JP3392763B2 - 不釣合い測定装置および方法 - Google Patents

不釣合い測定装置および方法

Info

Publication number
JP3392763B2
JP3392763B2 JP26671898A JP26671898A JP3392763B2 JP 3392763 B2 JP3392763 B2 JP 3392763B2 JP 26671898 A JP26671898 A JP 26671898A JP 26671898 A JP26671898 A JP 26671898A JP 3392763 B2 JP3392763 B2 JP 3392763B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rotation
waveform data
unbalance
position signal
rotation speed
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP26671898A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000097795A (ja
Inventor
仁 永嶋
Original Assignee
株式会社長濱製作所
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 株式会社長濱製作所 filed Critical 株式会社長濱製作所
Priority to JP26671898A priority Critical patent/JP3392763B2/ja
Publication of JP2000097795A publication Critical patent/JP2000097795A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3392763B2 publication Critical patent/JP3392763B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Testing Of Balance (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、不釣合い測定装
置および方法に関し、特に、不釣合いベクトルの算出に
ウエーブレット演算を使用し、供試体の回転速度が一定
でない状態でも、不釣合いを正確に測定することのでき
る装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の不釣合い測定装置および方法は、
供試体の回転速度が一定になった後に、供試体の回転数
および回転基準位置を検出し、かつ、振動を検出して、
それらの信号に基づいて、供試体における不釣合い位置
と不釣合い量とを算出するという構成が採用されてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このため、従来の不釣
合い測定装置および方法によれば、供試体の回転速度が
不安定なときには不釣合い測定を始めることができな
い。つまり、供試体の回転速度が一定になるまで不釣合
い測定を待たなければならず、計測時間が長くかかると
いう課題があった。また、供試体の回転速度を一定にす
るための回転駆動装置が必須であるという課題があっ
た。
【0004】この発明は、かかる技術的課題を解決する
ためになされたもので、主たる目的は、供試体の回転を
加速中または減速中においても不釣合い測定を行えるよ
うにし、短時間で不釣合い測定を行える不釣合い測定装
置および方法を提供することである。この発明の他の目
的は、供試体の回転速度が不安定な状態においても不釣
合い測定が可能な不釣合い測定装置および方法を提供す
ることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
供試体の1回転につき予め定める複数個の回転位置信号
を出力する回転位置信号出力手段と、供試体に回転を与
えることにより発生する振動を検出する振動検出手段
と、供試体の回転速度データを演算する回転速度演算手
段と、回転位置信号出力手段から出力される回転位置信
号に関連づけて前記回転速度演算手段で演算された回転
速度データを記憶するための記憶手段と、回転位置信号
出力手段から出力される回転位置信号に関連づけて前記
振動検出手段で検出される振動データに対してディジタ
ルフィルタを作用させ、不釣合い信号の波形データを求
めるためのフィルタリング手段と、フィルタリング手段
で求められた不釣合い信号の波形データに対して、前記
記憶手段に記憶されている回転速度データに基づく補正
