JP3393612B2 - 耐食性窒化珪素質焼結部材の製造方法 - Google Patents
耐食性窒化珪素質焼結部材の製造方法Info
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窒化珪素質焼結部材に関するもので、例えば原子炉処理
容器等の原子力関連部品、腐食性環境で用いられる軸受
け、摺動部品等に適用される。
れた特性を有する極めて安定な物質であるが、焼結体を
構造部材として使用する場合に焼結前の成形時にある程
度の形状に加工はするものの、焼結中の収縮による変形
のため焼結体としては所望の寸法が得られにくく、焼結
後に平面研削、サンドブラスト等の機械加工を施して仕
上げるのが一般的である。
として特開平2−271966号公報では、焼結体表面
から内部に向かって粒界相(結合相)量の勾配を有する
表面層で被覆された窒化珪素基セラミックスが開示され
ており、最表面の結合相量は0.5vol%以下と非常
に少なく、粒界相量の制御が重要であることを示してい
る。その制御方法としては窒素ガス中1600℃以上の
高温での熱処理を用いており、表面の結合相を分解させ
揮発させることにより、耐食性に劣る結合相を予め除去
するというものである。
の方法により製造された焼結体は、機械的強度や靱性等
の機械的特性を高める機能をする結合相が部分的にせよ
除去されたものであるから、熱処理前に比べて機械的特
性に劣ったものである。また機械加工については表面粗
度Rmax:0.8μm以下と示されているだけで、耐
食性に与える影響については何等示唆されていない。
材として用いるときに大半の部材に対して必要である焼
結後の機械加工によって窒化珪素焼結体がもつ本来の耐
食性が損なわれることを見出した。本発明の目的は、こ
のような知見に基づき、機械的特性を劣化させること無
く、機械加工の影響を除去して高耐食性を有する窒化珪
素焼結部材を提供することにある。
発明耐食性窒化珪素質焼結部材の製造方法は、窒化珪素
質焼結体の表面を機械加工した後、機械加工された表面
層の少なくとも一部を、損傷を与えないかまたはその機
械加工よりも損傷の程度の軽い加工手段により除去する
ことを特徴とする。
加工よりも損傷の程度の軽い加工手段とは、例えば研磨
又は非酸化性雰囲気中1550℃以下の熱処理である。
除去される表面層の部分は、 少なくとも圧縮応力が5
0MPa以下となる深さのところまでであり、好ましく
は少なくとも機械加工された表面から20μmの深さま
でである。
いる一次研磨と、それより小さい15μm以下の砥粒及
び酸化鉄Fe2O3粉末のうち1種以上を用いる二次研
磨との2段階に分けて行われるのが望ましい。前記加工
手段が熱処理の場合も、機械加工された表面の圧縮応力
が50MPa以下となるまで行われるものとする。
残留した圧縮応力又は発生した微小亀裂にあると考えら
れる。そして、このように圧縮応力や微小亀裂が存在す
る変質層が、損傷を与えないかまたはその機械加工より
も損傷の程度の軽い加工手段により除去される。従っ
て、表面の圧縮応力が軽減され、微小亀裂も減少する。
その結果、窒化珪素質焼結体本来の優れた耐食性を取り
戻すことができる。
厚さは加工方法によっても異なるが、例えば#140〜
#200程度の番手のダイヤモンド砥石を用いた場合に
は約50μm程度の変質層ができる。この厚さはX線に
より残留応力が測定されることから判断できる。加工に
より残留応力が発生するメカニズムははっきりしない
が、例えば加工中に微小き裂が多数導入されて見かけ上
体積膨張が生じ、その結果圧縮残留応力が生じることが
考えられる。いずれにしても加工変質層が生成している
ことに相違ない。
手段としては、50μm以下のダイヤモンド等の砥粒に
よる一次研磨加工の後に、少なくとも10μm以上の厚
さを酸化鉄粉末及び/又は15μm以下の砥粒を用いて
二次研磨加工し、一次研磨及び二次研磨を併せて20μ
m以上(好ましくは50μm以上)研磨除去する方法が
挙げられる。
ると平面研削ほどではないものの研磨加工時にある程度
の加工変質層が生じ、それを二次研磨で取り除くとこが
できなくなる。二次研磨時の砥粒の粒径が15μmを超
えると同様に表面変質層が僅かではあるものの残留して
しまう。また砥粒としてはダイヤモンドが好ましい。ま
た酸化鉄粉末を用いると窒化珪素焼結体との間で化学反
応を生じながら表面層が除去されていくので該表面変質
層を生成させない加工方法として好ましい。
分すべてを除去することが好ましいが、20μm以上
(好ましくは50μm以上)除去することによって機械
加工される以前と同程度の耐食性を得ることができる。
ゴンガスなどの非酸化性雰囲気中で1550℃以下の温
度で処理する方法も有効である。この場合雰囲気が酸化
性であると窒化珪素焼結体が酸化されるため強度などの
特性が損なわれて好ましくない。処理温度が1300℃
未満では効果が小さく、1550℃を超えると窒化珪素
焼結体の粒成長や粒界成分の揮発など焼結体そのものの
変質が生じるため好ましくない。また、処理時間として
は特に定めないが、1時間程度の処理で効果がでるよう
に処理温度を選択するのが好ましい。雰囲気圧力は、揮
発を抑制するために1気圧以上が良い。
粉末に、Y2O3、Al2O3、Er2O3、V2O5、W
