JP3396606B2 - 印刷装置 - Google Patents

印刷装置

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JP3396606B2
JP3396606B2 JP27944297A JP27944297A JP3396606B2 JP 3396606 B2 JP3396606 B2 JP 3396606B2 JP 27944297 A JP27944297 A JP 27944297A JP 27944297 A JP27944297 A JP 27944297A JP 3396606 B2 JP3396606 B2 JP 3396606B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、印刷装置の版胴
に保持された印刷版における複数の画像領域に選択的に
インキを供給するためのインキ供給装置を備えた印刷装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】その外周部に複数の印刷版を装着した版
胴と、この版胴に保持された複数の印刷版における画像
領域に対し各々異なる色のインキを供給するための複数
のインキ供給装置とを備え、単一の版胴や圧胴を利用し
て複数色のインキで印刷を行う印刷装置は公知である。
【0003】例えば、特開平3−143634号公報に
は、その外周部に2枚の印刷版を装着した版胴と、この
版胴上の各印刷版に各々異なる色のインキを供給するた
めの2個のインキ供給装置と、版胴上の各印刷版に湿し
水を供給するための単一の湿し水供給装置と、版胴の二
分の一の直径を有する圧胴とを有し、圧胴が2回転する
毎に印刷用紙を供給することにより、印刷用紙に2色の
インキで印刷を行う印刷装置が記載されている。そし
て、この印刷装置におけるインキ供給装置は、印刷版に
インキを塗布するためのインキ着けローラをカム機構に
より版胴の回転に同期して昇降させることにより、対応
する印刷版にのみインキ着けローラを当接させるように
している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような印刷装置に
使用するインキ供給装置において、単一のインキ着けロ
ーラを印刷版の表面に当接させてインキを供給した場合
においては、印刷版に供給されるインキ量が不足し、ま
た、インキの塗布ムラが発生しやすいという問題があ
る。このため、インキ着けローラを版胴の周方向に複数
個並列して配設することが好ましい。
【0005】このとき、これらのインキ着けローラを一
括して昇降させた場合においては、各インキ着けローラ
の印刷版に対する当接位置が各々異なることから、印刷
版における画像領域の位置によってインキの供給量が異
なるという問題が生ずる。また、インキ着けローラによ
る印刷版へのインキの供給動作は、印刷動作と並行して
実行されることから、複数のインキ着けローラを一括し
て昇降させた場合においては、インキ着けローラの昇降
による振動が版胴に伝わり、印刷精度を劣化させるとい
う問題も生ずる。
【0006】この発明は上記課題を解決するためになさ
れたものであり、インキを印刷版における画像領域全体
に均一に供給することができ、また、印刷精度を劣化さ
せることのない印刷装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、版胴に保持された印刷版における複数の画像領域に
選択的にインキを供給するための複数のインキ供給装置
を備えた印刷装置において、前記複数のインキ供給装置
は、それぞれ、前記版胴の側面に前記画像領域に対応し
て配設され、前記版胴と同期して回転するカムと、前記
印刷版の表面に当接することにより前記画像領域にイン
キを供給するための、前記版胴の周方向に並列して配設
された複数のインキローラと、前記複数のインキローラ
を個別に軸支する複数のインキローラ支持アームと、前
記版胴の回転に伴って前記カムと当接するカムフォロワ
ーを有し、前記複数のインキローラ支持アームを、前記
インキローラが前記複数の画像領域のうちの対応する画
像領域とのみ当接するように前記印刷版の表面に当接す
るインキ供給位置と印刷版の表面から離隔する退避位置
との間で順次個別に揺動させるインキローラ支持アーム
揺動機構とを備えたことを特徴とする。
【0008】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において、前記カムフォロワーを前記カムとの当
接位置から退避させることにより、前記版胴の回転時に
おける前記カムフォロワーと前記カムとの当接を防止し
て、前記インキローラ支持アームを前記インキ供給位置
に固定するカムフォロワー移動手段と、前記複数のイン
キローラを前記版胴から離隔する方向に移動させること
により、前記版胴の回転に伴う前記カムの回転にかかわ
らず、前記インキローラと前記印刷版との当接を防止す
るインキローラ移動手段とを備え、単色印刷を実行する
ときに、全ての画像領域に対して前記複数のインキ供給
装置のうちのいずれかのインキ供給装置により同一の色
のインキを供給する。
【0009】請求項3に記載の発明は、請求項1または
2に記載のにおいて、前記複数の画像領域に対しそれぞ
れ個別に湿し水を供給する複数の湿し水供給装置を備
え、前記湿し水供給装置はそれぞれ、前記印刷版の表面
に当接することにより前記画像領域に湿し水を供給する
ための水着けローラと、前記水着ローラを軸支する水着
けローラ支持アームと、前記版胴の回転に伴って前記カ
ムと当接するカムフォロワーを有し、前記水着けローラ
支持アームを、前記水着けローラが前記印刷版の表面に
当接する湿し水供給位置と印刷板の表面から離隔する退
避位置との間で揺動させる水着けローラ支持アーム揺動
機構と、を備えている
【0010】請求項に記載の発明は、請求項1乃至請
求項いずれかに記載の発明において、前記版胴は、複
数の画像領域を有する単一の印刷版をその外周部に保持
している。
【0011】請求項に記載の発明は、請求項1乃至請
求項いずれかに記載の発明において、前記版胴は、各
々単一の画像領域を有する複数の印刷版をその外周部に
保持している。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
面に基づいて説明する。図1はこの発明に係る印刷装置
の側面概要図である。
【0013】この印刷装置は、第1、第2の版胴11、
12に保持された画像が記録されていない印刷版に画像
を記録して製版した後、この印刷版に供給されたインキ
を第1、第2のブランケット胴13、14を介して圧胴
15に保持された印刷用紙に転写することにより印刷を
行うものである。
【0014】なお、後述するように、この印刷装置によ
れば、印刷版の製版行程で使用される画像記録装置や現
像処理装置等と印刷工程で使用されるインキ供給装置や
湿し水供給装置等とを、互いに干渉することがない別々
の位置に配置することができ、配置関係の自由度を向上
することができる。また、単一の画像記録装置を利用し
て第1、第2の版胴11、12に保持された印刷版に画
像を記録することができるので、装置を簡略化すること
ができ、装置全体の価格を低くすることができる。
【0015】この印刷装置は、図1において実線で示す
第1の印刷位置と二点鎖線で示す画像記録位置との間を
移動可能な第1の版胴11と、図1において実線で示す
第2の印刷位置と上記画像記録位置との間を移動可能な
第2の版胴12とを有する。
【0016】第1の印刷位置に移動した第1の版胴11
の周囲には、後程詳細に説明するように、印刷版に例え
ばブラック(K)のインキを供給するためのインキ供給
装置20aと、印刷版に例えばマゼンタ(M)のインキ
を供給するためのインキ供給装置20bと、印刷版に湿
し水を供給するための湿し水供給装置21a、21bと
が配置されている。また、第2の印刷位置に移動した第
2の版胴12の周囲には、印刷版に例えばシアン(C)
のインキを供給するためのインキ供給装置20cと、印
刷版に例えばイエロー(Y)のインキを供給するための
インキ供給装置20dと、印刷版に湿し水を供給するた
めの湿し水供給装置21c、21dとが配置されてい
る。さらに、画像記録位置に移動した第1の版胴11ま
たは第2の版胴12の周囲には、給版部23と、排版部
24と、画像記録装置25と、現像処理装置26とが配
置されている。
【0017】また、この印刷装置は、第1の版胴11と
当接可能に設けられた第1のブランケット胴13と、第
2の版胴12と当接可能に設けられた第2のブランケッ
ト胴14と、第1、第2のブランケット胴13、14に
対して互いに異なる位置で当接可能に設けられた圧胴1
5と、給紙部27から供給された印刷用紙を圧胴15に
渡すための給紙胴16と、圧胴15から受け取った印刷
済の印刷用紙を排紙部28に排出するためのチェーン1
9を巻回した排紙胴17と、ブランケット洗浄装置29
とを有する。
【0018】上記第1、第2の版胴11、12は、それ
ぞれ後述する第1、第2の版胴移動機構31、32と連
結されており、この第1、第2の版胴移動機構31、3
2の駆動により、上述した第1または第2の印刷位置と
画像記録位置との間を往復移動する。
【0019】また、後述するように、第1、第2の版胴
11の側方には、各々、第1、第2の版胴11と同芯状
に配置された歯車51が付設されており、第1、第2の
ブランケット胴13、14の側方には、各々、第1、第
2のブランケット胴13、14と同芯状に配置された歯
車52が付設されている。そして、第1の版胴11が第
1の印刷位置に移動した場合においては、第1の版胴1
1に付設された歯車51と第1のブランケット胴13に
付設された歯車52とが互いに噛合するよう構成されて
いる。同様に、第2の版胴12が第2の印刷位置に移動
した場合においては、第2の版胴12に付設された歯車
51と第2のブランケット胴14に付設された歯車52
とが互いに噛合するよう構成されている。
【0020】このため、第1の版胴11は、第1の印刷
位置において、第1のブランケット胴13と同期して回
転する。同様に、第2の版胴12は、第2の印刷位置に
おいて、第2のブランケット胴14と同期して回転す
る。
【0021】さらに、画像記録位置近傍には、後述する
トラクション方式の版胴回転機構30が配設されてお
り、第1、第2の版胴11、12は、いずれも、画像記
録位置に移動した状態において、この版胴回転機構30
の駆動により回転する。
【0022】図2は上述した第1、第2の版胴移動機構
31、32の正面図であり、図3は第1の版胴移動機構
31における軸受部33付近を示す側断面図である。な
お、第1、第2の版胴移動機構31、32は、互いに対
称形をなす同様の構成を有することから、第1、第2の
版胴移動機構31、32において共通する部材について
は同一の符号を付している。
【0023】第1、第2の版胴移動機構31、32は、
第1、第2の版胴11、12の支軸36を軸支する一対
の軸受34を含む軸受部33を移動させるために、側板
37に穿設された溝孔38を有する(なお、図2におい
ては溝孔38のみを示し、側板37の図示はこれを省略
している)。この軸受部33は、ガイド部材39に沿っ
て移動可能なスライドホルダ41と連結されている。ま
た、このスライドホルダ41には、ナット42が配設さ
れている。このナット42は、モータ35の駆動軸に連
結されたボールネジ44と螺合している。
【0024】このため、第1の版胴11は、モータ35
の駆動により、スライドホルダ41とともに移動可能と
