JP3397414B2 - 電子源とその製造方法、及び、画像形成装置とその製造方法 - Google Patents

電子源とその製造方法、及び、画像形成装置とその製造方法

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JP3397414B2 JP33592693A JP33592693A JP3397414B2 JP 3397414 B2 JP3397414 B2 JP 3397414B2 JP 33592693 A JP33592693 A JP 33592693A JP 33592693 A JP33592693 A JP 33592693A JP 3397414 B2 JP3397414 B2 JP 3397414B2
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  • Manufacture Of Electron Tubes, Discharge Lamp Vessels, Lead-In Wires, And The Like (AREA)
  • Electrodes For Cathode-Ray Tubes (AREA)
  • Cathode-Ray Tubes And Fluorescent Screens For Display (AREA)
  • Control Of Indicators Other Than Cathode Ray Tubes (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子線を放出する電子源
とその製造方法、さらには、電子線の照射により画像を
形成する表示装置などの画像形成装置とその製造方法に
関する発明である。
【0002】
【従来の技術】従来、電子放出素子として熱電子源と冷
陰極電子源の2種類が知られている。
【0003】そのうち、冷陰極電子源としては、電界放
出型(以下、FEと略す)、金属/絶縁層/金属型(以
下、MIMと略す)や表面伝導形電子放出素子等があ
る。
【0004】上記FEの例としては、W.P.Dyke & W.W.D
olan,"Fieldemission",Advance inElectron Physics,8,
89(1956) 、あるいは、C.A.Spindt,"Physical properti
esof thin-film field emission cathodes with Molybd
enium cones",J.Appl.Phys,47,5248(1976)などが知られ
ている。
【0005】上記MIMの例としては、C.A.Mead,"The
tunnel-emission amplifier", J.Appl.Phys,32,646(196
1)などが知られている。
【0006】上記表面伝導形電子放出素子の例として
は、M.I.Elinson,Radio Eng.ElectronPhys.,10(1965)
などが知られている。
【0007】ここで表面伝導形電子放出素子は、基板上
に形成された小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流す
ことにより、電子放出が生ずる現象を利用するものであ
る。この表面伝導形電子放出素子としては、前記エリン
ソン等によるSnO2 薄膜を用いたもののほかに、Au
薄膜によるもの[G.Dittmer:"Thin Solid Films",9,317
(1972)]、In23 /SnO2 薄膜によるもの[M.Ha
rtwell and C.G.Fonstad:"IEEE Trans.ED Conf.",519(1
975)]、カーボン薄膜によるもの[荒木久 他:真空、
第26巻、第1号、22頁(1983)]等が報告され
ている。
【0008】これらの表面伝導形電子放出素子の典型的
な素子構成として前述のM.ハートウェルの素子構成を
図29に示す。同図において 231は絶縁性基板、 232は
電子放出部形成用薄膜で、H型形状のパターンに、スパ
ッタで形成された金属酸化物薄膜等からなり、後述のフ
ォーミングと呼ばれる通電処理により電子放出部 233が
形成される。 234は電子放出部を含む薄膜と呼ぶ。
【0009】従来、これらの表面伝導形電子放出素子に
おいては、電子放出を行う前に電子放出部形成用薄膜 2
32を予めフォーミングと呼ばれる通電処理によって電子
放出部 233を形成するのが一般的であった。即ち、フォ
ーミングとは前記電子放出部形成用薄膜 232の両端に電
圧印加し通電処理することで、電子放出部形成用薄膜を
局所的に破壊、変形もしくは変質せしめ、電気的に高抵
抗な状態にした電子放出部 233を形成することである。
このようにフォ−ミング処理を施した表面伝導形電子放
出素子は、上記電子放出部を含む薄膜 234に電圧を印加
し、素子に電流を流すことにより、上記電子放出部 233
より電子を放出せしめるものである。
【0010】しかしながら、これら従来の表面伝導形電
子放出素子においては、実用化にあったて、様々な問題
があった。そこで、本出願人等は、後述するような様々
な改善を鋭意検討し、実用化上の問題点を解決してき
た。
【0011】例えば、図28に示すように、基板 241上
の電極(242、243) 間に、電子放出部形成用薄膜として微
粒子膜244 を配置し、この微粒子膜244 に通電処理を施
すことにより、電子放出部245 を形成した新規な表面伝
導形電子放出素子(特開平2−56822号公報)を本
出願人は提案している。
【0012】また、多数の表面伝導形電子放出素子を配
列形成した例としては、並列に表面伝導形電子放出素子
を配列し、個々の素子の両端を配線にてそれぞれ結線し
た行を多数行配列した電子源が挙げられる(例えば、本
出願人の特開昭64−31332号公報)。
【0013】一方、近年では特に、表示装置をはじめと
する画像形成装置の分野においては、液晶を用いた平板
型表示装置がCRTに替わって普及してきたが、液晶表
示装置は自発光型でないために、バックライト等を持た
なければならない等の問題点があり、自発光型の表示装
置の開発が望まれてきた。
【0014】このような要求に対し、表面伝導形電子放
出素子を多数配置した電子源と、電子源より放出された
電子によって、可視光を発光せしめる蛍光体とを組み合
わせた表示装置である画像形成装置は、大画面の装置で
も比較的容易に製造でき、かつ表示品位の優れた自発光
型表示装置である(例えば、本出願人の米国特許公報5
066883号)。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】以上述べた表示装置を
はじめとする、各種画像形成装置においては、更なる大
画面化や高精細化が期待されるのは必然的要求である
が、上述のように電子放出素子を多数個配列形成した電
子源の場合、特にその製造上の不具合により、例えば以
下のような問題が発生する場合があった。 1)電子放出素子自身の欠陥や不良 2)共通配線の断線、あるいは隣接した配線間の短絡 3)共通配線の交差部での層間絶縁不良
【0016】そこで本発明は、電子放出素子を多数個配
列形成した電子源において、その製造上の不具合により
発生する上記問題点のうち、とりわけ、電子放出素子自
身の欠陥や不良に対処し、電子源及び画像形成装置の製
造歩留まりを大幅に向上することを目的とする。
【0017】また、本発明は、電子放出素子自身の欠
陥、不良に充分対処することができ、更には、画像表示
した際の画素欠陥、輝度むらといった画質劣化の極めて
少ない、よって、高品位の画像を得ることのできる電子
源とその製造方法、及び画像形成装置とその製造方法を
提供することを目的とする。
【0018】また、特に本発明は、電子放出素子の中で
もとりわけ、表面伝導形電子放出素子を多数個配列形成
した電子源と該電子源を用いた画像形成装置に関し、上
記製造歩留まり向上と、上記画質劣化の改善により高品
位の画像を得ることのできる電子源及び該電子源を用い
た画像形成装置の提供を目的とするものである。
【0019】
【課題を解決する為の手段】以上の目的は、以下の本発
明により達成される。
【0020】即ち本発明は、基体と、該基体上に配置さ
れた電子放出素子とを有する電子源において、前記電子
放出素子は、電極間に、電子放出部を有する複数の導電
性膜が電気的に並列に接続されており、該電極と該導電
性膜との接続が、加熱されることで当該接続を断絶する
熱断線部材を介して行われていることを特徴とする電子
源である。
【0021】更に本発明は、基体と、該基体上に配置さ
れた電子放出素子とを有する電子源において、該電子放
