JP3393426B2 - カラー陰極線管用電子銃 - Google Patents

カラー陰極線管用電子銃

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JP3393426B2
JP3393426B2 JP21316396A JP21316396A JP3393426B2 JP 3393426 B2 JP3393426 B2 JP 3393426B2 JP 21316396 A JP21316396 A JP 21316396A JP 21316396 A JP21316396 A JP 21316396A JP 3393426 B2 JP3393426 B2 JP 3393426B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばカラー受像
管やカラーディスプレイ装置等を構成するカラー陰極線
管に用いられる、インライン3ビーム方式のカラー陰極
線管用電子銃に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、カラー陰極線管の解像度特性
は、蛍光体スクリーン面上における電子ビームのスポッ
トの大きさ及び形状に大きく依存している。即ち、かか
る電子ビームのスポット径が小さく、且つ真円に近くな
ければ、良好な解像度特性を得ることができない。
【0003】電子ビームの偏向角度が大きくなるに従
い、陰極線管用電子銃から蛍光体スクリーン面に至る電
子ビームの軌道は長くなる。それ故、蛍光体スクリーン
面の中央部で径小、且つ真円の電子ビームスポットが得
られるようにフォーカス電圧を保つと、蛍光体スクリー
ン面の周辺部ではオーバーフォーカス状態となる。その
結果、蛍光体スクリーン面の周辺部においては径小且つ
真円の電子ビームスポットが得られず、良好な解像度が
得られなくなる。
【0004】そこで、近年、電子ビームの偏向角度が大
きくなるに従い、即ち、蛍光体スクリーン面の周辺部に
衝突する電子ビームに対して、フォーカス電圧を高くし
てフォーカスレンズ作用を弱める、ダイナミックフォー
カス方式の陰極線管用電子銃が案出されている。しかし
ながら、このダイナミックフォーカス方式は、そのまま
では、インライン3ビーム方式の陰極線管用電子銃には
余り適していない。即ち、3つのカソードが水平一直線
上に配置されたインライン3ビーム方式の従来の陰極線
管用電子銃において、偏向ヨークの偏向磁界を斉一磁界
とした場合、蛍光体スクリーン面の中央部でコンバーゼ
ンスさせても、蛍光体スクリーン面の上下左右の周辺部
においては、図18の(A)に示すように、縦弓型のコ
ンバーゼンスエラー(オーバーコンバーゼンス)が生じ
る。尚、図18の(A)において、R(赤)、B(青)
は両側電子ビームを示し、G(緑)は中央電子ビームを
示す。以下においても、R、G、Bの意味は同様であ
る。
【0005】それ故、従来、偏向ヨークによる水平偏向
磁界分布をピンクッション状とし、垂直偏向磁界分布を
バレル状として、ダイナミックコンバーゼンスを行って
いる。しかしながら、このような構成の偏向ヨークを用
いた場合、偏向ヨークを通過し、そして蛍光体スクリー
ン面の周辺部に向かって偏向された電子ビームは、その
垂直方向(縦方向)に集束作用(凸レンズ効果)を受
け、一方、水平方向(横方向)に発散作用(凹レンズ効
果)を受ける。その結果、蛍光体スクリーン面の中央部
における電子ビームスポットは略円形になるが、図17
の(A)に示すように、蛍光体スクリーン面の周辺部に
おける電子ビームスポットは円形にはならず、横長の形
状となり、しかも電子ビームスポットの上下にハローが
生じる。従って、蛍光体スクリーン面の左右の周辺部で
は、電子ビームスポットが歪んだり、フォーカス特性が
劣化するという問題がある。
【0006】このような問題を解決するために、所謂静
電四重極レンズ(以下、単に四重極レンズと呼ぶ)を組
み込んだ陰極線管用電子銃が、例えば、特開昭61−9
9249号公報、特開昭62−237642号公報、あ
るいは特開平3−93135号公報から公知である。
【0007】図13の(A)に、一般に広く用いられて
いる四重極レンズを内蔵したカラー陰極線管用電子銃
(以下、単に電子銃と略称する)の概念図を示す。この
電子銃においては、赤(R)、緑(G)及び青(B)用
の電子ビームを射出するためのカソード部10A,10
B,10Cがインライン状に配列されており、第1電極
(制御電極)11がカソード部に取り付けられている。
更に、第2電極(加速電極)12、第3電極13、第4
電極14、第5電極、第6電極16、シールドカップ1
7が順に配設されている。第5電極は、第5_1電極51
及び第5_2電極52から構成されている。第1〜第4電
極及び第6電極には、カソード部から射出された3本の
電子ビームが通過する円形の電子ビーム通過孔が、それ
ぞれ設けられている。第3電極13、第4電極14及び
第5_1電極51によって前段集束レンズが構成され、第
_2電極52及び第6電極16によって主フォーカスレ
ンズが構成される。
【0008】第5_2電極52と対向する第5_1電極51
の面には、例えば、図7の(A)に示すような、縦長の
矩形形状の電子ビーム通過孔61が形成されたプレート
60が配設され、あるいは又、図7の(B)に示すよう
な、長軸が垂直方向と一致した楕円形状の電子ビーム通
過孔62が形成されたプレート60が配設されている。
一方、第5_1電極51と対向する第5_2電極52の面に
は、例えば、図7の(C)に示すような、横長の矩形形
状の電子ビーム通過孔71が形成されたプレート70が
配設され、あるいは又、図7の(D)に示すような、長
