JP3399002B2 - 光デバイス - Google Patents

光デバイス

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JP3399002B2
JP3399002B2 JP03902693A JP3902693A JP3399002B2 JP 3399002 B2 JP3399002 B2 JP 3399002B2 JP 03902693 A JP03902693 A JP 03902693A JP 3902693 A JP3902693 A JP 3902693A JP 3399002 B2 JP3399002 B2 JP 3399002B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はレーザ光源などの光源か
ら射出された基本光を2次高調波などの高調波に変換す
る光デバイスに関するものであり、特に、擬似位相整合
(QPM:Quasi-Phase Matching) 条件に基づく光デバ
イスに関する。
【0002】
【従来の技術】たとえば、光ディスク装置において、波
長の短い光、たとえば、青色の光を用いると、その2倍
程度の波長を持つ赤色の光を用いた場合に比べて4倍程
度に記録密度を向上させることができる。しかしなが
ら、常温で実用的に青色の光を安定に発光させることが
できる半導体レーザなどの光源はまだ知られていない。
そこで、現在、赤色で発光するレーザダイオードの光
を、非線形光学特性を有する二次高調波発生素子(SH
G:Second-Harmonic Generator )を用いて光を歪ませ
て、その赤色の光の波長の半分の波長を持つ2次高調波
光、つまり、青色の光に変換することが知られている。
もちろん、赤色の光以外の光からその波長の半分の光、
たとえば、赤外線から青色の光に変換する、橙色の光か
ら青色系統の光に変換することもできる。同様に、この
ような非線形光学変換素子を用いて、ある基本光の3次
高調波光、4次高調波光などの多次の高調波を生成する
ことも知られている。
【0003】このような光波長変換を行う光波長変換デ
バイスとしては、KTP(KTiOPO4)単結晶、β−
a24 単結晶などを用いた非線形光学変換素子が
知られている。しかしながら、SHGなどの非線形光学
変換素子を単独で用いる方法は、長期的に正確かつ安定
に2次高調波光などの高調波光を提供できないという問
題がある。
【0004】また他の光波長変換デバイスとして、レー
ザ光をYAGで励起し、さらに、共振器を用いる光波長
変換デバイスが知られている。この光波長変換デバイス
は、変化効率が高く、光学的反応の鈍さに起因して穏や
かな(安定した)光が提供できるという利点がある。し
かしながら、その一方で、共振器を用いるため、さらに
その制御装置が必要になり、デバイス構成が複雑化し、
大型になるという問題がある。また、光学的反応の鈍さ
は逆の観点からみると、応答性が低く高速な動作の用途
に使用できないという問題がある。
【0005】さらに光波長変換デバイスとして、特定の
光学特性を有する非線形光学素子、たとえば、Li Nb
x Ta1-x3 結晶などの強誘電体結晶の表面に擬似
相整合(QPM)条件を満たす周期ドメイン反転構造
(QPM分極反転構造)を設けた光デバイスが知られて
いる。この光デバイスは、たとえば、レーザダイオード
から基本光として、たとえば、830nmの波長の赤色
の光を上記強誘電体結晶に射出させ、強誘電体結晶内の
光の歪みにより赤色の光の半分の波長=415nmの青
色の光を強誘電体結晶から射出させる。
【0006】位相整合条件および擬似位相整合条件の概
要について述べる。上記強誘電体結晶内においては、基
本光としての赤色の光と2次高調波光としての青色の光
とは加算されていくから、これらの光の位相が一致して
いる必要がある。これを位相整合条件と呼ぶ。しかしな
がら、赤色の光と青色の光とでは波長が異なるから、赤
色の光と青色の光とでは物質(強誘電体結晶)中を伝搬
する速度(屈折率)が異なる。その結果、光の分散が生
じ、赤色の光と青色の光との位相がずれてくる。赤色の
光と青色の光との位相がずれると、赤色の光と青色の光
とが逆位相関係になり、両者の光が意図するように加算
されず、むしろ打ち消し合い、出力光が低下する。この
ような状態を位相整合条件が満足されないという。この
出力低下は、(sin2 Δθ)に比例する。Δθは上記
