JP3405642B2 - 生タイヤの搬送用パレット及びそれを使用したタイヤの製造方法 - Google Patents
生タイヤの搬送用パレット及びそれを使用したタイヤの製造方法Info
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Description
トに載置されて加硫工程に搬入されるまでの間、トレッ
ド外周面の真円度が経時的に低下するのを防止でき、完
成されたタイヤの品質を高めうる生タイヤの搬送用パレ
ット及びそれを使用したタイヤの製造方法に関する。
ヤが、加硫工程に搬入されるまでの保管、搬送途中にお
いて、タイヤの経時的な変形が生じやすい。特にトレッ
ド外周面に生じる外径歪は、加硫成形した後の完成タイ
ヤにおいても残留し、トレッド外周面の半径方向の振
れ、いわゆるラジアルランアウト(以下RROという)
が増大する。その結果、走行時におけるタイヤ振動が増
し、又トレッド外周面に偏摩耗が生じがちとなる。
従来、占有面積を出来るだけ少なくすることを前提とし
て、図6(A)、(B)に示す如く、生タイヤaを、ト
レッド外周面tに沿う受面bを有する三日月状のパレッ
トp1を用いて縦置きしていた。
(A)、(B)に示すように、生タイヤaを縦置きした
場合には、環状をなす生タイヤaの自重によって、生タ
イヤaの全体が経時的に変形する。特に、縦置き状態に
おいて下方側に位置するサイドウォール部が、上方側と
なるサイドウォール部に比べて変形が極めて大きくなる
ことによって、トレッド外周面tにおける半径差(r1
−r2)が増し、RROが著しく悪化する。
けてビード部の外側面dを皿状のパレットp2で受ける
横置きする方法もある。発明者は、生タイヤを縦置き及
び横置きで放置した時間と、放置後に加硫した完成タイ
ヤのRROとの関連を調査したところ、図4のグラフに
示す如く、横置きで放置したタイヤは、縦置きで放置し
たタイヤに比べてRROが小で有りかつその変化量が少
なく、ユニフォミティーに優れることが確認された。な
お図中、経過時間とは生タイヤの成形から加硫投入まで
の時間をいう。
ムサイズを15インチ以上とした大型タイヤ、又は重量
が重いタイヤにおいては、横置き状態において下方側と
なるサイドウォール部sdの変形と、上方側となるサイ
ドウォール部suの変形との差が大きくなる。その結
果、RRO及びその変化を充分に低減させることが出来
ず、完成タイヤの振動の抑制、偏摩耗の発生を充分に防
止するには至っていない。
するパレットにおける生タイヤへの保持位置に着目し、
ビード部の外側面を保持するのに比して、トレッド部の
外周面に近いサイドウォール部の外側面を保持すること
が、RROを減じるのに効果的であり好ましいことを見
出し、本発明を完成させたのである。
囲に、生タイヤのサイドウォール部の外側面を支持する
載置部を設けることを基本として、生タイヤの保管、搬
送時に発生するタイヤの経時的な変形を効果的に抑制で
き、完成タイヤのRROを改善して走行時におけるタイ
ヤ振動を抑制するとともに、偏摩耗の発生防止を図りう
る生タイヤの搬送用パレットの提供を目的としている。
を用いて、生タイヤ成形工程と加硫工程との間で生タイ
ヤを保管又は搬送を行うことを基本として、完成タイヤ
のタイヤ振動を抑制するとともに偏摩耗の発生防止を図
りうるタイヤの製造方法の提供を目的としている。
に、本願の第1の発明は、略円筒状のトレッド部の外周
面、ビードコアを内部に収容したビード部の外側面、及
び前記トレッド部の外周面とビード部の外側面とを継ぐ
とともにタイヤ軸心と直角な面に対する傾き角度が変化
するサイドウォール部の外側面からなるタイヤ外面を有
する生タイヤを受ける生タイヤの搬送用パレットであっ
て、円形の底板部の周囲に、この底板部に向かって下に
かつタイヤ軸心に対して直角となる前記底板部に対して
傾き角度αで傾くコーン状の第1の受面部と、この第1
の受面部の外縁に連なりかつ前記傾き角度αよりも小さ
い傾き角度βで傾くコーン状の第2の受面部とを有し、
前記生タイヤのサイドウォール部の外側面を支持する載
置部を形成したことを特徴とする生タイヤの搬送用パレ
ットである。
外縁と前記載置部の内縁との間に、前記第1の受面部の
傾き角度αよりも大きい傾斜角度γで立上がり、前記ビ
ード部の外側面と前記底板部との間に空隙を生じさせる
立壁部を介在させたことを特徴としている。
イヤの搬送用パレットを用いるとともに、第1の発明の
生タイヤを成形する成形工程と、この生タイヤを加硫す
る加硫工程とを含むタイヤの製造方法であって、前記生
タイヤは、略円筒状のトレッド部の外周面、ビードコア
を内部に収容したビード部の外側面、及び前記トレッド
部の外周面とビード部の外側面とを継ぐとともにタイヤ
