JP3392999B2 - プラズマ加工装置 - Google Patents

プラズマ加工装置

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JP3392999B2
JP3392999B2 JP00105896A JP105896A JP3392999B2 JP 3392999 B2 JP3392999 B2 JP 3392999B2 JP 00105896 A JP00105896 A JP 00105896A JP 105896 A JP105896 A JP 105896A JP 3392999 B2 JP3392999 B2 JP 3392999B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プラズマト−チを用い
る加工装置に関し、特に、プラズマト−チの電極先端部
あるいはノズルに付着する汚物の除去に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、金属板の切断あるいは溶接に用い
られるプラズマト−チは、電極にタングステン棒を使用
している(図10の(a))。このようなプラズマトーチは、
アーク時間に比例して電極先端にカサ状に酸化物が発生
し、電極先端が変形する。さらに、ノズルの穴孔内側に
は、タングステン電極からの蒸発金属が付着し蓄積する
(図10の(b))。これによりある時間経過すると電極棒と
ノズル間距離が短くなりシリーズアークが発生し、溶接
不良及び欠陥が発生する(図10の(c))。すなわち、電極
に通電する電流の大きさによっては、1〜3時間毎に電
極を交換あるいは先端の研磨とノズルの掃除を行う必要
があり、生産効率が低下するとともに人手も必要とな
る。
【0003】この問題を解決する為に、特願昭62−3
03001号(特開平1−143776号)において
は、電極先端に良導電性かつ熱良伝導性の材料(例えば
銅)の電極カラーを装着し、電極棒の先端の温度を下げ
ている。これにより、電極先端に付着するカサ状の酸化
物の発生、成長を遅らせ、シリーズアークの発生を遅ら
せることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特願昭62−
303001号(特開平1−143776号)に開示さ
れている方法においては、電極(例えばタングスラン
棒)の外周全域に材料(例えば銅)を密着製造すること
が難かしく、製造での歩留まりが悪い。従って、電極の
価格が高くなる。さらに、電極の先端部で外巻きした電
極カラーからアークが発生することがあり、電極カラー
に銅を用いた場合においては、銅が溶損し、溶損による
銅の蒸発金属がシリーズアークの発生原因となる場合が
あった。
【0005】本発明は、電極あるいはノズルのクリーニ
ングを自動で機械的に行うことを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のプラズマ加工装
置は、放電電極,該方電電極の先端に対向するガス噴射
口を有し放電電極の先端部を包囲するノズル部材、およ
び、放電電極とノズル部材の一方を他方に対して接離駆
動する機構、を含むプラズマト−チ;および、パイロッ
トガスの供給は継続して放電電極のメインア−ク休止
した直後前記接離駆動機構を用いて、放電電極を接
し次いで離駆動する接離制御手段;を備える。
【0007】これによれば、メインア−ク休止時に、放
電電極とノズル部材の一方を他方に対して接離駆動さ
れ、接方向の移動時に放電電極がノズルの穴孔縁に当
り、これにより、放電電極の先端部およびノズルの穴孔
縁にたまった汚物(酸化物,蒸発金属等)がはがれ、パ
イロットガスと共にノズルから出る。すなわち自動的か
つ機械的に汚物が除去される。溶接/停止を繰返すと
き、停止のときにこの接離駆動により汚物除去が自動的
に行なわれるので、時系列での溶接作業効率が高くな
り、クリ−ニング労力が大幅に軽減する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の第1態様(図1)は、放電
電極(1),該放電電極の先端に対向するガス噴射口(2g)
を有し放電電極(1)の先端部を包囲するノズル部材(2,
3),ノズル部材(2,3)を支持する第1支持部材(Ua),
放電電極(1)を支持する電極台(8),電極台(8)を、放
電電極(1)の先端がガス噴射口(2g)に近付く突き出し方
向およびガス噴射口から離れる退避方向に摺動可能に支
持し、電極台(8)との間に、電極台(8)を退避方向に押す
水圧を与える冷却水通流空間(PS)を有する第2支持部材
(Ub),電極台(8)を突出し方向に駆動するばね手段(S
1),前記ガス噴射口(2g)に気体を供給するための流路(2
2)ならびに前記冷却水通流空間(PS)に冷却水を通流する
ための給水路(20a)および排水路(20r)を有し、第1支持
部材(Ua)および第2支持部材(Ub)を支持する基体(B)、
を備えるプラズマト−チ;および、放電電極にメインア
−クが発生する間は第2支持部材(Ub)の冷却水通流空間
(PS)に冷却水を供給し、パイロットガスの供給は継続し
メインア−ク休止した直後、第2支持部材(Ub)
への冷却水の送り込みを所定時間中断してから再開する
接離制御手段(S1A/S1B);を備える。なお、理解を容易
にするためにカッコ内には、図面に示し後述する実施例
の対応要素又は対応事項に付した記号を、参考までに付
記した。
【0009】これによれば、第2支持部材(Ub)が、放電
電極(1)を支持する電極台(8)を、放電電極(1)の先端が
ガス噴射口(2g)に近付く突き出し方向およびその逆の退
避方向に摺動可能に支持し、ばね手段(S1)が、電極台
(8)を突出し方向に駆動するので、これにより放電電極
(1)の先端がガス噴射口(2g)に当る。この状態でノズル
部材(2,3)と放電電極(1)の間にパイロックア−クを発生
するための電圧を印加すると、両者間にパイロットア−
ク電流が流れる。
【0010】第2支持部材(Ub)が、電極台(8)を退避方
向に押す水圧を与える冷却水通流空間(PS)を有し、基体
(B)が、冷却水通流空間(PS)に冷却水を通流するための
給水路(20a)および排水路(20r)を有するので、これらの
水路(20a,20r)を通して接離制御手段(S1A/S1B)が、冷却
水通流空間(PS)に冷却水を通流すると、冷却水通流空間
(PS)の水圧が電極台(8)を退避方向に押す。この水圧を
ばね手段(S1)の駆動力より高く設定することにより、ば
ね手段(S1)の力に抗して電極台(8)が退避方向に移動す
る。このときノズル部材(2,3)と放電電極(1)の間に接触
開放ア−クが発生し、それがパイロックア−ク(ある程
度の空隙を飛ぶア−ク)に移行又は発展する。すなわち
パイロットア−クが自動的に発生する。
【0011】プラズマト−チにおいて公知の、切断又は
溶接のためのメインア−クの生成を経て、所要の切断作
業又は溶接作業を行なった後に、メインアークのみを消
滅させ、そして接離制御手段(S1A/S1B)が、冷却水の供
給を停止すると、冷却水通流空間(PS)の水圧が低下し
て、ばね手段(S1)の力で電極台(8)が突き出し方向に駆
動されて、放電電極(1)の先端がガス噴射口(2g)に当た
り、放電電極(1)の先端に付着したカサ状の酸化物およ
びガス噴射口(2g)に付着し蓄積したタングステン電極か
らの蒸発金属が掻き落とされる。さらに所定時間後に接
離制御手段(S1A)が、再度水通流空間(PS)に冷却水を通
流すると、ばね手段(S1)の力に抗して電極台(8)が退避
方向に移動する。このときノズルから出るパイロットガ
ス流が、掻き落とされた付着物をガス噴射口(2g)より外
部に掃き出す。