位相差である。したがって、位相差が大きくなると、出
力光はほとんど消滅してしまう。
【0007】上記強誘電体結晶には、分極に起因する上
向きと下向きとの向きの相違がある。そこで、上述した
逆相関係に起因する出力光の低下を防止するため、強誘
電体結晶の上面に周期ドメイン構造(QPM分極反転構
造)を設けて強誘電体結晶の向きを変えて逆相関係が生
じないようにして、出力光の低下を防止することが試み
られている。
【0008】図5は、擬似位相整合条件を持つ2次高調
波発生素子を用いた場合の光波長変換デバイスにおける
光の波数ベクトルの関係を示す。図5における記号を表
1に示す。 表1 kω:光源から射出された周波数(波長)ωの基本光の波数ベクトル kΛ:QPM分極反転構造において生成された光の波数ベクトル k2 ω:基本光の周波数ωの2倍の周波数2ωを持つ2次高調波光の波数 ベクトル
【0009】上述した作用は運動量保存則並びにエネル
ギー保存則に従うから、図5における波数ベクトルおよ
び周波数(波長)には下記式1および式2に示す関係が
成立する。
【0010】
【数1】
【0011】
【数2】
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、QPM
分極反転構造(周期ドメイン構造)を設けると、強誘電
体結晶に基本光を入射させる光源の波長選択性を非常に
厳しくさせるという問題を惹起させる。通常、擬似位相
整合条件を満足させ、2次高調波光を発生させる波長域
は、基本光の1万分の1以下、たとえば、光源から射出
される基本光としての赤色の光の波長=830nmに対
して0.1〜0.2nm(1〜2Å)以下の厳格な波長
選択性を光源に要求することになる。つまり、2次高調
波光を効率よく安定に発生させるためには、強誘電体結
晶に入射する光源からの基本光の波長を特定の波長で非
常に高い精度で安定化させる必要が生ずる。しかしなが
ら、光源として、たとえば、半導体レーザを用いた場合
を想定すると、半導体レーザは温度変化による特性変化
が大きいから、半導体レーザそのまでは使用できな
い。
【0013】特定の波長に光源、たとえば、レーザの発
振波長を安定化させる方法としては、回折格子(グレー
ティング)などを用いてレーザの発振波長を選択する方
法が考えられる。あるいは、光源に半導体レーザを用い
た場合にはその半導体レーザ自体の温度を測定してその
温度を制御する、または、半導体レーザに注入する電流
を制御するなどの方法が考えられる。しかしながら、上
述した方法を採択したと仮定すると、光波長変換デバイ
ス(光デバイス)が大型化し、その適用が限定され、さ
らに、高価格になるという問題に遭遇する。加えて、仮
にそのような方法を採択したとしても、長期的な波長安
定性および光出力の安定性の面で、依然として充分では
ないという問題がある。
【0014】上述した例は、基本光を2次高調波光に変
換する場合を述べたが、3次高調波光以上の高調波を生
成する場合も、上記同様の問題に遭遇する。
【0015】したがって、本発明は、光源の波長選択性
が緩和され、長期的に安定かつ精度が高く、制御装置な
どを必要とせずに簡単な構造の光波長変換デバイス(光
デバイス)を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の光デバイスは、
電気的な制御装置などを用いず、所定の条件を満たす光
源と、特定の光学的特性を有する非線形光学変換素子
(光波長変換素子)とを組合せて、光学的方法のみによ
り、上述した目的を達成するものであり、特に、強誘電
体結晶などの非線形光学変換素子において実際に得よう
とする高調波が発生したときだけ基本光に対しても同等
に光源に対する光帰還率が高くなるように非線形光学変
換素子の出射端面を形成し、光源からの基本光に帰還を
かける構成にする。
【0017】本発明によれば、光源と、該光源と光学的
に接続され、所定の波長選択性を有し、該光源からの出
射光を受け入れる入射側端面と該入射側端面に対向して
設けられた出射側端面とを有し、前記入射側端面に入射
した光を所定の高調波光に変換する、非線形光学変換素
子とを有し、前記光源は、誘導放射により前記光学的に
接続される前記非線形光学変換素子の擬似位相整合条件
を満たす波長の光を射出し得る誘導放射光源であり、前
記非線形光学変換素子は、非線形光学的相互作用および
その逆作用を行う強誘電体結晶で構成され、この強誘電
体結晶の面に擬似位相整合を行う分極反転構造を有し、
