JP3397282B2 - 周波数帯域分割型反響消去装置 - Google Patents

周波数帯域分割型反響消去装置

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JP3397282B2
JP3397282B2 JP20854796A JP20854796A JP3397282B2 JP 3397282 B2 JP3397282 B2 JP 3397282B2 JP 20854796 A JP20854796 A JP 20854796A JP 20854796 A JP20854796 A JP 20854796A JP 3397282 B2 JP3397282 B2 JP 3397282B2
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陽一 羽田
昭二 牧野
末廣 島内
順治 小島
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、周波数帯域分割
型反響消去装置に関し、特に、拡声通話装置その他の双
方向伝送通話装置においてハウリングの原因および聴覚
上の障害となる反響信号を消去する周波数帯域分割型反
響消去装置に関する。
【0002】
【従来の技術】音声会議装置の如き拡声通話装置の普及
に伴い、双方向通話性能に優れて反響感の少ない双方向
通話装置を開発することが要請されている。この要請を
満足する方策として反響消去装置の研究開発がなされて
いる。ここで、例えば米国特許No.5,272,695または英国
特許出願公開GB2240452 に示されているような拡声通話
装置に適用した反響消去装置の従来例を図1を参照して
説明する。11は受話信号入力端、12はスピーカ、1
3はマイクロホン、14は送話信号出力端、15は疑似
反響路、16は反響路推定部、17は減算器、18X、
18YはA/D変換器、19はD/A変換器を示す。受
話信号x(t)が入力される受話信号入力端11からスピー
カ12に至る受話経路と、マイクロホン13から送話信
号出力端14に至る送話経路とから成る拡声通話装置に
おいて、受話信号x(t)はA/D変換器18Xによりサン
プリング周波数fs でサンプリングされ、ディジタル受
話信号x(n)とされる。サンプリング周波数fs は普通、
受話信号x(t)の帯域を0〜fwHzとすると2fwに選ば
れる。一方、マイクロホン14でピックアップされた反
響信号y(t)はA/D変換器18Yによりサンプリング周
波数fs でサンプリングされ、ディジタル反響信号y(n)
となる。以降の説明では、これらディジタル信号x(n)、
y(n)をそれぞれ受話信号及び反響信号と呼ぶ。
【0003】受話信号x(n)は疑似反響路15に供給さ
れ、疑似反響路15から出力される疑似反響信号y∧(n)
を減算器17において反響信号y(n)から減算して得た
推定誤差(残差)e(n)と受話信号x(n)とから反響路推定
部16により反響路EPの伝達関数h(i)を推定し、推定
伝達関数h∧(i) を疑似反響路15に設定する。受話信
号x(n)が与えられる毎に誤差信号e(n)が0に近づくよう
に推定伝達関数h∧(i) を更新することにより反響信号y
(n)を削減することができる。推定誤差e(n)はD/A変
換器19によりアナログ信号e(t)に変換され、端子14
から出力される。
【0004】疑似反響路15は反響路EPの経時変動に
追従させる必要がある。この疑似反響路15は、例えば
ディジタルFIRフィルタにより構成し、残差e(n)=y
(n)−y∧(n) が0に近付く様に、LMS法、学習同定法
その他のシステム同定法を使用する反響路推定部16に
より疑似反響路15に与えるフィルタ係数の逐次修正が
行なわれる。疑似反響路15の修正をこの様に実施する
ことにより、反響消去は常に最適な状態に維持される。
【0005】一方、この反響消去装置は、フィルタ係数
の修正に要する演算処理量が多いものであるところか
ら、近年、以下において説明される周波数帯域分割型の
反響消去装置が導入されつつある。図2は、受話信号x
(n)の周波数帯域をN個のサブバンドに分割し、それぞ
れのサブバンド毎に反響消去を行う、例えば米国特許N
o.5,272,695に示されている周波数帯域分割型反響消去
装置の従来例を示す。図1と共通する部分には共通する
参照符号を付している。図2において、18X,18Y
はA/D変換器、19はD/A変換器、20、30は周
波数帯域分割部、40は周波数帯域合成部、15 k は各
周波数帯域の疑似反響路、16k は各周波数帯域の反響
路推定部、17kは各周波数帯域の減算器を示す。ここ
で、k=0,1,…,N-1である。なお、受信信号x(n)の全周波
数帯域幅を例えば−πから+πまでの2πの幅に規格化
するものとし、その全体域をM分割(Mは2以上の偶
数)することは、受信信号x(n)に対しN=(M/2+1) 個の帯
域通過フィルタによりN個のサブバンド信号xk(n) を得
る処理を行うことである。以降ではN個のサブバンド信
号を得ることをN個のサブバンド信号に分割すると呼ぶ
ことにする。
【0006】A/D変換器18Xからの受話信号x(n)
は、受話信号側の周波数帯域分割部20において周波数
帯域別のN個の信号xk(m) (k=0,…,N-1)に分割される。
同様に、反響信号y(n)は反響信号側の周波数帯域分割部
30において周波数帯域別のN個の信号yk(m) に分割さ
れる。ここで、受話信号側と反響信号側の周波数帯域分
割部20、30は全く等しい構成である。
【0007】分割周波数帯域のそれぞれに対応してサブ
バンド疑似反響路15k、k=0,…,N-1 が設けられ、各サ
ブバンド疑似反響路15k から出力される疑似反響信号
y∧k(m)をサブバンド減算器17k において反響信号y
k(m) から減算することにより反響信号yk(m) を削減す
ることができる。各周波数帯域の残差ek(m)=yk(m)−y
k(m)は周波数帯域合成部30において全周波数帯域の
残差e(n)に合成される。
【0008】図3は周波数帯域分割部20の内部を示
す。21k は帯域通過フィルタ、22 k は間引部であ
る。ここで、k=0,1,…,N-1である。受話信号x(n)は受話
信号帯域通過フィルタ21k により帯域制限される。帯
域制限された信号xk(n) は、間引部22k において間引
き率Rにより間引かれてxk(m) となる。反響信号y(n)
も、同様に、帯域制限および間引き処理を施されてy
k(m) となる。周波数帯分割部30も図3と同様の構成
とされている。
【0009】図4は周波数帯域合成部40の構成を示
す。41k は補間部、42k は補間フィルタ、43は加
算器である。ここで、k=0,1,…,N-1である。各周波数帯
域の残差eK(m) は補間部41k および補間フィルタ42
k により補間率Rで補間される。補間された各周波数帯
域の信号を加算器43において加算することにより全周
波数帯域信号e(n)を得る。
【0010】この様に受話信号x(n)を複数のサブバンド
に分割することにより、各サブバンドの信号は近似的に
平坦化(即ち白色化)され、その結果、それぞれのサブ
バンドにおける疑似反響路の推定伝達関数h∧(i)の収束
速度が全帯域で反響消去を行う場合より大となる利点が
ある。しかも、受話信号をN個のサブバンド信号に分割