なっている。そして、第1の版胴11はガイド部材39
およびボールネジ44に沿って、図1において実線で、
また、図2において二点鎖線で示す第1の印刷位置と、
図1において二点鎖線で、また、図2において実線で示
す画像記録位置との間を移動する。同様に、第2の版胴
12は、モータ35の駆動により、スライドホルダ41
とともに移動可能となっている。そして、第2の版胴1
2は、ガイド部材39およびボールネジ44に沿って、
図1および図2において実線で示す第2の印刷位置と、
図1において二点鎖線で、また、図2において実線で示
す画像記録位置との間を移動する。
【0025】なお、側板37における上記第1、第2の
印刷位置付近には、軸受部33を固定するための固定部
材43が配設されている。第1の版胴11はこの固定部
材43により第1の印刷位置で位置決め、固定され、第
2の版胴12はこの固定部材43により第2の印刷位置
で位置決め、固定される。
【0026】第1、第2の版胴11、12には、各々、
第1、第2の版胴移動機構31、32による第1、第2
の版胴11、12の移動時に、この第1、第2の版胴1
1、12の回転を防止するための後述する回転防止機構
が配設されている。
【0027】この回転防止機構を利用して第1、第2の
版胴11、12の回転を防止するのは、以下の理由によ
る。すなわち、第1、第2の版胴11、12と第1、第
2のブランケット胴13、14やその他の部材との回転
位置関係にずれが生じた場合には、印刷の位置ずれや部
品間の衝突という問題が発生するため、この位置関係は
常に一定である必要がある。この時、画像記録位置にお
いて、第1、第2の版胴11、12に保持された印刷版
に対し後述する画像記録装置25により画像の記録を行
う際には、第1、第2の版胴11、12の回転角度位置
は後述するフォトカプラ87やロータリエンコーダ等に
より監視されている。しかしながら、画像記録位置から
第1、第2の印刷位置までの移動時に、第1、第2の版
胴11、12が回転してしまい、第1、第2の版胴1
1、12と第1、第2のブランケット胴13、14等と
の回転位置関係にずれが生じてしまう場合がある。この
ため、回転防止機構を利用して、第1、第2の版胴1
1、12の移動時における第1、第2の版胴11、12
の回転を防止しているのである。
【0028】この回転防止機構は、第1、第2の版胴1
1、12の支軸36に連結され、その外周の一部に切欠
部を有する円盤状の回転板46と、この回転板46の切
欠部と係合することにより回転板46の回転を規制する
回転防止部材47と、第1、第2の印刷位置において回
転板46の切欠部に対する回転防止部材47の係合を解
除するため第1、第2の印刷位置付近に各々配設された
解除部材48と、画像記録位置において回転板46の切
欠部に対する回転防止部材47の係合を解除するため画
像記録位置付近に配設された解除部材49とを備える。
【0029】図4は、第1の版胴11に配設された回転
防止部材47と第1の印刷位置に配設された解除部材4
8との関係を示す概要図である。この回転防止部材47
は、軸受部33に配設された軸53を中心に揺動可能な
レバー54と、レバー54の表面側に立設された係合ピ
ン55と、レバー54に対して係合ピン55の裏面側に
立設された案内ピン56と、軸53に対して案内ピン5
6の反対側に配設された押圧ピン57と、レバー54を
揺動させて係合ピン55を回転板46方向に付勢するた
めのバネ58とを備える。一方、前記解除部材48は、
案内ピン56を案内するための傾斜面59を有するカム
部材から構成される。
【0030】なお、第2の版胴12にも上記同様の回転
防止部材47が配設されており、第2の印刷位置にも上
記同様の解除部材48が配設されている。
【0031】一方、図7は、第1の版胴11が画像記録
位置に移動した状態における回転防止部材47と画像記
録位置に配設された解除部材49との関係を示す概要図
である。この解除部材49は、画像記録位置に移動した
第1の版胴11における回転防止部材47の押圧ピン5
7を下方に押圧するための、エアシリンダ61により往
復移動する押圧板62を備える。
【0032】なお、第2の版胴12が画像記録位置に移
動した場合においては、第2の版胴12に配設された回
転防止部材47の押圧ピン57が解除部材49における
押圧板62により押圧される。
【0033】図8は、上述した版胴回転機構30付近の
正面図であり、図9はその要部を示す側断面図である。
この版胴回転機構30は、画像記録位置において第1、
第2の版胴11、12を回転させるためのものであり、
第1、第2の版胴11、12に対して上述した回転防止
機構とは逆側に配設されている。なお、図9において
は、伝動ロータ78およびその移動機構等は図示を省略
している。
【0034】この版胴回転機構30は、モータ75の駆
動により回転する駆動ローラ76と、第1の版胴11ま
たは第2の版胴12の支軸36に連結されることにより
第1の版胴11または第2の版胴12と同芯状に配設さ
れた第1、第2の従動ローラ77と、駆動ローラ76か
ら第1の版胴11または第2の版胴12と同芯状に配設
された第1、第2の従動ローラ77のうちのいずれかの
従動ローラ77(以下、単に「従動ローラ77」とい
う)に駆動を伝達するための伝動ローラ78とを有す
る。
【0035】駆動ローラ76の下端部は、オイルパン7
9に貯留されたオイル中に浸漬されている。また、従動
ローラ77は、上述したように、第1の版胴11または
第2の版胴12の支軸36を介して第1の版胴11また
は第2の版胴12と同芯状に配設されており、第1の版
胴11または第2の版胴12と同期して回転する。さら
に、伝動ローラ78は、支持部材91にその基端部を軸
92を介して揺動可能に連結されたエアシリンダ80の
シリンダロッド先端部に回転可能に支持されており、エ
アシリンダ80の駆動により、前記駆動ローラ76およ
び従動ローラ77の両者に圧接する駆動伝達位置と駆動
ローラ76および従動ローラ77の表面から離隔する退
避位置との間を移動可能となっている。
【0036】このため、伝動ローラ78を駆動伝達位置
に移動させて状態でモータ75の駆動により駆動ローラ
76を一定の速度で回転させることにより、この駆動ロ
ーラ76の回転が伝動ローラ78を介して従動ローラ7
7に伝達され、第1の版胴11が一定速度で回転する。
このとき、モータ75による駆動力は、駆動ローラ76
と従動ローラ77と伝動ローラ78との間の摩擦力を利
用したトラクション方式の駆動伝達機構により第1の版
胴11または第2の版胴12に伝達されることから、第
1の版胴11または第2の版胴12を、回転ムラを生ず
ることなく正確に回転させることが可能となる。
【0037】このとき、特に、上述した実施の形態にお
いては、伝動ローラ78が、駆動ローラ76および従動
ローラ77の両者に圧接する駆動伝達位置と退避位置の
間を移動可能となっていることから、第1、第2の版胴
11、12が画像記録位置に移動した後、伝動ローラ7
8を駆動ローラ76および従動ローラ77の両者に圧接
させることにより、伝動ローラ78、駆動ローラ76お
よび従動ローラ77間に滑りを生ずることなく、第1、
第2の版胴11、12を正確に回転させることが可能と
なる。
【0038】従って、この実施の形態に係る印刷装置の
ように、第1、第2の版胴11、12の画像記録位置と
第1、第2の印刷位置との間の移動に伴って、従動ロー
ラ77が互いに異なる方向に移動する構成を有する場合
であっても、第1、第2の版胴11、12が画像記録位
置に移動した後、伝動ローラ78を駆動ローラ76およ
び従動ローラ77の両者に圧接する駆動伝達位置に移動
させることにより、伝動ローラ78を駆動ローラ76の
みならず画像記録位置に移動した各従動ローラ77に確
実に圧接させることができ、伝動ローラ78、駆動ロー
ラ76および従動ローラ77間に滑りを生ずることな
く、第1、第2の版胴11、12を正確に回転させるこ
とが可能となる。
【0039】なお、従動ローラ77には、第1、第2の
版胴11、12を所定の角度位置において位置決め、固
定するためのVブロックからなる4個の位置決め部材8
1a、81b、81c、81dが配設されている。この
位置決め部材81a、81b、81c、81dは、エア
シリンダ82の駆動により軸83を中心に揺動するレバ
ー84の先端に配設された係止ピン85と係合すること
により、従動ローラ77を介して第1、第2の版胴1
1、12を所定の回転角度位置において位置決め、固定
するために使用される。
【0040】また、従動ローラ77には、この従動ロー
ラ77の回転角度位置を検出するために使用される検出
板86が立設されており、また、側板37にはこの検出
板86を検出するためのフォトカプラ87が配設されて
いる。そして、従動ローラ77の回転角度位置、すなわ
ち、第1、第2の版胴11、12の回転角度位置は、フ
ォトカプラ87による検出板86の検出信号と、第1、
第2の版胴11、12の支軸36に連結され第1、第2
の版胴11、12の回転に伴ってパルス信号を発生する
図示しないロータリエンコーダとにより監視されてい
る。
【0041】さらに、第1、第2の版胴11、12の支
軸36には、遮光板88が付設されている。
【0042】次に、上述した回転防止機構による第1、
第2の版胴11、12に対する回転防止動作、および、
上述したトラクション方式の版胴回転機構30による第
1、第2の版胴11、12の回転駆動動作について説明
する。なお、以下の説明においては、第1の版胴11に
対する回転防止動作および回転駆動動作について説明す
るが、第2の版胴12に対する回転防止動作および回転
駆動動作も同様の行程により実行される。
【0043】図4に示すように、第1の版胴11が第1
の印刷位置に位置する状態においては、第1の版胴11
と同芯状に配設された歯車51と第1のブランケット胴
13と同芯状に配設された歯車52とは互いに噛合して
いる。
【0044】この状態において、図5に示すように、第
1の版胴移動機構31により第1の版胴11が第1の印
刷位置から画像記録位置へ移動を開始すれば、第1の版
胴11と同芯状に配設された歯車51と第1のブランケ
ット胴13と同芯状に配設された歯車52との噛合が徐
々に解除される。また、これに伴って、回転防止部材4
7の案内ピン56が解除部材48の傾斜面59に沿って
摺動し、レバー54が軸53を中心に揺動することによ
り、係合ピン55が回転板46における切欠部内に移動
を開始する。
【0045】なお、このとき、第1の版胴11と同芯状
に配設された歯車51と第1のブランケット胴13と同
芯状に配設された歯車52との噛合は完全には解除され
ておらず、また、回転防止部材47による第1の版胴1
1の回転の防止はまだ行われていないので、第1の版胴
11は、図5に示す状態において、反時計方向に回転し
ながら画像記録位置に向けて移動する。このため、歯車
51と52とが衝突して損傷を受けることを防止するこ
とが可能となる。
【0046】そして、図6に示すように、第1の版胴1
1がさらに画像記録位置方向に移動して、第1の版胴1
1と同芯状に配設された歯車51と第1のブランケット
胴13と同芯状に配設された歯車52との噛合が解除さ
れた状態においては、回転防止部材47の案内ピン56
が解除部材48の傾斜面59から完全に離脱し、係合ピ
ン55が回転板46における切欠部内に完全に収納され
る。このため、第1の版胴11の回転が防止される。
【0047】この状態において、第1の版胴11は、第
1の版胴移動機構31の駆動により、図7に示すよう
に、画像記録位置まで移動する。そして、図8に示すよ
うに、版胴回転機構30の伝動ローラ78を、エアシリ
