JP3399004B2 - 撥水撥油性熱線遮蔽ガラス - Google Patents

撥水撥油性熱線遮蔽ガラス

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JP3399004B2
JP3399004B2 JP04537193A JP4537193A JP3399004B2 JP 3399004 B2 JP3399004 B2 JP 3399004B2 JP 04537193 A JP04537193 A JP 04537193A JP 4537193 A JP4537193 A JP 4537193A JP 3399004 B2 JP3399004 B2 JP 3399004B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐久性に優れた撥水撥
油性を有する熱線遮蔽ガラスに関する。
【0002】
【従来の技術】熱線遮蔽ガラスとして、透明ガラス基板
上にいわゆる熱分解溶液スプレー法で酸化チタンを被覆
したもの、酸化コバルト、酸化鉄及び酸化クロムの混合
物を形成したもの(いずれも日本板硝子社製商品名レフ
ライト(登録商標、以下省略))や、透明ガラス基板上
にスパッタリング法で窒化チタンのような金属窒化膜
を、ステンレス膜のような金属膜を、あるいは金属窒化
膜、金属膜および金属酸化膜等を積層したもの(日本板
硝子社製商品名レフシャイン(登録商標、以下省略)
が広く用いられてきている。
【0003】 一方、表面に撥水撥油性を与えた物品とし
ては、ポリテトラフルオロエチレンを被覆したテフロン
(デュポン社商品名)がよく知られている。テフロンの
コーティングを行うには、通常50〜60%の固体を含
む水中分散液を作り、金属やセラミックスの表面に塗っ
てから乾燥させ、次いで約350℃に加熱する方法がと
られている。
【0004】 最近では、表面にポリシロキサンを主成分
とするシリコーンオイルを塗布することが、自動車用の
ガラスや衣服の撥水撥油処理として利用され始めてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の熱線遮蔽ガ
ラスのうち、金属酸化物被膜を溶液スプレー法で形成し
たもの(レフライト)は、被膜が金属酸化物膜であるた
め化学的耐久性に優れ、また、被膜を高温時のガラスリ
ボンに形成するため機械的耐久性にも優れているという
長所がある。従って、被膜を外部環境に曝して使用する
こと、すなわち窓ガラスとして用いる場合、被膜を室外
側にして用いることが可能である。
【0006】 しかしながら、金属酸化物被膜は水分との
親和性が高いので、水に濡れ易く、その水分の乾燥過程
で固形物が汚れとして凝着してしまうという欠点がある
ため、表面を清浄に保つには定期的な清掃が必要であ
る。汚れが目だつのを避けたい場合には、被膜を室内側
にして用いなければならなかった。
【0007】 しかし、もともと単層の金属酸化物被膜で
あるため熱線遮蔽性が十分ではないのに、被膜を室内
側にすると、さらに熱線遮蔽性能が低下し、また意匠的
にも室外側の反射率が低下するため美しいミラー効果
が損なわれるという不利益があった。
【0008】 一方、透明ガラス基板上にスパッタリング
法で窒化チタンのような金属窒化膜、ステンレス膜のよ
うな金属膜を、あるいはこれら金属窒化膜、金属膜、お
よび金属酸化膜等を積層して形成した熱線遮蔽ガラス
(レフシャイン)は、熱線遮蔽性に優れているので、省
エネルギーの観点から広く普及し始めている。
【0009】 しかし、化学的、機械的耐久性が十分では
ないので、窓ガラスとして利用する場合、被膜面を室内
側にして使用するという制約がある。従って、被膜が外
部環境にむきだしにならないので、水分に起因する汚れ
の問題はレフライトほど重要ではない。
【0010】 しかし、逆に室内環境に起因する汚れ、例
えば指紋等の油汚れが目だつという問題がある。これ
