JP3396604B2 - 印刷装置 - Google Patents

印刷装置

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JP3396604B2
JP3396604B2 JP24200997A JP24200997A JP3396604B2 JP 3396604 B2 JP3396604 B2 JP 3396604B2 JP 24200997 A JP24200997 A JP 24200997A JP 24200997 A JP24200997 A JP 24200997A JP 3396604 B2 JP3396604 B2 JP 3396604B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、印刷版に画像を
記録して製版した後、この印刷版にインキを供給して印
刷を行う印刷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の一般的な印刷装置においては、製
版工程において白黒二値画像の記録されたフィルムと印
刷版とを密着させて露光することにより印刷版を作成
し、この印刷版を印刷装置に装着した上で、印刷工程を
実行していた。
【0003】一方、近年、このような製版工程と印刷工
程とを一つの装置で実行することができる、デジタル印
刷機と一般的に呼称される印刷装置が提案されている。
このデジタル印刷機においては、画像信号に基づき変調
されたレーザビーム等により、印刷版を直接走査露光し
て印刷版に画像を形成する「コンピュータtoプレー
ト」方式が採用されている。
【0004】このようなデジタル印刷機の先行技術の一
つとして、クイックマスターDI46−4という印刷装
置がハイデルベルグPMT株式会社製より販売されてい
る。図21はこの印刷装置の概要を示す構成図である。
【0005】この印刷装置はオフセット印刷方式により
印刷を行うものであり、その外周部に4枚の印刷用紙を
装着可能な圧胴1の周囲に、ブランケット胴2と版胴3
とインキ供給装置4と画像記録装置5とがそれぞれ4組
ずつ配設されている。これらの4組のブランケット胴
2、版胴3、インキ供給装置4および画像記録装置5
は、各々、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー
(Y)、ブラック(K)の色に対応するものである。
【0006】この印刷装置においては、各版胴3内にロ
ール状態で収納されている画像が記録されていない印刷
版を版胴3の外周面に巻き出す。そして、この印刷版に
対し、各画像記録装置5から出力される変調されたレー
ザビームを照射し、印刷版上に画像を形成することによ
り印刷版を製版する。
【0007】次に、各インキ供給装置4により、製版さ
れた印刷版上にインキを供給する。また、給紙部6から
供給された4枚の印刷用紙を圧胴1の外周部に装着す
る。そして、圧胴1とブランケット胴2と版胴3とが互
いに接触した状態で回転することにより、各印刷版上の
インキは各ブランケット胴2を介して圧胴1上の印刷用
紙に順次転写され、各印刷用紙上に4色の印刷が実行さ
れる。印刷が完了した印刷用紙は、排紙機構7によって
排紙部8に排出される。
【0008】なお、通常のオフセット印刷においては、
印刷版上に予め湿し水を供給した後にインキを供給する
が、この印刷装置においては、印刷版としてその表面に
シリコーンゴム層を配設して湿し水の供給を不要とした
水なし平版を使用することにより、湿し水供給装置によ
る湿し水の供給を省略している。
【0009】また、通常の印刷版の製版工程において
は、画像記録装置5により印刷版にレーザビームを照射
した後、この印刷版を現像処理することにより印刷版の
製版を行うが、この印刷装置においては、印刷版として
レーザビームの照射のみで製版が完了するタイプのもの
を使用することにより、レーザ照射後の現像処理装置に
よる現像処理を省略している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】図21に示す従来の印
刷装置においては、印刷版に対し版胴3上で製版を行う
構成であるため、版胴3の周囲にはブランケット胴2お
よびインキ供給装置4の他に画像記録装置5を配設する
必要がある。このため、これらの部材を配置するため十
分なスペースを確保することが困難となる。
【0011】特に、図21に示す印刷装置においては、
レーザビームの照射のみで製版が完了するタイプの水な
し平版を利用することにより、湿し水供給装置および現
像処理装置を省略している。しかしながら、一般の印刷
版を使用する場合においては、これらの湿し水供給装置
および現像処理装置を使用する必要がある。このため、
版胴3の周囲には、上述したブランケット胴2、インキ
供給装置4および画像記録装置5に加えて、湿し水供給
装置と現像処理装置とを配設することが必要となるが、
これらの部材を版胴3の周囲に配置することは実質的に
不可能である。
【0012】また、版胴3の周囲に、版胴3に印刷版を
供給する給版装置や版胴から印刷版を排出する排版装置
を配設する場合には、さらに十分なスペースが必要とな
る。
【0013】さらに、図21に示す従来の印刷装置にお
いては、複数の版胴3に装着された印刷版にそれぞれ画
像を形成するために、各版胴3と対向する位置にそれぞ
れ画像記録装置5を配置する必要がある。このため、画
像記録装置5が複数個必要となり、装置が複雑化するば
かりではなく装置全体の価格が高くなる。
【0014】このため、本出願人は上述した問題点を解
消するためのものとして、印刷版に画像を記録して製版
した後この印刷版にインキを供給して印刷を行う印刷装
置であって、印刷版をその外周部に保持する版胴と、版
胴に保持された印刷版に画像を記録する画像記録装置
と、版胴を画像記録装置と対向する画像記録位置と版胴
に保持された印刷版により印刷を行う印刷位置との間で
移動させる版胴移動機構とを備えた版胴移動型の印刷装
置を提案している(特願平9−95023号)。
【0015】この印刷装置によれば、印刷版の製版工程
で使用される画像記録装置等と印刷工程で使用されるイ
ンキ供給装置等とを、互いに干渉することがない別々の
位置に配置することができることから、これらを配置す
るためのスペースの確保が容易となり、配置関係の自由
度を向上することができるという特徴を有する。
【0016】ところで、このような版胴移動型の印刷装
置においては、版胴移動機構による画像記録位置と印刷
位置との間における版胴の移動時において版胴の回転角
度位置が変化した場合には、版胴とブランケット胴や給
紙装置あるいは給・排版装置等との位置関係に位相のず
れが生じることから、印刷の位置ずれや部品間の衝突と
いう問題が発生する。
【0017】この発明は上記課題を解決するためになさ
れたものであり、印刷の位置ずれや部品間の衝突を防止
することができる版胴移動型の印刷装置を提供すること
を目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、印刷版に画像を記録して製版した後、この印刷版に
インキを供給して印刷を行う印刷装置であって、印刷版
をその外周部に保持する版胴と、前記版胴に保持された
印刷版に画像を記録する画像記録装置と、前記版胴を、
前記画像記録装置と対向する画像記録位置と、前記版胴
に保持された印刷版により印刷を行う印刷位置との間で
移動させる版胴移動機構と、前記版胴移動機構による前
記版胴の移動時に、前記版胴の回転を防止する回転防止
機構とを備えたことを特徴とする。
【0019】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において、前記回転防止機構は、その外周の一部
に切欠部を有する円盤状の部材から構成され、前記版胴
と連結されることにより版胴と同期して回転する回転板
と、前記回転板における切欠部に係合することにより前
記回転板の回転を規制する回転止部材と、前記印刷位置
と前記画像記録位置とにおいて、前記回転板の切欠部に
対する前記回転止部材の係合を解除する解除部材とを備
えている。
【0020】請求項3に記載の発明は、印刷版に画像を
記録して製版した後、この印刷版にインキを供給して印
刷を行う印刷装置であって、印刷版をその外周部に保持
する第1、第2の版胴と、前記第1、第2の版胴に保持
された印刷版に画像を記録するための単一の画像記録装
置と、前記第1の版胴を、前記画像記録装置と対向する
画像記録位置と、前記第1の版胴に保持された印刷版に
より印刷を行う第1の印刷位置との間で移動させる第1
の版胴移動機構と、前記第2の版胴を、前記画像記録位
置と、前記第2の版胴に保持された印刷版により印刷を
行う第2の印刷位置との間で移動させる第2の版胴移動