軸が水平方向と一致した楕円形状の電子ビーム通過孔7
2が形成されたプレート70が配設されている。
【0009】第5_1電極51には、ステム部(図示せ
ず)を介して、一定のフォーカス電圧FCが印加され
る。一方、第3電極13及び第5_2電極52には、フォ
ーカス電圧FCの水平偏向に同期したダイナミックフォ
ーカス電圧VDF(図18の(B)参照)とフォーカス電
圧FCとが重畳された電圧FV(=FC+VDF)が印加さ
れる。これによって、第5_1電極51と第5_2電極52
との間に四重極レンズが形成され、しかも、第5_2電極
52と第6電極16との間に形成される主フォーカスレ
ンズに強度変化を生じさせる。
【0010】電子銃におけるレンズ系においては、電子
ビームの垂直方向の像倍率(縦像倍率と呼ぶ)MVはbV
/aVで表すことができ、電子ビームの水平方向の像倍
率(横像倍率と呼ぶ)MHはbH/aHで表すことができ
る。あるいは又、電子ビームの縦像倍率MVは、C(θ
V1/θV2)で表すこともでき、電子ビームの横像倍率M
Hは、C(θH1/θH2)で表すこともできる。ここで、
Cは(V/V’)1/2であり、Vはクロスオーバー部で
の電位、V’は蛍光体スクリーン面での電位である。ま
た、θV1、θV2、θH1、θH2は、それぞれ、電子ビーム
の垂直方向の発散角及び集束角、電子ビームの水平方向
の発散角及び集束角である。
【0011】図13の(A)に示した電子銃において、
蛍光体スクリーン面の左右周辺部に電子ビームが衝突す
るときの光学的モデルを図13の(B)に示す。第5_1
電極51と第5_2電極52との間に形成された四重極レ
ンズは、蛍光体スクリーン面の左右周辺部に電子ビーム
が衝突するとき、電子ビームの垂直方向に対して最大の
発散作用(凹レンズ作用)を及ぼし、電子ビームの水平
方向に対して最大の集束作用(凸レンズ作用)を及ぼ
す。その結果、蛍光体スクリーン面の左右方向の周辺部
における電子ビームのスポット形状をある程度、改善す
ることができる。しかしながら、この場合、電子ビーム
の垂直方向の集束角θV2が水平方向の集束角θH2より大
きく、蛍光体スクリーン面に衝突する電子ビームのスポ
ットは、未だ横長である。尚、電子ビームの垂直方向の
仮想物点径dc_Vと水平方向の仮想物点径dc_Hの割合を
1:1としたとき、蛍光体スクリーン面に衝突する電子
ビームのスポットの垂直方向の大きさと水平方向の大き
さの割合は1:2程度であり(図17の(B)参照)、
蛍光体スクリーン面における水平方向の解像度の改善は
十分とは云えない。尚、仮想物点径は、クロスオーバー
径あるいは最小錯乱円領域の半径とも呼ばれる。
【0012】あるいは又、図14の(A)に、一般に広
く用いられている2組の四重極レンズを内蔵した電子銃
の概念図を示す。この電子銃においては、第5_2電極5
2には、ステム部を介して、一定のフォーカス電圧FC
が印加される。一方、第3電極13、第5_1電極51及
び第5_3電極53には、フォーカス電圧FCの水平偏向
に同期したダイナミックフォーカス電圧VDF(図18の
(B)参照)とフォーカス電圧FCとが重畳された電圧
V(=FC+VDF)が印加される。これによって、第5
_1電極51と第5_2電極52との間、及び第5_2電極5
2と第5_3電極53との間に、互いに逆方向に作用する
第1及び第2の四重極レンズが形成され、しかも、第5
_3電極53と第6電極16との間に形成される主フォー
カスレンズに強度変化を生じさせる。その結果、蛍光体
スクリーン面の左右方向の周辺部における電子ビームの
スポット形状を一層良好なものとすることができる。
尚、第5_2電極52と対向する第5_1電極51の面、及
び第5_3電極53と対向する第5_2電極52の面には、
図7の(A)あるいは(B)に示すような、縦長の電子
ビーム通過孔61,62が形成されたプレート60が配
設されている。一方、第5_1電極51と対向する第5_2
電極52の面、及び第5_2電極52と対向する第5_3
極53の面には、図7の(C)あるいは(D)に示すよ
うな、横長の電子ビーム通過孔71,72が形成された
プレート70が配設されている。
【0013】あるいは又、図14の(B)に示すような
バイポテンシャル形式の電子銃も公知である。この電子
銃においては、第3_2電極13Bには、ステム部を介し
て、一定のフォーカス電圧FCが印加される。一方、第
_1電極13A及び第3_3電極13Cには、フォーカス
電圧FCの水平偏向に同期したダイナミックフォーカス
電圧VDF(図18の(B)参照)とフォーカス電圧FC
とが重畳された電圧FV(=FC+VDF)が印加される。
これによって、第3_1電極13Aと第3_2電極13Bと
の間、及び第3_2電極13Bと第3_3電極13Cとの間
に、互いに逆方向に作用する第1及び第2の四重極レン
ズが形成され、しかも、第3_3電極13Cと第4電極1
4との間に形成される主フォーカスレンズに強度変化を
生じさせる。その結果、蛍光体スクリーン面の左右方向
の周辺部における電子ビームのスポット形状を一層良好
なものとすることができる。尚、第3_2電極13Bと対
向する第3_1電極13Aの面、及び第3_3電極13Cと
対向する第3_2電極13Bの面には、図7の(A)ある
いは(B)に示すような、縦長の電子ビーム通過孔6
1,62が形成されたプレート60が配設されている。
一方、第3_1電極13Aと対向する第3_2電極13Bの
面、及び第3_2電極13Bと対向する第3_3電極13C
の面には、図7の(C)あるいは(D)に示すような、
横長の電子ビーム通過孔71,72が形成されたプレー
ト70が配設されている。
【0014】図14の(A)あるいは(B)に示した電