軸心と直角な面に対する傾き角度が変化するサイドウォ
ール部の外側面からなるタイヤ外面を具えるとともに、
前記成形工程と加硫工程との間に、前記生タイヤのサ
イドウオール部の外側面を支持する載置部を有する搬送
パレットを用いて前記生タイヤを保管又は搬送する工程
を有することを特徴としている。
図面に基づき説明する。なお第1の発明の生タイヤの搬
送用パレット1(以下パレット1という)は、成形工程
によって粗成形された生タイヤ2を載置し、加硫工程に
搬入されるまでの間の生タイヤ2の保管又は搬送を行う
ために用いられる。
円筒状のトレッド部3の外周面3S(以下トレッド面3
Sという)、ビードコア4を内部に収容したビード部5
の外側面5S(以下ビード面5Sという)、及び前記ト
レッド面3Sとビード面5Sとを継ぐサイドウオール部
6の外側面6S(以下サイドウオール面6Sという)か
らなるタイヤ外面7を具える。又前記生タイヤ2は、前
記ビード部5、5間に架け渡されるカーカス(図示しな
い)、及びこのカーカスの半径方向外側かつトレッド部
3内方に配されるベルト層(図示しない)等を含むコー
ド補強層を有し、加硫成形によって、適用リムサイズを
15インチ以上とした大型の空気入りタイヤに形成され
る。
な面Lと略平行に配されるとともに、前記トレッド面3
Sは、前記タイヤ軸心Hを中心とした円筒状体の外周面
として形成される。
前記ビード面5Sからタイヤ軸方向内方に向かって傾斜
してのびるサイドウォール本体面部6S1と、このサイ
ドウォール本体面部6S1に滑らかに連なるとともに前
記トレッド面3Sとは直角に略近い角度で交わるバット
レス面部6S2とによって形成される。なお本例では、
前記サイドウォール本体面部6S1及びバットレス面部
6S2は、パレット1への載置前においても、互いに傾
斜角度が異なる略直線状に形成されているが、サイドウ
ォール面6S全体を、傾斜角度を連続的に増加させてな
る弧状曲線で形成することもできる。又この弧状曲線の
一部に、傾斜角度を略一定とした直線部分を介在させる
こともできる。
と略平行な円形の底板部11と、この底板部11の周囲
に設けられかつ前記サイドウオール面6Sを載置して支
持する載置部12とを具え、前記載置部12は、前記底
板部11に向かって下方にかつ前記面Lに対して略一定
の傾き角度αで傾くコーン状の第1の受面部13と、こ
の第1の受面部13の上縁に連なりかつ前記傾き角度α
よりも小さい略一定の傾き角度βで傾くコーン状の第2
の受面部14とを有する。
下縁12aとの間に、前記第1の受面部13の前記傾き
角度αよりも大きい傾斜角度γで底板部11の外縁から
立上がる小高さの立壁部15を介在させている。
と載置部12と立壁部15とを一体とした浅底皿状に形
成され、例えば、スチールなどの金属板のプレス加工、
金属材の鋳造、さらには合成樹脂材の一体成形等の種々
の手段によって形成される。
立壁部15の傾斜角度γは、3者の角度関係が、β<α
<γ の条件を充足しうるならば生タイヤ1の形状、及
びサイズに応じて適宜選択、設定することが出来る。
イヤ成形工程と加硫工程との間に、前記パレット1を用
いて生タイヤ2を保管又は搬送を行うものである。この
時、生タイヤ成形工程及び加硫工程には、従来のものが
採用できる。
パレット1の半径方向中心軸と生タイヤ2のタイヤ軸心
Hとを合わせて該生タイヤ2をパレット1に載置する。
この時、ビード面5と底板部11との間に空隙Gが生じ
ることによって、本例では、前記サイドウォール本体面
部6S1が、パレット1の前記第1の受面部13に当接
し、生タイヤ2の全重量が前記サイドウォール本体面部
6S1で支承される。従って、トレッド面3Sの、支承
位置からの半径方向及び高さ方向のはみ出し量が、図7
に示すようなビード面で支承する従来のパレットに比べ
て大巾に減じられる。しかもサイドウォール面6Sが、
この面6Sに近似する側の受け面部、本例では第1の受
面部13に先に接して支持されるため、サイドウォール
面6Sの変形自体も小さくかつその経時変化も防止され
る。これによって、加硫後の完成タイヤにおいてもRR
Oが改善され、振動の発生が少なく又偏摩耗の発生が抑
制された高品質のタイヤを提供することが出来る。
4にサイドウォール面6Sのバットレス面部6S2を当
接させて生タイヤ2を保持することが出来る。
生タイヤに対しては、図3に示す如く、サイドウオール
面6Sの全面と、ビード面5Sとを第1、第2の受面部
13、14が協同して支承させることも出来る。
生タイヤ2を載置した場合において、ビード面5Sと底
板部11との間に空隙Gが形成され、これによって生タ
イヤ2をサイドウォール面6Sにて確実に支承でき、安
定性の高い生タイヤ2の載置が可能となる。
2、13がともに傾き角度α、βを有して形成されてい