【0012】このように、ア−ク発生のための電極台
(8)の退避方向への駆動が冷却水の水圧によって実現
し、切断又は溶接作業中は、ばね手段(S1)の力に抗して
電極台(8)を退避位置に留めるに必要な圧力(維持圧)以
上の冷却水圧を維持すればよい。所要の冷却が実現する
流量が確保されかつ機構上許される範囲内であれば、冷
却水圧は該維持圧以上であればいくら高くてもよく、プ
ラズマト−チのガス噴射口の口径,プラズマガス圧およ
び流量に何らの制約を与えない。また、通常使用してい
る冷却水及び水圧をそのまま使用出来るので特別な付加
装置を必要としなくて済む。したがってプラズマト−チ
の汎用性が高い。
【0013】また、溶接の終了ごとに(メインアークの
停止ごとに)放電電極(1)およびガス噴射口(2g)の付着物
が自動的に清掃されるので、付着物の成長が鈍い。つま
り、付着物の成長に伴うシリーズアークの発生により使
用不能となるまでの放電電極(1)の寿命が長くなり、交
換あるいは人手による清掃の回数が減少する。すなわ
ち、作業効率および生産効率が上昇するとともに、放電
電極(1)の耐久性が向上するので生産コストが低減され
る。パイロットアークのみが継続された状態で、放電電
極(1)の先端をガス噴射口(2g)に当てることにより、凸
状に付着した酸化物が、前記両者の間に、はさまれた状
態で接触され、両者が離れる時に特に付着物よりアーク
電流が発生することになり、放電電極(1)およびガス噴
射口(2g)の付着物がパイロットアークの熱エネルギーに
より効率的に除去される。
【0014】本発明の第2実施態様(図9)は、放電電極
(1),該放電電極を支持する電極台(8),放電電極(1)の
先端に対向するガス噴射口(2g)を有し放電電極(1)の先
端部を包囲するノズル部材(2,3),ノズル部材(2,3)
を、ガス噴射口(2g)が放電電極(1)から離れる突き出し
方向およびガス噴射口から離れる退避方向に摺動可能に
支持し、ノズル部材(2,3)との間に、ノズル部材(2,3)を
突き出し方向に押す水圧を与える冷却水通流空間(PS)を
有する第1支持部材(Ua),ノズル部材(2,3)を退避方向
に駆動するばね手段(S1)、および、ガス噴射口(2g)に気
体を供給するための流路(22)ならびに冷却水通流空間(P
S)に冷却水を通流するための給水路(20f)および排水路
(20a)を有し、第1支持部材(Ua)および電極台(8)を支持
する基体(B)、を備えるプラズマト−チ;および、放電
電極(1)にメインア−クが発生する間は第1支持部材(U
a)の冷却水通流空間(PS)に冷却水を供給し、パイロット
ガスの供給は継続してメインア−ク休止した直後
、第1支持部材(Ua)への冷却水の送り込みを所定時間
中断してから再開する接離制御手段(S1A/S1B);を備え
る。
【0015】これによれば、第1支持部材(Ua)が、ノズ
ル部材(2,3)を、そのガス噴射口(2g)が放電電極(1)から
離れる突き出し方向およびその逆の退避方向に摺動可能
に支持し、ばね手段(S1)が、ノズル部材(2,3)を退避方
向に駆動するので、これによりガス噴射口(2g)が放電電
極(1)の先端に当る。この状態でノズル部材(2,3)と放電
電極(1)の間にパイロックア−クを発生するための電圧
を印加すると、両者間にア−ク(接触開放ア−ク)を生
ずる。
【0016】第1支持部材(Ua)が、ノズル部材(2,3)を
突き出し方向に押す水圧を与える冷却水通流空間(PS)を
有し、基体(B)が、冷却水通流空間(PS)に冷却水を通流
するための給水路(20f)および排水路(20a)を有するの
で、接離制御手段(S1A/S1B)がこれらの水路(20f,20a)を
通して冷却水通流空間(PS)に冷却水を通流すると、冷却
水通流空間(PS)の水圧がノズル部材(2,3)を突き出し方
向に押す。この水圧をばね手段(S1)の駆動力より高く設
定することにより、ばね手段(S1)の力に抗してノズル部
材(2,3)が突き出し方向に移動する。このときノズル部
材(2,3)と放電電極(1)の間に接触開放ア−クが発生して
いると、それがパイロックア−ク(ある程度の空隙を飛
ぶア−ク)に移行又は発展する。すなわちパイロットア
−クが自動的に発生する。
【0017】プラズマト−チにおいて公知の、切断又は
溶接のためのメインア−クの生成を経て、所要の切断作
業又は溶接作業を行なった後に、メインアークのみを消
滅させ、そして接離制御手段(S1A/S1B)が冷却水の供給
を停止すると、冷却水通流空間(PS)の水圧が低下して、
ばね手段(S1)の力でノズル部材(2,3)が退避方向に駆動
されて、ガス噴射口(2g)が放電電極(1)の先端に当た
り、放電電極(1)の先端に付着したカサ状の酸化物およ
びガス噴射口(2g)に付着し蓄積したタングステン電極か
らの蒸発金属が掻き落とされる。さらに所定時間後に制
御手段(S1B)が、再度水通流空間(PS)に冷却水を通流す
ると、ばね手段(S1)の力に抗してノズル部材(2,3)が突
き出し方向に移動する。これにより、掻き落とされた付
着物がガス噴射口(2g)より外部に掃き出される。
【0018】このようにア−ク発生のためのノズル部材
(2,3)の突き出し方向への駆動が冷却水の水圧によって
実現し、切断又は溶接作業中は、ばね手段(S1)の力に抗
してノズル部材(2,3)を突き出し位置に留めるに必要な
圧力(維持圧)以上の冷却水圧を維持すればよい。所要の
冷却が実現する流量が確保されかつ機構上許される範囲
内であれば、冷却水圧は該維持圧以上であればいくら高
くてもよく、プラズマト−チのガス噴射口の口径,プラ
ズマガス圧および流量に何らの制約を与えない。また、
通常使用している冷却水及び水圧をそのまま使用出来る
ので特別な付加装置を必要としなくて済む。したがって
プラズマト−チの汎用性が高い。
【0019】また、溶接の終了ごとに(メインアークの
停止ごとに)放電電極(1)およびガス噴射口(2g)の付着物
が自動的に清掃されるので、付着物の成長が鈍い。つま
り、付着物の成長に伴うシリーズアークの発生により使
用不能となるまでの放電電極(1)の寿命が長くなり、交
換あるいは人手による清掃の回数が減少する。すなわ
ち、作業効率および生産効率が上昇するとともに、放電
電極(1)の耐久性が向上するので生産コストが低減され
る。パイロットアークのみが継続された状態で、ガス噴
射口(2g)を放電電極(1)の先端に当てることにより、放
電電極(1)およびガス噴射口(2g)の付着物がパイロット
電流の熱エネルギーにより効率的に除去される。
【0020】本発明の好ましい実施例(図2,3,7)では、
接離制御手段(S1A/S1B)は、ノズル部材(2,3)と放電電極
(1)間の接離駆動に同期してパイロットア−ク電流を増
加する電流制御手段(Ru,RuC1,T2,T3);および、該接離
駆動に同期してガス噴射口(2g)に供給するパイロットガ
スの流量を増加する流体制御手段(SP2,T2,T3);を備え
る。これによれば、ノズル部材(2,3)と放電電極(1)の表
面に堆積している付着物がパイロットア−ク電流の増加
により溶融して接離駆動により容易に分離して、強いパ
イロットガス流により吹き飛ばされてガス噴射口(2g)か
ら吐きだされる。すなわちノズル部材(2,3)と放電電極
(1)の表面に堆積している付着物の除去効果が高い。
【0021】本発明の他の目的および特徴は、図面を参
照した以下の実施例の説明より明らかになろう。
【0022】
【実施例】
−第1実施例− 図1に、本発明の一実施例のプラズマト−チを示す。タ
ングステン棒(溶接電極)1の一端は円錐形に突出して
おり、これを先端と称し、もう一端を尾端と称する。タ
ングステン棒1の先端の周囲には、その先端を囲むよう
に中空の略円錐形である金属製のチップ(ノズル部材)
2がある。チップ2の、タングステン棒1の先端の円錐