子銃において、蛍光体スクリーン面の左右周辺部に電子
ビームが衝突するときの光学的モデルを図15に示す。
例えば、図14の(A)に示した第3電極13と第4電
極14との間に形成された第1の四重極レンズは、蛍光
体スクリーン面の左右周辺部に電子ビームが衝突すると
き、電子ビームの垂直方向に対して集束作用(凸レンズ
作用)を及ぼし、電子ビームの水平方向に対して発散作
用(凹レンズ作用)を及ぼす。一方、図14の(A)に
示した第5_1電極51と第5_2電極52との間に形成さ
れた第2の四重極レンズは、蛍光体スクリーン面の左右
周辺部に電子ビームが衝突するとき、電子ビームの垂直
方向に対して発散作用(凹レンズ作用)を及ぼし、電子
ビームの水平方向に対して集束作用(凸レンズ作用)を
及ぼす。
【0015】このように2組の四重極レンズを形成する
結果、電子ビームの垂直方向の集束角θV2を水平方向の
集束角θH2に近づけることができ、言い換えれば、電子
ビームの縦像倍率MV(bV/aV)を電子ビームの横像
倍率MH(bH/aH)に近づけることができ、蛍光体ス
クリーン面の左右方向の周辺部における電子ビームのス
ポット形状を改善することができる。しかしながら、電
子ビームの縦像倍率MVと電子ビームの横像倍率MHとを
完全に一致させることは不可能なので、蛍光体スクリー
ン面に衝突する電子ビームのスポットは、未だ横長であ
る。電子ビームの垂直方向の仮想物点径dc_Vと水平方
向の仮想物点径dc_Hの割合を1:1としたとき、蛍光
体スクリーン面に衝突する電子ビームのスポットの垂直
方向の大きさと水平方向の大きさの割合は1:1.4程
度であり、蛍光体スクリーン面における水平方向の解像
度の改善は未だ十分とは云えない。しかも、蛍光体スク
リーン面の左右周辺部に衝突する電子ビームは横長であ
るために、主フォーカスレンズにおいて球面収差を大き
く受ける。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】図13の(A)に示し
た電子銃において、第1電極11に設けられた電子ビー
ム通過孔11Aの形状を、図10の(A)若しくは
(B)に示した形状(非点形状)とする構造も公知であ
る。第1電極11に設けられた電子ビーム通過孔11A
の形状をこのような形状にすることによって、第1電極
11を通過した電子ビームの仮想物点形状は縦長とな
る。それ故、蛍光体スクリーン面の左右方向の周辺部に
おける電子ビームのスポット形状が横長となることが補
償され、蛍光体スクリーン面の左右方向の周辺部におけ
る電子ビームのスポット形状を改善することができる。
尚、この状態の光学的モデルを図16の(A)に示す。
しかしながら、このような構造の電子銃においては、第
1電極11を通過した電子ビームの仮想物点形状は縦長
となっているので、蛍光体スクリーン面の中央部におけ
る電子ビームのスポット形状が縦長となり、垂直方向の
解像度が劣化するという問題がある。尚、蛍光体スクリ
ーン面の中央部に電子ビームが衝突するときの光学的モ
デルを図16の(B)に示す。ここで、蛍光体スクリー
ン面の中央部に電子ビームが衝突するときには、四重極
レンズ及び偏向ヨークによる集束作用や発散作用は生じ
ていない。
【0017】従って、本発明の目的は、インライン3ビ
ーム方式のカラー陰極線管において、蛍光体スクリーン
面の中央部及び左右周辺部における電子ビームのビーム
スポット形状を出来る限り均一化することができ、蛍光
体スクリーン面の周辺部分で良好な解像度を保ちつつ、
中央部における垂直方向の解像度を向上させ、カラー陰
極線管の蛍光体スクリーン面の全域に亙り水平方向及び
垂直方向の解像度のばらつきを減少させ得るインライン
3ビーム方式の電子銃を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明のインライン3ビーム方式のカラー陰極線管
用電子銃は、カソード部と、第1電極と、第2電極と、
第1の四重極レンズと、第2の四重極レンズと、フォー
カス電極を備えており、該第1電極に設けられた3つの
電子ビーム通過孔は、縦長形状、若しくは周辺部に縦長
のコイニング部を有し、電子ビームの垂直方向の仮想物
点径dc_Vと水平方向の仮想物点径dc_Hは、dc_V/d
c_H>1の関係にあり、該第1及び第2の四重極レンズ
には、電子ビームの水平偏向角度の増大に伴い漸次増加
し且つフォーカス電圧に近づくダイナミック電圧が印加
され、その結果、電子ビームの水平偏向角度の増大に伴
い、該第1の四重極レンズにおいては、電子ビームに対
して垂直方向に作用する発散作用及び水平方向に作用す
る集束作用が減少し、該第2の四重極レンズにおいて
は、電子ビームに対して垂直方向に作用する集束作用及
び水平方向に作用する発散作用が減少し、該フォーカス
電極は、電子ビームの垂直方向に対する集束作用が水平
方向に対する集束作用よりも小さい構造を有することを
特徴とする。
【0019】本発明のカラー陰極線管用電子銃において
は、電子ビームの垂直方向の仮想物点の位置(PV
は、電子ビームの水平方向の仮想物点の位置P(H)よ
りもフォーカス電極に近いことが好ましい。本発明の電
子銃における蛍光体スクリーン面の中央部に電子ビーム
が衝突するときの光学的モデルである図4の(A)、及
び第1電極及び第2電極の光学的モデルを図11に示す
ように、縦像倍率MV(=bV/aV)<横像倍率MH(=
H/aH)ではあるものの、電子ビームの垂直方向の仮
想物点の位置(PV)が、電子ビームの水平方向の仮想
物点の位置P(H)よりもフォーカス電極に近ければ、
Vの値が小さくなり、aHの値が大きくなるため、縦像
倍率MV/横像倍率MHの値が1に近づくからである。
