JP3402603B2 - 単結晶製品を製造するための改善された低角粒界耐性を有するニッケル基―超合金 - Google Patents

単結晶製品を製造するための改善された低角粒界耐性を有するニッケル基―超合金

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JP3402603B2 JP80001689A JP80001689A JP3402603B2 JP 3402603 B2 JP3402603 B2 JP 3402603B2 JP 80001689 A JP80001689 A JP 80001689A JP 80001689 A JP80001689 A JP 80001689A JP 3402603 B2 JP3402603 B2 JP 3402603B2
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Description

【発明の詳細な説明】 ここに開示し保護を請求する発明は、1981年10月2日
に米国特許庁に受理された出願番号307,819号に開示し
保護を請求した発明と関連がある。
(産業上の利用分野) 本発明は、全般的には、航空機ガスタービン・エンジ
ンの高熱部材、特に回転ブレード(rotating blade)に
有用な、単結晶製品として鋳造可能なニッケル基−超合
金に関するものである。
(従来の技術) ガスタービン・エンジンの効率は、エンジンの各種部
品の作動温度に大きく左右され、作動温度が高くなれば
効率が良くなる。効率を上げるための研究により、ます
ます高温に耐えつつ基本的な材料の性質を維持できる耐
熱超合金が開発されるに至った。また、作動温度をます
ます高くしたいという要求からも、高度に複雑な鋳造空
洞形状、例えば、そのような形状を生むため使用される
材料を効率良く冷却するブレード(blade)及びベーン
(vane)が開発されるに至った。
通常の鋳造法による普通ニッケル基−超合金と呼ばれ
る初期のニッケル基−超合金に用いられた鋳造法では、
一般に粒子間に粒界を有する結晶学的にでたらめな向き
を向いた(無配向の)多数の等軸単結晶(粒子)から構
成される部分が生じた。粒界は極度に無配向な構造の領
域であり、その幅は原子の直径の数倍にすぎず、隣接す
る粒子間における結晶学的配向差(crystallographic o
rientation difference)を調節する(accommodate)の
に役立つ。
高角粒界(hugh angle grain boundary:HAB)とは隣
接する粒子間の結晶学的配向差が約5−6゜以上の境界
であると一般に考えられている。高角粒界は数百エルグ
/cm2のオーダーの高表面エネルギの領域であり、構造の
説明やモデル化の容易にできないほど極度にランダムな
ミスフィット(misfit)の場所である。これらのエネル
ギの高さとランダムさのため、高角粒界は極めて流動性
に富み、拡散、沈降そして相転移などの固体反応を起こ
し易い場所であるから、高角粒界は多結晶金属の変形・
破砕特性及び化学的特性(例えば酸化や高温腐食に対す
る耐性)に重要な役割を演じる。
また、HABの高いエネルギと無秩序のため、不純物の
原子は高角粒界の方へ選択的に引き寄せられ(偏析
し)、粒界における不純物の原子の濃度は、粒子内にお
ける同じ不純物の原子の濃度より数桁大きくなることも
ある。高角粒界にこのような高い不純物原子濃度が存在
すれば金属の機械的、化学的性質を更に変えることもあ
りうる。例えば、ニッケル基−超合金では、鉛及びビス
マスは粒界に偏析する有害な不純物である。高温におい
ては、微量(即ち数ppm)でもニッケル基−超合金粒界
におけるこの種の不純物は、機械的特性(例えば、応力
破壊強度)を損ない、破壊は一般に粒界において生じ