ンダ80の駆動により駆動ローラ76と従動ローラ77
との両者に圧接する駆動伝達位置に移動させる。しかる
後、上述した解除機構49における押圧板62を、エア
シリンダ61の駆動により図7において実線で示す位置
から二点差線で示す位置まで移動させる。これにより、
回転防止部材47の押圧ピン57が下方に向けて移動し
てレバー54が軸53を中心に揺動することにより、係
合ピン55が回転板46における切欠部から離脱する。
これに伴い、第1の版胴11は、回転可能な状態とな
る。
【0048】この状態において、トラクション方式の版
胴回転機構30により第1の版胴11を低速で回転さ
せ、第1の版胴11に対して印刷版を装着した後、画像
記録装置25によりこの印刷版に画像を記録する。そし
て、印刷版に対する画像の記録が終了した後、この印刷
版を現像処理装置26により現像処理する。印刷版に対
する画像の記録および現像処理が終了すれば、第1の版
胴11を、検出板86およびフォトカプラ87等による
検出値を利用して原点位置に復帰させる。そして、版胴
回転機構30の伝動ローラ78をエアシリンダ80の駆
動により退避位置まで移動させると共に、図8に示すエ
アシリンダ82を駆動して位置決め部材81aと係合ピ
ン85とを係合させることにより、従動ローラ77を介
して第1の版胴11を所定の回転角度位置において位置
決め、固定する。
【0049】しかる後、解除機構49における押圧板6
2を、エアシリンダ61の駆動により図7において二点
鎖線で示す位置から実線で示す位置まで移動させる。こ
れにより、回転防止部材47の押圧ピン57が上方に向
けて移動してレバー54が軸53を中心に揺動すること
により、回転防止部材47における係合ピン55が回転
板46における切欠部と係合する。これに伴い、第1の
版胴11の回転が防止される。この後、前記エアシリン
ダ82を駆動して、位置決め部材81aと係合ピン85
との係合を解く。
【0050】続いて、第1の版胴移動機構31の駆動に
より、第1の版胴11を画像記録位置から第1の印刷位
置に移動させる。この第1の版胴11の移動に伴い、図
4〜図6に示す第1の版胴11の第1の印刷位置から画
像記録位置への移動時とは逆の動作により、回転防止部
材47における係合ピン55と回転板46における切欠
部との係合を解除する。
【0051】すなわち、第1の版胴11の図6に示す位
置から図5に示す位置への移動に伴い、回転防止部材4
7の案内ピン56が解除部材48の傾斜面59に沿って
摺動し、レバー54が軸53を中心に揺動することによ
り、係合ピン55が回転板46における切欠部内から外
方向に移動する。また、これと同時に、第1の版胴11
と同芯状に配設された歯車51と第1のブランケット胴
13と同芯状に配設された歯車52との噛合動作が開始
される。
【0052】なお、このとき、第1の版胴11と同芯状
に配設された歯車51と第1のブランケット胴13と同
芯状に配設された歯車52との噛合動作の開始に伴い、
前記回転防止部材47による第1の版胴11の回転の防
止が解除され、第1の版胴11は、図5に示す状態にお
いて、時計方向に回転しながら第1の印刷位置に向けて
移動する。このため、歯車51と52とが衝突して損傷
を受けることを防止することが可能となる。
【0053】そして、図4に示すように、第1の版胴1
1が第1の印刷位置まで復帰すれば、第1の版胴11と
同芯状に配設された歯車51と第1のブランケット胴1
3と同芯状に配設された歯車52とは完全に噛合する。
【0054】再度図1を参照して、画像記録位置に移動
した第1の版胴11または第2の版胴12の周囲には、
給版部23と排版部24とが配置されている。
【0055】給版部23には、画像が記録されていない
長尺ロール状の印刷版を光密な状態で収納する供給カセ
ット63と、この供給カセット63から引き出した印刷
版の先端部を第1の版胴11または第2の版胴12の表
面に案内するためのガイド部材64およびガイドローラ
65と、長尺の印刷版を切断してシート状の印刷版とす
るためのカッター66とが配設されている。また、第
1、第2の版胴11、12には、給版部23より供給さ
れた印刷版の先端部と後端部とをくわえるための図示し
ない一対のくわえ爪が配設されている。
【0056】排版部24は、印刷完了後に第1の版胴1
1または第2の版胴12上に保持された印刷版を剥がす
ための爪機構73と、爪機構73の作用により剥がされ
た印刷版を排出カセット68に搬送するためのコンベア
機構69とを有する。
【0057】給版部23における供給カセット63から
引き出された印刷版の先端部は、ガイドローラ65およ
びガイド部材64により案内され、第1の版胴11また
は第2の版胴12の一方のくわえ爪にくわえられる。そ
して、第1の版胴11または第2の版胴12が版胴回転
機構30の駆動により回転し、印刷版が第1の版胴11
または第2の版胴12の外周部に巻き付けられる。そし
て、カッター66で切断された印刷版の後端部は、他方
のくわえ爪によりくわえられる。この状態において、前
述したように、版胴回転機構30の駆動により第1の版
胴11または第2の版胴12を低速で回転させながら、
画像記録装置25により第1の版胴11または第2の版
胴12の外周部に保持された印刷版の表面に変調された
レーザビームを照射し、画像を記録する。
【0058】なお、第1の版胴11の外周部に装着され
た印刷版Pには、画像記録装置25により、図10
(a)に示すように、ブラックのインキで印刷を行うた
めの画像領域67aと、マゼンタのインキで印刷を行う
ための画像領域67bとが記録される。また、第2の版
胴12の外周部に装着された印刷版Pには、画像記録装
置25により、図10(b)に示すように、シアンのイ
ンキで印刷を行うための画像領域67cと、イエローの
インキで印刷を行うための画像領域67dとが記録され
る。画像領域67aと画像領域67bとは、第1の版胴
11の外周部に装着された状態において、均等に振り分
けられた状態(すなわち互いに180度離隔した状態)
となる位置に記録される。同様に、画像領域67cと画
像領域67dとは、第2の版胴12の外周部に装着され
た状態において、均等に振り分けられた状態(すなわち
互いに180度離隔した状態)となる位置に記録され
る。
【0059】再度図1を参照して、上述したように、第
1の印刷位置に移動した第1の版胴11の周囲には、イ
ンキ供給装置20aとインキ供給装置20bとが、ま
た、第2の印刷位置に移動した第2の版胴12の周囲に
は、インキ供給装置20cとインキ供給装置20dとが
配置されている。これらのインキ供給装置20a、20
b、20cおよび20d(これらを総称する場合には
「インキ供給装置20」という)は、各々、複数のイン
キローラ71とインキつぼ72とを有する。
【0060】また、第1の印刷位置に移動した第1の版
胴11の周囲には、湿し水供給装置21aと湿し水供給
装置21bとが、また、第2の印刷位置に移動した第2
の版胴12の周囲には、湿し水供給装置21cと湿し水
供給装置21dとが配置されている。これらの湿し水供
給装置21a、21b、21cおよび21d(これらを
総称する場合には「湿し水供給装置21」という)は、
インキ供給装置20により印刷版Pにインキを供給する
前に、印刷版Pに湿し水を供給するものである。
【0061】インキ供給装置20a、20bのインキロ
ーラ71は、後述するカム241等の作用で揺動動作を
行う。そして、この揺動動作により、第1の版胴11の
外周部に保持した印刷版Pに形成された2個の画像領域
67a、67bのうちの画像領域67aにインキ供給装
置20aのインキローラ71が、また、画像領域67b
にインキ供給装置20bのインキローラ71が各々接触
することにより、各画像領域67a、67bにインキを
供給しうる構成となっている。また、同様に、インキ供
給装置20c、20dのインキローラ71も、後述する
カム241等の作用で揺動動作を行う。そして、この揺
動動作により、第2の版胴12の外周部に保持した印刷
版Pに形成された2個の画像領域67c、67dのうち
の画像領域67cにインキ供給装置20cのインキロー
ラ71が、また、画像領域67dにインキ供給装置20
dのインキローラ71が各々接触することにより、各画
像領域67c、67dにインキを供給しうる構成となっ
ている。一方、上記湿し水装置21のうち、湿し水供給
装置21aは印刷版Pにおける画像領域67aに、湿し
水供給装置21bは印刷版Pにおける画像領域67b
に、湿し水供給装置21cは印刷版Pにおける画像領域
67cに、また、湿し水供給装置21dは印刷版Pにお
ける画像領域67dに、各々湿し水を供給するよう構成
されている。
【0062】図11は、上述したインキ供給装置20
a、20b、20c、20dおよび湿し水供給装置21
a、21b、21c、21dのうち、インキ供給装置2
0aおよび湿し水供給装置21aを正面側からみた概要
図であり、図12はインキ供給装置20aおよび湿し水
供給装置21aを背面側からみた概要図である。なお、
他のインキ供給装置20b、20c、20dおよび湿し
水供給装置21b、21c、21dも、このインキ供給
装置20aおよび湿し水供給装置21aと同様の構成を
有する。
【0063】以下、湿し水供給装置21aの構成につい
て説明する。
【0064】図11に示すように、この湿し水供給装置
21aは、湿し水を貯留する水舟242と、この水舟2
42内の湿し水中に浸漬することにより湿し水を汲み上
げる水元ローラ243と、印刷版Pの表面に当接して画
像領域67aに湿し水を供給する水着けローラ244
と、水元ローラ243と水着けローラ244との間に配
設された中間ローラ245とを有する。
【0065】水着けローラ244は、図11および図1
2に示すように、軸251を中心に揺動可能な左右一対
の第1のアーム253に軸支されている。また、水元ロ
ーラ243は、軸252を中心に揺動可能な左右一対の
第2のアーム254に軸支されている。さらに、中間ロ
ーラ245は、図示しない左右一対の支持板により水元
ローラ243と連結されおり、この支持板255を介し
て第2のアーム254に支持されている。
【0066】また、図12に示すように、水元ローラ2
43にはギヤ246が、水着けローラ244にはギヤ2
47が、さらに中間ローラ245にはギヤ248が各々
付設されており、これらのギヤ246、247、248
は互いに連結している。また、水着けローラ244に付
設されたギヤ247は、第1の版胴11に配設されたギ
ヤ51(図4〜図6参照)と噛合している。このため、
水元ローラ243と水着けローラ244と中間ローラ2
45とは、第1の版胴11より駆動を受け、互いに同期
して回転する。
【0067】さらに、水着けローラ244に付設された
ギヤ247は、後述するように、インキ供給装置20a
に駆動を伝達するための、軸251と同芯状のギヤ24
9とも連結されている。
【0068】水舟242内に貯留された湿し水は、水元
ローラ243と水着けローラ244と中間ローラ245
との回転に伴い、水元ローラ243から中間ローラ24
5を介して水着けローラ244に転移し、第1の版胴1
1上の印刷版Pに供給される。
【0069】また、この湿し水供給装置21aは、水着
けローラ244を印刷版Pにおける必要な領域のみに当
接させるための水着けローラ移動機構256を有する。
図13〜図15は、図11に示す湿し水供給装置21a
から水着けローラ移動機構256部分を抽出して示す概
要図である。
【0070】この水着けローラ移動機構256は、前記
第1のアーム253を介して水着けローラ244を移動