【0020】あるいは又、前記第2電極に設けられた3
つの電子ビーム通過孔は、横長形状、若しくは周辺部に
横長のコイニング部を有することが好ましい。
【0021】本発明のカラー陰極線管用電子銃において
は、第1の四重極レンズ及び第2の四重極レンズは、フ
ォーカス電極の前方あるいは後方に配設されていてもよ
いが、フォーカス電極を、前段集束電極及び主フォーカ
ス電極から構成し、カソード部側から、第1の四重極レ
ンズ、前段集束電極、第2の四重極レンズ、主フォーカ
ス電極の順に配置されていることが最も好ましい。
【0022】一般に、蛍光体スクリーン面の中央におけ
る電子ビームの垂直方向のビームスポット径SV及び水
平方向のビームスポット径SHは、以下の式(1)及び
式(2)にて求めることができる。
【0023】
【数1】 SV={(MV×dc_V+MV×Cs_V×θV1 3/2)2+Δdrep 21/2 (1)
【0024】
【数2】 SH={(MH×dc_H+MH×Cs_H×θH1 3/2)2+Δdrep 21/2 (2)
【0025】ここで、Cs_V,Cs_Hは、電子ビームの垂
直方向及び水平方向の主フォーカスレンズにおける球面
収差係数、Δdrepは電子相互の反発力による径の増加
分(リパルジョン)である。尚、カソード部に最も近い
フォーカス用電極の電圧をV0としたとき、以下の式
(3)及び式(4)の関係がある。
【0026】
【数3】dc_V×θV1×V0 1/2=一定 (3)
【0027】
【数4】dc_H×θH1×V0 1/2=一定 (4)
【0028】式(1)及び式(2)において、右辺の第
2項の寄与が小さい場合、即ち、球面収差の影響が小さ
い場合、ビームスポット径SV,SHは右辺の第1項に大
きく依存する。
【0029】本発明のカラー陰極線管用電子銃において
は、第1電極に設けられた3つの電子ビーム通過孔は、
縦長形状、若しくは周辺部に縦長のコイニング部を有
し、しかも、電子ビームの垂直方向の仮想物点径dc_V
と水平方向の仮想物点径dc_Hは、dc_V/dc_H>1の
関係にある。その結果、蛍光体スクリーン面に向かう電
子ビームのスポットは縦長となる。
【0030】更には、フォーカス電極は、電子ビームの
垂直方向に対する集束作用が水平方向に対する集束作用
よりも小さい構造を有するので、蛍光体スクリーン面に
向かう電子ビームは一層、縦長形状となる。
【0031】本発明の電子銃において、蛍光体スクリー
ン面の中央部に電子ビームが衝突するときの光学的モデ
ルを図4の(A)に示す。第1及び第2の四重極レンズ
には、電子ビームの水平偏向角度の増大に伴い漸次増加
し且つフォーカス電圧FCに近づくダイナミック電圧
(ダイナミックフォーカス電圧)VDFが印加され(図5
参照)、その結果、電子ビームの水平偏向角度の増大に
伴い、第1の四重極レンズにおいては、電子ビームに対
して垂直方向に作用する発散作用及び水平方向に作用す
る集束作用が減少し、第2の四重極レンズにおいては、
電子ビームに対して垂直方向に作用する集束作用及び水
平方向に作用する発散作用が減少する。言い換えれば、
蛍光体スクリーン面の中央部に電子ビームが衝突する際
には、第1の四重極レンズにおいては、電子ビームに対
して垂直方向に作用する発散作用及び水平方向に作用す
る集束作用が最大となり、第2の四重極レンズにおいて
は、電子ビームに対して垂直方向に作用する集束作用及
び水平方向に作用する発散作用が最大となる。このよう
に、2組の四重極レンズを設けることによって、縦像倍
率MV/横像倍率MHの割合を「1」に近づけることがで
き、蛍光体スクリーン面の中央部に衝突する電子ビーム
のスポット形状を円形に近づけることができる。しか
も、第1の四重極レンズ及び第2の四重極レンズの全体
としては、電子ビームの垂直方向に集束作用(凸レンズ
効果)を及ぼし、一方、水平方向に発散作用(凹レンズ
効果)を及ぼす。
【0032】蛍光体スクリーン面の中央部に衝突する電
子ビームにおいては、以上のとおり、第1電極を通過し
た電子ビームは縦長形状を有するが、第1及び第2の四
重極レンズの四重極効果により水平方向に扁平となるよ
うな作用を受け、しかも、2組の四重極レンズの作用に
よって縦像倍率MV/横像倍率MHの割合を「1」に近づ
けることができる結果、蛍光体スクリーン面の中央部に
衝突した電子ビームのスポット形状は円形に近づく。
【0033】一方、蛍光体スクリーン面の左右周辺部に
衝突する電子ビームに対して、第1の四重極レンズ及び
第2の四重極レンズの四重極効果は生じない。あるい
は、生じても、僅かである。尚、この場合には、偏向ヨ
ークは作用している。蛍光体スクリーン面の左右周辺部
に電子ビームが衝突するときの光学的モデルを図4の
(B)に示す。第1電極を通過した電子ビームの仮想物
点の形状は縦長となり、フォーカス電極を通過した電子
ビームは一層、縦長形状となる。然るに、フォーカス電
極を通過した電子ビームの縦長の形状は偏向ヨークによ
って水平方向に扁平となるような作用を受ける結果、図
14の(A)に示した構造の電子銃と比較して、蛍光体
スクリーン面の左右周辺部に衝突する電子ビームのスポ
ット形状は、一層円形に近づく。
【0034】以上により、蛍光体スクリーン面の中央部
に衝突する電子ビームのスポット形状、及び、蛍光体ス
クリーン面の左右周辺部に衝突する電子ビームのスポッ
ト形状が均一化されるので、即ち、バランス良く円形に
近づくので、カラー陰極線管の蛍光体スクリーン面の全
域に亙り水平方向及び垂直方向の解像度のばらつきを減
少させることができる。即ち、従来の電子銃において
は、式(1)及び(2におけるSVの値とSHの値との差
を無くすために、MVの値とMHの値のみを調整し、MV
