JP3400257B2 - 圧電トランス式インバータ電源装置 - Google Patents

圧電トランス式インバータ電源装置

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JP3400257B2
JP3400257B2 JP22350496A JP22350496A JP3400257B2 JP 3400257 B2 JP3400257 B2 JP 3400257B2 JP 22350496 A JP22350496 A JP 22350496A JP 22350496 A JP22350496 A JP 22350496A JP 3400257 B2 JP3400257 B2 JP 3400257B2
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  • Inverter Devices (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は圧電セラミック等の
圧電体の圧電効果により交流電圧の振幅値を変換する圧
電トランス式インバータ電源装置に関する。
【0002】
【従来の技術】1950年代末に開発された圧電トラン
スは、高圧電源用の昇圧トランスとして着目されて開発
が進められたが、圧電セラミック材料の破壊強度などの
材料的制約があったため大きな製品化が行われないまま
開発が中断されていた。しかし、最近、高強度圧電セラ
ミックの開発が進むとともに、ノートパソコン、電子手
帳、ゲーム機等の携帯用情報機器の小型化・薄型化の要
求が強くなるにつれ、これらの機器に搭載される液晶バ
ックライト等のインバータ電源用昇圧トランス等として
再び大きく注目されている。
【0003】液晶バックライト用インバータは、バック
ライト光源として使用される冷陰極蛍光灯の点灯電源に
使用されるものであり、電池などによる5V、9V、1
2Vなどの直流低電圧から、点灯時1000Vrms程
度、定常時500Vrms程度の高周波高電圧への変換を
必要とする。現在、バックライト用インバータに使用さ
れている電磁式巻線トランスは、特殊コアによる横型構
造のトランスを用いることにより薄型化に対応してきて
いるが、絶縁耐圧の確保のため小型・薄型化には限度が
あり、またコアロスや細い銅線を使用することによる巻
線ロスが大きく、効率が低いという欠点がある。
【0004】これに対し、圧電トランスはチタン酸ジル
コン酸鉛(PZT)などの圧電セラミック材料またはニ
オブ酸リチウムなどの圧電結晶材料に1次側(入力側)
および2次側(出力側)の電極を付け、1次側電極に圧
電トランスの共振周波数近傍の交流電圧を印加して圧電
トランスを機械的に共振させ、この機械的振動を圧電効
果により変換して2次側電極から高圧電圧として取り出
すものである。そして、電磁トランスよりも小型化、特
に薄型化を実現でき、また高変換効率を達成することが
できるという特徴を持つ。また、電磁式巻線トランスの
ように過負荷により燃えるということがないので信頼性
が高い。
【0005】以下に、図面を参照しながら従来の圧電ト
ランス式インバータ電源装置について説明する。
【0006】図9はローゼン型圧電トランスの概観図で
あり、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)などの圧電セラ
ミック材料から成る矩形板に1次側(入力側)および2
次側(出力側)の電極を付けて構成している。同図中に
Pで示すように、1次側電極部は矩形板の厚さ方向に分
極されており、2次側電極部は矩形板の長さ方向に分極
されている。1次側電極に圧電トランスの共振周波数近
傍の交流電圧を印加すると、圧電トランスは長さ方向に
機械的振動を起こし、この機械的振動を圧電効果により
2次側電極部で高圧電圧に変換してから高圧電力として
取り出す。
【0007】そして、従来から圧電トランスの駆動方式
として、圧電トランスを発振回路のループの中に入れた
自励発振回路方式と、発振回路が別途設けられている他
励発振回路方式がある。自励発振回路方式は駆動効率に
問題が有り、負荷の大きな変動に追随できず発振を停止
するなどの欠点があるので、最近の実施例では他励発振
回路方式が使用されることが多い。
【0008】図10は、図9に示したローゼン型圧電ト
ランスの従来の他励発振回路方式駆動回路、すなわち従
来の圧電トランス式インバータ電源装置のブロック図で
ある。図10において、可変発振回路101は圧電トラ
ンス104の共振周波数近傍の駆動交流信号を発生し、
可変発振回路101の出力信号は駆動周波数成分以外の
信号を含んでおり、これらの信号は圧電トランス104
内で損失つまり熱となるので、圧電トランス104内で
の損失低減のために波形整形回路102によりほぼ正弦
波に波形整形される。波形整形回路102は簡単な場合
には高周波成分を低減するだけのローパスフィルタであ
り、効率を重視する場合には高周波成分と低周波成分を
低減するためにバンドパスフィルタが用いられる。波形
整形回路102の出力はドライブ回路103で圧電トラ
ンスを駆動するに充分なレベルに電流増幅あるいは電圧
増幅される。ここで、ドライブ回路103はトランジス
タから成る通常の増幅回路のみで構成されるか、あるい
は増幅回路と昇圧トランスの組み合せで構成される。ド
ライブ回路103の出力は圧電トランス104で昇圧さ
れ、例えば負荷である冷陰極蛍光灯105に印加され冷
陰極蛍光灯105は点灯する。
【0009】ここで、圧電トランス104は温度や負荷
等の環境変化により共振周波数が変化するので、図10
に示した回路のように一定周波数で圧電トランス104
を駆動したのでは、圧電トランスの共振周波数と駆動周
波数との関係が変化してしまう。駆動周波数が圧電トラ
ンスの共振周波数から大きく離れた時には、圧電トラン
スによる電圧昇圧比が著しく低下してしまい出力電圧は
著しく低下する。そして、負荷である冷陰極蛍光灯10
5に充分な電流を流すことができなくなり、冷陰極蛍光
灯105は充分な輝度を保つことができなくなる。
【0010】図11に示した回路は、この圧電トランス
104の共振周波数等の特性の変化に対応したもので、
図9に示した圧電トランス104の別の従来の駆動回
路、すなわち従来の圧電トランス式インバータ電源装置
のブロック図である。可変発振回路101、波形整形回
路102、ドライブ回路103、圧電トランス104な