させるものであり、その先端に第1の版胴11に付設さ
れたカム241と当接するカムフォロワー261を有
し、軸262を中心に揺動可能なレバー263を備え
る。このレバー263は、バネ264の作用により、カ
ムフォロワー261がカム241と当接する方向(時計
方向)に付勢されている。また、このレバー263上に
は、ソレノイド265と軸266とが配設されている。
なお、第1のアーム253は、図11および図12に示
す押圧バネユニット284により、第2のアーム254
を介して、水着けローラ244が第1の版胴11の外周
部に保持された印刷版Pの表面と当接する方向(時計方
向)に付勢されている。
【0071】レバー263の揺動中心としての軸262
には、その先端に第1のアーム253の当たり部259
と当接するあたり部材267を備えたレバー268と、
その先端にあたりピン269を有するレバー271とが
固設されている。このレバー268は、バネ273によ
り反時計方向に付勢されている。また、軸262は、図
11および図13に示す正面側から図12に示す背面側
まで貫通されている。そして、図12に示す背面側にお
いても、軸262には、第1のアーム253の当たり部
259と当接するあたり部材267を備えたレバー26
8が固設されている。さらに、レバー263上の軸26
6には、その一端がソレノイド265に連結され、多端
があたりピン269と当接するレバー272が配設され
ている。
【0072】図16は、第1の版胴11に付設されたカ
ム241を示す側面図である。図16において実線で示
すカム241は、図10(a)に示すブラックのインキ
で印刷を行うための画像領域67aと対応する角度位置
とは逆の、マゼンタのインキで印刷を行うための画像領
域67bと対応する角度位置において、第1の版胴11
の正面側に付設されている。このカム241は、第1の
版胴11と共に回転し、湿し水供給装置21aにおける
水着けローラ移動機構256のカムフォロワー261と
当接することにより、レバー263を軸262を中心と
して揺動させる。
【0073】なお、図16において仮想線で示すカム2
41は、湿し水供給装置21bにおける水着けローラ2
44を移動させる際に使用される。このカム241は、
図10(a)に示すマゼンタのインキで印刷を行うため
の画像領域67bと対応する角度位置とは逆の、ブラッ
クのインキで印刷を行うための画像領域67aと対応す
る角度位置において、第1の版胴11に付設されてい
る。また、第2の版胴12にも、上記同様の一対のカム
241が付設されている。
【0074】この湿し水供給装置21aの水着けローラ
移動機構256における水着けローラ244の移動動作
は以下の通りである。
【0075】即ち、図13に示すように、水着けローラ
244がブラックのインキで印刷を行うための画像領域
67aと対向し、第1の版胴11に付設されたカム24
1とレバー263の先端に配設されたカムフォロワー2
61とが係合されない角度位置に第1の版胴11がある
状態においては、第1のアーム253が後述する接触圧
調整機構257の付勢力により揺動することで、水着け
ローラ244が第1の版胴11の外周部に保持された印
刷版Pの表面と当接する湿し水の供給位置に移動してい
る。このため、水着けローラ244は、図10(a)に
示すブラックのインキで印刷を行うための画像領域67
aと当接する。
【0076】この状態において第1の版胴11が回転す
ることにより、水元ローラ243と水着けローラ244
と中間ローラ245とは、第1の版胴11より駆動を受
け、互いに同期して回転する。このため、水舟242内
に貯留された湿し水は、水元ローラ243から中間ロー
ラ245を介して水着けローラ244に転移し、第1の
版胴11上の印刷版Pにおける画像領域67a全面に供
給される。
【0077】一方、図14に示すように、水着けローラ
244がマゼンタのインキで印刷を行うための画像領域
67bと対向し、第1の版胴11に付設されたカム24
1とレバー263の先端に配設されたカムフォロワー2
61とが対向する角度位置まで第1の版胴11が回転す
れば、カムフォロワー261がカム241上に乗り上げ
ることにより、レバー263が軸262を中心に反時計
方向に揺動する。このレバー263の反時計方向への揺
動に伴って、レバー263上に配設されたソレノイド2
65およびレバー272が移動し、レバー272がレバ
ー271の先端に配設された当たりピン269を押圧す
る。この当たりピン269への押圧力により、レバー2
71が軸262と共に回動し、これによりレバー268
が軸262を中心として反時計方向に揺動する。
【0078】そして、このレバー268の揺動に伴っ
て、レバー268の先端に配設された当たり部材267
が第1のアーム253における当たり部259を押圧す
ることにより、第1のアーム253が後述する接触圧調
整機構257の付勢力に抗して反時計方向に揺動する。
これにより、図14に示すように、水着けローラ244
は、第1の版胴11の外周部に保持された印刷版Pの表
面から離隔した退避位置に移動する。このため、湿し水
供給装置21aにおける水着けローラ244は、図10
(a)に示すマゼンタのインキで印刷を行うための画像
領域67bとは当接しないこととなる。
【0079】なお、水着けローラ244が第1の版胴1
1の外周部に保持された印刷版Pの表面から離隔した退
避位置に移動する際の水着けローラ244の移動量は、
図12に示す水着けローラ244に付設されたギヤ24
7の歯末のたけと第1の版胴11に付設されたギヤ51
の歯末のたけとの合計値より小さくなっている。このた
め、図14に示すように、水着けローラ244が退避位
置に移動した場合であっても、水着けローラ244に付
設されたギヤ247と第1の版胴11に付設されたギヤ
51との噛合状態は維持されている。従って、水着けロ
ーラ244が退避位置に移動した場合であっても、水着
けローラ244は、水元ローラ243および中間ローラ
245と共に、第1の版胴11からの駆動を受けて互い
に同期して回転する。
【0080】なお、湿し水供給装置21bにおいても、
上記同様の水着けローラ移動機構256が配設されてい
る。ただし、湿し水供給装置21bにおける水着けロー
ラ移動機構256のカムフォロワー261は、図16に
おいて仮想線で示すカム241に当接することにより、
湿し水供給装置21bにおける水着けローラ244を図
10(a)に示すマゼンタのインキで印刷を行うための
画像領域67bと当接させる。
【0081】このように、各画像領域に対応させてイン
キ供給装置20と同数の湿し水供給装置21を配設する
ことにより、印刷版の画像領域に本来供給されるべき色
のインキとは異なる色のインキが付着して印刷物に汚れ
が発生するという現象を、未然に防止することが可能と
なる。
【0082】さらに、この水着けローラ移動機構257
において、図15に示すように、レバー263に配設さ
れたソレノイド265の作用によりレバー272を軸2
66を中心として時計方向に揺動させた場合において
は、このレバー272とレバー271の先端に配設され
た当たりピン269との係合が解除される。このため、
第1の版胴11に付設されたカム241上にレバー26
3の先端に配設されたカムフォロワー261が乗り上げ
ることによりレバー263が軸262を中心に反時計方
向に揺動した場合であっても、図14に示す場合とは異
なり、この揺動動作により当たりピン269が押圧され
ることはない。従って、第1のアーム253が揺動する
こともないことから、水着けローラ244は、第1の版
胴11の回転角度位置にかかわらず第1の版胴11外周
部に保持された印刷版Pの表面に当接する供給位置で停
止する。
【0083】従って、例えば後程説明する単色印刷時に
おいて、湿し水供給装置21aにより印刷版Pにおける
両方の画像領域67a、67bに湿し水を供給する場合
においては、図6に示すように、ソレノイド265の作
用により、水着けローラ244を供給位置に停止させる
ことで、湿し水供給装置21aにより印刷版Pにおける
両方の画像領域67a、67bに湿し水を供給すること
が可能となる。
【0084】次に、この発明に係るインキ供給装置20
aの構成について説明する。このインキ供給装置20a
は、図11および図12に示すように、湿し水供給装置
21aの上方に配置されている。
【0085】図17は図11の要部をさらに拡大したも
のであり、インキ供給装置20aを図1の正面側からみ
た概要図である。図18は図12の要部をさらに拡大し
たものであり、インキ供給装置20aを図1の背面側か
らみた概要図である。なお、図18においては、インキ
ローラ71等の図示を省略している。
【0086】このインキ供給装置20aは、インキつぼ
72を構成するインキ元ローラ290と、第1の版胴1
1に装着された印刷版Pと当接することにより印刷版P
にインキを供給する3本のインキ着けローラ291、2
92、293と、その軸線方向に往復移動する揺動動作
によりインキ練りを行う3本のインキ練りローラ29
4、295、296と、インキ元ローラ290上のイン
キをインキ練りローラ296に転移させるためのインキ
呼び出しローラ297と、2本のインキ移しローラ29
8、299とを有する。なお、この明細書および図1に
おいて、これらのローラ290、291、292、29
3、294、295、296、297、298、299
を総称する場合には「インキローラ71」という。
【0087】上記インキローラ71およびインキつぼ7
2等を含むインキ供給装置20aは、左右一対の側板3
15に直接、または、間接的に支持されている。そし
て、この左右一対の側板315は、左右一対のエアシリ
ンダ316の駆動により、前述した軸251を中心に図
17および図18において実線で示す位置と二点差線で
示す位置との間を揺動可能に構成されている。従って、
インキ供給装置20a全体が、左右一対のエアシリンダ
316の駆動により揺動することになる。
【0088】上述したインキローラ71のうち、インキ
着けローラ291は、軸301を中心に揺動する左右一
対のアーム302に軸支されている。また、このアーム
302は、左右一対のバネ303により、インキ着けロ
ーラ291が第1の版胴11に当接する方向(図17に
おける反時計方向)に付勢されている。さらに、このア
ーム302には、後述するアーム揺動機構の解除カム3
04に当接する左右一対の当たり部材306が付設され
ている。
【0089】また、インキ着けローラ292は、軸30
7を中心に揺動する左右一対のアーム308に軸支され
ている。また、このアーム308は、左右一対のバネ3
09により、インキ着けローラ292が第1の版胴11
に当接する方向(図17における反時計方向)に付勢さ
れている。さらに、このアーム308には、後述するア
ーム揺動機構の解除カム305に当接する左右一対の当
たり部材311が付設されている。
【0090】さらに、インキ着けローラ293は、軸3
07を中心に揺動する左右一対のアーム312に軸支さ
れている。また、このアーム312は、左右一対のバネ
313により、インキ着けローラ293が第1の版胴1
1に当接する方向(図17における時計方向)に付勢さ
れている。さらに、このアーム312には、後述するア
ーム揺動機構の解除カム305に当接する左右一対の当
たり部材314が付設されている。
【0091】前記インキ元ローラ290の軸317にお
ける背面側には、図18に示すように、モータに連結さ
れたギヤ318と噛合するギヤ319が付設されてい
る。このため、インキ元ローラ290は、モータの駆動
を受け回転する。また、インキ元ローラ290の軸31
