JP3393522B2 - 能動フィルタの特性周波数調整装置 - Google Patents

能動フィルタの特性周波数調整装置

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、能動フィルタ、
特に移動通信端末などに用いられ、その端末などの小型
化のために集積回路化された能動フィルタの特性周波数
を調整する装置に関する。 【0002】 【従来の技術】フィルタの周波数特性は、相対的な周波
数特性と、特性周波数の、2つに分けて考えることがで
きる。 【0003】相対的な周波数特性とは、例えば、5次バ
ターワース型低域通過フィルタというように、フィルタ
のトポロジー、そのパラメータ、通過帯域の種類により
決定される、いわばフィルタ周波数特性の形状のことを
指す。 【0004】これに対して、特性周波数とは、このよう
な相対的な周波数特性の定まっているフィルタを、周波
数領域上のどの位置に配置するかを決定することができ
る、特異点の周波数のことを指す。例えば、バターワー
ス型フィルタにおいては、3dB減衰極の周波数は、こ
こで述べるところの特性周波数であると言える。 【0005】一般に、集積回路の製造過程におけるばら
つきは、抵抗で±十数パーセント、容量で±数パーセン
トであり、抵抗と容量によって構成されるフィルタの特
性周波数は、±20パーセント以上のばらつきを生じ
る。 【0006】そのため、従来、能動フィルタを集積回路
化する場合には、その集積回路化された能動フィルタの
特性周波数の精度を向上させるために、能動フィルタに
対して図3に示すような特性周波数調整装置が設けられ
ることがあった。 【0007】この特性周波数調整装置20は、基準周波
数信号発生器21、帯域通過フィルタ22、および位相
比較回路23を備え、基準周波数信号発生器21からの
基準周波数信号Srが、帯域通過フィルタ22の入力端
子22iに供給され、その帯域通過フィルタ22の出力
信号Sbと、基準周波数信号発生器21からの基準周波
数信号Srが、位相比較回路23に供給されて、位相比
較回路23において両者の位相が比較され、その比較結
果の出力信号Scが、帯域通過フィルタ22の、特性周
波数を変化させる制御端子22cに供給される。 【0008】そして、その位相比較回路23の出力信号
Scが、特性周波数調整装置20の出力の調整用信号と
して、特性周波数が調整されるべき能動フィルタ2の、
特性周波数を変化させる制御端子2cに供給される。 【0009】ここで、帯域通過フィルタ22は、その振
幅特性を図4(A)に示し、その位相特性を図4(B)
に示すように、比較的、尖鋭度Qの低い、特性周波数が
Foのフィルタである。 【0010】したがって、基準周波数信号発生器21か
らの基準周波数信号Srは、帯域通過フィルタ22を通
過することにより、図4の特性に従って、その基準周波
数frと帯域通過フィルタ22の特性周波数Foとの差
Δfに応じた位相回転を受ける。 【0011】そして、帯域通過フィルタ22は、この位
相回転量がゼロとなるように、位相比較回路23の出力
信号Scによって、その特性周波数Foが変えられる。
したがって、帯域通過フィルタ22の特性周波数Fo
は、基準周波数frに連動することになる。 【0012】この場合、帯域通過フィルタ22の特性周
波数Foと、能動フィルタ2の特性周波数Faとの間
に、互いに強い相関を与えるように、それぞれの回路を
構成することで、上記のように位相比較回路23の出力
信号Scにより帯域通過フィルタ22の特性周波数Fo
が制御され、かつその位相比較回路23の出力信号Sc
により能動フィルタ2の特性周波数Faが調整されるこ
とによって、能動フィルタ2の特性周波数Faも基準周
波数frに連動することになり、能動フィルタ2の特性
周波数Faを調整することができる。 【0013】 【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した特性
周波数調整装置20で、能動フィルタ2の特性周波数F
aの調整精度を十分に確保するには、帯域通過フィルタ
22の特性周波数Foの近傍における周波数の変化に対
する位相の変化の割合を、十分大きくする必要がある。 【0014】そのため、帯域通過フィルタ22として、
その振幅特性を図2(A)に示し、その位相特性を図2
(B)に示すように、尖鋭度Qの高いものを用いること
が考えられる。 【0015】しかしながら、このように帯域通過フィル
タ22の尖鋭度Qを高くすると、第1に、尖鋭度Qを高
くするに従って、尖鋭度Qの値に多くのパラメータが関
与するようになるため、尖鋭度Qの絶対値の制御が困難