形にならうように円錐形となった中央には、タングステ
ン棒1の先端と対向する尾端面より、トーチ外部に対面
する先端面に通じる小径の円形開口があり、これがノズ
ル2gである。チップ2は、中空の略円筒形であるノズ
ル台3の先端部に固着されている。
【0023】ノズル台3の内部には、その周壁に沿って
形成される円筒形の水路がある。そして、チップ2を固
着した先端部の内周面には、リング状のセンタリングス
トーン4が固着されている。センタリングストーン4に
は、ノズル2gに対向する先端面からその裏側の尾端面
に通じる通気孔が開けられている。タングステン棒1
は、このセンタリングスト−ン4の中心を垂直に、しか
もその中心軸に沿う方向に移動可能に貫通している。す
なわちタングステン棒1は、その中心軸がチップ2およ
びノズル台3の中心軸と実質上常に一致するようセンタ
リングスト−ン4に支持されている。なお、図1に2点
鎖線P1A’で示すタングステン棒1の位置を「突き出
し位置」と称し、図1に1点鎖線P2A’で示すタング
ステン棒1の位置を「退避位置」と称する。
【0024】ノズル台3は、大略で中空筒状の第1支持
部材Uaの中心位置に固着されている。第1支持部材U
aの先端には、シ−ルドガス噴出口を有すねじリング5
の小径の雄ねじがねじ込まれており、ねじリング5の大
径の雄ねじにシ−ルドキャップ6がねじ結合している。
【0025】第1支持部材Uaは、中空の略円筒状の部
材の外周面にアームを装着した形である基体Bに支持さ
れている。基体Bのシ−ルドガス流路21に送り込まれ
るシ−ルドガスは、第1支持部材Uaのリング状の空間
に入り、ねじリング5のシ−ルドガス噴出口を通ってシ
−ルドキャップ6に出て、シ−ルドキャップ6の先端開
口からチップ2の外空間に出る。
【0026】基体Bの円柱形内空間において、第1支持
部材Uaの尾端(右端)は、リング状の絶縁スペ−サ7
に受けられており、絶縁スペ−サ7の尾端は、略円筒形
の第2支持部材Ubに受けられている。第2支持部材U
bには、タングステン棒1の中心軸に沿う方向(突き出
し/退避方向)に移動可能に電極台8が挿入されてい
る。電極台8の内部には、先端部をスリットの切込みに
より周方向に4分割したチャック9が挿入され、ねじ込
まれている。電極台8の尾端部にはカバーCが装着され
ている。カバ−Cの内部には案内リング10があり、電
極台8の尾端部がこの案内リング10内に進入してネジ
結合している。カバーCの案内リング10を電極台8に
対してねじ込むことによりチャック9の尾端部が電極台
8の尾端部の内部の円錐内壁面(テ−パ面)に押し付け
られてタングステン棒1の軸心に向かう方向に曲がろう
としてタングステン棒1を強圧する。これによりタング
ステン棒1は電極台8に対して一体に固着されている。
カバ−Cにはキャップ12が結合している。電極台8が
第2支持部材Ubの内空間を突き出しあるいは退避方向
に移動すると、それに伴いタングステン棒1およびカバ
ーCが一体で同様に移動する。
【0027】第2支持部材Ubの尾端部の雄ねじにリン
グ状の座金13がねじ結合され、この座金13が圧縮コ
イルスプリングS1の尾端を受けている。スプリングS
1の先端は電極台8に当り、電極台8を左方向(突き出
し方向)に押し、これにより使用待期の状態において
は、タングステン棒1の先端の一部がノズル2g内に入
ってチップ2に当っている(図1に2点鎖線P1A’で
示す)。
【0028】第1支持部材Uaの内部には、基体Bの往
水路20fの、部材Uaに対向する開口の位置に、リン
グ状の給水溝があり、この給水溝と往水路20fの開口
とを連通とする横穴が第1支持部材Uaに開けられてお
り、この横穴が基体Bの往水路20fの開口と整合して
いる。またノズル台3には、その内部の円筒状の冷却水
通流空間を該横穴と連通する横穴があり、これにより往
水路20fに供給された冷却水はノズル台3内部の冷却
水通流空間に至る。該冷却水通流空間は、尾端部で第1
支持部材Uaの内部のリング状の排水溝に連通してお
り、ノズル台3内部の冷却水通流空間に入った冷却水
は、該排水溝を通って基体Bの絶縁水路20aに出る。
【0029】絶縁水路20aの冷却水は第2支持部材U
bの内部の冷却水通流空間PSに入る。この冷却水通流
空間PSを電極台8の先端側細径部が貫通しており、電
極台8の中央部の太径部(ランド)の左向き端面(段差
面)に、空間PS内の圧力(水圧)が加わる。
【0030】第2支持部材Ubの内部には、冷却水通流
空間PSと連なる、電極台8の中央部の太径部を中心軸
に沿う方向に移動自在に案内する太径の空間があり、こ
の空間の左端部(20ri)に、基体Bの復水路20r
の開口があり、第2支持部材Ubの横穴20riが、該
太径の空間と復水路20rの開口とを連通としている。
図1に示すように、スプリングS1が電極台8を介して
タングステン棒1を突き出してチップ2に当てていると
きには、電極台8の中央部の太径部の左端が横穴20r
iまで進み、横穴20riの実効通流面積(空間PSと
復水路20rの通流開口面積)は僅少である。
【0031】第1支持部材Uaと第2支持部材Ubの間
には、絶縁スペ−サ7により空間が形成されそこに、基
体Bのプラズマガス流路22を通してプラズマガスが供
給される。該空間に入ったプラズマガスは、ノズル台3
の内部の中心にあってタングステン棒1が通る空間を通
って、またセンタリングスト−ン4の通気孔を通って、
更にノズル2gを通って、チップ2の外部に出る。
【0032】なお、タングステン棒1は、チャック9/
電極台8/第2支持部材Ub/電極給電リ−ド(図示せ
ず)の経路で図示しない電源回路に接続され、チップ2
は、ノズル台3/第1支持部材Ua/ノズル給電リ−ド
(図示せず)の経路で図示しない電源回路に接続され
る。
【0033】ト−チにプラズマガス,シ−ルドガス,冷
却水ならびに動作電圧のいずれも加わっていないときに
は、図1の2点鎖線P1Aに示すように、電極台8がス
プリングS1で突き出し方向(左方)に押され、タング
ステン棒1の先端がチップ2に当っている(図1の2点
鎖線P1A’)。なお、タングステン棒1のチップ2に
対する長さ設定は、水圧をかけた状態で(作業状態)カ
バーCを右回しでチャック9を電極台8に対して締め付
けることで、タングステン棒1をチャックし固定設定す
る。図1には、電極台8の中央位置の太径部の左段差面
が第2支持部材Ubの段差面に当っている状態(電極台
8が、突き出しリミット位置にある状態)を2点鎖線で
示すが、その状態よりも電極台8に対するタングステン
棒1の突き出し長を長くすると(作業設定位置)、タン
グステン棒1の先端がチップ2に当って電極台8は図1
に示す位置P1Aよりもやや右側に位置することにな
り、チップ2に対するタングステン棒1の接触圧は高く
確実に接触する(スプリングS1の反発力がそのまま加
わる)。
【0034】シ−ルドガスは溶接等の作業中(メインア
−クによるワ−クの加工中)に必要なものであり、メイ
ンア−ク起動に応答して供給が開始され、メインアーク
が停止したときに供給が停止される。シ−ルドガスの供
給タイミングに関しての説明は省略して、図1に示すト
−チの動作を説明する。
【0035】まずプラズマガス流路22へのプラズマガ
スの供給を開始すると、タングステン棒1周りの残留空
気を押しつつそこにプラズマガスが入って行く。同時
に、電極台8/ノズル台3間に、パイロットア−ク起動
電圧を印加し、往水路20fへの冷却水の供給を開始す
ると、チップ2/タングステン棒1の間に短絡電流を生
じると共に、冷却水通流空間PSの冷却水圧が設定値に
達したところで電極台8が右方(退避方向)に移動し、
図1に示すように、タングステン棒1がチップ2から離
れ、このように離れる間に、チップ2/タングステン棒