機構と、前記第1の版胴移動機構による前記第1の版胴
の移動時に、前記第1の版胴の回転を防止する第1の回
転防止機構と、前記第2の版胴移動機構による前記第2
の版胴の移動時に、前記第2の版胴の回転を防止する第
2の回転防止機構とを備えたことを特徴とする。
【0021】請求項4に記載の発明は、請求項3に記載
の発明において、前記第1、第2の回転防止機構は、そ
の外周の一部に切欠部を有する円盤状の部材から構成さ
れ、前記第1、第2の版胴と各々連結されることにより
版胴と同期して回転する回転板と、前記各回転板におけ
る切欠部に係合することにより前記各回転板の回転を規
制する回転止部材と、前記第1または第2の印刷位置と
前記画像記録位置とにおいて、前記各回転板の切欠部に
対する前記各回転止部材の係合を解除する解除部材とを
備えている。
【0022】請求項5に記載の発明は、印刷版に画像を
記録して製版した後、この印刷版にインキを供給して印
刷を行う印刷装置であって、印刷版をその外周部に保持
する第1、第2の版胴と、その外周部に印刷用紙を保持
する圧胴と、前記圧胴に対し当接可能に配設された第1
のブランケット胴と、前記圧胴に対し前記第1のブラン
ケット胴の当接位置とは異なる位置で当接可能に配設さ
れた第2のブランケット胴と、前記第1、第2の版胴に
保持された印刷版に画像を記録するための単一の画像記
録装置と、前記第1の版胴を、前記画像記録装置と対向
する画像記録位置と、前記第1のブランケット胴と当接
する第1の印刷位置との間で移動させる第1の版胴移動
機構と、前記第2の版胴を、前記画像記録位置と、前記
第2ブランケット胴と当接する第2の印刷位置との間で
移動させる第2の版胴移動機構と、前記第1の版胴移動
機構による前記第1の版胴の移動時に、前記第1の版胴
の回転を防止する第1の回転防止機構と、前記第2の版
胴移動機構による前記第2の版胴の移動時に、前記第2
の版胴の回転を防止する第2の回転防止機構とを備えた
ことを特徴とする。
【0023】請求項6に記載の発明は、請求項5に記載
の発明において、前記第1、第2の回転防止機構は、そ
の外周の一部に切欠部を有する円盤状の部材から構成さ
れ、前記第1、第2の版胴と各々連結されることにより
版胴と同期して回転する回転板と、前記各回転板におけ
る切欠部に係合することにより前記各回転板の回転を規
制する回転止部材と、前記第1または第2の印刷位置と
前記画像記録位置とにおいて、前記各回転板の切欠部に
対する前記各回転止部材の係合を解除する解除部材とを
備えている。
【0024】請求項7に記載の発明は、請求項6に記載
の発明において、前記第1の版胴と前記第1のブランケ
ット胴、および、前記第2の版胴と前記第2のブランケ
ット胴とは、各々、第1、第2の版胴と同芯状に配設さ
れた歯車と第1、第2のブランケット胴と同芯状に配置
された歯車とを互いに噛合させることにより同期して回
転する構成であり、前記第1、第2の回転防止機構は、
前記第1、第2の版胴の印刷位置から画像記録位置への
移動時における前記各歯車の噛合の解除動作と同期し
て、前記第1、第2の回転防止機構による回転防止動作
を実行すると共に、前記第1、第2の版胴の画像記録位
置から第1、第2の印刷位置への移動時における前記各
歯車の噛合動作と同期して、前記第1、第2の回転防止
機構による回転防止動作を解除する。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
面に基づいて説明する。図1はこの発明に係る印刷装置
の側面概要図である。
【0026】この印刷装置は、第1、第2の版胴11、
12に保持された画像が記録されていない印刷版に画像
を記録して製版した後、この印刷版に供給されたインキ
を第1、第2のブランケット胴13、14を介して圧胴
15に保持された印刷用紙に転写することにより印刷を
行うものである。
【0027】この印刷装置は、図1において実線で示す
第1の印刷位置と二点鎖線で示す画像記録位置との間を
移動可能な第1の版胴11と、図1において実線で示す
第2の印刷位置と上記画像記録位置との間を移動可能な
第2の版胴12とを有する。
【0028】第1の印刷位置に移動した第1の版胴11
の周囲には、印刷版に例えばブラック(K)のインキを
供給するためのインキ供給装置20aと、印刷版に例え
ばマゼンタ(M)のインキを供給するためのインキ供給
装置20bと、印刷版に湿し水を供給するための湿し水
供給装置21a、21bとが配置されている。また、第
2の印刷位置に移動した第2の版胴12の周囲には、印
刷版に例えばシアン(C)のインキを供給するためのイ
ンキ供給装置20cと、印刷版に例えばイエロー(Y)
のインキを供給するためのインキ供給装置20dと、印
刷版に湿し水を供給するための湿し水供給装置21c、
21dとが配置されている。さらに、画像記録位置に移
動した第1の版胴11または第2の版胴12の周囲に
は、給版部23と、排版部24と、画像記録装置25
と、現像処理装置26とが配置されている。
【0029】また、この印刷装置は、第1の版胴11と
当接可能に設けられた第1のブランケット胴13と、第
2の版胴12と当接可能に設けられた第2のブランケッ
ト胴14と、第1、第2のブランケット胴13、14に
対して互いに異なる位置で当接可能に設けられた圧胴1
5と、給紙部27から供給された印刷用紙を圧胴15に
渡すための給紙胴16と、圧胴15から受け取った印刷
済の印刷用紙を排紙部28に排出するためのチェーン1
9を巻回した排紙胴17と、ブランケット洗浄装置29
とを有する。
【0030】上記第1、第2の版胴11、12は、それ
ぞれ後述する第1、第2の版胴移動機構31、32と連
結されており、この第1、第2の版胴移動機構31、3
2の駆動により、上述した第1または第2の印刷位置と
画像記録位置との間を往復移動する。
【0031】また、後述するように、第1、第2の版胴
11の側方には、各々、第1、第2の版胴11と同芯状
に配置された歯車51が付設されており、第1、第2の
ブランケット胴13、14の側方には、各々、第1、第
2のブランケット胴13、14と同芯状に配置された歯
車52が付設されている。そして、第1の版胴11が第
1の印刷位置に移動した場合においては、第1の版胴1
1に付設された歯車51と第1のブランケット胴13に
付設された歯車52とが互いに噛合するよう構成されて
いる。同様に、第2の版胴12が第2の印刷位置に移動
した場合においては、第2の版胴12に付設された歯車
51と第2のブランケット胴14に付設された歯車52
とが互いに噛合するよう構成されている。
【0032】このため、第1の版胴11は、第1の印刷
位置において、第1のブランケット胴13と同期して回
転する。同様に、第2の版胴12は、第2の印刷位置に
おいて、第2のブランケット胴14と同期して回転す
る。
【0033】さらに、画像記録位置近傍には、後述する
トラクション方式の版胴回転機構30が配設されてお
り、第1、第2の版胴11、12は、いずれも、画像記
録位置に移動した状態において、この版胴回転機構30
の駆動により回転する。
【0034】図2は上述した第1、第2の版胴移動機構
31、32の正面図であり、図3は第1の版胴移動機構
31における軸受部33付近を示す側断面図である。な
お、第1、第2の版胴移動機構31、32は、互いに対
称形をなす同様の構成を有することから、第1、第2の
版胴移動機構31、32において共通する部材について
は同一の符号を付している。
【0035】第1、第2の版胴移動機構31、32は、
第1、第2の版胴11、12の支軸36を軸支する一対
の軸受34を含む軸受部33を移動させるために、側板
37に穿設された溝孔38を有する(なお、図2におい
ては溝孔38のみを示し、側板37の図示はこれを省略
している)。この軸受部33は、ガイド部材39に沿っ
て移動可能なスライドホルダ41と連結されている。ま
た、このスライドホルダ41には、ナット42が配設さ
れている。このナット42は、モータ35の駆動軸に連
結されたボールネジ44と螺合している。
【0036】このため、第1の版胴11は、モータ35
の駆動により、スライドホルダ41とともに移動可能と
なっている。そして、第1の版胴11はガイド部材39
およびボールネジ44に沿って、図1において実線で、
また、図2において二点鎖線で示す第1の印刷位置と、
図1において二点鎖線で、また、図2において実線で示
す画像記録位置との間を移動する。同様に、第2の版胴
12は、モータ35の駆動により、スライドホルダ41
とともに移動可能となっている。そして、第2の版胴1
2は、ガイド部材39およびボールネジ44に沿って、
図1および図2において実線で示す第2の印刷位置と、
図1において二点鎖線で、また、図2において実線で示
す画像記録位置との間を移動する。
【0037】なお、側板37における上記第1、第2の