することにより、各サブバンドの帯域幅は受話信号x(n)
の全帯域幅の1/M になるので、各理想的帯域通過フィル
タが実現できれば、サブバンドの信号xk(n) のサンプル
を間引き率R=Nで間引くことにより、各サブバンドに
おける処理演算量を効果的に削減することができること
が知られている。
【0011】一方、入力信号を周波数fsでサンプリング
するとサンプリング周波数fsより高い帯域の周波数成分
は周波数fsを中心に低い周波数側に折り返されるいわゆ
るエリアジングの問題が生じる。このエリアジングは間
引き(即ち、ダウンサンプリング)によっても生じる。
A/D 変換器によるサンプリング周波数fsを入力信号x(t)
の全帯域の2倍に決め、N個の理想的帯域通過フィルタ
によりN分割した場合、間引き率Rによる間引き後のサ
ンプリング周波数fs'=fs/Rを分割周波数帯域幅FBの2倍
以上に選べば、帯域内に折り返しが入ることはない。
fs'=2FBに選んだ場合、M=Rとなる。
【0012】帯域通過フィルタの特性を理想的特性に近
づける(即ち遮断周波数fcから阻止帯域遮断周波数fsc
までの遷移域を零に近づけ、かつ阻止域減衰量を無限大
に近づける)には、フィルタのタップ数を大きくする必
要があるが、フィルタのタップ数が多くなればフィルタ
処理演算量が増加し、かつ伝達遅延時間が大となるの
で、処理に要する時間も長くなる。従って、現実にはフ
ィルタのタップ数を大きくするのには限界があり、帯域
通過フィルタの阻止域での減衰量を充分大きくすること
はできない。そのため、間引き率Rを分割数Mに近く選
ぶとサブバンド信号のエリアジングが通過帯域に入り込
む。これを避けるため、従来は間引き率RをMよりかな
り小さく選んでいた。その結果、各帯域通過フィルタ2
k の出力信号の特性は例えば図5Aに破線で示すよう
な帯域通過フィルタの特性が残っている。
【0013】一方、推定しようとする反響路EPの伝達関
数h(i)の周波数特性は、図5Bに示すように周波数領域
の全帯域に渡って平坦である。従来の帯域分割型反響消
去装置は、受話信号側の帯域通過フィルタと反響信号側
の帯域通過フィルタとを同一構成としているので、図5
Aの破線で示す帯域制限された信号xk(m) を用いて、図
5Bに示す帯域制限されてない反響路伝達関数h(i)によ
り反響信号をy∧=xh∧のような形式で推定し、図5Cに
示すような帯域制限を受けた疑似反響信号y∧を得てい
た。これは、図5Aに示す通過域(0〜π/2)の線信
号のレベルの大きい部分A1により図5Bの伝達関数の
レベルの大きい部分B1を推定する一方、図5Aにおけ
る阻止域(π/2〜π)の線信号のレベルの小さい部分
A2を使って図5Bに示す伝達関数の部分B1と等しい
大きいレベルの部分B2を推定する必要があることを意
味する。即ち、図5Aにおける阻止域の線信号のレベ
ルの小さい部分A2を使用して図5Bのレベルの大きい
部分B2における伝達関数をh∧=xh/x のように推定し
ているので、xが小さくなれば0/0 に近い形となり、従
って演算が不安定になり、しかもこれらの部分の推定精
度を得るのに長い時間を要し、収束速度が低下してい
た。しかも、図5Aの破線で示すような遮断周波数fc以
上における減衰特性の信号成分を含む帯域通過信号がサ
ブバンド反響路推定部16k 及びサブバンド疑似反響路
15k に与えられることは、各分割周波数帯域内の信号
の白色化が不十分であり、最大収束速度が達成されてい
ないことを示している。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】この様に、従来の周波
数帯域分割型反響消去装置は、帯域を分割しない反響消
去装置と比較して定常消去量の低下、収束速度の低下と
いう収束特性劣化の問題を内包するものである。この発
明は、上述の通りの問題を解消し、収束速度が改善され
た周波数帯域分割型反響消去装置を提供するものであ
る。
【0015】
【課題を解決するための手段】この発明の第1の観点に
よる周波数帯域分割型反響消去装置は、受話信号を複数
の周波数帯域のサブバンド受話信号に分割する受話信号
周波数帯域分割部と、反響信号を複数の周波数帯域のサ
ブバンド反響信号に分割する反響信号周波数帯域分割部
と、複数の周波数帯域のそれぞれに設けられ、対応する
周波数帯域の上記サブバンド受話信号がそれぞれ与えら
れ、それぞれサブバンド疑似反響信号を出力するディジ
タルフィルタで構成されたサブバンド疑似反響路と、上
記複数のサブバンド疑似反響路の出力したサブバンド疑
似反響信号を上記複数のサブバンド反響信号から減算し
てそれぞれサブバンド誤差信号を生成するサブバンド減
算部と、上記サブバンド誤差信号と上記サブバンド受話
信号とから適応アルゴリズムにより逐次上記サブバンド
誤差信号を零に近づけるように上記サブバンド疑似反響
路の伝達関数を推定するサブバンド反響路推定部と、そ
れぞれの上記サブバンド誤差信号を合成する周波数帯域
合成部、とを含み、上記受話信号周波数帯域分割部およ
び上記反響信号周波数帯域分割部は、それぞれ上記受話
信号及び上記反響信号を複数の周波数帯域に分割し、帯
域分割受話信号と帯域分割反響信号をそれぞれ生成する
複数の受話信号帯域通過フィルタ及び複数の反響信号帯
域通過フィルタと、上記帯域分割受話信号及び上記帯域
分割反響信号をそれぞれ予め決めた間引き率で間引いて
上記複数のサブバンド受話信号及び上記複数のサブバン
ド反響信号を生成する間引き部とを含み、上記受話信号
周波数帯域分割部の上記受話信号帯域通過フィルタの阻
止域減衰量は上記反響信号周波数帯域分割部の上記反響
信号帯域通過フィルタの阻止域減衰量より小さく設定さ
れている。
【0016】この発明の第2の観点による周波数帯域分
割型反響消去装置は、受話信号を複数の周波数帯域のサ
ブバンド受話信号に分割する受話信号周波数帯域分割部
と、反響信号を複数の周波数帯域のサブバンド反響信号
に分割する反響信号周波数帯域分割部と、複数の周波数
帯域のそれぞれに設けられ、対応する周波数帯域の上記
サブバンド受話信号がそれぞれ与えられ、それぞれサブ
バンド疑似反響信号を出力するディジタルフィルタで構
成されたサブバンド疑似反響路と、上記複数のサブバン
ド疑似反響路の出力したサブバンド疑似反響信号を上記
複数のサブバンド反響信号から減算してそれぞれサブバ
ンド誤差信号を生成するサブバンド減算部と、上記サブ
バンド誤差信号と上記サブバンド受話信号とから適応ア
ルゴリズムにより逐次上記サブバンド誤差信号を零に近
づけるように上記サブバンド疑似反響路の伝達関数を推
定するサブバンド反響路推定部と、それぞれの上記サブ
バンド誤差信号を合成する周波数帯域合成部、とを含
み、上記受話信号周波数帯域分割部および上記反響信号
周波数帯域分割部は、それぞれ上記受話信号及び上記反
響信号を複数の周波数帯域に分割し、帯域分割受話信号
と帯域分割反響信号をそれぞれ生成する複数の受話信号
帯域通過フィルタ及び複数の反響信号帯域通過フィルタ
と、上記帯域分割受話信号及び上記帯域分割反響信号を
それぞれ予め決めた間引き率で間引いて上記複数のサブ
バンド受話信号及び上記複数のサブバンド反響信号を生
成する間引き部とを含み、それぞれの周波数帯域の上記
推定部に与える上記サブバンド受話信号の周波数特性を
平坦化する周波数特性平坦化部が設けられている。