出素子は、電圧供給手段に接続された電子放出部と、前
記電圧供給手段に接続されておらず、電子放出部の形成
されていない電子放出部形成用薄膜とを有し、前記電子
放出部の電圧供給手段との接続は、加熱されることで当
該接続を断絶する熱断線部材を介して行われているとと
もに、前記電子放出部形成用薄膜と前記電圧供給手段と
の間には、加熱されることで前記電子放出部形成用薄膜
と前記電圧供給手段との接続を形成する熱結線部材が配
置されていることを特徴とする電子源である。
【0022】
【0023】更に本発明は、電子源と、該電子源より放
出される電子ビ−ムの照射により画像を形成する画像形
成部材と、入力される画像信号に応じて該画像形成部材
に照射される電子ビ−ムを変調する変調手段とを有する
画像形成装置において、該電子源が上記本発明の電子源
であることを特徴とする画像形成装置である。
【0024】更に本発明は、基体と、該基体上に配置さ
れた電子放出素子とを有する電子源の製造方法におい
て、基体上に、電気的に並列接続された、複数の電子放
出部を有する電子放出素子を形成する工程と、該複数の
電子放出部に対し、電子放出特性を検出するための検査
工程と、該検査工程の結果に基づいて選択された前記電
子放出部の、前記電気的な接続を切断する工程とを有す
ることを特徴とする電子源の製造方法である。
【0025】更に本発明は、基体と、該基体上に配置さ
れた電子放出素子とを有する電子源の製造方法におい
て、基体上に、電子放出部形成用薄膜と、電圧供給手段
に接続された電子放出部とを有する電子放出素子を形成
する工程と、該電子放出部に対し、電子放出特性を検出
するための検査工程と、該検査工程の結果に基づいて前
記電子放出部と前記電圧供給手段との接続を切断する工
程と、該電子放出部形成用薄膜を前記電圧供給手段に接
続する工程と、該電子放出部形成用薄膜に電子放出部を
形成する工程とを有することを特徴とする電子源の製造
方法である。
【0026】更に本発明は、電子源と、該電子源より放
出される電子ビ−ムの照射により画像を形成する画像形
成部材と、入力される画像信号に応じて該画像形成部材
に照射される電子ビ−ムを変調する変調手段とを有する
画像形成装置の製造方法において、該電子源が上記本発
明の製造方法にて作成されることを特徴とする画像形成
装置の製造方法である。
【0027】以下に本発明について詳述する。
【0028】電子放出素子を多数個配列形成した電子源
及び画像形成装置の場合における、上述の製造上の不具
合のうち、電子放出素子の欠陥や不良には、次のような
ものが考えられる。 a)電気的な短絡(欠陥) b)電気的な断絶(欠陥) c)電子放出特性の不良(不良)
【0029】以上の電子放出素子の欠陥や不良に関して
本発明者等は鋭意検討した結果、電子放出素子の中でも
とりわけ表面伝導形電子放出素子に関しては、以下の興
味ある知見を得るに至った。かかる知見について図27
を用いて説明する。
【0030】図27は、表面伝導形電子放出素子が設け
られた基板を上から見た平面図で、電子放出部形成にあ
たって行われるフォ−ミング処理が施される前の状態を
示している。
【0031】まず、表面伝導形電子放出素子において発
生する電気的な短絡については、例えば、図27の
(1)に示すように、素子電極225 と226 との間が、導
電性物質によってブリッジされることにより生じる。こ
のようなブリッジが発生した場合には、当然のことなが
ら、電子放出部形成用薄膜224 には電圧が有効に印加で
きなくなり、フォ−ミング処理(電子放出形成用膜224
の通電処理)あるいは実駆動が不可能となってしまう。
【0032】上記のようなブリッジが発生する主な原因
は、例えば、素子電極225 と226 をフォトリソグラフィ
−・エッチングで作成する際に、フォトレジスト上にご
みが付着する、あるいは、エッチャント濃度に局所的な
むらが生じる、などにより適正なエッチングが行えなか
ったことにある。また、これ以外にも電極パタ−ンをリ
フトオフで形成する場合に、リフトオフ後の洗浄が不充
分で、剥離した断片が素子電極225、226 に跨がった状態
でブリッジを形成してしまう場合もある。
【0033】次に、表面伝導形電子放出素子において発
生する電気的な断絶については、例えば、図27の
(2)、(3)に示すように、電子放出部形成用薄膜22
4 が形成された素子電極(225、226 )間のいずれかの箇
所で電気的な断絶が生じることにより起こる。このよう
な断絶が発生した場合にも、当然のことながら、電子放
出部形成用薄膜224 には電圧が有効に印加できなくな
り、上記フォ−ミング処理、あるいは実駆動が不可能と
なってしまう。
【0034】図27の(2)に示されるような電気的な
断絶は、例えば、電子放出部形成用薄膜224 の形成過程
で、マスクパタ−ンの位置がずれたり、あるいは、電子
放出部形成用薄膜224 の形成後に、その一部が剥離する
ことにより発生する場合が多い。
【0035】また、図27の(3)に示されるような電
気的な断絶は、例えば、素子電極225 、226 を作成する
際の成膜欠陥や、成膜後にその一部が剥離することによ
り発生する場合が多い。
【0036】次に、表面伝導形電子放出素子において発
生する電子放出特性の不良については、例えば、図27
の(4)〜(6)に示すように、上述の電気的な短絡、
断絶が致命的な欠陥に至らぬ程度に生じた場合に起こ
る。この場合、電子放出部形成用薄膜224 に実効的に印
加される電圧、あるいは、電界、あるいは、電気エネル
ギーが本来の設計値からずれるため、上記フォ−ミング
処理、あるいは駆動時の印加電圧が設計者の意図通りに
行われなくなり、このことが、放出電流(出力される電
子ビ−ム)の大幅な減少をもたらす。
【0037】本発明は、主として以上の知見に基づき成
されたものである。
【0038】以下に本発明の好ましい態様について詳述
する。
【0039】本願発明者らは電子放出素子として、とり
わけ表面伝導形電子放出素子を備える電子源や画像形成
装置において以下のような2つの手段により上述の問題
を解決した。
【0040】すなわち、本発明の第1の手段によれば、
表面伝導形電子放出素子の各素子にあらかじめ電気的に
並列に複数の電子放出部形成用薄膜(導電性膜)を設け
ておき、通電フォーミングにより電子放出部を形成す
る。そして、形成した電子放出部について特性の検査を
行い、特性が良好な電子放出部はそのまま用いるが、特
性不良や欠陥のある電子放出部については、電気的な接
続を切断する。そして、各電子放出素子の特性の良好な
電子放出部の数をメモリに記憶し、駆動時には前記メモ
リから読み出されるデータにもとづいて駆動信号を補正
する。
【0041】本発明の第1の方法によれば、各素子に複
数の電子放出部形成用薄膜を設けておくことにより完全
な素子欠陥の発生する確率を極めて小さくすることが可
能である。しかも、良好な電子放出部の数に応じた駆動
補正を行うことにより、各電子放出素子ごとの電子ビー
ム出力のばらつきを極めて小さなものにすることが可能
である。
【0042】また、本発明の第2の手段によれば、表面
伝導形電子放出素子の各素子に、あらかじめ配線電極と
電気的に接続された電子放出部形成用薄膜と、配線電極
と未接続な予備の電子放出部形成用薄膜を設けておき、
前者に対して通電フォーミングを行う。そして、通電フ
ォーミングで形成した電子放出部について特性の検査を
行い、特性が良好であった場合には該電子放出部を用い
るが、特性不良や欠陥が発生した場合には該電子放出部
と配線電極との電気的接続を切断し、電気的に未接続で
あった予備の電子放出部形成用薄膜を配線電極と接続し
てこれに対して通電フォーミングを行うことを特徴とす
る。
【0043】本発明の第2の手段によれば、最初にフォ
ーミングした電子放出部に不都合があっても予備の電子
放出部形成用薄膜と切り替えられるため、表面伝導形電
子放出素子の製造歩留りを飛躍的に向上させることが可
能である。
【0044】また、前記予備の電子放出部形成用薄膜
は、あらかじめ電気的に接続される電子放出部形成用薄
膜とは必ずしも同じ形状である必要はない。空間的な制
約などから予備の電子放出部形成用薄膜を小型な形状に
する場合もあるが、その場合には、形状の違いによる電
子放出特性の差を補正するための駆動補正手段を設けて
おく。これにより、予備の電子放出部形成用薄膜を用い
た場合でもほとんど同等の電子ビーム出力を得ることが
できる。
【0045】上述した本発明の2つの手段は、単独で実
施してもよいし、あるいは両方を組み合わせて実施して
も良い。
【0046】本発明は特に表面伝導形電子放出素子に好
ましく適用されうるもので、たとえば以下に記載するよ