は、反射率の高い高性能熱線遮蔽ガラスであるため、そ
のような油汚れが付着した部分(反射率が変化する)と
周囲との反射率の差が顕著になって、目だちやすくなる
ものである。
【0011】 次に、このような汚れを防止するための手
段としての、従来の撥水撥油処理のうち、テフロンコー
ティングは潤滑性に優れるという特性を利用してフラ
イパンや電子ジャーの内面の撥水撥油処理として応用さ
れているが、ガラスとの付着力が十分でないので、ガラ
スの表面処理として有効に利用することができない。ま
た、表面が機械的に傷つきやすいという問題点もある。
【0012】 シリコーンオイルのコーティングは後処
理として手軽に用いることができる利点があるが、耐久
性が十分でないので撥水撥油性の効果が持続しないとい
う重大な問題点があった。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記従来の問
題点を解決するためになされたものであって、透明ガラ
ス基板上に熱線遮蔽性被膜が形成され、前記熱線遮蔽性
被膜の上に、炭化物を主成分とする被膜が形成された熱
線遮蔽ガラスであって、前記炭化物を主成分とする被膜
の少なくともその表面がプラズマ処理によりフッ素化さ
れている撥水撥油性熱線遮蔽ガラスである。
【0014】 本発明に用いられる熱線遮蔽性被膜として
は、前記レフライトを製造するのに用いられる、熱分解
溶液スプレー法で形成した酸化チタン被膜や、酸化コバ
ルト、酸化鉄及び酸化クロムの混合物からなる被膜、前
記レフシャインを製造するのに用いられる、スパッタリ
ング法で成膜された金属膜、金属窒化膜、金属酸窒化
膜、金属酸化膜の一種または二種以上からなる積層膜
が、実用性があるものとして挙げることができる。
【0015】 しかし、熱線遮蔽性被膜としては、これら
に限定されるわけではなく、高屈折率透明誘電体膜と低
屈折率透明誘電体膜を交互に形成した干渉フィルタータ
イプや、ITO膜のような透明導電性膜の熱線遮蔽性能
を利用したものであってもよい。
【0016】 熱線遮蔽性被膜の上に設けられる炭化物を
主成分とした被膜としては、耐久性に優れたSiC,T
iC,Cr,ZrC,NbC,TaC,WCのう
ちのいずれか一種もしくは二種以上を主成分としたもの
を例示することができる。これらの炭化物膜はいずれも
優れた化学的、機械的耐久性を有しており、かつ容易に
プラズマによるフッ素化処理(C−F結合の生成)を行
うことができる。最上層の膜がこれらの炭化物の膜であ
って、その表面がフッ素化されている。
【0017】 最上層の膜の表面にC−F結合を生成する
ことにより、水や炭化水素(油分)よりも小さな表面エ
ネルギーの表面とすることができ、水分や油分をはじく
ことが可能になる。
【0018】 そして、この最上層の膜は、例えば、下層
の熱線遮蔽性被膜との付着力を増したり、耐久性を向上
させたり、熱線遮蔽性を高めたり、色調を調整する目的
で、部分的に酸化して用いてもよく、金属や窒化物が副
成分として混合されていてもよい。
【0019】 また、最上層の膜の厚みとしては、5〜1
00nm、さらに10〜50nmが望ましい。膜厚が5
nmより薄いと、フッ素化された撥水撥油性の表面が摩
耗等によって消滅してしまう可能性が高くなり、また膜
厚を100nm以上にしても撥水撥油性の効果が向上せ
ず、かえって膜剥がれ等の問題が生じることになる。
【0020】 最上層の膜を、5〜100nmの範囲で適
当な厚みとすることにより、熱線遮蔽性能を向上させる
ことも可能になる。このことは前記したレフライトを
熱線遮蔽性被膜として用いる場合にとりわけ効果的で
ある。すなわち、レフライトに撥水撥油機能を付与する
だけでなく、熱線遮蔽性能を前記したレフシャイン並に
高めることもできる。
【0021】 加えて、前記レフシャインを熱線遮蔽性被
膜として利用する場合には、炭化物膜の種類と厚みを適