前記入射側端面を前記光源から射出される光および前記
非線形光学変換素子から射出される光を無反射状態に形
成し、前記高調波光を前記出射端面において反射・逆行
させ、該反射・逆行させた高調波光を前記擬似位相整合
の分極反転構造を介して前記光源から進行する基本光と
相互させて前記光源と逆方向に進行する位相整合条件を
満たす帰還光を生成するように構成されている、光デバ
イスが提供される。
【0018】特定的には、前記光源は半導体レーザで
る。
【0019】前記非線形光学素子は、前記擬似位相整合
を行う分極反転構造を有する光導波路を有する。また
は、前記非線形光学変換素子として、変換効率に波長依
存性を有する非線形光学変換素子を用いる。
【0020】特定的には、前記非線形光学素子は2次高
調波を生成する素子である。
【0021】
【作用】非線形光学素子として、非線形光学的相互作用
とその逆作用を行う強誘電体結晶素子を用い、擬似位相
整合を行う分極反転構造を有する非線形光学素子を用い
る。たとえば、光源として半導体レーザを用い、この半
導体レーザから射出されたある周波数(波長)ωを有す
る基本光が非線形光学変換素子に入射され、非線形光学
的相互作用により、たとえば、基本光の半分の波長(2
倍の周波数2ω)を持つ2次高調波光が生成される。こ
の2次高調波光が非線形光学変換素子の出射側端面で一
部が反射されると、上記非線形光学的相互作用とは逆の
非線形光学的相互作用によって、入射された基本光と同
じ周波数ωの光が再生成され、帰還光として半導体レー
ザに入射される。この帰還光は半導体レーザにおいて基
本光に加算され、半導体レーザ内で共振増幅されて再び
非線形光学変換素子に射出される。この動作が反復す
る。非線形光学素子の分極反転構造と半導体レーザによ
って擬似位相整合条件が満たされているので、基本光と
2次高調波光との間に位相不整合は生じない。3次以上
の高調波についても上記同様の動作となる。
【0022】前記非線形光学変換素子として、変換効率
に波長依存性を有する非線形光学変換素子を用いた場
合、たとえば、角度位相整合条件に基づいて、上記同様
の動作となる。
【0023】
【実施例】図1は本発明の光デバイス(光波長変換デバ
イス)の好適な実施例としての光デバイスの構造の斜視
図である。この光デバイスは、擬似位相整合(QPM)
条件を満たす誘導放射形光源(レーザ光源)としての半
導体レーザ5と、QPM−SHG(二次高調波光発生)
素子10とを有する。
【0024】光源としては、擬似位相整合条件を満たす
半導体レーザ5の他、SLD(Super-Lumminecent-Diod
e )、ガスレーザなどを使用することができるが、以下
に述べる実施例では、半導体レーザ5を使用する場合を
例示する。この実施例では、半導体レーザ5は、基本光
として、たとえば、波長=830nmの赤色のレーザ光
を射出する。半導体レーザ5は裏端面51と表端面52
とを有し、これら両端面51、52からバック光とフロ
ント光が射出されるが、本発明の実施例においては、特
に、本発明では、半導体レーザの表端面52から射出さ
れるフロント光が対象となる。
【0025】QPM−SHG素子10は、たとえば、L
i Nbx Ta1-x3 結晶で構成された非線形光学的作
用およびその逆作用を行う強誘電体結晶素子6と、この
上面に形成された光導波路4および分極反転部3を有す
る。分極反転部3は、擬似位相整合を行うので、QPM
分極反転構造11とも呼ぶ。また、QPM−SHG素子
10は、半導体レーザ5の表端面(出射面)52に対向
し半導体レーザ5から射出される基本光を受け入れる入
射側端面1と、強誘電体結晶素子6において発生され
た、基本光としての赤色の光の基本光の半分の波長=4
15nmの2次高調波光としての青色の光を射出する出
射側端面2とを有する。
【0026】図1に図解した光デバイスの製造方法を述
べる。まず、強誘電体結晶素子6の上面に、プロトン拡
散などを施して、光導波路4および分極反転部3を形成
する。次いで、光源として半導体レーザ5を用いる場
合、QPM−SHG素子10の入射側端面1を、好適に
半導体レーザ5からの射出される基本光に対して無
反射になるように形成する。さらに好適には、QPM−
SHG素子10(QPM分極反転構造11)において発
生(生成)された2次高調波光のうち、その一部が出射
側端面2で反射され、さらにQPM分極反転構造11で
基本光と同じ波長に逆変換され、半導体レーザ5に帰還