1間の接触火花が、空隙を絶縁破壊しながらア−クを生
じ、プラズマ放電(パイロットア−ク)となる。すなわ
ちパイロットア−クが起動する。一方、電極台8が右移
動することにより、横穴20riの実効通流面積(空間
PSと復水路20rの通流開口面積)が広がり、大量の
冷却水が往水路20f/ノズル台3/絶縁水路20a/
冷却水通流空間PS/復水路20rに流れる。これによ
り電極台8がPA1の停止位置から動き始める時の初期
加速力を得ることができる。電極台8が右移動するにつ
れ冷却水通流空間PSの圧力はやや低下するが、スプリ
ングS1の押し力より大きいので、電極台8は、その右
方リミット位置(1点鎖線P2Aの位置)に留まる。パ
イロットアークの発生後、パイロット起動電圧を印加し
たまま電極台8/ワークW間に,メインアーク起動電圧
を印加すると、パイロットアークが維持された状態でタ
ングステン棒1/ワークW間にメインアークが起動す
る。メインア−クが起動すると、金属材の溶接,切断な
どの加工を行なう。この種の加工をメインア−クを間断
して繰返し行なうことが多い。例えば、1つの材料の加
工を終了するとメインア−クを止めて材料を未加工のも
のに代えて、またメインア−クを起動してこれを加工す
る。あるいは一つの材料でも、ある箇所の加工を終了す
るとアインア−クを止めて、材料又はプラズマト−チを
次の箇所に移して、またメインア−クを起動して新たな
箇所を加工する。このような繰返しが多く、時間軸に沿
って(時系列で)見ると、イメンア−クの起動/停止が
繰り返えされる。
【0036】ところで、プラズマア−クが発生すると、
プラズマア−クが継続している間、タングステン棒1の
先端およびノズル2g開口付近のチップ2の内面には、
図10の(b)および(c)に示すような付着物が堆積
してゆく。この実施例では、メインアークを停止したと
きに、該付着物の除去(クリーニング)が行なわれる。
すなわち、メインアークが停止したとき、パイロットア
ークは維持する。この状態を図5の(a)に示す。さら
に、第1の設定時間(t1)の経過後、プラズマト−チ
への冷却水の供給を停止するとともに、パイロットア−
ク電流を増加し、プラズマガスを増量する。すると、ス
プリングS1の反発力に抗して電極台8を右方リミット
位置(1点鎖線P2Aの位置)に留めていた冷却水通流
空間PSの圧力が低下するので、スプリングS1の反発
力により電極台8が突き出し方向(左方)に押されて2
点鎖線P1Aの位置に戻され、タングステン棒1の先端
部がノズル2g内に挿入される形でチップ2の内面に突
き当たる(図1の2点鎖線P1A’)。また、増加され
たパイロット電流により、タングステン棒1の先端部お
よびノズル2gの開口付近に堆積していた付着物を通し
て高電流が流れるため、付着物を溶融あるいは軟化させ
る。このように、堆積していた付着物は、タングステン
棒1の先端部がノズル2g内に突き当てられる衝撃ある
いは、融解もしくは軟化した後、増量されたプラズマガ
スの風圧により吹き飛ばされて、タングステン棒1およ
びノズル2gより剥がされる。この状態を図5の(b)
に示す。
【0037】第2の設定時間(t2)の経過後、再びプ
ラズマト−チへの冷却水の供給を開始すると、電極台8
の右方向への移動に伴いタングステン棒1が右方リミッ
ト位置(1点鎖線P2A’の位置)に退避する。する
と、タングステン棒1およびノズル2gより引き剥がさ
れた付着物が、増量されたプラズマガスの風圧でノズル
2gより外部に噴出する。この状態を図5の(c)に示
す。パイロットア−ク電流およびプラズマガス(パイロ
ットガス)の流量は、第3の設定時間(t3)の経過後
に元の値に戻され、次のメインアーク起動に備える。
【0038】図2に、図1に示すプラズマト−チを駆動
する駆動系統を示すとともに、図3に各駆動系統を制御
するシーケンス回路S1Aを示す。また、図4には、該
シ−ケンス回路によって現われるプラズマト−チの動作
タイミングを示す。以上の図に従い、図1に示すプラズ
マト−チを用いる溶接およびクリーニングを説明する
(シールドガス回路は省略)。
【0039】図2を参照すると、ポンプPMはその電源
接点が閉となると、水タンク30より冷却水を汲み上げ
て、もし水電磁弁WVが開であればプラズマト−チのノ
ズル台3及びタングステン台8近傍の水路に冷却水を循
環させる。水電磁弁WVは、通電されると開(水路を開
放)となり、通電を遮断されると閉(水路を遮断)とな
る。ポンプPMの電源接点が閉の状態で水電磁弁WVが
閉(水路を遮断)していると、ポンプPMより汲み上げ
られた冷却水はリリーフバルブ50を介して再び水タン
ク30に戻される。すなわち冷却水はプラズマト−チに
供給されない。また、ソレノイドSP1のオンによりプ
ラズマガス流路22に通じるバルブV1が開となり、プ
ラズマガスがタングステン棒1先端に送り込まれる。ソ
レノイドSP2は、バルブV1と並列に接続されたバル
ブV2を開閉し、ソレノイドSP1がオンの状態でさら
にソレノイドSP2をオンとすることで、バルブV1に
加えてバルブV2が開となり、プラズマガス流路22に
送り込むプラズマガスの流量が増加される。電極台8は
主電源90及びパイロット電源80の負極に接続され
る。パイロット電源80の正極は負荷抵抗を介してチッ
プ2に接続される。該負荷抵抗には電流増加用の常開接
点RuC1が接続されており、パイロットアーク発生後に
スイッチRuC1を閉とすることで負荷抵抗値が減少し、
チップ2に流れる電流が増加する。また、主電源90の
正極は接点RmC1を介してワーク(加工対象物)Wに接
続される。
【0040】図2及び図3を参照すると、図3に示され
る接点R1C1およびR1C2はリレーコイルR1の常開接
点である。加えて、接点T1aはタイマT1の常開であ
るタイマ接点,T1bはタイマT1の常閉であるタイマ
接点であり、接点T2a,T2bはタイマT2の常開で
あるタイマ接点であるとともに、接点T3aはタイマT
3の常閉であるタイマ接点である。さらに、図2に示さ
れる接点RpC1は図3に示すリレーコイルRpの常開接
点である。また、図2に示される接点RuC1は図3に示
すリレーコイルRuの常開接点である。なお、図2に示
される接点RmC1および図3に示される接点RmC2は、
図3に示されるリレーコイルRmの常開接点であり、図
3に示される接点RmC3はリレーコイルRmの常閉接点
である。図3に示すパイロットアークのスタートスイッ
チSWPを押すと、リレーコイルRpがオン状態となる
ので接点RpC1が閉となり、電極台8/チップ2間にタ
ングステン棒1を介してパイロット電流RIが流れる。
ここで、スイッチSWPは、押すごとに閉と開が切り換
わるスイッチであり、1度目の押しで閉となると次の押
しにより開に切り換えられるまで閉状態を維持する。さ
らに、ソレノイドSP1のオンにより、プラズマガス流
路22に通じるバルブV1が開となり、プラズマガス
(本実施例においてはアルゴンArを使用している。)
がプラズマガス流路22を通じてタングステン棒1先端
に送り込まれる。加えて、ポンプPMの電源接点が閉と
なるとともに、水電磁弁WVが通電されて開となる。ポ
ンプPMは水タンク30より冷却水を汲み上げて水電磁
弁WVを介してプラズマト−チのノズル台3及び電極台
8近傍の水路に冷却水を循環させる。
【0041】電極台8近傍の水路に冷却水が満たされる
と、その水圧により前述のように電極台8及びそれに固
着されたタングステン棒1が退避位置(図1の1点鎖線
P2A’に示す位置)に押され、パイロット電流が流れ
た状態でチップ2よりタングステン棒1の先端が離れる
とパイロットアークがタングステン棒1/チップ2間に
起動する。
【0042】パイロットアークが起動すると、プラズマ
ト−チはパイロットアークを維持したままでメインアー