になり、その結果、帯域通過フィルタ22の出力信号S
bの振幅がばらついて、位相比較回路23が正しく動作
しなくなる。 【0016】第2に、帯域通過フィルタ22の尖鋭度Q
を高くすると、基準周波数frと帯域通過フィルタ22
の特性周波数Foとの差Δfが大きいときには、帯域通
過フィルタ22の出力信号Sbの振幅が極端に小さくな
り、逆に差Δfが小さいときには、出力信号Sbの振幅
が極端に大きくなって、位相比較回路23に供給される
信号Sbの振幅が大きく変動するため、やはり位相比較
回路23が正しく動作しなくなる。 【0017】そのため、従来においては、上述したよう
に帯域通過フィルタ22として尖鋭度Qの低いものを用
いざるを得ず、そのため能動フィルタ2の特性周波数F
aの調整精度を十分に確保することができなかった。 【0018】この発明は、帯域通過フィルタを通過した
基準周波数信号と、通過しない基準周波数信号との位相
を比較し、その比較結果出力によって、帯域通過フィル
タの特性周波数を制御するとともに、特性周波数が調整
されるべき能動フィルタの特性周波数を調整する、能動
フィルタの特性周波数調整装置において、帯域通過フィ
ルタの尖鋭度Qを高くした場合においても、位相比較回
路が常に正しく動作するようにし、帯域通過フィルタの
尖鋭度Qを高くすることによって、能動フィルタの特性
周波数の調整精度を十分に確保することができるように
したものである。 【0019】 【課題を解決するための手段】この発明では、基準周波
数信号発生器と帯域通過フィルタの入力端子との間に、
帯域通過フィルタに入力される基準周波数信号のレベル
を制御する利得制御回路を挿入接続するとともに、帯域
通過フィルタの出力側に、帯域通過フィルタの出力信号
レベルを検出するレベル検出回路を設け、そのレベル検
出回路の出力信号によって、帯域通過フィルタの出力信
号レベルが一定となるように、上記の利得制御回路を制
御する。 【0020】上記のように構成した、この発明の特性周
波数調整装置においては、帯域通過フィルタの尖鋭度Q
を高くした場合においても、その尖鋭度Qのばらつきや
帯域通過フィルタの振幅特性による、帯域通過フィルタ
の出力振幅のばらつきや変動が抑止される。 【0021】したがって、位相比較回路に供給される信
号の振幅が常に一定となり、位相比較回路は常に正しく
動作する。そのため、帯域通過フィルタの尖鋭度Qを高
くすることによって、能動フィルタの特性周波数の調整
精度を十分に確保することができる。 【0022】 【発明の実施の形態】図1は、この発明の特性周波数調
整装置の一実施形態を示し、その特性周波数調整装置1
0は、基準周波数信号発生器11、帯域通過フィルタ1
2、位相比較回路13、利得制御回路14、およびレベ
ル検出回路15を備える。 【0023】基準周波数信号発生器11からの基準周波
数信号Srは、一方で位相比較回路13の一方の入力端
子に、そのまま供給されるとともに、他方で利得制御回
路14の入力端子に供給され、その利得制御回路14の
出力信号である、レベル制御された基準周波数信号Sg
が、帯域通過フィルタ12の入力端子12iに供給さ
れ、その帯域通過フィルタ12の出力信号Sbが、位相
比較回路13の他方の入力端子に供給される。 【0024】さらに、帯域通過フィルタ12の出力信号
Sbが、レベル検出回路15に供給されて、レベル検出
回路15において、出力信号Sbのレベルが検出され、
そのレベル検出回路15の出力信号Sdが、利得制御回
路14の制御端子に供給されて、帯域通過フィルタ12
の出力信号Sbのレベルが一定となるように、利得制御
回路14の利得、すなわち利得制御回路14の出力信号
Sgのレベルが負帰還制御される。 【0025】そして、位相比較回路13において、基準
周波数信号発生器11からの基準周波数信号Srと、帯
域通過フィルタ12の出力信号Sbの位相が比較され、
その位相比較回路13の出力信号Scが、帯域通過フィ
ルタ12の、特性周波数を変化させる制御端子12cに
供給される。 【0026】さらに、その位相比較回路13の出力信号
Scが、特性周波数調整装置10の出力の調整用信号と
して、特性周波数が調整されるべき能動フィルタ1の、
特性周波数を変化させる制御端子1cに供給される。 【0027】帯域通過フィルタ12は、その振幅特性を
図2(A)に示し、その位相特性を図2(B)に示すよ
うに、尖鋭度Qが十分に高い、特性周波数がFoのフィ
ルタとされる。 【0028】利得制御回路14の出力信号である、レベ
ル制御された基準周波数信号Sgは、帯域通過フィルタ
12を通過することにより、図2の特性に従って、その