印刷位置付近には、軸受部33を固定するための固定部
材43が配設されている。第1の版胴11はこの固定部
材43により第1の印刷位置で位置決め、固定され、第
2の版胴12はこの固定部材43により第2の印刷位置
で位置決め、固定される。
【0038】第1、第2の版胴11、12には、各々、
第1、第2の版胴移動機構31、32による第1、第2
の版胴11、12の移動時に、この第1、第2の版胴1
1、12の回転を防止するための後述する回転防止機構
が配設されている。
【0039】この回転防止機構を利用して第1、第2の
版胴11、12の回転を防止するのは、以下の理由によ
る。すなわち、第1、第2の版胴11、12と第1、第
2のブランケット胴13、14やその他の部材との回転
位置関係にずれが生じた場合には、印刷の位置ずれや部
品間の衝突という問題が発生するため、この位置関係は
常に一定である必要がある。この時、画像記録位置にお
いて、第1、第2の版胴11、12に保持された印刷版
に対し後述する画像記録装置25により画像の記録を行
う際には、第1、第2の版胴11、12の回転角度位置
は後述するフォトカプラ87やロータリエンコーダ等に
より監視されている。しかしながら、画像記録位置から
第1、第2の印刷位置までの移動時に、第1、第2の版
胴11、12が回転してしまい、第1、第2の版胴1
1、12と第1、第2のブランケット胴13、14等と
の回転位置関係にずれが生じてしまう場合がある。この
ため、回転防止機構を利用して、第1、第2の版胴1
1、12の移動時における第1、第2の版胴11、12
の回転を防止しているのである。
【0040】この回転防止機構は、第1、第2の版胴1
1、12の支軸36に連結され、その外周の一部に切欠
部を有する円盤状の回転板46と、この回転板46の切
欠部と係合することにより回転板46の回転を規制する
回転防止部材47と、第1、第2の印刷位置において回
転板46の切欠部に対する回転防止部材47の係合を解
除するため第1、第2の印刷位置付近に各々配設された
解除部材48と、画像記録位置において回転板46の切
欠部に対する回転防止部材47の係合を解除するため画
像記録位置付近に配設された解除部材49とを備える。
【0041】図4は、第1の版胴11に配設された回転
防止部材47と第1の印刷位置に配設された解除部材4
8との関係を示す概要図である。この回転防止部材47
は、軸受部33に配設された軸53を中心に揺動可能な
レバー54と、レバー54の表面側に立設された係合ピ
ン55と、レバー54に対して係合ピン55の裏面側に
立設された案内ピン56と、軸53に対して案内ピン5
6の反対側に配設された押圧ピン57と、レバー54を
揺動させて係合ピン55を回転板46方向に付勢するた
めのバネ58とを備える。一方、前記解除部材48は、
案内ピン56を案内するための傾斜面59を有するカム
部材から構成される。
【0042】なお、第2の版胴12にも上記同様の回転
防止部材47が配設されており、第2の印刷位置にも上
記同様の解除部材48が配設されている。
【0043】一方、図7は、第1の版胴11が画像記録
位置に移動した状態における回転防止部材47と画像記
録位置に配設された解除部材49との関係を示す概要図
である。この解除部材49は、画像記録位置に移動した
第1の版胴11における回転防止部材47の押圧ピン5
7を下方に押圧するための、エアシリンダ61により往
復移動する押圧板62を備える。
【0044】なお、第2の版胴12が画像記録位置に移
動した場合においては、第2の版胴12に配設された回
転防止部材47の押圧ピン57が解除部材49における
押圧板62により押圧される。
【0045】図8は、上述した版胴回転機構30付近の
正面図であり、図9はその要部を示す側断面図である。
この版胴回転機構30は、画像記録位置において第1、
第2の版胴11、12を回転させるためのものであり、
第1、第2の版胴11、12に対して上述した回転防止
機構とは逆側に配設されている。なお、図9において
は、伝動ロータ78およびその移動機構等は図示を省略
している。
【0046】この版胴回転機構30は、モータ75の駆
動により回転する駆動ローラ76と、第1の版胴11ま
たは第2の版胴12の支軸36に連結されることにより
第1の版胴11または第2の版胴12と同芯状に配設さ
れた第1、第2の従動ローラ77と、駆動ローラ76か
ら第1の版胴11または第2の版胴12と同芯状に配設
された第1、第2の従動ローラ77のうちのいずれかの
従動ローラ77(以下、単に「従動ローラ77」とい
う)に駆動を伝達するための伝動ローラ78とを有す
る。
【0047】駆動ローラ76の下端部は、オイルパン7
9に貯留されたオイル中に浸漬されている。また、従動
ローラ77は、上述したように、第1の版胴11または
第2の版胴12の支軸36を介して第1の版胴11また
は第2の版胴12と同芯状に配設されており、第1の版
胴11または第2の版胴12と同期して回転する。さら
に、伝動ローラ78は、支持部材91にその基端部を軸
92を介して揺動可能に連結されたエアシリンダ80の
シリンダロッド先端部に回転可能に支持されており、エ
アシリンダ80の駆動により、前記駆動ローラ76およ
び従動ローラ77の両者に圧接する駆動伝達位置と駆動
ローラ76および従動ローラ77の表面から離隔する退
避位置との間を移動可能となっている。
【0048】このため、伝動ローラ78を駆動伝達位置
に移動させて状態でモータ75の駆動により駆動ローラ
76を一定の速度で回転させることにより、この駆動ロ
ーラ76の回転が伝動ローラ78を介して従動ローラ7
7に伝達され、第1の版胴11が一定速度で回転する。
このとき、モータ75による駆動力は、駆動ローラ76
と従動ローラ77と伝動ローラ78との間の摩擦力を利
用したトラクション方式の駆動伝達機構により第1の版
胴11または第2の版胴12に伝達されることから、第
1の版胴11または第2の版胴12を、回転ムラを生ず
ることなく正確に回転させることが可能となる。
【0049】このとき、特に、上述した実施の形態にお
いては、伝動ローラ78が、駆動ローラ76および従動
ローラ77の両者に圧接する駆動伝達位置と退避位置の
間を移動可能となっていることから、第1、第2の版胴
11、12が画像記録位置に移動した後、伝動ローラ7
8を駆動ローラ76および従動ローラ77の両者に圧接
させることにより、伝動ローラ78、駆動ローラ76お
よび従動ローラ77間に滑りを生ずることなく、第1、
第2の版胴11、12を正確に回転させることが可能と
なる。
【0050】従って、この実施の形態に係る印刷装置の
ように、第1、第2の版胴11、12の画像記録位置と
第1、第2の印刷位置との間の移動に伴って、従動ロー
ラ77が互いに異なる方向に移動する構成を有する場合
であっても、第1、第2の版胴11、12が画像記録位
置に移動した後、伝動ローラ78を駆動ローラ76およ
び従動ローラ77の両者に圧接する駆動伝達位置に移動
させることにより、伝動ローラ78を駆動ローラ76の
みならず画像記録位置に移動した各従動ローラ77に確
実に圧接させることができ、伝動ローラ78、駆動ロー
ラ76および従動ローラ77間に滑りを生ずることな
く、第1、第2の版胴11、12を正確に回転させるこ
とが可能となる。
【0051】なお、従動ローラ77には、第1、第2の
版胴11、12を所定の角度位置において位置決め、固
定するためのVブロックからなる4個の位置決め部材8
1a、81b、81c、81dが配設されている。この
位置決め部材81a、81b、81c、81dは、エア
シリンダ82の駆動により軸83を中心に揺動するレバ
ー84の先端に配設された係止ピン85と係合すること
により、従動ローラ77を介して第1、第2の版胴1
1、12を所定の回転角度位置において位置決め、固定
するために使用される。
【0052】また、従動ローラ77には、この従動ロー
ラ77の回転角度位置を検出するために使用される検出
板86が立設されており、また、側板37にはこの検出
板86を検出するためのフォトカプラ87が配設されて
いる。そして、従動ローラ77の回転角度位置、すなわ
ち、第1、第2の版胴11、12の回転角度位置は、フ
ォトカプラ87による検出板86の検出信号と、第1、
第2の版胴11、12の支軸36に連結され第1、第2
の版胴11、12の回転に伴ってパルス信号を発生する
図示しないロータリエンコーダとにより監視されてい
る。
【0053】さらに、第1、第2の版胴11、12の支
軸36には、遮光板88が付設されている。
【0054】次に、上述した回転防止機構による第1、
第2の版胴11、12に対する回転防止動作、および、
上述したトラクション方式の版胴回転機構30による第
1、第2の版胴11、12の回転駆動動作について説明
する。なお、以下の説明においては、第1の版胴11に