を行うための波形データ補正手段と、波形データ補正手
段で補正された波形データと、その波形データに合わせ
たい未定係数を含んだ関数に最小二乗法を作用させて当
該未定係数を決定し、決定された係数から不釣合いベク
トルを演算し、その結果を出力する不釣合い演算手段と
を備えており、供試体の回転が定速回転でなくても不釣
合い測定を行えるようにしたことを特徴とする不釣合い
測定装置である。
【0006】請求項2記載の発明は、請求項1に記載の
不釣合い測定装置において、供試体が1回転するごとに
1個の基準位置信号を出力する基準位置信号出力手段を
さらに備え、前記基準位置信号出力手段から基準位置信
号が出力されたことに応答して、前記記憶手段およびフ
ィルタリング手段が前記処理動作を開始することを特徴
とする不釣合い測定装置である。
【0007】請求項3記載の発明は、請求項1または2
記載の不釣合い測定装置において、前記回転速度演算手
段は前記回転位置信号出力手段から出力される回転位置
信号に基づいて供試体の回転速度データを演算すること
を特徴とする不釣合い測定装置である。請求項4記載の
発明は、請求項2または3記載の不釣合い測定装置にお
いて、前記基準位置信号出力手段および回転位置信号出
力手段は、共通の装置で構成されていることを特徴とす
る不釣合い測定装置である。
【0008】請求項5記載の発明は、供試体に回転を与
えることにより発生する振動から不釣合い信号の波形デ
ータを求めて、求めた波形データから供試体の不釣合い
ベクトルを求めるような不釣合い測定装置において、前
記波形データに供試体の回転速度データに関連づけられ
た補正を行うための波形データ補正手段と、前記波形デ
ータ補正手段の出力である補正後の波形データから供試
体の不釣合いベクトルを求めて、供試体の回転が加速中
または減速中に不釣合い測定を行う不釣合い演算手段
と、を有することを特徴とする不釣合い測定装置であ
る。
【0009】請求項6記載の発明は、供試体が1回転す
るごとに1個の基準位置信号を出力し、供試体の1回転
につき予め定める複数個の回転位置信号を出力し、供試
体に回転を与えることにより発生する振動を検出し、供
試体の回転速度データを演算し、回転位置信号に関連づ
けて、前記演算された回転速度データを記憶し、回転位
置信号に関連づけて、検出される振動データに対してデ
ィジタルフィルタを作用させて不釣合い信号の波形デー
タを求め、求められた不釣合い信号の波形データに対し
て、記憶した回転速度データに基づく補正を行い、補正
された波形データと、その波形データに合わせたい未定
係数を含んだ関数に最小二乗法を作用させて当該未定係
数を決定し、決定された係数から不釣合いベクトルを演
算することを特徴とする不釣合い測定方法である。
【0010】この発明によれば、供試体の回転位置信号
に関連づけて振動検出器の出力を取り込み(サンプリン
グし)、その内容をディジタルフィルタでフィルタリン
グすることによって、供試体の回転速度が一定しない状
態においても不釣合い信号成分を含んだ波形データを求
めるようにしている。従って、供試体が加速中または減
速中あるいは供試体の回転速度が一定速度に安定しない
不安定な状態においても、不釣合い測定が可能である。
【0011】さらに、フィルタリングされた波形データ
は、回転速度データに基づく補正が加えられるので、不
釣合いを表わす波形データとして正確な波形データを得
ることができ、不釣合い測定を正確に行うことができ
る。
【0012】
【発明の実施の形態】図1は、この発明の一実施形態に
かかる不釣合い測定装置の概略構成を示すブロック図で
ある。不釣合い測定がされる供試体1は、図示しない振
動架台上に回転可能に載置され、不釣合い測定のために
回転される。供試体1が回転し、その基準位置が所定の
角度位置になると回転位置検出器2からパルス状の基準
位置信号が出力される。基準位置信号は供試体1が1回
転するごとに1個出力される。
【0013】また、供試体1の予め定める複数個(たと
えば8〜32個程度の個数)の回転角度位置が検出され
るごとに、回転位置検出器2からパルス状の回転位置信
号が出力される。この回転位置信号は、供試体1にたと
えば16個の回転角度位置が定められている場合には、
供試体1が1回転するごとに16個の信号が出力される
ことになる。
【0014】回転位置検出器2から出力される基準位置
信号は、回転速度データ記憶装置5およびフィルタ6に
入力される。また、回転位置検出器2から出力される回
転位置信号は、回転速度演算器4、回転速度データ記憶
装置5およびフィルタ6に入力される。一方、図示しな
い振動架台には振動検出器3が備えられており、供試体
1を回転させることにより発生する振動は、振動検出器
3により検出される。検出信号は電気信号に変換され
て、フィルタ6へ与えられる。
【0015】回転速度演算器4では、回転位置検出器2