当に選択することにより色調のバリエーションを増や
しながら、撥水撥油性能を付与することができるという
利点を生む。
【0022】 本発明にかかる熱線遮蔽性被膜を、熱分解
溶液スプレー法で被覆される酸化チタンの被膜や、酸化
コバルトを含む被膜とするときは、フロート法板ガラス
製造工程の製板用フロートバスを通過してきた約500
〜650℃の高温のガラス板に、熱分解して酸化物被膜
になる有機金属塩を含む溶液をスプレーする方法で形成
することができる。
【0023】 その後熱線遮蔽性被膜を被覆したガラスを
真空槽に導入し、該真空槽内でカーバイドを主成分とし
た被膜をスパッタリング法で形成し、その後カーバイド
を主成分とした被膜の表面をフッ素化カーボンを含有
するプラズマ中にさらしてフッ素化することにより
水撥油性熱線遮蔽ガラスとすることができる。
【0024】 高温ガラスリボンに溶液スプレー法で酸
化チタン被膜もしくは酸化コバルト、酸化鉄及び酸化ク
ロムの混合物からなる被膜を形成するのは、熱線反射ガ
ラスの製造方法として既に実用化されているプロセス
である。酸化チタン被膜の膜厚が50nm程度のもの
日本板硝子社製商品名レフライトSに相当するシル
バー色熱線反射ガラスであるので、これをそのまま用い
ることができる。
【0025】 また、酸化コバルト、酸化鉄及び酸化クロ
ムの混合物の被膜の膜厚が50nm程度のものは日本
板硝子社製商品名レフライトブロンズに相当するブロン
ズ色熱線反射ガラスであるので、やはり、これをそのま
ま用いることができる。
【0026】 該酸化チタン被膜もしくは該酸化コバル
ト、酸化鉄及び酸化クロム被膜の上に形成する炭化物膜
としては、SiC,TiC,Cr,ZrC,Nb
C,TaC,WCのうちのいずれか一種もしくは二種以
上を主成分とするものが望ましい。これらの炭化物膜は
いずれも優れた化学的、機械的耐久性を有しており、か
つ容易にプラズマでフッ素化(C−F結合の生成)する
ことが可能である。
【0027】 表面のフッ素化は、フッ素化カーボンを含
有するプラズマ中にさらすことによって行うことがで
き、該フッ素化カーボンとしては、CFもしくはCF
と酸素の混合ガスのいずれかを用いることにより、最
も効果的にフッ素化を行うことができる。水素化フッ素
化カーボン、例えばCHFを用いてもフッ素化した表
面を得ることができる。
【0028】 該フッ素化カーボンを含有するプラズマに
よる表面のフッ素化は、公知のプラズマ処理装置である
平行平板型反応性イオンエッチング装置(RIE)や、
円筒型プラズマエッチング装置(PR)を用いて、フッ
素化カーボンを含有する減圧条件で高周波電力を印加
して発生させるグロー放電プラズマにさらすことによっ
て容易に行うことができる。
【0029】 PR装置を用いる場合、膜のエッチングよ
りもフッ素化を支配的に行うためには、エッチトンネル
を取り付けてイオンによるエッチングを除外するのが効
果的である。
【0030】 本発明にかかる熱線遮蔽性の被膜として、
スパッタリングにより形成した金属膜、金属窒化膜、金
属酸窒化膜、金属酸化膜の群から選ばれた一種からなる
単層膜または二種以上からなる積層膜を用いることがで
きる。
【0031】 かかる熱線遮蔽性の被膜としては、それ自
体で熱線遮断能を有する窒化チタン膜、酸窒化チタン
膜、窒化クロム膜、酸窒化クロム膜、ステンレス膜の単
層の膜が例示できる。また、前記熱線遮断能を有する単
層膜のガラス基板側またはガラス基板とは反対側に、前
記熱線遮断能を有する膜と接して二酸化チタン膜または
二酸化錫膜を設けたものも、本発明の熱線遮蔽性の被膜
として用いることができる。
【0032】 また、前記熱線遮断能を有する単層膜のガ
ラス基板側およびガラス基板とは反対側に、前記熱線遮
断能を有する膜と接して二酸化チタン膜または二酸化錫
膜を設けたものも本発明の熱線遮蔽性の被膜として用
いることができる。
【0033】 本発明にかかる熱線遮蔽性の被膜は、公知