うな素子に対して極めて有効であった。すなわち、電子
放出部を含む薄膜のうち電子放出部としては粒径が数十
ンオングストロームの伝導性微粒子からなり、それ以外
の電子放出部を含む薄膜は微粒子膜からなる。なおここ
で述べる微粒子膜とは、複数の微粒子が集合した膜であ
り、その微細構造として、微粒子が個々に分散配置した
状態のみならず、微粒子が互いに隣接、あるいは重なり
合った状態(島状も含む)の膜をさす。
【0047】またこれとは別に電子放出部を含む薄膜
は、導電性微粒子が分散されたカーボン薄膜等の場合が
ある。
【0048】電子放出部を含む薄膜の具体例を挙げるな
らずPd、Ru、Ag、Au、Ti、In、Cu、C
r、Fe、Zn、Sn、Ta、W、Pb等の金属、Pd
O、SnO2、In23、PbO、Sb23等の酸化
物、HfB2、ZrB2、LaB6、CeB6、YB4、G
dB4等の硼化物、TiC、ZrC、HfC、TaC、
SiC、WC等の炭化物、TiN、ZrN、HfN等の
窒化物、Si、Ge等の半導体、カーボン、Ag、M
g、Ni、Cu、Pb、Sn等である。
【0049】そして電子放出部を含む薄膜は真空蒸着
法、スパッタ法、化学的気相堆積法、分散塗布法、ディ
ッピング法、スピナー法等によって形成される。
【0050】以下に、実施例を挙げ、本発明を更に詳述
する。
【0051】
【実施例】まず、図1〜図17を参照しながら本発明の
第一の態様について説明する。
【0052】本発明の第一の態様は、基本的には、少な
くとも複数の導電性材料よりなる電子放出部形成用薄膜
を電気的に並列に設けておき、これらに電子放出部を形
成する。例えば、表面伝導形電子放出素子であれば、通
電フォ−ミングして各電子放出部形成用薄膜に電子放出
部を形成する。その後、形成された電子放出部の特性を
検査し、良好でないものについては電気的接続を切り離
し、駆動信号が印加されないようにするものである。そ
して、良好な電子放出部の数にあわせて駆動信号を補正
するものである。
【0053】(実施例1)図1は、本発明の第一の態様
に係る電子源の一実施例を示す模式図である。
【0054】図1において、1は基板、点線で囲まれた
31は表面伝導形電子放出素子の1素子を模式的に示し
ており、基板1上には該表面伝導形電子放出素子が複数
形成されている。尚、図1にはこれら複数の素子のうち
の9素子が示されている。
【0055】また、各表面伝導形電子放出素子は、図1
中、Aで示される部分(以下これをA部と呼ぶ)と斜線
部32で示される部分(以下これを熱断線部と呼ぶ)を
各3個ずつ構成要素として含んでいる。このうち、A部
は具体的には電子放出部及びその周辺部であり、また熱
断線部32は室温では導電性に優れるが加熱されると溶
融あるいは酸化して電気的に絶縁状態に変化する機能を
有する部材である。尚、隣接して描かれているA部と熱
断線部32は、これらが電気的に直列していることを模
式的に示したもので、必ずしも空間的に隣接していると
は限らない。
【0056】図1に示されるように、表面伝導形電子放
出素子の1素子は、電気的には、A部と熱断線部32が
直列に接続された1組が、計3組、並列に接続されて構
成されている。また、33および34はX方向に沿って
並ぶ上記表面伝導形電子放出素子同志を電気的に並列に
接続するための共通配線を模式的に示している。
【0057】次に、前記表面伝導形電子放出素子31に
ついて、より具体的に以下で説明する。
【0058】図2は、前記表面伝導形電子放出素子の構
造を説明するための斜視図で、図2中、1は、例えば青
板ガラスを材料とする基板、33および34は、例えば
Niを材料とする共通配線電極であり、点線31で囲ま
れた領域が、前記表面伝導形電子放出素子の1素子に対
応する。また、41、43a、43b、43c、45
は、例えば、Niを材料とする電極であり、電極41
と、電極43a、43b、43cそれぞれとの間には、
それぞれ電子放出部形成用薄膜42a、42b、42c
が個別に設けられている。また、電子放出部形成用薄膜
42a、42b、42cそれぞれには、後述する通電フ
ォ−ミングにより、電子放出部3a、3b、3cが形成
されている。
【0059】ここで、前記図1中に示されたA部は、例
えば、この図2においては電子放出部形成用薄膜42
a、電子放出部3a、電極43a、及び電極41の一
部、により構成される部分に相当する。また、図2にお
いて、電極45と電極43a、43b、43cとの間に
は、例えば、In23 を材料とする薄膜44a、44
b、44cが設けられており、この薄膜44a、44
b、44cが前記図1中に示された熱断線部に相当する
ものである。
【0060】尚、熱断線部に用いる薄膜は、たとえば前
記In23 のように常温では導電性に優れるが加熱す
ることにより容易に蒸発あるいは溶融あるいは変形しや
すい材料が好適であり、場合によってはIn23 の代
わりにITOなどを用いてもよい。また、例えば、Al
のように常温では導電性に優れるが、加熱することによ
り容易に酸化して電気的に極めて高抵抗になる材料も場
合によっては使用可能である。
【0061】以上述べた表面伝導形電子放出素子は、共
通配線電極33と34より駆動電圧を印加することによ
り電子放出部3a、3b、3cより電子ビ−ムを出力す
るものである。
【0062】次に、前記図2の表面伝導形電子放出素子
の製造方法について以下に具体的に説明する。
【0063】図3、図4は、前記表面伝導形電子放出素
子の製造工程を説明するための図で、前記図2のB−
B’に沿って切った基板断面を示している。尚、図示の
便宜上、図3、図4はすべて任意の縮尺で描かれてい
る。
【0064】[工程−1]純水、洗剤、および有機溶剤
により十分に洗浄した青板ガラス基板1上に、ホトレジ
スト(RD−2000N−41 日立化成社製)でパタ
−ン51を形成した後、真空蒸着により厚さ50オング
ストロ−ムのTi膜56、厚さ1000オングストロ−
ムのNi膜57を順次積層した(図3のA)。
【0065】[工程−2]次に、ホトレジストパタ−ン
51を有機溶剤を用いて溶解し、Ni/Ti堆積膜5
6、57の一部をリフトオフし、Ni/Tiより成る電
極41および43bおよび45を形成した。尚、本実施
例では電極41と43bの間隔Gは2ミクロンとした
(図3のB)。
【0066】[工程−3]電極43bと45の間に、真
空製膜とフォトリソグラフィ−により厚さ1000オン
グストロ−ムのIn23 膜44bを形成した(図3の
C)。
【0067】[工程−4]電子放出部形成用薄膜を作成
するためのマスクパタ−ン52を、真空蒸着法で堆積し
た厚さ1000オングストロ−ムのCr膜にて形成した
(図3のD)。
【0068】[工程−5]基板をスピンナ−を用いて回
転させ、その上に有機Pd溶液(CCP4230、奥野
製薬(株)社製)を塗布した後焼成して、Pd微粒子か
らなる薄膜53を形成した(図3のE)。
【0069】[工程−6]酸エッチャントにてCrを選
択的にウエットエッチングして薄膜53/Cr堆積膜を
リフトオフし、電子放出部形成用薄膜42bを形成した
(図3のF)。
【0070】[工程−7]次に、電子放出部形成用薄膜
42bに対して、通電フォ−ミングを行う。すなわち、
フォ−ミング用電源54より電極41と45の間に所定
のフォ−ミング電圧を印加し、電子放出部形成用薄膜4
2bに通電することにより電子放出部3bを形成した。
尚、上記通電フォ−ミングにより、電子放出部形成用薄
膜42a、42cにも同時に、それぞれ電子放出部3
a、3cが形成された(図4のG)。
【0071】ここで、上記所定のフォ−ミング電圧の一
例を図5に示す。
【0072】フォ−ミング電圧は、三角波パルスで、T
1を1ミリ秒、T2を10ミリ秒、ピ−ク電圧を5
[V]とし、1X10マイナス6乗[torr]の真空
雰囲気下でこの波形を60秒間印加した。このようにし
て電子放出部形成用薄膜42bの一部に電子放出部3b
が形成されるが、電子放出部3bにはパラジウム元素を
主成分とする微粒子が分散配置された状態となり、その
微粒子の平均粒径は30オングストロ−ムであった。
【0073】尚、フォ−ミング電圧については上記の波
形に限るものではなく、例えば、矩形波など他の波形を
もちいてもよく、またその波高値やパルス幅、パルス間
隔等についても必ずしも上述の値に限ることはなく、電
子放出部が良好に形成されれば所望の値を選択すること
ができる。
【0074】[工程−8]以上のようにして前記図2の
表面伝導形電子放出素子31が作成された。しかしなが
ら、従来技術における課題で述べたように、必ずしもす
べての電子放出部形成用薄膜に電子放出部が良好に形成
されているとは限らないので、次に電子放出特性の検査