/MHの値を1に近づける方策を採っている。一方、本
発明の電子銃においては、それに加えて、電子ビームの
垂直方向の仮想物点径dc_Vと水平方向の仮想物点径d
c_Hをdc_V/dc_H>1の関係にすることで、SVの値と
Hの値をほぼ等しくする。
【0035】尚、本発明の電子銃において、第2電極に
設けられた3つの電子ビーム通過孔を横長形状とし、あ
るいは又、第2電極に設けられた3つの電子ビーム通過
孔の周辺部に横長のコイニング部を形成することによっ
て、電子ビームの垂直方向及び水平方向の発散角θV1
θH1を制御することが可能となる。即ち、θV1<θH1
することができ、一層、dc_V/dc_H>1の関係を大き
くすることができる(式(3)及び式(4)参照)。
【0036】更には、本発明の電子銃において、フォー
カス電極を、前段集束電極及び主フォーカス電極から構
成し、カソード部側から、第1の四重極レンズ、前段集
束電極、第2の四重極レンズ、主フォーカス電極の順に
配置することによって、第1の四重極レンズと第2の四
重極レンズの間の距離を離すことができる。その結果、
第1の四重極レンズと第2の四重極レンズにおいて大き
な四重極効果が得られ、MV/MHの値を一層「1」に近
づけることができ、蛍光体スクリーン面全体で良好な形
状の電子ビームスポットを得ることが可能となる。ま
た、第1の四重極レンズに入射する電子ビーム径が大き
いので、第1の四重極レンズの四重極効果が大きく、蛍
光体スクリーン面全体で良好な形状の電子ビームスポッ
トを得ることが可能となる。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、発明の実
施の形態(以下、単に実施の形態と略する)及び実施例
に基づき本発明を説明する。
【0038】実施の形態における電子銃の概念図を図1
に示す。また、かかる電子銃の詳細を図2に示し、図3
には、図2に示した状態を90度回転させた状態を示
す。実施の形態における電子銃は、赤(R)、緑(G)
及び青(B)用の電子ビームを射出するためのカソード
部10A,10B,10Cがインライン状に配列されて
おり、第1電極(制御電極)11がカソード部に取り付
けられている。更に、第2電極(加速電極)12、第3
電極、第4電極(前段集束電極)14、第5電極、第6
電極(主フォーカス電極)16、シールドカップ17が
順に配設されている。第1〜第6電極には、カソード部
から射出された3本の電子ビームが通過する電子ビーム
通過孔が、それぞれ設けられている。
【0039】第3電極は、第3_1電極31及び第3_2
極32から成り、第1の四重極レンズを構成する。一
方、第5電極は、第5_1電極51及び第5_2電極52か
ら成り、第2の四重極レンズを構成する。第3_2電極3
2、第4電極14及び第5_1電極51によって前段集束
レンズが構成され、第5_2電極52及び第6電極16に
よって主フォーカスレンズが構成される。
【0040】第3_2電極32と対向する第3_1電極31
の面、及び第5_2電極52と対向する第5_1電極51の
面には、図7の(A)に示すような、縦長の矩形形状の
電子ビーム通過孔61が形成されたプレート60が配設
され、あるいは又、図7の(B)に示すような、長軸が
垂直方向と一致した楕円形状の電子ビーム通過孔62が
形成されたプレート60が配設されている。一方、第3
_1電極31と対向する第3_2電極32の面、及び第5_1
電極51と対向する第5_2電極52の面には、図7の
(C)に示すような、横長の矩形形状の電子ビーム通過
孔71が形成されたプレート70が配設され、あるいは
又、図7の(D)に示すような、長軸が水平方向と一致
した楕円形状の電子ビーム通過孔72が形成されたプレ
ート70が配設されている。
【0041】第1電極11に設けられた3つの電子ビー
ム通過孔11Aは、図10の(A)に示すような、長軸
が垂直方向と一致した楕円形状といった縦長形状とする
ことができるし、長円、矩形等の縦長形状とすることも
できる。あるいは又、図10の(B)に示すように、周
辺部にコイニング加工によって縦長のコイニング部(凹
部)11Bを形成してもよい。尚、このような第1電極
11に設けられた電子ビーム通過孔11Aの形状を、以
下、便宜上、縦長非点形状と呼ぶ。図10の(B)に示
した1つの電子ビーム通過孔11Aの部分の縦方向の断
面図を、図10の(E)に示す。コイニング部11Bに
おける第1電極11の厚さt1は、その他の第1電極1
1の部分の厚さt0よりも薄い。
【0042】一方、第2電極12に設けられた3つの電
子ビーム通過孔12Aは、図10の(C)に示すよう
な、長軸が水平方向と一致した楕円形状といった横長形
状とすることが好ましい。あるいは又、長円、矩形等の
横長形状とすることもできる。あるいは又、図10の
(D)に示すように、周辺部にコイニング加工によって
横長のコイニング部(凹部)12Bを形成することが好
ましい。尚、このような第2電極12に設けられた電子
ビーム通過孔12Aの形状を、以下、便宜上、横長非点
形状と呼ぶ。図10の(D)に示した1つの電子ビーム
通過孔12Aの部分の縦方向の断面図を、図10の
(F)に示す。コイニング部12Bにおける第1電極1
1の厚さt1’は、その他の第2電極12の部分の厚さ
0’よりも薄い。このように、第2電極12の電子ビ
ーム通過孔を横長非点形状とすることで、電子ビームの
垂直方向の発散角θV1及び水平方向の発散角θH1の制御
を行うことができる。
【0043】第1電極11及び第2電極12の光学的モ
デルを図11に示す。第1の電極11に設けられた電子
ビーム通過孔11Aの形状を縦長非点形状とすることに
よって、電子ビームの垂直方向の仮想物点径dc_Vと水
