JP3393381B2 - 粒子分散材料のレオロジー特性の測定技術、及びそれを用いた評価装置 - Google Patents

粒子分散材料のレオロジー特性の測定技術、及びそれを用いた評価装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粒子状材料を樹脂
等の液状材料に混合し、分散した粒子分散材料のレオロ
ジー特性の測定方法、及びその装置に関するものであ
り、更に詳しくは、粒子状材料を原料とし、液状材料に
混合して得た粒子分散材料のレオロジー特性を、剪断力
などの外力を印加して材料を破壊することなく、元の材
料構造を維持した状態でin−situ測定する方法で
あって、粒子分散材料内部の粒子状材料の凝集構造を異
方性信号として測定し、その異方性量を粒子分散材料・
諸特性のうちレオロジー特性値の指標として用いること
を特徴とする、粒子分散材料のレオロジー特性を測定す
る方法、及びそれを用いた評価装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】粒子状材料を樹脂等の液状材料に混合
し、分散した粒子分散材料は、絶縁材料、電極・導電材
料、電気粘性流体、化学機械研磨用スラリー、射出成形
や鋳込み成形などのセラミック成形プロセス原料などと
して使用されるとともに、近年では、半導体素子の保護
・絶縁などを目的とした封止材料に広く利用されるよう
になっている。特に、VLSI化の進展に伴う素子の微
細化に対応するために、微小な電極間への注入や任意形
状化を実現する粒子分散材料の低粘性・高成形性は不可
欠である。
【0003】しかし、この粒子分散材料の分野の科学的
な検討は未だ端緒にあり、粒子分散材料の粘性や成形性
に関する検討は経験的なものにとどまっている。例え
ば、粒子分散材料の粘性などのレオロジー特性は、充填
・分散する原料である粒子状材料の粒子径分布などの1
次的な情報から類推して評価するという間接的な評価方
法が多い。この評価方法は、混合する粒子状材料の粒子
径が大きく比表面積が小さいほど粒子分散材料の粘性は
小さく、あるいは粒子径分布の幅が広いほど低粘性にな
る、というようなものである。しかし、現実の実用材料
系では、これらの因子が個別に制御された製品が用意さ
れるというようなことは少なく、各因子が複雑に相互作
用を及ぼし合うため、レオロジー特性を支配する条件を
明確化することは難しい。したがって、以上のような紋
切り型の知見のみでは、半導体封止材料などのレオロジ
ー特性の評価技術に要求される精度の精密化などへの対
応に限界のあることが指摘されていた(例えば、萩原伸
介、”半導体用封止材の開発現況”、プラスチックス、
Vol.49、p.58、1998;北野武、”フィラ
ー充填高分子溶融液のレオロジー特性”、Fille
r、Vol.3、p.96、1998)。
【0004】その打開策として、粒子分散材料中の粒子
状材料の充填構造や分散状態を理論的に仮定し、これと
レオロジー特性とを相関させるという試みが行われてい
る。例えば、セラミックス湿式成形の分野では、成形過
程に形成される粒子構造体を想定したスラリー粘性の検
討がある(例えば、特開平11−304686号公報;
及び、椿一郎ほか、”湿式成形プロセス最適設計のため
の新たなスラリー評価法”、日本セラミックス学界論文
誌、Vol.106、p.504、1998)。また、
電気粘性流体の分野では、混合する粒子状材料の濃度と
電流値との関係を相関化する試みがある(例えば、特開
平11−343496号公報)。以上のような方法は、
粒子状材料の濃度があまり大きくなく、粒子径分布など
が単純な(できれば単分散の)材料系では成功している
例もみられるが、実用的な粒子径分布や表面特性を持つ
粒子状材料の高濃度の分散系では、十分には対応しきれ
ていない(例えば、薄井洋基、”単分散シリカ微粒子の
凝集性スラリーに対するレオロジーモデル”、化学工学
論文集、Vol.25、p.459、1999)。
【0005】未だ、粒子分散材料が使用される状態のま