どの機能は図10に示した回路と同様である。しかし、
インバータ電源装置の負荷である冷陰極蛍光灯105に
は直列に小さな値の帰還抵抗106が接続され、帰還抵
抗106で冷陰極蛍光灯105に流れる電流検出がなさ
れている。冷陰極蛍光灯105に流れる電流に比例した
帰還抵抗106の両端電圧は発振制御回路107に入力
され、発振制御回路107は帰還抵抗106の両端電圧
が一定になるように、つまり冷陰極蛍光灯105に流れ
る電流が一定になるように、可変発振回路101の出力
信号の周波数を制御する。この制御により冷陰極蛍光灯
105はほぼ一定の輝度で点灯する。なお、110は電
流検出回路である。
【0011】図12に示した回路は圧電トランス104
の共振周波数等の特性の変化に対応したもので、図9に
示した圧電トランス104の別の従来の駆動回路、すな
わち従来の圧電トランス式インバータ電源装置のブロッ
ク図である。可変発振回路101、波形整形回路10
2、ドライブ回路103、圧電トランス104などの機
能は図10に示した回路と同様である。しかし、冷陰極
蛍光灯105には直列に小さな値の帰還抵抗106が接
続され、帰還抵抗106で冷陰極蛍光灯105に流れる
電流検出がなされている。負荷や環境等が変化して圧電
トランス104の共振周波数等の特性が変化した時に
は、冷陰極蛍光灯105に流れる電流が変化する。そし
て冷陰極蛍光灯105に流れる電流に比例した帰還抵抗
106の両端電圧はパルス幅制御回路108に入力さ
れ、パルス幅制御回路108は帰還抵抗106の両端電
圧が一定になるように、つまり冷陰極蛍光灯105に流
れる電流が一定になるように、パルス幅可変回路109
で可変発振回路101の出力信号のパルス幅を可変する
ことにより振幅値を制御する。この制御により冷陰極蛍
光灯105はほぼ一定の輝度で点灯する。なお、110
は電流検出回路である。
【0012】以上、圧電トランス式インバータ電源装置
の従来例として、他励発振回路方式の駆動装置を取り上
げて説明した。
【0013】以上に説明した従来の圧電トランス式イン
バータ電源装置は、圧電トランスにつながれた負荷に流
れる出力電流をほぼ一定にするために圧電トランスの駆
動周波数を制御していた。つまり、出力電流を増加させ
る時には駆動周波数を共振周波数に近づけ、出力電流を
低下させる時には駆動周波数を共振周波数から離してい
た。しかし、この方式では回路の電源電圧が低くなると
駆動周波数を共振周波数に一致させても十分な電流が圧
電トランスに流せなくなり出力電流も所定の値にするこ
とができない。反対に、電源電圧が高くなると駆動周波
数が圧電トランスの共振周波数よりかなり離れてしまい
駆動効率が著しく低下する。また、圧電トランスの負荷
が大幅に重くなったり軽くなったりしても、同様に圧電
トランスの出力電流も所定の値にすることができなかっ
たり、駆動周波数が圧電トランスの共振周波数より遠く
離れてしまい、その結果、駆動効率が著しく低下すると
いう課題がある。
【0014】また、電源電圧が変化したり、圧電トラン
スの負荷が変化した時に、駆動周波数を変化させずに、
ドライブ回路の出力電圧を変化させる方法があり、よく
用いられている方法としてパルス幅を変調する方法があ
る。この場合には、パルス幅が狭くなると(デュテイが
小さくなると)、基本駆動周波数以外の高調波成分が大
きくなり、この高周波成分は圧電トランスで損失となる
ので圧電トランスの発熱が大きくなり、駆動効率が低下
するとともに、信頼性も著しく低下するという課題があ
る。
【0015】本発明は、上記のような従来の装置の課題
を考慮し、電源電圧が大きく変化したり、圧電トランス
の負荷が大きく変化した時にも変化に十分に対応して、
駆動効率の高い、信頼性が高く寿命が長いという条件を
備えた圧電トランス式インバータ電源装置を提供するこ
とを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、可変発振手段
とパルス幅可変手段と駆動手段と圧電トランスと発振周
波数制御手段とパルス幅制御手段と負荷電流検出手段と
からなる圧電トランス式インバータ電源装置であって、
可変発振手段、パルス幅可変手段、駆動手段、圧電トラ
ンスの順で接続されており、圧電トランスの出力電極に
は、負荷と負荷電流検出手段が接続され、可変発振手段
は、発振周波数制御手段からの出力信号を受け、前記制
御手段が決定する周波数のパルス信号をパルス幅可変手
段へ出力し、パルス幅可変手段は、パルス幅制御手段の
出力信号と可変発振手段からのパルス信号とが入力さ
れ、前記パルス信号の幅をパルス幅制御手段が決定する
値に整形するものであり、起動時には、パルス幅制御手
段からの出力を固定値にしたままで、発振周波数制御手
段が高い周波数から圧電トランスの共振周波数の方向へ
周波数が時間的に減少する掃引動作を実行し、発振周波
数制御手段の出力信号が前記共振周波数の所定近傍内に
到達したことを条件として、掃引動作を停止し、周波数
固定の条件下で定電流制御へと移行し、定電流制御は、
パルス幅制御手段が、負荷電流検出手段からの出力信号
が目標電流値となるように、可変のパルス幅指令信号を
パルス幅可変手段に出力することでなす圧電トランス式
インバータ電源装置である。
【0017】また、本発明は、請求項1の圧電トランス
式インバータ電源装置に対して、駆動手段を、電源電圧
が調整可能なDC−DCコンバータとスイッチング手段
とから構成し、パルス幅制御手段に、パルス幅指令信号
の出力値を所定の下限値と比較し、下限値以下を示す場
合に有意信号を発生する手段を新たに設け、前記有意信
号の発生を条件として、DC−DCコンバータの出力電
圧を低下側に調整する圧電トランス式インバータ電源装
置である。
【0018】また、本発明は、請求項1の圧電トランス
式インバータ電源装置に対して、駆動手段を、昇圧比調
整可能な昇圧トランスとスイッチング手段とから構成
し、パルス幅制御手段に、パルス幅指令信号の出力値を
所定の下限値と比較し、下限値以下を示す場合に有意信
号を発生する手段を新たに設け、前記有意信号の発生を
条件として、昇圧トランスの昇圧比を低下側に調整する
圧電トランス式インバータ電源装置である。
【0019】
【0020】
【0021】本発明によれば、駆動信号のパルス幅制御
動作により、負荷が大きく変化してもその変化に十分対
応できる出力電流の制御範囲の広い、しかも駆動周波数
制御により圧電トランスの共振周波数と駆動周波数の関
係をほぼ一定にすることにより、駆動効率の高い圧電ト