7における正面側には、ギヤ321が付設されている。
【0092】前記インキ呼び出しローラ297は、軸3
22を中心に揺動可能な略Y字状のアーム323に軸支
されている。このアーム323には、カムフォロワー3
25が付設されている。一方、インキ元ローラ290に
付設されたギヤ321に噛合することによりインキ元ロ
ーラ290と同期して回転するギヤ326の軸327に
は、カム328が付設されている。そして、アーム32
3は、バネ324により、カムフォロワー325がカム
328と当接する方向(図17に示す時計方向)に付勢
されている。このため、インキ呼び出しローラ297
は、インキ元ローラ290の回転に伴って、インキ元ロ
ーラ290と当接する位置と、インキ練りローラ296
に当接する位置との間を往復移動する。
【0093】前記インキ練りローラ294、295、2
96の背面側には、図18に示すように、ギヤ331、
332、333が各々配設されている。そして、これら
のギヤ331、332、333は、駆動伝達ギヤ33
4、335、336を介して、上述した湿し水供給装置
21aからインキ供給装置20aに駆動を伝達するため
の、軸251と同芯状のギヤ249と連結されている。
従って、インキ練りローラ294、295、296は、
これらのギヤ331、332、333、334、33
5、336および249により、第1の版胴11と同期
して回転するよう構成されている。
【0094】このインキ供給装置20aにおいては、イ
ンキつぼ72に貯留されたインキは、インキ元ローラ2
90からインキ呼び出しローラ297によってインキ練
りローラ296に転移され、インキ練りローラ294、
295、296およびインキ移しローラ298、299
により練られた後、インキ着けローラ291、292、
293を介して第1の版胴11に装着された印刷版Pに
供給される。
【0095】次に、インキ供給装置20aにおけるアー
ム揺動機構について説明する。図19および図20は、
アーム揺動機構によるアーム302、308、312の
揺動動作を示す説明図であり、図21および図22はア
ーム揺動機構の要部平面図である。
【0096】これらの図に示すように、前述した当たり
部材306に当接する解除カム304は軸337に固設
されており、当たり部材311および314に当接する
解除カム305は軸338に固設されている。これらの
軸337、338は、図19および図20に示す左右一
対の側板315に、回転自在に支持されている。また、
軸337には、その先端に前述したカム241と当接す
るカムフォロワー341を有するアーム342が固設さ
れており、軸338には、その先端に前述したカム24
1と当接するカムフォロワー343を有するアーム34
4が固設されている。なお、図21および図22におい
ては、説明の便宜上、カムフォロワー341および34
3の奥側に配置されるべきカム241を、カムフォロワ
ー343の側方に図示している。
【0097】軸337および338の一端には、各々ベ
アリング345が配設されており、このベアリング34
5はエアシリンダ346に接続する連結部材347によ
り互いに連結されている。このため、軸337および3
38は、エアシリンダ346の駆動を受け、図21に示
すカムフォロワー341および343とカム241とが
当接可能な当接位置と、図22に示すカムフォロワー3
41および343とカム241とが当接不可能な退避位
置との間を、その軸線方向に同期して往復移動する。
【0098】また、軸337および338の他端には、
レバー351の両端部と係合可能な一対のストッパー3
48が配設されている。このレバー351は、図18に
示すように、ソレノイド352と連結部材353を介し
て接続されており、ソレノイド352の駆動により軸3
49を中心に揺動可能となっている。
【0099】このような構成において、図19に示すよ
うに、第1の版胴11に配設されたカム241とカムフ
ォロワー341および343とが当接していない状態に
おいては、上述した各アーム302、308、312
は、バネ303、309、313に付勢されて、そこに
配設された各インキ着けローラ291、292、293
が第1の版胴11の外周部に装着された印刷版Pの表面
に当接するインキ供給位置に配置されている。
【0100】この状態から第1の版胴11が回転し、第
1の版胴11に配設されたカム241がカムフォロワー
341と当接すれば、軸337に固設されたアーム34
2が、この軸337と共に回転する。この軸337の回
転に伴い、軸337に固設された解除カム304も軸3
37を中心として、図19に示す時計方向に回転する。
そして、この解除カム304の回転により、アーム30
2に付設された当たり部材306が解除カム304によ
り押圧され、アーム302は、そこに配設されたインキ
着けローラ291が印刷版の表面に当接するインキ供給
位置から、図20に示すように、第1の版胴11に装着
された印刷版Pの表面から離隔した退避位置まで移動す
る。
【0101】この状態からさらに第1の版胴11が回転
し、第1の版胴11に配設されたカム241がカムフォ
ロワー343とも当接すれば、軸338に固設されたア
ーム344が、この軸338と共に回転する。この軸3
38の回転に伴い、軸338に固設された解除カム30
5も軸338を中心として、図19に示す時計方向に回
転する。そして、この解除カム305の回転により、ア
ーム308および312に付設された当たり部材311
および314が順次解除カム304により押圧され、ア
ーム308および312は、そこに配設されたインキ着
けローラ292および293が印刷版Pの表面に当接す
るインキ供給位置から、図20に示すように、印刷版P
の表面から離隔した退避位置まで順次移動する。
【0102】一方、さらに第1の版胴11が回転し、第
1の版胴11に配設されたカム241とカムフォロワー
341および343との当接状態が順次解除されれば、
上記とは逆の動作により、各アーム302、308、3
12は、そこに配設されたインキ着けローラ291、2
92、293が印刷版Pの表面に当接するインキ供給位
置まで順次移動する。
【0103】ここで、上述したように、カム241は、
図10(a)に示すブラックのインキで印刷を行うため
の画像領域67aと対応する角度位置とは逆の、マゼン
タのインキで印刷を行うための画像領域67bと対応す
る角度位置に配置されている。従って、各インキ着けロ
ーラ291、292、293は、上述したアーム揺動機
構によるアーム302、308、312の揺動動作によ
り、ブラックのインキで印刷を行うための画像領域67
aの始端部付近において印刷版Pの表面上に降下し、こ
の画像領域67aの終端部付近において印刷版Pの表面
上から上昇する。
【0104】従って、上述した構成によれば、3本のイ
ンキ着けローラ291、292、293を印刷版Pの上
面に順次当接させてインキを供給することから、印刷版
Pにおける画像領域67aに、インキをムラなく十分に
供給することができ、また、ローラ等の昇降に伴う振動
により印刷精度を劣化することを防止することが可能と
なる。
【0105】なお、この印刷装置において、後述するよ
うに、例えばブラックのインキのみによる単色印刷を行
う場合においては、上述したインキ供給装置20aによ
り、図10(a)に示す画像領域67aと67bとの両
方にブラックのインキを供給する必要がある。この場合
においては、エアシリンダ346の作用により、図21
に示すカムフォロワー341および343とカム241
とが当接可能な当接位置から図22に示すカムフォロワ
ー341および343とカム241とが当接不可能な退
避位置まで、軸337および338をその軸線方向に移
動させておく。
【0106】軸337および338が図22に示す位置
に配置された状態においては、図22に示すように、カ
ムフォロワー341および343とカム241との位相
がずれ、第1の版胴11の回転に伴うカム241の回転
にかかわらず、カムフォロワー341および343とカ
ム241とは当接しない。従って、前記各アーム30
2、308、312は、各インキ着けローラ291、2
92、293が印刷版Pの表面に当接するインキ供給位
置に固定されることになる。このため、このインキ供給
装置20aのインキ着けローラ291、292、293
により、画像領域67aと67bとの両方にブラックの
インキを供給することが可能となる。
【0107】また、この印刷装置において、上記とは逆
に、例えばマゼンタのインキのみによる単色印刷を行う
場合においては、上述したインキ供給装置20bによ
り、図10(a)に示す画像領域67aと67bとの両
方にマゼンタのインキを供給することになる。この場合
においては、第1の版胴11の回転に伴うカム241の
回転にかかわらず、インキ供給装置20aの各インキ着
けローラ291、292、293を印刷版Pの表面から
離隔させておく必要がある。この場合においては、上述
したレバー351および軸337、338に固設された
ストッパー348が使用される。
【0108】図23〜図25は、図18に示すレバー3
51およびストッパー348等の動作を示す説明図であ
る。
【0109】カムフォロワー341および343がカム
241に当接することにより軸337および338が回
転し、インキ着けローラ291、292、293が印刷
版Pの表面から離隔した状態にある場合においては、上
述した軸337および338の回転に伴いストッパー3
48も回転する。図23はこのような状態における一対
のストッパー348とレバー351との配置関係を示し
ている。
【0110】一方、カムフォロワー341および343
がカム241から離隔することにより軸337および3
38がもとの角度位置に復帰し、インキ着けローラ29
1、292、293が印刷版Pの表面に当接した状態に
ある場合においては、上述した軸337および338の
復帰動作に伴いストッパー348はもとの角度位置まで
回転する。図24はこのような状態における一対のスト
ッパー348とレバー351との配置関係を示してい
る。
【0111】そして、第1の版胴11の回転に伴うカム
241の回転にかかわらず、インキ供給装置20aの各
インキ着けローラ291、292、293を印刷版Pの
表面から離隔させておくためには、カムフォロワー34
1および343がカム241に当接して一対のストッパ
ー348が図23に示す角度位置にある状態において、
ソレノイド352の駆動により連結部材353を介して
レバー351を図23に示す時計方向に回転させる。す
ると、図25に示すように、レバー351の両端部がス
トッパー348の凸部と係合し、ストッパー348はレ
バー351により固定される。
【0112】このような状態においては、第1の版胴1
1の回転に伴ってカムフォロワー341および343が
カム241から離隔することにより、軸337および3
38がもとの角度位置に復帰しようとしても、これらの
軸337および338に固設された一対のストッパー3
48がレバー351により固定されていることから、軸
337および338の回転は防止される。従って、上述
したように、各アーム302、308、312は退避位
置に固定されたままとなり、第1の版胴11の回転に伴
うカム241の回転にかかわらず、各インキ着けローラ
291、292、293は印刷版Pの表面から離隔する
ことになる。
【0113】従って、例えばマゼンタのインキのみによ
る単色印刷を行う場合において、インキ供給装置20a
の各インキ着けローラ291、292、293と図10
(a)に示す画像領域67aと67bとの当接を防止
し、画像領域67a、67bの両方にインキ供給装置2