ま、すなわち、元の材料構造を維持した状態で、上記の
粒子状材料の2次的な構造を実際に直接的に観察した研
究は見当たらない。この要因の1つは、分散系の内部構
造を観察し、その構造と特性とを相関化するための方法
が、液状材料を分散媒とする場合に確立されていない点
にあると考えられる。例えば、粒子状材料の分散媒が固
形(例えば、セラミック材料系など)の分散系では普遍
的な方法である、X線回折装置、光学顕微鏡、走査型電
子顕微鏡(SEM)などによる測定方法を液状材料系に
適用する場合の方法論が用意されていない点に問題があ
ると思われる。
【0006】また、既往のレオロジー特性の測定方法
は、粒子分散材料中に攪拌子や原子間力顕微鏡のカンチ
レバーなどを挿入してその構造を破壊し、その際の剪断
力等を指標として測定するものが多かった。粒子状材料
のみであれば、電子線やX線の回折を利用し、また、液
状材料のみであれば、光波の偏光や干渉を利用し、粒子
分散材料が実際に使用される状態のまま、非接触状態で
構造解析を行う方法があった。しかし、両者が混合され
た材料系である粒子分散材料では、それらを利用した方
法は見当たらない。液状材料を樹脂系材料とした場合に
は、高分子材料の一種とみることができる。高分子材料
系では、印加された応力による光弾性特性の評価や、プ
ラスチックレンズの複屈折率の測定、液晶材料中の分子
配向特性の評価などに、偏光観察を用いることが一般的
に利用されている。しかし、粒子−樹脂・分散材料にお
いて、樹脂ではなく、粒子の特性を評価するために、こ
れを用いることは試みられてこなかった。その理由は、
同材料分野で一般的に用いられる粒子状材料は、非晶質
のSiO2 粒子であり、等方的な結晶構造を持つ(もし
くは結晶構造を持たない)材料に、これらの観察方法が
適用できると直感的には予想されないためであったと考
えられる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来の粒子分散材料の測定技術が持つ欠点を克服し、粒
子分散材料のレオロジー特性を、剪断力などの外力を印
加して材料を破壊することなく、元の材料構造を維持し
た状態でin−situ測定すること、粒子分散材料内
部の粒子状材料の不均一構造、すなわち、凝集構造、を
異方性信号として測定すること、その異方性量を粒子分
散材料・諸特性のうちレオロジー特性値の指標として用
いること、を必須の要件とする、粒子分散材料のレオロ
ジー特性の測定方法、及びその測定原理を用いた評価装
置を提供することを技術的課題として開発されたもので
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、粒子分散
材料を調製する際に、粒子状材料の充填構造が不均一と
なったり、2次的な凝集を作れば、周りの液状材料に応
力を与え、そうでない部分より高分子などの配向性が増
加する点に着目した。また、粒子状材料と液状材料の境
界部分に気泡が発生したり、あるいは異種材料から成る
界面自身(異なる屈折率から成る接合面)が、光学的な
異方体となり得るものと考えた。これらは、結晶学的測
定法で検出可能な構造や、光学的歪みを有し、対角位の
観察などで評価できる可能性がある、粒子状材料の充填
・分散構造中に、液状材料が内包され、粒子状材料の
(見掛け上の)濃度が高くなったり、粘性発現時の剪断
に寄与しない分散媒の成分が増加する、と考えて、粒子
分散材料のレオロジー特性を測定することができると着
想した。
【0009】本発明者らは、以上の着想を実現すべく鋭
意検討し、充填する粒子状材料の粒子径分布など粒子の
1次的な特性や、調製方法や評価試料条件などの影響を
種々検討した結果、粒子分散材料の不均一構造を、液状
材料や粒子−液境界部の有する光学的異方性又は結晶学
的異方性を利用して測定し、その測定結果を指標とし
て、粒子状材料の充填構造や分散状態を同定することが
できること、すなわち、上記異方性として計測される微
粒子分散状況が粒子分散材料のレオロジー特性と一意的