対する回転防止動作および回転駆動動作について説明す
るが、第2の版胴12に対する回転防止動作および回転
駆動動作も同様の行程により実行される。
【0055】図4に示すように、第1の版胴11が第1
の印刷位置に位置する状態においては、第1の版胴11
と同芯状に配設された歯車51と第1のブランケット胴
13と同芯状に配設された歯車52とは互いに噛合して
いる。
【0056】この状態において、図5に示すように、第
1の版胴移動機構31により第1の版胴11が第1の印
刷位置から画像記録位置へ移動を開始すれば、第1の版
胴11と同芯状に配設された歯車51と第1のブランケ
ット胴13と同芯状に配設された歯車52との噛合が徐
々に解除される。また、これに伴って、回転防止部材4
7の案内ピン56が解除部材48の傾斜面59に沿って
摺動し、レバー54が軸53を中心に揺動することによ
り、係合ピン55が回転板46における切欠部内に移動
を開始する。
【0057】なお、このとき、第1の版胴11と同芯状
に配設された歯車51と第1のブランケット胴13と同
芯状に配設された歯車52との噛合は完全には解除され
ておらず、また、回転防止部材47による第1の版胴1
1の回転の防止はまだ行われていないので、第1の版胴
11は、図5に示す状態において、反時計方向に回転し
ながら画像記録位置に向けて移動する。このため、歯車
51と52とが衝突して損傷を受けることを防止するこ
とが可能となる。
【0058】そして、図6に示すように、第1の版胴1
1がさらに画像記録位置方向に移動して、第1の版胴1
1と同芯状に配設された歯車51と第1のブランケット
胴13と同芯状に配設された歯車52との噛合が解除さ
れた状態においては、回転防止部材47の案内ピン56
が解除部材48の傾斜面59から完全に離脱し、係合ピ
ン55が回転板46における切欠部内に完全に収納され
る。このため、第1の版胴11の回転が防止される。
【0059】この状態において、第1の版胴11は、第
1の版胴移動機構31の駆動により、図7に示すよう
に、画像記録位置まで移動する。そして、図8に示すよ
うに、版胴回転機構30の伝動ローラ78を、エアシリ
ンダ80の駆動により駆動ローラ76と従動ローラ77
との両者に圧接する駆動伝達位置に移動させる。しかる
後、上述した解除機構49における押圧板62を、エア
シリンダ61の駆動により図7において実線で示す位置
から二点差線で示す位置まで移動させる。これにより、
回転防止部材47の押圧ピン57が下方に向けて移動し
てレバー54が軸53を中心に揺動することにより、係
合ピン55が回転板46における切欠部から離脱する。
これに伴い、第1の版胴11は、回転可能な状態とな
る。
【0060】この状態において、トラクション方式の版
胴回転機構30により第1の版胴11を低速で回転さ
せ、第1の版胴11に対して印刷版を装着した後、画像
記録装置25によりこの印刷版に画像を記録する。そし
て、印刷版に対する画像の記録が終了した後、この印刷
版を現像処理装置26により現像処理する。印刷版に対
する画像の記録および現像処理が終了すれば、第1の版
胴11を、検出板86およびフォトカプラ87等による
検出値を利用して原点位置に復帰させる。そして、版胴
回転機構30の伝動ローラ78をエアシリンダ80の駆
動により退避位置まで移動させると共に、図8に示すエ
アシリンダ82を駆動して位置決め部材81aと係合ピ
ン85とを係合させることにより、従動ローラ77を介
して第1の版胴11を所定の回転角度位置において位置
決め、固定する。
【0061】しかる後、解除機構49における押圧板6
2を、エアシリンダ61の駆動により図7において二点
鎖線で示す位置から実線で示す位置まで移動させる。こ
れにより、回転防止部材47の押圧ピン57が上方に向
けて移動してレバー54が軸53を中心に揺動すること
により、回転防止部材47における係合ピン55が回転
板46における切欠部と係合する。これに伴い、第1の
版胴11の回転が防止される。この後、前記エアシリン
ダ82を駆動して、位置決め部材81aと係合ピン85
との係合を解く。
【0062】続いて、第1の版胴移動機構31の駆動に
より、第1の版胴11を画像記録位置から第1の印刷位
置に移動させる。この第1の版胴11の移動に伴い、図
4〜図6に示す第1の版胴11の第1の印刷位置から画
像記録位置への移動時とは逆の動作により、回転防止部
材47における係合ピン55と回転板46における切欠
部との係合を解除する。
【0063】すなわち、第1の版胴11の図6に示す位
置から図5に示す位置への移動に伴い、回転防止部材4
7の案内ピン56が解除部材48の傾斜面59に沿って
摺動し、レバー54が軸53を中心に揺動することによ
り、係合ピン55が回転板46における切欠部内から外
方向に移動する。また、これと同時に、第1の版胴11
と同芯状に配設された歯車51と第1のブランケット胴
13と同芯状に配設された歯車52との噛合動作が開始
される。
【0064】なお、このとき、第1の版胴11と同芯状
に配設された歯車51と第1のブランケット胴13と同
芯状に配設された歯車52との噛合動作の開始に伴い、
前記回転防止部材47による第1の版胴11の回転の防
止が解除され、第1の版胴11は、図5に示す状態にお
いて、時計方向に回転しながら第1の印刷位置に向けて
移動する。このため、歯車51と52とが衝突して損傷
を受けることを防止することが可能となる。
【0065】そして、図4に示すように、第1の版胴1
1が第1の印刷位置まで復帰すれば、第1の版胴11と
同芯状に配設された歯車51と第1のブランケット胴1
3と同芯状に配設された歯車52とは完全に噛合する。
【0066】再度図1を参照して、画像記録位置に移動
した第1の版胴11または第2の版胴12の周囲には、
給版部23と排版部24とが配置されている。
【0067】給版部23には、画像が記録されていない
長尺ロール状の印刷版を光密な状態で収納する供給カセ
ット63と、この供給カセット63から引き出した印刷
版の先端部を第1の版胴11または第2の版胴12の表
面に案内するためのガイド部材64およびガイドローラ
65と、長尺の印刷版を切断してシート状の印刷版とす
るためのカッター66とが配設されている。また、第
1、第2の版胴11、12には、給版部23より供給さ
れた印刷版の先端部と後端部とをくわえるための図示し
ない一対のくわえ爪が配設されている。
【0068】排版部24は、印刷完了後に第1の版胴1
1または第2の版胴12上に保持された印刷版を剥がす
ための爪機構73と、爪機構73の作用により剥がされ
た印刷版を排出カセット68に搬送するためのコンベア
機構69とを有する。
【0069】給版部23における供給カセット63から
引き出された印刷版の先端部は、ガイドローラ65およ
びガイド部材64により案内され、第1の版胴11また
は第2の版胴12一方のくわえ爪にくわえられる。そし
て、第1の版胴11または第2の版胴12が版胴回転機
構30の駆動により回転し、印刷版が第1の版胴11ま
たは第2の版胴12の外周部に巻き付けられる。そし
て、カッター66で切断された印刷版の後端部は、他方
のくわえ爪によりくわえられる。この状態において、前
述したように、版胴回転機構30の駆動により第1の版
胴11または第2の版胴12を低速で回転させながら、
画像記録装置25により第1の版胴11または第2の版
胴12の外周部に保持された印刷版の表面に変調された
レーザビームを照射し、画像を記録する。
【0070】なお、第1の版胴11の外周部に装着され
た印刷版Pには、画像記録装置25により、図10
(a)に示すように、ブラックのインキで印刷を行うた
めの画像領域67aと、マゼンタのインキで印刷を行う
ための画像領域67bとが記録される。また、第2の版
胴12の外周部に装着された印刷版Pには、画像記録装
置25により、図10(b)に示すように、シアンのイ
ンキで印刷を行うための画像領域67cと、イエローの
インキで印刷を行うための画像領域67dとが記録され
る。画像領域67aと画像領域67bとは、第1の版胴
11の外周部に装着された状態において、均等に振り分
けられた状態(すなわち互いに180度離隔した状態)
となる位置に記録される。同様に、画像領域67cと画
像領域67dとは、第2の版胴12の外周部に装着され
た状態において、均等に振り分けられた状態(すなわち
互いに180度離隔した状態)となる位置に記録され
る。
【0071】なお、上述した実施の形態においては、第
1の版胴11または第2の版胴12の構成を簡易化する
ために、第1の版胴11または第2の版胴12の外周部
に保持した1枚の印刷版Pに各々2個の画像領域67
a、67bまたは67c、67dを設けている。しかし
ながら、第1の版胴11または第2の版胴12に先端部
保持用と後端部保持用のくわえ爪を各々2組配設するこ