ランス式インバータ電源装置を提供することができる。
【0022】また本発明によれば、駆動信号のパルス幅
制御および直流電源の制御動作により、負荷が大きく変
化してもその変化に十分対応できる出力電流の制御範囲
の広い、しかも駆動周波数の制御により圧電トランスの
共振周波数と駆動周波数の関係をほぼ一定にすることに
より、駆動効率の高い圧電トランス式インバータ電源装
置を提供することができる。
【0023】また本発明によれば、駆動信号のパルス幅
制御および昇圧比の制御動作により、負荷が大きく変化
してもその変化に十分対応できる出力電流の制御範囲の
広い、しかも駆動周波数の制御により圧電トランスの共
振周波数と駆動周波数の関係をほぼ一定にすることによ
り、駆動効率の高い圧電トランス式インバータ電源装置
を提供することができる。
【0024】また本発明によれば、駆動周波数の制御と
駆動信号のパルス幅制御動作により、負荷が大きく変化
してもその変化に十分対応できる出力電流の制御範囲の
広い、しかも圧電トランスの共振周波数と駆動周波数の
関係をほぼ一定にすることにより駆動効率の高い圧電ト
ランス式インバータ電源装置を提供することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。
【0026】(実施の形態1)図1は本発明の1実施の
形態である圧電トランス式インバータ電源装置のブロッ
ク図である。同図において、圧電トランス4はローゼン
型のものでも、他のタイプのものでも任意の圧電トラン
スでよい。可変発振回路1は圧電トランス4の共振周波
数近傍の共振周波数よりも高い周波数の駆動交流信号を
発生し、可変発振回路1の出力はパルス幅可変回路10
に入力される。パルス幅可変回路10では可変発振回路
1の出力交流信号がパルス幅変調される。そして、圧電
トランス4をパルス波形の駆動信号で駆動すると、共振
周波数近傍の成分以外の高周波成分はすべて圧電トラン
ス4内で熱に変わるので、圧電トランス4の信頼性の点
から、また変換効率の点から、可変発振回路1の出力信
号は波形整形回路2により高周波成分が除去されてほぼ
正弦波に波形整形される。波形整形回路2は簡単な場合
にはローパスフィルタであり、効率を特に重視する場合
にはバンドパスフィルタが用いられる。波形整形回路2
の出力はドライブ回路3で圧電トランス4を駆動するに
充分なレベルに電流増幅あるいは電圧増幅される。ここ
で、ドライブ回路3はトランジスタから成る通常の増幅
回路のみで構成されるか、あるいは増幅回路と昇圧トラ
ンスの組み合せで構成される。ドライブ回路3の出力は
圧電トランス4に入力される。圧電トランス4は圧電効
果により入力電圧を昇圧し、その出力信号は負荷である
冷陰極蛍光灯5に印加され冷陰極蛍光灯5は点灯する。
【0027】ここで、圧電トランス4は周囲温度や負荷
等の環境変化、駆動による温度上昇により共振周波数が
変化するので、一定周波数で圧電トランス4を駆動した
のでは、圧電トランス4の共振周波数と駆動周波数との
関係が変化してしまう。そして、駆動周波数が圧電トラ
ンス4の共振周波数から大きく離れた時には、圧電トラ
ンス4による電圧昇圧比が著しく低下してしまい、負荷
(ここでは冷陰極蛍光灯5)に十分な電圧を印加するこ
とができなくなり、その結果、冷陰極蛍光灯5に充分な
電流を流すことができなくなり、冷陰極蛍光灯5は充分
な輝度を保つことができなくなる。
【0028】図1の回路は圧電トランス5のこの共振周
波数等の特性変化に対応している。冷陰極蛍光灯5には
直列に小さな値の帰還抵抗6が接続され、帰還抵抗6で
冷陰極蛍光灯5に流れる電流検出がなされている。帰還
抵抗6の両端電圧は電流検出回路7に入力され、電流検
出回路7は帰還抵抗6の両端電圧から冷陰極蛍光灯5に
流れる負荷電流を検出し、パルス幅制御回路9に結果を
入力する。パルス幅制御回路9は帰還抵抗6の両端電圧
が一定になるように、つまり冷陰極蛍光灯5に流れる負
荷電流が一定になるように、可変発振回路1の出力信号
のパルス幅をパルス可変回路10により制御する。例え
ば、負荷である冷陰極蛍光灯5の電流が小さくなった時
には帰還抵抗6の両端電圧が低くなり、パルス幅制御回
路9は帰還抵抗6の両端電圧が所定値よりも低くなった
ことを検知し、駆動信号のパルス幅を広くするようにパ
ルス可変回路10に指示を出し、波形整形回路2の出力
信号の振幅値は大きくなり、圧電トランス4の入力が大
きくなり冷陰極蛍光灯5の電流が大きくなる。逆に、冷
陰極蛍光灯5の電流が大きくなった時には帰還抵抗6の
両端電圧が高くなり、パルス幅制御回路9は帰還抵抗6
の両端電圧が所定値よりも高くなったことを検知し、駆
動信号のパルス幅を狭くするようにパルス可変回路10
に指示を出し、波形整形回路2の出力信号の振幅値は小
さくなり、圧電トランス4の入力が小さくなり冷陰極蛍
光灯5の電流が小さくなる。この制御により冷陰極蛍光
灯5の電流はほぼ一定になり、ほぼ一定の輝度で点灯す
る。
【0029】しかし、負荷である冷陰極蛍光灯5の電流
をほぼ一定にするために、上記の駆動信号のパルス幅可
変のみの制御を行なったのでは、駆動周波数と圧電トラ
ンス4の共振周波数との関係がほぼ一定でなくなる可能
性があり、駆動周波数が圧電トランス4の共振周波数か
ら遠く離れた場合には圧電トランス4の駆動効率が著し
く低下する。また、パルス幅可変のみの制御では負荷が
重くなった場合には負荷に十分な電流を流せなくなる場
合がある。そこで、図1の回路では位相検出回路8によ
り圧電トランス4の共振周波数と駆動周波数の関係に制
限を設けている。また、パルス幅制御とともに駆動周波
数の設定範囲内での変化をさせている。
【0030】図2は負荷に流入する圧電トランス5の出
力電流、帰還抵抗6の両端電圧と圧電トランス4の入力
電圧との位相差および駆動効率の周波数特性であり、図
2の特性図を用いて図1の回路の駆動周波数制限動作と
駆動周波数可変動作を説明する。ここで駆動する前にあ
らかじめ位相差の範囲P1〜P2を決めておく。図1の回
路が動作し始めると、可変発振回路1は圧電トランス4
の共振周波数近傍の共振周波数よりも高い周波数の駆動
交流信号を発生する。位相検出回路8は帰還抵抗6の両
端電圧と圧電トランス4の入力電圧との位相差Pを検出
し、この位相差が常にP1以下になるように可変発振回
路1を介して駆動周波数を設定する。初期には動作周波
数は共振周波数よりも充分高いので、位相差はP1以上
