JP3397183B2 - 非対称u型鋼矢板の熱間圧延方法 - Google Patents

非対称u型鋼矢板の熱間圧延方法

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JP3397183B2
JP3397183B2 JP27969299A JP27969299A JP3397183B2 JP 3397183 B2 JP3397183 B2 JP 3397183B2 JP 27969299 A JP27969299 A JP 27969299A JP 27969299 A JP27969299 A JP 27969299A JP 3397183 B2 JP3397183 B2 JP 3397183B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は鋼矢板の熱間圧延法
に関し、より詳しくは左右の形状が異なる継手部を有す
る非対称U型鋼矢板の継手部を熱間仕上げ圧延する方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】図4は、対称U型鋼矢板の断面形状を示
す図である。符号41は対称U型鋼矢板を示す。
【0003】図5は、対称U型鋼矢板の仕上げ圧延にお
ける継手部の曲げ成形状況を示す断面図である。符号5
1は孔型ロール、52は被圧延材、53、54は継手部
で、矢印は継手部の曲げ成形方向を示す。
【0004】従来、図4に示すような左右対称の継手部
を有するU型鋼矢板41(以下、対称U型鋼矢板とい
う)の仕上げには、図5に示すように左右対称の孔型を
設けた孔型ロール51を用いて被圧延材52の左右の継
手部53、54を1パスで仕上げる方法や、孔型ロール
による仕上げの代わりに仕上げ圧延機の後段に配したロ
ーラガイドで仕上げ成形する方法が行われている。な
お、鋼矢板圧延においては、最終パスで継手部の屈曲成
形を行うことが一般的であり、上記仕上げ成形は屈曲成
形を意味する。
【0005】通常、上記対称U型鋼矢板は以下に示すよ
うに製造される。すなわち、連続鋳造スラブなどの素材
は加熱炉で所定温度に加熱された後、粗圧延機で複数回
のリバース圧延により厚肉半製品に成形される。次い
で、その厚肉半製品は中間圧延機でリバース圧延により
ウエブ相当部ならびにフランジ相当部の厚みが減じら
れ、延伸加工をされて半製品U型鋼矢板に成形される。
次いで、その半製品U型鋼矢板は仕上げ圧延機による複
数回のリバース圧延もしくは1パス圧延でウェブおよび
フランジの仕上げ成形が行われるとともに、仕上げ孔型
により継手部の屈曲成形が行われて製品に製造される。
なお、対称U型鋼矢板の製造に用いられる孔型の形状は
すべて左右対称である。
【0006】ところで、近年、非回転打設による自動打
設化を目的として、左右の継手部形状が異なるU型鋼矢
板(以下、非対称U型鋼矢板という)が開発された。
【0007】図6は、非対称U型鋼矢板の断面形状を示
す図である。符号61は非対称U型鋼矢板を示す。
【0008】図7は、非対称U型鋼矢板の継手部の曲げ
成形状況を示す断面図で、同図(a)は被圧延材の断面
図、同図(b)は曲げ成形開始の段階、同図(c)は曲
げ成形完了の段階を示す。符号71は孔型ロール、72
は被圧延材、73、74は継手部、75、76は孔型を
示す。
【0009】図7(b)、(c)に示すように、非対称
U型鋼矢板では、通常、被圧延材72の一方の継手部7
3が孔型ロール71に刻設した孔型75で仕上げられ、
次いで、同じ孔型ロール71に刻設された異なる孔型7
6を用いて可逆圧延を行い他方の継手部74を仕上げ
