた本発明の顆粒状有機質肥料を30日ごとに20
0g/m2(窒素量3.5g/m2)の割合で散布した
(試験区)。 (2) 顆粒状有機質肥料の代わりに、市販の化成肥料
(チッソ:リン:カリ=8%:8%:8%)を窒素量が
試験区と同じになるように30日ごとに散布した(対照
区)。 (3) 上記(1)の試験区および(2)の対照区の芝
草100m2に自然発生したカーブラリア性葉枯れ病の
発病状況を施肥開始時、30日後、60日後および90
日後に肉眼で観察して、下記の表9に示す評価基準にし
たがって評価した。その結果を下記の表10に示す。
【0063】
【表9】 [カーブラリア性葉枯れ病の発病状況の評価基準] 評点: 発 病 状 態 4 : 発病全くなし 3 : 芝草の葉部にわずかに(葉部の1割未満)病斑がみられる 2 : 芝草の葉部の1割以上2割未満に病斑がみられる 1 : 芝草の葉部の2割以上に病斑がみられる
【0064】
【表10】 カーブラリア性葉枯れ病の発病状況 施肥開始時 30日後 60日後 90日後 試験区 4 3 3 4 対照区 4 2 1 1
【0065】上記表10の結果から、植物病原菌に対し
て拮抗性を有する微生物を含む本発明の顆粒状有機質肥
料を散布した試験区では、カーブラリア性葉枯れ病の発
生が殆どなく、本発明の顆粒状有機質肥料を定期的に散
布することにより芝草病害であるカーブラリア性葉枯れ
病を効果的に予防できることがわかる。
【0066】
【発明の効果】本発明による場合は、水溶性接着剤など
の余分な成分を使用しないで、粒径や嵩比重の揃った顆
粒状有機質肥料を極めて簡単な工程で円滑に、効率よく
製造することができる。特に本発明の方法を連続式の混
合・撹拌装置を用いて行った場合には、目的とする顆粒
状有機質肥料を効率よく大量に生産することができる。
そして、本発明の方法により得られる顆粒状有機質肥料
は、適度の比重と粒径を有していて流動性に富み、しか
も保形性が良好で粉塵が立ちにくくて取扱性に優れてい
る。
【0067】また、本発明の顆粒状有機質肥料は、悪臭
のない糟糠類を主原料としていることにより、糞尿など
を原料とする従来の有機質肥料と異なり、公園、ゴルフ
場、遊園地などの遊戯施設や植木や草花の肥料として有
効に使用することができる。特に、その優れた流動性、
川砂などに類似した粒径によって、本発明の顆粒状有機
質肥料は、ゴルフ場などの芝地に対して行われる芝草の
更新活性化作業(エアレーション)において使用するの
に適しており、目砂などと併用して、芝地に開けたコア
に良好に充填することができ、芝草の育成に極めて有効
である。
【0068】そして、本発明の顆粒状有機質肥料におい
て、更に植物病原菌に対して拮抗性を有する微生物を含
有させた場合には、上記した種々の優れた特性と共に、
植物病原菌に対する高い防除効果を奏することができ、
植物の病気を予防および/または治癒して、植物の育成
を一層良好なものにすることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡山 直生 茨城県つくば市大久保13番地 日清製粉 株式会社 つくば研究所内 (72)発明者 藤沢 茂実 埼玉県入間郡大井町鶴ケ岡5丁目3番1 号 日清製粉株式会社 生産技術研究所 内 (72)発明者 岡田 憲三 茨城県つくば市大久保13番地 日清製粉 株式会社 つくば研究所内 (56)参考文献 特開 昭59−107994(JP,A) 特開 平4−65379(JP,A) 特開 昭62−128993(JP,A) 特開 平2−172883(JP,A) 特開 平6−48877(JP,A) 実開 昭64−45140(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C05B 1/00 - C05G 5/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粒径0.3〜2.0mmの肥料成分を含ま
    ない芯物質、芯物質の粒径以下の糟糠類から主としてな
    る有機質肥料および水を混合・撹拌して粒状物とするこ
    とを特徴とする顆粒状有機質肥料の製造方法。
  2. 【請求項2】 芯物質:有機質肥料の配合割合を、重量
    で100:30〜60とする請求項1の製造方法。
  3. 【請求項3】 植物病原菌に対して拮抗性を有する微生
    物を任意の段階で更に含有させることからなる請求項1
    または2の製造方法。
  4. 【請求項4】 粒径0.3〜2.0mmの肥料成分を含ま
    ない芯物質の表面に芯物質の粒径以下の糟糠類から主と
    してなる有機質肥料が付着してなることを特徴とする
    粒状有機質肥料。
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