から出力される供試体1の1回転につき予め定める複数
個のパルス状回転位置信号に基づいて、供試体1の回転
速度データが演算される。具体的には、入力される複数
個の回転位置信号における隣接する回転位置信号間の時
間を計測することにより、供試体1の回転速度データが
演算される。演算結果は回転速度データ記憶装置5に与
えられる。
【0016】回転速度データ記憶装置5には、RAMな
どのメモリと、CPUなどの処理回路が含まれている。
そして、この記憶装置5では、回転位置検出器2から基
準位置信号が与えられた後に回転速度演算器4から与え
られる回転速度データの記憶を開始する。すなわち、供
試体1の回転後に初めて基準位置信号が入力された時点
から、回転位置信号が刻々入力されるタイミングで、回
転速度演算器4から与えられる回転速度データを取り込
み、予め定められたn個を記憶する。
【0017】たとえば、供試体1の回転が開始されて、
基準位置信号が与えられて後、2〜3回転分の回転速度
データを記憶する。一例として供試体1に16個の回転
角度位置が定められている場合には、供試体1が1回転
すると16個の回転位置信号が出力され、その出力タイ
ミングに合わせて16個の回転速度データが演算され
る。従って、供試体1の3回転分の回転速度データを記
憶する場合には、16×3=n=48個の回転速度デー
タが記憶されることになる。
【0018】フィルタ6には、アンチエイリアスフィル
タ、信号増幅器、A/D変換器、CPU、ROM、RA
Mおよび入出力インターフェースが含まれている。アン
チエイリアスフィルタとは、サンプリングの定理を満足
するように元の入力信号のスペクトルの帯域を制限する
フィルタである。フィルタ6では、供試体1が回転開始
後、回転位置検出器2から最初の基準位置信号が与えら
れた時点から処理を開始し、供試体1の回転位置信号が
刻々入力されるタイミングで、振動検出器3から出力さ
れるアナログ信号を取り込み、それをディジタル化し、
その結果をRAM内にn個記憶させる。このn個は、回
転速度データ記憶装置5で説明したn個と同数である。
つまり供試体1の1回転あたりたとえば16個の回転位
置信号が出力される場合には、その出力タイミングで、
供試体1のたとえば3回転分、48個の振動データが記
憶される。
【0019】フィルタ6は、また、減衰特性のある複素
指数関数を基底とする展開を用いたディジタルフィルタ
を作用させて、不釣合い信号成分を含んだ波形データを
求め、その結果を波形データ補正回路7に出力する。こ
こで、フィルタ6におけるディジタルフィルタの数列の
生成方法について説明をする。
【0020】供試体1が一定の回転速度で回転している
ときに生じる振動データから不釣合い信号成分を含んだ
波形データを求める方法に関しては、本願出願人の先願
にかかる特願平10−112503号に記述されてい
る。すなわち、下記式(1)のような減衰特性のある複
素指数関数とインパルス関数を下記式(2)および式
(3)に代入して、関数の値を時刻tまたはbに対して
適切に離散化し、演算を実行することにより、ディジタ
ルフィルタの数列を求めることができる。
【0021】
【数1】
【0022】
【数2】 式(2)および(3)は、以下の条件1〜4を満足させ
ることにより、ウエーブレット変換および逆変換公式を
変形させて求めたものである。
【0023】(条件1)「不釣合い測定は、供試体1に
同期する信号成分のみを考慮する。」 (条件2)「振動データのサンプリング周波数は、供試
体1の1回転あたりのサンプリングデータ個数Lが等し
くなるように決定する。」 (条件3)「式(1)の減衰係数cは不釣合い信号の特
性に応じて適切な値に設定し、式(1)の基本周波数k
は供試体1の回転周波数に一致させる。」 (条件4)「式(1)の減衰係数cは、w(t)の窓の
幅が供試体1の一定の回転角度になるように決める。」
式(1)を式(2)および(3)に代入し、bをサンプ
リング周波数に応じて離散化し、f(t)の代わりに供
試体1が回転することにより生じる振動データを使用し
て、式(2)および(3)の展開を実行すると、g
(t)を求めることができる。
【0024】このときのg(t)は、時間とともに変化
する不釣合い信号成分を含んだ波形データに相当する。
また上記式(2)の関数f(t)にインパルス関数δ
(i)を代入したときの上記式(3)の出力であるディ
ジタルフィルタの数列h(i)を予め求めておくことに
より、任意の信号y(i)が入力されたときの出力g
(i)を下記式(4)で示された畳み込み和で求めるこ
ともできる。この方法を用いると、フィルタ6の演算時
間を短縮することができる。
【0025】
【数3】 以上が、特願平10−112503号に記述されている
内容の一部である。さて、上記ディジタルフィルタの数