る。
高角粒界とは対照的に、亜結晶粒界(subgrain bound
ary)とも呼ばれる低角粒界(low angle grain boundar
y)は、隣接する粒子間の結晶学的配向差が約5゜以下
の境界であると一般に考えられている。しかし、高角粒
界あるいは低角粒界としての分類は、人により、また分
類を行なう機関により異なることがある点に留意された
い。境界を横ぎる配向差が1゜以下になると考えられる
低角粒界(LAB)という限定された場合については、そ
の境界は稜転移(edge dislocation)、即ち傾斜境界
(tilt boundary)の正規アレイ(regular array)に関
して説明(モデル化)することができる。ミスマッチ
(mismatch)は技術的にはあらゆる隣接粒子間のもので
あり、境界それ自体のものではないが、ミスマッチの程
度は普通境界が引合いに出されるので、例えば、5゜の
低角粒界という用語は、ここでは同意語として使用する
ものとする。
低角粒界にははるかに高度な秩序があり、高角粒界よ
りも低い表面エネルギを有する。高度な秩序と低い表面
エネルギのため、流動性が低く不純物原子の吸引が少な
くなり、このため高角粒界に比べて機械的、化学的性質
に及ぼす効果が少なくなる。従って、いかなる粒界も好
ましい条件を作るものではないが、低角粒界は高角粒界
に比べれば好ましいといえる。
強度及び酸化耐性などの他の必要な性質を損なうこと
なく高温に耐える通常の超合金の能力の改善は合金の開
発及び処理技法の改善により達成された。これらの改善
は、この種の超合金の強度その他の重要な特性が粒界の
強度に依存するという結論に従って生まれた。この種の
通常の超合金の改善のため初期の努力は、炭素(C)、
ホウ素(B)、ジルコニウム(Zr)及びハフニウム(H
f)など各種の粒界強化元素を添加して粒界を強化する
ことに向けられた。
これに続いて、成長又は固形化の方向に一致するよう
に粒界を選択配向させることによる通常のニッケル基−
超合金の改善が開始された。粒界の選択配向により、一
般に単一の結晶学的方向に配向された長くて細い(柱
状)粒子の柱状粒子構造が生まれ、成長又は固形化の方
向を横切る粒界を最小にしたり無くすることになる。使
用された方向性固形化(directional solidification:D
S)処理は、永らくマグネット及び変圧器用の粒子配向
硅素鋼板などの他の目的に使われていた。その処理は例
えばスマッシー(Smashey)による米国特許第3,897,815
号に説明され、改良が加えられている。ここで引用され
るすべての米国特許の開示内容は、参考として取り入れ
てある。
通常の鋳造超合金物品に比べて、方向性固形化(DS)
された物品は、固形化の方向を横切る粒界を無くしたり
最小とするので柱状粒子が主応力軸(principal stress
axis)に平行に揃うため強度の増大を示した。また、
好ましい粒子配向のため、DSによって延性及び低サイク
ル耐疲労性などの他の特性が向上した。しかしなお、こ
のようにDSされた製品の長さ方向の柱状粒界の存在によ
り、横方向には強度及び延性の低下があった。Hf、C、
B、及びZrを添加剤として用いこの種の合金の横方向粒
界強度を改善しようとする試みは通常の等軸ニッケル基
−超合金について以前に行われた。しかしながら、これ
らの元素を大量に添加すれば融点の低下剤として作用し
熱処理への制約を生じたので、この種の方向性固形化超
合金内部に最大強度を作り出すことはできなかった。
一時は、製品を完全な単結晶としていろんな形状に鋳
造して粒界を全く無くすることができるという認識がな
されていた。次の論理的段階は、単結晶としての超合金
の固形化を可能とするように処理を変えて、以前にDSさ
れた製品に見られた長さ方向に延びる高角粒界を無くす