であるので駆動周波数は位相差がP1以下で設定範囲P1
〜P2内になるまで低下する。そして、位相検出回路8
の検出結果は、現在、駆動周波数が設定範囲にあるのか
どうかを知らせるためにパルス幅制御回路9にも入力さ
れる。
【0031】位相差が設定範囲P1〜P2内である時に
は、駆動信号のパルス幅可変制御が許可される。つま
り、位相差が設定範囲P1〜P2内であって出力電流が小
さくなった時には、パルス幅制御回路9は駆動信号のパ
ルス幅を広くするようにパルス可変回路10に指示を出
し、波形整形回路2の出力信号の振幅値を大きくする。
逆に、負荷電流が大きくなった時にはパルス幅制御回路
9は駆動信号のパルス幅を狭くするようにパルス可変回
路10に指示を出し、出力信号の振幅値を小さくする。
そして、何らかの理由で位相差が設定範囲P1〜P2外で
1以上になった時には、パルス幅制御回路9の動作を
停止させて、位相差が常に設定範囲P1〜P2内になるよ
うに可変発振回路1を介して駆動周波数を可変して、パ
ルス可変回路10で圧電トランス4の入力を可変する。
【0032】また、ここでは圧電トランス4の共振特性
検出に、圧電トランス4の駆動電圧と負荷である冷陰極
蛍光灯5に流入する電流の位相差をとったが、負荷であ
る冷陰極蛍光灯5の駆動電圧と冷陰極蛍光灯5に流入す
る電流の位相差、圧電トランス4の入出力電圧の位相
差、圧電トランス4の入出力電流の位相差、圧電トラン
ス4の入力電流あるいは出力電流の周波数特性などによ
っても同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0033】上記に説明した駆動信号の可変周波数範囲
を限定して、駆動信号のパルス幅可変動作により、負荷
が変化してもその変化に十分対応できる出力電流の制御
範囲の広い、しかも駆動周波数を圧電トランスの共振特
性から決定した設定範囲内にすることにより、駆動効率
の高い圧電トランス式インバータ電源装置を提供するこ
とができる。
【0034】(実施の形態2) 図3は本発明の2つめ実施の形態である圧電トランス式
インバータ電源装置のブロック図である。同図におい
て、圧電トランス4はローゼン型のものでも、他のタイ
プのものでも任意の圧電トランスでよい。可変発振回路
1は圧電トランス4の共振周波数近傍の駆動交流信号を
発生し、可変発振回路1の出力はパルス幅可変回路10
に入力される。パルス幅可変回路10では可変発振回路
1の出力交流信号がパルス幅変調される。そして、圧電
トランス4をパルス波形の駆動信号で駆動すると、共振
周波数近傍の成分以外の高周波成分はすべて圧電トラン
ス4内で熱に変わるので、圧電トランス4の信頼性の点
から、また変換効率の点から、可変発振回路1の出力信
号は波形整形回路2により高周波成分が除去されてほぼ
正弦波に波形整形される。波形整形回路2は簡単な場合
にはローパスフィルタであり、効率を特に重視する場合
にはバンドパスフィルタが用いられる。波形整形回路2
の出力はドライブ回路3で圧電トランス4を駆動するに
充分なレベルに電流増幅あるいは電圧増幅される。ここ
で、ドライブ回路3はトランジスタから成る通常の増幅
回路のみで構成されるか、あるいは増幅回路と昇圧トラ
ンスの組み合せで構成される。ドライブ回路3の電源は
DC−DCコンバータ11の出力であり、ドライブ回路
3の出力は圧電トランス4に入力される。圧電トランス
4は圧電効果により入力電圧を昇圧し、その出力信号は
負荷である冷陰極蛍光灯5に印加され冷陰極蛍光灯5は
点灯する
【0035】ここで、圧電トランス4は周囲温度や負荷
等の環境変化、駆動による温度上昇により共振周波数が
変化するので、一定周波数で圧電トランス4を駆動した
のでは、圧電トランス4の共振周波数と駆動周波数との
関係が変化してしまう。駆動周波数が圧電トランス4の
共振周波数から大きく離れた時には、圧電トランス4に
よる電圧昇圧比が著しく低下してしまい、負荷である冷
陰極蛍光灯5に十分な電圧を印加することができなくな
り、充分な電流を流すことができなくなり、冷陰極蛍光
灯5は充分な輝度を保つことができなくなる。従って、
圧電トランス4の駆動周波数は共振周波数から大きく離
さないようにする必要がある。
【0036】図3の回路は圧電トランス5の共振周波数
等の特性変化に対応している。冷陰極蛍光灯5には直列
に小さな値の帰還抵抗6が接続され、帰還抵抗6で冷陰
極蛍光灯5に流れる電流検出がなされている。帰還抵抗
6の両端電圧は電流検出回路7に入力され、電流検出回
路7は帰還抵抗6の両端電圧から冷陰極蛍光灯5に流れ
る負荷電流を検出し、パルス幅制御回路9に結果を入力
する。パルス幅制御回路9は帰還抵抗6の両端電圧が一
定になるように、つまり冷陰極蛍光灯5に流れる負荷電
流が一定になるように、可変発振回路1の出力信号のパ
ルス幅をパルス可変回路10により制御する。例えば、
冷陰極蛍光灯5の電流が小さくなった時には帰還抵抗6
の両端電圧が低くなり、パルス幅制御回路9は帰還抵抗
6の両端電圧が所定値よりも低くなったことを検知し、
駆動信号のパルス幅を広くするようにパルス可変回路1
0に指示を出し、波形整形回路2の出力信号の振幅値は
大きくなり、圧電トランス4の入力が大きくなり冷陰極
蛍光灯5の電流が大きくなる。逆に、冷陰極蛍光灯5の
電流が大きくなった時には帰還抵抗6の両端電圧が高く
なり、パルス幅制御回路9は帰還抵抗6の両端電圧が所
定値よりも高くなったことを検知し、駆動信号のパルス
幅を狭くするようにパルス可変回路10に指示を出し、
波形整形回路2の出力信号の振幅値は小さくなり、圧電
トランス4の入力が小さくなり冷陰極蛍光灯5の電流が
小さくなる。この制御により冷陰極蛍光灯5の電流はほ
ぼ一定になり、ほぼ一定の輝度で点灯する。
【0037】しかし、パルス幅制御回路9は帰還抵抗6
の両端電圧が一定になるように、つまり冷陰極蛍光灯5
に流れる負荷電流が一定になるように、可変発振回路1
の出力信号のパルス幅をパルス可変回路10により制御
するだけでは、冷陰極蛍光灯5のインピーダンスが極め
て小さくなった時には、圧電トランス4の出力電圧を小
さくしなければならず、このために駆動信号のパルス幅
を極めて小さくしなければならない。この時には、駆動
信号の高調波成分が極めて大きくなってしまうので圧電
トランス4内での損失が大きくなり、圧電トランス4の
駆動効率が低くなり、また信頼性も極めて低下する。
【0038】図4は出力負荷電流、帰還抵抗6の両端電
圧と圧電トランス4の入力電圧との位相差および駆動効