を行う。
【0075】図6に表面伝導形電子放出素子の電子放出
特性を検査するための測定評価装置の概略構成を例示す
る。
【0076】図6において、71は表面伝導型放出素子
に素子電圧Vfを印加するための電源、72は表面伝導
形電子放出素子より放出される放出電流Ieを捕捉する
ためのアノ−ド電極、73はアノ−ド電極72に電圧を
印加するための高圧電源、74は放出電流Ieを測定す
るための電流計である。尚、表面伝導型放出素子および
アノ−ド電極72は真空装置内に設置され、その真空装
置には排気ポンプおよび真空計など真空装置に必要な機
器が具備されており(不図示)、所望の真空下で測定評
価を行えるようになっている。
【0077】また、アノ−ド電極に高圧電源73より印
加される電圧は1[kV]〜10[kV]、アノ−ド電
極と表面伝導形電子放出素子との距離Hは3[mm]〜
8[mm]、の範囲で測定評価を行った。
【0078】次に、図7に上記測定評価装置で測定され
た表面伝導形電子放出素子の出力特性を示す。尚、出力
特性の絶対値は素子の寸法形状などにより異なるため、
同図では任意単位で特性グラフを示す。
【0079】ここで、表面伝導形電子放出素子の3個の
電子放出部3a、3b、3cがすべて良好な場合には、
放出電流Ieは図7中の(1)で示されるような特性を
示す。これに対して、上記3個の電子放出部のうち2個
が良好であった場合には図7中の(2)で示される特性
を示す。また、上記3個のうち1個だけが良好であった
場合には図7中の(3)で示される特性を示す。
【0080】また、確率的には極めて起こりにくいこと
だが、上記3個のなかに良好な電子放出部がなかった場
合には、放出電流Ieはほとんど検出されない。このよ
うな場合には該素子を使用しないが、不良箇所が修理可
能な場合には修理して再度検査する。また、修理が困難
な場合には原材料として再利用することが環境上好まし
い。
【0081】本発明によれば、電子放出特性が図7の
(1)のようであった場合には、該素子をそのまま使用
するが、図7の(2)あるいは図7の(3)であった場
合には良好でない電子放出部と電気的に直列接続してい
る熱断線部を選択的に加熱して切断する。
【0082】以下に、上記切断までの過程について説明
する。
【0083】まず、電子放出特性が図7の(2)あるい
は図7の(3)であった表面伝導形電子放出素子に対し
ては、3a、3b、3cの3個の電子放出部のうち良好
なものと不良もしくは欠陥のあるものとを区別するため
に、画像処理を用いた方法で検査がおこなわれる。すな
わち、前記図27で例示したように、不良もしくは欠陥
を有する電子放出部形成用薄膜の周辺は欠けや突起など
形状的に特徴があり、この特徴は通電フォ−ミングを行
った後も残存する。そこで、その形状から良好なものと
不良や欠陥があるものとは容易に判別が可能である。
【0084】具体的には、たとえば拡大レンズを備えた
工業用TVカメラのような撮像装置と画像メモリと画像
処理プロセッサなどを用いて検査を行う。すなわち、撮
像装置で表面伝導形電子放出素子を上面から撮影し、画
像デ−タを画像メモリにいったん記憶する。一方、あら
かじめ別の画像メモリには正常な場合の画像パタ−ンが
記憶されており、画像処理プロセッサが正常なパタ−ン
と撮影した画像デ−タとのパタ−ンマッチングを行い、
一致した場合には正常と判定する。
【0085】そこで、たとえば仮に電子放出特性が前記
図7の(2)のようであったとし、上記画像処理を用い
た検査方法により電子放出部形成用薄膜42bには正常
な電子放出部が形成されていないと判定された場合を想
定し、以後の工程について説明する。
【0086】[工程−9]本実施例において正常でない
電子放出部と直列に接続された熱断線部44bを、たと
えばレ−ザビ−ムで選択的に加熱して電気的な接続を断
絶する。
【0087】すなわち、図4のHに示すようにレ−ザ光
源54を用いて44bを局所的に照射して溶融せしめ、
電気的接続を断絶する。レ−ザ光源54としては、たと
えば炭酸ガスレ−ザやCOレ−ザ、あるいはYAGレ−
ザ等の赤外域のものを用いたが、要は比較的高出力が得
られて容易に加熱できる光源であればよい。
【0088】なお、レ−ザビ−ムは図4に示すように4
4bを直接照射すればよいが、間に透光性の部材をはさ
んでもよく、また場合によっては、図4中、点線で示す
ようにガラス基板1の下面から照射してもよい。
【0089】以上のようにして製造された本実施例の電
子源の中の、一つの表面伝導形電子放出素子部分を図8
に示す。
【0090】
【0091】図9は参考例を説明するための図で、本参
考例においては電極41と電極45の間に電子放出部形
成用薄膜102a、102b、102cが形成され、ま
た、前記電子放出部形成用薄膜の間には飛翔防止部材1
01が設けられている。
【0092】図9は前記図8の例と同様、3個の電子放
出部のうち中央の1個が正常に形成されなかった場合を
想定した図であるが、前記図8の44bの代わりに本参
考例の場合には電子放出部形成用薄膜102bの一部が
レ−ザビ−ムで照射されて、電気的接続を断絶されたも
のである。
【0093】ここで、飛翔防止部材101は電子放出部
形成用薄膜をレ−ザビ−ムで加熱した際に、隣接する正
常な電子放出部に断片が飛翔して悪影響をあたえるのを
防止するために設けられているもので、電極41や45
と同様の材質を用いればよいが、厚さはたとえば1ミク
ロン以上にした方がより効果的である。
【0094】(実施例2) また、本発明の第一の態様に係る電子源の構成は、前記
図1で模式的に示したものに限るわけではない。
【0095】すなわち、1素子中に電気的に並列に設け
られた電子放出部の数はなにも3個に限る必要はなく、
要は複数個備えることが重要である。たとえば、6個で
あっても差し支えなく、またそれらは空間的に1列に並
ぶ必要もない。
【0096】例えば、図10に模式的にしめすように、
1素子31中に電気的に並列な6個のA部を備え、それ
らは空間的には3個ずつ2列に並んでいてもよい。ある
いは、図11に模式的に示すように、1素子31中に2
個のA部を備えるものであっても良い。
【0097】(実施例3) 次に本実施例では、図11に示す電子源を用いた画像表
示装置の一例を述べる。図12は、本実施例の表示装置
の表示パネル部分の模式図である。
【0098】図12中、1は電子源の基板、G1、G
2、G3は電子ビ−ムを変調するためのグリッド電極、
133は表示パネルのフェ−スプレ−トである。
【0099】また、図12は、多数の画素を備える表示
パネルのうちの9画素分を示すもので、フェ−スプレ−
ト133と基板1は真空容器(不図示)の一部を兼ねて
おり、容器内部は、例えば、10のマイナス6乗[To
rr]程度の真空度が維持されている。また、フェ−ス
プレ−ト133は、例えば、ガラスを材料とする透明基
板130の内面に、例えば、蛍光体131とメタルバッ
ク132が形成されている。尚、場合によっては蛍光体
131と基板130との間にITO薄膜を材料とする透
明電極(不図示)を設けることも可能である。
【0100】前記メタルバック132には、不図示の高
圧電源よりたとえば10[KV]の電圧が印加されてお
り、電子ビ−ムが照射されると蛍光体131は可視光を
発光する。
【0101】また、前記グリッド電極G1、G2、G3
は例えば、薄板状の金属材料を加工して作られたストラ
イプ状の電極で、電子ビ−ムを透過させるための開口1
35が各表面伝導形電子放出素子に対応して設けられて
いる。更に、このグリッド電極は互いに電気的に独立で
あり、外部からグリッド電極に印加する変調電圧の大き
さを変えることにより、開口135を透過して蛍光体を
照射する電子ビ−ムの強度を制御することが可能であ
る。また、変調電圧パルスの時間的な長さを変えれば、
開口135を透過して蛍光体を照射する電子ビ−ムの電
荷量を制御することが可能である。したがって、グリッ
ド電極に印加する変調電圧の大きさか、もしくは変調電
圧パルスの長さを制御することにより、蛍光体の発光輝
度を任意に制御することが可能である。
【0102】また、ガラス基板1上には、前記図11に
示されたのと同様に、一つの表面伝導形電子放出素子3
1(図11)が複数配列形成されており、X方向に沿っ
て配列した表面伝導形電子放出素子同志は互いに電気的
に並列に接続されている。
【0103】図12中、33d、34d、33e、34
e、33f、34fは、このための共通配線電極であ
る。
【0104】本実施例の表示パネルは、X方向に沿って
配列形成された表面伝導形電子放出素子の素子列とY方
向に沿って配列されたストライプ状のグリッド電極によ