平方向の仮想物点径dc_Hは、dc_V/dc_H>1の関係
になる。一方、第2の電極12に設けられた電子ビーム
通過孔12Aの形状を横長非点形状とすることによっ
て、電子ビームの垂直方向の発散角θV1を水平方向の発
散角θH1よりも小さくすることができる。これによっ
て、先に説明したように、蛍光体スクリーン面全体で良
好な形状の電子ビームスポットを得ることが可能とな
る。
【0044】フォーカス電極は、電子ビームの垂直方向
に対する集束作用が水平方向に対する集束作用よりも小
さい構造を有する。具体的には、第5電極及び第6電極
16’に設けられた3つの電子ビーム通過孔80A,8
0B,80Cは、図6に示す形状とすることができる。
尚、第4電極14にも、図6に示したと同様の3つの電
子ビーム通過孔80A,80B,80Cを設けてもよ
い。電子ビーム通過孔80A,80B,80Cを通過す
る電子ビームは、垂直方向よりも水平方向に強い力を受
ける。その結果、電子ビームの垂直方向に対する集束作
用が水平方向に対する集束作用よりも小さくなる。尚、
図6に示した第5電極及び第6電極16’(場合によっ
ては、第4電極14)の構造は例示であり、適宜変更す
ることができる。
【0045】カソード部10A,10B,10Cには、
0〜100Vの電圧が印加される。また、第1電極11
は接地されている。更に、第2電極12及び第4電極1
4には200〜800Vの電圧が印加される。第3_2
極32及び第5_1電極51には、5〜10kVの一定値
のフォーカス電圧FCが印加され、第3_1電極31及び
第5_2電極52には、図5に示すように、フォーカス電
圧FCの水平偏向に同期したパラボラ波形のダイナミッ
ク電圧(ダイナミックフォーカス電圧)VDFをフォーカ
ス電圧FCから減じた電圧(FC−VDF)が印加される。
尚、ダイナミック電圧(ダイナミックフォーカス電圧)
DFの最大値は、200〜2000V程度である。第6
電極16には15〜35kVの高電圧が印加される。
【0046】蛍光体スクリーン面の中央部に電子ビーム
が衝突するとき、第3_1電極31と第3_2電極32との
間の電位差、及び第5_1電極51と第5_2電極52との
間の電位差は最大となる。従って、このとき、第1の四
重極レンズにおいては、電子ビームに対して垂直方向に
作用する発散作用及び水平方向に作用する集束作用が最
大となり、第2の四重極レンズにおいては、電子ビーム
に対して垂直方向に作用する集束作用及び水平方向に作
用する発散作用が最大となる。このように、2組の四重
極レンズを設けることによって、縦像倍率MV/横像倍
率MHの割合を「1」に近づけることができ、蛍光体ス
クリーン面の中央部に衝突する電子ビームのスポット形
状を円形に近づけることができる。しかも、第1の四重
極レンズ及び第2の四重極レンズの全体では、電子ビー
ムの垂直方向に集束作用(凸レンズ効果)を及ぼし、一
方、水平方向に発散作用(凹レンズ効果)を及ぼすの
で、第2の四重極レンズを通過した電子ビームは、その
垂直方向に集束作用(凸レンズ効果)を受け、一方、水
平方向に発散作用(凹レンズ効果)を受ける。その結
果、最終的に蛍光体スクリーン面の中央部に衝突する電
子ビームのスポット形状は縦長から円形に近づく。この
状態を、図12の(B)に模式的に示す。尚、図12の
(A)は、2組の四重極レンズが作用していないと仮定
した場合の蛍光体スクリーン中央部における電子ビーム
のスポット形状を模式的に示す図であり、かかる電子ビ
ームのスポット形状は縦長となる。
【0047】一方、蛍光体スクリーン面の左右周辺部に
電子ビームが衝突するとき、第3_1電極31と第3_2
極32との間の電位差、及び第5_1電極51と第5_2
極52との間の電位差は最小となる。従って、このと
き、第1の四重極レンズにおいては、電子ビームに対し
て垂直方向に作用する発散作用及び水平方向に作用する
集束作用が最小(若しくは零)となり、第2の四重極レ
ンズにおいては、電子ビームに対して垂直方向に作用す
る集束作用及び水平方向に作用する発散作用も最小(若
しくは零)となる。第1電極11を通過した電子ビーム
の仮想物点は縦長であり、第2電極12を通過した電子
ビームの垂直方向の発散角θV1は水平方向の発散角θH1
よりも小さい。そして、第6電極16を通過した電子ビ
ームの縦長の形状は偏向ヨークによって水平方向に扁平
となるような作用を受ける結果、蛍光体スクリーン面の
左右周辺部に衝突する電子ビームのスポット形状は円形
に近づく。
【0048】(実施例)第1電極11に設けられた電子
ビーム通過孔の形状を、水平方向0.33mm、垂直方
向0.45mmの矩形の縦長非点形状とした。また、第
2電極12に設けられた電子ビーム通過孔には、その周
辺部に横長のコイニング部を設けた。コイニング部の水
平方向の長さを2.5mm、垂直方向の長さを0.8m
mとした。これによって、電子ビームの垂直方向の仮想
物点径dc_Vと水平方向の仮想物点径dc_Hの割合(d
c_V/dc_H)は、約2となる。
【0049】(比較例1)比較例1においては、第1電
極に設けられた電子ビーム通過孔を直径0.4mmの円
形とし、第2電極に設けられた電子ビーム通過孔も円形
とした。尚、電子銃の構造を、1組の四重極レンズを備
えた図13の(A)に示した構造とした。
【0050】(比較例2)比較例2においては、第1電
極に設けられた電子ビーム通過孔の形状を、水平方向
0.33mm、垂直方向0.45mmの矩形の縦長非点
形状とした。また、電子銃の構造を、1組の四重極レン
ズを備えた図13の(A)に示した構造とした。尚、第
2電極に設けられた電子ビーム通過孔には非点コイニン
グ部を形成した。
【0051】実施例及び比較例1、比較例2において、