率の周波数特性であり、図4の特性図を用いて図3の回
路動作を説明する。例えば、負荷である冷陰極蛍光灯5
のインピーダンスが極めて小さくなった時には、圧電ト
ランス4の駆動電圧が一定でも出力電流は出力電流1の
特性になり、出力電流特性が大きくなりすぎるため、駆
動信号のパルス幅が狭くするようにパルス幅制御回路9
がパルス幅可変回路10に指令を出すと同時にDC−D
Cコンバータ11に指令を出す。パルス幅が狭くなり過
ぎるようだったらDC−DCコンバータ11は出力直流
電圧を低下させる。この低下した直流電圧をドライブ回
路3に直流電源として供給する。そして、電流特性は出
力電流1から出力電流2の特性に移行し駆動信号のパル
ス幅は通常の広さに戻る。反対に、負荷である冷陰極蛍
光灯5のインピーダンスが極めて大きくなった時には、
圧電トランス4の駆動電圧をパルス幅を広くして大きく
しても出力電流は出力電流3の特性になり、駆動信号の
パルス幅が広くしても十分な出力電流を取り出すことが
できなくなる。パルス幅制御回路がパルス幅可変回路
10に指令を出すと同時にDC−DCコンバータ11に
指令を出す。DC−DCコンバータ11は出力直流電圧
を上昇させる。この上昇させた直流電圧をドライブ回路
3に直流電源として供給する。つまり、DC−DCコン
バータ11による直流電圧の変換は、駆動信号のパルス
幅がある範囲外になった時に実行するようにしてある。
【0039】そして、上記の駆動信号のパルス幅可変と
直流電源可変のみの制御では、駆動周波数と圧電トラン
ス4の共振周波数との関係がほぼ一定でなくなる可能性
があり、駆動周波数が圧電トランス4の共振周波数から
遠く離れた場合には圧電トランス4の駆動効率が著しく
低下するか、パルス幅可変直流電源可変のみの制御では
負荷に十分な電流を流せなくなるので、位相検出回路8
により圧電トランス4の共振周波数と駆動周波数の関係
に制限を設けている。つまり、あらかじめ駆動範囲を圧
電トランスの共振周波数から設定範囲P1〜P2内に設定
する。位相検出回路8は帰還抵抗6の両端電圧と圧電ト
ランス4の入力電圧との位相差Pを検出し、この位相差
が常に設定範囲P1〜P2内になるように可変発振回路1
を介して駆動周波数を設定する。図4の特性時には駆動
周波数の範囲は設定範囲P1〜P2に対応した設定範囲f
1〜f2になる。そして、位相検出回路8の検出結果は、
現在、駆動周波数が設定範囲にあるのかどうかを知らせ
るためにパルス幅制御回路9にも入力される。位相差が
設定範囲P1〜P2内にある時には、上記に説明した駆動
信号のパルス幅可変と直流電源可変制御が行われ、出力
電流は図4の出力電流1、2、3のように変化する。つ
まり、出力電流が小さくなった時にはパルス幅制御回路
9は駆動信号のパルス幅を広くするようにパルス可変回
路10に指示を出すか、DC−DCコンバータ11は出
力直流電圧を上昇させるように指示を出し、波形整形回
路2の出力信号の振幅値を大きくする。逆に、電流が大
きくなった時にはパルス幅制御回路9は駆動信号のパル
ス幅を狭くするようにパルス可変回路10に指示を出す
か、DC−DCコンバータ11は出力直流電圧を低下さ
せるように指示を出し、出力信号の振幅値を小さくす
る。そして、位相差が設定範囲P1〜P2外になった時に
は、パルス幅制御回路9の動作を停止させて、位相差が
常にP1以下になるように可変発振回路1を介して駆動
周波数を可変して、その後にパルス可変回路10とDC
−DCコンバータ11で圧電トランス4の入力電圧を可
変する。
【0040】ここでは圧電トランス4の共振特性検出
に、圧電トランス4の駆動電圧と負荷である冷陰極蛍光
灯5に流入する電流の位相差をとったが、負荷である冷
陰極蛍光灯5の駆動電圧と冷陰極蛍光灯5に流入する電
流の位相差、圧電トランス4の入出力電圧の位相差、圧
電トランス4の入出力電流の位相差、圧電トランス4の
入力あるいは出力電流の周波数特性の傾きなどによって
も同様の効果が得られることは言うまでもない。上記に
説明した駆動信号のパルス幅制御および直流電源の制御
動作に動作により、負荷が大きく変化してもその変化に
十分対応できる出力電流の制御範囲の広い、しかも駆動
周波数の制御により圧電トランスの共振周波数と駆動周
波数の関係をほぼ一定にすることにより駆動効率の高い
圧電トランス式インバータ電源装置を提供することがで
きる。
【0041】(実施の形態3)図5は本発明の3つめの
実施の形態である圧電トランス式インバータ電源装置の
ブロック図である。同図において、圧電トランス4はロ
ーゼン型のものでも、他のタイプのものでも任意の圧電
トランスでよい。可変発振回路1は圧電トランス4の共
振周波数近傍の駆動交流信号を発生し、可変発振回路1
の出力はパルス幅可変回路10に入力される。パルス幅
可変回路10では可変発振回路1の出力交流信号がパル
ス幅変調される。そして、圧電トランス4をパルス波形
の駆動信号で駆動すると、共振周波数近傍の成分以外の
高周波成分はすべて圧電トランス4内で熱に変わるの
で、圧電トランス4の信頼性の点から、また変換効率の
点から、可変発振回路1の出力信号は波形整形回路2に
より高周波成分が除去されてほぼ正弦波に波形整形され
る。波形整形回路2は簡単な場合にはローパスフィルタ
であり、効率を特に重視する場合にはバンドパスフィル
タが用いられる。波形整形回路2の出力はドライブ回路
3で圧電トランス4を駆動するに充分なレベルに電流増
幅あるいは電圧増幅される。ここで、ドライブ回路3は
トランジスタから成る通常の増幅回路のみで構成される
か、あるいは増幅回路と昇圧トランスの組み合せで構成
される。ドライブ回路3の出力は圧電トランス4に入力
される。圧電トランス4は圧電効果により入力電圧を昇
圧し、その出力信号は冷陰極蛍光灯5に印加され冷陰極
蛍光灯5は点灯する。
【0042】ここで、圧電トランス4は周囲温度や負荷
等の環境変化、駆動による温度上昇により共振周波数等
の特性が変化するので、一定周波数で圧電トランス4を
駆動したのでは、圧電トランス4の共振周波数と駆動周
波数との関係が変化してしまう。駆動周波数が圧電トラ
ンス4の共振周波数から大きく離れた時には、圧電トラ
ンス4による電圧昇圧比が著しく低下してしまい、負荷
に十分な電圧を印加することができなくなる結果冷陰極
蛍光灯5に充分な電流を流すことができなくなり、冷陰
極蛍光灯5は充分な輝度を保つことができなくなる。
【0043】図5の回路は圧電トランス5の共振周波数
等の特性変化に対応している。冷陰極蛍光灯5には直列