とにより、第1の版胴11または第2の版胴12の各々
に2枚の印刷版Pを保持させる構成としてもよい。この
場合においても、各印刷版Pによる画像領域が均等に振
り分けられた状態(すなわち互いに180度離隔した状
態)となるように、各々2枚の印刷版Pを均等に振り分
けた状態で第1の版胴11または第2の版胴12上に保
持させる必要がある。
【0072】再度図1を参照して、上述したように、第
1の印刷位置に移動した第1の版胴11の周囲には、イ
ンキ供給装置20aとインキ供給装置20bとが、ま
た、第2の印刷位置に移動した第2の版胴12の周囲に
は、インキ供給装置20cとインキ供給装置20dとが
配置されている。これらのインキ供給装置20a、20
b、20cおよび20d(これらを総称する場合には
「インキ供給装置20」という)は、各々、複数のイン
キローラ71とインキつぼ72とを有する。
【0073】インキ供給装置20a、20bのインキロ
ーラ71は、図示しないカム等の作用で揺動動作を行
う。そして、この揺動動作により、第1の版胴11の外
周部に保持した印刷版Pに形成された2個の画像領域6
7a、67bのうちの任意の画像領域に、インキ供給装
置20aまたは20bのインキローラ71が接触するこ
とにより、必要な画像領域にのみインキを供給しうる構
成となっている。また、同様に、インキ供給装置20
c、20dのインキローラ71も、図示しないカム等の
作用で揺動動作を行う。そして、この揺動動作により、
第2の版胴12の外周部に保持した印刷版Pに形成され
た2個の画像領域67c、67dのうちの任意の画像領
域に、インキ供給装置20cまたは20dのインキロー
ラ71が接触することにより、必要な画像領域にのみイ
ンキを供給しうる構成となっている。
【0074】再度図1を参照して、湿し水供給装置21
a、21b、21cおよび21d(これらを総称する場
合には「湿し水供給装置21」という)は、上記インキ
供給装置20により印刷版Pにインキを供給する前に、
印刷版Pに湿し水を供給するものである。これらの湿し
水装置21のうち、湿し水供給装置21aは印刷版Pに
おける画像領域67aに、湿し水供給装置21bは印刷
版Pにおける画像領域67bに、湿し水供給装置21c
は印刷版Pにおける画像領域67cに、また、湿し水供
給装置21dは印刷版Pにおける画像領域67dに、各
々湿し水を供給する。
【0075】画像記録位置に移動した第1の版胴11ま
たは第2の版胴12の下方には、上述した現像処理装置
26が配設されている。この現像処理装置26は、現像
部、定着部および絞り部を有し、図1において二点鎖線
で示す待機位置と実線で示す現像処理位置との間を昇降
可能に構成されている。
【0076】この現像処理装置26によって画像記録装
置25により画像が記録された印刷版Pを現像処理する
場合においては、版胴回転機構30の駆動により第1の
版胴11または第2の版胴とともに回転する印刷版Pに
対して、現像部、定着部および絞り部を順次接触させ
る。
【0077】第1、第2の版胴11、12と当接可能に
設けられた第1、第2のブランケット胴13、14は、
第1、第2の版胴11、12と同一の直径を有し、その
外周部にはインキ転写用のブランケットが装着されてい
る。そして、この第1、第2のブランケット胴13、1
4は、第1、第2の版胴11、12および圧胴15に対
し、後述する胴入れ機構により接離自在な構成となって
いる。
【0078】図11は、上記第1のブランケット胴13
の胴入れ機構を示す概要図である。なお、第2のブラン
ケット胴14の胴入れ機構も、図11に示す第1の版胴
13の胴入れ機構と同様の構成を有する。
【0079】第1のブランケット胴13を回転自在に支
持する軸101の側方には軸101とは中心が異なる偏
芯軸102が連設されている。また、偏芯軸102の周
囲には、軸101、102とさらに中心が異なる偏芯軸
受103が配設されている。このため、図11に示すよ
うに、軸101の中心(すなわち第1のブランケット胴
13の中心)104と、偏芯軸102の中心105と、
偏芯軸受103の中心106は、各々異なる位置に配置
される。
【0080】偏芯軸102に固設された固定板107と
偏芯軸受103に固設された固定板108とは、リンク
機構を構成する2枚の連結板111、112により連結
されている。そして、2枚の連結板111、112の連
結部分にはエアシリンダ113のシリンダロッド114
先端部が接続されている。また、エアシリンダ113本
体は、軸115を中心に回動する回動板116の一端に
連結されている。さらに、この回動板116の他端は、
ロッド117を介して偏芯軸受103に固設された固定
板118と連結されている。
【0081】また、回動板116と偏芯部材119の軸
120とは、リンク機構を構成する2枚の連結板12
1、122により連結されている。そして、2枚の連結
板121、122の連結部分には装置本体に固定された
エアシリンダ123のシリンダロッド124先端部が接
続されている。さらに、偏芯部材119と接続するウォ
ームホイル125は、モータ126の駆動により回転す
るウォームギヤ127と螺合している。
【0082】このような構成において、各エアシリンダ
113および123のシリンダロッド114、124が
伸びた状態においては、図11に示すように、第1のブ
ランケット胴13の表面と第1の版胴11および圧胴1
5の表面とはわずかな距離だけ離隔している。
【0083】この状態で、エアシリンダ113の駆動に
よりそのシリンダロッド114を縮めた場合には、2枚
の連結板111、112等によるリンク機構の作用によ
り、第1のブランケット胴13は第1の版胴11方向へ
移動し、第1の版胴11への胴入れがなされる。
【0084】この状態において、エアシリンダ123の
駆動によりそのシリンダロッド124を縮めた場合に
は、2枚の連結板121、122等により構成されるリ
ンク機構の作用により、第1のブランケット胴13は圧
胴15方向へ移動し、圧胴15への胴入れがなされる。
このとき、回動板116も軸115を中心に時計方向に
回転することから、第1のブランケット胴13は圧胴1
5方向のみならず第1の版胴11方向へも移動する。従
って、第1のブランケット胴13における第1の版胴1
1への胴入れ状態は維持される。
【0085】なお、偏芯部材119を回転させた場合に
は、偏芯部材119の軸120が微動する。このため、
偏芯部材119と接続するウォームホイル125をモー
タ126の駆動により回転させ、軸120を微動させる
ことにより、圧胴15および第1の版胴11と第1のブ
ランケット胴13との接触圧を調整することができる。
従って、第1のブランケット胴13を使用した印刷時に
おける印圧を調整することが可能となる。
【0086】再度図1を参照して、第1、第2のブラン
ケット胴13、14の間に配設されたブランケット洗浄
装置29は、巻き出しロールから複数の圧接ローラを介
して巻き取りロールに至る経路に貼張された長尺の洗浄
布に洗浄液を供給し、この洗浄布を第1、第2のブラン
ケット胴13、14に対して当接させた上、摺動させる
ことにより、第1、第2のブランケット胴13、14の
表面を洗浄するものである。なお、上記洗浄布を圧胴1
5の表面にも接触させることにより、圧胴15の表面を
も洗浄する構成としてもよい。
【0087】第1、第2のブランケット胴13、14と
当接可能に設けられた圧胴15は、第1、第2の版胴1
1、12および第1、第2のブランケット胴13、14
の直径の1/2の直径を有する。また、圧胴15は、印
刷用紙の先端を保持して搬送するための図示しないグリ
ッパを有する。
【0088】また、圧胴15に隣接して配設された給紙
胴16は、圧胴15と同一の直径を有する。この給紙胴
16は、往復移動する吸着盤74により給紙部27から
1枚ずつ供給された印刷用紙の先端部を図示しないグリ
ッパにより保持して搬送する。グリッパにより保持され
た印刷用紙の先端部は、給紙胴16から圧胴15への印
刷用紙の受け渡し時に、圧胴15のグリッパにより保持
される。
【0089】また、圧胴15に隣接して配設された排紙
胴17は、圧胴15と同一の直径を有する。この排紙胴
17は、その両端部に一対のチェーン19を巻回した構
造を有し、この一対のチェーン19を連結する図示しな
い連結部材上に、各々グリッパが配設されている。圧胴
15のグリッパにより保持された印刷用紙の先端部は、
圧胴15から排紙胴17への印刷用紙の受け渡し時に、
排紙胴17のいずれかのグリッパにより保持される。そ
して、この印刷用紙は、チェーン19の移動に伴って排
紙部28上に搬送されて排出される。
【0090】前記給紙胴16は、図示しないベルトを介
して駆動モータと連結されている。そして、給紙胴1
6、圧胴15、排紙胴17、第1、第2のブランケット
