JP3399654B2 - 水溶性ビタミン高含有溶液の製造方法 - Google Patents

水溶性ビタミン高含有溶液の製造方法

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JP3399654B2 JP21043794A JP21043794A JP3399654B2 JP 3399654 B2 JP3399654 B2 JP 3399654B2 JP 21043794 A JP21043794 A JP 21043794A JP 21043794 A JP21043794 A JP 21043794A JP 3399654 B2 JP3399654 B2 JP 3399654B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、米糠から調製される水
溶性ビタミン高含有溶液の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、日本においては、食生活が非常に
豊かになってきた。しかし、食生活が豊かになったから
といって、全ての人々が、必要な栄養素をまんべんなく
摂取しているかというとそうではなく、食物が豊かであ
るがゆえに、例えば、偏食したり、また、一方では自分
の好みの食品のみを過食したりなど、偏った栄養素のみ
過剰に摂取し、特定の栄養素は不足していることも多
い。また、インスタント食品、冷凍食品等の保存食品
や、調理済食品等の普及により、新鮮な食品材料にのみ
含まれている栄養素の摂取不足も生じている。このよう
な場合に特に不足しがちな栄養素の一つとして、水溶性
のビタミン類が挙げられる。
【0003】これらのビタミン類の不足を補うために、
各種のビタミン剤や、ビタミン含有飲料等が市販されて
いる。
【0004】一方、米は、古くから、日本人、広くはア
ジア人の主食として食されている。現在、一般的に食さ
れている白米は、玄米を精米して、8重量%内外の米糠
を除去したものである。この米糠は、果皮、種皮、糊粉
層、胚芽等からなり、表1に示すように非常に栄養豊富
であるが、特有の色、臭気(不快臭)、味(苦味、えが
らっぽい味)を有し、難消化性であることから、その一
部が搾油されるか飼料として用いられているだけで、大
半は破棄されている。また、玄米は、専用の炊飯器が必
要となり、得られたご飯の食感がボソボソとしているた
め、あまり食されていないのが現状である。なお、表1
は、「日本食品成分表(四訂版)、科学技術庁資源調査
編」による、玄米、白米及び米糠の可食部100 g当たり
の各種成分の値を示す。
【0005】
【表1】
【0006】このように栄養豊かで、現代人に不足しが
ちなビタミン類をバランスよく含んでいる玄米や米糠
を、汎用性のある飲食物に利用しようとする試みもなさ
れている。例えば、特開昭60−94057号には、赤
糠、中白糠を水に混合し、液化酵素及び糖化酵素を用い
て分解し、その上澄液を用いて乳酸発酵させる米糠乳酸
菌飲料の製造法が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、各種
のビタミン剤や、ビタミン含有飲料等により、ビタミン
類の不足を補おうとする場合、特定のビタミンのみを過
剰に摂取することになったり、他の食品の栄養素とのバ
ランスを考えて摂取することが困難であったりするとい
う問題があった。
【0008】一方、米糠及び/又は玄米の栄養素を利用
しようとする試みも、米糠の難消化性、すなわちその組
織の硬さや緻密性、及び色、臭い、味の問題点等を解決
するには至っていないという問題があった。例えば特開
昭60−94057号に開示された方法では、赤糠、中
白糠等を液化酵素及び糖化酵素で分解しているが、その
ような酵素処理だけでは、米糠の有する栄養分を効果的
に抽出することはできなかった。
【0009】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたも
ので、その目的は、米糠を原料として、その有する栄養
分、特に水溶性ビタミン類が効果的に抽出されると共
に、米糠の悪臭や悪味が著しく軽減された水溶性ビタミ
