JP3393011B2 - 高靭性析出硬化型ステンレス鋼 - Google Patents
高靭性析出硬化型ステンレス鋼Info
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Description
優れ、さらに靭性に優れた析出硬化型ステンレス鋼に関
わるものである。
回る1000MPa以上の耐力を有し、かつ耐食性に優
れるため、ポンプ・バルブなど水中及び湿潤環境で使用
される構造部材に多く利用されている。代表的な析出硬
化型ステンレス鋼としては、JIS規格のSUS630
あるいはASTM規格のタイプ630に相当するいわゆ
る17−4PHステンレス鋼があり、これはC:0.0
7%以下、Si:1.0%以下、Mn:1.0%以下、
P:0.040%以下、S:0.030%以下、Cr:
15.0〜17.5%、Ni:3.0〜5.0%、C
u:3.0〜5.0%、Nb:0.15〜0.45%を
含み、残部がFe及び不可避不純物からなる鋼である。
PH鋼は、強度が高い半面、靭性が高張力鋼に比べて悪
く、一般的には靱性を要求されない材料として使用され
ている。ところが、17−4PH鋼の良好な耐食性と高
強度を生かし、これを使用条件の厳しい構造用鋼や大き
な衝撃的外力を受ける用途に活用することが要望されて
おり、上記成分を基本にして、強度を低下させることな
く靭性を向上させた析出硬化型ステンレス鋼の開発が望
まれている。本発明は、上記事情を背景としてなされた
ものであり、高い強度と優れた耐食性とを維持したまま
で靱性を向上させた高靱性析出硬化型ステンレス鋼を提
供することを目的とする。
本発明の析出硬化型ステンレス鋼のうち第1の発明は、
重量%で、C:0.07%以下、Si:0.15%以
下、Mn:1.0%以下、Cr:15.0〜17.5
%、Ni:3.0〜5.0%、Cu:3.0〜5.0
%、Nb:0.10〜0.30%、Al:0.015〜
0.05%を含み、残部がFe及び不可避不純物からな
ることを特徴とする。また、第2の発明は、重量%で、
C:0.07%以下、Si:0.15%以下、Mn:
0.15%以下、Cr:15.0〜17.5%、Ni:
3.0〜5.0%、Cu:3.0〜5.0%、Nb:
0.10〜0.30%、Al:0.015〜0.05%
を含み、残部がFe及び不可避不純物からなることを特
徴とする。
ギー値は破壊靭性値と密接な関係があり、一般に強度が
同じであれば吸収エネルギーの高い材料ほど破壊靭性値
も高く、それだけ構造材料として過酷な条件に耐えう
る。しかし、一方で吸収エネルギー値は強度と負の相関
があり、高強度鋼ほど低くなる。このため強度低下をき
たすことなく吸収エネルギーを向上させることができれ
ば、鋼の用途を拡大することができ、工業的に大きなメ
リットがある。本発明者は、上記請求項1および2に記
載の化学成分範囲とすることにより、析出硬化型ステン
レス鋼の吸収エネルギーが向上することを見いだした。
基本的には、17−4PH鋼の化学組成からSiまたは
SiおよびMnを除去し、Alを添加するものである。
よびMnは製鋼時の脱酸剤として作用するほか、鋼の焼
入性を高め、強度上昇をもたらす効果があるため、通常
Si:0.3%、Mn:0.5%程度添加される(ステ
ンレス協会編:ステンレス鋼便覧第三版(1995)
P.641)。しかし実施例に示されるごとく、Siあ
るいはSiおよびMnの両元素を積極的に除去し、その
含有量を0.15%以下とすると、強度の低下を招くこ
となく吸収エネルギーを上昇させることができる。この
理由については今後の解明を待たなければならないが、
吸収エネルギー向上の効果については繰り返し試験を行
って確認している。上記含有量は低いほどよいが、工業
的な製造性も考慮して上限を0.15%とした。なお、
吸収エネルギーの向上という点では、さらに上限を0.