胴13、14は、各々その端部に付設された歯車により
連結されている。さらに、第1のブランケット胴13と
第1の印刷位置に移動した第1の版胴11、および、第
2のブランケット胴14と第2の印刷位置に移動した第
2の版胴12とは、上述したように、その端部に付設さ
れた歯車51、52により各々連結されている。従っ
て、図示しない駆動モータの駆動により、これらの給紙
胴16、圧胴15、排紙胴17、第1、第2のブランケ
ット胴13、14、第1、第2の版胴11、12は、互
いに同期して回転する。
【0091】図12は、この印刷装置の主要な電気的構
成を示すブロック図である。この印刷装置は、装置の制
御に必要な動作プログラムが格納されたROM141
と、制御時にデータ等が一時的にストアされるRAM1
42と、論理演算を実行するCPU143とからなる制
御部140を備える。この制御部は140は、インタフ
ェース144を介して、インキ供給装置20、画像記録
装置25、現像処理装置26、ブランケット洗浄装置2
9、第1、第2の版胴移動機構31、32、第1、第2
のブランケット胴13、14の胴入れ機構等における駆
動部等の駆動信号を発生させる駆動回路145と接続さ
れている。印刷装置はこの制御部140により制御さ
れ、後述する製版動作および印刷動作を実行する。
【0092】次に、この印刷装置による製版および印刷
動作について説明する。図13は、この印刷装置による
製版および印刷動作の概要を示すフローチャートであ
る。なお、この印刷および製版動作は、印刷用紙にイエ
ロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のインキで多
色印刷を行う場合のものである。
【0093】まず、第1、第2の版胴11、12上にお
いて印刷版Pに画像を記録し、現像処理を行う製版工程
を実行する(ステップS1)。この製版工程は、サブル
ーチンとしての図14のフローチャートに示す工程に従
って実行される。
【0094】すなわち、最初に第1の版胴11を、図1
において二点鎖線で示す製版位置に移動させる(ステッ
プS11)。この第1の版胴11の移動は、図2に示す
第1の版胴移動機構31のモータ35の駆動により、ス
ライドホルダ41をガイド部材39に沿って移動させる
ことにより実行される。
【0095】次に、第1の版胴11の外周に印刷版Pを
供給する(ステップS12)。この印刷版Pの供給は、
供給カセット63から引き出した印刷版Pの先頭部とカ
ッター66で切断された印刷版Pの後端部とを図示しな
い一対のくわえ爪でくわえることにより実行される。
【0096】続いて、第1の版胴11の外周に保持され
た印刷版Pに画像を記録する(ステップS13)。この
画像の記録は、版胴回転機構30により第1の版胴11
を低速で回転させるとともに、画像記録装置25から第
1の版胴11の外周に保持された印刷版Pに変調された
レーザビームを照射することにより実行される。
【0097】次に、画像が記録された印刷版Pを現像処
理する(ステップS14)。この現像処理は、現像処理
装置26を図1において二点鎖線で示す待機位置から実
線で示す現像処理位置まで上昇させた後、版胴回転機構
30の駆動により第1の版胴11とともに回転する印刷
版Pに対して、現像部、定着部および絞り部を順次接触
させることにより実行される。
【0098】上記現像処理が終了すれば、第1の版胴1
1を図1において実線で示す第1の印刷位置まで移動さ
せる(ステップS15)。
【0099】続いて、上記ステップS11〜15と同様
の動作により、第2の版胴12の外周に保持される印刷
版Pに対する製版工程を実行する(ステップS16〜2
0)。 そして、第1、第2の版胴11、12の外周に
保持される印刷版Pへの製版が終了すれば、製版工程を
終了する。
【0100】再度図13を参照して、製版工程が完了す
れば、第1、第2の版胴11、12上の印刷版Pを用い
て印刷用紙に印刷を行う印刷工程を実行する(ステップ
S2)。この印刷工程における印刷装置の動作について
は、後程詳細に説明する。
【0101】印刷工程が終了すれば、印刷に使用した印
刷版Pを排出する(ステップS3)。この印刷版Pの排
出を行うためには、最初に第1の版胴11を、図1にお
いて二点鎖線で示す製版位置に移動させる。そして、版
胴回転機構30により第1の版胴11を反時計回りに回
転させるとともに、第1の版胴11上に保持された印刷
版Pの端部を爪機構73により剥がした後、この印刷版
Pをコンベア機構69により案内して、排出カセット6
8内に排出する。そして、第1の版胴11を第1の印刷
位置に復帰させた後、第2の版胴12を第2の印刷位置
から製版位置に移動させ、上記同様の動作を実行するこ
とにより、第2の版胴12上に保持された印刷版Pを排
出カセット68内に排出する。
【0102】印刷版Pの排出工程が完了すれば、第1、
第2のブランケット胴13、14を洗浄する(ステップ
S4)。この第1、第2のブランケット胴13、14の
洗浄時には、図11に示す胴入れ機構により、第1、第
2のブランケット胴13、14を第1、第2の版胴1
1、12および圧胴15から離隔させた後、第1、第2
のブランケット胴13、14を回転させる。この状態に
おいて、ブランケット洗浄装置29における洗浄液を供
給された洗浄布を第1、第2のブランケット13、14
の表面に当接させた上、摺動させることにより、第1、
第2のブランケット胴13、14を洗浄する。
【0103】第1、第2のブランケット胴13、14の
洗浄が終了すれば、さらに別の印刷物の印刷作業を行う
か否かを確認する(ステップS5)。他の印刷作業を行
う場合には、ステップ1〜4の動作を繰り返す。
【0104】印刷作業が終了した場合には、インキの洗
浄を行う(ステップS6)。このインキの洗浄は、各イ
ンキ供給装置20に配設された図示しないインキ洗浄装
置により、各インキ供給装置20におけるインキローラ
71やインキつぼ72に付着するインキを除去および洗
浄することにより実行される。
【0105】インキの洗浄工程が終了すれば、全ての工
程を完了する。
【0106】次に、上述した印刷工程における印刷装置
の動作について説明する。図15〜20は、この印刷装
置の印刷動作を示す説明図である。なお、これらの図に
おいては、説明の便宜上、印刷用紙Sの長さと圧胴1
5、給紙胴16および排紙胴17の周長とを同一である
ものとして表現しているが、実際には、印刷用紙Sの長
さは圧胴15、給紙胴16および排紙胴17の周長より
短くなっている。
【0107】なお、以下に述べる印刷動作は、上述した
ように、印刷用紙にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラ
ックの4色のインキで多色印刷を行う場合のものであ
る。また、図15〜20においては、説明の便宜上、第
1の版胴11および第1のブランケット胴13のうちブ
ラックのインキの印刷に使用される側の領域に符号K
を、また、第1の版胴11および第1のブランケット胴
13のうちマゼンタのインキの印刷に使用される側の領
域に符号Mを付し、また、第2の版胴12および第2の
ブランケット胴14のうちシアンのインキの印刷に使用
される側の領域に符号Cを、また、第2の版胴12およ
び第2のブランケット胴14のうちイエローのインキの
印刷に使用される側の領域に符号Yを付している。
【0108】印刷工程に先立つ製版工程において、先に
説明したように、第1の版胴11の外周部に装着された
印刷版Pには、図10(a)に示すように、ブラックの
インキで印刷を行うための画像領域67aと、マゼンタ
のインキで印刷を行うための画像領域67bとが記録さ
れており、第2の版胴12の外周部に装着された印刷版
Pには、図10(b)に示すように、シアンのインキで
印刷を行うための画像領域67cと、イエローのインキ
で印刷を行うための画像領域67dとが記録されている
ものとする。
【0109】また、上述したように、インキ供給装置2
0aにはブラックのインキを、インキ供給装置20bに
はマゼンタのインキを、インキ供給装置20cにはシア
ンのインキを、インキ供給装置20dにはイエローのイ
ンキを各々供給しておき、図10に示す印刷版Pの画像
領域67aにはインキ供給装置20aからブラックのイ
ンキが、画像領域67bにはインキ供給装置20bから
マゼンタのインキが、画像領域67cにはインキ供給装
置20cからシアンのインキが、さらに、画像領域67
dにはインキ供給装置20dからイエローのインキが、
各々供給されるようにしておく。
【0110】先ず、各湿し水供給装置21および各イン
キ供給装置20を第1、第2の版胴11、12上に保持
された印刷版Pのうちの対応する画像領域とのみ当接さ
せる。これにより、各画像領域67a、67b、67
c、67dには対応する湿し水供給装置21a、21
