JP3398058B2 - 薬液の流量調整装置、およびそれを備えた薬液注入装置 - Google Patents

薬液の流量調整装置、およびそれを備えた薬液注入装置

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JP3398058B2 JP18896598A JP18896598A JP3398058B2 JP 3398058 B2 JP3398058 B2 JP 3398058B2 JP 18896598 A JP18896598 A JP 18896598A JP 18896598 A JP18896598 A JP 18896598A JP 3398058 B2 JP3398058 B2 JP 3398058B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医療分野等で用い
られる薬液の流量調整装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】抗生物質や抗癌剤等の薬液を患者の体内
へ微量、例えば1時間当たり数CCずつ長時間にわたり注
入するため、現在、薬液注入装置と流量調整装置とを組
み合わせて使用されている。この流量調整装置として
は、例えば特開平9−225028号公報に記載された
ものがある。この流量調整装置では、ケーシングに対し
て流入部および流出部が突設されており、電動式シリン
ジポンプ、バルーンインフューザーや国際公開番号WO
95/28977に記載された装置などの薬液注入装置
から延びるチューブを流入部に接続するとともに、流出
部へ人体接続用チューブを接続して、薬液を人体へ微量
ずつ長時間にわたって注入させるといった用い方ができ
るようになっている。
【0003】このケーシング内には、ポリ塩化ビニル等
により形成された同径の細径チューブが相互に異なる長
さで設けられ、各チューブの一方端が流路分岐部を介し
て流入部と接続される一方、他方端が流出部と接続され
ており、各細径チューブが流入部から流出部への薬液の
流路として機能している。また、流路分岐部には、操作
栓が取り付けられており、この操作栓を操作することに
より、流入部を介して流れてきた薬液が複数の細径チュ
ーブを選択的に流れるように構成されている。このた
め、こうして設けられた複数の細径チューブの管路抵抗
は、相互に相違しており、操作栓によって薬液の流路を
選択的に切り換えることで、流出部から流出する薬液の
流量は切換制御される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、流路の管路
抵抗は内径と長さによって決定されるため、上記従来例
では、細径チューブによって流路を形成し、細径チュー
ブの長さを調整することで、当該細径チューブの管路抵
抗を適当に設定して通液量を制御するようにしている
が、細径チューブの内径については、ある程度バラツキ
が生じやすいため、所定の管路抵抗に対応する長さの細
径チューブをそのまま用いたのでは、必ずしも所望の管
路抵抗が得られないため、次のような作業を行ってい
る。すなわち、まず管路抵抗に対応した長さの細径チュ
ーブを準備し、実際に薬液を流して管路抵抗(通液量)
を実測し、所定の管路抵抗となったか否かを検証した
後、その実測値が所定値からずれている場合には、細径
チューブの長さを修正し、再度管路抵抗を実測して所定
値になったか否かを確認する。このような作業を流路ご
とに繰り返して行う必要があり、製造コストの増大の一
要因となっている。
【0005】また、細径チューブの内径を比較的大きく
し、内径のバラツキを抑えることも考えられるが、この
場合、所定の管路抵抗を得るためには内径を大きくした
分だけ細径チューブを長くする必要があり、その結果、
流量調整装置の大型化を招くとともに、細径チューブを
ケーシング内に収納した際にチューブが折れ曲がり薬液
の流れが悪くなったり、全く流れないなどの問題が発生
することがあり、流量調整が困難となる場合がある。
【0006】この発明は、上記のような問題に鑑みてな
されたものであり、コンパクトな薬液の流量調整装置を
低コストで提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明は、薬液の流入
部および流出部を有するケーシング内に流路形成部材を
収容し、前記ケーシングと前記流路形成部材とで形成さ
れる流路を介して前記流入部から前記流出部に薬液を導
き、前記流出部から流出する薬液の流量を調整する流量
調整装置であって、前記流路形成部材は円柱形状で、そ
の周面に溝部が螺旋状に設けられ、流路形成部材の周面
がケーシング内面に密着することにより前記溝部が薬液