【0017】上記第1及び第2の観点による周波数帯域
分割反響除去装置において、受話信号及び反響信号周波
数帯域分割部の受話信号帯域通過フィルタ及び反響信号
帯域通過フィルタの代わりに、上記受話信号及び反響信
号をそれぞれ一定幅ずつ順次増加する周波数幅だけそれ
ぞれ低域側に周波数シフトする複数の乗算器と、上記上
記乗算器の出力を帯域制限して帯域分割受話信号及び帯
域分割反響信号を出力する受話信号低域通過フィルタ及
び反響信号低域通過フィルタとを設けてもよい。
【0018】
【発明の実施の形態】
第1実施例 サブバンド反響消去装置におけるサブバンド分割は、帯
域通過フィルタ群を使って受話信号x(n)をサブバンドに
分割する。サブバンド反響消去は受話信号x(n)を狭い周
波数サブバンドに分割することにより、固有値広がり
(eigenvalue spread )を減らす。これにより入力信号
x(n)は白色化され、収束速度が大になる。また、間引き
によるダウンサンプリングはサンプリング間隔を広げ、
各サブバンド疑似反響路15k を構成する適応ディジタ
ルフィルタに必要なタップ数を減らすことができる。
【0019】前述のように従来のサブバンド反響消去に
おいては、臨界サンプリング周波数まで間引いた場合に
は非理想帯域通過フィルタ(BPF)により生じた折り
返し歪のため、所望のレベルの反響消去量(ERLE)を達
成することはできない。理想的BPFに近づけるため、
帯域外で高い減衰を持たせるには、BPFのタップ長を
長くする必要があり、その結果、必要な演算量が大とな
り、伝達遅延が大となるので、帯域外で減衰の小さい非
理想BPFを使用する必要がある。非理想BPFに起因
する折り返し歪を避けるため、間引き率をサブバンド数
より小さく選ぶ。しかしながら、BPFの周波数特性は
図5Aのπ/2〜πにおける破線で示したように各サブバ
ンド信号の周波数特性に残るので、間引き率を小さくす
ると各サブバンド信号の固有値が広がる。これは従来の
サブバンド反響消去法(SBEC)の収束を遅くしている。
【0020】これは各サブバンド入力信号を白色化する
ことによりSBECの収束速度を更に改善できることを示し
ている。これを行うには、この発明の第1実施例によれ
ば、2つの異なる長さの分析フィルタ群を使用する。実
用的には、演算量を少なくし、伝達遅延を短くするため
にBPFの長さは短くしておく。最適な間引き率を決め
る場合、次のような問題がある。非理想BPFによる折
り返し効果を減らすために間引き率を小さくすると、ER
LEは増加するが、非最大間引きにより生じた固有値広が
りのために収束速度は低下する。固有値広がりを減らす
ように間引き率を大きくすると、収束速度は増大する
が、折り返しのためにERLEは減少する。
【0021】これらの結果は2つのことを示唆してい
る。まず、SBECはより高いERLEを実現するために反響信
号の折り返しを低いレベルに抑える必要がある。第2
に、SBECは収束速度を高めるために入力信号の折り返し
を低いレベルに抑える必要はない。これらの条件を満た
すため、この第1実施例では受話信号と反響信号に対す
るフィルタ群に異なるBPFを使用する。
【0022】受話信号に対するBPFは低域通過フィル
タを使うことにより固有値広がりを減らす。即ち、阻止
帯域遮断周波数fsc をサブバンドサンプリング周波数
fs' のほぼ3/4 とする。一方、反響信号に対するBPF
は間引きによる折り返しを減らすようにする。即ち、阻
止帯域遮断周波数fsc を通過帯域遮断周波数fpc に比較
的近くする。これらの周波数特性はフィルタ長を変える
ことにより容易に実現できる。即ち、受話信号に対する
BPFは短くし、反響信号に対するBPFは長くする。
反響信号y(n)に対するBPFの特性を図5Aの破線で示
す従来と同様のものとした場合、受話信号x(n)に対する
BPFの長さを上述のように短くした結果、得られるサ
ブバンド受話信号xk(m) の特性は図5Aの実線に示すよ
うに帯域遮断周波数fc以下の通過域(0〜π/2)から周
波数fc以上の阻止域(π/2〜π)に渡ってサブバンド受
話信号レベルは平坦化され、即ち白色化される。
【0023】このフィルタ群構成において、各サブバン
ドの疑似反響路15k を構成する適応ディジタルフィル
タ長(タップ数)は2つのBPF長の差を考慮して次式 Lk = L/R + (Ly−Lx)/R で表される。ここで LK:各サブバンドのADF長 L:インパルス応答長 R:間引き率 Lx:受話信号に対するBPF長 Ly:反響信号に対するBPF長 である。
【0024】この発明の第1実施例の形態を図6の実施
例を参照して説明する。図2と対応する部分には共通す
る参照符号を付している。ここで、20は受話信号周波
数帯域分割部、30は反響信号周波数帯域分割部、50
はフィルタ特性設定部を示す。フィルタ特性設定部50
は、受話信号側および反響信号側において信号を複数の
周波数帯域に分割する際の受話信号側の各帯域通過フィ
ルタ21 k の阻止域減衰量より、反響信号側の各帯域通
過フィルタ31k の阻止域減衰量の方を大きくする様に
それぞれのフィルタ特性を設定する部である。この様に
設定するには、後で詳述するように反響信号周波数帯域
分割部30の帯域通過フィルタ31k のフィルタ長を受
話信号周波数帯域分割部20の帯域通過フィルタ21k
のフィルタ長より長くする。
【0025】図7は図6における受話信号周波数帯域分
割部20の内部構成を示す図である。21k は上述のよ
うに反響信号帯域通過フィルタよりフィルタ長が短くさ
れた受話信号帯域通過フィルタであり、受話信号を所定
の帯域に制限し、サブバンド受話信号xk(n) として出力
する。22k は間引部であり、与えられたサブバンド受
話信号xk(n) を間引き率Rで間引いて信号xk(m) を出力
する。図8は図6における反響信号周波数帯域分割部3
0の内部構成を示す図である。31k は反響信号帯域通
過フィルタであり、反響信号y(n)を帯域制限してサブバ
ンド反響信号yk(n) として出力する。32k は間引部で
あり、与えられたサブバンド反響信号yk(n) を間引き率
Rで間引いて信号yk(m) を出力する。ここで、k=0,1,
…,N-1である。周波数帯域合成部40の構成は図4に示
すものと同じである。
【0026】図9は受話信号周波数帯域分割部20及び
反響信号周波数帯域分割部30における各帯域通過フィ
ルタ21kまたは31kの減衰特性の模式図を示す。図9
において、fpc は通過帯域遮断周波数を、fsc は阻止帯
域遮断周波数を、fcは遮断周波数を、bは阻止帯域減衰
量を、dは通過帯域減衰量をそれぞれ表す。また、帯域
0〜fpc は通過域を、帯域fc〜fsc は遷移域を、fsc
上は阻止域を、0〜fcは帯域幅をそれぞれ表す。ただ
し、fc=fs/Mであり、fsはA/D 変換器18Xまたは18
Yのサンプリング周波数を表す。各帯域通過フィルタ2
kまたは31kは図に示すように、通過域0〜fpc
は、3dB以下の減衰量dとなり、fsc 以上の阻止域で
は予め決めた減衰量b以上となるよう設定する。この第
1実施例においては、阻止域遮断周波数fsc 以上での受
話信号帯域通過フィルタの減衰量bは反響信号帯域通過
フィルタのそれより小さくされている。
【0027】図10にフィルタ特性設定部50における
帯域通過フィルタ特性の設定フローチャートを示す。ス
テップS1では分割数M,間引き率Rを入力する。ステ
ップS2では反響信号帯域通過フィルタB(z) を設定す
る。B(z) のタップを間引き率Rで間引いた後の特性に
おいて、阻止帯域遮断周波数fsc より高い周波数での減
衰量が予め決めた値bdB以上になるように、反響信号周
波数帯域分割部30の各帯域通過フィルタ特性を設定す
る。減衰量bの値は主通話品質保証値をRef とすると、
具体的には次の不等式 −b+20log10R< Ref (1) を満足する最小の減衰量として予め決め、帯域通過フィ
ルタ31k のフィルタ特性B(z) を以下のように決め
る。
【0028】 B(z) = −d (dB),0≦d≦3 for 0<f< f pc ≦ −b (dB) for fsc<f (2) 主通話品質保証値Ref は、主通話に対するエリアジング
の量を定めた値で、例えば-40dB とする。ステップS3
では、受話信号周波数帯域分割部20の帯域通過フィル
タ特性A(z) の減衰量を、ステップS2で決定した反響
信号周波数帯域分割部30の帯域通過フィルタ特性の減
衰量より少なくするように設定する。ここでは、フィル
タ特性A(z) の阻止帯域遮断周波数をωsc(規格化周波
数)としたときωscが π<ωsc<3π/2 (3) となる範囲で選択する。
【0029】ステップS4で反響信号周波数帯域分割部
30及び受話信号周波数帯域分割部20にそれぞれの帯
域通過フィルタ設定係数を転送する。図11に帯域通過
フィルタ特性をフィルタ長から求める場合のフローチャ
ートを示す。ステップS1では分割数Mと間引き率Rを
入力する。
【0030】ステップS2では反響信号周波数帯域通過
フィルタB(z) を設定する。B(z)のタップを間引き率
Rで間引いた後の特性において、阻止帯域遮断周波数f
sc より高い周波数での減衰量が予め決めた値bdB以上
になるように、反響信号周波数帯域分割部30の帯域通
過フィルタ係数Sb(正の整数)を設定する。ここでは、
理想帯域通過フィルタのインパルスレスポンスb(n)=sin
(n/M)/(n/M) を図12に示すようにタップ0〜500の
範囲で示すと、反響信号帯域通過フィルタB(z)のタッ
プを-SbM,…,0,…,SbMとしたとき、前述の式(1)及び
(2)と同様に −b+20log10R<Ref B(z) = −d,0≦d≦3 for 0<f< pc ≦ −b fsc<f を満足するような最小のSbを決める。具体的にはSb=1,
2,…と順次増大し、各値で上式が満足するか調べ、最初
に満足したときのSbの値を最小のSbとする。図12に示
すように例えばSb=2 とし、反響信号帯域通過フィルタ
としてはn=-128〜+128の257タップを有するフィルタ
を使用する。
【0031】ステップS3では、受話信号周波数帯域分
割部20の帯域通過フィルタ長を、反響信号周波数帯域
分割部30の帯域通過フィルタ長より短く設定する。即
ち、理想帯域通過フィルタのインパルスレスポンスa(n)
=sin(n/M)/(n/M) に対し、受話信号帯域通過フィルタA
(z) のタップ-SaM,…,SaMをSaM<SbMとなるように選択
する。好ましくは反響信号帯域通過フィルタB(z)のタッ
プ数257の約半分となるように、受話信号帯域通過フ
ィルタとしてはn=-64〜+64の129タップを有するフィ
ルタを使用する。
【0032】ステップS4で反響信号周波数帯域分割部
30及び受話信号周波数帯域分割部20にそれぞれの帯
域通過フィルタ係数を転送する。これらの手法を組み合
わせると、受話信号が複数の周波数帯域に分割された後
の特性が平坦に近いため、周波数特性平坦化部9k が小
規模で実現できる。図13はこの発明の収束特性の計算
機シミュレーション結果を示す図である。計算機シミュ
レーションには実測した反響路EPのインパルス応答
(1280タップ、サンプリング周波数16kHz) を使用し
た。帯域分割数M=64、間引き率R=32である。各
帯域の疑似反響路15k を構成する適応フィルタのタッ
プ数Lkは44である。受話信号には白色雑音を使用し
た。曲線13aは第1実施例によるERLEを示し、曲線1
3bは従来技術によるERLEを示す。図13を参照する
に、受話信号周波数帯域分割部と反響信号周波数帯域分
割部とを等しく構成する場合と比較して、収束特性が改
善されていることが示されている。
【0033】以上の通り、この第1実施例では、反響信
号周波数帯域分割部30の帯域通過フィルタ31k のフ
ィルタ長を受話信号周波数帯域分割部20の帯域通過フ
ィルタ21k のフィルタ長より長く設定することによ
り、反響信号帯域通過フィルタ31k の阻止域減衰量を
受話信号帯域通過フィルタ21k の阻止域減衰量より大
きく設定することとなる。この第1実施例は、受話信号
側において信号を複数の周波数帯域に分割する帯域通過
フィルタの阻止域減衰量と比較して反響信号側において
信号を複数の周波数帯域に分割する帯域通過フィルタの
阻止域減衰量の方が大きくなる様に両フィルタのフィル
タ特性を設定することにより反響路に帯域制限をかけた
場合と同等の効果が得られる。即ち、図5Aの実線で示
すサブバンド受話信号の部分A2は図5Cの反響信号の
レベルの小さい部分C2を推定し、図5Aの実線信号の
レベルの大きい部分A1は図5Cの信号レベルの大きい
部分C1を推定する様な特性を等価的に付与されるに到
る。従って、推定しなければならない各帯域の反響路の
周波数特性において、受話信号レベルの小さい部分は周
波数特性の小さいレベルの反響信号を推定すればよくな
り、推定精度を得るのに必要な時間は、C1の部分が主
となる。その結果、全体として見た場合の推定精度はC
1部分の推定精度が主となり、総合的に収束速度が改善
され、収束特性が改善された周波数帯域分割型反響消去
装置を提供することができる。 第2実施例 上述の第1実施例においては、受話信号帯域通過フィル
タの長さを反響信号帯域通過フィルタより短く設定する
ことにより、阻止域における減衰量を少なくすることに
よりサブバンド受話信号の白色化を行う場合を示した。
これに対し、第2実施例では、サブバンド反響路推定部
に与えるサブバンド受話信号に対し、通過域から阻止域
に渡って周波数特性が平坦化するようなフィルタ処理を
行う。
【0034】図14にこの第2実施例の帯域分割型反響
消去装置を示す。図6と対応する部分には同じ参照符号
を付けてある。図14において、9k (k=0,1,…,N-1)は
信号の周波数特性を平坦化する周波数平坦化部を示す。
A/D 変換器18Xからの受話信号x(n)は受話信号周波数
分割部20によってN個の帯域に分割される。分割され
た各帯域の信号xk(m) は、それぞれの帯域に設けられた
サブバンド疑似反響路15k と周波数特性平坦化部9k
に入力される。周波数特性平坦化部9k では、図5Aの
破線で示す周波数特性を持つ帯域分割された信号xk(m)
を平坦化する。これによって得られた平坦化信号x- k(m)
はそれぞれのサブバンド反響路推定部16k に入力さ
れ、対応するサブバンド疑似反響路15k の伝達関数h
∧(i) を推定する。
【0035】ここで、周波数特性平坦化部9k は、具体
的には帯域通過フィルタ21k の逆特性を有するタップ
数LT のFIR(finite impulse response)フィルタあるい
はIIR(infinite impulse response)フィルタによって実
現することができる。まず、周波数特性平坦化部9k
FIR フィルタで構成する場合について説明する。FIR フ
ィルタの特性は次式
【0036】
【数1】 のように表現される。このフィルタの出力である周波数
特性が平坦化された平坦化信号x- k(m)は次式
【0037】
【数2】 で表される。そのフィルタ係数gnはこのフィルタ特性を
G(z) とすると、次式 G(z) = F(z)/[F*(z)F(z)+δ] (6) で求められる。ここで、F(z)は受話信号周波数帯域分
割部20で用いられている帯域通過フィルタ21k (図
7参照)のタップを間引き部22k と同一の間引き率R
で間引いた後の特性である。δは安定化定数、* は複素
共役である。
【0038】図15A〜15Dに周波数特性平坦化部9
k による受話信号平坦化の概念を示す。
【0039】図15Aは周波数特性平坦化部9k へ入力
する受話信号xk(m) の周波数特性を示し、図15Bは周
波数特性平坦化部9k をFIR フィルタで実現した場合の
フィルタ特性G(z) を示し、図15Dは周波数特性平坦
化部9k からの出力信号x- k(m)の周波数特性を示す。
【0040】受話信号周波数帯域分割部20から出力さ
れた信号xk(m) は、図15Aに示す周波数特性を持ち、
この信号を図15Bに示す周波数特性を持つFIR フィル
タと畳み込むことにより、図15Dに示す周波数特性が
平坦化された信号x- k(m)を得る。
【0041】次に、周波数特性平坦化部9k をIIR フィ
ルタで構成する場合について説明する。IIR フィルタで
構成するということは、次式
【0042】
【数5】 として特性平坦化信号x- k(m)を求めることを意味する。
フィルタ係数wnは、受話信号周波数帯域分割部20で用
いられる帯域通過フィルタ21k のタップを間引き部2
k と同一の間引き率で間引きした後のフィルタ特性を
【0043】
【数6】 としたときに、wn=fn/f0 として求めることができる。
F(z) が非最小位相零点を持つ場合には、いったんF
(z) を最小位相関数に変換した後のフィルタ係数wn=fn'
/f0'として求める。あるいは式(9)において、xk(m)をf
(m)に置き換えたときのx- k(m)が平坦な特性を持つよう
にwnを与える。
【0044】図15Cに周波数特性平坦化部9k をIIR
フィルタで構成した場合の周波数特性を示す。受話信号
周波数帯域分割部20から出力された信号xk(m) は、図
15Aに示す周波数特性を持ち、この信号を図15Cに
示す周波数特性を持つIIR フィルタと畳み込むことによ
り、図15Dに示す周波数特性が平坦化された信号x-k
(m)を得る。
【0045】図16は図14に示す第2実施例の効果を
示すためのERLEの計算機シミュレーション結果を実線1
6aで示し、従来装置による結果を破線16bで示す。
受話信号帯域通過フィルタと反響信号帯域通過フィルタ
は従来と同様に互いに等しいタップ数を有している場合
である。シミュレーションは実測した反響路インパルス
応答(1280タップ、サンプリング周波数16kHz )を使
い、帯域分割数M=64、間引き率R=32、各サブバ
ンド適応フィルタ15k のタップ数Lk =40とした。
平坦化部9k は16次のFIR フィルタを使用した。平坦
化部9k を用いることにより収束速度が明らかに改善さ
れている。
【0046】図17にこの第2実施例の帯域分割型反響
消去装置に第1実施例の帯域通過フィルタ特性設定部5
0を組み合わせた例を示す。図14と対応する部分に同
じ参照符号を付けてある。図17において、50はフィ
ルタ特性設定部であり、20は受話信号周波数帯域分割
部であり、30は反響信号周波数帯域分割部であり、こ
れらは第1実施例で説明したものと同じなので説明を省
略する。
【0047】図18は図17の構成による反響消去装置
の計算機シミュレーションによるERLE特性を実線18a
で示し、比較のため第1実施例による特性を破線18b
で示し、従来技術による特性を一点鎖線18cで示す。
シミュレーションには実測したインパルス応答(1280タ
ップ、サンプリング周波数16kHz )を使用した。帯域
分割数M=64,間引き率R=32である。各帯域のタ
ップ数は44である。送話信号は男性/女性それぞれ5
0回の実音声を用いた。図17の構成によれば、図14
の構成より明らかに収束速度が改善されている。 第3実施例 図19にこの発明の第2実施例の帯域分割型反響消去装
置を多チャネルに適用した第3実施例を示す。図19の
例では2つのスピーカと2つのマイクロホンを使用する
場合を示しているが、それ以上の数でも同様に適用でき
る。61a、61bはベクトル結合部、11R、11L
は右、左チャネル受話信号入力端、12R,12Lは
右、左チャネルスピーカ、13R,13Lは右、左チャ
ネルマイクロホン、14R,14Lは右、左チャネル送
話信号出力端、EPLR、EPLL、EPRR、EPRLはそれぞれのス
ピーカ12R,12Lからそれぞれのマイクロホン13
R,13Lへの反響路、を示す。10Rは右チャネル用
反響消去部であり、図6に示す第1実施例と同様の構成
でN個のサブバンド疑似反響路150〜15N-1と、N個
のサブバンド推定部160〜16N-1と、N個のサブバン
ド減算器170〜17N -1とが右チャネル用に設けられて
いるものとする。10Lは左チャネル用反響消去部であ
り、右チャネル用反響消去部10Rと同様の構成であ
る。
【0048】右、左チャネル受話信号xR(n)及びxL(n)は
周波数帯域分割部20R,20Lで周波数帯域別のそれ
ぞれN個の信号xRk(m)及びxLk(m)に分割される。分割さ
れた2チャネルの信号xRk(m)及びxLk(m)は周波数特性平
坦化部9R,9Lとベクトル結合部61bに与えられ
る。周波数平坦化部9R,9Lに入力された信号xRk(m)
及びxLk(m)は平坦化信号x- Rk(m)及びx- Lk(m)とされる。
平坦化信号x- Rk(m)及びx - Lk(m)はベクトル結合部61a
によりベクトル結合されて、特性平坦化受話信号結合ベ
クトルx- k(m)とされる。また、ベクトル結合部61bに
入力された信号xR k(m)及びxLk(m)は受話信号結合ベクト
ルxk(m) とされる。反響信号yR(n)及びyL(n)も同様に周
波数帯域別のN個の信号yRk(m)及びyLk(m)に分割され
る。周波数帯域別の受話信号結合ベクトルxk(m) 、周波
数帯域別の特性平坦化受話信号結合ベクトルx- k(m)及び
周波数帯域別の反響信号yRk(m)を反響消去部10Rに与
え、マイクロホン13Rに集音された反響が消去され
る。同様に周波数帯域別の受話信号結合ベクトルxk(m)
、周波数帯域別の特性平坦化受話信号結合ベクトルx- k
(m)及び周波数帯域別の反響信号yLk(m)を反響消去部1
0Lに与え、マイクロホン13Lにより収音された反響
が消去される。
【0049】図20にこの発明の第3実施例の帯域分割
型反響消去装置を多チャネルに適用し、更に第1実施例
におけるフィルタ特性設定部50を組み合わせた実施例
を示し、図19と対応する部分には同じ参照番号を付け
てある。まず、フィルタ特性設定部50によって受話信
号帯域分割部20R,20L及び反響信号帯域分割部3
0R,30Lのそれぞれの帯域通過フィルタが設定され
る。右、左チャネル受話信号xR(n)及びxL(n)は受話信号
周波数帯域分割部20R及び20Lで周波数帯域別のN
個の信号xRk(m)及びxLk(m)に分割される。
【0050】分割された2チャネルの信号xRk(m)及びx
Lk(m)は周波数特性平坦化部9R,9Lとベクトル結合
部61bに与えられる。周波数平坦化部9R,9Lに入
力された信号xRk(m)及びxLk(m)は平坦化信号x- Rk(m)及
びx- Lk(m)とされる。平坦化信号x- Rk(m)及びx- Lk(m)は
ベクトル結合部61aによりベクトル結合されて、特性
平坦化受話信号結合ベクトルx- k(m)とされる。また、ベ
クトル結合部61bに入力された信号xRk(m)及びxLk(m)
は受話信号結合ベクトルxk(m) とされる。反響信号y
R(n) 及びyL(n) も同様に周波数帯域別のN個の信号yRk
(m)及びyLk(m)に分割される。周波数帯域別の受話信号
結合ベクトルxk(m) 、周波数帯域別の特性平坦化受話信
号結合ベクトルx- k(m)及び周波数帯域別の反響信号y
Rk(m)を反響消去部10Rに与え、マイクロホン13R
に集音された反響が消去される。同様に周波数帯域別の
受話信号結合ベクトルxk(m) 、周波数帯域別の特性平坦
化受話信号結合ベクトルx- k(m)及び周波数帯域別の反響
信号yLk(m)を反響消去部10Lに与え、マイクロホン1
3Lにより収音された反響が消去される。
【0051】上述した各実施例では、受話信号及び反響
信号をそれぞれN個の帯域通過フィルタを使って分割す
る場合を示したが、図21に示すように、受話信号及び
反響信号にそれぞれN個の信号Wk=exp(j2πk/M),k=
0,…,N-1を乗算器23k により乗算して、それぞれの周
波数を帯域幅のk/M ずつ低域側にシフトして、それぞれ
同じ周波数特性の低域通過フィルタ24k で帯域制限し
た信号を間引き部22 k により間引き率Rで間引いてサ
ブバンド受話信号xk(m) を生成してもよい。反響信号に
対する周波数帯域分割部30も図22に示すように図2
1と同様の構成とされ、N個の乗算器33k により反響
信号y(n)にN個の信号wk=exp(-j2πk/M)をそれぞれ乗
算して周波数シフトを行い、低域通過フィルタ34k
通してから間引き部32k により間引きを行ってN個の
サブバンド反響信号yk(m) を出力する。この場合、周波
数帯域合成部40は図23に示すように、与えられた誤
差信号ek(m) を補間部41k により間引き率Rで補間
し、補間フィルタ42k で帯域制限してから乗算器44
k でそれぞれ信号Wk=exp(-j2πk/M),k=0,…,N-1と乗
算して周波数をそれぞれk/M ずつ高域にシフトしてから
加算器43で合成することにより全帯域の信号e(n)を得
る。この実施例においては、図21の周波数シフトを行
うための乗算器23k と低域通過フィルタ24k の組が
図7の帯域通過フィルタ21k と対応する。同様に図2
2における乗算器33k と低域通過フィルタ34k の組
が図8の帯域通過フィルタ31k と対応する。これら低
域通過フィルタ24k ,34k は帯域通過フィルタの一
種と考えることができる。この様な図21、22、23
の構成を前述の各実施例に適用した場合にも、第1実施
例と同様に受話信号xk(m) に対する低域通過フィルタの
阻止域での減衰量を、反響信号に対する低域通過フィル
タの阻止域での減衰量より小さくする。その方法の1つ
として、前述のよう受話信号xk(m) 用の低域通過フィル
タ21k のタップ数を反響信号低域通過フィルタ31k
のタップ数より少なく、このましくは約1/2とする。
【0052】以上説明したこの発明の各種実施例におい
て、サブバンド疑似反響路15k を構成する適応フィル
タの伝達関数を推定する(即ち、逐次修正する)適応ア
ルゴリズムとして各種の従来のLMSアルゴリズムや他
の適応アルゴリズムを使うことができる。射影アルゴリ
ズムもその1つである。
【0053】
【発明の効果】上述した各実施例において、音声信号な
どの有色信号が入力信号となる場合、適応フィルタの収
束速度が劣化することが知られている。この問題に対し
ては自己相関を除去することで、収束速度を改善する射
影アルゴリズムが用いられている。従来のサブバンド反
響消去装置に射影法を適用した場合においては、帯域通
過フィルタの影響も射影で除去していた。これに対し、
この発明では受話信号側の帯域通過フィルタの特性を平
坦に近く設定することで、従来射影法で除去していた帯
域通過フィルタの影響の除去に必要な演算を軽減でき
る。即ち、収束速度が飽和するまでの射影の次数が、従
来法に比べて少なくてすむという利点がある。
【0054】この発明によれば、帯域分割型の反響消去
装置の長所である演算処理量を削減することと、音声入
力信号に対する収束速度を高速化することの双方を同時
に実現することができる。この発明の技術は、反響消去
装置以外に、適応フィルタを使用する帯域分割型の騒音
制御、システム同定装置にも応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的な反響消去装置の従来例を示すブロック
図。
【図2】周波数帯域分割型反響消去装置の従来例を示す
ブロック図。
【図3】図2の周波数帯域分割部の内部構成を示すブロ
ック図。
【図4】図2の周波数帯域合成部の内部構成を示すブロ
ック図。
【図5】Aは帯域通過フィルタの周波数特性、Bは反響
路の伝達関数の周波数特性、Cは疑似反響路が推定した
反響信号の周波数特性を示す図。
【図6】この発明の第1実施例のサブバンド反響消去装
置を示すブロック図。
【図7】図6の受話信号周波数帯域分部の内部構成を示
すブロック図。
【図8】図6の反響信号周波数帯域分部の内部構成を示
すブロック図。
【図9】帯域通過フィルタの模式的周波数特性を示す
図。
【図10】帯域通過フィルタの特性設定のためのフロー
チャート。
【図11】帯域通過フィルタの特性設定のための他のフ
ローチャート。
【図12】理想的帯域通過フィルタのインパルスレスポ
ンスの一部を示す図。
【図13】第1実施例の効果を従来技術と比較して示す
ERLE特性シミュレーション結果を示す図。
【図14】この発明の第2実施例のサブバンド反響消去
装置を示すのブロック図。
【図15】Aはサブバンド受話信号の模式的周波数特性
を示す図、Bはサブバンド受話信号を平坦化するFIR フ
ィルタの模式的特性を示す図、Cはサブバンド受話信号
を平坦化するIIR フィルタの模式的特性を示す図、Dは
平坦化されたサブバンド受話信号の模式的周波数特性を
示す図。
【図16】第2実施例によるERLEを従来技術と比較して
示す図。
【図17】第2実施例に第1実施例を組み合わせた場合
のサブバンド反響消去装置のブロック図。
【図18】図17の実施例によるERLEを従来技術及び第
1実施例と比較して示す図。
【図19】図16の実施例を多チャネルサブバンド反響
消去装置に適用した第3実施例を示すブロック図。
【図20】図19の実施例に更に第1実施例を組み合わ
せた場合の実施例を示すブロック図。
【図21】分割周波数帯域として共通のベースバンドを
使用する場合の受話信号周波数帯域分割部20の構成を
示すブロック図。
【図22】分割周波数帯域として共通のベースバンドを