クのスタート指示を待つ待機状態となる。待機状態にお
いて、メインアークのスタートスイッチSWMがオンに
なると、リレーコイルRmがオンとなり、接点RmC1お
よび接点RmC2が閉となり、接点RmC3が開となる。接
点RmC1の閉により、電極台8を介してタングステン棒
1/ワークW間にメイン電圧が印加され、メインアーク
がタングステン棒1/ワークW間に起動する。スイッチ
SWMは、ここでは押されている間のみオン(閉)状態
を維持し、押しがなくなるとオフ(開)となる。
【0043】一方、スイッチSWMがオン(閉)になる
と、接点RmC2の閉により常閉のタイマ接点T3aを介
してリレーコイルR1がオンとなる。リレーコイルR1
のオンにより、その接点R1C1およびR1C2が閉とな
る。接点R1C1は、リレーコイルR1の自己保持接点で
ありストップスイッチSWMの押しがなくなり、メイン
アークが停止したあとも、接点R1C1を介してリレーコ
イルR1の通電は継続される。ところで、接点R1C2も
リレーコイルR1のオンに伴い閉となるが、メインアー
クの起動中はリレーコイルRmのオンにより接点RmC3
が開状態となっているので、タイマT1は通電されな
い。すなわち、後述するクリーニングは行われず、回路
はクリーニングの待機状態にあり、メインアークの停止
を待つ。
【0044】さて、ここでスイッチSWMの押しが無く
なってオフ(開)になりリレーコイルRmがオフとなる
と、接点RmC1が開となりメインアークが停止する。こ
の時、パイロットアークはスイッチSWPが開とされな
い限り、継続されている。さらに接点RmC2も開となる
が、自己保持接点R1C1を介してリレーコイルR1のオ
ン状態は継続され、接点R1C1およびR1C2は閉状態を
維持する。リレーコイルRmのオフにより常閉接点Rm
C3が閉となり、閉状態の常開接点R1C2を介してタイマ
T1が通電され、計時を開始する。
【0045】タイマT1は計時(t1)を終了すると
(すなわちt1が経過すると)、その接点T1aを閉と
し、接点T1bを開とする。接点T1bの開により、水
電磁弁WVが閉となる。すなわち、ポンプPMが水タン
ク30より汲み上げた冷却水は、プラズマト−チのノズ
ル台3及び電極台8近傍の水路に供給されることなく、
リリーフバルブ50を介して水タンク30に戻される。
すると、電極台8がスプリングS1の反発力により、図
1に2点鎖線P1Aで示す位置まで突き出され、タング
ステン棒1の先端はノズル2g内に侵入する形でチップ
2に突き当てられ、図1に2点鎖線P1A’で示す突き
出し位置になる。
【0046】一方、接点T1aの閉により、タイマT
2,ソレノイドSP2,リレーコイルRuがオンとな
る。リレーコイルRuのオンにより、スイッチRuC1が
閉となり負荷抵抗がバイパスされ、パイロット電源80
/ノズル2間の抵抗値が低下して電流が増加する。さら
に、ソレノイドSP2がオンとなり、プラズマガス流路
22と並列に接続されたプラズマガス流路のバルブV2
が開になって、プラズマガス流路22に送り込むプラズ
マガスの流量が増加する。すなわちチップ2には増加さ
れたパイロットア−ク電流が、ノズル2gをタングステ
ン棒1の先端に塞がれた状態で通電され、また、その内
空間には増量されたプラズマガスが吹き付けられる。タ
ングステン棒1の先端およびチップ2のノズル2g付近
の内側面に堆積していた付着物(汚物)は、パイロット
ア−ク電流の増加,タングステン棒1の先端が突き当て
られることによる衝撃、および、吹き付けられたプラズ
マガスの風圧により、溶融又は軟化し、掻き落されある
いは引き剥がされ、ト−チより吐き出される。そして、
接点T1aの閉によりタイマT2は計時を開始する。
【0047】タイマT2は、計時(t2)を終了すると
その接点T2a,T2bを閉とする。接点T2bの閉に
より、再び水電磁弁WVが開となり、ポンプPMが水タ
ンク30より汲み上げた冷却水が、プラズマト−チのノ
ズル台3及び電極台8近傍の水路に供給され、スプリン
グS1が加える反発力に抗して電極台8を図1に1点鎖
線P2Aで示す位置まで退避させる。これに伴いタング
ステン棒1の先端が、図1に1点鎖線P2A’で示す位
置まで退避する。このときにもチップ2とタングステン
棒1の間のパイロットアークと増量されたプラズマガス
流により、付着物が遊離してノズル2gより外部に吹き
飛ばされる。また、接点T2aの閉によりタイマT3が
計時を開始する。
【0048】タイマT3は、計時(t3)を終了すると
その常閉接点T3aを開とする。それにより接点R1C1
の自己保持が解除される。すなわち、プラズマト−チに
クリーニングを行わせていた接点とリレーおよびタイマ
が元の状態に戻り、プラズマガスおよびパイロット電流
の値が元の値に戻る。このように、本実施例のプラズマ
ト−チは、メインアークの停止ごとに1回だけ上述のタ
ングステン棒1及びノズル2gのクリーニングを行う。
【0049】ところで、タイマT3のオンによりクリー
ニングが終了する前に再びスイッチSWMが押されると
(メインアークの起動が指示されると)、リレーコイル
Rmのオンに伴い常閉接点RmC3が開となり、タイマT
1の通電が遮断されるのでクリーニングは中断する。す
なわち、メインアークの起動中はクリーニングは行われ
ない。これは、溶接中にプラズマガスの流量あるいはプ
ラズマ電流を変化させることにより、溶接ビードが不均
一となるのを防止するためである。
【0050】図6に、本実施例のプラズマト−チを用い
て溶接を繰り返し行った結果を実線で示し、従来のプラ
ズマト−チを用いた場合と比較した結果を点線で示す。
図6のグラフにおいて、TLはタングステン棒1先端の
円錐部分の軸方向長さを示し、Twはタングステン棒1
の中心軸より付着物によるカサの外周までの最大半径を
示し、Nwは付着物を含めた実際のノズル2gの直径で
ある。以下に、実施条件を示す。
【0051】 〈共通条件〉 タングステン棒1 :2%トリューム入りタングステン棒 φ3.2 ノズル径 :φ2.4 メイン電流 :120A パイロットガス流量 :0.3 リットル/min Arガス(純度99.99%) シールドガス流量 :7リットル/min Ar+7%H2 溶接アーク時間 :25秒 アーク休止時間 :12秒 〈本実施例のプラズマト−チ条件〉 接触クリーニング :毎回 クリーニング時間 :t2=2秒 t3=2秒 クリーニングガス流量:5リットル/min Arガス(純度99.99%) パイロット増電流 :15A 図6に示すように、本実験において従来のプラズマト−
チはプラズマアーク溶接を延べ約3.0時間程行うとタ
ングステン棒1とチップ2との間に連続シリーズアーク
が発生し、溶接が不可能となる。しかし、本実施例のプ
ラズマト−チを用いれば、同条件でシリーズアークが発
生するまでの延べのアーク時間が7時間程度と長くなっ
た。すなわち、プラズマト−チの清掃およびタングステ
ン棒の交換の回数が約半分に減少した。
【0052】−第1実施例の変形例− 図7に、第1実施例の変形例の各駆動系統を制御するシ
ーケンス回路を示す。本変形例は、前述の第1実施例に
対し、シーケンス回路が異るのみで他の機構は同一であ
る。第1実施例と大きく異る点は、第1実施例が、メイ
ンアークの終了ごとに1回のクリーニング(1回の接離
駆動)を行うのに対し、本変形例においては、メインア
ークの終了ごとに2回のクリーニング(2回の接離駆
動)を行うところにある。
【0053】図7を参照すると、このシ−ケンス回路
は、第1実施例のシ−ケンス回路(図3)に、リレーコ
イルR2,R3およびタイマT4を加えたものである。
接点R2C1はリレーコイルR2の常開接点であり、接点
R3C1および接点R3C2はリレーコイルR3の常閉接点
である。また、接点T4a,T4cはタイマT4の常開