のスパッタリング法で形成することができ、金属窒化物
の膜は、窒素を含む雰囲気中で、金属酸窒化物の膜は窒
素と酸素とを含む雰囲気中で、その金属をターゲットと
するスパッタリング法により形成できる。
【0034】 前記二酸化チタン膜または二酸化錫膜は、
熱線遮蔽性の被膜の光学特性を調整するのに用いられ
る。
【0035】 窒化チタンの単層膜を20〜100nmの
膜厚で形成したものは、日本板硝子社製高性能熱線反射
ガラスであるレフシャインTシリーズとして製造されて
いるので、これをそのまま用いることができる。
【0036】 また、約5〜20nmのステンレス膜と約
30nmの窒化チタン膜をガラス基板上にこの順序で
形成したものも、日本板硝子社製高性能熱線反射ガラス
であるレフシャインSシリーズとして製造されているの
で、これをそのまま用いることができる。
【0037】
【作用】本発明にかかる熱線遮蔽性の被膜は、耐摩耗性
が優れた炭化物膜で保護され、さらにその表面はプラズ
マ処理により強固にフッ素が結合されて、表面エネルギ
ーが小さくなっているので、撥水撥油性および耐摩耗性
の耐久度が大きい熱線遮蔽ガラスとすることができる。
【0038】
【実施例】以下に、実施例によりさらに詳細に説明す
る。
【0039】( 実施例1 フロートガラス製造設備の製板用フロートバス出口で、
約600℃のガラスリボンに金属チタンのキレート化合
物を含む有機溶液をスプレーで吹き付けて(溶液スプレ
ー法)、約50nmの厚みの酸化チタン被膜を6mm
厚みのフロート板ガラス上に形成した(日本板硝子社商
品名レフライトシルバー:可視光線透過率61.8%、
可視光線反射率33.2%、日射光線透過率63.4
%)。
【0040】 この被膜表面を清浄にした後、炭化タンタ
ルをターゲットとして設置した直流スパッタ装置内にセ
ットし、5×10−4Paまで排気した。そして、アル
ゴンガスを100sccmの流量で導入し、装置内の圧
力を0.2Paとした後、2Aの電流をターゲットに印
加し、ガラス基板を所定の速度でターゲット上方を通過
させることにより、酸化チタン被膜の上に約20nmの
厚みの炭化タンタル被膜を形成した。
【0041】 その後、このガラス基板をエッチトンネル
付円筒型プラズマエッチング装置内にセットし、6Pa
まで排気後、CFガスを70Paまで導入し、RF電
力300Wで2分間放電を行い、炭化タンタル膜の表面
をフッ素化処理した。
【0042】 得られたガラスの可視光線透過率は35
%、可視光線反射率は46%、日射光線透過率は34%
であった。反射色調は青みがかったグレー色で、可視光
線反射率の増大を反映して反射色の鮮やかさが増してい
た。また、日射光線透過率も13%程度低下しており、
熱線遮蔽性能が向上していた。
【0043】 この熱線遮蔽ガラスの撥水性を評価するた
めに、純水の接触角を測定したところ、約103゜であ
り、優れた撥水性を示していることがわかった。
【0044】 次に、このガラスの耐久性を評価するた
め、Teledyne Taber社製摩耗試験機を用
いて、CS−10Fの摩耗輪に500gの荷重をかけて
300回の回転摩耗を加えた。この摩耗試験前後でのガ
ラスの透過率変化とヘイズ率変化は、いずれも2%未満
であり、膜の耐久性の優れていることがわかった。
【0045】 また、摩耗試験後の純水に対する接触角は
約90゜であり、優れた撥水性も維持されていることが
わかった。
【0046】( 実施例2 フロートガラス製造設備の製板用フロートバス出口で、
約600℃のガラスリボンに金属コバルトのキレート化
合物主成分とし、副成分として鉄とクロムのキレート化
合物を含む有機溶液をスプレーで吹き付けて(溶液スプ
レー法)、約50nmの厚みの酸化コバルト-酸化鉄-酸
化クロムからなる被膜を6mm厚みのフロート板ガラ
ス上に形成した(日本板硝子社商品名レフライトブロン
ズ:可視光線透過率42.6%、可視光線反射率34.