ることであった。
単結晶合金冶金術で従来教えられていたことは、ホウ
素、ジルコニウム及び炭素などの元素は避けるべきであ
り、商業的溶融と合金化の慣行と技術の場合にはできる
だけ含有量を少なくせよということであった。例えば、
米国特許第3,494,709号ではB及びZrの有害な効果を述
べて、これらの元素をそれぞれ0.001%及び0.01%に制
限するよう提唱している。米国特許第3,567,526号では
Cを完全に除くことにより単結晶超合金物品の疲労特性
を改善できると説いている。
米国特許第4,116,723号では、Co、C、B、及びZrを
含有する同種のニッケル基−超合金に比べて、たとえ
ば、クリープ及び破砕に至る時間などの機械的特性が優
れていると言われる、意図的にCo、B、Zr及びCを添加
しない均質な単結晶ニッケル基−超合金が開示されてい
る。その中で、コバルトは約0.5%以下、できれば0.2%
以下に抑えて、位相的に閉じている有害な詰まった位相
(topologically close packed phase:TCP)(例えばρ
及びμ)の形成を排除すべきことを教えている。その中
では更に、炭素、ホウ素及びジルコニウムのグループの
どの1つの元素も50ppm以上存在してはならず、できれ
ばこの種の不純物の総量は100ppm以下に抑え、最も好ま
しいのは30ppm以下とすること、そしてB及びZrは20ppm
以下に保持すべきことを説いている。いずれの場合も炭
素はMC型炭化物を形成しうる以下の量に抑えなければな
らないと説いている。その後、米国特許第4,209,348号
では、3〜7%のCoであれば単結晶ニッケル基−超合金
に含まれていてもTCPを形成することは無いと発表され
ている。
C、B及びZrを制限するもう1つの目的は、γ′相融
解(gamma prime solvus)温度に関連して溶解開始温度
を上げることにより、溶質に富んだ領域の局部的溶解を
起こすことなく適時にγ′相の完全な溶解を可能とする
ことにある。しかしながら、最近、米国特許第4,402,77
2号の少量のハフニウムをある種のニッケル基−超合金
に加えることが単結晶製品の鋳造に効果的なこと、例え
ば、この種の製品は従来の技術によるものよりγ′相融
解温度と溶解開始温度との間の温度範囲が広くなるとい
う意味で諸特性を向上し熱処理性を良くすることが認め
られるようになった。
(発明の概要) 本発明により、単結晶製品製造のための改善された低
角粒界耐性を有するニッケル基−超合金が提供される。
低角粒界耐性の改善は、単結晶製品としての鋳造に適し
たニッケル基−超合金が、従来の技術の教義とは対照的
に、少量ではあるが調節された量のホウ素及び炭素、そ
して適宜ハフニウムの添加により可能であり、これが主
に粒界強度の改善によることが分かったという発見から
出てきたものである。また、本発明の超合金は、主に炭
素とハフニウム、そしてアルミニウム対チタン比の増加
によりサイクル酸化(cyclic oxidation)と高温耐食性
の均衡も改善されている。
この粒界強度の増強の1つの結果として、本発明のニ
ッケル基−超合金においては、従来の技術による単結晶
超合金に対する6゜という限界よりはるかに大きな粒界
のミスマッチ(mismatch)にも耐えることができる。換
言すれば、例えば、費用のかさむX線技法に頼るまでも
なく通常の検査法により広い範囲にわたる粒界を受け入
れることができるので検査費用が安くて済むことにな
る。本発明のニッケル基−超合金は、航空機ガスタービ
ン・エンジンの高熱部材、特に回転ブレードとして方向
性固形化される(directionally solidified)場合には
特に有用である。
概括的に言えば、本発明の単結晶超合金は実質的に重
量比で約、7−12%のクロム、5−15%のコバルト、0.