1%以下とするのが望ましく、また、上限を0.05%
とするのが一層望ましい。
た場合、製鋼時の脱酸が不十分になる問題があるため、
脱酸剤としてAlを添加する。なお、Alには同時にオ
ーステナイト結晶粒を微細化して、強度・靭性を向上さ
せる効果も期待できる。しかし過剰のAl添加は鋼中の
非金属介在物の粗大化を招き、靭性低下につながるた
め、その上限を0.05%とした。また、同様の理由で
上限を0.04%とするのが望ましい。なお、上記脱酸
作用および結晶粒の微細化作用を十分に得るためにはA
lを0.015%以上含有させるのが望ましく、さらに
は、0.02%以上含有させるのが一層望ましい。
の限定理由は次の通りである。 C:0.07%以下 Cは、残留オーステナイト量を増大させ、強度を低下さ
せるとともに、時効処理により結晶粒界に炭化物を過剰
に析出させ、靭性・耐食性を劣化させるため、上限を
0.07%とした。なお、可能なら含有量は低いほどよ
く、0.03%以下にすることが望ましい。 Cr:15.0〜17.5% Crは、耐食性向上のために含有させるが、15%未満
では十分な耐食性は得られず、また17.5%を越えて
含有させると脆化の一因となるδフェライト生成が増加
するため、適正範囲を15〜17.5%とした。
に3%以上含有させる。ただし5%を越えると残留オー
ステナイトの生成が増大して強度が低下するため、上限
を5%とした。 Cu:3.0〜5.0% Cuは、時効処理によって微細析出物を生成させて強度
を向上させるために含有させる。ただしその効果は3%
未満では不十分であり、また5%を越えると熱間加工性
が損なわれるので、適正範囲を3〜5%とした。
ーステナイト結晶粒の粗大化を抑制して良好な靭性を確
保するために含有させる。そのためには0.10%以上
の含有が必要であり、一方、0.30%を越えると固溶
Nb量の増大とNb(C、N)の生成により、かえって
靭性を低下させるので、含有量を0.10〜0.30%
とした。
により溶製、熱処理等を経て製造することができ、析出
硬化のための熱処理工程を含む点を除いては特に製造方
法が限定されるものではない。また、その用途も特に限
定されるものではなく、構造用材料等の各種用途に用い
ることができる。
により溶解して50kg鋼塊とした後、鍛造・溶体化熱
処理・焼入れを施し、480℃で4時間の時効処理を行
って引張試験およびシャルピー衝撃試験に供した。その
結果を表2に示す。室温での引張試験の結果、強度はい
ずれの鋼種もほとんど変わりないが、本発明鋼の方が
0.2%耐力・引張強さともにわずかに高い。一方、シ
ャルピー吸収エネルギーは試験温度80℃における値で
比較したが、この温度は延性−脆性遷移の上部棚域にほ
ぼ相当していた(Alを積極的には添加せず、不純物と
してAlを含有する比較鋼No.9、10の上部棚はこ
れより高温側にあった)。
鋼より若干強度が高いにもかかわらず、いずれも100
Jを上回る高い吸収エネルギー値を示している。またS
iおよびMnを除去しても、Alを添加しない場合には
靭性が低下することが明らかである(比較鋼No.1
0)。すなわち、本発明鋼は、適切な成分選定により、
高い強度を維持したままでシャルピー吸収エネルギーが
増大しており、高強度で靭性に優れた析出硬化型ステン
レス鋼が得られている。
ンレス鋼によれば、重量%で、C:0.07%以下、S
i:0.15%以下、Mn:1.0%以下、Cr:1
5.0〜17.5%、Ni:3.0〜5.0%、Cu:
3.0〜5.0%、Nb:0.10〜0.30%、A
l:0.015〜0.05%を含み、残部がFe及び不
可避不純物からなるので、析出硬化型ステンレス鋼の高
い強度を損なうことなく靱性を向上させることができ、
例えばより過酷な条件下においても使用に耐え得る材料
を提供することができる。
Claims (2)
- 【請求項1】 重量%で、C:0.07%以下、Si:
0.15%以下、Mn:1.0%以下、Cr:15.0
〜17.5%、Ni:3.0〜5.0%、Cu:3.0
〜5.0%、Nb:0.10〜0.30%、Al:0.
015〜0.05%を含み、残部がFe及び不可避不純
物からなることを特徴とする析出硬化型ステンレス鋼。 - 【請求項2】 重量%で、C:0.07%以下、Si:
0.15%以下、Mn:0.15%以下、Cr:15.
0〜17.5%、Ni:3.0〜5.0%、Cu:3.
0〜5.0%、Nb:0.10〜0.30%、Al:
0.015〜0.05%を含み、残部がFe及び不可避
不純物からなることを特徴とする析出硬化型ステンレス
鋼。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15636196A JP3393011B2 (ja) | 1996-05-29 | 1996-05-29 | 高靭性析出硬化型ステンレス鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP15636196A JP3393011B2 (ja) | 1996-05-29 | 1996-05-29 | 高靭性析出硬化型ステンレス鋼 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09316610A JPH09316610A (ja) | 1997-12-09 |
JP3393011B2 true JP3393011B2 (ja) | 2003-04-07 |
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JP15636196A Expired - Fee Related JP3393011B2 (ja) | 1996-05-29 | 1996-05-29 | 高靭性析出硬化型ステンレス鋼 |
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JP (1) | JP3393011B2 (ja) |
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1996
- 1996-05-29 JP JP15636196A patent/JP3393011B2/ja not_active Expired - Fee Related
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