接点であり、接点T4bはタイマT4の常閉接点であ
る。なお、図3において用いていたタイマT1,T3に
新たに加えられたタイマ接点があり、接点T1cはタイ
マT1の常開接点であり、接点T3b,T3cはタイマ
T3の常開接点である。
【0054】図7のシ−ケンス回路の、パイロットアー
クを起動する回路および第1回目クリーニング開始の待
機状態を維持する回路は、第1実施例のもの(図3)と
同じであり、その動作は第1回目(初回)のクリーニン
グを終了するまでは同一であるので、ここでの詳細説明
は省略し、簡単に述べると、パイロットアークのスター
トスイッチSWPによりパイロットアークが起動される
と、プラズマト−チはパイロットアークを維持したまま
でメインアークのスタート指示を待機する状態となる。
ここで、メインアークのスタートスイッチSWMがオン
になると、リレーコイルRmがオンとなり、接点RmC1
および接点RmC2が閉となり、常閉接点RmC3が開とな
る。接点RmC1の閉により、メインアークがタングステ
ン棒1/ワークW間に起動する。スイッチSWMは、こ
こでは第1実施例と同様に押されている間のみオン
(閉)状態を維持し、押しがなくなるとオフ(開)とな
る。
【0055】一方、接点RmC2の閉によりリレーコイル
R1がオンとなり、自己保持接点R1C1が閉となる。接
点R1C2もリレーコイルR1のオンに伴い閉となるが、
メインアークの起動中はリレーコイルRmのオンに伴い
接点RmC3が開状態となっているので、タイマT1は通
電されない。すなわち、後述するクリーニングは行われ
ず、クリーニングの待機状態にあり、メインアークの停
止を待つ。ここまでの動作は第1実施例と同様である。
【0056】さて、ここでスイッチSWMの押しが無く
なりリレーコイルRmがオフとなると接点RmC1が開と
なり、メインアークが停止する。さらに、リレーコイル
Rmのオフにより接点RmC3が閉となり、閉状態の接点
R1C2を介してタイマT1が通電され、計時を開始す
る。この時、接点RmC2も開となるが、自己保持接点R
1C1を介してリレーコイルR1のオン状態は継続され
る。また、パイロットアークは継続されている。
【0057】タイマT1は計時(t1)を終了すると、
その接点T1a,T1cを閉とし、接点T1bを開とす
る。タイマ接点T1bの開により、水電磁弁WVが閉と
なり、プラズマト−チへの冷却水の供給は停止する。こ
れにより電極台8がスプリングS1の反発力により突き
出され、タングステン棒1の先端はノズル2g内に侵入
する形でチップ2に突き当てられる。
【0058】一方、タイマ接点T1aの閉により、タイ
マT2,ソレノイドSP2,リレーコイルRuがオンと
なる。すると、スイッチRuC1が閉となりパイロット電
流が増加するとともに、プラズマガス流路22と並列に
接続されたプラズマガス流路のバルブV2が開となり、
プラズマガス流路22に送り込まれるプラズマガスの流
量が増加する。チップ2には増加されたパイロットア−
ク電流が、ノズル2gをタングステン棒1の先端に塞が
れた状態で通電され、その内空間には増量されたプラズ
マガスが吹き付けられる。タングステン棒1の先端の突
き当てによる衝撃あるいは噴き付けられたプラズマガス
の風圧によりタングステン棒1の先端およびチップ2の
ノズル2g付近の内側面に堆積していた付着物は、掻き
落されあるいは引き剥がされる。タイマT2は計時を開
始する。
【0059】タイマT2は、計時(t2)を終了すると
その接点T2a,T2bを閉とする。すると、タイマ接
点T2bの閉により再び水電磁弁WVが開かれ、冷却水
が、溶接トーチのノズル台3及び電極台8近傍の水路に
供給され、電極台8が図1に1点鎖線P2Aで示す位置
まで退避する。これに伴いタングステン棒1の先端が、
図1に1点鎖線P2A’で示す位置まで退避する。この
時、チップ2とタングステン棒1の先端部よりパイロッ
トアークが発生する。このパイロットアークにより、掻
き落されあるいは引き剥がされた付着物および、取り除
ききれなかった残留物はさらに溶融される。そして、開
放されたノズル2gより外部に吹き飛ばされる。また、
接点T2aの閉により閉状態にあるタイマ接点T1cを
介してタイマT3が計時を開始する。
【0060】タイマT3は、計時(t3)を終了すると
その接点T3aを開とし、接点T3b,T3cを閉とす
る。接点T3bの閉により常閉のタイマ接点T4bおよ
び常閉の接点R3C1を介してタイマT4およびリレーコ
イルR2が通電される。タイマT4は計時を開始し、そ
の通電はリレーコイルR2の自己保持接点R2C1の閉に
より継続される。また、接点T3cが閉となるが、タイ
マT4が計時を終了しておらず、その接点T4cが開で
あるのでリレーコイルR3は通電されない。
【0061】一方では、接点T3aの開により接点R1
C1の自己保持が解除され、接点R1C1,R1C2が開とな
る。接点R1C2の開に伴いタイマT1への通電が遮断さ
れ、接点T1aおよびT1cが開に戻り、接点T1bが
閉に戻る。タイマ接点T1aの開によりタイマT2,リ
レーコイルSP2,Ruへの通電が遮断される。すなわ
ち、プラズマガスおよびパイロットア−ク電流が元の値
に戻る(以上が第1回のクリ−ニング動作)。
【0062】タイマT2への通電が遮断されるのに伴い
接点T2a,T2bが開に戻る。接点T2bが開となる
が、すでに接点T1bが閉に戻っており、水電磁弁WV
への通電は維持されているので、タングステン棒1は図
1に2点鎖線P2A’に示す退避位置を維持している。
また、タイマ接点T1cの開によりタイマT3の通電が
遮断され、その接点T3aが閉に戻り、その接点T3
b,T3cが開に戻る。ここで、接点T3bが開となっ
ても、タイマT4およびリレーコイルR2への通電は、
自己保持接点R2C1の閉により維持されている。つま
り、第1回のクリーニング動作の終了によりタイマT3
の通電が遮断された後も、タイマT4はその計時時間t
Lが終了するまで計時を続行することができる。
【0063】プラズマト−チは、第2回目のクリーニン
グの待機状態にある。これは、第1回のクリーニングの
前の待機状態と同様である。ところでこの時、パイロッ
トアークはチップ2とタングステン棒1先端との間に維
持されており、このパイロットアークを維持したまま、
タイマT4の計時時間tLの計時終了と同時に、プラズ
マト−チは2回目のクリーニング動作を開始する。
【0064】すなわち、タイマT4がタイムオ−バする
と(設定時間tLが経過すると)、接点T4a,T4c
を閉とし、接点T4bを開とする。接点T4aの閉によ
り、閉状態にあるR3C2を介してタイマT1が再度通電
される。これが第2回目のクリーニングの開始点であ
る。以後は、2度目にタイマT3が通電されるまで、プ
ラズマト−チは前述の第1回のクリーニングと同じ動作
タイミングで同様に動作する。2度目にタイマT3が通
電されると、第1回と同様に常閉であるタイマ接点T3
aが開となり、常開であるタイマ接点T3b,T3cが
閉となる。
【0065】ここで、第2回のクリーニング動作におい
ては前述のようにタイマT1の通電は接点T4aと接点
R3C2により維持されている。接点R1C2はすでに開状
態にあり、そのリレーコイルR1の通電を遮断する接点
T3aの開は、第2回のクリーニング動作には無関係で
ある。タイマT1への通電を遮断して第2回目のクリー
ニングを完全に終了させ、溶接待機の状態に戻るために
は、接点T4aあるいは接点R3C2のどちらかを開にす
る必要がある。これは、2度目のタイマT3の通電に伴
い接点T3cが閉となることにより実現される。すなわ
ち、すでに閉状態にある接点T4cを介してリレーコイ
ルR3が通電され、その接点R3C1およびR3C2を開と
する。これにより、リレーコイルR2およびその自己保