りXYマトリクスが形成されている。即ち、前記共通配
線電極に適当な駆動電圧を印加すれば素子列のうちの任
意の1列を選択的に駆動することができ、同時にグリッ
ド電極に適当な変調信号を印加すれば、前記素子列から
放出された電子ビ−ムを個別に変調することができる。
従って、駆動する素子列を順次切り替えてゆけば、表示
画面の全画素(図中134で示す)を順次走査してゆく
ことが可能である。
【0105】次に、図13は、前記図12の表示パネル
を、外部から入力される画像信号に応じて駆動するため
の電気回路構成を示す簡易ブロック図である。
【0106】図13中、140は前記図12の表示パネ
ル、141は画像信号デコ−ダ、142はタイミングコ
ントロ−ラ、143は素子情報メモリ、144は補正演
算回路、145はシリ/パラ変換器、146はラインメ
モリ、147は変調信号発生回路、148は走査信号発
生回路である。以下、各部の機能を説明してゆく。
【0107】まず、画像信号デコ−ダ141は、外部か
ら入力されるたとえばNTSCテレビ信号などのような
コンポジット画像信号から同期信号成分と輝度信号成分
を分離して再生するための回路で、再生された同期信号
と輝度信号は各々タイミングコントロ−ラ142と補正
演算回路144に入力される。
【0108】タイミングコントロ−ラ142は、各部の
動作タイミングを調整するための回路で、前記同期信号
にもとずいたタイミング制御信号を発生する。即ち、素
子情報メモリ143に対してタイミング制御信号T1
を、シリ/パラ変換器145にT2を、ラインメモリ1
46にT3を、変調信号発生回路147にT4を出力す
る。
【0109】素子情報メモリ143は、あらかじめ表面
伝導形電子放出素子の全素子に関する正常な電子放出
部、即ち、熱断線部が切断されていない電子放出部の数
が書き込まれているメモリで、前記タイミング制御信号
T2にしたがって適宜記憶内容を読み出して補正演算回
路144に出力する。
【0110】タイミング制御信号T2は、画像信号デコ
−ダ141から補正演算回路144に送られる輝度信号
と同期して当該画素用の表面伝導形電子放出素子の情報
が読み出されるようタイミングを調整する。
【0111】また、補正演算回路144は、画像信号デ
コ−ダ141から入力する輝度信号を、素子情報メモリ
143から入力する素子情報にもとずいて補正するため
の演算回路である。
【0112】演算方法としては例えば、ある画素の輝度
信号が入力されたとき、対応する表面伝導形電子放出素
子の電子放出部が2個とも正常な場合には輝度信号を1
倍するが、2個の電子放出部のうち1個だけが正常だっ
た場合には輝度信号は2倍される。尚、図12の表示パ
ネルでは表面伝導形電子放出素子は1素子あたり2個の
A部を有するため上記係数を乗算するが、図1や図10
のように1素子あたりこれと異なる数のA部を有する素
子を用いる場合には、正常なものの個数に応じて異なる
係数を乗算することは言うまでもない。
【0113】また、演算方法は必ずしも上記の方法に限
るものではなく、要は正常な電子放出部の数に応じて表
示パネルの発光特性を補正できるものであればよく、例
えば、輝度信号に応じて係数が変わるような非線形な演
算方法であってもよい。
【0114】補正演算回路144で補正された輝度信号
はシリ/パラ変換器145に入力され、画像の1ライン
分を並列してラインメモリ146に出力する。
【0115】ラインメモリ146は1ライン分の画像デ
−タを所定の期間保持するためのメモリで、保持されて
いる画像デ−タは変調信号発生回路147に対して出力
される。
【0116】変調信号発生回路147は、前記画像デ−
タにもとずき画像1ライン分の変調信号を発生し、表示
パネルのグリッド電極G1、G2、G3、・・・・・に
該信号を印加する。ここで、変調信号は、たとえば画像
デ−タにもとずいて電圧を変化させる電圧変調方式か、
または画像デ−タにもとずいて変調パルスの長さを変化
させるパルス幅変調方式を用いればよい。
【0117】一方、走査信号発生回路148はタイミン
グコントロ−ラ142の発生するタイミング制御信号T
5にもとづいて、表面伝導形電子放出素子の素子列のう
ちの1列を選択的に駆動するための回路であり、共通配
線電極33f、33e、33d・・・・のうち駆動する
列の配線電極には駆動電圧を、また、駆動しない列の配
線電極には0[V]、すなわちグランドレベルを印加す
る。
【0118】共通配線電極の34f、34e、34d、
・・・・・・はグランドレベルと接続されているため、
走査信号発生回路の発生する駆動電圧により任意の1列
を選択的に駆動することが可能である。
【0119】走査信号発生回路148と変調信号発生回
路147は、タイミングコントロ−ラ142の作用によ
り動作タイミングが調整されるため、表示パネル140
は、入力される画像信号にもとずいて画像を1ラインず
つ順次表示していくことが可能である。
【0120】以上述べた画像表示装置においては、表面
伝導形電子放出素子の各素子の正常でない電子放出部
は、前述したように熱断線部で電気的に切り離されてお
り、また、グリリッド電極には正常な電子放出部の数に
応じて補正された変調信号が印加されるため、たとえ一
部の電子放出部が正常でなかったとしても原画像信号に
忠実な輝度で表示することが可能となった。
【0121】尚、上述した画像表示装置では図12で説
明したように、変調用のグリッド電極G1、G2、G
3、・・・を表面伝導形電子放出素子と蛍光体132の
中間に設置したが、グリッド電極の位置はこれに限るも
のではなく、例えば、図14に示すように表面伝導形電
子放出素子の下に設けてもさしつかえない。図14にお
いて、グリッド電極G1、G2、G3は、表面伝導形電
子放出素子の形成されている基板1とは別体の基板15
1上に形成されているが、要はグリッド電極に印加する
変調電圧により電子放出素子周辺の電界分布を変化せし
め、電子ビ−ムの軌道を制御できるものであればよい。
したがって、電子放出素子の形成されたガラス基板1の
下面にグリッド電極を形成することも可能だし、場合に
よっては電子放出素子と同一平面上に設けてもよい。
【0122】(実施例4) 前記実施例4においては、表面伝導形電子放出素子の素
子列とグリッド電極とでXYマトリクスを構成したが、
マトリクスを構成する方法はこれに限るものではない。
【0123】例えば、図15に模式的に示すように、グ
リッド電極を用いず、表面伝導形電子放出素子31を単
純マトリクス配線した電子源てもよい。
【0124】図15中、x1、x2、x3、・・・は、
基板1上に形成された表面伝導形電子放出素子31のう
ち、X方向に沿って配列されたもの同志を接続する共通
電極であり、また、y1、y2、y3、・・・はY方向
に沿って配列されたもの同志を接続する共通電極であ
る。
【0125】本実施例によれば、上記共通電極に適当な
駆動信号を印加することにより、任意の表面伝導形電子
放出素子を選択的に駆動できる。その際、駆動信号の電
圧の大きさを変えることにより出力される電子ビ−ムの
強度を制御することができ、また駆動信号のパルスの長
さを変えることにより出力される電子の総電荷量を制御
することが可能である。したがって、たとえば表示装置
に応用した場合には、グリッド電極を用いなくても表示
輝度を変調することが可能である。
【0126】図16は、前記図15の電子源を用いた表
示パネルの一部を示したもので、図15中、173はフ
ェ−スプレ−トである。このフェ−スプレ−ト173は
例えば、ガラスを材料とする透明基板170と、これに
積層されたモザイク状の蛍光体と黒色物質175(いわ
ゆるブラックマトリクス)が塗り分けられた蛍光層17
1とメタルバック172よりなり、場合によっては基板
170と蛍光層171との間に透明電極をさらに付加し
てもよい。
【0127】蛍光層171には、表面伝導形電子放出素
子の各素子に対応してモザイク状の蛍光体が設けられて
いるが、各モザイクは図示のように赤色用蛍光体R、緑
色用蛍光体G、青色用蛍光体Bが塗り分けられている。
【0128】尚、前記図12の表示装置と同様、フェ−
スプレ−トおよび基板1は真空容器の一部を構成してい
る。
【0129】また、前記メタルバック172には、たと
えば10[kV]の高電圧が印加される。
【0130】次に、図17は、前記図16の表示パネル
を外部から入力される画像信号に応じて駆動するための
電気回路構成を示す簡易ブロック図である。
【0131】図17中、180は前記図16の表示パネ
ルである。また、画像信号デコ−ダ141、タイミング
コントロ−ラ142、素子情報メモリ143、補正演算
回路144、シリ/パラ変換器145、ラインメモリ1