ン高含有溶液の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するため鋭意研究した結果、米糠を、特定の数種
の酵素で処理し、油脂部分を除去し、更に乳酸発酵させ
ることにより、米糠の悪臭や悪味が著しく軽減されると
共に、原料中に含まれている以上の多量の水溶性ビタミ
ンが抽出された溶液が得られることを見出し、本発明を
完成させるに至った。
【0011】すなわち、本発明のビタミン高含有溶液の
製造方法は、米糠に水を加えた後、液化型アミラーゼを
加えて加熱処理することにより、予め澱粉を液化する工
程と、この処理液にセルラーゼ、プロテアーゼ及び糖化
型アミラーゼを加えて酵素処理する工程と、この処理液
を遠心分離又は濾過して油脂部分を除去する工程と、こ
の処理液に乳酸菌を接種して発酵させる工程とを含むこ
とを特徴とする。
【0012】以下、本発明について、好ましい態様を挙
げて詳細に説明する。本発明においては、米糠を主原料
として用いる。米糠としては、玄米を白米に精米する課
程で除去される、米の種皮、糊粉層、胚芽等を含む通常
の米糠をそのまま用いることができる。米糠は、上記し
た表1に示されるような栄養素を含有している。なお、
糠は、新鮮なものを用いるのが好ましい。
【0013】本発明においては、主原料として米糠を
いるが、更に、小麦ふすま、トウモロコシ外皮、オカラ
等を副原料として添加することもできる。これらの副原
料の配合割合は、原料全体に対して1〜50重量%が好ま
しい。
【0014】本発明においては、まず、最初の工程にお
いて、米糠に、必要に応じて副原料を配合した後、水を
加え、次いで、液化型アミラーゼを加えてよく混合し、
加熱処理することにより、予め澱粉をある程度まで分解
して液化する。水の添加量は、原料全体に対して0.5 〜
100 重量倍が好ましい。加熱処理は、始め10〜90℃まで
は、3〜60分間程度かけてゆっくり加熱し、その後、2
〜30分間沸騰を続けるのが好ましい。このようにして加
熱処理することにより、原料中の澱粉がα化されると共
にある程度まで分解して液化され、後の工程で糊化する
のが防止される。なお、液化型アミラーゼとしては、α
−アミラーゼが好ましく用いられる。
【0015】このようにして最初の工程を終えた後、次
の工程において、セルラーゼ、プロテアーゼ及び糖化型
アミラーゼを加えて更に酵素処理する。セルラーゼによ
り糠の組織の細胞壁が分解され、プロテアーゼにより蛋
白質が分解される。更に、糖化型アミラーゼにより、上
記工程で液化された澱粉が、グルコースなどに糖化され
る。糖化型アミラーゼとしては、グルコアミラーゼが好
ましく用いられる。なお、この工程においても、液化型
アミラーゼと糖化型アミラーゼとを併用して分解しても
よい。なお、これらの酵素は、いずれも市販されている
ので、その中から適宜選択して用いることができる。
【0016】酵素処理は、それぞれの酵素に応じた添加
量、温度、pH、時間を選択して行えばよく、処理条件
が同じであれば同時に添加して処理することもでき、ま
た、一種又は二種以上を添加して、二回以上に分けて処
理することもできる。なお、後に実施例で示すように、
この酵素処理により、各種ビタミン量が増加する。
【0017】酵素処理を終えた処理液は、次の工程にお
いて、遠心分離又は濾過により、油脂部分を除去する。
例えば遠心分離すると、水不溶性の沈殿物からなる下層
と、水溶液からなる上層と、油脂部分からなる最上層と
に分れるので、油脂部分からなる最上層を除くことがで
きる。このようにして、油脂成分を除去しておくことに
より、次の工程で行う乳酸発酵の際に、油脂成分が分
解、酸化されて糠臭、腐敗臭となったり、有毒化するの
が防止される。なお、下層の沈殿物と、上層の水溶液と
は、混合した状態で次の乳酸発酵を行い、その後、沈殿
物を除去することもできるが、この段階で、沈殿物をも
除去し、茶褐色透明の水溶液のみを乳酸発酵させること
がより好ましい。なお、上記沈殿物は、食物繊維質から
なり、本発明の主旨とは異なるが、この部分も機能性食
品として利用可能である。
【0018】こうして得られた酵素処理液を、次の乳酸
発酵の工程における本培養液として用いるが、酵素処理