0%、日射光線透過率48.4%)。
【0047】 この被膜表面を清浄にした後、炭化珪素を
ターゲットとして設置した直流スパッタ装置内にセット
し、5×10−4Paまで排気した。そして、アルゴン
ガスを100sccmの流量で導入し、装置内の圧力を
0.2Paとした後、1Aの電流をターゲットに印加
し、ガラス基板を所定の速度でターゲット上方を通過さ
せることにより、酸化コバルト-酸化鉄-酸化クロム混合
被膜の上に約20nmの厚みの炭化珪素被膜を形成し
た。その後、このガラス基板をエッチトンネル付円筒型
プラズマエッチング装置内にセットし、6Paまで排気
後、CFガスを70Paまで導入し、RF電力200
Wで10分間放電を行い、炭化珪素膜の表面をフッ素化
処理した。
【0048】 得られたガラスの可視光線透過率は37
%、可視光線反射率は34%、日射光線透過率は41%
であった。透過色調は日本板硝子社製レフライトブロン
ズとほぼ同等のブロンズ色である。反射色調はレフライ
トブロンズがグレー色であるのに対して、比較的鮮やか
なブロンズ色であった。日射光線透過率は7%程度低下
しているおり、熱線遮蔽性能が向上していた。
【0049】 この熱線遮蔽ガラスの撥水性を評価するた
めに、純水の接触角を測定したところ、約93゜であ
り、優れた撥水性を示していることがわかった。
【0050】 次に、このガラスの耐久性を評価するた
め、Teledyne Taber社製摩耗試験機を用
いて、CS−10Fの摩耗輪に500gの荷重をかけて
300回の回転摩耗を加えた。この摩耗試験前後でのガ
ラスの透過率変化とヘイズ率変化は、いずれも2%未満
であり、膜の耐久性の優れていることがわかった。
【0051】 また、摩耗試験後の純水に対する接触角は
約82゜であり、優れた撥水性も維持されていることが
わかった。
【0052】( 実施例3 3つのスパッタカソードを有するインライン式直流スパ
ッタリング装置の第一のカソードに金属ステンレスを、
第二のカソードに金属チタンを、そして第三のカソード
に炭化チタンをそれぞれターゲットとして取り付けた。
【0053】 基板として洗浄した6mm厚フロート板ガ
ラスをスパッタ装置にセットし、5×10−4Paまで
排気した。そして、窒素ガスを100sccmの流量で
導入し、装置内の圧力を0.2Paとした後、2Aの電
流を金属チタンターゲットに印加し、ガラス基板を所定
の速度でターゲット上方を通過させることにより、約3
0nmの厚みの窒化チタン被膜を形成した(日本板硝子
社製高性能熱線反射ガラス・レフシャインTシリーズ・
TS30に相当する:可視光線透過率30%、可視光線
反射率16.3%、日射光線透過率23.5%)。
【0054】 次に、スパッタ装置内を再び5×10−4
Paまで排気した後、アルゴンガスを100sccmの
流量で導入し、装置内の圧力を0.2Paとした後、2
Aの電流を炭化チタンターゲットに印加し、ガラス基板
を所定の速度でターゲット上方を通過させることによ
り、窒化チタン被膜の上に約20nmの厚みの炭化チタ
ン被膜を形成した。その後、このガラス基板をエッチト
ンネル付円筒型プラズマエッチング装置内にセットし、
6Paまで排気後、CFガスを70Paまで導入し、
RF電力300Wで4分間放電を行い、炭化チタン膜の
表面をフッ素化処理した。
【0055】 このようにして得られたガラスの可視光線
透過率は17%、可視光線反射率は24%、日射光線透
過率は12%であった。透過色調はグレーであった。反
射色調は淡いグリーンであった。
【0056】 この熱線遮蔽ガラスの撥水性を評価するた
めに、純水の接触角を測定したところ、約96゜であ
り、優れた撥水性を示していることがわかった。