るため、サイドウオール面6Sが、この面6Sに近似す
る側の受面部12又は受面部13に先に接して支持され
る。これによってサイドウォール面6Sの変形自体も抑
制される。又傾き角度α、βを違えているため、載置可
能なタイヤの径寸法、即ちタイヤサイズに対して汎用性
を持たすことができ、複数種類又は複数サイズの生タイ
ヤを1つのパレットで兼用することも可能となる。
は、下記サイズの大型タイヤに対して、より大きい効果
を発揮できる。 タイヤサイズ リムサイズが15インチ以上24.5インチ以下 生タイヤの巾(W) 最大600mm 生タイヤの外径(D) 880mm〜1200mm なお、生タイヤの巾(W)は図5(C)に示す如く、上
を向くビード部5を4個の爪金具21を用いて吊り上
げ、1時間放置したときの寸法である。
るパレット1の好ましい主要寸法を表1に示す。表1
中、Aは第1の受面部13の内径、Bは第1の受面部1
3の外径、Cは第2の受面部14の外径、eは第2の受
面部14の高さ、fは第1の受面部13の高さ、gは立
壁部15の高さを示す。
設定について:生タイヤを横置きするに際して、RRO
の変化が最も少なくなるパレットの形状についてそれぞ
れ最適の形状及び関係寸法を見出すべく試作しかつ選定
を行った。テストに用いた生タイヤは何れも図5(A)
及び(B)に示す如く同一寸法でありパレットの寸法を
変えて性能確認を行った。
なるパレットの形状及びその傾き角度を図5(A)及び
表2に、又ストック量を考慮しつつ生タイヤRROの変
化を抑制したパレットの形状及びその傾き角度を図5
(B)及び表2にそれぞれ示す。
Oの変化の確認:図5(A)に示す形状、寸法を有する
タイヤについて、図5(A)に示す形状、寸法からなる
本願構成に係るパレット(実施例)を試作し完成タイヤ
におけるRROの変化を調査した。なお同一寸法の生タ
イヤを用いて従来の縦置きのパレット(比較例1)及び
横置きのパレット(比較例2)に載置した場合の前記R
ROの変化も併せて調査した。実施例、比較例ともにタ
イヤ5本の平均値で表示している。テスト結果を表3に
示す。
に比しRROの変化が少ないことが確認できた。従っ
て、傾き角度αは35.5〜40.6度の範囲が好まし
く、傾き角度βは0〜16.0度の角度が好ましく、又
傾斜角度γは略90度とするのが好ましい。
成を具えることにより、生タイヤの経時的な寸法変動を
抑制でき、後の加硫工程を経て完成されたタイヤにおい
て振動の発生を抑制でき、かつ偏摩耗の発生を抑制しう
るなど品質を高めることが出来る。又生タイヤのサイド
ウォール面を保持する構成であるため、サイズが異なる
複数種類の生タイヤに対してパレットの共用化を図りう
るなどパレットの管理を簡素化しうる。
例を示す断面図である。
面図である。
Oとの関係を示すグラフである。
ともに示す断面図であり、(C)はその測定方法を例示
する斜視図である。
あり、(B)はその断面図である。
Claims (2)
- 【請求項1】略円筒状のトレッド部の外周面、ビードコ
アを内部に収容したビード部の外側面、及び前記トレッ
ド部の外周面とビード部の外側面とを継ぐとともにタイ
ヤ軸心と直角な面に対する傾き角度が変化するサイドウ
ォール部の外側面からなるタイヤ外面を有する生タイヤ
を受ける生タイヤの搬送用パレットであって、 円形の底板部の周囲に、この底板部に向かって下にかつ
タイヤ軸心に対して直角となる前記底板部に対して傾き
角度αで傾くコーン状の第1の受面部と、この第1の受
面部の外縁に連なりかつ前記傾き角度αよりも小さい傾
き角度βで傾くコーン状の第2の受面部とを有し、前記
生タイヤのサイドウォール部の外側面を支持する載置部
を形成するとともに、前記底板部の外縁と前記載置部の
内縁との間に、前記第1の受面部の傾き角度αよりも大
きい傾斜角度γで立上がり、前記ビード部の外側面と前
記底板部との間に空隙を生じさせる立壁部を介在させた
ことを特徴とする生タイヤの搬送用パレット。 - 【請求項2】請求項1記載の生タイヤの搬送用パレット
を用いるとともに、生タイヤを成形する成形工程と、こ
の生タイヤを加硫する加硫工程とを含むタイヤの製造方
法であって、 前記生タイヤは、略円筒状のトレッド部の外周面、ビー
ドコアを内部に収容したビード部の外側面、及び前記ト
レッド部の外周面とビード部の外側面とを継ぐとともに
タイヤ軸心と直角な面に対する傾き角度が変化するサイ
ドウォール部の外側面からなるタイヤ外面を具えるとと
もに、前記成形工程と加硫工程との間に、前記生タイヤ
のサイドウオール部の外側面を支持する載置部を有する
前記搬送パレットを用いて前記生タイヤを保管又は搬送
する工程を有することを特徴とするタイヤの製造方法。
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