な相関関係にあることを見出し、かかる知見に基づい
て、本発明を完成するに至った。
【0010】すなわち、本発明は、これまで、理論的に
しか想定されていなかった粒子分散材料中の粒子状材料
の充填構造や分散状態を、液状材料や粒子−液境界部の
有する光学的異方性又は結晶学的異方性を利用して実際
に測定、検出し、その測定結果を指標として、粒子状材
料と液状材料の分散状態を同定して、粒子分散材料が実
際に使用される状態のまま測定手段と非接触状態で粒子
分散材料のレオロジー特性を測定する方法、及びそれを
用いた評価装置を提供することを目的とするものであ
る。
【0011】上記課題を解決するために、本発明では以
下のような構成が採用される。 (1)粒子状材料を原料とし、液状材料に混合して得た
粒子分散材料のレオロジー特性を、剪断力などの外力を
印加して材料を破壊することなく、元の材料構造を維持
した状態でin−situ測定する方法であって、粒子
分散材料内部の粒子状材料の不均一構造である凝集構造
液状材料や粒子−液境界面部の有する光学的異方性又
は結晶学的異方性としての液状材料分子の局所的な再配
列に基づく光弾性、又は粒子状材料と液状材料の屈折率
差を利用して異方性信号として測定する工程、上記異方
性として計測される粒子分散状況が粒子分散材料のレオ
ロジー特性と一意的な相関関係にあることに基づきその
異方性量を粒子分散材料のレオロジー特性値の指標とし
て用いる工程、から成ることを特徴とする、粒子分散材
料のレオロジー特性の測定方法。 (2)粒子状材料の凝集構造を、電子線、X線の回折又
は光波の偏光・干渉による結晶学的又は光学的異方性を
利用して測定することを特徴とする前記(1)に記載の
粒子分散材料のレオロジー特性の測定方法。 ()粒子状材料が、SiO2系材料又はAlN系材料
であることを特徴とする前記(1)、又は(2)に記載
の粒子分散材料のレオロジー特性の測定方法。 ()液状材料が、樹脂系材料であることを特徴とする
前記(1)、(2)又は(3)に記載の粒子分散材料の
レオロジー特性の測定方法。 ()前記(1)から()のいずれかに記載の測定方
法に使用する粒子分散材料のレオロジー特性を測定する
装置であって、2枚の偏光素子、光源又は電子線源、透
過像の観察手段、試料設置手段を構成要素として含有
し、2枚の偏光素子間に透過観察用薄片試料を設置し、
単色光を1枚目の偏光素子で偏光化して試料へ照射し、
試料中の凝集体などの光学的異方性部で複屈折後、2枚
目の偏光素子で再度偏光し、透過像の観察手段で観察し
て、対角位や干渉などの光学的挙動を測定し、評価する
ようにしたことを特徴とする測定装置。 ()試料が、粒子分散材料を光源又は電子線源からの
単色光が透過できる厚さに薄片化したものであることを
特徴とする前記()に記載の測定装置。 ()ハロゲン光を照射することを特徴とする前記
)に記載の測定装置。
【0012】
【発明の実施の形態】次に、本発明について更に詳細に
説明する。本発明の重要な要件は、粒子分散材料の不均
一構造を異方性信号として測定すること、そのために、
粒子状材料の凝集構造を結晶学的又は光学的異方性を利
用して測定すること、その異方性量を粒子分散材料のレ
オロジー特性値の指標として用いること、それにより、
粒子分散材料の内部構造を同定し、評価することにあ
り、具体的には、粒子分散材料中の粒子状材料の充填構
造や分散状態を、液状材料や粒子−液境界部の有する光
学的異方性又は結晶学的異方性を利用して実際に測定
し、その測定結果をそのレオロジー特性値の指標として
用いて、粒子分散材料の粘性などのレオロジー特性を同
定し、評価することにある。
【0013】本発明において、粒子状材料の材料系とし
ては、例えば、半導体素子用の封止材料で多用されるS
iO2 又はAlNが好適なものとして例示されるが、こ
れに限らず、例えば、Al23 、SiC、Si34
などの他の酸化物系、Au、Ag、Pd、Pt、Cu、
Al、Au−Pdなど金属系も当然適用可能であり、そ