列は、上記条件1〜4を満足すれば、時間を横軸にし、
波形データを縦軸にとる座標系と同様に、供試体1の回
転角度を横軸にし、波形データを縦軸にとる座標系に対
しても使用できる。
【0026】さらに、上記ディジタルフィルタの数列
は、式(1)の減衰係数cを適切に設定すると、供試体
1の回転速度が一定でないときに使用しても、供試体1
の回転速度を横軸にし、波形データを縦軸にとる座標系
に対して不釣合い信号成分の検出ができるようになる。
減衰係数cは、大きくするほどフィルタの通過帯域幅が
広がるので、信号にノイズが混入するおそれはあるが、
減衰係数cを大きくするほど処理を高速化することが可
能である。従って減衰係数cは、ノイズが本質的に影響
を及ぼさない範囲内で、できるだけ大きな値に設定する
のが好ましい。
【0027】以上のように、フィルタ6では、振動検出
器3の出力を回転位置検出器2から与えられる回転位置
信号に関連づけて取り込み、式(1)の減衰係数cを適
切な値にして求めた上記ディジタルフィルタの数列を、
取り込んだ振動データに作用させることにより、供試体
1の回転速度が一定しない状態で不釣合い信号成分を含
んだ波形データを求められるようにしている。このこと
がこの発明の特徴の1つである。
【0028】波形データ補正装置7は、フィルタ6から
出力される波形データと、回転速度データ記憶装置5か
ら出力される回転速度データとを入力とし、波形データ
に補正を加えてそれを波形データ記憶装置8へ出力す
る。波形データ補正装置7では、以下のような補正が行
われる。たとえば、剛性の高い軸受け構造を有するハー
ドタイプの動釣合い試験機においては、振動検出器3に
速度比例型振動検出器を使用する場合が多い。この場合
には、不釣合いによる発生電圧が、不釣合いと供試体1
の角速度ωの3乗に比例することが一般に知られてい
る。供試体1の加速後の一定回転速度をm0 (r.p.
m.)、回転速度データ記憶装置5に記憶されている供
試体1の回転速度をmi (r.p.m.)(但し、i=
1,2,…,n)とし、回転速度mi に対応するフィル
タ6からの出力である波形データをfi とすると、回転
速度の影響を除去した補正後の波形データyi は、下記
式(5)および(6)で表わされる。
【0029】
【数4】 また、剛性の高い軸受け構造を有するハードタイプの動
釣合い試験機においては、振動検出器3として圧電素子
型ピックアップが使用されることが多い。この場合に
は、不釣合いによる発生電圧が、不釣合いと供試体1の
角速度ωの2乗に比例することが一般に知られている。
この場合には、以下の式(7)および(8)で波形デー
タの補正を行うことができる。
【0030】
【数5】 上記補正係数Ki が、理論式で正確に表現できないよう
な動釣合い試験機または振動検出器3を使用する場合に
は、既知の不釣合いを取り付けた供試体1を一定回転速
度で回転させたときのフィルタ6からの出力である波形
データの振幅を予め計測しておく。上記振幅を供試体1
の複数個の一定回転数において予め計測し、それらの実
験データから補間式を作成し、その後に上記回転速度比
0 /m i から上記補正係数Ki を求めるようにしても
よい。
【0031】波形データ記憶装置8に記憶された補正後
の波形データは、供試体1の回転速度の影響が除かれた
正規化された波形データであるので、不釣合い演算装置
9で以下のような処理を行って、不釣合いベクトルを演
算することができる。波形データ記憶装置8に記憶され
た波形データを yi (但しi=1,2,…n) …(9) 上記波形データに合わせたい未定係数を含んだ関数を y= α1 +α2 sin(2πkt)+α3 cos(2πkt)…(10) とすると、α2 sin(2πkt)+α3 cos(2π
kt)は不釣合い信号を表わし、α1 はアナログ回路の
零点誤差を表わしている。式(10)を以下のように変
形して式(11)を導く。
【0032】
【数6】 式(9)および(11)に最小二乗法を作用させて、式
(12)および(13)の連立一次方程式を解くと、未
定係数a1,2,3 が求められる。
【0033】
【数7】 三角関数の正弦の加法定理を使用すると、決定された係
数a2,3 から不釣合い量Uと不釣合い角度PHを式
(14)で求めることができる。
【0034】
【数8】 ここで、cは不釣合い量較正係数、αは不釣合い角度補
正係数であり、不釣合いが既知の試し重りを使用した不
釣合い測定結果によってそれぞれ前もって実験的に求め
ておくことができる。
【0035】なお、この発明の不釣合い測定装置の構成
要素には、以下の(a)〜(e)のいずれかの機能を選
択的に追加することができる。 (a)振動検出器3およびフィルタ6は、供試体1の回
転軸方向の形状に応じて、それぞれ複数個を設けて、そ
れぞれのフィルタ6の出力を波形データ補正装置7に転