る。
【0010】しかしながら、この場合には、1本のロー
ルに刻設する仕上げ孔型が2個必要となるため、通常の
対称U型鋼矢板の仕上げ圧延の場合に比べて孔型の数が
1個多くなるのでロール胴長に制約がある場合には大き
な問題となる。
【0011】そこで、例えば、仕上げ圧延機の下流にロ
ーラガイドを設け、水平方向に圧下を加え継手部を仕上
げる方法が提案されている。しかし、この方法では継手
部の形状安定性に欠けるという欠点を有する。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、孔型
数が通常の対称U型鋼矢板の場合と同数である孔型ロー
ルを用いて、非対称U型鋼矢板の継手部の造形を可能と
する熱間仕上げ圧延方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するため検討を重ね、以下の知見を得た。(a)通
常の対称U型鋼矢板は、被圧延材の左右の継手部が左右
対称な単独の孔型を用いて1パス圧延で仕上げられる
が、この場合、形状が左右対称であるため継手形状を造
形する孔型による圧延開始点も左右対称となる。従っ
て、被圧延材は孔型により左右方向に均一に拘束されな
がら圧延され、継手部の開度を安定させて曲げ成形する
ことができる。
【0014】(b)図8は、非対称U型鋼矢板の曲げ成
形時の問題点を説明する断面図で、同図(a)は被圧延
材に捻れが発生した状態を示す図、同図(b)は継手部
の曲げ成形が不良の状態を示す図である。符号81は孔
型ロール、82は被圧延材、83はフランジ部、84、
85は継手部で、矢印は継手曲げ形成方向を示す。
【0015】非対称U型鋼矢板の場合には、継手部の形
状を造形する孔型による圧延開始点および圧下力の方向
が左右で異なるため拘束力が左右不均一となり、噛み込
み時に、図8(a)に示すような捻れや左右のずれが生
じる。左右のずれが生じると継手部の曲げ成形が十分に
行われず継手部の開度が基準より大きくなり、また、捻
れが生じると継手部先端が仕上げ孔型からはみ出した
り、継手部と孔型との接触角度が曲げ成形可能な範囲か
ら外れたりするため、図8(b)に示すように、継手部
が本来の曲げ方向とは反対方向に曲がる形状不良が生じ
る。
【0016】(c)非対称U型鋼矢板の場合でも、継手
部を除く部分の形状は左右対称であるので、仕上げ圧延
を行うに際し、被圧延材のフランジ部の傾斜角度を孔型
のフランジ部の傾斜角度とほぼ同じにし、被圧延材のフ
ランジ部全面をほぼ同時に圧下すれば、被圧延材が孔型
噛み込み時に左右にずれたり捻れたりするのを防止する
ことができる。
【0017】(d)しかしながら、上記の状態で継手部
の曲げ成形を実施する場合でも、孔型による圧延開始は
継手部が最も早く、かつ、対称U型鋼矢板に比べてフラ
ンジ下部から継手部先端まで(この部分を腕部という)
の距離が長いため、曲げ成形時に腕部曲がりが生じやす
い。
【0018】図9は、腕部曲がりが生じた状態を示す断
面図である。符号91は孔型ロール、92は被圧延材、
93はフランジ部、94、95は継手部を示す。
【0019】図9に示すような腕部曲がりが発生する
と、仮に継手部先端から孔型に接触した状態で継手部の
曲げ成形を行うと、捻れが生じたときと同様、継手部と
孔型との接触角度が曲げ成形可能な範囲から外れ、継手
部が本来の曲げ方向とは反対方向に曲がる形状不良が生
じる。
【0020】(e)被圧延材の全幅を仕上げ孔型幅より
小さくするとともに、継手部先端外側面の傾斜角度を仕
上げ孔型の継手曲げ形成部の傾斜角度より大きくし、継