を終了した段階、又は油脂部分を除去した段階におい
て、必要に応じて、糖類を添加することもできる。糖類
としては、例えば、6炭糖類、5炭糖類、2糖類等を用
いることができる。
【0019】続いて、次の工程で、この処理液に乳酸菌
を接種して発酵させる。なお、処理液は、本培養液とし
て乳酸発酵に用いる前に、公知の手段により滅菌処理を
しておくのが好ましい。通常は、オートクレーブ等に入
れ、120 〜130 ℃で、5〜20分間程度処理することによ
り充分な滅菌がなされる。
【0020】本発明において用いられる乳酸菌として
は、乳酸の生成量においてはラクトバシルス・アシドフ
ィルス(Lactobacillus acidophilus) が、味の面ではラ
クトバシルス・ビフィズス(Lactobacillus bifidus) が
好ましいが、その他、ストレプトコッカス・フェカリス
(Streptococcus faecalis)、ラクトバシルス・ブルガリ
カス (Lactobacillus bulgaricus) 、ラクトバシルス・
サンフランシスコ (Lactobacillus sanfrancisco) 、ラ
クトバシルス・カゼイ (Lactobacillus casei)、ストレ
プトマイセス・ラクチス(Streptomyces lactis) 等を用
いることもできる。これらは、単独で、又は二種以上を
併用して用いることができる。これらの乳酸菌の選択に
よって、最終的な発酵液の味、香り、栄養素等を変化さ
せることができる。なお、これらの乳酸菌は、いずれも
公知の菌で、容易に入手することができる。
【0021】これらの乳酸菌は、予め前培養した後に、
上記本培養液に添加することが好ましい。例えば、牛乳
培地等を用いて、35〜40℃で7日間程度培養した後、こ
れを更にグルコース0.8 重量%、酵母エキス0.8 重量
%、ラクトース0.7 重量%からなる培地に殖菌して、35
〜40℃で2日間培養して前培養液を得る。そして、この
前培養液を、本培養液に1〜20重量%添加することが好
ましい。
【0022】米糠を主原料として調製された本培養液
に、乳酸菌を添加した後、常法にしたがって発酵を行
う。培地は静置培養が好ましいが、その他、攪拌振とう
培養、通気培養なども可能である。培養条件は、30〜40
℃で、3〜10日間程度とするのが好ましい。
【0023】なお、油脂成分を除去した際に、沈殿物を
除去していない場合は、乳酸発酵終了後、必要に応じて
水不溶性部分を除去する。
【0024】乳酸発酵させることにより、後に実施例で
示すように、各種ビタミンの量が増加し、特に、ニコチ
ン酸又はニコチンアミド、パントテン酸、ピリドキシン
(ビタミンB6 )、チアミン(ビタミンB1 )、リボフ
ラビン(ビタミンB2 )は、顕著に増加する。
【0025】すなわち、本発明の方法により、米糠か
製造されたビタミン高含有溶液は、酵素処理及び乳酸発
酵により各種ビタミンの量が増加しており、各種ビタミ
ンを高含量で含有している。また、セルロース、澱粉、
蛋白質が低分子化され、水溶性となったもの、すなわ
ち、水溶性の植物繊維、糖質、各種ペプチド、アミノ酸
類も含有している。更に、乳酸発酵の前に、油脂成分が
除去されているので、悪臭がなく、また、人体に有害な
成分も含んでいない。
【0026】本発明の製造方法により得られたビタミン
高含有溶液は、そのまま摂取することもできるが、その
ままでは、味、香り、栄養価とも濃厚であるので、2〜
10倍程度に水で希釈して飲むのが好ましい。なお、玄米
粉を原料として製造したものは、そのままでも甘い乳酸
飲料となるが、米糠を原料とし、製造過程において糖類
の添加を行っていない場合、甘みが不足していると感じ
られる際には、必要に応じて糖類を添加することもでき
る。また、糖類の他に、各種香料、着色料、呈味成分、
ゲル化剤等を添加することもできる。
【0027】また、各種果汁、各種糖液等の飲料に添加
したり、他の食品、食品素材等に添加して用いることも
できる。
【0028】
【作用】本発明のビタミン高含有溶液の製造方法によれ
ば、まず、最初の工程で、米糠に水を加えた後、液化型
アミラーゼを加えて加熱処理することにより、予め澱粉
を液化するので、原料中の澱粉がα化されると共に分解