【0057】 次に、このガラスの耐久性を評価するた
め、Teledyne Taber社製摩耗試験機を用
いて、CS−10Fの摩耗輪に500gの荷重をかけて
300回の回転摩耗を加えた。この摩耗試験前後でのガ
ラスの透過率変化とヘイズ率変化は、いずれも4%未満
であり、膜の耐久性の優れていることがわかった。
【0058】 また、摩耗試験後の純水に対する接触角は
約85゜であり、優れた撥水性も維持されていることが
わかった。
【0059】( 実施例4 3つのスパッタカソードを有するインライン式直流スパ
ッタリング装置の第一のカソードに金属ステンレスを、
第二のカソードに金属チタンを、そして第三のカソード
に炭化珪素をそれぞれターゲットとして取り付けた。
【0060】 基板として洗浄した6mm厚フロート板ガ
ラスをスパッタ装置にセットし、5×10−4Paまで
排気した。アルゴンガスを100sccmの流量で導入
し、装置内の圧力を0.2Paに調整した後、1Aの電
流を金属ステンレスターゲットに投入し、ガラス基板を
所定の速度でターゲットの上方を通過させることによ
り、約6nmのステンレス被膜をガラス基板上に形成し
た。
【0061】 ついで、スパッタ装置内を再び5×10
−4Paまで排気した後、窒素ガスを100sccmの
流量で導入し、装置内の圧力を0.2Paとした後、2
Aの電流を金属チタンターゲットに印加し、ガラス基板
を所定の速度でターゲット上方を通過させることによ
り、ステンレス被膜の上に、約28nmの厚みの窒化チ
タン被膜を形成した(日本板硝子社製高性能熱線反射ガ
ラス・レフシャインSシリーズ・SS20に相当する:
可視光線透過率20%、可視光線反射率23.8%、日
射光線透過率15.8%)。
【0062】 次に、スパッタ装置内を再び5×10−4
Paまで排気した後、アルゴンガスを100sccmの
流量で導入し、装置内の圧力を0.2Paとした後、1
Aの電流をターゲットに印加し、ガラス基板を所定の速
度でターゲット上方を通過させることにより、窒化チタ
ン被膜の上に約20nmの厚みの炭化珪素被膜を形成し
た。その後、このガラス基板をエッチトンネル付円筒型
プラズマエッチング装置内にセットし、6Paまで排気
後、CFガスを70Paまで導入し、RF電力300
Wで10分間放電を行い、炭化珪素膜の表面をフッ素化
処理した。
【0063】 このようにして得られたガラスの可視光線
透過率は20%、可視光線反射率は34%、日射光線透
過率は16%であった。透過色調はブロンズであった。
反射色調はグレー色がかった淡いブルーであった。
【0064】 この熱線遮蔽ガラスの撥水性を評価するた
めに、純水の接触角を測定したところ、約90゜であ
り、優れた撥水性を示していることがわかった。
【0065】 次に、このガラスの耐久性を評価するた
め、Teledyne Taber社製摩耗試験機を用
いて、CS−10Fの摩耗輪に500gの荷重をかけて
300回の回転摩耗を加えた。この摩耗試験前後でのガ
ラスの透過率変化とヘイズ率変化は、いずれも4%未満
であり、膜の耐久性の優れていることがわかった。
【0066】 また、摩耗試験後の純水に対する接触角は
約81゜であり、優れた撥水性も維持されていることが
わかった。さらに、実施例1〜4で得られたガラスサン
プルは、いずれも撥油性があることが確認された。
【0067】( 比較例 本発明に基づく、炭素もしくはカーバイド被膜の形成と
その後のフッ素化処理を行わない場合の、表面の純水に
対する接触角を比較例として測定した結果を以下の表1
に示す。
【0068】