蛍光体スクリーン面上での電子ビームスポット径(単
位:mm)の測定を行った。結果を以下の表1に示す。
尚、表1において、中央部、左右周辺部は、それぞれ、
蛍光体スクリーン面の中央部及び左右周辺部を意味し、
「垂直」及び「水平」は、それぞれ、電子ビームスポッ
トの垂直方向及び水平方向の長さを示し、割合は、(垂
直方向のスポットの長さ)/(水平方向のスポットの長
さ)を示す。
【0052】
【表1】 中央部 左右周辺部 垂直 水平 割合 垂直 水平 割合 実施例 0.62 0.58 1.07 0.55 0.70 0.79 比較例1 0.65 0.65 1.00 0.45 0.90 0.50 比較例2 0.70 0.50 1.40 0.55 0.70 0.79
【0053】以上の結果から、本発明の電子銃において
は、蛍光体スクリーン面の中央部における電子ビームス
ポットの形状は、比較例1と比べて、円形に近く、しか
も、蛍光体スクリーン面の中央部における電子ビームス
ポットの水平方向に扁平となる度合いが、比較例2と比
べて、格段に改善されていることが判る。
【0054】以上、本発明を発明の実施の形態及び実施
例に基づき説明したが、本発明はこれらに限定されるも
のではない。発明の実施の形態にて説明した電子銃の構
造や寸法は例示であり、適宜設計変更することができ
る。第1電極11や第2電極12に設けられた電子ビー
ム通過孔の非点形状は、蛍光体スクリーン面の全域に亙
り、電子ビームのスポット形状が均一化されるように設
計すればよい。また、2組の四重極レンズに関しては、
縦像倍率MV/横像倍率MHの割合を「1」に近づけるこ
とができ、しかも、第1の四重極レンズ及び第2の四重
極レンズの全体として、電子ビームの垂直方向に集束作
用(凸レンズ効果)を及ぼし、一方、水平方向に発散作
用(凹レンズ効果)を及ぼすように、2組の四重極レン
ズを設計すればよい。
【0055】四重極レンズを形成するための電子ビーム
通過孔の形状は例示であり、適宜設計変更することがで
きる。例えば、第5_2電極52や第3_2電極32と対向
する第5_1電極51や第3_1電極31の面には、図8の
(A)に示すように、円形(長円、楕円あるいは矩形で
もよい)の電子ビーム通過孔63を設け、かかる電子ビ
ーム通過孔63の左右に突出部(庇状部)64を設けて
もよい。あるいは、図9の(A)に示すように、電子ビ
ーム通過孔65の形状を、縦長矩形と円形を組み合わせ
た形状としてもよい。更には、図9の(B)に示すよう
に、打ち抜き加工によって電子ビーム通過孔66を形成
する際に材料を折り曲げて、横方向(左右方向)に突起
部を同時に形成することもできる。尚、かかる突起部を
別途作製し、溶接によって取り付けてもよい。あるいは
又、図9の(C)に示すように、電子ビーム通過孔67
の上下端部に挿入孔を設けてもよい。
【0056】一方、第5_1電極51や第3_1電極31と
対向する第5_2電極52や第3_2電極32の面には、図
8の(B)に示すように、円形(長円、楕円あるいは矩
形でもよい)の電子ビーム通過孔73を設け、かかる電
子ビーム通過孔73の上下に突出部(庇状部)74を設
けてもよい。あるいは、図9の(A)に示すように、電
子ビーム通過孔75の形状を、横長矩形と円形を組み合
わせた形状としてもよい。更には、図9の(B)に示す
ように、ファインブランキング加工等の打ち抜き加工に
よって電子ビーム通過孔76を形成する際に材料を折り
曲げて、縦方向(上下方向)に突起部を同時に形成する
こともできる。尚、かかる突起部を別途作製し、溶接に
よって取り付けてもよい。この場合、3つの電子ビーム
通過孔に対して突起部を上下一対、設けてもよい。ある
いは又、図9の(C)に示すように、電子ビーム通過孔
67の上下端部に設けられた挿入孔に挿入し得る突起部
を電子ビーム通過孔77の上下端部に設けてもよい。
【0057】本発明のカラー陰極線管用電子銃は、例え
ば、バイポテンシャルフォーカスレンズ形式、ユニポテ
ンシャルフォーカスレンズ形式、ハイバイポテンシャル
フォーカスレンズ形式、トライポテンシャルフォーカス
レンズ形式、ハイユニポテンシャルフォーカスレンズ形
式、バイユニポテンシャルフォーカスレンズ形式、ユニ
バイポテンシャルフォーカスレンズ形式、その他の複合
レンズ形式のカラー陰極線管用電子銃に適用することが
できる。
【0058】
【発明の効果】本発明の電子銃にあっては、蛍光体スク
リーン面の中央部及び左右周辺部における電子ビームの
ビームスポット形状を出来る限り均一化することがで
き、蛍光体スクリーン面の周辺部分で良好な解像度を保
ちつつ、中央部における垂直方向の解像度を向上させ、
カラー陰極線管の蛍光体スクリーン面の全域に亙り水平
方向及び垂直方向の解像度のばらつきを減少させること
ができる。また、カラー陰極線管の全長を短くする目的
で偏向角を大きくした場合、偏向ヨークによって水平方
向に扁平となるような作用が大きくなり、蛍光体スクリ
ーン面の左右周辺部における電子ビームのスポット形状
は一層横長となり、水平解像度が劣化する。然るに、本
発明の電子銃においては、蛍光体スクリーン面における
電子ビームのスポット形状を円形に近づけることができ
るので、解像度の劣化を抑制することができ、偏向角の
広角化が可能となる。
【0059】また、本発明の電子銃において、カソード
部側から、第1の四重極レンズ、前段集束電極、第2の
四重極レンズ、主フォーカス電極の順に配置することに
よって、第1の四重極レンズと第2の四重極レンズにお
いて大きな四重極効果が得られ、縦像倍率MV/横像倍
率MHの値を一層「1」に近づけることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施の形態における電子銃の概念図であ