持接点R2C1によるタイマT4の通電の自己保持は解除
されてタイマT4への通電が遮断される。なお、タイマ
T3への通電に同期して接点T3bが閉となるが、接点
T4bが閉に戻るのは自己保持接点R2C1の開によりタ
イマT4への通電が遮断された後であり、この時点にお
いてはまだ開状態にあるので、タイマT4への通電は完
全に遮断される。
【0066】また、リレーコイルR3の通電が遮断され
るのに伴う接点R3C2の開によりタイマT1への通電も
遮断される。すなわち、各リレーコイルとその接点およ
びタイマが全て第1回のクリーニング動作を開始する前
の状態に戻る。すなわち、タングステン棒1は退避位置
にあり、プラズマガスおよびパイロット電流が所定の状
態に戻る。このように、プラズマト−チは、メインアー
クの停止ごとに2回のクリーニング動作を行う。以上に
述べた動作タイミングを図8に示す。
【0067】ところで、タイマT3のオンによりクリー
ニングが終了する前に再びスイッチSWMが押されると
(メインアークの起動が指示されると)、リレーコイル
Rmのオンに伴い常閉接点RmC3が開となり、タイマT
1の通電が遮断されるのでクリーニングは中断する。す
なわち、メインアークの起動中はクリーニングは行われ
ない。これは、溶接中にプラズマガスの流量あるいはプ
ラズマ電流を変化させることにより、溶接ビードが不均
一となるのを防止するためである。
【0068】以上に説明した変形例では、メインア−ク
が停止したときに、2回連続してクリ−ニング動作が行
なわれるので、汚物除去の信頼性が高い。
【0069】−第2実施例− 図9に第2実施例のプラズマト−チを示す。この実施例
では、ノズル台3が第1支持部材Uaに、タングステン
棒1の長手方向(中心軸に沿う方向)に移動自在に支持
されており、ねじリング5で支えられた圧縮コイルスプ
リングS1が、ノズル台3を右方(退避方向)に押して
いる。電極台8にはチャック9が挿入され、このチャッ
ク9をタングステン棒1が貫通している。電極台8に、
電極カバ−Cに固着された案内リング10がねじ結合し
ており、電極カバ−Cをねじ締め方向に廻わすことによ
り案内リング10が電極台8に対してチャック9を押し
込み、これによりチャック9の、スリットにより周方向
4分割された後端部がタングステン棒1の軸心方向に加
圧され、これによりタングステン棒1が電極台8に固着
されている。このようにチャック9を締め付けた状態で
は、電極台8が基体Bに固定されているので、タングス
テン棒1は固定である。
【0070】第1支持部材Uaの内部には、基体Bの往
水路20fの、部材Uaに対向する開口の位置に、リン
グ状の給水溝PSがあり、この給水溝PSと往水路20
fの開口とを連通とする横穴が第1支持部材Uaに開け
られており、この横穴が基体Bの往水路20fの開口と
整合している。またノズル台3の円筒状の冷却水通流空
間は給水溝に連通し、これにより往水路20fに供給さ
れた冷却水は給水溝PSを通ってノズル台3内部の冷却
水通流空間に至る。該冷却水通流空間は、後端部で、第
1支持部材Uaの内部のリング状の排水溝に連通してお
り、ノズル台3内部の冷却水通流空間に入った冷却水
は、該排水溝に入る。この排水溝に絶縁水路20aの入
口が対向する位置に該排水路に連通する横穴20aiが
あるが、図9に2点鎖線で示すようにノズル台3がスプ
リングS1の力で右方リミット位置(退避位置)に押さ
れているときには、ノズル台3の後端がこの横穴20a
iと排水溝との間を実質上遮断している。給水溝PSの
水圧が上昇すると、これがスプリングS1の反発力に抗
して、図9に示すように1点鎖線P2Bで示す位置まで
ノズル台3を左方(突き出し方向)に押し出し、ノズル
台3が横穴20aiと排水溝の間から左方に退避するの
で、冷却水は絶縁水路20aに出て電極台8の冷却水流
路に入り、そして電極台8から復水路20rに出る。
【0071】第1支持部材Uaと電極台8の間には、絶
縁スペ−サ7により空間が形成され、そこに、基体Bの
プラズマガス流路22を通してプラズマガスが供給され
る。該空間に入ったプラズマガスは、ノズル台3の内部
の中心にあってタングステン棒1が通る空間を通って、
またセンタリングスト−ン4の通気孔を通って、更にノ
ズル2gを通って、チップ2の外部に出る。
【0072】なお、タングステン棒1は、チャック9/
電極台8/電極給電リ−ド(図示せず)の経路で図示し
ない電源回路に接続され、チップ2は、ノズル台3/第
1支持部材Ua/ノズル給電リ−ド(図示せず)の経路
で図示しない電源回路に接続される。
【0073】ト−チにプラズマガス,シ−ルドガス,冷
却水ならびに動作電圧のいずれも加わっていないときに
は、図9に2点鎖線で示すように、ノズル台3がスプリ
ングS1で退避方向(右方)に押され、タングステン棒
1の先端がチップ2に当っている。なお、タングステン
棒1のチップ2に対する長さ設定は、水圧をかけた状態
(作業状態)で、電極カバ−Cの、電極台8に対するね
じ締めを緩めて電極台8に対するタングステン棒1の突
き出し長を図示しないタングステン棒長さ設定治具をノ
ズル2gより押入し、タングステン棒1の先端を当てた
状態でチャック9を締め直しする突き出し長調整によ
り、任意に調整,設定することができる。図9は、ノズ
ル台3の位置が突き出し位置にある状態を示し、さらに
2点鎖線でノズル台3の後端面が支持部材Uaの排水溝
の壁面に当っている状態(ノズル台3が退避リミット位
置にある状態)を示すが、その状態よりも電極台8に対
するタングステン棒1の突き出し長を長くすると(作業
状態)、タングステン棒1の先端がチップ2に当ってチ
ップ2は図9に2点鎖線で示す位置P1Bよりもやや左
側に位置することになり、チップ2に対するタングステ
ン棒1の接触圧は高い(スプリングS1の反発力がその
まま加わる)。
【0074】シ−ルドガスは溶接の作業中(メインア−
クによるワ−クの加工中)に必要なものであり、メイン
ア−ク起動に同期して開始してもよいので、シ−ルドガ
スの供給タイミングに関しての説明は省略して、図9に
示すト−チの動作を説明する。
【0075】まずプラズマガス流路22へのプラズマガ
スの供給を開始すると、タングステン棒1周りの残留空
気を押しつつそこにプラズマガスが入って行く。このと
き、タングステン棒1がチップ2のノズル2gを塞いで
いる。
【0076】次に、電極台8/ノズル台3間に、パイロ
ットア−ク起動電圧を印加し、往水路20fへの冷却水
の供給を開始すると、チップ2/タングステン棒1の間
に短絡電流を生じると共に、給水溝PSの冷却水圧が設
定値に達したところでノズル台3が左方(突き出し方
向)に移動し、図9に1点鎖線P2Bで示すように、タ
ングステン棒1がチップ2から離れ、このように離れる
間に、チップ2/タングステン棒1間の接触火花が、空
隙を絶縁破壊しながらア−クを生じ、プラズマ放電(パ
イロットア−ク)となる。すなわちパイロットア−クが
起動する。一方、ノズル台3が左移動することにより、
横穴20aiの実効通流面積(ノズル台3の排水溝と横
穴20aiとの間の通流開口面積)が広がり、大量の冷
却水が往水路20f/ノズル台3/絶縁水路20a/電
極台8/復水路20rに流れる。これによりノズル台3
がPA1の停止位置から動き始める時の、初期加速力を
得ることができる。ノズル台3が左移動するにつれ、給
水溝PSの圧力はやや低下するが、スプリングS1の押
し力より大きいので、ノズル台3は、その左方位置(図
9)に留まる。
【0077】図9に示す第2実施例のプラズマト−チ
も、図2に示す駆動系統と同様な構成(ただしト−チは
第2実施例のもの)の駆動系統に組込んで、図3に示す
シ−ケンス回路で制御して、図4に示すような動作タイ
ミングを実現することができる。さらに、図7に示すシ