基準周波数frと帯域通過フィルタ12の特性周波数F
oとの差Δfに応じた位相回転を受ける。 【0029】そして、帯域通過フィルタ12は、この位
相回転量がゼロとなるように、位相比較回路13の出力
信号Scによって、その特性周波数Foが変えられる。
したがって、帯域通過フィルタ12の特性周波数Fo
は、基準周波数frに連動することになる。 【0030】この場合、帯域通過フィルタ12の特性周
波数Foと、能動フィルタ1の特性周波数Faとの間
に、互いに強い相関を与えるように、それぞれの回路を
構成することで、上記のように位相比較回路13の出力
信号Scにより帯域通過フィルタ12の特性周波数Fo
が制御され、かつその位相比較回路13の出力信号Sc
により能動フィルタ1の特性周波数Faが調整されるこ
とによって、能動フィルタ1の特性周波数Faも基準周
波数frに連動することになり、能動フィルタ1の特性
周波数Faを調整することができる。 【0031】そして、レベル検出回路15の出力信号S
dによって、帯域通過フィルタ12の出力信号Sbのレ
ベルが一定となるように、利得制御回路14が制御され
るので、上記のように帯域通過フィルタ12の尖鋭度Q
を十分に高くしても、その尖鋭度Qのばらつきや帯域通
過フィルタ12の振幅特性による、帯域通過フィルタ1
2の出力信号Sbの振幅のばらつきや変動が抑止され
る。 【0032】したがって、位相比較回路13に供給され
る信号SrおよびSbの振幅が常に一定となり、位相比
較回路13は常に正しく動作する。そのため、帯域通過
フィルタ12の尖鋭度Qを十分に高くすることによっ
て、能動フィルタ1の特性周波数Faの調整精度を十分
に確保することができる。 【0033】 【発明の効果】上述したように、この発明によれば、帯
域通過フィルタの尖鋭度Qを高くした場合においても、
位相比較回路が常に正しく動作する。したがって、帯域
通過フィルタの尖鋭度Qを高くすることによって、帯域
通過フィルタの特性周波数の近傍における周波数の変化
に対する位相の変化の割合を大きくすることができ、能
動フィルタの特性周波数の調整精度を十分に確保するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】 【図1】この発明の特性周波数調整装置の一実施形態を
示すブロック図である。 【図2】図1の装置に用いる帯域通過フィルタの特性の
一例を示す図である。 【図3】従来の特性周波数調整装置を示すブロック図で
ある。 【図4】図3の装置に用いる帯域通過フィルタの特性の
一例を示す図である。 【符号の説明】 1 能動フィルタ 1c 制御端子 10 特性周波数調整装置 11 基準周波数信号発生器 12 帯域通過フィルタ 12i 入力端子 12c 制御端子 13 位相比較回路 14 利得制御回路 15 レベル検出回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−237076(JP,A) 特開 平6−237146(JP,A) 特開 平3−114391(JP,A) 特開 平1−264306(JP,A) 特開 平4−86115(JP,A) 実開 昭56−95130(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H03H 11/04

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】基準周波数信号発生器と、 入力端子、および特性周波数を変化させる制御端子を有
    し、その入力端子に上記基準周波数信号発生器からの基
    準周波数信号が供給される帯域通過フィルタと、 上記基準周波数信号発生器からの基準周波数信号と上記
    帯域通過フィルタの出力信号の位相を比較し、その比較
    結果出力を上記帯域通過フィルタの制御端子に供給し
    て、上記帯域通過フィルタの特性周波数を制御する位相
    比較回路と、 上記基準周波数信号発生器と上記帯域通過フィルタの入
    力端子との間に挿入接続された利得制御回路と、 上記帯域通過フィルタの出力信号レベルを検出し、その
    検出結果出力によって、上記帯域通過フィルタの出力信
    号レベルが一定となるように、上記利得制御回路を制御
    するレベル検出回路と、を備え、 上記位相比較回路の出力信号が、特性周波数が調整され
    るべき能動フィルタの、特性周波数を変化させる制御端
    子に供給される、 能動フィルタの特性周波数調整装置。
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