する基本光と同じ波長を有する光に対しても無反射状態
にする。レーザ光源として、半導体レーザ5を用いない
場合は、入射側端面1を必ずしも基本光に対して無反射
状態にする必要はない。
【0027】さらに、QPM−SHG素子10の出射側
端面2を、2次高調波光としての青色の光の一部をQP
M分極反転構造11に向けて反射し、半導体レーザ5か
らの基本光に対して低反射あるいは無反射であるような
膜、たとえば、誘電体多層膜を形成する。出射側端面2
で2次高調波光の一部をQPM分極反転構造11に向け
て反射させるように構成するのは、QPM−SHG素子
10内で生成される2次高調波光の一部を反射させ、さ
らにこの反射光と基本光とから基本光と同じ波長を持
ち、かつ、基本光に対して逆進する光を再生成し、この
再生成した擬似位相整合選択性逆進光を半導体レーザ5
に帰還させるためである。
【0028】このようにして形成されたQPM−SHG
素子10の入射側端面1に、半導体レーザ5の表端面5
2を対向させて半導体レーザ5を光学的に接続して、光
デバイスを完成させる。
【0029】図2は、半導体レーザ5、および、QPM
−SHG素子10における光の伝搬、変換、および、生
成を図解する図である。半導体レーザ5の表端面52か
ら射出された擬似位相整合条件を満たす周波数ωの基本
光(赤色の光)L0がQPM−SHG素子10の入射側
端面1に入射され、QPM−SHG素子10内において
非線形光学的相互作用Aにより、基本光L0の2倍の周
波数2ω(半分の波長)の2次高調波光(青色の光)L
1が生成される。
【0030】このように生成された2次高調波光L1が
出射側端面2まで進むと、その一部の光が反射されて部
分2次高調波反射光(逆進光)L2としてQPM分極反
転構造11に、基本光L0とは逆向きに入射する。QP
M分極反転構造11に、2次高調波光L1とは逆向きに
入射された周波数2ωの部分2次高調波反射光(逆進
光)L2は、QPM分極反転構造11における非線形光
学的相互作用Aとは逆の非線形光学的逆相互作用Bによ
り、2次高調波発生のための擬似位相整合条件を満たす
基本光L0と同じ周波数ωの擬似位相整合選択性(再生
成)逆進光(赤色の光)L3に変換される。つまり、上
述した非線形光学的相互作用AによってQPM分極反転
構造11において周波数ωの基本光L0から周波数2ω
の2次高調波光L1が生成されたが、非線形光学的逆相
互作用Bは、部分2次高調波反射光(逆進光)L2が基
本光L0とは逆向きであるから非線形光学的相互作用A
とは逆作用であり、周波数2ωの部分2次高調波反射光
(逆進光)L2から周波数ωの擬似位相整合選択性逆進
光L3を再生成させる。
【0031】この擬似位相整合選択性逆進光L3は半導
体レーザ5において発生される基本光L0と同じ波長
(周波数)を持つ。擬似位相整合選択性逆進光L3がQ
PM−SHG素子10の入射側端面1から射出されて半
導体レーザ5の表端面52に入射され、共振器として機
能する半導体レーザ5内において、半導体レーザ5自体
で発生される基本光に加算される。この加算された基本
光L0が再びQPM−SHG素子10の入射側端面1に
入射され、上述した動作を反復する。
【0032】このように、擬似位相整合条件を満たす波
長で選択的光帰還時にレーザ発振をし得るゲインを持つ
半導体レーザ5と、半導体レーザ5の表端面52から射
出される基本光L0をQPM分極反転構造11を有する
QPM−SHG素子10における非線形光学的相互作用
Aによって2次高調波光L1に変換するとともに、出射
側端面2において2次高調波光L1の一部を部分2次高
調波反射光(逆進光)L2として反射させ、この部分2
次高調波反射光(逆進光)L2をQPM分極反転構造1
1においてさらに非線形光学的逆相互作用Bによって基
本光L0と同じ波長を持つ擬似位相整合選択性逆進光L
3を再生成し、擬似位相整合を行う構造を有するQPM
−SHG素子10とを組み合わせることにより、擬似
相整合条件を満たす波長の光が生成されたときのみ、そ
の基本光と同じ波長を持つ光を光学的に半導体レーザ5
に帰還させることになる。
【0033】これにより、擬似位相整合条件を満たした
ときのみ、QPM−SHG素子10に入射される基本光
L0と同一の光をQPM−SHG素子10の入射側端面
1から半導体レーザ5に射出することが可能となる。こ
のようにして生成された擬似位相整合選択性逆進光L3
は、非線形光学的相互作用Aおよび非線形光学的逆相互