され、糊化するのが防止される。
【0029】更に、セルラーゼ、プロテアーゼ及び糖化
型アミラーゼを加えて酵素処理するするので、セルラー
ゼにより細胞壁が分解され、プロテアーゼにより蛋白質
が分解され、糖化型アミラーゼにより、最初の工程で、
液化された澱粉が糖にまで分解される。したがって、得
られた処理液は、セルロース、澱粉、蛋白質が低分子化
され、水溶性となったもの、すなわち水溶性の植物繊
維、糖質、各種ペプチド、アミノ酸類を含有している。
これらの成分は、乳酸発酵の際の栄養源となるだけでな
く、乳酸発酵が終了した溶液、すなわち本発明の方法で
得られるビタミン高含有溶液中にも多量に残存する。な
お、この酵素処理により、各種ビタミン量が、後に行う
乳酸発酵による増加ほど多量ではないが、増加する。
【0030】更にまた、上記処理液を遠心分離又は濾過
して油脂部分を除去するので、次の工程で行う乳酸発酵
の際に、油脂成分が分解、酸化されて糠臭、腐敗臭とな
ったり、有毒化するのが防止される。したがって、悪臭
がなく、有毒物を含まない溶液を得ることができる。
【0031】更に続いて、上記処理液に乳酸菌を接種し
て発酵させるので、各種ビタミンの量が増加し、乳酸発
酵による風味が付与されて、摂取しやすい水溶液とな
る。なお、これらのビタミンは、水溶性であるので、例
えば過剰に摂取しても、無害である。また、乳酸発酵さ
せているので、乳酸菌による腸内菌そうの改善なども期
待できる。
【0032】また、本発明では、米糠を原料として用い
るので、有効利用されにくかった米糠を利用することが
きる
【0033】
【実施例】以下の実施例において、液化型アミラーゼと
しては、α−アミラーゼである「ユニアーゼBM80」
(商品名、株式会社ヤクルト本社製)を用い、糖化型ア
ミラーゼとしては、グルコアミラーゼである「ユニアー
ゼ30」(商品名、株式会社ヤクルト本社製)を用い、セ
ルラーゼとしては、「セルラーゼオノズカ3S」(商品
名、株式会社ヤクルト本社製)を用い、プロテアーゼと
しては、「パンチターゼNP−2」(商品名、株式会社
ヤクルト本社製)を用いた。
【0034】実施例1(米糠からのビタミン高含有溶液
の製造) 新鮮米糠に、その重量の5倍量の水を加えた後、米糠に
対して0.1 重量%のα−アミラーゼ(ユニアーゼBM8
0)を加えて撹拌し、20分かけて90℃まで加熱し、その
後沸騰させて、10分間保持した。
【0035】加熱終了後、50℃まで冷却し、米糠に対し
てそれぞれ0.5 重量%の、α−アミラーゼ(ユニアーゼ
BM80)、グルコアミラーゼ(ユニアーゼ30)及びセル
ラーゼ(セルラーゼオノズカ3S)と、米糠に対して0.
4 重量%のプロテアーゼ(パンチターゼNP−2)とを
添加し、50℃の恒温器中で、撹拌下に、24時間酵素処理
を行った。
【0036】次いで、得られた酵素処理液を、5℃以下
に冷却し、4℃、5000rpm の条件下に遠心分離し、最上
層の油脂部分と、下層の沈殿部分とを分別除去して、茶
褐色透明溶液を得た。
【0037】次に、得られた溶液を、1L(リットル)
容三角フラスコに200 mlの割合で分注し、綿栓をした
後、オートクレーブで、120 ℃の条件下に、15分間高圧
滅菌処理した。これを乳酸発酵本培養液とする。
【0038】一方、ラクトバシルス・アシドフィルス、
ラクトバシルス・ビフィズス、ストレプトコッカス・フ
ェカリスを、それぞれ牛乳培地等を用いて、35〜40℃で
7日間程度培養した後、この一白金耳を更にグルコース
0.8 重量%、酵母エキス0.8重量%、ラクトース0.7 重
量%からなる培地に殖菌して、35〜40℃で2日間培養し
て3種類の前培養液を得た。
【0039】この3種類の前培養液を、それぞれ、上記
乳酸発酵本培養液に、5重量%の割合で添加し、34〜40
℃で、8日間発酵させて、3種類の乳酸発酵液を得た。
この乳酸発酵溶液は、分析の結果、各種のビタミンを高
含量で含有するビタミン高含有溶液であった。
【0040】比較例1 実施例1において、α−アミラーゼ、グルコアミラー
ゼ、セルラーゼ及びプロテアーゼを添加しない他は、実
施例1と全く同じ操作を行って、3種の乳酸発酵液を得
た。