0aからマゼンタのインキのみを供給することが可能と
なる。
【0114】なお、上述したソレノイド352の駆動に
よるレバー351およびストッパー348の駆動動作
は、後述する制御部140により制御される。
【0115】再度図1を参照して、画像記録位置に移動
した第1の版胴11または第2の版胴12の下方には、
上述した現像処理装置26が配設されている。この現像
処理装置26は、現像部、定着部および絞り部を有し、
図1において二点鎖線で示す待機位置と実線で示す現像
処理位置との間を昇降可能に構成されている。
【0116】この現像処理装置26によって画像記録装
置25により画像が記録された印刷版Pを現像処理する
場合においては、版胴回転機構30の駆動により第1の
版胴11または第2の版胴とともに回転する印刷版Pに
対して、現像部、定着部および絞り部を順次接触させ
る。
【0117】第1、第2の版胴11、12と当接可能に
設けられた第1、第2のブランケット胴13、14は、
第1、第2の版胴11、12と同一の直径を有し、その
外周部にはインキ転写用のブランケットが装着されてい
る。そして、この第1、第2のブランケット胴13、1
4は、第1、第2の版胴11、12および圧胴15に対
し、後述する胴入れ機構により接離自在な構成となって
いる。
【0118】図26は、上記第1のブランケット胴13
の胴入れ機構を示す概要図である。なお、第2のブラン
ケット胴14の胴入れ機構も、図26に示す第1の版胴
13の胴入れ機構と同様の構成を有する。
【0119】第1のブランケット胴13を回転自在に支
持する軸101の側方には軸101とは中心が異なる偏
芯軸102が連設されている。また、偏芯軸102の周
囲には、軸101、102とさらに中心が異なる偏芯軸
受103が配設されている。このため、図26に示すよ
うに、軸101の中心(すなわち第1のブランケット胴
13の中心)104と、偏芯軸102の中心105と、
偏芯軸受103の中心106は、各々異なる位置に配置
される。
【0120】偏芯軸102に固設された固定板107と
偏芯軸受103に固設された固定板108とは、リンク
機構を構成する2枚の連結板111、112により連結
されている。そして、2枚の連結板111、112の連
結部分にはエアシリンダ113のシリンダロッド114
先端部が接続されている。また、エアシリンダ113本
体は、軸115を中心に回動する回動板116の一端に
連結されている。さらに、この回動板116の他端は、
ロッド117を介して偏芯軸受103に固設された固定
板118と連結されている。
【0121】また、回動板116と偏芯部材119の軸
120とは、リンク機構を構成する2枚の連結板12
1、122により連結されている。そして、2枚の連結
板121、122の連結部分には装置本体に固定された
エアシリンダ123のシリンダロッド124先端部が接
続されている。さらに、偏芯部材119と接続するウォ
ームホイル125は、モータ126の駆動により回転す
るウォームギヤ127と螺合している。
【0122】このような構成において、各エアシリンダ
113および123のシリンダロッド114、124が
伸びた状態においては、図26に示すように、第1のブ
ランケット胴13の表面と第1の版胴11および圧胴1
5の表面とはわずかな距離だけ離隔している。
【0123】この状態で、エアシリンダ113の駆動に
よりそのシリンダロッド114を縮めた場合には、2枚
の連結板111、112等によるリンク機構の作用によ
り、第1のブランケット胴13は第1の版胴11方向へ
移動し、第1の版胴11への胴入れがなされる。
【0124】この状態において、エアシリンダ123の
駆動によりそのシリンダロッド124を縮めた場合に
は、2枚の連結板121、122等により構成されるリ
ンク機構の作用により、第1のブランケット胴13は圧
胴15方向へ移動し、圧胴15への胴入れがなされる。
このとき、回動板116も軸115を中心に時計方向に
回転することから、第1のブランケット胴13は圧胴1
5方向のみならず第1の版胴11方向へも移動する。従
って、第1のブランケット胴13における第1の版胴1
1への胴入れ状態は維持される。
【0125】なお、偏芯部材119を回転させた場合に
は、偏芯部材119の軸120が微動する。このため、
偏芯部材119と接続するウォームホイル125をモー
タ126の駆動により回転させ、軸120を微動させる
ことにより、圧胴15および第1の版胴11と第1のブ
ランケット胴13との接触圧を調整することができる。
従って、第1のブランケット胴13を使用した印刷時に
おける印圧を調整することが可能となる。
【0126】再度図1を参照して、第1、第2のブラン
ケット胴13、14の間に配設されたブランケット洗浄
装置29は、巻き出しロールから複数の圧接ローラを介
して巻き取りロールに至る経路に貼張された長尺の洗浄
布に洗浄液を供給し、この洗浄布を第1、第2のブラン
ケット胴13、14に対して当接させた上、摺動させる
ことにより、第1、第2のブランケット胴13、14の
表面を洗浄するものである。なお、上記洗浄布を圧胴1
5の表面にも接触させることにより、圧胴15の表面を
も洗浄する構成としてもよい。
【0127】第1、第2のブランケット胴13、14と
当接可能に設けられた圧胴15は、第1、第2の版胴1
1、12および第1、第2のブランケット胴13、14
の直径の1/2の直径を有する。また、圧胴15は、印
刷用紙の先端を保持して搬送するための図示しないグリ
ッパを有する。
【0128】また、圧胴15に隣接して配設された給紙
胴16は、圧胴15と同一の直径を有する。この給紙胴
16は、往復移動する吸着盤74により給紙部27から
1枚ずつ供給された印刷用紙の先端部を図示しないグリ
ッパにより保持して搬送する。グリッパにより保持され
た印刷用紙の先端部は、給紙胴16から圧胴15への印
刷用紙の受け渡し時に、圧胴15のグリッパにより保持
される。
【0129】また、圧胴15に隣接して配設された排紙
胴17は、圧胴15と同一の直径を有する。この排紙胴
17は、その両端部に一対のチェーン19を巻回した構
造を有し、この一対のチェーン19を連結する図示しな
い連結部材上に、各々グリッパが配設されている。圧胴
15のグリッパにより保持された印刷用紙の先端部は、
圧胴15から排紙胴17への印刷用紙の受け渡し時に、
排紙胴17のいずれかのグリッパにより保持される。そ
して、この印刷用紙は、チェーン19の移動に伴って排
紙部28上に搬送されて排出される。
【0130】前記給紙胴16は、図示しないベルトを介
して駆動モータと連結されている。そして、給紙胴1
6、圧胴15、排紙胴17、第1、第2のブランケット
胴13、14は、各々その端部に付設された歯車により
連結されている。さらに、第1のブランケット胴13と
第1の印刷位置に移動した第1の版胴11、および、第
2のブランケット胴14と第2の印刷位置に移動した第
2の版胴12とは、上述したように、その端部に付設さ
れた歯車51、52により各々連結されている。従っ
て、図示しない駆動モータの駆動により、これらの給紙
胴16、圧胴15、排紙胴17、第1、第2のブランケ
ット胴13、14、第1、第2の版胴11、12は、互
いに同期して回転する。
【0131】図27は、この印刷装置の主要な電気的構
成を示すブロック図である。この印刷装置は、装置の制
御に必要な動作プログラムが格納されたROM141
と、制御時にデータ等が一時的にストアされるRAM1
42と、論理演算を実行するCPU143とからなる制
御部140を備える。この制御部は140は、インタフ
ェース144を介して、インキ供給装置20、画像記録
装置25、現像処理装置26、ブランケット洗浄装置2
9、第1、第2の版胴移動機構31、32、第1、第2
のブランケット胴13、14の胴入れ機構等における駆
動部等の駆動信号を発生させる駆動回路145と接続さ
れている。印刷装置はこの制御部140により制御さ
れ、後述する製版動作および印刷動作を実行する。
【0132】次に、この印刷装置による製版および印刷
動作について説明する。図28は、この印刷装置による
製版および印刷動作の概要を示すフローチャートであ
る。なお、この印刷および製版動作は、印刷用紙にイエ
ロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のインキで多
色印刷を行う場合のものである。
【0133】まず、第1、第2の版胴11、12上にお
いて印刷版Pに画像を記録し、現像処理を行う製版工程
を実行する(ステップS1)。この製版工程は、サブル
ーチンとしての図29のフローチャートに示す工程に従
って実行される。
【0134】すなわち、最初に第1の版胴11を、図1
において二点鎖線で示す製版位置に移動させる(ステッ
プS11)。この第1の版胴11の移動は、図2に示す
第1の版胴移動機構31のモータ35の駆動により、ス
ライドホルダ41をガイド部材39に沿って移動させる
ことにより実行される。
【0135】次に、第1の版胴11の外周に印刷版Pを
供給する(ステップS12)。この印刷版Pの供給は、
供給カセット63から引き出した印刷版Pの先頭部とカ
ッター66で切断された印刷版Pの後端部とを図示しな
い一対のくわえ爪でくわえることにより実行される。
【0136】続いて、第1の版胴11の外周に保持され
た印刷版Pに画像を記録する(ステップS13)。この
画像の記録は、版胴回転機構30により第1の版胴11
を低速で回転させるとともに、画像記録装置25から第
1の版胴11の外周に保持された印刷版Pに変調された
レーザビームを照射することにより実行される。
【0137】次に、画像が記録された印刷版Pを現像処
理する(ステップS14)。この現像処理は、現像処理
装置26を図1において二点鎖線で示す待機位置から実
線で示す現像処理位置まで上昇させた後、版胴回転機構
30の駆動により第1の版胴11とともに回転する印刷
版Pに対して、現像部、定着部および絞り部を順次接触
させることにより実行される。
【0138】上記現像処理が終了すれば、第1の版胴1
1を図1において実線で示す第1の印刷位置まで移動さ
せる(ステップS15)。
【0139】続いて、上記ステップS11〜15と同様
の動作により、第2の版胴12の外周に保持される印刷
版Pに対する製版工程を実行する(ステップS16〜2
0)。 そして、第1、第2の版胴11、12の外周に
保持される印刷版Pへの製版が終了すれば、製版工程を
終了する。
【0140】再度図28を参照して、製版工程が完了す
れば、第1、第2の版胴11、12上の印刷版Pを用い
て印刷用紙に印刷を行う印刷工程を実行する(ステップ
S2)。この印刷工程における印刷装置の動作について
は、後程詳細に説明する。
【0141】印刷工程が終了すれば、印刷に使用した印
刷版Pを排出する(ステップS3)。この印刷版Pの排
出を行うためには、最初に第1の版胴11を、図1にお
いて二点鎖線で示す製版位置に移動させる。そして、版
胴回転機構30により第1の版胴11を反時計回りに回
転させるとともに、第1の版胴11上に保持された印刷
版Pの端部を爪機構73により剥がした後、この印刷版
Pをコンベア機構69により案内して、排出カセット6
8内に排出する。そして、第1の版胴11を第1の印刷
位置に復帰させた後、第2の版胴12を第2の印刷位置
から製版位置に移動させ、上記同様の動作を実行するこ
とにより、第2の版胴12上に保持された印刷版Pを排
出カセット68内に排出する。
【0142】印刷版Pの排出工程が完了すれば、第1、
第2のブランケット胴13、14を洗浄する(ステップ