送して、複数個のフィルタ6の出力から複数個の測定面
における不釣合いベクトルを演算するようにしてもよ
い。
【0036】(b)フィルタ6の信号増幅器の増幅倍率
は、不釣合い演算装置9の出力に応じて、適切な値に変
更すればよい。 (c)フィルタ6のアンチエイリアスフィルタの遮断周
波数として、複数個の遮断周波数を設け、測定回転数の
範囲に応じて適切な遮断周波数を選択できるようにして
もよい。
【0037】(d)フィルタ6には、アンチエイリアス
フィルタの他に積分回路を用いたフィルタを併用しても
よい。 (e)不釣合い演算装置9においては、ある回転速度以
下の波形データを削除したり、一定回転速度に到達する
直前の複数個の波形データを選択したりして、不釣合い
ベクトルの演算を行うようにしてもよい。このように不
釣合いベクトルの演算を行うのに、波形データ記憶装置
8から得られる波形データのうちの所定の波形データ部
分を利用することにより、より正確な不釣合いベクトル
の演算が可能になる。
【0038】たとえば、供試体1としてタイヤ付ホイー
ルの不釣合いを測定する場合に、タイヤ付ホイールをた
とえば2.5回転させた波形データが得られた場合にお
いて、回転初期の1.5回転分の波形データは使用せ
ず、回転後半の1回転分の波形データから不釣合いベク
トルの演算を行うようにしてもよい。以上説明したフィ
ルタ6に対するデータや制御信号の送受信には、フィル
タ6に備えられた入出力インターフェースを使用すれば
よい。また、フィルタ6のディジタルフィルタの数列を
求めるために用いた上記の減衰特性を持つ複素指数関数
は、下記の式(15)の条件を満足し、不釣合い信号成
分を検出できるものであればよく、上記式(1)の関数
である必要は必ずしもない。
【0039】
【数9】 図1の構成において、供試体1が回転することにより回
転位置検出器2によって検出される基準位置信号および
回転位置信号は、供試体1から直接得られる基準位置信
号および回転位置信号でもよいし、供試体1の回転に関
連して得られる信号であってもよい。
【0040】たとえば、供試体1から直接得られる基準
位置信号としては、供試体1の予め定める位置が回転位
置検出器2に対向したときに得られる信号を使用するこ
とができる。また、供試体1から直接得られる回転位置
信号としては、供試体1の形状,材質または色の変化等
を非接触式センサ等で検出して得られる信号を用いるこ
とができる。
【0041】またこの回転位置信号の中の特定の信号を
基準位置信号として利用することもできる。 供試体1
から直接基準位置信号および回転位置信号を得ず、供試
体1と同期して回転する装置、たとえば供試体1の回転
軸に連結されたロータリエンコーダから得られる信号を
基準位置信号および回転位置信号として使用してもよ
い。ロータリエンコーダを用いる場合は、たとえば該エ
ンコーダが1回転することにより1回出力されるZ信号
を基準位置信号として利用し、1回転をロータリエンコ
ーダにより等分割されたたとえば32個のパルスを回転
位置信号として使用することができる。
【0042】なお、ロータリエンコーダを用いる場合
は、通常ロータリエンコーダが発生するパルス(たとえ
ば1回転あたり200個)よりも少ない数のパルスを回
転位置信号として使用するのが便利である。また、供試
体1の回転ではなく、供試体1を回転させるための回転
駆動装置の制御信号、制御データ等を回転速度演算器4
に入力して、供試体1の回転速度データを演算するよう
にしてもよい。あるいは、供試体1にレーザードップラ
ー速度計のような非接触方式の速度計測装置を作用させ
て、その出力を回転速度演算器4に入力するような構成
にしてもよい。
【0043】いずれにしろ、供試体1の回転に関連し
て、上述した基準位置信号および回転位置信号が得られ
る構成であれば、いかなる構成を用いてもよい。図2
は、図1に示す不釣合い測定装置の動作を説明するため
のフローチャートである。次に、図1および図2を参照
して、この装置における処理の内容について説明をす
る。
【0044】回転速度データ記憶装置5およびフィルタ
6では、供試体1が回転開始後、回転位置検出器2から
基準位置信号が与えられたか否かを判別し、回転位置検
出器2から基準位置信号が与えられたとき(基準位置信
号がOFFからONに変化したとき)、次のステップへ
進む(ステップS1)。ステップS2では、供試体1の
回転に伴って、回転位置検出器2から回転位置信号が出
力されるから、その回転位置信号が入力されるごとに、
回転信号がOFFからONに変化したと判別する。
【0045】そして次のステップS3,S4では、回転
速度データ記憶装置5は、回転速度演算器4の出力であ
る供試体1の回転速度データを取り込んで記憶する。ま
た、フィルタ6では、振動検出器3から出力される振動