【0041】試験例1(各種乳酸菌の増殖性) 実施例1、比較例1において、乳酸発酵時におけるラク
トバシルス・アシドフィルス、ラクトバシルス・ビフィ
ズス、ストレプトコッカス・フェカリスのそれぞれの増
殖状態を、660 nmの吸収により濁度として測定した。そ
の結果を図1に示す。図1において、△はラクトバシル
ス・アシドフィルス、□はラクトバシルス・ビフィズ
ス、○はストレプトコッカス・フェカリスの測定値を表
し、また、実線は酵素処理した培地を用いた場合(実施
例1の場合)、破線は酵素処理しない培地を用いた場合
(比較例1の場合)を表す。
【0042】図1の結果から、各種乳酸菌の増殖性は、
酵素処理した培地の方が、酵素処理しない培地より、明
らかに優れていることがわかる。また、酵素処理した培
地においては、ラクトバシルス・アシドフィルス、ラク
トバシルス・ビフィズスがよく増殖することがわかる。
【0043】試験例2(各種乳酸菌による乳酸発酵の進
行状態) 実施例1、比較例1において、乳酸発酵時の培養時間の
経過に伴う各種乳酸菌による乳酸発酵の進行状態を、ア
ルカリ滴定により酸度を測定することによって調査し
た。その結果を図2に示す。図2において、△はラクト
バシルス・アシドフィルス、□はラクトバシルス・ビフ
ィズス、○はストレプトコッカス・フェカリスの測定値
を表し、また、実線は酵素処理した培地を用いた場合
(実施例1の場合)、破線は酵素処理しない培地を用い
た場合(比較例1の場合)を表す。
【0044】図2の結果から、乳酸発酵の挙動も、酵素
処理した培地を用いた場合(実施例1)の方が、酵素処
理しない培地を用いた場合(比較例1)より優れてお
り、特にラクトバシルス・アシドフィルスが良好である
ことがわかる。
【0045】試験例3(乳酸発酵時における各種水溶性
ビタミン量の分析定量) 酵素処理した培地を用いて乳酸発酵させた場合(実施例
1の場合)と、酵素処理しない培地を用いて乳酸発酵さ
せた場合(比較例1の場合)とにおける、ニコチン酸、
ニコチンアミド、パントテン酸、ピリドキシン、チアミ
ン、リボフラビンの各種水溶性ビタミンの含量を、培養
時間0時間、32時間、80時間、144 時間、192 時間にお
いて分析定量した。
【0046】分析定量は、液体クロマトグラフ装置(株
式会社島津製作所製、検知器:紫外分光光度計SPD−
6A(210 nm)、カラム:シンパックCLC−ODS
[M](4.6 ×250 mm)(40℃))を用い、溶媒として
1.2 mMオクタスルフォン酸ナトリウムの0.1 M リン酸バ
ッファー(pH2.1 )溶液とアセトニトリルとの9:1
混液(流速1.5 ml/ 分)を用いて行った。
【0047】実施例1における乳酸発酵の培養時間の経
過に伴う各種ビタミン含量の推移を表2に示す。また、
比較例1における乳酸発酵の培養時間の経過に伴う各種
ビタミン含量の推移を表3に示す。なお、表2、3にお
いて、乳酸菌の欄のAはラクトバシルス・アシドフィル
ス、Bはラクトバシルス・ビフィズス、Fはストレプト
コッカス・フェカリスを表す。
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】表2と表3の培養時間0時間の各種ビタミ
ンの量を比較すると、いずれのビタミンも、実施例1の
ものの方が多く、したがって、酵素処理するだけでもビ
タミンの量が増えることがわかる。
【0051】また、酵素処理した培地で乳酸発酵させる
と、乳酸菌の種類により多少のばらつきはあるが、ニコ
チン酸、ニコチンアミド、パントテン酸、ピリドキシ
ン、チアミン、リボフラビンのいずれのビタミンも増加
し、特に、ニコチン酸、パントテン酸、ピリドキシン
(ビタミンB6 )、チアミン(ビタミンB1 )、リボフ
ラビン(ビタミンB2 )は、顕著に増加することがわか
る。
【0052】試験例4(各種ビタミンの増加率の算出) 試験例3の測定値に基づいて、実施例1及び比較例1の
乳酸発酵前のビタミン含量と、乳酸発酵により増加した
ビタミンの最大量との比(a)をそれぞれ算出した。ま
た、実施例1の酵素処理前のビタミン含量、すなわち、
比較例1の乳酸発酵前のビタミン含量と、実施例1の乳
酸発酵により増加したビタミンの最大量との比(b)を