46、の各回路については前記図13と同様の機能であ
るので説明を省略する。
【0132】本実施例の場合には、走査信号発生回路お
よび変調信号発生回路は、前記図15の電子源を駆動す
るためのもので、変調信号発生回路は前記図13の実施
例と同様、正常な電子放出部の数に応じて補正された輝
度信号にもとずいて変調信号を発生させるものである。
【0133】以上、本発明の第一の態様についての実施
例を説明したが、次に、本発明の第二の態様について、
図18〜図26参照しながら以下に説明する。
【0134】まず、本発明の第二の態様は、基本的に
は、あらかじめ複数の電子放出部形成用薄膜を形成し、
そのうち少なくとも1個は熱断線部を介して電圧供給用
電極と電気的に接続され、また少なくとも他の1個は電
圧供給電極とは未接続にしておかれる。そして、前記電
気的に接続された電子放出部形成用薄膜には電圧供給用
電極を介して通電フォ−ミングが行われ、電子放出部が
形成される。
【0135】しかる後に、電子放出部の特性を検査し、
良好でないものについては熱断線部を加熱して電気的接
続を切り離して電圧が印加されないようにするととも
に、前記未接続の電子放出部形成用薄膜を電圧供給用電
極と接続して通電フォ−ミングする。すなわち、最初に
接続されていた電子放出部形成用薄膜に良好な特性の電
子放出部が形成されなかった場合に、未接続であった予
備の電子放出部形成用薄膜に別途電子放出部を形成す
る。
【0136】(実施例5) 図18は、本発明の第二の態様の電子源に係る一実施例
を説明するための模式図で、表面伝導形電子放出素子を
多数備えた電子源の一部を示すものである。
【0137】図18中、1は基板、点線で囲まれた19
0は表面伝導形電子放出素子の1素子を模式的に示して
おり、基板1上には多数の該表面伝導形電子放出素子1
90が形成されている。尚、図18には、これら多数の
素子のうちの9素子のみが示されている。
【0138】各表面伝導形電子放出素子190は、図1
8中、Aで示される部分(以下これをA部と呼ぶ)と、
Bで示される部分(以下これをB部と呼ぶ)と、熱断線
部191と、熱結線部材192とを構成要素として含ん
でいる。
【0139】このうちA部は具体的には、電圧供給用電
極と、これと予め接続されている電子放出部形成用薄膜
と、その周辺部をさす。
【0140】また、B部は、電圧供給用電極とは最初に
未接続状態にである電子放出部形成用薄膜と、その周辺
部とをさす。
【0141】また、熱断線部191は、室温では導電性
に優れるが、加熱されると溶融あるいは酸化して電気的
に絶縁状態に変化する機能を有する部材である。
【0142】また、熱結線部材192は、加熱されると
溶融あるいは変形して、それ以後B部と電圧供給用電極
とを電気的に接続した状態に変化させる機能を有する部
材である。
【0143】また、193と194は各表面伝導形電子
放出素子に電圧を供給するための電圧供給用電極を模式
的に示したもので、X方向に沿って並ぶ素子を電気的に
並列に接続している。
【0144】次に、前記表面伝導形電子放出素子190
について、より具体的に説明する。
【0145】図19は、表面伝導形電子放出素子の一例
を示した斜視図で、図19中、1は、例えば、青板ガラ
スを材料とする基板、191は、例えば、In23
材料とする熱断線部材、192は、例えば、PbとSn
を成分に含むはんだ等を材料とする熱結線部材、193
および194は、例えば、Niを材料とする電圧供給用
電極、201および202は素子電極、203は電子放
出部形成用薄膜、204および205は素子電極、20
6は電子放出部形成用薄膜である。
【0146】このうち前記A部は、素子電極201と2
02、および電子放出部形成用薄膜203よりなり、ま
た前記B部は、素子電極204と205、および電子放
出部形成用薄膜206よりなる。
【0147】熱断線部191は、前記図2などの実施例
で説明したのと同様なものを用いればよく、また熱結線
部材は導電性を有するとともに加熱により容易に溶融す
る材料が望ましい。
【0148】本実施例においては、まず電圧供給用電極
193および194の間にフォ−ミング用電圧を印加し
て、電子放出部形成用薄膜に電子放出部207を形成す
る。尚、フォ−ミング用電圧やフォ−ミング時の真空条
件などは前記本発明の第一の態様に係る実施例で述べた
ものと同様であるので詳しい説明は省略する。
【0149】次に、電子放出部形成用薄膜203に形成
された電子放出部207の電子放出特性を、前記図5で
説明した測定評価装置を用いて検査する。
【0150】本発明の第二の態様によれば、検査の結
果、電子放出部207が正常な特性を示した場合には該
電子放出素子をそのまま使用する。また、電子放出部2
07が正常な特性を示さなかった場合には、まず熱断線
部191を加熱してこれを断絶し、次に熱結線部材19
2を加熱して、素子電極205と電圧供給用電極193
とを電気的に接続する。
【0151】上記2つの加熱工程は、場合によっては同
時かまたは逆の順序で行っても良い。また、加熱は、前
記図4のH(工程−9)で説明したように、レ−ザ光源
を用いて局所加熱をおこなえばよい。
【0152】次に、上記工程後、ふたたび電圧供給用電
極193と194の間にフォ−ミング用電圧を印加して
電子放出部形成用薄膜206に電子放出部210を形成
する。
【0153】以上のように作成された表面伝導形電子放
出素子を図20に示す。211は熱結線部材を加熱溶融
して形成された導電経路である。
【0154】また、新たに形成された電子放出部210
についても、電子放出特性を検査することが望ましい。
確率的には極めて稀だが、電子放出部210も電子放出
特性が正常でなかった場合には、該素子は使用しない。
ただし、修理可能な場合には修理して再度用い、また修
理が困難な場合には原材料として再利用することが資源
の有効利用上望ましい。
【0155】また、前記図18で模式的に示した素子
は、図19〜図20のものに限られるわけではなく、た
とえば図21に示すような形態でもよい。
【0156】本実施例の場合、前記図19の素子にあっ
た素子電極202と204は用いないで、電圧供給用電
極193、194を素子電極として兼用している。ま
た、本実施例の場合、電子放出部形成用薄膜207の幅
L1と電子放出部形成用薄膜205の幅L2とを異なる
大きさにしている。これは、1素子の占める面積を小さ
くし、細かなピッチでマルチ素子を配列するための工夫
であるが、一般に、一定の電圧で駆動した場合には電子
放出部の幅と放出電流の大きさには比例関係がある。し
たがって、電子放出部207に不都合があって電子放出
部形成用薄膜206側を使用する場合には、駆動電圧の
大きさか、もしくは駆動パルスの長さを適宜補正して、
強度もしくは電荷量の等しい電子ビ−ムが出力されるよ
うにする。
【0157】また、本実施例で用いられる熱断線部は、
前述の第一の態様に係る図9の実施例で説明したよう
に、電子放出部形成用薄膜の一部がこれを兼ねてもよ
い。
【0158】次に、本実施例の電子源を用いた表示パネ
ルの例を図22に示す。
【0159】本表示パネルは、基本的には前記図12の
表示パネルの電子源部を図18の電子源におきかえたも
のあるのであり、フェ−スプレ−ト133やグリッド電
極G1、G2、G3、・・・等は、前記図12と同様で
あるので詳しい説明は省略する。
【0160】また、本表示パネルの駆動回路は、基本的
には前記図13と同様の構成でよいが、素子情報メモリ
143には、各素子について、A部かB部のどちらが使
用されているかを記憶させておき、補正演算回路144
は、A部とB部の電子放出特性の違いにもとずいた補正
演算をおこなう。
【0161】(実施例6) 本発明の第二の態様に係る、他の実施例を図23に模式
的に示す。
【0162】本実施例では、電圧供給用電極193と1
94の間に、熱断線部191とA部とが電気的に直列し
て設けられるが、熱断線部191と並列してB部が設け
られている。また、B部と電圧供給用電極194との間
には熱結線部材192が設けられている。点線でかこま
れた部分190が、表面伝導形電子放出素子の1素子を
示している。
【0163】本実施例においても、まず電圧供給用電極
193と194との間に、フォ−ミング電圧を印加し、
A部に対して通電フォ−ミングを行う。その際、熱断線
部191は、B部と比較して十分に電気抵抗が小さくさ
れているため、B部には実質的には電流が流れず、B部
に対してはフォ−ミングは行われない。
【0164】その後、前記実施例6と同様に、電子放出
特性を検査し、特性が良好な場合には、そのままA部に
形成された電子放出部を用いる。また、電子放出特性が