5−5%のモリブデン、3−12%のタングステン、2−
6%のタンタル、2−5%のチタン、3−5%のアルミ
ニウム、0−2%のコロンビウム、0−2.0%のハフニ
ウム、0.03−0.25%の炭素、及び0.002−0.050%のホウ
素成分を有し、残りの成分がニッケル及び付随的不純物
(incidental impurities)である。なお、本明細書中
で用いるコロンビウム(Cd)はニオブ(Nb)と同義であ
る。
(実施例) 単結晶として鋳造可能なニッケル基−超合金は、航空
機ガスタービンの高熱部の翼型部材、例えば、回転ブレ
ード及び静止ベーン(stationary vane)の製造に通常
使われている。この種のブレード部材10は模式的に第1
図に示されており、基部(又は根元部)12(ディスクに
取付けるため「もみの木(fir−tree)」状に機械加工
してある)、プラットホーム部14、及び空気力学的にカ
ーブした翼型部分16を含んでいる。ブレード部材10には
また、これを通してタービンの運転中に循環されブレー
ドを冷却する流体(一般に空気)の単数または複数の通
路が設けられる。流体は前端及び後端に置かれている孔
から押し出され翼型部分16の表面の層流による表面冷却
効果をもたらすことが多い。この種の冷却手段は当該技
術分野では公知であり、本発明の理解のため必要ではな
いのでここでは詳細に触れない。この種のブレードの方
向性鋳造の技法も、例えば、米国特許第3,494,709号に
示されているように公知であり、ここでは詳述しない。
通常基部12へ向かって矢印18で示される下向きに進行
する方向性固形化に続き、固形化されたブレード部材10
は粒界の存在と軸成長の方向(axial growth directio
n)18の確認のために検査される。軸成長の方向はX線
解析により(通常は周知のラウエ法により)求めるが、
ニッケル基−超合金については[001]結晶軸方向から
±15゜であることが望ましい。
これまでは、単結晶ブレード10では、隣接粒子間のミ
スマッチは、20に模式的に示すように最大約6゜までの
ミスマッチといった低角粒界のみが許容されていた。一
般に、熟練した観測者であれば0〜3゜のオーダーのLA
Bを目視で検出することができる。しかしながら、約6
゜までの最大許容ミスマッチとなれば、目視により測定
は信頼性が低くなり、問題の境界のいずれかの側に現れ
るラウエ・パターン(Laue pattern)を見なければなら
なかった。ラウエ・パターン法はそれほど高価ではな
く、現行の単結晶検査の慣行によれば鋳造ごとに3〜4
個のラウエ・パターンを取ることが一般に要求される。
現在は、一部には低角粒界の検出の不確実さもあって鋳
造収率は約45−55%にすぎない。
今や単結晶製品として鋳造に適するニッケル基−超合
金は、少量ではあるが調節された量のホウ素及び炭素、
そして適宜ハフニウムの添加により新しい単結晶超合金
群が生まれることになった。
サイクル酸化と高温耐食性の間の均衡の改善に加え
て、この発見による主要な利点は、本発明の超合金から
造った単結晶製品における低角粒界は従来の技術による
単結晶製品よりも強固なことである。従って、以前は最
大約6゜なら許容できるとされたのに比べ6゜以上のミ
スマッチを有するLABもこの種の製品で許容され、受容
される。検査費用の低減および許容できる製品の収量の
増加は、前述の低角粒界耐性の改善に基づくものであ
る。真の「単結晶」にはLABもHABも存在しないことが理
解できよう。しかし更に、ここに論じる単結晶に1つや
2つの低角粒界は存在することもあり、なお単結晶につ
いては触れておかねばならない。
上述のように、ブレード10などの単結晶製品はオリエ
ンテーション(orientation)を確かめるためX線テス
トにかけ、高角粒界の有無を確かめるため目視検査を行
なう。本発明の新しい超合金はオリエンテーションを確
かめるためX線テストは行なうが、LABとHABを区別する
ため必要なX線テストは大幅に減少または省略できると
予想される。
換言すれば、目視検査によるLABの受容限界耐性は、
本発明の新しい超合金から造った翼型部材については、
約0−3゜から約0−9゜に増え、ラウエ測定は約9゜
以上の粒界についてのみ必要になると予想される。新し
い超合金では、従来技術による合金で許容された約6゜
のミスマッチに比べ大きな粒界のミスマッチが許容され
ることに注目されたい。基部及びプラットホーム部分で
は粒界に関しては何も制限はない。即ち、本発明の超合
金から造った製品の粒界強度が増しており、翼型部分に
比べプラットホーム部分及び基部は温度が低いという認
識に立てばHABも許容することができる。従って、ここ