b、21c、21dから湿し水が供給されるとともに、
画像領域67aにはインキ供給装置20aから、画像領
域67bにはインキ供給装置20bから、画像領域67
cにはインキ供給装置20cから、画像領域67dには
インキ供給装置20dから、各々ブラック、マゼンタ、
シアン、イエローのインキが供給される。そして、この
インキは、第1、第2のブランケット胴13、14の対
応する領域に転写される。
【0111】この動作を繰り返すことにより、第1、第
2の版胴11、12上の印刷版Pおよび第1、第2のブ
ランケット胴13、14へのインキの供給がなされる。
このインキの供給動作は、印刷工程が完了するまで繰り
返し実行される。
【0112】第1、第2の版胴11、12上の印刷版P
および第1、第2のブランケット胴13、14へのイン
キの供給が完了すれば、図15に示すように、印刷用紙
Sを給紙胴16に供給する。この印刷用紙Sは、給紙胴
16から圧胴15に渡される。
【0113】そして、圧胴15がさらに回転し、圧胴1
5の外周に保持された印刷用紙Sの先端が第1のブラン
ケット胴13と対向する位置まで移動すれば、図11に
示す胴入れ機構の作用により、第1のブランケット胴1
3を圧胴15に当接する胴入れ状態とする。この状態に
おいては、図16に示すように、印刷用紙Sの先端部
は、第1のブランケット胴13表面におけるブラックの
インキの印刷に使用される側の領域の端部と当接する。
そして、第1のブランケット胴13表面におけるブラッ
クのインキの印刷に使用される側の領域には、第1の版
胴11に保持された印刷版Pにおける画像領域67aか
らブラックのインキが転写されている。このため、第1
のブランケット胴13および圧胴15がさらに回転する
ことにより、印刷用紙Sにはブラックのインキが転写さ
れる。
【0114】圧胴15がさらに回転し、圧胴15の外周
に保持された印刷用紙Sの先端が第2のブランケット胴
14と対向する位置まで移動すれば、図11に示す胴入
れ機構の作用により、第2のブランケット胴14を圧胴
15に当接する胴入れ状態とする。この状態において
は、図17に示すように、印刷用紙Sの先端部は、第2
のブランケット胴14表面におけるシアンのインキの印
刷に使用される側の領域の端部と当接する。そして、第
2のブランケット胴14表面におけるシアンのインキの
印刷に使用される側の領域には、第2の版胴12に保持
された印刷版Pにおける画像領域67cからシアンのイ
ンキが転写されている。このため、第2のブランケット
胴14および圧胴15がさらに回転することにより、既
にブラックのインキが転写された印刷用紙Sには、さら
にシアンのインキが転写される。
【0115】この状態において、圧胴15が第1、第2
のブランケット胴13、14とともに回転を続けると、
図18に示すように、印刷用紙Sは圧胴15の外周部に
完全に巻回された状態となる。そして、圧胴15は、第
1、第2の版胴11、12および第1、第2のブランケ
ット胴13、14の1/2の直径を有することから、圧
胴15の外周部に巻回された印刷用紙Sは、2回転目に
おいては、第1のブランケット胴13表面におけるマゼ
ンタのインキの印刷に使用される側の領域と当接する。
そして、第1のブランケット胴13表面におけるマゼン
タのインキの印刷に使用される側の領域には、第1の版
胴11に保持された印刷版Pにおける画像領域67bか
らマゼンタのインキが転写されている。このため、第1
のブランケット胴13および圧胴15がさらに回転する
ことにより、既にブラックおよびシアンのインキが転写
された印刷用紙Sには、さらにマゼンタのインキが転写
される。
【0116】そして、圧胴15がさらに回転すれば、印
刷用紙Sは、第2のブランケット胴14表面におけるイ
エローのインキの印刷に使用される側の領域の端部と当
接する。そして、第2のブランケット胴14表面におけ
るイエローのインキの印刷に使用される側の領域には、
第2の版胴12に保持された印刷版Pにおける画像領域
67dからイエローのインキが転写されている。このた
め、第2のブランケット胴14および圧胴15がさらに
回転することにより、既にブラック、シアンおよびマゼ
ンタのインキが転写された印刷用紙Sには、さらにイエ
ローのインキが転写され、4色の印刷が完了する。
【0117】4色の印刷が終了した印刷用紙Sの先端部
は、図19に示すように、圧胴15から排紙胴17に渡
される。また、次に印刷を行うべき印刷用紙Sが給紙胴
16に供給された後、給紙胴16から圧胴15に渡され
る。
【0118】そして、4色の印刷が終了した印刷用紙S
は、図20に示すように、一対のチェーン19の駆動に
より、排紙胴17のグリッパとともに排紙部28上まで
搬送されて排出される。
【0119】以上説明したように、この印刷装置におい
ては、圧胴15が第1、第2の版胴11、12および第
1、第2のブランケット胴13、14の直径の1/2の
直径を有することから、第1、第2の版胴11、12お
よび第1、第2のブランケット胴13、14が1回転す
る間に圧胴15は2回転する。そして、圧胴15が2回
転する間に、圧胴15の外周部に保持された印刷用紙S
にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色の印刷
が行われる。このため、圧胴15が2回転する度に、給
紙胴16から新しい印刷用紙Sを供給することにより、
4色の印刷を連続して実行することが可能となる。
【0120】なお、この印刷装置において、上記のよう
な4色印刷を行う換わりに、単色印刷等を行うことも可
能である。
【0121】例えば、この印刷機においてブラックのイ
ンキのみで印刷を行う場合においては、第1の版胴11
に保持される印刷版Pにおける画像領域67a、67b
に同一の画像を形成する。そして、インキ供給装置20
aが画像領域67a、67bの両方にブラックのインキ
を供給し得るようにする。また、他のインキ供給装置2
0b、20c、20dは、第1、第2の版胴11、12
から離隔させておく。この状態において、圧胴15が1
回転する度に給紙胴16から新しい印刷用紙Sを供給す
る。これにより、圧胴15が1回転する度に、圧胴15
の外周に保持された印刷用紙Sに、同一の画像が形成さ
れた画像領域67aまたは67bからのブラックのイン
キによる画像が転写され、単色印刷を行うことができ
る。
【0122】なお、この場合においては、第2の版胴1
2および第2のブランケット胴14は使用されない。従
って、第2のブランケット胴14は、図11に示す胴入
れ機構により、胴抜き状態としておけばよい。また、第
1の版胴11および第1のブランケット胴13を使用し
て印刷を行っている間に、第2の版胴12を画像記録位
置に移動させ、この位置において第2の版胴12上で製
版行程を実行するようにしてもよい。
【0123】上述した実施の形態においては、回転防止
機構として、第1、第2の版胴11、12の支軸36に
連結された外周の一部に切欠部を有する円盤状の回転板
46と、この回転板46の切欠部と係合することにより
回転板46の回転を規制する回転防止部材47と、回転
板46の切欠部に対する回転防止部材47の係合を解除
するため第1、第2の印刷位置付近に各々配設された解
除部材48と、回転板46の切欠部に対する回転防止部
材47の係合を解除するため画像記録位置付近に配設さ
れた解除部材49とを備えるものを使用しているが、こ
の回転防止機構としては、少なくとも、第1、第2の版
胴移動機構31,32による第1、第2の版胴11、1
2の移動時に、この第1、第2の版胴11、12の回転
を防止しうるものであれば、他の構成のものを採用する
ことも可能である。
【0124】
【発明の効果】請求項1乃至請求項6に記載の発明によ
れば、印刷版に画像を記録して製版した後この印刷版に
インキを供給して印刷を行う印刷装置において、版胴を
画像記録位置と印刷位置との間で移動させることによ
り、印刷版の製版工程で使用される画像記録装置等と印
刷工程で使用されるインキ供給装置等とを互いに干渉す
ることがない別々の位置に配置することができ、また、
回転防止機構で版胴の移動時における版胴の回転を防止
することにより、版胴の回転角度位置の変化による印刷
の位置ずれや部品間の衝突という問題が発生ことを防止
することができる。
【0125】請求項7に記載の発明によれば、さらに、
第1、第2の版胴と同芯状に配設された歯車と第1、第
2のブランケット胴と同芯状に配設された歯車との噛合
および噛合解除動作と、第1、第2の回転防止機構によ
る回転防止動作とを同期して実行することから、前記各
歯車同士の衝突により歯車が損傷を受けることを防止す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る印刷装置の側面概要図である。
【図2】第1、第2の版胴移動機構31、32の正面図
である。