ーケンス回路で制御して、第1実施例の変形例と同じ動
作タイミングを実現することもできる。いずれにして
も、第1実施例と異るのはプラズマト−チの構造であ
り、第1実施例のプラズマト−チが、チップ2が固定
で、タングステン棒1が突き出しあるいは退避動作をす
るのに対し、第2実施例のプラズマト−チは、タングス
テン棒1が固定で、チップ2が突き出しあるいは退避動
作をするという点である。
【0078】上述の第1および第2の実施例によれば、
溶接の終了ごとに(メインアークの停止ごとに)タングス
テン棒1およびノズル2gの付着物が自動的に清掃され
るので、付着物の成長が鈍い。つまり、付着物の成長に
伴うシリーズアークの発生により使用不能となるまでの
タングステン棒1の寿命が長くなり、交換あるいは人手
による清掃の回数が減少する。すなわち、作業効率およ
び生産効率が上昇するとともに、タングステン棒1の耐
久性が向上するので生産コストが低減される。パイロッ
トアークのみが継続された状態で、タングステン棒1の
先端をノズル2gに当てることにより、タングステン棒
1およびノズル2gの付着物がパイロット電流の熱エネ
ルギーにより効率的に除去される。
【0079】さらに、チップ2とタングステン棒1間の
パイロットア−ク電流を所定時間増加し、ノズル2gに
供給するプラズマガスの流量を所定時間増加する。この
時、メインアークの停止に伴いチップ2とタングステン
棒1は接触し、その表面に堆積している付着物は衝撃に
より引き剥がされている。引き剥がされた付着物は、電
流により溶融され、さらに増加した気体の風圧により吹
き飛ばされる。これにより、チップ2とタングステン棒
1の表面に堆積している付着物が、より効率的に取り除
かれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第一実施例のプラズマト−チの、溶
接に使用中の状態を示す縦断面図である。
【図2】 図1に示すプラズマト−チを駆動する駆動系
統を示すブロック図である。
【図3】 図2に示す各駆動系統を制御するシーケンス
回路を示す電気回路図である。
【図4】 図3に示すシ−ケンス回路によって現われる
プラズマト−チの動作タイミングを示すタイムチャ−ト
である。
【図5】 (a)は、クリーニング動作待機中のチップ
2の縦断面図であり、(b)は、クリーニング動作中に
タングステン棒1が突き出し位置にある時のチップ2の
縦断面図であり、(c)は、クリーニング動作中にタン
グステン棒1が退避位置にある時のチップ2の縦断面図
である。
【図6】 従来例(点線)と第1実施例(実線)のタン
グステン棒1およびノズル2gの付着物の成長の度合
を、延べアーク時間(溶接時間)対応で示したグラフであ
る。
【図7】 図3に示すシーケンス回路の変形例を示す電
気回路図である。
【図8】 図7に示すシ−ケンス回路によって現われる
プラズマト−チの動作タイミングを示すタイムチャ−ト
である。
【図9】 第2実施例のプラズマト−チの、溶接に使用
中の状態を示す縦断面図である。
【図10】 (a)は、従来のプラズマトーチにおい
て、溶接初期の状態を示すチップ2の縦断面図であり、
(b)は、従来のプラズマトーチにおいて、連続で溶接
を行っている状態を示すチップ2の縦断面図であり、
(c)は、従来のプラズマトーチにおいて、付着物によ
りシリーズアークが発生した状態を示すチップ2の縦断
面図である。
【符号の説明】
1:タングステン棒 2:チップ 2g:ノズル 3:ノズル台 4:センタリングストーン 5:ねじリング 6:シールドキャップ 7:絶縁スペーサ 8:電極台 9:チャック 10:案内リング 12:キャップ 20f:往水路 20r:復水路 21:シールドガス流路 22:プラズマガス
流路 80:パイロット電源 90:主電源 SP1,SP2:ソレノイド PM:ポンプ S1,S2:スプリング S1A,S1B:シ
ーケンス回路 Ua,Ub:支持部材 V1,V2:バルブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 10/00 - 10/02

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】放電電極,該放電電極の先端に対向するガ
    ス噴射口を有し放電電極の先端部を包囲するノズル部
    材、および、放電電極とノズル部材の一方を他方に対し
    て接離駆動する機構、を含むプラズマト−チ;および、パイロットガスの供給は継続して 放電電極のメインア−
    休止した直後に前記接離駆動機構を用いて、放電電
    極を接駆動し次いで離駆動する接離制御手段;を備える
    プラズマ加工装置。
  2. 【請求項2】放電電極,該放電電極の先端に対向するガ
    ス噴射口を有し放電電極の先端部を包囲するノズル部
    材,ノズル部材を支持する第1支持部材,放電電極を
    支持する電極台,電極台を、放電電極の先端がガス噴
    射口に近付く突き出し方向およびガス噴射口から離れる
    退避方向に摺動可能に支持し、電極台との間に、電極台
    を退避方向に押す水圧を与える冷却水通流空間を有する
    第2支持部材,電極台を突出し方向に駆動するばね手
    段、および、ガス噴射口に気体を供給するための流路な
    らびに冷却水通流空間に冷却水を通流するための給水路
    および排水路を有し第1支持部材および第2支持部材を
    支持する基体、を備えるプラズマト−チ;および、 放電電極にメインア−クが発生する間は第2支持部材の
    冷却水通流空間に冷却水を供給し、パイロットガスの供
    給は継続してメインア−ク休止した直後、第2支
    持部材への冷却水の送り込みを所定時間中断してから再
    する接離制御手段; を備えるプラズマ加工装置。
  3. 【請求項3】 電極台は、突き出し方向の移動で排水路
    と冷却水通流空間の間の通流面積を絞り、退避方向の移
    動で広げる、請求項2記載のプラズマ加工装置。
  4. 【請求項4】放電電極,該放電電極を支持する電極台,
    放電電極の先端に対向するガス噴射口を有し放電電極の
    先端部を包囲するノズル部材,ノズル部材を、ガス噴
    射口が放電電極から離れる突き出し方向およびガス噴射
    口から離れる退避方向に摺動可能に支持し、ノズル部材
    との間に、ノズル部材を突き出し方向に押す水圧を与え
    る冷却水通流空間を有する第1支持部材,ノズル部材を
    退避方向に駆動するばね手段、および、ガス噴射口に気
    体を供給するための流路ならびに前記冷却水通流空間に
    冷却水を通流するための給水路および排水路を有し第1
    支持部材および電極台を支持する基体、を備えるプラズ
    マト−チ;および、 放電電極にメインア−クが発生する間は第1支持部材の
    冷却水通流空間に冷却水を供給し、パイロットガスの供
    給は継続してメインア−ク休止した直後、第1支
    持部材への冷却水の送り込みを所定時間中断してから再
    する接離制御手段; を備えるプラズマ加工装置。
  5. 【請求項5】 ノズル部材は、退避方向の移動で排水路
    と冷却水通流空間の間の通流面積を絞り、突き出し方向
    の移動で広げる、請求項4記載のプラズマ加工装置。
  6. 【請求項6】接離制御手段は、接離駆動に同期して、ガ
    ス噴射口に供給するパイロットガス流量および放電電極
    /ノズル部材間のパイロット電流値の少くとも一方を増
    量する、請求項1,請求項2,請求項3,請求項4又は
    請求項5記載のプラズマ加工装置。
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