算出した。その結果を表4に示す。なお、比として計算
すると無限大となり、具体的な数値は算出不能なものは
*で表した。
【0053】
【表4】
【0054】表4の結果から、乳酸発酵の工程のみで比
較すると、乳酸発酵を行うと、実施例1、比較例1と
も、各種ビタミンは増加するが、ニコチン酸とチアミン
以外は、実施例1の酵素処理を行った培地を用いた方
が、比較例1の酵素処理をしない培地を用いるより多く
増加することがわかる。また、酵素処理を行い、乳酸発
酵を行うと、酵素処理前のビタミン含量の10倍以上とな
ることがわかる。
【0055】試験例5(乳酸発酵時のビタミン最大量
と、生米糠のビタミン含量との比の算出) 実施例1、比較例1の乳酸発酵時の各種ビタミンの最大
量と、「稲作大百科」(農山漁村文化協会編)に記載さ
れた生米糠のビタミン含量の平均値との比を、「乳酸発
酵時の各種ビタミンの最大量/生米糠の各種ビタミン含
量」として算出した。その結果を表5に示す。なお、ニ
コチンアミドについては「稲作大百科」に参考値がな
く、算出不能であったので、*で記した。
【0056】
【表5】
【0057】表5の結果から、ニコチンアミドについて
は不明であるが、米糠を、比較例1のように処理して乳
酸発酵させると、生米糠が含有するビタミン量より増加
し、実施例1のように酵素処理した後、乳酸発酵させる
と、ニコチン酸で8倍以上となり、最も増加するリボフ
ラビンは、400 倍以上にもなることがわかる。
【0058】
【0059】
【0060】なお、実施例1で、酵素処理した後、遠心
分離して得られた沈殿部分を、風乾、熱風乾燥、加熱乾
燥等の方法により乾燥すると、吸水能、抱水能、膨潤
性、吸着性、ゲル形成、イオン交換能等の物理化学的特
性を有する、水不溶性の食物繊維が得られる。したがっ
て、この沈殿部分も、本発明の主旨とは異なるが、機能
性食品として、各種食物に添加することができる。
【0061】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のビタミン
高含有溶液の製造方法によれば、有効利用しにくかった
糠を原料として、それらが本来含有しているより、か
なり高含量に各種ビタミンを含有する溶液を製造するこ
とができる。また、この溶液は、水溶性の植物繊維、糖
質、各種ペプチド、アミノ酸類も含有しているので、自
然な形で、バランスよく種々の栄養素を含んだ栄養飲料
として用いることができる。更に、乳酸発酵させている
ので、風味が良好となり、乳酸菌による腸内菌そうの改
善も期待できる。また、油脂成分を除去しているので、
悪臭、毒性等がなく、摂取しやすい。
【図面の簡単な説明】
【図1】各種乳酸菌の培養時間の経過に伴う増殖性を示
す図表である。
【図2】乳酸発酵時の培養時間の経過に伴う各種乳酸菌
の乳酸発酵の進行状態を示す図表である。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23L 1/30 - 1/308 A23L 1/10 - 1/172 A23L 2/00 - 2/38

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 米糠に水を加えた後、液化型アミラーゼ
    を加えて加熱処理することにより、予め澱粉を液化する
    工程と、この処理液にセルラーゼ、プロテアーゼ及び糖
    化型アミラーゼを加えて酵素処理する工程と、この処理
    液を遠心分離又は濾過して油脂部分を除去する工程と、
    この処理液に乳酸菌を接種して発酵させる工程とを含む
    ことを特徴とする水溶性ビタミン高含有溶液の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記乳酸菌として、ラクトバシルス・ア
    シドフィルス(Lactobacillus acidophilus) 及び/又は
    ラクトバシルス・ビフィズス(Lactobacillusbifidus)
    を用いる請求項1記載の水溶性ビタミン高含有溶液の製
    造方法。
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