の種類については、特に制限はない。また、結晶性につ
いても制限は無く、結晶性粒子であれば容易に、また、
非晶質系でも上記で説明したように評価可能である。
【0014】媒体である液状材料としては、例えば、イ
オン交換水や蒸留水などの水系、エタノールなどの有機
非水系のほか、樹脂系、例えば、レゾール型やノボラッ
ク型のフェノール樹脂、ビスフェノール型クレゾールノ
ボラック多官能型のエポキシ樹脂、ハロゲン化樹脂な
ど、常温で固形型の樹脂材料や、常温で液状型の次世代
半導体素子用の封止材料で多用される樹脂材料が好適な
ものとして例示されるが、他の液状材料も適用可能であ
り、その種類については、特に制限はない。
【0015】粒子分散材料の調製方法としては、例え
ば、ニーダー、2軸ミル、3本ロールミル、ヘンシェル
ミキサー、遊星運動を利用した混合方法、粉砕や剪断応
力を利用した機械的複合化法(固相法)、液体中の複数
成分の均一分散性を利用する液相法、ガス中での運動力
などを利用する気相法などの各種複合化技術などが例示
されるが、特に制限されるものではなく、本発明は、い
ずれの方法で調製された粒子分散材料にも適用できる。
本発明が適用される粒子分散材料の具体例としては、例
えば、重合割合70〜90%(対・液状材料)のSiO
2 粒子、及びノボラック型フェノール樹脂を可塑剤とと
もに予備混合後、150〜180℃に加熱したニーダー
で混練して板状の複合成形体とし、これを粉砕して得た
顆粒状原料粉体をペレット状に成形した半導体封止材料
タブレットが挙げられる。
【0016】粒子分散材料の内部構造を観察するための
方法及びその装置としては、波動特性を有した検出源、
測定原理によるものであって、粒子分散材料を非接触で
測定できるものであれば何でも良く、適宜のものを使用
することができる。例えば、粒子状材料で用いられるこ
との多い電子顕微鏡やX線・電子線回折の利用、液状材
料系で多用される光学系の利用などが挙げられる。雰囲
気調整などが不要な簡便な方法及び装置として、例え
ば、2枚の偏光素子を用い、単色光を1枚目の偏光素子
で偏光化して粒子分散材料へ照射し、分散系中の凝集体
など光学的異方性部で複屈折後、2枚目の偏光素子で再
度偏光し、対角位や干渉などの光学的挙動を測定し、評
価する方法、及びその装置が例示されるが、これらに制
限されるものではない。本発明の測定方法で使用される
装置の具体的な構成の例としては、2枚の偏光素子、光
源又は電子線源、透過像の観察手段、試料設置手段を構
成要素として含有し、2枚の偏光素子間に透過観察用薄
片試料を設置し、単色光を1枚目の偏光素子で偏光化し
て試料へ照射し、試料中の凝集体などの光学的異方性部
で複屈折後、2枚目の偏光素子で再度偏光し、透過像の
観察手段で観察して、対角位や干渉などの光学的挙動を
測定し、評価する装置、板状に加工した粒子分散材料を
偏光顕微鏡で偏光量を微調整して観察する装置、上記の
半導体封止材料タブレット製造プロセスで、ニーダー混
練後、又はペレット状に成形後の製造ラインに、偏光素
子を計装設備として設置してin−situ測定し、タ
ブレットを破壊することなく評価し、不良品のみを取り
除く手段、といった構成例が挙げられる。
【0017】評価対象となるレオロジー特性としては、
粒子状材料と液状材料の分散状態・構造から理解できる
ものであれば、特に制限はないが、例えば、2軸円筒試
験法による粘性係数(剪断速度0の静的、あるいは動的
粘性係数)、クリープ特性、チクソトロピー、レオペキ
シー、ダイラタンシーなどの非ニュートン粘性、粒子状
材料と液状材料の界面特性などが代表的なものとして例
示される。
【0018】
【実施例】次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説
明するが、本発明は以下の実施例によって何ら限定され
るものではない。 実施例 (1)方法 粒子状材料として、汎用的な酸化珪素原料の溶融プロセ
スで製造された、平均粒子径10数〜数10μmの、3
種類の平均粒子径(13μm、17μm及び27μm)