る。
【図2】発明の実施の形態における電子銃の詳細を示す
図である。
【図3】図2に示した電子銃を90度回転させた図であ
る。
【図4】蛍光体スクリーン面の中央部及び左右周辺部に
電子ビームが衝突するときの光学的モデルを示す図であ
る。
【図5】発明の実施の形態における電子銃の四重極レン
ズに印加される電圧の模式図である。
【図6】第4電極及び第6電極に設けられた3つの電子
ビーム通過孔の形状を示す模式図である。
【図7】四重極レンズを形成するための電極に設けられ
た電子ビーム通過孔の形状を示す模式図である。
【図8】四重極レンズを形成するための電極に設けられ
た電子ビーム通過孔の形状を示す模式図である。
【図9】四重極レンズを形成するための電極に設けられ
た電子ビーム通過孔の形状を示す模式図である。
【図10】第1電極及び第2電極に設けられた3つの電
子ビーム通過孔の形状を示す模式図である。
【図11】第1電極及び第2電極の光学的モデルを示す
図である。
【図12】蛍光体スクリーン面における電子ビームのス
ポット形状を模式的に表す図である。
【図13】従来の四重極レンズを内蔵したカラー陰極線
管用電子銃の概念図、及び、蛍光体スクリーン面の左右
周辺部に電子ビームが衝突するときの光学的モデルを示
す図である。
【図14】図13に示したとは別の構造の従来の四重極
レンズを内蔵したカラー陰極線管用電子銃の概念図であ
る。
【図15】図14に示したカラー陰極線管用電子銃にお
いて、蛍光体スクリーン面の左右周辺部に電子ビームが
衝突するときの光学的モデルを示す図である。
【図16】図13の(A)に示した電子銃において、第
1電極11に設けられた電子ビーム通過孔の形状を非点
形状とした構造における光学的モデルを示す図である。
【図17】従来の技術における蛍光体スクリーン面上の
電子ビームスポットの状態を模式的に示す図である。
【図18】コンバーゼンスエラーを説明するための図、
及び、フォーカス電圧の水平偏向に同期した従来のダイ
ナミックフォーカス電圧を示す模式図である。
【符号の説明】
10A,10B,10C・・・カソード部、11・・・
第1電極(制御電極)、12・・・第2電極(加速電
極)、31・・・第3_1電極、32・・・第3_2電極、
14・・・第4電極(前段集束電極)、51・・・第5
_1電極、52・・・第5_2電極、16・・・第6電極
(主フォーカス電極)、17・・・シールドカップ、6
0,70・・・プレート、11A,12A,61,6
2,63,65,66,67,71,72,73,7
5,76,77,80A,80B,80C・・・電子ビ
ーム通過孔、11B,12B・・・コイニング部、6
4,74・・・突出部(庇状部)
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 29/48 - 29/51

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カソード部と、第1電極と、第2電極と、
    第1の四重極レンズを形成する複数の電極と、第2の四
    重極レンズを形成する複数の電極と、フォーカスレンズ
    を形成する電極とを備えたインライン3ビーム方式のカ
    ラー陰極線管用電子銃であって、 該第1電極に設けられた3つの電子ビーム通過孔は、縦
    長形状、若しくは周辺部に縦長のコイニング部を有し、 電子ビームの垂直方向の仮想物点径dc_Vと水平方向の
    仮想物点径dc_Hは、dc_V/dc_H>1の関係にあり、第1の四重極レンズを形成する一方の電極及び第2の四
    重極レンズを形成する一方の電極にはフォーカス電圧が
    印加され、 第1の四重極レンズを形成する他方の電極 及び第2の四
    重極レンズを形成する他方の電極には、電子ビームの水
    平偏向角度の増大に伴い漸次増加し且つフォーカス電
    圧に近づくダイナミック電圧が印加され、その結果、電
    子ビームの水平偏向角度の増大に伴い、該第1の四重極
    レンズにおいては、電子ビームに対して垂直方向に作用
    する発散作用及び水平方向に作用する集束作用が減少
    し、該第2の四重極レンズにおいては、電子ビームに対
    して垂直方向に作用する集束作用及び水平方向に作用す
    る発散作用が減少し、 ォーカスレンズを形成する該電極は、該フォーカスレ
    ンズの電子ビームの垂直方向に対する集束作用が水平方
    向に対する集束作用よりも小さくなる構造を有すること
    を特徴とするカラー陰極線管用電子銃。
  2. 【請求項2】電子ビームの垂直方向の仮想物点の位置
    は、電子ビームの水平方向の仮想物点の位置よりもフォ
    ーカスレンズを形成する前記電極に近いことを特徴とす
    る請求項1に記載のカラー陰極線管用電子銃。
  3. 【請求項3】前記第2電極に設けられた3つの電子ビー
    ム通過孔は、横長形状、若しくは周辺部に横長のコイニ
    ング部を有することを特徴とする請求項1に記載のカラ
    ー陰極線管用電子銃。
  4. 【請求項4】前記フォーカスレンズは、前段集束レンズ
    及び主フォーカスレンズから構成され、 カソード部側から、第1の四重極レンズを形成する前記
    電極前段集束レンズを形成する電極、第2の四重極
    レンズを形成する前記電極主フォーカスレンズを形
    成する電極の順に配置されていることを特徴とする請求
    項1に記載のカラー陰極線管用電子銃。
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