手部先端基部から孔型の継手曲げ形成部に接触させなが
ら曲げ成形することにより、単独孔型でかつ1パスで形
状の異なる左右の継手部を同時に安定に曲げ成形するこ
とができる。
【0021】本発明は、上記知見に基づいて完成された
もので、その要旨は以下の通りである。
【0022】(1)ロールに設けた単独の仕上げ孔型を
用いて形状の異なる左右の継手部を1パスで仕上げ圧延
する方法であって、被圧延材として、全幅(Wm)と継
手外側面角度(θm)が下記の条件を満足する被圧延材
を用いて仕上げ圧延することを特徴とする非対称U型鋼
矢板の熱間圧延方法。
【0023】0.95≦Wm/Wg≦1.000 θg≦θm 但し、Wg:仕上げ孔型幅、 θg:仕上げ孔型の継手曲げ形成部角度。
【0024】(2)ロールに設けた単独の仕上げ孔型を
用いて形状の異なる左右の継手部を1パスで仕上げ圧延
する方法であって、被圧延材として、フランジ部角度
(αm)が下記の条件を満足する被圧延材を用いて仕上
げ圧延することを特徴とする非対称U型鋼矢板の熱間圧
延方法。 0.95≦αm/αg≦1.10 但し、αg:仕上げ孔型のフランジ形成部角度。
【0025】(3)ロールに設けた単独の仕上げ孔型を
用いて形状の異なる左右の継手部を1パスで仕上げ圧延
する方法であって、被圧延材として、全幅(Wm)と継
手外側面角度(θm)ならびにフランジ部角度(αm)
が下記の条件を満足する被圧延材を用いて仕上げ圧延す
ることを特徴とする非対称U型鋼矢板の熱間圧延方法。
【0026】0.95≦Wm/Wg≦1.000 θg≦θm 0.95≦αm/αg≦1.10 但し、Wg:仕上げ孔型幅、 θg:仕上げ孔型の継手曲げ形成部角度、 αg:孔型のフランジ形成部角度。
【0027】
【発明の実施の形態】図1は本発明を実施する圧延装置
列の一例を示す概要図である。符号1は加熱炉、2は粗
圧延機、3は中間圧延機、4は仕上げ圧延機を示す。な
お、図1における装置列の下の矢印は、被圧延材が黒丸
で示した孔型を通るパス流れを示している。
【0028】図1に示すように、加熱炉1で所定温度に
加熱された素材は、粗圧延機2の水平ロールに設けた孔
型による複数回のリバース圧延により厚肉半製品に成形
される。次いで、その厚肉半製品は中間圧延機3の水平
ロールに設けた孔型によるリバース圧延でウエブ相当部
ならびにフランジ相当部の厚みが減じられ延伸加工をさ
れて半製品U型鋼矢板に成形される。次ぎに、半製品U
型鋼矢板は仕上げ圧延機4の水平ロールに設けた孔型に
よる複数回のリバース圧延もしくは1パス圧延でウェブ
およびフランジの仕上げ成形が行われた後、前記水平ロ
ールに設けられた仕上げ孔型による1パス圧延で継手部
の屈曲成形が行われて製品に製造される。本発明の方法
は、上記仕上げ圧延機における継手部の屈曲成形に適用
される。
【0029】図2は本発明の方法による圧延状況を示す
孔型部分の断面図であり、同図(a)は継手部の曲げ成
形開始の状況、同図(b)はフランジ部の拘束状況、同
図(c)は継手部の曲げ成形完了の状況である。符号2
1は孔型ロール、22は被圧延材、23はフランジ部、
24、25は継手部、24−1、25−1は継手先端
部、24−2、25−2は継手先端基部、24−3、2
5−3は外側面、26、27は継手形成部、28はウエ
ブ、29はフランジ形成部を示す。
【0030】本発明による仕上げ圧延においては、図2
(a)に示すように、先ず被圧延材22の継手部24、
25が仕上げ孔型の継手形成部26、27に接触して継
手部24、25の曲げ成形が開始され、次いで、図2
(b)に示すように、孔型による被圧延材のフランジ部