S4)。この第1、第2のブランケット胴13、14の
洗浄時には、図26に示す胴入れ機構により、第1、第
2のブランケット胴13、14を第1、第2の版胴1
1、12および圧胴15から離隔させた後、第1、第2
のブランケット胴13、14を回転させる。この状態に
おいて、ブランケット洗浄装置29における洗浄液を供
給された洗浄布を第1、第2のブランケット13、14
の表面に当接させた上、摺動させることにより、第1、
第2のブランケット胴13、14を洗浄する。
【0143】第1、第2のブランケット胴13、14の
洗浄が終了すれば、さらに別の印刷物の印刷作業を行う
か否かを確認する(ステップS5)。他の印刷作業を行
う場合には、ステップ1〜4の動作を繰り返す。
【0144】印刷作業が終了した場合には、インキの洗
浄を行う(ステップS6)。このインキの洗浄は、各イ
ンキ供給装置20に配設された図示しないインキ洗浄装
置により、各インキ供給装置20におけるインキローラ
71やインキつぼ72に付着するインキを除去および洗
浄することにより実行される。
【0145】インキの洗浄工程が終了すれば、全ての工
程を完了する。
【0146】次に、上述した印刷工程における印刷装置
の動作について説明する。図30〜図35は、この印刷
装置の印刷動作を示す説明図である。なお、これらの図
においては、説明の便宜上、印刷用紙Sの長さと圧胴1
5、給紙胴16および排紙胴17の周長とを同一である
ものとして表現しているが、実際には、印刷用紙Sの長
さは圧胴15、給紙胴16および排紙胴17の周長より
短くなっている。
【0147】なお、以下に述べる印刷動作は、上述した
ように、印刷用紙にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラ
ックの4色のインキで多色印刷を行う場合のものであ
る。また、図30〜図35においては、説明の便宜上、
第1の版胴11および第1のブランケット胴13のうち
ブラックのインキの印刷に使用される側の領域に符号K
を、また、第1の版胴11および第1のブランケット胴
13のうちマゼンタのインキの印刷に使用される側の領
域に符号Mを付し、また、第2の版胴12および第2の
ブランケット胴14のうちシアンのインキの印刷に使用
される側の領域に符号Cを、また、第2の版胴12およ
び第2のブランケット胴14のうちイエローのインキの
印刷に使用される側の領域に符号Yを付している。
【0148】印刷工程に先立つ製版工程において、先に
説明したように、第1の版胴11の外周部に装着された
印刷版Pには、図10(a)に示すように、ブラックの
インキで印刷を行うための画像領域67aと、マゼンタ
のインキで印刷を行うための画像領域67bとが記録さ
れており、第2の版胴12の外周部に装着された印刷版
Pには、図10(b)に示すように、シアンのインキで
印刷を行うための画像領域67cと、イエローのインキ
で印刷を行うための画像領域67dとが記録されている
ものとする。
【0149】また、上述したように、インキ供給装置2
0aにはブラックのインキを、インキ供給装置20bに
はマゼンタのインキを、インキ供給装置20cにはシア
ンのインキを、インキ供給装置20dにはイエローのイ
ンキを各々供給しておき、図10に示す印刷版Pの画像
領域67aにはインキ供給装置20aからブラックのイ
ンキが、画像領域67bにはインキ供給装置20bから
マゼンタのインキが、画像領域67cにはインキ供給装
置20cからシアンのインキが、さらに、画像領域67
dにはインキ供給装置20dからイエローのインキが、
各々供給されるようにしておく。
【0150】先ず、各湿し水供給装置21および各イン
キ供給装置20を第1、第2の版胴11、12上に保持
された印刷版Pのうちの対応する画像領域とのみ当接さ
せる。これにより、各画像領域67a、67b、67
c、67dには対応する湿し水供給装置21a、21
b、21c、21dから湿し水が供給されるとともに、
画像領域67aにはインキ供給装置20aから、画像領
域67bにはインキ供給装置20bから、画像領域67
cにはインキ供給装置20cから、画像領域67dには
インキ供給装置20dから、各々ブラック、マゼンタ、
シアン、イエローのインキが供給される。そして、この
インキは、第1、第2のブランケット胴13、14の対
応する領域に転写される。
【0151】この動作を繰り返すことにより、第1、第
2の版胴11、12上の印刷版Pおよび第1、第2のブ
ランケット胴13、14へのインキの供給がなされる。
このインキの供給動作は、印刷工程が完了するまで繰り
返し実行される。
【0152】第1、第2の版胴11、12上の印刷版P
および第1、第2のブランケット胴13、14へのイン
キの供給が完了すれば、図30に示すように、印刷用紙
Sを給紙胴16に供給する。この印刷用紙Sは、給紙胴
16から圧胴15に渡される。
【0153】そして、圧胴15がさらに回転し、圧胴1
5の外周に保持された印刷用紙Sの先端が第1のブラン
ケット胴13と対向する位置まで移動すれば、図26に
示す胴入れ機構の作用により、第1のブランケット胴1
3を圧胴15に当接する胴入れ状態とする。この状態に
おいては、図31に示すように、印刷用紙Sの先端部
は、第1のブランケット胴13表面におけるブラックの
インキの印刷に使用される側の領域の端部と当接する。
そして、第1のブランケット胴13表面におけるブラッ
クのインキの印刷に使用される側の領域には、第1の版
胴11に保持された印刷版Pにおける画像領域67aか
らブラックのインキが転写されている。このため、第1
のブランケット胴13および圧胴15がさらに回転する
ことにより、印刷用紙Sにはブラックのインキが転写さ
れる。
【0154】圧胴15がさらに回転し、圧胴15の外周
に保持された印刷用紙Sの先端が第2のブランケット胴
14と対向する位置まで移動すれば、図26に示す胴入
れ機構の作用により、第2のブランケット胴14を圧胴
15に当接する胴入れ状態とする。この状態において
は、図32に示すように、印刷用紙Sの先端部は、第2
のブランケット胴14表面におけるシアンのインキの印
刷に使用される側の領域の端部と当接する。そして、第
2のブランケット胴14表面におけるシアンのインキの
印刷に使用される側の領域には、第2の版胴12に保持
された印刷版Pにおける画像領域67cからシアンのイ
ンキが転写されている。このため、第2のブランケット
胴14および圧胴15がさらに回転することにより、既
にブラックのインキが転写された印刷用紙Sには、さら
にシアンのインキが転写される。
【0155】この状態において、圧胴15が第1、第2
のブランケット胴13、14とともに回転を続けると、
図33に示すように、印刷用紙Sは圧胴15の外周部に
完全に巻回された状態となる。そして、圧胴15は、第
1、第2の版胴11、12および第1、第2のブランケ
ット胴13、14の1/2の直径を有することから、圧
胴15の外周部に巻回された印刷用紙Sは、2回転目に
おいては、第1のブランケット胴13表面におけるマゼ
ンタのインキの印刷に使用される側の領域と当接する。
そして、第1のブランケット胴13表面におけるマゼン
タのインキの印刷に使用される側の領域には、第1の版
胴11に保持された印刷版Pにおける画像領域67bか
らマゼンタのインキが転写されている。このため、第1
のブランケット胴13および圧胴15がさらに回転する
ことにより、既にブラックおよびシアンのインキが転写
された印刷用紙Sには、さらにマゼンタのインキが転写
される。
【0156】そして、圧胴15がさらに回転すれば、印
刷用紙Sは、第2のブランケット胴14表面におけるイ
エローのインキの印刷に使用される側の領域の端部と当
接する。そして、第2のブランケット胴14表面におけ
るイエローのインキの印刷に使用される側の領域には、
第2の版胴12に保持された印刷版Pにおける画像領域
67dからイエローのインキが転写されている。このた
め、第2のブランケット胴14および圧胴15がさらに
回転することにより、既にブラック、シアンおよびマゼ
ンタのインキが転写された印刷用紙Sには、さらにイエ
ローのインキが転写され、4色の印刷が完了する。
【0157】4色の印刷が終了した印刷用紙Sの先端部
は、図34に示すように、圧胴15から排紙胴17に渡
される。また、次に印刷を行うべき印刷用紙Sが給紙胴
16に供給された後、給紙胴16から圧胴15に渡され
る。
【0158】そして、4色の印刷が終了した印刷用紙S
は、図35に示すように、一対のチェーン19の駆動に
より、排紙胴17のグリッパとともに排紙部28上まで
搬送されて排出される。
【0159】以上説明したように、この印刷装置におい
ては、圧胴15が第1、第2の版胴11、12および第
1、第2のブランケット胴13、14の直径の1/2の
直径を有することから、第1、第2の版胴11、12お
よび第1、第2のブランケット胴13、14が1回転す
る間に圧胴15は2回転する。そして、圧胴15が2回
転する間に、圧胴15の外周部に保持された印刷用紙S
にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色の印刷
が行われる。このため、圧胴15が2回転する度に、給
紙胴16から新しい印刷用紙Sを供給することにより、
4色の印刷を連続して実行することが可能となる。
【0160】なお、この印刷装置において、上記のよう
な4色印刷を行う換わりに、単色印刷等を行うことも可
能である。
【0161】例えば、この印刷機においてブラックのイ
ンキのみで印刷を行う場合においては、第1の版胴11
に保持される印刷版Pにおける画像領域67a、67b
に同一の画像を形成する。そして、上述したように、イ
ンキ供給装置20aが画像領域67a、67bの両方に
ブラックのインキを供給し得るようにする。また、他の
インキ供給装置20b、20c、20dは、上述したよ
うに、第1、第2の版胴11、12に装着された印刷版
Pとは当接しないようにしておく。この状態において、
圧胴15が1回転する度に給紙胴16から新しい印刷用
紙Sを供給する。これにより、圧胴15が1回転する度
に、圧胴15の外周に保持された印刷用紙Sに、同一の
画像が形成された画像領域67aまたは67bからのブ
ラックのインキによる画像が転写され、単色印刷を行う
ことができる。
【0162】なお、この場合においては、第2の版胴1
2および第2のブランケット胴14は使用されない。従
って、第2のブランケット胴14は、図26に示す胴入
れ機構により、胴抜き状態としておけばよい。また、第
1の版胴11および第1のブランケット胴13を使用し
て印刷を行っている間に、第2の版胴12を画像記録位
置に移動させ、この位置において第2の版胴12上で製
版行程を実行するようにしてもよい。
【0163】なお、上述した実施の形態においては、第
1の版胴11または第2の版胴12の構成を簡易化する
ために、第1の版胴11または第2の版胴12の外周部
に保持した1枚の印刷版Pに各々2個の画像領域67
a、67bまたは67c、67dを設けている。しかし
ながら、第1の版胴11または第2の版胴12に先端部
保持用と後端部保持用のくわえ爪を各々2組配設するこ
とにより、第1の版胴11または第2の版胴12の各々
に2枚の印刷版Pを保持させる構成としてもよい。この
場合においても、各印刷版Pによる画像領域が均等に振
り分けられた状態(すなわち互いに180度離隔した状
態)となるように、各々2枚の印刷版Pを均等に振り分
けた状態で第1の版胴11または第2の版胴12上に保
持させる必要がある。
【0164】また、上述した実施の形態においては、複