【図3】第1の版胴移動機構31における軸受部33付
近を示す側断面図である。
【図4】第1の版胴11に配設された回転防止部材47
と第1の印刷位置に配設された解除部材48との関係を
示す概要図である。
【図5】第1の版胴11に配設された回転防止部材47
と第1の印刷位置に配設された解除部材48との関係を
示す概要図である。
【図6】第1の版胴11に配設された回転防止部材47
と第1の印刷位置に配設された解除部材48との関係を
示す概要図である。
【図7】第1の版胴11に配設された回転防止部材47
と画像記録位置に配設された解除部材49とを示す概要
図である。
【図8】版胴回転機構30付近の正面図である。
【図9】図8の要部を示す側断面図である。
【図10】印刷版P上における画像領域67の配置を示
す説明図である。
【図11】第1のブランケット胴13の胴入れ機構を示
す概要図である。
【図12】印刷装置の主要な電気的構成を示すブロック
図である。
【図13】印刷装置による製版および印刷動作の概要を
示すフローチャートである。
【図14】製版工程を示すフローチャートである。
【図15】印刷装置の印刷動作を示す説明図である。
【図16】印刷装置の印刷動作を示す説明図である。
【図17】印刷装置の印刷動作を示す説明図である。
【図18】印刷装置の印刷動作を示す説明図である。
【図19】印刷装置の印刷動作を示す説明図である。
【図20】印刷装置の印刷動作を示す説明図である。
【図21】従来の印刷装置の概要を示す構成図である。
【符号の説明】
11 第1の版胴 12 第2の版胴 13 第1のブランケット胴 14 第2のブランケット胴 15 圧胴 16 給紙胴 17 排紙胴 20 インキ供給装置 21 湿し水供給装置 23 給版部 24 排版部 25 画像記録装置 26 現像処理装置 27 給紙部 28 排紙部 30 版胴回転機構 31 第1の版胴移動機構 32 第2の版胴移動機構 33 軸受部 34 軸受 35 モータ 36 支軸 37 側板 38 溝孔 39 ガイド部材 41 スライドホルダ 44 ボールネジ 46 回転板 47 回転防止部材 48 解除部材 49 解除部材 51 歯車 52 歯車 55 係合ピン 59 傾斜面 61 エアシリンダ 62 押圧板 P 印刷版 S 印刷用紙
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平10−272756(JP,A) 特開 平2−175250(JP,A) 特開 平9−141821(JP,A) 特開 平9−123402(JP,A) 特開 平9−131855(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41F 7/02 B41F 13/24

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 印刷版に画像を記録して製版した後、こ
    の印刷版にインキを供給して印刷を行う印刷装置であっ
    て、 印刷版をその外周部に保持する版胴と、 前記版胴に保持された印刷版に画像を記録する画像記録
    装置と、 前記版胴を、前記画像記録装置と対向する画像記録位置
    と、前記版胴に保持された印刷版により印刷を行う印刷
    位置との間で移動させる版胴移動機構と、 前記版胴移動機構による前記版胴の移動時に、前記版胴
    の回転を防止する回転防止機構と、 を備えたことを特徴とする印刷装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の印刷装置において、 前記回転防止機構は、 その外周の一部に切欠部を有する円盤状の部材から構成
    され、前記版胴と連結されることにより版胴と同期して
    回転する回転板と、 前記回転板における切欠部に係合することにより前記回
    転板の回転を規制する回転止部材と、 前記印刷位置と前記画像記録位置とにおいて、前記回転
    板の切欠部に対する前記回転止部材の係合を解除する解
    除部材と、 を備える印刷装置。
  3. 【請求項3】 印刷版に画像を記録して製版した後、こ
    の印刷版にインキを供給して印刷を行う印刷装置であっ
    て、 印刷版をその外周部に保持する第1、第2の版胴と、 前記第1、第2の版胴に保持された印刷版に画像を記録
    するための単一の画像記録装置と、 前記第1の版胴を、前記画像記録装置と対向する画像記
    録位置と、前記第1の版胴に保持された印刷版により印
    刷を行う第1の印刷位置との間で移動させる第1の版胴
    移動機構と、 前記第2の版胴を、前記画像記録位置と、前記第2の版
    胴に保持された印刷版により印刷を行う第2の印刷位置
    との間で移動させる第2の版胴移動機構と、 前記第1の版胴移動機構による前記第1の版胴の移動時
    に、前記第1の版胴の回転を防止する第1の回転防止機
    構と、 前記第2の版胴移動機構による前記第2の版胴の移動時
    に、前記第2の版胴の回転を防止する第2の回転防止機
    構と、 を備えたことを特徴とする印刷装置。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の印刷装置において、 前記第1、第2の回転防止機構は、 その外周の一部に切欠部を有する円盤状の部材から構成
    され、前記第1、第2の版胴と各々連結されることによ
    り版胴と同期して回転する回転板と、 前記各回転板における切欠部に係合することにより前記
    各回転板の回転を規制する回転止部材と、 前記第1または第2の印刷位置と前記画像記録位置とに
    おいて、前記各回転板の切欠部に対する前記各回転止部
    材の係合を解除する解除部材と、 を備える印刷装置。
  5. 【請求項5】 印刷版に画像を記録して製版した後、こ
    の印刷版にインキを供給して印刷を行う印刷装置であっ
    て、 印刷版をその外周部に保持する第1、第2の版胴と、 その外周部に印刷用紙を保持する圧胴と、 前記圧胴に対し当接可能に配設された第1のブランケッ
    ト胴と、 前記圧胴に対し前記第1のブランケット胴の当接位置と
    は異なる位置で当接可能に配設された第2のブランケッ
    ト胴と、 前記第1、第2の版胴に保持された印刷版に画像を記録
    するための単一の画像記録装置と、 前記第1の版胴を、前記画像記録装置と対向する画像記
    録位置と、前記第1のブランケット胴と当接する第1の
    印刷位置との間で移動させる第1の版胴移動機構と、 前記第2の版胴を、前記画像記録位置と、前記第2ブラ
    ンケット胴と当接する第2の印刷位置との間で移動させ
    る第2の版胴移動機構と、 前記第1の版胴移動機構による前記第1の版胴の移動時
    に、前記第1の版胴の回転を防止する第1の回転防止機
    構と、 前記第2の版胴移動機構による前記第2の版胴の移動時
    に、前記第2の版胴の回転を防止する第2の回転防止機
    構と、 を備えたことを特徴とする印刷装置。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の印刷装置において、 前記第1、第2の回転防止機構は、 その外周の一部に切欠部を有する円盤状の部材から構成
    され、前記第1、第2の版胴と各々連結されることによ
    り版胴と同期して回転する回転板と、 前記各回転板における切欠部に係合することにより前記
    各回転板の回転を規制する回転止部材と、 前記第1または第2の印刷位置と前記画像記録位置とに
    おいて、前記各回転板の切欠部に対する前記各回転止部
    材の係合を解除する解除部材と、 を備える印刷装置。
  7. 【請求項7】 請求項5または請求項6いずれか記載の
    印刷装置において、 前記第1の版胴と前記第1のブランケット胴、および、
    前記第2の版胴と前記第2のブランケット胴とは、各
    々、第1、第2の版胴と同芯状に配置された歯車と第
    1、第2のブランケット胴と同芯状に配置された歯車と
    を互いに噛合させることにより同期して回転する構成で
    あり、 前記第1、第2の回転防止機構は、前記第1、第2の版
    胴の印刷位置から画像記録位置への移動時における前記
    各歯車の噛合の解除動作と同期して、前記第1、第2の
    回転防止機構による回転防止動作を実行すると共に、前
    記第1、第2の版胴の画像記録位置から第1、第2の印
    刷位置への移動時における前記各歯車の噛合動作と同期
    して、前記第1、第2の回転防止機構による回転防止動
    作を解除する印刷装置。
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