23とウエブ部28の拘束が開始され、次いで、図2
(c)に示すように、ウエブ部28ならびにフランジ部
23の形状修正とともに継手部24、25の曲げ成形が
行われて非対称U型鋼矢板が製造される。なお、前記形
状修正とともに、ウエブ厚やフランジ厚の圧下を行って
もよい。
【0031】図3は、本発明に係る被圧延材と仕上げ孔
型の形状を示す断面図である。符号31は孔型ロール、
32は被圧延材、33、36は継手部、33−3、36
−3は外側面、34、37は継手形成部、35はフラン
ジ部、38はフランジ形成部、39は腕部、Wmは被圧
延材の全幅、Wgは仕上げ孔型幅、θmは継手外側面角
度、θgは仕上げ孔型の継手形成部角度、θeは継手先
端角度、αmはフランジ部角度、αgは仕上げ孔型のフ
ランジ形成部角度を示す。なお、θmは腕部39、39
の底面に直角な面と外側面33−3、36−3との成す
角を、Wmは左右の継手先端基部33−2、36−2の
間の距離を、αmは左右のフランジ部35、35の成す
角の半角を、Wgは左右の外側面33−3、36−3に
おける最外側部間の距離を、αgは左右のフランジ形成
部38、38の成す角の半角を、また、θgは孔型ロー
ルのロール軸に直角な面と継手形成部34、37との成
す角を指す。
【0032】上記仕上げ圧延において、本発明は、図3
において、全幅Wmと継手外側面角度θm(°)が下記
の条件を満足する被圧延材を用いることを特徴とする。
【0033】0.95≦Wm/Wg≦1.000 θg≦θm この方法により、図2(a)に示すように、継手先端基
部24−2、25−2から外側面24−3、25−3の
接触が開始されるため、左右のずれ、捩れあるいは腕部
の曲がりなどの変形が生じた場合でも本来の曲げ方向と
は反対方向に圧下力が作用することはなく、同じ孔型で
かつ1パスで形状の異なる左右の継手部を安定して曲げ
成形することが可能となる。
【0034】θmがθg未満では、孔型との接触は継手
先端から開始されるので、左右のずれや捩れあるいは腕
部曲がりがなどが原因で、継手部が外側に倒れて形状不
良となる。θmの上限は特に限定しないが、継手部内面
の形状確保の観点から、継手先端角度(θe)未満とす
るのがよい。θmがθe以上の場合には、仕上げ圧延よ
り1つ前の造形圧延において、継手部内面の圧下が不可
となり所定の継手形状を得ることが難しい。好ましく
は、θmは(θg+5°)以上、(θg+30°)以下
である。
【0035】WmがWgより大きいと、継手部が外側に
倒れて形状不良となる。また、Wmが0.95Wg未満
では、所定の継手形状が得られない。好ましくは、Wm
/Wgが0.99以上、0.998以下である。
【0036】また、上記仕上げ圧延において、本発明の
方法は、図3に示すフランジ部角度(αm)が下記の条
件を満足する被圧延材を用いることを特徴とする。
【0037】0.95≦αm/αg≦1.10 この方法により、図2(b)に示すように、フランジ部
23全面をほぼ同時にフランジ形成部29で拘束するこ
とが可能となるため、被圧延材の左右のずれならびに捻
れを抑制することができる。
【0038】αm/αgが1.10より大きい場合に
は、被圧延材のフランジ上部が孔型で拘束されるが、継
手部の曲げ成形に伴い発生する回転力により被圧延材の
ずれや捻れが生じる。一方、αm/αgが0.95より
小さいと、フランジ下部が孔型に拘束されるので、左右
ズレは抑制されるが捩れが発生する。従って、αm/α
gは0.95以上1.10以下とする。好ましくは、α
m/αgは0.98以上、1.08以下である。
【0039】
【実施例】図1に示す粗圧延機、中間圧延機および仕上