使用する場合の反響信号周波数帯域分割部30の構成を
示すブロック図。
【図23】分割周波数帯域として共通のベースバンドを
使用する場合の周波数帯域合成部40の構成を示すブロ
ック図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H04M 9/08 H04M 9/08 (72)発明者 島内 末廣 東京都千代田区内幸町1丁目1番6号 日本電信電話株式会社内 (72)発明者 小島 順治 東京都千代田区内幸町1丁目1番6号 日本電信電話株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−123621(JP,A) 特開 平7−212279(JP,A) 特開 平9−8709(JP,A) 特開 平7−66757(JP,A) 特開 平7−66758(JP,A) 特開 昭63−248226(JP,A) 中川 朗,羽田 陽一,牧野 昭二, “サブバンドエコーキャンセラにおける フィルタ係数更新ベクトルの平坦化の検 討”,1996年電子情報通信学会基礎・境 界ソサイエティ大会講演論文集,1996年 8月30日,p.88,(A−87) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H04B 1/76 H04B 3/00 H04B 7/00 H03H 17/00 H03H 21/00 H04M 1/00 H04M 9/00 INSPEC(DIALOG) JICSTファイル(JOIS)

Claims (16)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 受話信号を反響路に出力すると共に疑似
    反響路に入力して疑似反響信号を生成し、上記反響路を
    経由して拾われた反響信号から上記疑似反響信号を減算
    することにより反響信号を消去する周波数帯域分割型反
    響消去装置において、 受話信号を複数の周波数帯域のサブバンド受話信号に分
    割する受話信号周波数帯域分割部と、 反響信号を複数の周波数帯域のサブバンド反響信号に分
    割する反響信号周波数帯域分割部と、 複数の周波数帯域のそれぞれに設けられ、対応する周波
    数帯域の上記サブバンド受話信号がそれぞれ与えられ、
    それぞれサブバンド疑似反響信号を出力するディジタル
    フィルタで構成されたサブバンド疑似反響路と、 上記複数のサブバンド疑似反響路の出力したサブバンド
    疑似反響信号を上記複数のサブバンド反響信号から減算
    してそれぞれサブバンド誤差信号を生成するサブバンド
    減算部と、 上記サブバンド誤差信号と上記サブバンド受話信号とか
    ら適応アルゴリズムにより逐次上記サブバンド誤差信号
    を零に近づけるように上記サブバンド疑似反響路の伝達
    関数を推定するサブバンド反響路推定部と、 それぞれの上記サブバンド誤差信号を合成する周波数帯
    域合成部、とを含み、 上記受話信号周波数帯域分割部および上記反響信号周波
    数帯域分割部は、それぞれ上記受話信号及び上記反響信
    号を複数の周波数帯域に分割し、帯域分割受話信号と帯
    域分割反響信号をそれぞれ生成する複数の受話信号帯域
    通過フィルタ及び複数の反響信号帯域通過フィルタと、
    上記帯域分割受話信号及び上記帯域分割反響信号をそれ
    ぞれ予め決めた間引き率で間引いて上記複数のサブバン
    ド受話信号及び上記複数のサブバンド反響信号を生成す
    る間引き部とを含み、 上記受話信号周波数帯域分割部の上記受話信号帯域通過
    フィルタの阻止域減衰量は上記反響信号周波数帯域分割
    部の上記反響信号帯域通過フィルタの阻止域減衰量より
    小さく設定されている。
  2. 【請求項2】 受話信号を反響路に出力すると共に疑似
    反響路に入力して疑似反響信号を生成し、上記反響路を
    経由して拾われた反響信号から上記疑似反響信号を減算
    することにより反響信号を消去する周波数帯域分割型反
    響消去装置において、 受話信号を複数の周波数帯域のサブバンド受話信号に分
    割する受話信号周波数帯域分割部と、 反響信号を複数の周波数帯域のサブバンド反響信号に分
    割する反響信号周波数帯域分割部と、 複数の周波数帯域のそれぞれに設けられ、対応する周波
    数帯域の上記サブバンド受話信号がそれぞれ与えられ、
    それぞれサブバンド疑似反響信号を出力するディジタル
    フィルタで構成されたサブバンド疑似反響路と、 上記複数のサブバンド疑似反響路の出力したサブバンド
    疑似反響信号を上記複数のサブバンド反響信号から減算
    してそれぞれサブバンド誤差信号を生成するサブバンド
    減算部と、 上記サブバンド誤差信号と上記サブバンド受話信号とか
    ら適応アルゴリズムにより逐次上記サブバンド誤差信号
    を零に近づけるように上記サブバンド疑似反響路の伝達
    関数を推定するサブバンド反響路推定部と、 それぞれの上記サブバンド誤差信号を合成する周波数帯
    域合成部、とを含み、 上記受話信号周波数帯域分割部および上記反響信号周波
    数帯域分割部は、それぞれ上記受話信号及び上記反響信
    号を一定幅で順次増加する周波数だけ低周波側に周波数
    シフトする複数の受話信号用及び反響信号用乗算器と、
    上記乗算器からの周波数シフトされた信号をそれぞれ帯
    域制限してそれぞれ周波数シフトされた帯域分割受話信
    号と周波数シフトされた帯域分割反響信号とを出力する
    複数の受話信号帯域通過フィルタ及び複数の反響信号帯
    域通過フィルタと、上記帯域分割受話信号及び上記帯域
    分割反響信号をそれぞれ予め決めた間引き率で間引いて
    上記複数のサブバンド受話信号及び上記複数のサブバン
    ド反響信号を生成する間引き部とを含み、 上記受話信号周波数帯域分割部の上記受話信号帯域通過
    フィルタの阻止域減衰量は上記反響信号周波数帯域分割
    部の上記反響信号帯域通過フィルタの阻止域減衰量より
    小さく設定されている。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2の周波数帯域分割型反響
    消去装置において、上記受話信号周波数帯域分割部の上
    記受話信号帯域通過フィルタ長は、上記反響信号周波数
    帯域分割部の上記反響信号帯域通過フィルタ長より短く
    設定されている。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2の装置において、それ
    ぞれの周波数帯域の上記推定部に与える上記サブバンド
    受話信号の周波数特性を平坦化する周波数特性平坦化部
    が設けられている。
  5. 【請求項5】 請求項3の装置において、それぞれの周
    波数帯域の上記推定部に与える上記サブバンド受話信号
    の周波数特性を平坦化する周波数特性平坦化部が設けら
    れている。
  6. 【請求項6】 請求項3の装置において、上記受話信号
    帯域通過フィルタの阻止帯域遮断周波数は規格化周波数
    でπと3π/2 の間とされている。
  7. 【請求項7】 請求項3の装置において、各上記受話信