作用Bの二段階の非線形光学的相互作用に起因してお
り、出射側端面2から射出される光出力は入射基本光の
3乗に比例する。後述するように、一般に、n次の高調
波を生成・射出させる場合、光出力は(2n−1)乗に
比例する。また、上記動作の結果として、半導体レーザ
5を擬似位相整合条件を満たす波長で選択的に発振させ
ることが可能になる。つまり、本発明の光デバイスによ
れば、光源の擬似位相整合条件は常に満たされており、
外部的な制御を伴わない簡単な構造で、高い効率で高調
波を生成することができる。しかも、その光出力は長期
的に安定である。
【0034】図3は図1に示した光デバイスにおける、
半導体レーザ5から射出される擬似位相整合条件を満た
す基本光、QPM−SHG素子10において生成(発
生)される2次高調波光およびQPM分極反転構造11
における光の波数関係を図解する図である。図3に示し
た記号を下記に示す。 表2 kω:基本光L0の波数ベクトル kΛ:QPM分極反転構造11の波数ベクトルkΛ(kΛ=0も含む) −k2 ω:出射側端面2において部分的に反射された部分2次高調波反 射光(逆進光)L2の波数ベクトル −kω:再生成逆進光(擬似位相整合選択性逆進光)L3の波数ベクトル なお、記号ωは基本光の周波数(波長)を示し、記号2
ωはQPM−SHG素子10内のQPM分極反転構造1
1における2次高調波光の周波数(波長)示す。
【0035】上述した作用は運動量保存則に従うから、
図3における波数ベクトルおよび周波数(波長)には下
記式1および式2に示す関係が成立する。
【0036】
【数3】
【0037】
【数4】
【0038】また、図2における光出力の関係は下記式
に示される値になる。下記式において、矢印の向きは光
の進行する向きを示している。記号Pは光出力の大き
さ、記号Rは分極反転部3における反射係数を示す。
【0039】
【数5】
【0040】つまり、式5は分極反転部通過後の2次高
調波光の光出力、式6は出射側端面2で反射された2次
高調波の光出力、式7はQPM分極反転構造11から
半導体レーザ5に向かう再生成逆進光の光出力を示す。
【0041】誘導放射する光源としては、図1を参照し
て述べた半導体レーザ5に限らず、SLD、ガスレーザ
などの他の誘導放射形光源を用いることができる。これ
らの光源を用いた場合も、上記同様、擬似位相整合条件
を満たす波長で選択的に発振させることができる。SL
Dなど、半導体レーザ5以外の光源を用いる場合、QP
M−SHG素子10の入射側端面1を必ずしも無反射状
態にする必要がないことは前に述べた。
【0042】また、本発明の光デバイスの実施に際して
は、QPM−SHG素子10のように擬似位相整合条件
を満たす非線形光学変換素子に限らず、他の非線形光学
変換素子を用いても擬似位相整合選択性逆進光をその非
線形光学変換素子において発生させることが可能であ
る。特に、変換効率の波長依存性が厳しいKTP、KD
Pなどの非線形光学変換素子における「角度位相整合作
用」を用い、このような非線形光学変換素子をレーザ光
源などの誘導放射形光源に接続することにより、変換効
率が最大になる波長で光デバイスを動作させることがで
きる。
【0043】以上の実施例においては、半導体レーザ5
などの光源から射出される基本光として赤色の光、QP
M−SHG素子10において、赤色の光の2次高調波
光、つまり、青色の光を射出する例を示したが、本発明
の実施に際しては、基本光は赤色の光に限らず、たとえ
ば、赤外線、あるいは、橙色の光を基本光としてもよ
い。つまり、半導体レーザ5などの光源としては、この
ような光を発生する光源を用いることもできる。
【0044】また本発明によれば、上述したように2次
高調波光を発生させるだけでなく、3次高調波光、4次
高調波光などの高調波を発生させることができる。図4
は、3次高調波光以上のn次の高調波光を発生させる場
合の波数ベクトルの関係を示す図である。図4におい
て、記号−kn ωは反射n次高調波の波数ベクトルを示
す。その他の記号は表2に示したように、それぞれ、k
ωは基本光L0の波数ベクトル、kΛはQPM分極反転
構造の波数ベクトルkΛ(kΛ=0も含む)を示す。
【0045】n次の高調波を生成させる場合も、2次高
調波光を生成させる場合と同様に、分極反転構造を持つ
非線形光学変換素子、たとえば、QPM−SHG素子を
用い、このQPM−SHG素子の出射側端面でQPM分
極反転構造で生成された高調波光を一部選択的に反射さ