の流路として機能し、前記流路形成部材を収容する収容
部が前記ケーシング内に複数個設けられ、これらの収容
部はそれぞれ円柱状の収納空間を 有し、互いに独立して
並列に配置され、複数の前記流路形成部材がそれぞれ対
応する収容部に収容されることにより薬液の流路が複数
本設けられるとともに、前記収容部と前記流入部または
前記流出部との間には薬液の流路を切換制御する流路切
換手段を設けられ、当該流路切換手段によって薬液の流
路が選択的に切り換えられて前記流出部から流出する薬
液の流量が調整可能となっているものである(請求項
1)。
【0008】この発明では、流路形成部材の表面に溝部
が形成され、これが薬液の流路として機能している。溝
部を設計通りに精度良く形成することは現在の加工技術
をもってすれば容易なことであり、予め溝部の断面形状
および長さを適切に設計しておきさえすれば、溝部によ
って形成される管路抵抗を正確に設定することができ
る。したがって、従来のように管路抵抗を設定するため
に「実測−検証−修正」といった作業工程を繰り返すこ
となく、所望の管路抵抗の流路が得られる。
【0009】しかも、円柱形状の流路形成部材の周面に
溝部が螺旋状に設けられることにより、溝部を長く設け
ることが可能で、薬液の流量調整に適した管路抵抗を確
保可能となっている。
【0010】また、流路形成部材を収容する収容部を前
記ケーシング内に複数個設けるとともに、複数の流路形
成部材をそれぞれ対応する収容部に収容して薬液の流路
を複数本設け、しかも、薬液の流路を切換制御する流路
切換手段を設け、当該流路切換手段によって薬液の流路
を選択的に切り換えて前記流出部から流出する薬液の流
量を調整可能としているため、薬液の流量を複数段階に
調整することができる。
【0011】また、前記ケーシング内に前記流入部と前
記流出部とを連通するバイパス流路を設けるとともに、
当該バイパス流路を開閉制御するバイパス流路開閉手段
を設け、前記バイパス流路を開成したときには前記流路
形成部材によって形成される流路の通液量に比べて充分
に多量の薬液を前記流出部から流出させるように構成し
てもよく(請求項)、患者の容体の変化や薬効状況な
どに応じて薬液の流量を急激に増大させることができ
る。
【0012】また、前記流入部から前記溝部に至るまで
の薬液の流路径を前記流入部から前記溝部に向うに従っ
て小さくしてもよい(請求項)。生理食塩水などの薬
液を流す場合、流路径が急激に小さくなると、その流路
径の不連続部分で薬液の一部が結晶化し易くなり、結晶
体によって流路が詰まるという問題が発生することがあ
るが、この発明のように流路径を徐々に小さくすること
で結晶化が防止される。
【0013】さらに、前記流路形成部材としてはプラス
チック製のものを用いることができ、射出成形によって
製造する(請求項)ことで、溝部の断面形状および長
さを正確に形成することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】A.基本的構成についての参考例 図1は、この発明にかかる薬液の流量調整装置の基本的
構成についての参考例を示す図である。また、図2は図
1の流量調整装置の使用状況を示す図である。この流量
調整装置1は薬液注入装置2と組み合わせて使用される
ものであり、薬液注入装置2から延びるチューブ3を流
量調整装置1の流入部11に接続するとともに、流出部
12へ人体接続用チューブ(図示省略)を接続して使用
するものであって、薬液を人体へ微量づつ長時間にわた
って注入可能となっている。
【0015】この流量調整装置1では、図1(b)に示す
ように、ケーシング13の略中央部に収容部14が設け
られており、円柱状の収容空間が規定されている。この
収容部14の収容空間には、ケーシング13の一方端側
(同図の下方側)から円柱状の流路形成部材15が嵌入
され、その先端部が収容部14のステップ部141で係
止されている。また、このように収容部14に流路形成
部材15が収容された状態で、ケーシング13の一方端
に流入部11が差し込まれ、その先端部で流路形成部材
15の後端部を係止するように取り付けられている。こ
のようにして、流路形成部材15がケーシング13の収
容部14に収容固定されている。
【0016】この流路形成部材15は、例えばプラスチ
ックなどの樹脂材料で形成されたもので、同図(c)に示
すように、その表面には矩形、三角形または半円形など
の断面形状を有する溝部151が螺旋状に設けられてい
る。また、この流路形成部材15の外径は収容部14の
内径と同一あるいは若干大きく、上記のようにして収容
部14に嵌入されると、流路形成部材15の表面はケー
シング13(収容部14)の内面と密着される。したが