に小さな値の帰還抵抗6が接続され、帰還抵抗6で冷陰
極蛍光灯5に流れる電流検出がなされている。帰還抵抗
6の両端電圧は電流検出回路7に入力され、電流検出回
路7は帰還抵抗6の両端電圧から冷陰極蛍光灯5に流れ
る負荷電流を検出し、パルス幅制御回路9に結果を入力
する。パルス幅制御回路9は帰還抵抗6の両端電圧が一
定になるように、つまり冷陰極蛍光灯5に流れる負荷電
流が一定になるように、可変発振回路1の出力信号のパ
ルス幅をパルス可変回路10により制御する。例えば、
冷陰極蛍光灯5の電流が小さくなった時には帰還抵抗6
の両端電圧が低くなり、パルス幅制御回路9は帰還抵抗
6の両端電圧が所定値よりも低くなったことを検知し、
駆動信号のパルス幅を広くするようにパルス可変回路1
0に指示を出し、波形整形回路2の出力信号の振幅値は
大きくなり、圧電トランス4の入力が大きくなり冷陰極
蛍光灯5の電流が大きくなる。逆に、冷陰極蛍光灯5の
電流が大きくなった時には帰還抵抗6の両端電圧が高く
なり、パルス幅制御回路9は帰還抵抗6の両端電圧が所
定値よりも高くなったことを検知し、駆動信号のパルス
幅を狭くするようにパルス可変回路10に指示を出し、
波形整形回路2の出力信号の振幅値は小さくなり、圧電
トランス4の入力が小さくなり冷陰極蛍光灯5の電流が
小さくなる。この制御により冷陰極蛍光灯5の電流はほ
ぼ一定になり、ほぼ一定の輝度で点灯する。
【0044】しかし、パルス幅制御回路9は帰還抵抗6
の両端電圧が一定になるように、つまり冷陰極蛍光灯5
に流れる負荷電流が一定になるように、可変発振回路1
の出力信号のパルス幅をパルス可変回路10により制御
するだけでは、冷陰極蛍光灯5のインピーダンスが極め
て小さくなった時には、駆動信号のパルス幅が極めて小
さくなってしまう。この時には、駆動信号の高調波成分
が極めて大きくなってしまうので圧電トランス4内での
損失が大きくなり、圧電トランス4の駆動効率が低くな
り、また信頼性も極めて低下する。ここで、図6は出力
負荷電流、帰還抵抗6の両端電圧と圧電トランス4の入
力電圧との位相差および駆動効率の周波数特性であり、
図6の特性図を用いて図5の回路動作を説明する。例え
ば、負荷である冷陰極蛍光灯5のインピーダンスが極め
て小さくなった時には、圧電トランス4の駆動電圧が一
定でも出力電流は出力電流1の特性になり、出力電流特
性が大きくなりすぎるため、駆動信号のパルス幅が狭く
するようにパルス幅制御回路9がパルス幅制御回路10
に指令を出すと同時に昇圧比可変回路12を介して昇圧
トランス13の昇圧比を可変する。つまり、パルス幅が
狭くなり過ぎるようだったら昇圧トランス13の昇圧比
を低下させる。そして、電流特性は出力電流1から出力
電流2の特性に移行し駆動信号のパルス幅は通常の広さ
に戻る。反対に、負荷である冷陰極蛍光灯5のインピー
ダンスが極めて大きくなった時には、圧電トランス4の
駆動電圧をパルス幅を広くして大きくしても出力電流は
出力電流3の特性になり、駆動信号のパルス幅が広くし
ても十分な出力電流を取り出すことができなくなる。パ
ルス幅制御回路9がパルス幅制御回路10に指令を出す
と同時に昇圧比可変回路12を介して昇圧トランス13
の昇圧比を上昇させて、電流特性を出力電流3から出力
電流2の特性に移行させ駆動信号のパルス幅を通常の広
さに戻し、この上昇させた駆動電圧を圧電トランス4に
供給する
【0045】そして、上記の駆動信号のパルス幅可変と
昇圧比可変のみの制御では、駆動周波数と圧電トランス
4の共振周波数との関係がほぼ一定でなくなる可能性が
あり、駆動周波数が圧電トランス4の共振周波数から遠
く離れた場合には圧電トランス4の駆動効率が著しく低
下するか、パルス幅可変のみの制御では負荷に十分な電
流を流せなくなる。そこで、図5の回路では位相検出回
路8により圧電トランス4の共振周波数と駆動周波数の
関係に制限を設けている。帰還抵抗6の両端電圧と圧電
トランス4の入力電圧との位相差Pの動作範囲を設定範
囲P1〜P2にしている。これは、図6の特性時には駆動
周波数を周波数範囲f1〜f2に設定することになる。
【0046】図6の特性図を用いて図5の回路動作を説
明する。位相検出回路8は帰還抵抗6の両端電圧と圧電
トランス4の入力電圧との位相差Pを検出し、この位相
差が常に設定範囲P1〜P2内になるように可変発振回路
1を介して駆動周波数を設定する。そして、位相検出回
路8の検出結果は、現在、駆動周波数が設定範囲にある
のかどうかを知らせるためにパルス幅制御回路9にも入
力される。位相差が設定範囲P1〜P2内にある時には、
上記に説明した駆動信号のパルス幅可変と昇圧トランス
による昇圧比可変制御が行われる。つまり、出力電流が
小さくなった時にはパルス幅制御回路9は駆動信号のパ
ルス幅を広くするようにパルス可変回路10に指示を出
すか、昇圧トランス13の昇圧比を上昇させるように指
示を出し、波形整形回路2の出力信号の振幅値を大きく
する。逆に、電流が大きくなった時にはパルス幅制御回
路9は駆動信号のパルス幅を狭くするようにパルス可変
回路10に指示を出すか、昇圧トランス13の昇圧比を
低下させるように指示を出し、出力信号の振幅値を小さ
くする。そして、位相差が設定範囲P1〜P2外になった
時には、パルス幅制御回路9の動作を停止させて、位相
差が常に設定範囲P 1〜P2内になるように可変発振回路
1を介して駆動周波数を可変した後に、パルス可変回路
10と昇圧比可変回路12で圧電トランス4の入力を可
変する。
【0047】ここでは圧電トランス4の共振特性検出
に、圧電トランス4の駆動電圧と負荷である冷陰極蛍光
灯5に流入する電流の位相差をとったが、負荷である冷
陰極蛍光灯5の駆動電圧と冷陰極蛍光灯5に流入する電
流の位相差、圧電トランス4の入出力電圧の位相差、圧
電トランス4の入出力電流の位相差、圧電トランス4の
入力あるいは出力電流の周波数特性の傾きなどによって
も同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0048】上記に説明した駆動信号のパルス幅制御お
よび昇圧比の制御動作に動作により、負荷が大きく変化
してもその変化に十分対応できる出力電流の制御範囲の
広い、しかも駆動周波数の制御により圧電トランスの共
振周波数と駆動周波数の関係をほぼ一定にすることによ
り駆動効率の高い圧電トランス式インバータ電源装置を
提供することができる。
【0049】(実施の形態4)図7は本発明の4つめの