と粒子径分布を有する非晶質・球状SiO2 粒子を用い
た。それらの粒子の平均粒子径及び粒子径分布を表1及
び図1に示す。次に、液状材料として、ビスフェノール
A型液状エポキシ樹脂を使用し、それぞれのSiO2
子と、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂を、粒子の
樹脂に対する重量割合を70%で混合し、公転回転数1
800rpm・自転回転数600rpmで5分間混練
し、粒子−樹脂・分散材料を作製した。次に、粒子−樹
脂・分散材料中の粒子状材料の充填構造や分散状態を、
粒子分散材料の光学的異方性を利用して測定するため
に、2枚の高分子製偏光板間に粒子分散材料を設置し、
ハロゲン光を透過させて観察した。
【0019】
【表1】
【0020】(2)粘性係数の測定 一方、実測値を得るために、粒子分散材料の粘性係数を
剪断速度0〜600s-1、80℃で測定した。代表とし
て、剪断速度20s-1、300s-1、600s-1におけ
る粘性係数を表1にまとめた。既往の知見に基づけば、
混合する粒子状材料の粒子径が大きく比表面積が小さい
ほど、あるいは粒子径分布の幅が広いほど、粒子分散材
料は低粘性になるはずである。しかし、平均粒子径27
μmの粒子を用いた粒子−樹脂・分散材料は、3種類の
うち最大粒子径を有するにも関わらず、最も粘性係数が
高い。また、平均粒子径13μmの粒子を用いた粒子−
樹脂・分散材料は、3種類のうち最も粒子径分布の幅が
広いにも関わらず、平均粒子径17μmの粒子を用いた
粒子−樹脂・分散材料より粘性係数が高い(表1及び図
1)。以上の粒子−樹脂・分散材料のレオロジー特性
は、従来の方法では、評価及び理解することが難しい。
【0021】(3)結果 図2に、通常光による測定結果である、粒子−樹脂分散
系透過像の一例を示す。このうち、球状・灰色の部分が
SiO2 粒子を示し、その周囲の暗灰色部分が樹脂を示
すものと考えられる。3種類のうち、最も低粘性を示し
た平均粒子径17μmの粒子を用いた粒子−樹脂・分散
材料は、同じ体積を観察した場合に、他の粒子を用いた
粒子−樹脂・分散材料の場合より樹脂部分が比較的多く
観察され、分散系全体に均一に分布している様子が確認
された。
【0022】図3に、本発明の方法による測定結果であ
る、粒子−樹脂分散系透過・偏光像の写真の一例を示
す。3種類のうち、最も低粘性を示した平均粒子径17
μmの粒子を用いた粒子−樹脂・分散材料は、白く輝く
部分として検出される光学的異方性が比較的少ないこと
がわかる(図3−b))。しかし、他の粒子の場合は、
粘性係数の大きいものほど輝部が多く検出された(図3
−a)、c))。これらについては、検出した粒子状材
料の充填・分散構造中に液状材料が内包され、粒子状材
料の(見掛け上の)濃度が高くなったり、粘性発現時の
剪断に寄与しない分散媒成分が増加することによると説
明すれば、粒子分散材料のレオロジー特性を理解でき
る。この透過観察像を指標として、粒子状材料の充填構
造や分散状態を同定した結果、これと粒子分散材料のレ
オロジー特性に一意的な相関関係を得ることが可能であ
ること、この透過観察像を指標として、粒子状材料の充
填構造、分散状態を同定し、粒子分散材料のレオロジー
特性を測定できること、が判明した。
【0023】
【発明の効果】本発明によれば、1)光学的異方性(偏
光観察中の光点)として計測される微粒子分散状況を利
用して、粒子分散材料の粘性などのレオロジー特性を測
定することができる、2)粒子分散材料を攪拌子などで
攪拌してその構造を外力印加により破壊したり、格別の
加工などを施すことなく、粒子分散材料の内部構造(粒
子状材料の充填構造又は分散状態)をその光学的異方性
に基づいて測定して分散系が本来持っている状態、すな
わち、in−situ又は非接触の状態で明確化し、そ
のレオロジー特性を測定することができる、3)分散材
料の不均一構造を異方信号として測定し、その異方性量
をレオロジー指標として利用する方法を提供することが