に言う「単結晶製品」とは、少なくともその一部が「単
結晶」の性質を備えているものとする。全体的には、新
しい超合金から造った製品の推定鋳造収率(estimated
casting yield)は75から85%に上昇するものと予想さ
れる。
従って、本発明の超合金は、たとえDS技法による処理
の結果製品全体に配向された高角粒界が生じても優れた
諸特性を所有していると理解される。本発明の超合金が
通常の鋳造法で造られ(conventionally cast:CC)、そ
の間に高角粒界を持った複数のランダム配向粒子を生じ
たとしても、この優れた諸特性を期待することができ
る。
従って、本発明により、改善された低角粒界耐性を有
し、本質的にクロム、コバルト、モリブデン、タングス
テン、チタン、アルミニウム、コロンビウム、ハフニウ
ム、炭素、ホウ素及び(所望により)ハフニウムを以下
の第I表に定める(重量)百分率で含有し残余の成分は
ニッケル及び付随的不純物からなるニッケル基−超合金
が提供される。
第II表には、本発明のものを含み、ここに引用されて
いる、各種合金の組成を示す。
第2図に模式的に示されているのは、試験用試料を造
るため矢印18'の向きに方向性固形化されたスラブ状(s
lab−like)インゴット30の上部である。造られた試料
は、LABを持たないか、少なくとも1つ固形化の方向18'
に平行なLAB20'を有する単結晶であるか、或いは通常の
DS処理により固形化の方向18'に平行な複数のHAB(図示
されていない)を有するインゴットであった。配向され
た複数のHABを有するインゴットは同じDS処理ではある
が単結晶を造るに必要な技法を使わずににも造ることが
でき、ここでは単純にDSまたはDS'材料と呼ぶことにす
る。比較のため、第I表の合金のいくつかもまた通常の
鋳造を行って、粒子間に高角粒界を有する複数の無配向
粒子を持つインゴットを造った。
本発明の超合金について二重γ’構造(duplexgamma
prime structure)を十分完全に現すように用いられた
熱処理法は、このようにDS処理されたインゴット(又は
製品)をゆっくり約2310゜Fに加熱し、この温度に約2
時間保持してγ’相を固溶体にしてから、毎分100゜Fか
ら150゜Fの速度で約1975゜F以下まで冷却し、次いで毎
分約75゜Fから150゜Fの速度で約1200゜Fまで冷却し、約
1時間かけて約1975゜Fまで再加熱し、毎分約75゜Fから
150゜Fの速度で約1200゜Fまで冷却し、約16時間かけて
約1650゜Fに加熱し、最後に周囲温度まで冷却する。
物理的性質を測定するための前述の試料は、熱処理さ
れたインゴットの固形化方向18'を横切ってとられた棒
状の部分32から通常の方法で造られた。部分32からのそ
れぞれの単結晶試料は、LABを含まないか、X線解析で
確定された既知の配向のLAB1個を含んでいた。同様に、
DS処理されたスラブからの試料は複数の配向粒子及び配
向高角粒界を含み、CC処理のスラブからの試料は複数の
無配向(randomly oriented)粒子及び無配向高角粒界
を含んでいた。
第3図及び第III表を見れば、従来技術による知見に
反して、ホウ素は、単結晶の応力破壊強度に有利である
ことが見出だされ、炭素とともに本発明の合金から造っ
た単結晶に存在するLABを強化していることが分かる。
第3及び第4図、そして第III及び第IV表には「完全結
晶寿命の百分率(%of Perfect Crystal Life)」が示
されているが、これはLABを形成しないようにDS処理さ
れたベース組成(第II表)の合金の応力破壊寿命であ
り、DS方向と直角(そして試料の応力軸(stress axi
s)に平行)なその[110]方向について、それと比較さ
れる超合金と同じ応力と温度の条件で試験され、比較の
標準として使われた。またいくつかの表には、比較の目
的で、ミスマッチの程度を示したLABを有するベース組
成の試料の及びDS処理条件下でのベース組成の試料の応
力破壊寿命が示されている。
本発明の超合金が、0から18゜までのあらゆるミスマ
ッチ角において通常の単結晶超合金に比べ優れた応力破
壊強度を有することは第4図に示されている。同様に、
LABの無いものの破壊寿命のあらゆる百分率レベルにお
いて、本発明の超合金は、従来の技術による単結晶超合
金の耐えうるより約2倍の大きさのミスマッチ角に耐え
ることができる。第IV表から分かるように、HABを形成
するようにDS処理されても、本発明の超合金は優れた応
力破壊強度を持っている。
第V表は、マッハ1のガス速度における天然ガス炎を