数のインキローラ291、292、293を第1の版胴
11から離隔する方向に移動させることにより、例えば
第1の版胴11の回転に伴うカム241の回転にかかわ
らず複数のインキローラ291、292、293と印刷
版Pとの当接を防止する手段として、一対のストッパー
348およびレバー351等を使用しているが、インキ
供給装置20全体を左右一対のエアシリンダ316の駆
動により揺動させることにより、第1の版胴11等の回
転に伴うカム241の回転にかかわらず複数のインキロ
ーラ291、292、293と印刷版Pとの当接を防止
するようにしてもよい。
【0165】さらに、上述した実施の形態においては、
アーム302、308、312を、そこに軸支したイン
キ着けローラ291、292、293が第1の版胴11
と当接する方向にバネ303、309、313で予め付
勢しておき、このアーム302、308、312を、カ
ム241の押圧力により、インキ着けローラ291、2
92、293が第1の版胴11から離隔する方向に移動
させる場合について説明したが、これとは逆に、アーム
302、308、312を、そこに軸支したインキ着け
ローラ291、292、293が第1の版胴11から離
隔する方向に予め付勢しておき、このアーム302、3
08、312を、カム241の押圧力により、インキ着
けローラ291、292、293が第1の版胴11に当
接する方向に移動させる構成としてもよい。
【0166】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、版胴と
同期して回転するカムと、複数のインキローラを個別に
軸支するインキローラ支持アームに配設されたカムフォ
ロワーとを当接させることにより、複数のインキローラ
支持アームを、インキローラが印刷版の表面に当接する
インキ供給位置と印刷版の表面から離隔する退避位置と
の間で順次揺動させることから、インキを印刷版におけ
る画像領域全体に均一に供給することができ、また、イ
ンキ着けローラの昇降による振動により印刷精度が劣化
することを防止することが可能となる。
【0167】請求項2に記載の発明によれば、カムフォ
ロワーをカムとの当接位置から退避させることにより、
版胴の回転時におけるカムフォロワーとカムとの当接を
防止して、インキローラ支持アームをインキ供給位置に
固定するカムフォロワー移動手段をさらに備えることか
ら、単色印刷を行う場合において、版胴に保持された印
刷版における全ての画像領域に対して、同一のインキ供
給装置によりインキの供給を行うことが可能となる。
、複数のインキローラを版胴から離隔する方向に移動
させることにより、版胴の回転に伴うカムの回転にかか
わらず、インキローラと印刷版との当接を防止するイン
キローラ移動手段をさらに備えることから、単色印刷を
行う場合において、インキの供給が不要な色に対応する
インキ供給装置から印刷版へのインキの供給を防止する
ことができる。
【0168】請求項に記載の発明によれば、版胴と同
期して回転するカムと水着けローラを軸支する水着けロ
ーラ支持アームに配設されたカムフォロワーとを当接さ
せることにより、水着けローラ支持アームを、水着けロ
ーラが印刷版の表面に当接する湿し水供給位置と印刷版
の表面から離隔する退避位置との間で揺動させることか
ら、インキの供給に使用されるカムを利用して、湿し水
を対応する所定の画像領域に供給することが可能とな
る。
【0169】請求項に記載の発明によれば、版胴が複
数の画像領域を有する単一の印刷版をその外周部に保持
することから、単一の印刷版における各画像領域に個別
にインキを供給することができる。
【0170】請求項に記載の発明によれば、版胴が各
々単一の画像領域を有する複数の印刷版をその外周部に
保持することから、単一の印刷版における各画像領域に
個別に湿し水を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る印刷装置の側面概要図である。
【図2】第1、第2の版胴移動機構31、32の正面図
である。
【図3】第1の版胴移動機構31における軸受部33付
近を示す側断面図である。
【図4】第1の版胴11に配設された回転防止部材47
と第1の印刷位置に配設された解除部材48との関係を
示す概要図である。
【図5】第1の版胴11に配設された回転防止部材47
と第1の印刷位置に配設された解除部材48との関係を
示す概要図である。
【図6】第1の版胴11に配設された回転防止部材47
と第1の印刷位置に配設された解除部材48との関係を
示す概要図である。
【図7】第1の版胴11に配設された回転防止部材47
と画像記録位置に配設された解除部材49とを示す概要
図である。
【図8】版胴回転機構30付近の正面図である。
【図9】図8の要部を示す側断面図である。
【図10】印刷版P上における画像領域67の配置を示
す説明図である。
【図11】インキ供給装置20aおよび湿し水供給装置
21aを正面側からみた概要図である。
【図12】インキ供給装置20aおよび湿し水供給装置
21aを背面側からみた概要図である。
【図13】水着けローラ移動機構256を示す概要図で
ある。
【図14】水着けローラ移動機構256を示す概要図で
ある。
【図15】水着けローラ移動機構256を示す概要図で
ある。
【図16】第1の版胴11に付設されたカム241を示
す側面図である。
【図17】インキ供給装置20aを正面側からみた概要
図である。
【図18】インキ供給装置20aを背面側からみた概要
図である。
【図19】アーム揺動機構によるアーム302、30
8、312の揺動動作を示す説明図である。
【図20】アーム揺動機構によるアーム302、30
8、312の揺動動作を示す説明図である。
【図21】アーム揺動機構の要部平面図である。
【図22】アーム揺動機構の要部平面図である。
【図23】レバー351およびストッパー348等の動
作を示す説明図である。
【図24】レバー351およびストッパー348等の動
作を示す説明図である。
【図25】レバー351およびストッパー348等の動
作を示す説明図である。
【図26】第1のブランケット胴13の胴入れ機構を示
す概要図である。
【図27】印刷装置の主要な電気的構成を示すブロック
図である。
【図28】印刷装置による製版および印刷動作の概要を
示すフローチャートである。
【図29】製版工程を示すフローチャートである。
【図30】印刷装置の印刷動作を示す説明図である。
【図31】印刷装置の印刷動作を示す説明図である。
【図32】印刷装置の印刷動作を示す説明図である。
【図33】印刷装置の印刷動作を示す説明図である。
【図34】印刷装置の印刷動作を示す説明図である。
【図35】印刷装置の印刷動作を示す説明図である。
【符号の説明】
11 第1の版胴 12 第2の版胴 13 第1のブランケット胴 14 第2のブランケット胴 15 圧胴 16 給紙胴 17 排紙胴 20 インキ供給装置 21 湿し水供給装置 23 給版部 24 排版部 25 画像記録装置 26 現像処理装置 27 給紙部 28 排紙部 30 版胴回転機構 31 第1の版胴移動機構 32 第2の版胴移動機構 71 インキローラ 241 カム 242 水舟 243 水元ローラ 244 水着けローラ 245 中間ローラ 290 インキ元ローラ 291 インキ着けローラ 292 インキ着けローラ 293 インキ着けローラ 294 インキ練りローラ 295 インキ練りローラ 296 インキ練りローラ 297 インキ呼び出しローラ 298 インキ移しローラ 299 インキ移しローラ 302 アーム 304 解除カム 305 解除カム 306 当たり部材 308 アーム 311 当たり部材 312 アーム 314 当たり部材 316 エアシリンダ 337 軸 338 軸 341 カムフォロワー 343 カムフォロワー 346 エアシリンダ P 印刷版 S 印刷用紙
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41F 31/18 B41F 7/40 B41F 31/30

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 版胴に保持された印刷版における複数の
    画像領域に選択的にインキを供給するための複数のイン
    キ供給装置を備えた印刷装置において、前記複数のインキ供給装置は、それぞれ、 前記版胴の側面に前記画像領域に対応して配設され、前
    記版胴と同期して回転するカムと、 前記印刷版の表面に当接することにより前記画像領域に
    インキを供給するための、前記版胴の周方向に並列して
    配設された複数のインキローラと、 前記複数のインキローラを個別に軸支する複数のインキ
    ローラ支持アームと、 前記版胴の回転に伴って前記カムと当接するカムフォロ
    ワーを有し、前記複数のインキローラ支持アームを、前
    記インキローラが前記複数の画像領域のうちの対応する
    画像領域とのみ当接するように前記印刷版の表面に当接
    するインキ供給位置と印刷版の表面から離隔する退避位
    置との間で順次個別に揺動させるインキローラ支持アー
    ム揺動機構と、 を備えたことを特徴とする印刷装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の印刷装置において、 前記カムフォロワーを前記カムとの当接位置から退避さ
    せることにより、前記版胴の回転時における前記カムフ
    ォロワーと前記カムとの当接を防止して、前記インキロ
    ーラ支持アームを前記インキ供給位置に固定するカムフ
    ォロワー移動手段と、 前記複数のインキローラを前記版胴から離隔する方向に
    移動させることにより、前記版胴の回転に伴う前記カム
    の回転にかかわらず、前記インキローラと前記印刷版と
    の当接を防止するインキローラ移動手段とを備え、 単色印刷を実行するときに、全ての画像領域に対して前
    記複数のインキ供給装置のうちのいずれかのインキ供給
    装置により同一の色のインキを供給する印刷装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の印刷装置にお
    いて、 前記複数の画像領域に対しそれぞれ個別に湿し水を供給
    する複数の湿し水供給装置を備え、前記湿し水供給装置
    はそれぞれ、 前記印刷版の表面に当接することにより前記画像領域に
    湿し水を供給するための水着けローラと、 前記水着ローラを軸支する水着けローラ支持アームと、 前記版胴の回転に伴って前記カムと当接するカムフォロ
    ワーを有し、前記水着けローラ支持アームを、前記水着
    けローラが前記印刷版の表面に当接する湿し水供給位置
    と印刷板の表面から離隔する退避位置との間で揺動させ
    る水着けローラ支持アーム揺動機構と、 を備えた印刷装置。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至請求項いずれかに記載の
    印刷装置において、前記版胴は、複数の画像領域を有す
    る単一の印刷版をその外周部に保持する印刷装置。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至請求項いずれかに記載の
    印刷装置において、前記版胴は、各々単一の画像領域を
    有する複数の印刷版をその外周部に保持する印刷装置。
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