できる、4)上記測定原理による粒子分散材料のレオロ
ジー特性を測定する方法、及びその評価装置を提供する
ことができる、5)上記方法は、特に、半導体封止材料
の評価方法として好適である、という格別の効果が奏さ
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で用いた3種の非晶質・球状SiO2
子の粒子径分布を示す。
【図2】粒子−樹脂・分散材料の通常光による透過観察
像の写真を示す。
【図3】粒子−樹脂・分散材料の透過・偏光像の写真を
示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−12704(JP,A) 特開 平11−304686(JP,A) 特開 平11−343496(JP,A) 高尾泰正、内藤牧男,”セラミック粒 子−樹脂分散系中の粒子充填構造とレオ ロジー特性”,化学工学会年会研究発表 講演要旨集,日本,化学工学会,2000年 2月29日,Vol.65th,p.559 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 11/00 G01N 23/02 G01N 23/20 G01N 21/23

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】粒子状材料を原料とし、液状材料に混合し
    て得た粒子分散材料のレオロジー特性を、剪断力などの
    外力を印加して材料を破壊することなく、元の材料構造
    を維持した状態でin−situ測定する方法であっ
    て、粒子分散材料内部の粒子状材料の不均一構造である
    凝集構造を液状材料や粒子−液境界面部の有する光学的
    異方性又は結晶学的異方性としての液状材料分子の局所
    的な再配列に基づく光弾性、又は粒子状材料と液状材料
    の屈折率差を利用して異方性信号として測定する工程、
    上記異方性として計測される粒子分散状況が粒子分散材
    料のレオロジー特性と一意的な相関関係にあることに基
    づきその異方性量を粒子分散材料のレオロジー特性値の
    指標として用いる工程、から成ることを特徴とする、粒
    子分散材料のレオロジー特性の測定方法。
  2. 【請求項2】粒子状材料の凝集構造を、電子線、X線の
    回折又は光波の偏光・干渉による結晶学的又は光学的異
    方性を利用して測定することを特徴とする請求項1に記
    載の粒子分散材料のレオロジー特性の測定方法。
  3. 【請求項3】粒子状材料が、SiO2系材料又はAlN
    系材料であることを特徴とする請求項1、又は2に記載
    の粒子分散材料のレオロジー特性の測定方法。
  4. 【請求項4】液状材料が、樹脂系材料であることを特徴
    とする請求項1、 2又は3に記載の粒子分散材料のレオロジー特性の測定
    方法。
  5. 【請求項5】 請求項1からのいずれかに記載の測定
    方法に使用する粒子分散材料のレオロジー特性を測定す
    る装置であって、2枚の偏光素子、光源又は電子線源、
    透過像の観察手段、試料設置手段を構成要素として含有
    し、2枚の偏光素子間に透過観察用薄片試料を設置し、
    単色光を1枚目の偏光素子で偏光化して試料へ照射し、
    試料中の凝集体などの光学的異方性部で複屈折後、2枚
    目の偏光素子で再度偏光し、透過像の観察手段で観察し
    て、対角位や干渉などの光学的挙動を測定し、評価する
    ようにしたことを特徴とする測定装置。
  6. 【請求項6】 試料が、粒子分散材料を光源又は電子線
    源からの単色光が透過できる厚さに薄片化したものであ
    ることを特徴とする請求項に記載の測定装置。
  7. 【請求項7】 ハロゲン光を照射することを特徴とする
    請求項に記載の測定装置。
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