用いて表に示す条件下で行なったコーティングされてい
ない1/4インチ×3インチ,(1/4''×3'')の長い丸ピ
ンの試料に関するサイクル酸化試験の結果である。試料
は均等に暴露するため回転させ、1時間に1回炎から出
して室温に冷却するサイクルを繰返した。試料の長さ方
向を横に切り取った部分について外側金属損失を測定し
た。各側面当りの金属損失は試験前後のピンの直径の差
を2で割って求めた。表のデータは、試料の直角に交差
する2つの直径の測定値の平均である。
第V表のデータを第5図にグラフで示す。本発明の超
合金のサイクル耐酸化性は典型的な合金BBほど良くはな
いが、本発明の超合金の耐酸化性は十分満足できるもの
でありベース合金及びR125の耐酸化性を上回る改善を示
している。本発明の超合金のベース超合金に比べ改善さ
れた耐酸化性は、主としてアルミニウム対チタン比を大
きくしたことによると考えられる。ヒート(heat)44及
び49/50のデータを比較すれば、ハフニウムの添加によ
り更に耐サイクル酸化性が良くなっている。
第VI表には、燃焼生成物に塩を示されたppmだけ加え
たJP−5燃料の燃焼炎を用いて表に示す条件下で行なっ
たコーティングされていない1/8インチ×2インチ(1/
8''×2'')の長い丸ピンの試料に関する高温腐食試験の
結果を示す。試料は均等に暴露するため回転させ、1日
に1回炎から出して室温に冷却するサイクルを繰返し
た。第VI表のデータは、高温耐食性を持たせるには本発
明の超合金に炭素が存在する必要があり、本発明の超合
金の高温耐食性は合金AA及びBBよりも優れていることを
示している。従って、本発明の超合金は、主として炭素
及びハフニウムのため、そしてベース合金のアルミニウ
ム対チタン比を大きくしたことにより、サイクル酸化及
び高温腐食に対する耐性の間の均衡が改善されている。
少量ではあるが調節された量のホウ素及び炭素、そし
て随意にハフニウムを添加して単結晶製品として鋳造す
るに適したニッケル基−超合金の低角粒界耐性を改善す
るというここに掲げた発明の概念は他のニッケル基−単
結晶超合金にも適用できるという現実の証拠があるの
で、特に請求範囲に確定された発明の精神から離れるこ
となく、ここに特に挙げなかった各種の変更及び改変を
ここに述べた発明の中で、またここに述べた使用に対し
て行うことができると理解されよう。
【図面の簡単な説明】
第1図は、ガスタービン・エンジンに用いるブレード部
材の模式的斜視図である。 第2図は、機械的特性試験の試料片として切り取る部分
に印をつけた、方向性固形化されたスラブ状単結晶イン
ゴットの模式的斜視図である。 第3図は、相対的な応力破壊寿命対合金のホウ素含有率
の関係を示すグラフである。 第4図は、相対的な応力破壊寿命対粒界ミスシフトの関
係を示すグラフである。 第5図は、暴露時間の関数としてのサイクル酸化におけ
る外側金属損失のグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 カール・スティーブン・ウクシック アメリカ合衆国オハイオ州45232,シン シナティ,マクメイキン・アベニュー 749 (72)発明者 ウォーレン・タン・キング アメリカ合衆国オハイオ州45242,シン シナティ,ケンウッド・ロード 9118 (56)参考文献 特開 昭62−30037(JP,A) 特開 昭56−142843(JP,A) 特開 昭58−64331(JP,A) 特開 昭62−235450(JP,A) 特開 昭63−24029(JP,A) 特公 昭51−10574(JP,B2) 特公 昭53−32766(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 19/00 - 19/07

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】本質的に、重量百分率で9.5−10.0%のク
    ロム、7.0−8.0%のコバルト、1.3−1.7%のモリブデ
    ン、5.75−6.25%のタングステン、4.6−5.0%のタンタ
    ル、3.4−3.6%のチタン、4.1−4.4%のアルミニウム、
    0.4−0.6%のニオブ、0.1−0.2%のハフニウム、0.05−
    0.07%の炭素、及び0.003−0.005%のホウ素成分を有
    し、残りの成分がニッケル及び付随的不純物からなる、
    改善された低角粒界耐性を有するとともに耐サイクル酸
    化性と高温耐食性との均衡に優れたニッケル基−超合
    金。
  2. 【請求項2】全体的組成が、本質的に、重量百分率で9.