データを回転位置信号のONのタイミングに合わせて取
り込んでディジタル化し、フィルタ6に内蔵されている
RAMに記憶する。
【0046】次のステップS5では、回転速度記憶装置
5に記憶されている回転速度データおよびフィルタ6に
記憶されている振動データの数が、予め定められた必要
個数nに達したか否かが判別される。必要個数nに満た
ない場合は、ステップS2からの処理が繰り返されて、
回転位置検出器2からの回転位置信号が出力されるごと
に、その回転位置信号の出力タイミングに同期したタイ
ミングで、回転速度データおよび振動データが取り込ま
れて記憶される。
【0047】この結果、必要個数n、たとえば供試体1
の1回転あたり16個の回転位置信号が出力される場合
において、たとえば供試体1が2.5〜3回転分(n=
40〜48個)の回転速度データおよび振動データが記
憶される。次のステップS6では、フィルタ6は、記憶
されている振動データに前述した式(1)(2)および
(3)にインパルス関数を作用させて求めたディジタル
フィルタの数列を式(4)に示されたように作用させ
て、不釣合い信号成分を含んだ波形データを演算する。
【0048】次いで、ステップS7で、波形データ補正
装置7は、フィルタ6から出力される波形データと、回
転速度データ記憶装置5から与えられる回転速度データ
とに基づき、波形データの補正演算を実行する。そして
その結果は、波形データ記憶装置に記憶される(ステッ
プS8)。不釣合い演算装置9では、波形データ記憶装
置8に記憶されている補正された波形データに基づい
て、適切な波形データの選択を実行し、選択された波形
データおよび波形データに合わせたい関数から、関数の
未定係数を最小二乗法により決定し、決定された係数か
ら不釣合いベクトルを演算し、その結果を出力する(ス
テップS9,S10)。
【0049】
【実施例】図3,4および5に、実験的に得た解析例を
示す。図3は、供試体1の回転速度が一定回転速度まで
等加速度で上昇するときに、剛性の高い軸受け構造を有
するハードタイプの動釣合い試験機において、振動検出
器3に速度比例型振動検出器を使用した場合の、振動検
出器3からの出力としての振動データをInput Signalと
して表示し、フィルタ6からの出力である不釣合い信号
成分を含んだ波形データをOutput Signal として表示し
たものである。
【0050】この図3における横軸には供試体1の回転
角度、縦軸には波形データがとられている。図3では、
不釣合い振動のみが振動検出器3からの出力として与え
られており、回転角度の増加とともに波形データの振幅
が増加している。図3より、フィルタ6の出力であるOu
tput Signal の波形は元のInput Signalの波形と同じで
あり、フィルタ6が不釣合い振動の波形データを正確に
再現していることがわかる。
【0051】図3のUrealおよびPHrealは、
不釣合い量および不釣合い角度の理論値であり、Uca
lおよびPHcalは、不釣合い演算装置9により演算
された不釣合い量および不釣合い角度を示している。こ
の結果より、不釣合い演算装置9は不釣合いベクトルを
かなり正確に演算していることがわかる。図4は、Inpu
t Signalとして一定周波数のノイズ信号のみを与えた場
合のフィルタ6の出力であるOutput Signal と不釣合い
演算装置9の演算結果を、図3の場合と同様に表示した
ものである。図4より、前記ノイズ信号が除去されてい
ることがよくわかる。
【0052】図5は、図3および図4に示されたInput
Signalを重ね合わせた信号をフィルタ6へ入力として与
えた場合の、フィルタ6の出力結果および不釣合い演算
装置9の出力結果を、図3および4と同様に表示したも
のである。図5より、ノイズ信号が混入した不釣合い信
号をフィルタ6の入力として与えても、不釣合い演算装
置9は不釣合いベクトルをかなり正確に演算しているこ
とが理解できる。
【0053】
【発明の効果】この発明によれば、供試体の回転が加速
中または減速中において、不釣合いの測定ができ、しか
もその測定は正しく行うことができるから、不釣合い測
定時間を従来に比べて大幅に短縮できる。また、供試体
の回転が不安定な状態においても、波形データの補正を
行うことにより、不釣合いの測定が正確に行える。
【0054】このように供試体の回転速度が不安定な状
態においても不釣合い測定が可能であるから、動釣合い
試験機から供試体の回転駆動用モータを除去し、人が手
で供試体を回転させて、供試体が惰性で回転している間
に不釣合い測定を行うことのできる安価な動釣合い試験
機を実現することができる。たとえば、安価なタイヤ付
ホイールの動釣合い試験機等を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態にかかる不釣合い測定装