    号帯域通過フィルタのタップ数は上記反響信号帯域通過
    フィルタのタップ数の約1/2とされている。
  8. 【請求項8】 請求項4の装置において、上記周波数特
    性平坦化部は上記帯域通過フィルタの特性の逆特性を有
    するFIR フィルタにより構成されている。
  9. 【請求項9】 請求項4の装置において、上記周波数特
    性平坦化部は上記帯域通過フィルタの特性の逆特性を有
    するIIR フィルタにより構成されている。
  10. 【請求項10】 受話信号を反響路に出力すると共に疑
    似反響路に入力して疑似反響信号を生成し、上記反響路
    を経由して拾われた反響信号から上記疑似反響信号を減
    算することにより反響信号を消去する周波数帯域分割型
    反響消去装置において、 受話信号を複数の周波数帯域のサブバンド受話信号に分
    割する受話信号周波数帯域分割部と、 反響信号を複数の周波数帯域のサブバンド反響信号に分
    割する反響信号周波数帯域分割部と、 複数の周波数帯域のそれぞれに設けられ、対応する周波
    数帯域の上記サブバンド受話信号がそれぞれ与えられ、
    それぞれサブバンド疑似反響信号を出力するディジタル
    フィルタで構成されたサブバンド疑似反響路と、 上記複数のサブバンド疑似反響路の出力したサブバンド
    疑似反響信号を上記複数のサブバンド反響信号から減算
    してそれぞれサブバンド誤差信号を生成するサブバンド
    減算部と、 上記サブバンド誤差信号と上記サブバンド受話信号とか
    ら適応アルゴリズムにより逐次上記サブバンド誤差信号
    を零に近づけるように上記サブバンド疑似反響路の伝達
    関数を推定するサブバンド反響路推定部と、 それぞれの上記サブバンド誤差信号を合成する周波数帯
    域合成部、とを含み、 上記受話信号周波数帯域分割部および上記反響信号周波
    数帯域分割部は、それぞれ上記受話信号及び上記反響信
    号を複数の周波数帯域に分割し、帯域分割受話信号と帯
    域分割反響信号をそれぞれ生成する複数の受話信号帯域
    通過フィルタ及び複数の反響信号帯域通過フィルタと、
    上記帯域分割受話信号及び上記帯域分割反響信号をそれ
    ぞれ予め決めた間引き率で間引いて上記複数のサブバン
    ド受話信号及び上記複数のサブバンド反響信号を生成す
    る間引き部とを含み、 それぞれの周波数帯域の上記推定部に与える上記サブバ
    ンド受話信号の周波数特性を平坦化する周波数特性平坦
    化部が設けられている。
  11. 【請求項11】 受話信号を反響路に出力すると共に疑
    似反響路に入力して疑似反響信号を生成し、上記反響路
    を経由して拾われた反響信号から上記疑似反響信号を減
    算することにより反響信号を消去する周波数帯域分割型
    反響消去装置において、 受話信号を複数の周波数帯域のサブバンド受話信号に分
    割する受話信号周波数帯域分割部と、 反響信号を複数の周波数帯域のサブバンド反響信号に分
    割する反響信号周波数帯域分割部と、 複数の周波数帯域のそれぞれに設けられ、対応する周波
    数帯域の上記サブバンド受話信号がそれぞれ与えられ、
    それぞれサブバンド疑似反響信号を出力するディジタル
    フィルタで構成されたサブバンド疑似反響路と、 上記複数のサブバンド疑似反響路の出力したサブバンド
    疑似反響信号を上記複数のサブバンド反響信号から減算
    してそれぞれサブバンド誤差信号を生成するサブバンド
    減算部と、 上記サブバンド誤差信号と上記サブバンド受話信号とか
    ら適応アルゴリズムにより逐次上記サブバンド誤差信号
    を零に近づけるように上記サブバンド疑似反響路の伝達
    関数を推定するサブバンド反響路推定部と、 それぞれの上記サブバンド誤差信号を合成する周波数帯
    域合成部、とを含み、 上記受話信号周波数帯域分割部および上記反響信号周波
    数帯域分割部は、それぞれ上記受話信号及び上記反響信
    号を一定幅で順次増加する周波数だけ低周波側に周波数
    シフトする複数の受話信号用及び反響信号用乗算器と、
    上記乗算器からの周波数シフトされた信号をそれぞれ帯
    域制限してそれぞれ周波数シフトされた帯域分割受話信
    号と周波数シフトされた帯域分割反響信号とを出力する
    複数の受話信号帯域通過フィルタ及び複数の反響信号帯
    域通過フィルタと、上記帯域分割受話信号及び上記帯域
    分割反響信号をそれぞれ予め決めた間引き率で間引いて
    上記複数のサブバンド受話信号及び上記複数のサブバン
    ド反響信号を生成する間引き部とを含み、 それぞれの周波数帯域の上記推定部に与える上記サブバ
    ンド受話信号の周波数特性を平坦化する周波数特性平坦
    化部が設けられている。
  12. 【請求項12】 請求項10又は11の装置において、
    上記周波数特性平坦化部は上記帯域通過特性の逆特性を
    有するFIR フィルタにより構成されている。
  13. 【請求項13】 請求項10又は11の装置において、
    上記周波数特性平坦化部は上記帯域通過特性の逆特性を
    有するIIR フィルタにより構成されている。
  14. 【請求項14】 請求項10又は11の装置において、
    上記受話信号周波数帯域分割部は右、左チャネル用にそ
    れぞれ設けられ、上記反響信号周波数帯域分割部は右、
    左チャネル用にそれぞれ設けられ、上記平坦化部は右、
    左チャネル用にそれぞれ設けられ、上記サブバンド疑似
    反響路と上記サブバンド減算器と上記サブバンド推定部
    の組は右、左チャネル用にそれぞれ設けられ、上記右、
    左チャネルの平坦化部からの平坦化サブバンド受話信号
    をベクトル結合して上記右、左チャネルのサブバンド推
    定部に与える第1ベクトル結合部と、上記右、左チャネ
    ルの受話信号周波数帯域分割部からの上記右、左チャネ
    ルのサブバンド受話信号をベクトル結合して上記右、左
    チャネルのサブバンド疑似反響路に入力する第2ベクト
    ル結合部を有する。
  15. 【請求項15】 請求項14の装置において、上記右、
    左チャネルの受話信号周波数帯域分割部の帯域通過フィ
    ルタの阻止域の減衰量は上記右、左チャネルの反響信号
    周波数帯域分割部の帯域通過フィルタの阻止域の減衰量
    より小とされている。
  16. 【請求項16】 請求項14の装置において、上記右、
    左チャネルの受話信号周波数帯域分割部の帯域通過フィ
    ルタの長さは上記右、左チャネルの反響信号周波数帯域
    分割部の帯域通過フィルタの長さより小とされている。
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中川 朗,羽田 陽一,牧野 昭二,"サブバンドエコーキャンセラにおけるフィルタ係数更新ベクトルの平坦化の検討",1996年電子情報通信学会基礎・境界ソサイエティ大会講演論文集,1996年 8月30日,p.88,(A−87)

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