げ圧延機からなる構成の圧延装置列を用いて対称U型鋼
矢板および非対称U型鋼矢板を製造した。
【0040】対称U型鋼矢板(サイズ:600mm×2
00mm、ウェブ厚さ:12mm)の製造:圧延素材で
ある厚さ250mm×幅700mmの連続鋳造ブルーム
を加熱炉で1250℃に加熱した後、2重式の粗圧延機
でK−10からK−7の4個の孔型を用いて9パスのリ
バース圧延によりウェブ厚さ38mmの厚肉半製品に粗
圧延した。
【0041】次いで、K−6からK−4の3個の孔型を
用いて中間圧延機で3パスのリバース圧延を行い、ウェ
ブ厚さ20mmまで減肉および延伸し、更に、K3から
K−1の3個の孔型を用いて仕上げ圧延機により3パス
のリバース圧延で目的の製品形状に仕上げた。この場合
のパススケジュールを表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】製品は対称U型鋼矢板として満足できる形
状のものが得られた。 非対称U型鋼矢板(サイズ:600mm×200mm、
ウェブ厚さ:12mm)の製造:上記の対称U型鋼矢板
の場合と同様、表2に示すパススケジュールで熱間圧延
成形した。
【0044】
【表2】
【0045】すなわち、圧延素材である厚さ250mm
×幅700mmの連続鋳造ブルームを加熱炉で1250
℃に加熱した後、2重式の粗圧延機で表2に示すK−2
0からK−17の4個の孔型を用いて9パスのリバース
圧延によりウェブ厚さ38mmの厚肉半製品に粗圧延し
た。
【0046】次いで、K−16からK−14の3個の孔
型を用いて中間圧延機で3パスのリバース圧延を行い、
ウェブ厚さ20mmまで減肉および延伸し、更に、K−
13からK−11の3個の孔型を用いて仕上げ圧延機に
より3パスのリバース圧延で目的の製品形状に仕上げ
た。
【0047】ここで、最終孔型であるK−11が仕上げ
孔型に該当し、この孔型を用い、図2(a)、(b)、
(c)に示すように、左右の継手部をそれぞれ逆方向に
1パスで曲げ成形した。上記仕上げ孔型による最終パス
であるパスNo.15の仕上げ圧延に際しては、被圧延
材の幅、継手外側面角度、ならびにフランジ角度を種々
変更した。なお、被圧延材の幅、継手外側面角度、なら
びにフランジ角度の変更は、仕上げ孔型の1つ前の孔型
(K−12)形状について孔型幅、継手形成部角度なら
びにフランジ部形成角度を変更して行った。また、比較
例として、継手外側面角度やフランジ角度が本発明で規
定する範囲外の条件による圧延も実施した。
【0048】上記圧延により得られた製品について、継
手部の倒れ発生の有無ならびに図6に示す継手部開度G
の長手方向のばらつきを調査した。継手部開度Gの目標
値12mmに対し、ばらつきが±0.5mm以内の場合
を◎印で、ばらつきが±1.0mm以内の場合を○印で
表し、また、倒れが発生し、ばらつきが±1.0mmを
超えた場合を×印で表し、表3に示す。なお、このサイ
ズのばらつきの許容範囲は±1.0mm以内であり、◎
と○を合格とした。
【0049】
【表3】
【0050】表3に示すように、本発明で規定する全幅
と継手外側面角度を満足する被圧延材を用いた試験N
o.5〜8の本発明例ならびに本発明で規定するフラン
ジ部角度を満足する試験No.9〜16の本発明例は、
圧延方向の全長に渡り継手部の形状が良好で非対称U型
鋼矢板として満足できるものであった。特に、全幅、継
手外側面角度に加えて更にフランジ部角度をも満足する
試験No.1〜4の本発明例は、継手部の寸法精度が高
く極めて良好であった。
【0051】本発明で規定する構成範囲外の試験No.