    5−10.0%のクロム、7.0−8.0%のコバルト、1.3−1.7
    %のモリブデン、5.75−6.25%のタンズステン、4.6−
    5.0%のタンタル、3.4−3.6%のチタン、4.1−4.4%の
    アルミニウム、0.4−0.6%のニオブ、0.1−0.2%のハフ
    ニウム、0.05−0.07%の炭素、及び0.003−0.005%のホ
    ウ素成分を有し、残りの成分がニッケル及び付随的不純
    物からなるニッケル基−超合金からなる単結晶鋳造製品
    であって、当該単結晶鋳造製品に存在するあらゆる低角
    粒界が0゜以上であり、改善された低角粒界耐性を有す
    るとともに耐サイクル酸化性と高温耐食性の均衡に優れ
    た単結晶鋳造製品。
  3. 【請求項3】当該鋳造製品に存在するあらゆる低角粒界
    が0゜から20゜の範囲である請求項2記載の鋳造製品。
  4. 【請求項4】ガスタービンエンジン用の翼部材である請
    求項3記載の鋳造製品。
  5. 【請求項5】全体的組成が、本質的に、重量百分率で9.
    5−10.0%のクロム、7.0−8.0%のコバルト、1.3−1.7
    %のモリブデン、5.75−6.25%のタンズステン、4.6−
    5.0%のタンタル、3.4−3.6%のチタン、4.1−4.4%の
    アルミニウム、0.4−0.6%のニオブ、0.1−0.2%のハフ
    ニウム、0.05−0.07%の炭素、及び0.003−0.005%のホ
    ウ素成分を有し、残りの成分がニッケル及び付随的不純
    物からなるニッケル基−超合金からなる鋳造製品であっ
    て、改善された低角粒界耐性を有するとともに耐サイク
    ル酸化性と高温耐食性の均衡に優れ、少なくとも一部が
    単結晶である鋳造製品。
  6. 【請求項6】上記単結晶部分に存在するあらゆる低角粒
    界が0゜以上である請求項5記載の鋳造製品。
  7. 【請求項7】上記単結晶部分に存在するあらゆる低角粒
    界が0゜から20゜の範囲である請求項6記載の鋳造製
    品。
  8. 【請求項8】少なくとも翼部分が上記単結晶部分からな
    るガスタービンエンジン用の翼部材である請求項6記載
    の鋳造製品。
  9. 【請求項9】全体的組成が、本質的に、重量百分率で9.
    5−10.0%のクロム、7.0−8.0%のコバルト、1.3−1.7
    %のモリブデン、5.75−6.25%のタンズステン、4.6−
    5.0%のタンタル、3.4−3.6%のチタン、4.1−4.3%の
    アルミニウム、0.4−0.6%のニオブ、0.1−0.2%のハフ
    ニウム、0.05−0.07%の炭素、及び0.003−0.005%のホ
    ウ素成分を有し、残りの成分がニッケル及び付随的不純
    物からなるニッケル基−超合金からなる鋳造製品であっ
    て、改善された低角粒界耐性を有するとともに耐サイク
    ル酸化性と高温耐食性の均衡に優れた鋳造製品。
  10. 【請求項10】方向性凝固により得られた請求項9記載
    の鋳造製品。
  11. 【請求項11】通常の方法で鋳造された請求項9記載の
    鋳造製品。
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