実施の形態である圧電トランス式インバータ電源装置の
ブロック図である。同図において、圧電トランス4はロ
ーゼン型のものでも、他のタイプのものでも任意タイプ
の圧電トランスでよい。可変発振回路1は圧電トランス
4の共振周波数近傍の駆動交流信号を発生し、可変発振
回路1の出力はパルス幅可変回路10に入力される。パ
ルス幅可変回路10では可変発振回路1の出力交流信号
がパルス幅変調される。そして、圧電トランス4をパル
ス波形の駆動信号で駆動すると、共振周波数近傍の成分
以外の高周波成分はすべて圧電トランス4内で熱に変わ
るので、圧電トランス4の信頼性の点から、また変換効
率の点から、可変発振回路1の出力信号は波形整形回路
2により高周波成分が除去されてほぼ正弦波に波形整形
される。波形整形回路2は簡単な場合にはローパスフィ
ルタであり、効率を特に重視する場合にはバンドパスフ
ィルタが用いられる。波形整形回路2の出力はドライブ
回路3で圧電トランス4を駆動するに充分なレベルに電
流増幅あるいは電圧増幅される。ここで、ドライブ回路
3はトランジスタから成る通常の増幅回路のみで構成さ
れるか、あるいは増幅回路と昇圧トランスの組み合せで
構成される。ドライブ回路3の出力は圧電トランス4に
入力される。圧電トランス4は圧電効果により入力電圧
を昇圧し、その出力信号である高圧交流電圧は負荷であ
る冷陰極蛍光灯5に印加され冷陰極蛍光灯5は点灯す
る。
【0050】ここで、圧電トランス4は周囲温度や負荷
等の環境変化、駆動による温度上昇により共振周波数等
の特性が変化するので、一定周波数で圧電トランス4を
駆動したのでは、圧電トランス4の共振周波数と駆動周
波数との関係が変化してしまう。そして、駆動周波数が
圧電トランス4の共振周波数から大きく離れた時には、
圧電トランス4による電圧昇圧比が著しく低下してしま
い、負荷に十分な電圧を印加することができなくなる結
果、負荷である冷陰極蛍光灯5に充分な電流を流すこと
ができなくなり、冷陰極蛍光灯5は充分な輝度を保つこ
とができなくなる。
【0051】図7の回路は圧電トランス5の共振周波数
の変化に対応している。冷陰極蛍光灯5には直列に小さ
な値の帰還抵抗6が接続され、帰還抵抗6で冷陰極蛍光
灯5に流れる電流検出がなされている。帰還抵抗6の両
端電圧は電流検出回路7に入力され、電流検出回路7は
帰還抵抗6の両端電圧から冷陰極蛍光灯5に流れる負荷
電流を検出しパルス幅制御回路9に結果を入力する。パ
ルス幅制御回路9は帰還抵抗6の両端電圧が一定になる
ように、つまり冷陰極蛍光灯5に流れる負荷電流が一定
になるように、可変発振回路1の出力信号のパルス幅を
パルス可変回路10により制御する。例えば、冷陰極蛍
光灯5の電流が小さくなった時には帰還抵抗6の両端電
圧が低くなり、パルス幅制御回路9は帰還抵抗6の両端
電圧が所定値よりも低くなったことを検知し、駆動信号
のパルス幅を広くするようにパルス可変回路10に指示
を出し、波形整形回路2の出力信号の振幅値は大きくな
り、圧電トランス4の入力が大きくなり冷陰極蛍光灯5
の電流が大きくなる。逆に、冷陰極蛍光灯5の電流が大
きくなった時には帰還抵抗6の両端電圧が高くなり、パ
ルス幅制御回路9は帰還抵抗6の両端電圧が所定値より
も高くなったことを検知し、駆動信号のパルス幅を狭く
するようにパルス可変回路10に指示を出し、波形整形
回路2の出力信号の振幅値は小さくなり、圧電トランス
4の入力が小さくなり冷陰極蛍光灯5の電流が小さくな
る。この制御により負荷などが変動しても冷陰極蛍光灯
5の電流はほぼ一定になり、ほぼ一定の輝度で点灯す
る。
【0052】しかし、上記の駆動信号のパルス幅可変の
みの制御では、駆動周波数と圧電トランス4の共振周波
数との関係がほぼ一定でなくなる可能性があり、駆動周
波数が圧電トランス4の共振周波数から遠く離れた場合
には圧電トランス4の駆動効率が著しく低下するか、パ
ルス幅可変のみの制御では負荷に十分な電流を流せなく
なる。そこで、図7の回路では位相検出回路8により圧
電トランス4の共振周波数と駆動周波数の関係に制限を
設けていると同時に、電流検出回路7の出力を可変発振
回路1にも入力して、圧電トランス4の共振周波数と駆
動周波数の関係に制限を設けると同時に、駆動周波数を
限られた範囲内で可変している。
【0053】図8は負荷に流入する圧電トランス4の出
力電流、帰還抵抗6の両端電圧と圧電トランス4の入力
電圧との位相差および駆動効率の周波数特性であり、図
8の特性図を用いて図7の回路の駆動周波数制限動作と
駆動周波数可変動作を説明する。ここで駆動する前にあ
らかじめ位相差の範囲P1〜P2を決めておく。図1の回
路が動作し始めると、可変発振回路1は圧電トランス4
の共振周波数近傍の共振周波数よりも高い周波数の駆動
交流信号を発生する。位相検出回路8は帰還抵抗6の両
端電圧と圧電トランス4の入力電圧との位相差Pを検出
し、この位相差が常にP1以下になるように可変発振回
路1を介して駆動周波数を設定する。初期には動作周波
数は共振周波数よりも充分高いので、位相差はP1以上
であるので駆動周波数は位相差がP1以下になるまで低
下する。そして、位相検出回路8の検出結果は、現在、
駆動周波数が設定範囲にあるのかどうかを知らせるため
にパルス幅制御回路9にも入力される。
【0054】位相差が設定範囲P1〜P2内である時に
は、駆動信号のパルス幅可変制御が許可される。つま
り、位相差が設定範囲P1〜P2内であって出力電流が小
さくなった時には、パルス幅制御回路9は駆動信号のパ
ルス幅を広くするようにパルス可変回路10に指示を出
し、波形整形回路2の出力信号の振幅値を大きくする。
そして、位相差が設定範囲P1〜P2内であって駆動信号
のパルス幅を広くしても出力電流がまだ所定値よりも小
さい時には、位相差の範囲P1〜P2に対応する周波数設
定範囲内f1〜f2で駆動周波数を低下させて出力電圧を
増加して出力電流を増加する。逆に、負荷電流が大きく
なった時にはパルス幅制御回路9は駆動信号のパルス幅
を狭くするようにパルス可変回路10に指示を出し、出
力信号の振幅値を小さくする。そして、位相差が設定範
囲P1〜P2内であって駆動信号のパルス幅を狭くしても
出力電流がまだ所定値よりも大きい時には、位相差の範
囲P1〜P2に対応する周波数設定範囲内f1〜f2で駆動
周波数を増加させて出力電流を低下させる。そして、何
らかの理由で位相差がP1以上になった時には、パルス
幅制御回路9の動作を停止させて、位相差が常にP1