17〜28の比較例は、いずれも圧延方向の複数箇所に
おいて継手部が本来の方向と反対側に曲げられており、
全長に渡って安定した継手曲げ成形ができなかった。
【0052】以上のように、本発明によれば、孔型数が
通常の対称U型鋼矢板の場合と同数の孔型ロールを用い
て、非対称形状の左右の継手部を安定して造形すること
ができた。
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、通常の対称U型鋼矢板
と同様の孔型配列のままで非対称U型鋼矢板を安定成形
できるので、産業上の効果は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する圧延装置列の一例を示す概要
図である。
【図2】本発明の方法による圧延状況を示す孔型部分の
断面図であり、同図(a)は継手部の曲げ成形開始の状
況、同図(b)はフランジ部の拘束状況、同図(c)は
継手部の曲げ成形完了の状況である。
【図3】本発明に係る被圧延材と孔型の形状を示す断面
図である。
【図4】対称U型鋼矢板の断面形状を示す図である。
【図5】対称U型鋼矢板の仕上げ圧延における継手部の
曲げ成形状況を示す断面図である。
【図6】非対称U型鋼矢板の断面形状を示す図である。
【図7】非対称U型鋼矢板の継手部の曲げ成形状況を示
す断面図で、同図(a)は被圧延材の断面図、同図
(b)は曲げ成形開始の段階、同図(c)は曲げ成形完
了の段階を示す。
【図8】非対称U型鋼矢板の曲げ成形時の問題点を説明
する断面図で、同図(a)は被圧延材に捻れが発生した
状態を示す図、同図(b)は継手部の曲げ成形が不良の
状態を示す図である。
【図9】腕部曲がりが生じた状態を示す断面図である。
【符号の説明】
41:対称U型鋼矢板、 21、31、51、71、81、91:孔型ロール、 22、32、52、72、82、92、:被圧延材、 24、25、33、36、53、54:継手部、 73、74、84、85、94、95:継手部、 61:非対称U型鋼矢板、75、76:孔型、 83、93、23、35:フランジ部、 1:加熱炉、2:粗圧延機、3:中間圧延機、 4:仕上げ圧延機、 24−1、25−1:継手先端部、 24−2、25−2:継手先端基部、 24−3、25−3:外側面、 26、27、34、37:継手形成部、 28:ウエブ、29、38:フランジ形成部、 33−3、36−3:外側面、39:腕部、 Wm:被圧延材の全幅、Wg:仕上げ孔型幅、 θm:継手外側面角度、 θg:仕上げ孔型の継手形成部角度、 θe:継手先端角度
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21B 1/00 - 1/46 B21B 27/02

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ロールに設けた単独の仕上げ孔型を用い
    て形状の異なる左右の継手部を1パスで仕上げ圧延する
    方法であって、被圧延材として、全幅(Wm)と継手外
    側面角度(θm)が下記の条件を満足する被圧延材を用
    いて仕上げ圧延することを特徴とする非対称U型鋼矢板
    の熱間圧延方法。 0.95≦Wm/Wg≦1.000 θg≦θm 但し、Wg:仕上げ孔型幅、 θg:仕上げ孔型の継手曲げ形成部角度。
  2. 【請求項2】 ロールに設けた単独の仕上げ孔型を用い
    て形状の異なる左右の継手部を1パスで仕上げ圧延する
    方法であって、被圧延材として、フランジ部角度(α
    m)が下記の条件を満足する被圧延材を用いて仕上げ圧
    延することを特徴とする非対称U型鋼矢板の熱間圧延方
    法。 0.95≦αm/αg≦1.10 但し、αg:仕上げ孔型のフランジ形成部角度。
  3. 【請求項3】 ロールに設けた単独の仕上げ孔型を用い
    て形状の異なる左右の継手部を1パスで仕上げ圧延する
    方法であって、被圧延材として、全幅(Wm)と継手外
    側面角度(θm)ならびにフランジ部角度(αm)が下
    記の条件を満足する被圧延材を用いて仕上げ圧延するこ
    とを特徴とする非対称U型鋼矢板の熱間圧延方法。 0.95≦Wm/Wg≦1.000 θg≦θm 0.95≦αm/αg≦1.10 但し、Wg:仕上げ孔型幅、 θg:仕上げ孔型の継手曲げ形成部角度、 αg:仕上げ孔型のフランジ形成部角度。
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