【表1】 ──────────────────────────────────── 比較サンプル 接触角(°) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ・溶液スプレー法で形成した50nm厚みの酸化チタン被膜表面 35 (日本板硝子社製レフライトSに相当) ・溶液スプレー法で形成した50nm厚みの酸化コバルト-酸化鉄- 40 酸化クロム混合被膜表面(レフライトBに相当) ・スパッタ法で成膜した30nm厚みの窒化チタン被膜表面 55 (日本板硝子社製レフシャインTS30に相当) ・スパッタ法で成膜した6nm厚みのステンレス被膜と28nm 55 厚みの窒化チタンの2層被膜表面(レフシャインSS20に相当) ・スパッタ法で成膜した7nm厚みのステンレス被膜と6nm 50 厚みの酸化チタン2層被膜表面(レフシャインSGY20に相当) ────────────────────────────────────
【0069】
【発明の効果】本発明によれば、最表面に耐久性に優れ
た撥水撥油性被膜を有する熱線遮蔽ガラスを得ることが
できる。そのため、窓ガラスとして用いる場合、被膜を
室外側にしても、外部環境からの水分や油分に起因する
汚れを防止することができる。
【0070】 結果として、熱線遮蔽ガラスの有する熱線
遮蔽性能と意匠性を効果的に活用することができる。さ
らに色調のバリエーションも豊富にでき、また熱線遮蔽
性能を高めることもできる。
【0071】 また、被膜を室内側にして用いる場合も、
室内環境に起因する、特に油性の汚れが付着するのを防
止することができるので、高性能熱線遮蔽ガラスの意匠
性の低下を避けることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による熱線遮蔽ガラスの一部断面図であ
る。
【符号の説明】
1・・・ガラス基板、 2・・・熱線遮蔽性の被膜、 3・・・炭化物を主成分とする被膜、 3a・・・プラズマ処理によりフッ素化されている層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C03C 15/00 - 23/00 B32B 1/00 - 35/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明ガラス基板上に熱線遮蔽性被膜が形
    成され、前記熱線遮蔽性被膜の上に、炭化物を主成分と
    する被膜が形成された熱線遮蔽ガラスにおいて、 前記炭化物を主成分とする被膜の少なくともその表面が
    プラズマ処理によりフッ素化されていることを特徴とす
    撥水撥油性熱線遮蔽ガラス。
  2. 【請求項2】 前記炭化物が、SiC,TiC,Cr
    ,ZrC,NbC,TaC,WCの群から選ばれた
    少なくとも一種である請求項1に記載の撥水撥油性熱線
    遮蔽ガラス。
  3. 【請求項3】 前記熱線遮蔽性被膜が、熱分解スプレー
    法で被覆された二酸化チタンの被膜である請求項1また
    は2に記載の撥水撥油性熱線遮蔽ガラス。
  4. 【請求項4】 前記熱線遮蔽性被膜が、熱分解溶液スプ
    レー法で被覆された酸化コバルト、酸化鉄及び酸化クロ
    ムからなる被膜である請求項1または2に記載の撥水撥
    油性熱線遮蔽ガラス。
  5. 【請求項5】 前記熱線遮蔽性被膜が、いずれもスパッ
    タリング法で被覆された金属、金属窒化物、金属酸窒化
    物、金属酸化物の群から選ばれた一種からなる単層膜ま
    たは、前記群から選ばれた二種以上からなる積層膜であ
    る請求項1または2に記載の撥水撥油性熱線遮蔽性ガラ
    ス。
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