置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す測定装置の処理内容を表わすフロー
チャートである。
【図3】この発明にかかる原理に基づいて実験的に得た
解析例を示す図である。
【図4】この発明にかかる原理に基づいて実験的に得た
解析例を示す図である。
【図5】この発明にかかる原理に基づいて実験的に得た
解析例を示す図である。
【符号の説明】
1 供試体 2 回転位置検出器 3 振動検出器 4 回転速度演算器 5 回転速度データ記憶装置 6 フィルタ 7 波形データ補正装置 8 波形データ記憶装置 9 不釣合い演算装置

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】供試体の1回転につき予め定める複数個の
    回転位置信号を出力する回転位置信号出力手段と、 供試体に回転を与えることにより発生する振動を検出す
    る振動検出手段と、 供試体の回転速度データを演算する回転速度演算手段
    と、 回転位置信号出力手段から出力される回転位置信号に関
    連づけて前記回転速度演算手段で演算された回転速度デ
    ータを記憶するための記憶手段と、 回転位置信号出力手段から出力される回転位置信号に関
    連づけて前記振動検出手段で検出される振動データに対
    してディジタルフィルタを作用させ、不釣合い信号の波
    形データを求めるためのフィルタリング手段と、 フィルタリング手段で求められた不釣合い信号の波形デ
    ータに対して、前記記憶手段に記憶されている回転速度
    データに基づく補正を行うための波形データ補正手段
    と、 波形データ補正手段で補正された波形データと、その波
    形データに合わせたい未定係数を含んだ関数に最小二乗
    法を作用させて当該未定係数を決定し、決定された係数
    から不釣合いベクトルを演算し、その結果を出力する不
    釣合い演算手段とを備えており、 供試体の回転が定速回転でなくても不釣合い測定を行え
    るようにしたことを特徴とする不釣合い測定装置。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の不釣合い測定装置におい
    て、 供試体が1回転するごとに1個の基準位置信号を出力す
    る基準位置信号出力手段をさらに備え、 前記基準位置信号出力手段から基準位置信号が出力され
    たことに応答して、前記記憶手段およびフィルタリング
    手段が前記処理動作を開始することを特徴とする不釣合
    い測定装置。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載の不釣合い測定装置
    において、 前記回転速度演算手段は前記回転位置信号出力手段から
    出力される回転位置信号に基づいて供試体の回転速度デ
    ータを演算することを特徴とする不釣合い測定装置。
  4. 【請求項4】請求項2または3記載の不釣合い測定装置
    において、 前記基準位置信号出力手段および回転位置信号出力手段
    は、共通の装置で構成されていることを特徴とする不釣
    合い測定装置。
  5. 【請求項5】供試体に回転を与えることにより発生する
    振動から不釣合い信号の波形データを求めて、求めた波
    形データから供試体の不釣合いベクトルを求めるような
    不釣合い測定装置において、 前記波形データに供試体の回転速度データに関連づけら
    れた補正を行うための波形データ補正手段と、 前記波形データ補正手段の出力である補正後の波形デー
    タから供試体の不釣合いベクトルを求めて、供試体の回
    転が加速中または減速中に不釣合い測定を行う不釣合い
    演算手段と、を有することを特徴とする不釣合い測定装
    置。
  6. 【請求項6】供試体が1回転するごとに1個の基準位置
    信号を出力し、 供試体の1回転につき予め定める複数個の回転位置信号
    を出力し、 供試体に回転を与えることにより発生する振動を検出
    し、 供試体の回転速度データを演算し、 回転位置信号に関連づけて、前記演算された回転速度デ
    ータを記憶し、 回転位置信号に関連づけて、検出される振動データに対
    してディジタルフィルタを作用させて不釣合い信号の波
    形データを求め、 求められた不釣合い信号の波形データに対して、記憶し
    た回転速度データに基づく補正を行い、 補正された波形データと、その波形データに合わせたい
    未定係数を含んだ関数に最小二乗法を作用させて当該未
    定係数を決定し、決定された係数から不釣合いベクトル