O3、MgO、ZrO2及びCeO2の各粉末を焼結助剤
として表1に示す割合で配合し、樹脂製球石及び樹脂製
ポットを用いて、エタノールとともに24時間湿式混合
を行った。
on/cm2の圧力で50×50×10mmの大きさに
静水圧プレス成形し、下記に示す条件で焼結を行い、表
1に示す焼結助剤の異なる3種の窒化珪素質焼結体を得
た。
相対密度を求め、表1に示した。
焼結体密度)×100 なお、完全緻密焼結体は配合粉末を圧力200kgf/
cm2、1800℃−1hrの条件でホットプレス焼結
することにより作製された。
ダイヤモンド砥石を用いて平面研削することにより3×
4×40mmの試験片No.1〜11を準備した。試験
片No.2〜5,8,10,11について砥粒径45μ
mのダイヤモンドディスクを用いて研磨後、さらに酸化
鉄Fe2O3粉末(試薬特級)を用いてメカノケミカル研
磨(12μm除去)を施すことにより表面層を所定厚み
除去した。また、試験片No.6については1気圧窒素
中1500℃×1時間の熱処理を施した。
上げが異なる試験片(表中にそれぞれ、平面研削、研
磨、熱処理と記載)を作成した。それぞれの試験片につ
いてX線により残留応力を測定したところ、平面研削後
には約100MPaの圧縮残留応力が測定され、表面変
質層が形成されていることが分かった。これに対し、上
述の方法により表面層を除去していくと、除去とともに
残留応力は小さくなり、30μm以上除去すると1/3
以下になることが分かった。同様に窒素中、1500℃
×1時間の熱処理においても残留応力を1/2以下にす
ることができた。
を行った。試薬特級硫酸(36規定)を6倍に薄めるこ
とにより濃度6規定の硫酸溶液を得た。この溶液中に上
記焼結体試験片各5本を室温で24時間浸漬した後、試
験片の断面をSEMにより観察し、粒界相が溶出した侵
食層の厚さを測定してこれを侵食深さとした。
o.2〜6、8及び10〜11)は硫酸に浸漬後の侵食
深さが1μm以下と酸に対する耐食性に優れている。一
方比較例として示したNo.1、7及び9は表面変質層
を有するためその部分が侵食されやすく、侵食深さが大
きい値となり、耐食性に劣っている。
つ機械的特性を損なうことなく耐食性に優れた窒化珪素
質焼結部材を提供することができた。
Claims (5)
- 【請求項1】 窒化珪素質焼結体の表面を機械加工した
後、機械加工された表面層の少なくとも圧縮応力が50
MPa以下となる深さのところまで、損傷を与えないか
またはその機械加工よりも損傷の程度の軽い加工手段に
より除去することを特徴とする耐食性窒化珪素質焼結部
材の製造方法。 - 【請求項2】 前記加工手段が研磨である請求項1に記
載の耐食性窒化珪素質焼結部材の製造方法。 - 【請求項3】 除去される表面層の部分が、少なくとも
機械加工された表面から20μmの深さのところまでで
ある請求項1または2に記載の耐食性窒化珪素質焼結部
材の製造方法。 - 【請求項4】 研磨が、50μm以下の砥粒を用いる一
次研磨と、15μm以下の砥粒及び酸化鉄Fe2O3粉
末のうち1種以上を用いる二次研磨との2段階に分けて
行われる請求項1〜3のいずれかに記載の耐食性窒化珪
素質焼結部材の製造方法。 - 【請求項5】 窒化珪素質焼結体の表面を機械加工した
後、機械加工された表面層の少なくとも一部を、非酸化
性雰囲気中1550℃以下で、表面の圧縮応力が50M
Pa以下となるまで熱処理することを特徴とする耐食性
窒化珪素質焼結部材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24045093A JP3393612B2 (ja) | 1993-08-31 | 1993-08-31 | 耐食性窒化珪素質焼結部材の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP24045093A JP3393612B2 (ja) | 1993-08-31 | 1993-08-31 | 耐食性窒化珪素質焼結部材の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0769736A JPH0769736A (ja) | 1995-03-14 |
JP3393612B2 true JP3393612B2 (ja) | 2003-04-07 |
Family
ID=17059684
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP24045093A Expired - Lifetime JP3393612B2 (ja) | 1993-08-31 | 1993-08-31 | 耐食性窒化珪素質焼結部材の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3393612B2 (ja) |
-
1993
- 1993-08-31 JP JP24045093A patent/JP3393612B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0769736A (ja) | 1995-03-14 |
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