せ、その部分反射光を基本光と非線形光学的に相互作用
させて、高調波条件を満たしたときのみ基本光と同一の
再生成逆進光を発生させ、レーザ光源に帰還させる。n
次の高調波発生を用いた場合、帰還光の出力光は基本光
の(2n−1)乗に比例する。
【0046】n次の高調波を発生させる場合も、非線形
光学変換素子としては、擬似位相整合条件を持つQPM
−SHG素子などに限らず、上述したように、変換効率
の波長依存性が厳しいKTP、KDPなどの非線形光学
変換素子における「角度位相整合作用」を用い、このよ
うな非線形光学変換素子をレーザ光源などの誘導放射形
光源に接続することにより、変換効率が最大になる波長
で光デバイスを動作させることができる。
【0047】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の光デバイス
は、上述した光源と非線形光学変換素子を組み合わせる
だけでよく、たとえば、回折格子、電気的な制御装置な
どを必要としないから、構成が簡単であり、小型、低価
格に製造できる。また本発明の光デバイスは、光源に厳
しい波長選択性を要求しない。さらに本発明の光デバイ
スは、半導体レーザなどのレーザの発振波長を安定化さ
せることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光デバイスの実施例の構成斜視図であ
る。
【図2】図1に示した光デバイスにおける光変換動作を
示す図である。
【図3】図1に示した光デバイスにおける光の波数関係
を図解する図である。
【図4】本発明の光デバイスの他の実施例の光の波数関
係を示す図である。
【図5】従来の光デバイスにおける光の波数関係を示す
グラフである。
【符号の説明】 1・・QPM−SHG素子の入射側端面 2・・QPM−SHG素子の出射側端面 3・・分極反転部 4・・光導波路 5・・半導体レーザ 51・・半導体レーザの裏端面 52・・半導体レーザの表端面 6・・強誘電体結晶素子 10・・QPM−SHG素子 11・・QPM分極反転構造 L0・・基本光 L1・・2次高調波光 L2・・部分2次高調波反射光(逆進光) L3・・擬似位相整合選択性(再生成)逆進光 A・・非線形光学的相互作用 B・・非線形光学的逆相互作用
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/37 JICSTファイル(JOIS)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光源と、 該光源と光学的に接続され、所定の波長選択性を有し、
    該光源からの出射光を受け入れる入射側端面と該入射側
    端面に対向して設けられた出射側端面とを有し、前記入
    射側端面に入射した光を所定の高調波光に変換する、非
    線形光学変換素子と を有し、 前記光源は、誘導放射により前記光学的に接続される前
    記非線形光学変換素子の擬似位相整合条件を満たす波長
    の光を射出し得る誘導放射光源であり、 前記非線形光学変換素子は、 非線形光学的相互作用およびその逆作用を行う強誘電体
    結晶で構成され、この強誘電体結晶の面に擬似位相整合
    を行う分極反転構造を有し、 前記入射側端面を前記光源から射出される光および前記
    非線形光学変換素子から射出される光を無反射状態に形
    成し、 前記高調波光を前記出射端面において反射・逆行させ、
    該反射・逆行させた高調波光を前記擬似位相整合の分極
    反転構造を介して前記光源から進行する基本光と相互さ
    せて前記光源と逆方向に進行する位相整合条件を満たす
    帰還光を生成するように構成されている、 光デバイス。
  2. 【請求項2】前記光源は半導体レーザである、 請求項1記載の光デバイス。
  3. 【請求項3】前記非線形光学素子は、前擬似位相整合
    を行う分極反転構造を有する光導波路を有する、 請求項1または2記載の光デバイス。
  4. 【請求項4】前記非線形光学変換素子が変換効率に波長
    依存性を有する非線形光学変換素子である、 請求項1または2記載の光デバイス。
  5. 【請求項5】前記非線形光学素子が、前記高調波とし
    て2次高調波を生成する素子である、 請求項3または4記載の光デバイス。
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