って、流入部11を介して薬液が収容部14に流れ込む
と、薬液は螺旋状の溝部151内をケーシング13の他
方端側(同図の上方側)に流れ、溝部151が薬液の流
路として機能する。
【0017】また、ケーシング13の他方端側には、流
出部12がケーシング13と一体的に設けられており、
溝部151に沿って流れてきた薬液が当該流出部12よ
り流出する。なお、図中の符号10はロック部であり、
このロック部10によって流出部12に装着した人体接
続用チューブ(図示省略)を締付けて流出部12に固定
可能となっている。
【0018】以上のように、この流量調整装置1によれ
ば、流路形成部材15の表面に螺旋状に設けられた溝部
151を薬液の流路としているため、次のような効果が
得られる。すなわち、このように表面に溝部151を有
するプラスチック製の流路形成部材15を製造する方法
としては、従来より周知の方法、例えば射出成形を用い
ることができ、溝部151の断面形状および長さを設計
通りに精度良く形成することができるので、予め設計段
階で管路抵抗に対応して溝部151の断面形状および長
さを設計しておくことで、その所望の管路抵抗が一度に
得られる。特に、射出成形法を用いる場合には、その管
路抵抗に応じた金型を作成しておけば、同一の管路抵抗
を有する流路形成部材15を量産することができ、流量
調整装置1の製造コストを大幅に抑えることができる。
【0019】また、流路として機能する溝部151
路形成部材15の表面に螺旋状に設けられ、溝部151
が流路形成部材15の全長L(図1(b))と比べて充分
に長くなっているため、充分な長さを確保することがで
きる分だけ溝部151の断面積を大きく設定することが
でき、流路(溝部151)が詰まり難くなるという効果
が得られる。また、溝部151の断面積を大きくするこ
とは流路形成部材15の成形処理をより容易に、しかも
精度をより一層向上させることができる点で好ましい。
【0020】さらに、溝部151を流路として機能させ
ているため、流路を狭い領域内に密集させることがで
き、従来のように細径チューブを流路とする場合に比べ
て装置をコンパクトにすることができる。
【0021】なお、この第1実施形態では、流路形成部
材15をプラスチックなどの樹脂材料で形成している
が、他の材料、例えばガラスや金属などを加工して形成
してもよい。また、成形方法についても、射出成形に限
定されるものではなく、従来より周知の種々の成形方法
を用いてもよい。
【0022】また、上記第1実施形態では、円柱状の流
路形成部材15の表面に溝部151を設けているが、流
路形成部材15の断面形状は任意であり、流路形成部材
15の表面がケーシング13(収容部14)の内面と密
着し、溝部151に沿って薬液を流出部12側に導くこ
とができさえすれば、円柱状、多角柱状および筒状を含
む中実または中空の柱状のものを採用することができ
る。
【0023】B.本発明の実施形態 図は、この発明にかかる薬液の流量調整装置の実施形
態を示す図である。また、図は図の流量調整装置の
断面図であり、同図(a)は図のAA−AA線断面図で
あり、同図(b)は図のBB−BB線断面図であり、同
図(c)は図のCC−CC線断面図である。この流量調
整装置1では、図6に示すように、ケーシング13内に
2つの収容部14A,14Bが設けられて2つの独立し
た円柱状の収容空間が規定されている。そして、一方の
収容部14Aに流路形成部材15Aが収容される一方、
他方の収容部14Bに流路形成部材15Bが収容されて
いる。これらの流路形成部材15A,15Bを相互に比
較すると、それらの表面には同一の断面形状を有する溝
部151が形成されており、しかも各表面は収容部14
A,14Bの内面(表面)と密着して、第1実施形態と
同様に、溝部151が薬液の流路として機能する点で共
通するが、流路形成部材15Aの表面には溝部151が
比較的広いピッチで螺旋状に形成されているのに対し
て、流路形成部材15Bの表面には溝部151が比較的
狭いピッチで螺旋状に形成されている。このように、こ
の実施形態では、流路形成部材15Aの管路抵抗が流路
形成部材15Bの管路抵抗よりも小さくなっており、流
路形成部材15A側の流路A(図)を通過して流れる
薬液の流量RAと、流路形成部材15B側の流路B(図
)を通過して流れる薬液の流量RBとが相互に異なっ
ている。なお、流路形成部材15A,15Bについて、
その他の構成上の特徴はいずれも前記参考例の流路形成
部材15と同一である。
【0024】また、収容部14A,14Bは、図(a)
に示すように、流入部11側で流路分岐部5を介して流
入部11と連通される一方、流出部12側で直接流出部
12と連通されている。この流路分岐部5の内部には、
操作栓51が回動自在に嵌合されている。図および図
は流路分岐部5及び操作栓51を模式的に示したもの
で、流路分岐部5には操作栓51の回動軸心に直交する
一つの平面内で、互いに90゜の開き角度を有して三方
の弁孔52,53,54が形成されている。このうち、
中央の弁孔53は流入部11と接続され、両側の弁孔5
2,54には上記収容部14A,14Bが接続されてい
る。一方、操作栓51にはT字状連通路56が形成され
ており、この連通路56の各口部が上記各弁孔52,5
3,54に合致又は非合致となることによって開閉弁部
が構成されている。
【0025】また、操作栓51は、図および図に示
すように、その一端部がケーシング13を貫通してその
外部へ露出するようになっており、この露出部分が操作
入力部57とされている。この操作入力部57は六角ナ
ット状に形成されており、メガネレンチ状の操作工具
(図示省略)を係合させた状態での回動操作が可能にな
っている。この操作入力部57の外周部には操作栓51
(連通路56)の指向状況を分かり易く表示する指標具
58が設けられており、ケーシング13には、この指標
具58に対応して流路A,Bの選択状況(通液量)を表
示する目盛りが設けられている。
【0026】次に、図を参照しつつ操作栓51の回転
角度と、流出部12からの薬液の流量との関係について
説明する。なお、同図中の「回転角度」は操作栓51の
未操作時を「0゜」とし、そのときの接続状態から操作
栓51を図の紙面における時計方向への回転角度を示
しており、各回転角度での接続状態を「接続状態」の欄
に模式的に示すとともに、流出部12からの薬液の流量
を「流量」の欄に記載している。
【0027】まず、操作栓51の未操作時には、流入部
11側の弁孔53は他の弁孔52,54のいずれとも連
通しておらず、従って双方の流路A,Bは共に閉止され
ている。
【0028】また、「接続状態」の最上欄に示された状
態から操作栓51を時計回り方向へ90゜操作した状態
では、弁孔53,54間だけが連通しており、従って流
路Bだけが通夜可能に選択されている。そのため流出部
12からは流路Bの管路抵抗に応じた流量RBの薬液が
取り出される。
【0029】また、操作栓51の180゜操作時では、
弁孔52,53,54が全て連通しており、従って双方
の流路A,Bが通液可能に選択されている。そのため流
出部12からは流路A及びBの各管路抵抗に応じた総和
流量(RA+RB)の薬液が取り出される。
【0030】さらに、操作栓51の270゜操作時で、
弁孔52,53間だけが連通しており、従って流路Aだ
けが通液可能に選択されている。そのため流出部12か
らは流路Aの管路抵抗に応じた流量RAの薬液が取り出
される。
【0031】以上のように、この実施形態によれば、2
つの収容部14A,14Bをケーシング13内に設ける
とともに、互いに管路抵抗が異なる流路形成部材15
A,15Bをそれぞれ対応する収容部14A,14Bに
収容して薬液の流路A,Bを設け、しかも、操作栓51
を操作することで薬液の流路を選択的に切換制御できる
ように構成しているので、流出部12からの薬液の流量
を3段階に調整可能となっている。すなわち、この実施
形態では、流路分岐部5および操作栓51が流路切換手
段として機能している。
【0032】また、流路形成部材15A,15Bの表面
に螺旋状の溝部151を設け、これらを薬液の流路A,
Bとしているため、上記効果に加えて、参考例と同様に
効果が得られる。
【0033】なお、上記実施形態では、流路形成部材1
5A,15Bに同一形状の溝部151を設ける一方、各
溝部151の長さを相互に異ならせることによって、流
路A,Bの管路抵抗を相違させているが、長さを同一に
する一方、溝部151の断面積を相違させたり、あるい
は断面積および長さの両方を相違させることによって管
路抵抗を相違させるようにしてもよい。
【0034】また、上記実施形態では、2つの流路A,
Bを形成して流路切換手段たる流路分岐部5の操作栓5
1を回動させて流量の切換制御を行っているが、3つ以
上の流路を設けて流量を切換るようにしてもよい。具体
的には、ケーシング13に3つ以上の収容部を設け、各
収容部に相互に管路抵抗が異なる流路形成部材を収容
し、流路切換手段によって流路を選択的に切換るように
構成すればよい。
【0035】また、上記実施形態では、流路切換手段た
る流路分岐部5を流入部11側に設けているが、その配
設位置は流入部11と流出部12との間であればいずれ
の位置に設けてもよく、例えば収容部14A,14Bと
流出部12との間に設けてもよい。
【0036】C.他の例は、薬液の流量調整装置の他の例を示す図である。
この流量調整装置が上記実施形態と大きく相違する点
は、収容部14Bに流路形成部材15Bを配置して形成
された流路Bの代わりにバイパス流路Cが設けられる点
と、流路分岐部の代わりにバイパス流路を開閉するバイ
パス流路開閉部6が設けられている点であり、その他の
基本的構成は同一である。したがって、以下において
は、相違点を中心に説明し、同一構成については同一符
号を付して説明を省略する。
【0037】この流量調整装置1では、ケーシング13
内に、収容部14Aと並行して2つの配管71、72を
直列接続してなるバイパス配管7が流入部11および流
出部12の間に設けられてバイパス流路Cを規定してい
る。配管71,72の断面形状は任意であるが、溝部1
51のそれに比べて極めて大きく、流路形成部材15A
によって形成される流路Aの通液量に比べて充分に多量
の薬液をバイパス流路Cを介して流出部12に通液可能
となっている。
【0038】また、配管71,72の接続部分には、バ
イパス流路Cを開閉するバイパス流路開閉部6が設けら
れている。すなわち、同図(b)に示すように、配管7
1,72のつなぎ部分には開口61が設けられており、
この開口61を介して配管71から配管72に薬液が流
れる。そして、この開口61に対して出退自在に作動杆
62が設けられている。この作動杆62の先端部621
はケーシング13内に位置する一方、後端部622はケ
ーシング13から外部に飛び出しており、その後端部6
22をケーシング13側に押し込むと、図に示すよう
に、作動杆62の先端部621が開口61を塞いでバイ
パス流路Cを閉成する。逆に、作動杆62の後端部62
2をケーシング13から引っ張ると、作動杆62の先端
部621が開口61から退避してバイパス流路Cを開成
する。このように、このでは、開口61および作動杆
62によってバイパス流路開閉部6が構成されている。
【0039】このように構成された薬液の流量調整装置
1では、オペレータが作動杆62をケーシング13側に
押し込んでバイパス流路Cを閉成すると、前記参考例
同様にして構成された流路Aだけが通夜可能となり、流
出部12からは流路Aの管路抵抗に応じた流量の薬液が
取り出される。したがって、前記参考例と同様の効果が
得られる。
【0040】また、患者の容体の変化や薬効状況などに
応じて、薬液の流量を急激に増大させたい場合がある
が、本にかかる流量調整装置1によれば、このような
場合にも適切に対応することができる。具体的には、オ
ペレータが作動杆62をケーシング13から引っ張り、
バイパス流路Cを開成すると、双方の流路A,Cが通液
可能となるが、上記したように配管71,72は溝部1
51に比べて大幅に広い断面を有していることから、流
路Aの通液量に比べて充分に多量の薬液を流出部12か
ら流出させることができる。
【0041】なお、本例では、作動杆62によって開口
61を塞いだり、開放することでバイパス流路Cの開閉
制御を行っているが、バイパス流路開閉部6の構成はこ
れに限定されるものではなく、任意であり、例えば前記
実施形態で用いた操作栓によって構成してもよい。
【0042】また、本例では、薬液の流量を微量に制御
するための流路として流路Aのみを設けたタイプの流量
調整装置(前記参考例)にバイパス流路Cを付加したも
のであるが、前記実施形態のように複数の流路を有する
タイプの流量調整装置にも適用することができる。
【0043】D.その他 ところで、上記した流量調整装置1では、図1(c)に示
すように、流路形成部材15,15A,15Bにおい
て、流入部11側では溝部151に沿って進むにしたが
って、その流路径が徐々に小さくなるように構成されて
いる。そのため、次に説明するような特有の効果を有し
ている。すなわち、流量調整の対象となる薬液には、例
えば生理食塩水などのように流路径が急激に小さくなる
と、その不連続部分で薬液の一部が結晶化するものがあ
るが、このように流路内で結晶化が発生すると、その結
晶体が流路を詰まらせる要因となることがある。しかし
ながら、この発明では、上記したように流路径が徐々に
小さくなるように構成しているので、薬液の結晶化を確
実に阻止して流路の詰まりを防止することができる。
【0044】
【発明の効果】以上のように、この発明にかかる流量調
整装置によれば、流路形成部材の表面に溝部が形成さ
れ、これを薬液の流路として機能させていることから、
溝部の断面形状および長さを設計することで管路抵抗を
正確に設定することができる。また、当該溝部が円柱状
の流路形成部材の周面に螺旋状に形成されているため、
溝部を長く設けることが可能で、薬液の流量調整に適し
た管路抵抗を確保可能となっている。
【0045】また、流路形成部材を収容する収容部を前
記ケーシング内に複数個設け、複数の流路形成部材をそ
れぞれ対応する収容部に収容して薬液の流路を複数本設
けるとともに、それらの流路を切換制御する流路切換手
段を設けているため、流出部から流出する薬液の流量を
多段階で調整することができる。
【0046】また、ケーシング内に流入部と流出部とを
連通するバイパス流路を設けるとともに、当該バイパス
流路を開閉制御するバイパス流路開閉手段を設けておく
、バイパス流路を開成することで流路形成部材によっ
て形成される流路の通液量に比べて充分に多量の薬液を
流出部から流出させることができ、患者の容体の変化や
薬効状況などに応じて薬液の流量を急激に増大させるこ
とができる。
【0047】さらに、流入部から溝部に至るまでの薬液
の流路径を流入部から溝部に向うに従って小さくして
くと、薬液の一部が結晶化するのを防止して流路が詰ま
るなどの問題を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかる薬液の流量調整装置の基本的
構成についての参考例を示す図である。
【図2】図1の流量調整装置の使用状況を示す図であ
る。
【図3】この発明にかかる薬液の流量調整装置の実施形
態を示す図である。
【図4】図3の流量調整装置の断面図である。
【図5】図3の流路調整装置における流路分岐部と流路
との関係を模式的に示した図である。
【図6】操作栓の回転角度と流量との関係を説明するた
めの図である。
【図7】薬液の流量調整装置の他の例を示す図である。
【符号の説明】
1…流量調整装置 5…流路分岐部 6…バイパス流路開閉部 7…バイパス配管 11…流入部 12…流出部 13,16,19…ケーシング 14,14A,14B…収容部 15,15A,15B…流路形成部材 51…操作栓 52,53,54…弁孔 56…T字状連通路 61…開口 62…作動杆 71,72…配管 151…溝部 A,B…流路 C…バイパス流路 L…全長 RA,RB…流量
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 東 達司 大阪府泉佐野市鶴原401−9 (56)参考文献 特開 平2−180274(JP,A) 特開 平9−225028(JP,A) 特開 平3−218772(JP,A) 特表 昭62−501820(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61M 5/168

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 薬液の流入部および流出部を有するケー
    シング内に流路形成部材を収容し、前記ケーシングと前
    記流路形成部材とで形成される流路を介して前記流入部
    から前記流出部に薬液を導き、前記流出部から流出する
    薬液の流量を調整する流量調整装置であって、前記流路形成部材は円柱形状で、その周面に溝部が螺旋
    状に設けられ、流路形成部材の周面がケーシング内面に
    密着することにより前記溝部が薬液の流路として機能
    し、 前記流路形成部材を収容する収容部が前記ケーシング内
    に複数個設けられ、これらの収容部はそれぞれ円柱状の
    収納空間を有し、互いに独立して並列に配置され、 複数の前記流路形成部材がそれぞれ対応する収容部に収
    容されることにより薬液の流路が複数本設けられるとと
    もに、 前記収容部と前記流入部または前記流出部との間には薬
    液の流路を切換制御する流路切換手段が設けられ、当該
    流路切換手段によって薬液の流路が選択的に切り換えら
    れて前記流出部から流出する薬液の流量が調整可能とな
    っている ことを特徴とする薬液の流量調整装置。
  2. 【請求項2】 前記ケーシング内に前記流入部と前記流
    出部とを連通するバイパス流路が設けられるとともに、
    当該バイパス流路を開閉制御するバイパス流路開閉手段
    が設けられており、 前記バイパス流路を開成したときには前記流路形成部材
    によって形成される流路の通液量に比べて充分に多量の
    薬液を前記流出部から流出させる請求項1記載の薬液の
    流量調整装置。
  3. 【請求項3】 前記流入部から前記溝部に至るまでの薬
    液の流路径が前記流入部から前記溝部に向かうに従って
    小さくなっている請求項1または2記載の薬液の流量調
    整装置。
  4. 【請求項4】 前記流路形成部材はプラスチック製であ
    り、射出成形されたものである請求項1ないしのいず
    れかに記載の薬液の流量調整装置。
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