良好でなかった場合には、熱断線部191を加熱して電
気的に断絶するとともに、熱結線部材192を加熱し、
共通電極194とB部を電気的に接続する。
【0165】そして、再度、電圧供給用電極193と1
94との間にフォ−ミング電圧を印加し、B部に電子放
出部を形成する。
【0166】図24は、前記図23で模式的に示した表
面伝導形電子放出素子の具体的な例であり、表面伝導形
電子放出素子の1素子の斜視図である。
【0167】図24中、251は、A部の電子放出部形
成用薄膜、252は、B部の電子放出部形成用薄膜、2
53は素子電極である。
【0168】本実施例では、電圧供給用電極194は、
A部の素子電極の一方を兼ねており、同様に電圧供給用
電極193はB部の素子電極の一方を兼ねている。ま
た、素子電極253は、A部とB部の両方に対して素子
電極として働く。また、本実施例の場合、図示のように
電子放出部形成用薄膜251と252は、素子電極25
3をまたいで形成された連続した薄膜であってもよい。
【0169】(実施例7) 本発明の第二の態様に係る、他の実施例を図25に模型
式的に示す。
【0170】本実施例の表面伝導形電子放出素子の1素
子である190は、A部、B1部、B2部、熱断線部2
63および264、熱結線部材261および262、と
を含む構成となっている。
【0171】本実施例においては、まず電圧供給電極1
93と194との間に、フォ−ミング電圧を印加し、A
部に電子放出部を形成する。
【0172】その後、電子放出特性を検査するが、良好
な電子放出特性を示した場合には、そのまま使用する
が、良好でなかった場合には、熱断線部263を加熱し
て電気的に断絶するとともに、熱結線部261を加熱し
て、B1部と電圧供給用電極193とを電気的に接続す
る。
【0173】そして、再度フォ−ミング電圧を印加し、
B1部に電子放出部を形成する。
【0174】その後、再度電子放出特性を検査するが、
良好な結果が得られた場合には該素子をそのまま使用す
る。また、良好な結果が得られなかった場合には、熱断
線部264を加熱して電気的に断絶するとともに、熱結
線部材262を加熱し、B2部と電圧供給用電極193
とを電気的に接続する。
【0175】以上のように、B1部とB2部の2個の予
備を備えることにより、本実施例の電子放出素子の製造
歩留は、ほとんど100%に近い値を達成することが可
能となった。
【0176】(実施例8) 本発明の第二の態様に係る表面伝導形電子放出素子は、
図26に示すように単純マトリクス型に接続することも
可能である。
【0177】図26中、x1、x2、x3、・・・は、
基板1上に形成された表面伝導形電子放出素子のうち、
X方向に沿って配列されたもの同志を接続する電圧供給
用電極であり、また、y1、y2、y3、・・・はY方
向に沿って配列されたもの同志を接続する電圧供給用電
極である。ここで、もちろん、図25の電子源は、たと
えば、前記図16の表示装置の電子源部に用いることが
可能である。
【0178】
【発明の効果】以上、本発明について実施例を挙げて説
明したが、本発明の第一の態様によれば、複数の電子放
出部形成用薄膜を電気的に並列に設けておき、これらに
電子放出部を形成する。例えば、表面伝導形電子放出素
子の各素子について、複数の電子放出部形成用薄膜を電
気的に並列に設けておき、これらを通電フォ−ミングし
て各電子放出部形成用薄膜に電子放出部を形成する。そ
の後、電子放出特性を検査し、正常でない電子放出部の
電気的接続を切り離し、該電子放出部には駆動信号が印
加されないようにする。また、正常な電子放出部の個数
に応じて変調信号を補正する。
【0179】以上の態様により、従来の1電子放出素子
あたり1電子放出部を備える電子源と比較して、製造歩
留りを飛躍的に向上させることが可能となった。また、
一部の電子放出部に不具合があっても、電子ビ−ム出力
が補正されるため、たとえば表示装置に応用した場合に
は原画像信号に忠実な表示がおこなえるようになった。
【0180】また、本発明第二の態様によれば、予め複
数の電子放出部形成用薄膜を形成するが、そのうち少な
くとも1個は熱断線部を介して電圧供給用電極と電気的
に接続され、また少なくとも他の1個は電圧供給用電極
とは未接続にしておかれる。そして、前記電気的に接続
された電子放出部形成用薄膜には、電子放出部が形成さ
れる。例えば、表面伝導形電子放出素子においては、電
圧供給用電極を介して該電子放出部形成用薄膜に通電フ
ォ−ミングがおこなわれ、電子放出部が形成される。し
かる後に、電子放出部の特性を検査し、良好でないもの
に関しては熱断線部を加熱して電気的接続を切り離して
電圧が印加されないようにするとともに、前記未接続の
電子放出部形成用薄膜を電圧供給用電極と接続して前記
同様に電子放出部を形成する。これにより、もし最初の
電子放出部形成用薄膜に良好な電子放出部が形成されな
かったとしても、未接続であった電子放出部形成用薄膜
に別途電子放出部を形成することができる。
【0181】以上の態様により、電子源の製造歩留りを
飛躍的に向上させることが可能となった。
【0182】また、あらかじめ未接続にしておかれる予
備の電子放出部形成用薄膜は、最初接続している電子放
出部形成用薄膜と必ずしも同じ形状でなくとも良い。た
とえば、予備の電子放出部形成用薄膜は小面積にしてお
けば、1素子の占める面積を小さくできるため、素子の
配列ピッチを細かくすることができる。また、予備の電
子放出部形成用薄膜を接続して用いる場合には寸法の違
いによる電子放出特性の差を補正するような駆動補正手
段をもうけることにより、予備を用いても同等の電子ビ
−ム出力がえられるようになった。これにより、たとえ
ば表示装置に用いた場合に、輝度ムラのない原画像信号
に忠実な表示が可能となった。
【0183】以上のように、本発明によれば、電子放出
素子、とりわけ表面伝導形電子放出素子の製造歩留を大
幅に向上できるため、同じ素子数ならばより安価にこれ
を提供でき、また、より多数の素子を備える電子源も容
易に製造が可能となった。これにより、たとえば、より
多数の画素を備える大画面表示装置を低コストで実現す
ることが可能となった。このような長所を有する本発明
による画像表示装置は、高品位テレビジョン受像器やコ
ンピュ−タの端末はもとより、大画面ホ−ムシアタ−
や、テレビ会議システム、あるいはテレビ電話など、民
生用あるいは産業用として広く応用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の態様の電子源の実施例を説明す
るための模式図。
【図2】本発明の第一の態様の電子源の実施例で用いら
れた表面伝導形電子放出素子の具体的構成を示す斜視
図。
【図3】図2の表面伝導形電子放出素子の製造方法を説
明するための工程図。
【図4】図2の表面伝導形電子放出素子の製造方法を説
明するための工程図。
【図5】表面伝導形電子放出素子の製造工程において、
通電フォ−ミングを行うための電圧波形の一例を示す
図。
【図6】表面伝導形電子放出素子の出力特性を評価する
ための評価装置を示す図。
【図7】本発明の電子源に係る、表面伝導形電子放出素
子の出力特性の一例を示す図。
【図8】本発明の第一の態様の電子源において、正常で
ない電子放出部の電気的接続が断絶された表面伝導形電
子放出素子を示す図。
【図9】参考例で用いられた表面伝導形電子放出素子の
具体的構成を示す斜視図。
【図10】本発明の第一の態様の電子源の他の実施例を
説明するための模式図。
【図11】本発明の第一の態様の電子源の他の実施例を
説明するための模式図。
【図12】本発明の第一の態様の電子源を用いた表示装
置の模式図。
【図13】図11の表示装置の駆動回路を説明するため
の簡易ブロック図。
【図14】本発明の第一の態様の電子源の他の実施例を
説明するための模式図。
【図15】本発明の第一の態様の電子源の他の実施例を
説明するための模式図。
【図16】図15の電子源を用いた表示装置の模式図。
【図17】図15の表示装置の駆動回路を説明するため
の簡易ブロック図。
【図18】本発明の第二の態様の電子源の実施例を説明
するための模式図。
【図19】図18の電子源に係る、表面伝導形電子放出
素子の具体的な構成の一例を示す斜視図。
【図20】図19の表面伝導形電子放出素子のB部をフ
ォ−ミングして電子放出部を形成した例を示す斜視図。
【図21】図18の表面伝導形電子放出素子の他の構成
を示す斜視図。
【図22】図18の電子源を用いた表示装置の模式図。
【図23】本発明の第二の態様の電子源の他の実施例を
説明するための模式図。
【図24】図23の表面伝導形電子放出素子の具体的な
構成の一例を示す斜視図。
【図25】本発明の第二の態様の電子源の他の実施例を
説明するための模式図。
【図26】本発明の第二の態様の電子源の他の実施例を
説明するための模式図。
【図27】表面伝導形電子放出素子において発生する欠
陥もしくは不良の例を示す平面図。
【図28】従来の表面伝導形電子放出素子の一例を示す
平面図。
【図29】従来の表面伝導形電子放出素子の他の例を示
す平面図。
【符号の説明】
1,241,231 基板 233,245,3,207,210 電子放出部 31,190 表面伝導形電子放出素子 32,44,191,263,264 熱断線部材 33,34,x,y 共通配線電極 42,102,203,206,251,252,24
4,232,224電子放出部形成用薄膜 54 フォーミング用電源 71,73 電源 72 アノード電極 74 電流計 41,45 電極 101 飛翔防止部材 G1,G2,G3 グリッド電極 135 開口部 133,173 フェースプレート 225,226,242,243 素子電極 130,170 透明基板 131,171 蛍光膜 132,172 メタルバック 175 黒色物質 174,134 画素 194,193 電圧供給用電極 192,211,261,262 熱結線部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01J 9/50 H01J 29/04 29/04 31/12 C 31/12 1/30 E (72)発明者 野村 一郎 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 金子 哲也 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 吉岡 征四郎 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤ ノン株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−359830(JP,A) 特開 平4−284324(JP,A) 特開 平2−247936(JP,A) 特許3158064(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 1/30 - 1/316 H01J 9/02 H01J 9/50 H01J 29/04 H01J 31/12

Claims (17)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体と、該基体上に配置された電子放出
    素子とを有する電子源において、前記電子放出素子は、
    電極間に、電子放出部を有する複数の導電性膜が電気的
    に並列に接続されており、該電極と該導電性膜との接続
    が、加熱されることで当該接続を断絶する熱断線部材を
    介して行われていることを特徴とする電子源。
  2. 【請求項2】 前記電子放出素子が、前記基体上に複数
    配置されている請求項1に記載の電子源。
  3. 【請求項3】 前記電子放出素子に印加する駆動信号
    を、前記電子放出部の個数に応じて補正する手段を有す
    る請求項1に記載の電子源。
  4. 【請求項4】 前記電子放出素子を複数有し、各々の電
    子放出素子が有する電子放出部の個数に応じて、電子放
    出素子に印加する駆動信号を、該電子放出素子毎に補正
    する手段を有する請求項1に記載の電子源。
  5. 【請求項5】 前記電子放出素子の有する電子放出部の
    個数を記憶するメモリ手段と、該メモリ手段に記憶され
    た情報に基づき、該電子放出素子に印加する駆動信号を
    補正するための手段を有する請求項1に記載の電子源。
  6. 【請求項6】 前記電子放出素子を複数有し、各々の電
    子放出素子が有する電子放出部の個数を記憶するメモリ
    手段と、該メモリ手段に記憶された情報に基づき、電子
    放出素子に印加する駆動信号を該電子放出素子毎に補正
    する手段を有する請求項1に記載の電子源。
  7. 【請求項7】 電子源と、該電子源より放出される電子
    ビ−ムの照射により画像を形成する画像形成部材と、入
    力される画像信号に応じて該画像形成部材に照射される
    電子ビ−ムを変調する変調手段とを有する画像形成装置
    において、該電子源が請求項1〜6のいずれかに記載の
    電子源であることを特徴とする画像形成装置。
  8. 【請求項8】 基体と、該基体上に配置された電子放出
    素子とを有する電子源において、該電子放出素子は、電
    圧供給手段に接続された電子放出部と、前記電圧供給手
    段に接続されておらず、電子放出部の形成されていない
    電子放出部形成用薄膜とを有し、前記電子放出部の電圧
    供給手段との接続は、加熱されることで当該接続を断絶
    する熱断線部材を介して行われているとともに、前記電
    子放出部形成用薄膜と前記電圧供給手段との間には、加
    熱されることで前記電子放出部形成用薄膜と前記電圧供
    給手段との接続を形成する熱結線部材が配置されている
    ことを特徴とする電子源。
  9. 【請求項9】 前記電子放出素子は、電極間に、前記熱
    断線部材を介して該電極に接続された、電子放出部を有
    する導電性膜と、前記電子放出部形成用薄膜とを有する
    請求項8に記載の電子源。
  10. 【請求項10】 前記電子放出素子が、前記基体上に複
    数配置されている請求項8に記載の電子源。
  11. 【請求項11】 前記電子放出素子に印加する駆動信号
    を、前記電子放出素子の電子放出特性に応じて補正する
    手段を有する請求項8に記載の電子源。
  12. 【請求項12】 前記電子放出素子を複数有し、各々の
    電子放出素子の電子放出特性の違いに応じて、電子放出
    素子に印加する駆動信号を、該電子放出素子毎に補正す
    る手段を有する請求項8に記載の電子源。
  13. 【請求項13】 電子源と、該電子源より放出される電
    子ビ−ムの照射により画像を形成する画像形成部材と、
    入力される画像信号に応じて該画像形成部材に照射され
    る電子ビ−ムを変調する変調手段とを有する画像形成装
    置において、該電子源が請求項8〜12のいずれかに記
    載の電子源であることを特徴とする画像形成装置。
  14. 【請求項14】 基体と、該基体上に配置された電子放
    出素子とを有する電子源の製造方法において、基体上
    に、電気的に並列接続された、複数の電子放出部を有す
    る電子放出素子を形成する工程と、該複数の電子放出部
    に対し、電子放出特性を検出するための検査工程と、該
    検査工程の結果に基づいて選択された前記電子放出部
    の、前記電気的な接続を切断する工程とを有することを
    特徴とする電子源の製造方法。
  15. 【請求項15】 電子源と、該電子源より放出される電
    子ビ−ムの照射により画像を形成する画像形成部材と、
    入力される画像信号に応じて該画像形成部材に照射され
    る電子ビ−ムを変調する変調手段とを有する画像形成装
    置の製造方法において、該電子源が請求項14に記載の
    製造方法にて作成されることを特徴とする画像形成装置
    の製造方法。
  16. 【請求項16】 基体と、該基体上に配置された電子放
    出素子とを有する電子源の製造方法において、基体上
    に、電子放出部形成用薄膜と、電圧供給手段に接続され
    た電子放出部とを有する電子放出素子を形成する工程
    と、該電子放出部に対し、電子放出特性を検出するため
    の検査工程と、該検査工程の結果に基づいて前記電子放
    出部と前記電圧供給手段との接続を切断する工程と、該
    電子放出部形成用薄膜を前記電圧供給手段に接続する工
    程と、該電子放出部形成用薄膜に電子放出部を形成する
    工程とを有することを特徴とする電子源の製造方法。
  17. 【請求項17】 電子源と、該電子源より放出される電
    子ビ−ムの照射により画像を形成する画像形成部材と、
    入力される画像信号に応じて該画像形成部材に照射され
    る電子ビ−ムを変調する変調手段とを有する画像形成装
    置の製造方法において、該電子源が請求項16に記載の
    製造方法にて作成されることを特徴とする画像形成装置
    の製造方法。
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