下になるように可変発振回路1を介して駆動周波数を可
変して、パルス可変回路10で圧電トランス4の入力を
可変する。
【0055】ここでは圧電トランス4の共振特性検出
に、圧電トランス4の駆動電圧と負荷である冷陰極蛍光
灯5に流入する電流の位相差をとったが、負荷である冷
陰極蛍光灯5の駆動電圧と冷陰極蛍光灯5に流入する電
流の位相差、圧電トランス4の入出力電圧の位相差、圧
電トランス4の入出力電流の位相差、圧電トランス4の
入力あるいは出力電流の周波数特性などによっても同様
の効果が得られることは言うまでもない。
【0056】上記に説明した駆動信号の可変周波数範囲
を限定して、駆動信号のパルス幅可変動作と駆動周波数
可変動作により、負荷が大きく変化してもその変化に十
分対応できる出力電流の制御範囲の広い、しかも駆動周
波数の可変範囲を圧電トランスの共振特性から決定した
設定範囲内にすることにより、駆動効率の高い圧電トラ
ンス式インバータ電源装置を提供することができる。
【0057】
【発明の効果】以上述べたところから明らかなように、
本発明は、電源電圧が大きく変化したり、圧電トランス
の負荷が大きく変化した時にも変化に十分に対応して、
駆動効率の高い、信頼性が高く寿命が長いという条件を
備えた圧電トランス式インバータ電源装置を実現でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による圧電トランス式インバータ電源装
置の実施の形態1のブロック図
【図2】出力負荷電流、帰還抵抗の両端電圧と圧電トラ
ンスの入力電圧との位相差および駆動効率の周波数特性
【図3】本発明による圧電トランス式インバータ電源装
置の実施の形態2のブロック図
【図4】出力負荷電流、帰還抵抗の両端電圧と圧電トラ
ンスの入力電圧との位相差および駆動効率の周波数特性
【図5】本発明による圧電トランス式インバータ電源装
置の実施の形態3のブロック図
【図6】出力負荷電流、帰還抵抗の両端電圧と圧電トラ
ンスの入力電圧との位相差および駆動効率の周波数特性
【図7】本発明による圧電トランス式インバータ電源装
置の実施の形態4のブロック図
【図8】出力負荷電流、帰還抵抗の両端電圧と圧電トラ
ンスの入力電圧との位相差および駆動効率の周波数特性
【図9】従来のローゼン型圧電トランスの構造図
【図10】従来の圧電トランス式インバータ電源装置の
ブロック図
【図11】従来の別の圧電トランス式インバータ電源装
置のブロック図
【図12】従来の別の圧電トランス式インバータ電源装
置のブロック図
【符号の説明】
1 可変発振回路 2 波形整形回路 3 ドライブ回路 4 圧電トランス 5 冷陰極蛍光灯 6 帰還抵抗 7 電流検出回路 8 位相検出回路 9 パルス幅制御回路 10 パルス幅可変回路 11 DC−DCコンバータ 12 昇圧比可変回路 13 昇圧トランス

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可変発振手段とパルス幅可変手段と駆動
    手段と圧電トランスと発振周波数制御手段とパルス幅制
    御手段と負荷電流検出手段とからなる圧電トランス式イ
    ンバータ電源装置であって、 可変発振手段、パルス幅可変手段、駆動手段、圧電トラ
    ンスの順で接続されており、圧電トランスの出力電極に
    は、負荷と負荷電流検出手段が接続され、 可変発振手段は、発振周波数制御手段からの出力信号を
    受け、前記制御手段が決定する周波数のパルス信号をパ
    ルス幅可変手段へ出力し、 パルス幅可変手段は、パルス幅制御手段の出力信号と可
    変発振手段からのパルス信号とが入力され、前記パルス
    信号の幅をパルス幅制御手段が決定する値に整形するも
    のであり、 起動時には、パルス幅制御手段からの出力を固定値にし
    たままで、発振周波数制御手段が高い周波数から圧電ト
    ランスの共振周波数の方向へ周波数が時間的に減少する
    掃引動作を実行し、 発振周波数制御手段の出力信号が前記共振周波数の所定
    近傍内に到達したことを条件として、掃引動作を停止
    し、周波数固定の条件下で定電流制御へと移行し、 定電流制御は、パルス幅制御手段が、負荷電流検出手段
    からの出力信号が目標電流値となるように、可変のパル
    ス幅指令信号をパルス幅可変手段に出力することでなす
    圧電トランス式インバータ電源装置。
  2. 【請求項2】 請求項1の圧電トランス式インバータ電
    源装置に対して、 駆動手段を、電源電圧が調整可能なDC−DCコンバー
    タとスイッチング手段とから構成し、 パルス幅制御手段に、パルス幅指令信号の出力値を所定
    の下限値と比較し、下限値以下を示す場合に有意信号を
    発生する手段を新たに設け、 前記有意信号の発生を条件として、DC−DCコンバー
    タの出力電圧を低下側に調整する 圧電トランス式インバ
    ータ電源装置。
  3. 【請求項3】 請求項1の圧電トランス式インバータ電
    源装置に対して、 駆動手段を、昇圧比調整可能な昇圧トランスとスイッチ
    ング手段とから構成し、 パルス幅制御手段に、パルス幅指令信号の出力値を所定
    の下限値と比較し、下限値以下を示す場合に有意信号を
    発生する手段を新たに設け、 前記有意信号の発生を条件として、昇圧トランスの昇圧
    比を低下側に調整する 圧電トランス式インバータ電源装
    置。
  4. 【請求項4】 請求項1の、発振周波数制御手段の出力
    信号が前記共振周波数の所定近傍内に到達したことを検
    出するための手段が、 前記圧電トランスの駆動信号と前記負荷に流入する電流
    の位相差、 前記負荷への印加電圧と前記負荷に流入する電流の位相
    差、 前記圧電トランスの入出力電圧の位相差、 前記圧電トランスの入出力電流の位相差、 前記圧電トランスの入力あるいは出力電流の周波数特性
    の傾き、 のいずれかを検出する手段である特徴とする請求項1〜
    のいずれかに記載の圧電トランス式インバータ電源装
    置。
  5. 【請求項5】請求項1〜のいずれかに記載の圧電トラ
    ンス式インバータ電源装置を電源とし、前記負荷が蛍光
    灯であり、その蛍光灯はックライトに利用されること
    を特徴とする液晶表示装置。
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