    を演算することを特徴とする不釣合い測定方法。
JP26671898A 1998-09-21 1998-09-21 不釣合い測定装置および方法 Expired - Fee Related JP3392763B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26671898A JP3392763B2 (ja) 1998-09-21 1998-09-21 不釣合い測定装置および方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26671898A JP3392763B2 (ja) 1998-09-21 1998-09-21 不釣合い測定装置および方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000097795A JP2000097795A (ja) 2000-04-07
JP3392763B2 true JP3392763B2 (ja) 2003-03-31

Family

ID=17434726

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP26671898A Expired - Fee Related JP3392763B2 (ja) 1998-09-21 1998-09-21 不釣合い測定装置および方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3392763B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP2000097795A (ja) 2000-04-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5396436A (en) Wheel balancing apparatus and method with improved calibration and improved imbalance determination
JPH05284689A (ja) 回転体連結部の調整支援装置
JP5237042B2 (ja) 振動速度センサ校正方法及び装置
JP3392763B2 (ja) 不釣合い測定装置および方法
EP0304287B1 (en) Method of reducing lateral force variation of tire
JPH04279826A (ja) 可変速回転系異常診断方法及びその装置
JPH08327400A (ja) 回転量計測装置
JP3379170B2 (ja) 非繰返し回転精度測定装置
US4060002A (en) Apparatus for the determination of unbalance in rotating bodies
JPH0222327B2 (ja)
JPH11352020A (ja) ダンパー組立体の動的捩り特性の計測装置及びダンパー組立体の動的捩り特性の計測方法
JPH036459A (ja) 回転数検出方法
JPH0875442A (ja) 簡易型測長機
JP2000074789A (ja) クランクシャフトの回転フリクション測定装置
JP3392750B2 (ja) 不釣合い測定装置および方法
JPS6363850B2 (ja)
JPH04315936A (ja) 回転体のアンバランス量測定装置
JP2773473B2 (ja) 回転体のアンバランス測定装置
RU2302009C1 (ru) Устройство для измерения вектора линейного ускорения
JP3016656B2 (ja) 角速度測定装置
JP3049887B2 (ja) ダイナモメータの駆動装置
JP3423225B2 (ja) 不釣合い測定装置
JP2014055923A (ja) タイヤ用ダイナミックバランス測定装置
JPH06100615B2 (ja) 角速度校正器
JP7161967B2 (ja) 回転解析装置

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090124

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120124

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130124

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140124

Year of fee payment: 11

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees