JP3392484B2 - ろう付用アルミニウム材料及びその製造方法 - Google Patents

ろう付用アルミニウム材料及びその製造方法

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JP3392484B2 JP30572493A JP30572493A JP3392484B2 JP 3392484 B2 JP3392484 B2 JP 3392484B2 JP 30572493 A JP30572493 A JP 30572493A JP 30572493 A JP30572493 A JP 30572493A JP 3392484 B2 JP3392484 B2 JP 3392484B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えばろう付仕様に
よって製作される熱交換器の構成部材等として用いられ
るろう付用アルミニウム材料及びその製造方法に関す
る。
【002】なおこの明細書において、アルミニウムの語
はその合金を含む意味で用いる。
【003】
【従来の技術】アルミニウムはその軽量性、加工性、高
熱伝導性等の特徴を有し、かつろう付も容易であること
から、熱交換器を始め各種ろう付品の材料として広く使
用されている。
【004】このようなろう付品を製作する場合、接合簡
易性の面から一般には、アルミニウム芯材の表面に圧延
によりろう材をクラッドしたブレージングシートが用い
られるが、アルミニウム材の種類によってはろう材をク
ラッドすることができない場合がある。例えば、アルミ
ニウム材が押出材の場合には、押出材の表面にろう材を
クラッドすることは困難である。
【005】そこで、アルミニウム押出材等のように、表
面にろう材層をクラッドすることが困難なアルミニウム
材に対して、その表面にろう材層を被覆してろう付用材
料となす方法として、溶射法によりろう材層を形成する
方法が知られている(例えば特公昭63−1152号、
特開平1−157794号、特開昭63−119974
号、特開平1−107961号、特開平2−46969
号)。
【006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うなろう材溶射層を有するろう付用アルミニウム材料で
は、十分な接合状態を得られないことがあった。その原
因を探求すべく、発明者は鋭意研究を繰り返したとこ
ろ、次のような知見を得た。
【007】即ち、従来のろう材溶射法は、前述した特公
昭63−1152号、特開平1−157794号等にも
記載されているとおり、溶射材料としてろう合金線材を
使用していたため、溶射によりろう材は完全溶融した液
状粒子となってアルミニウム材の表面に付着することに
なる。しかるに、ろう材が完全溶融するような高温状態
では、強固な酸化膜が生成されるため、これがろう付性
を阻害する原因となっていることがわかった。しかも、
ろう材が完全溶融してしまうと、付着後の凝固時には溶
射粒子の全体がすでにろう付を行ったのと同じ内部組織
状態となってしまい、その後のろう付時においてもはや
十分なろう付機能を発揮できなくなっていることもわか
った。さらに、プラズマアーク溶射等の場合には、ろう
材が完全溶融した状態で押出材表面に付着するため、ろ
う材が蒸発して組成が変化している可能性があり、この
ために良好なろう付を行うことができなくなっているこ
とも考えられる。
【008】この発明の目的は、従来と同様にアルミニウ
ム材の表面に溶射によりろう材層を形成するものであり
ながら、従来のようなろう付不良を生じることなく良好
なろう付を行い得るろう付用アルミニウム材料を提供す
ることにある。
【009】この発明の他の目的は、上記のようなろう付
用アルミニウム材料の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、アルミニ
ウム材の表面に、溶射法によりろう材層が形成されたろ
う付用アルミニウム材料において、前記ろう材層中に、
多数の粒子状非溶融組織が存在していることを特徴とす
るろう付用アルミニウム材料によって達成される。さら
にまた、アルミニウム材の表面に、溶射法によりろう材
層を被覆形成するろう付用アルミニウム材料の製造方法
において、前記溶射の材料として粉末を用いるととも
に、該粉末の表面部のみを溶融させ内部は非溶融状態に
して、溶射を行うことを特徴とするろう付用アルミニウ
ム材料の製造方法によって達成される。
【0011】この発明に用いるアルミニウム材の組成は
特に限定されることはなく、用途との関連で要求される
種々の材質のものを用いれば良い。また、アルミニウム
材の加工方法も限定されることはなく、押出材、圧延
材、鋳造材その他各種の材料を用いることができる。ま
た、アルミニウム材の断面形状も限定されることはな
く、用途との関係で決定される任意の形状に製作すれば
良い。
【0012】アルミニウム材の表面に溶射によって形成
されるろう材層において、多数の粒子状非溶融組織を存
在させるのは、該組織が溶射前の組織をそのまま維持し
ていることから、この組織を利用して有効なろう付を行
うためである。
【0013】このように、多数の粒子状非溶融組織を存
在させるために、この発明では、ろう材層を形成するた
めの溶射材料として粉末を用いる。この理由は、溶射粒
子の完全溶融を防止して表面部の溶融状態、及び内部
(少なくとも芯部)の非溶融状態の実現を容易にするた
めである。かかる粉末としては、代表的には、Al−S
i系合金からなるろう材粉末を挙げ得る。また、粉末
は、溶射後にろう材を形成し得るものであれば良いこと
から、粉末としてAl単体粉末とSi単体粉末との混合
粉末を用いても良い。而して、Al−Si系合金粉末を
用いる場合、ろう材層中の合計Si量が5wt%未満の
場合あるいは40wt%を越える場合には、液相線温度
が高くなりろう付が困難となる。このため、良好なろう
付を行うためには、ろう材層中のSi量を5〜40wt
%、好ましくは8〜13wt%とするのが良い。このた
めには、溶射によるAl、Si等の変動を考慮して出発
材料であるAl−Si系合金粉末のSi含有量を5〜4
0wt%、好ましくは8〜25wt%とするのが良い。
一方、Al粉末とSi粉末との混合粉末を用いる場合、
ろう材層中ではAlとSiとが完全には合金化していな
いことから、ろう材層中のSi量を5〜40wt%確保
することで良好なろう付を行い得る。このためには、混
合粉末の段階で、Si量を5〜50wt%の割合として
おくのが良い。また、溶射粉末として、Al−Si系合
金粉末、Al粉末、Si粉末の混合粉末を用いても良
い。
【0014】上記の粉末は、表面部のみの溶融を促進す
るために、アトマイズ粉のような偏平なものより真球粉
またはこれに近い形状であることが好ましく、溶射ガン
の細いノズル内をスムーズに通過させるためにも球状粒
子に調製しておくことが好ましい。実用的には、粉末の
少なくとも10wt%以上、好適には50wt%以上が
球状粒子であることが望ましい。また、粉末の粒子径が
小さすぎると完全溶融しやすいことから、粉末粒径は平
均で10μm以上確保するのが良い。一方、粒径が平均
で200μmを越えると、隣接する粒どうしの間に隙間
が生じ易く、粗なろう材層になってしまう恐れがあるた
め、粒径は平均で200μm以下とするのが良い。従っ
て、粉末粒径は平均で10〜200μmに設定するのが
良く、特に50〜150μmが好ましい。
【0015】粉末の表面部のみを溶融し内部は非溶融状
態とするための溶射条件は特に限定されることはなく、
粉末の内部(少なくとも芯部)を残して表面部のみを溶
融させることをもって本発明の要件を満足するものであ
るが、好ましい溶射条件の一例を示すと次のとおりであ
る。
【0016】即ち、溶射温度は1000〜3000℃に
制御するのが良い。1000℃未満では、粉末表面の溶
融が不十分となってアルミニウム材との密着性に劣る危
険がある。逆に3000℃を越えると、内部まで完全溶
融する恐れがある。好ましくは2300〜2900℃に
設定するのが良い。このような溶射温度域を実現する溶
射法として、フレーム溶射法を挙げることができる。
【0017】溶射距離は50〜500mmが望ましい。
50mm未満では、粉末が溶け過ぎてろう材層が酸化す
るのみならず、アルミニウム材そのものが熱により形状
変化や組織変化を生じる恐れがある。一方、500mm
を越えると粉末が再凝固して付着量が低下し、そのため
ろう付性が低下する恐れがある。特に好ましい溶射距離
は150〜300mmである。また、粉末の供給量は3
0〜180g/分に設定するのが良い。30g/分未満
ではろう材の絶対量が不足してろう付性が低下する恐れ
があり、180g/分を越えると、ろう材層が厚膜化
し、冷却された際の収縮差によって密着性が低下すると
ともに、経済性も悪くなる恐れがある。特に好ましく
は、90〜150g/分に設定するのが良い。
【0018】また、溶射は、アルミニウム材表面の酸化
や粉末粒子の酸化を防止してろう材層の形成を促進する
と共に、良好なろう付を行うために、N2雰囲気等の非
酸化性雰囲気で行うのが良い。加えて、粉末としても、
酸素濃度が0.05wt%以下の酸化度の少ない粒子を
用いるのが、溶射後の酸化を一層防止し得る点から好ま
しい。
【0019】上記のような溶射は、アルミニウム材の製
造工程を完全に終了した後に、別ラインで行っても良い
が、特にアルミニウム材が押出材である場合には、押出
されてくる押出材に連続的に溶射を行うのが、押出工程
と溶射工程とを同時的に実施し得て、作業効率や生産性
を向上し得る点から好ましい。この場合、図1に示すよ
うに、押出機(1)に近い位置で、押出された直後のい
まだ高温状態の押出材(2)に対して溶射を行ってもも
ちろん良いが、望ましくは冷却槽(3)の出側に溶射ガ
ン(4)を配置して、水冷等による冷却後の常温に近い
状態となっている押出材に対して溶射を行うのが良い。
この理由は、押出材表面に付着した溶射粒子を押出材に
よって冷却することができひいては粒子のさらなる溶融
と酸化を防止できること、冷却前に溶射すると水冷の際
にポーラスな溶射層(ろう材層)の表面に水分が取り込
まれ、ろう付に対して悪影響を及ぼす恐れがあること等
による。また、ろう材層(5)(図2に示す)は1層で
も良く、あるいは溶射を複数回繰り返して複数層に形成
しても良いが、良好なろう付性を確保するために、ろう
材層(5)の厚さは8μm以上とするのが良い。また、
押出材(2)の片面にのみろう材層(5)を形成しても
良いし、図1に示すように、押出材(2)の上下に溶射
ガン(4a)(4a)を配置して溶射を行うことによ
り、上下両面にろう材層を形成しても良い。
【0020】ところで、アルミニウム材表面に形成した
ろう材層のみでは、アルミニウム材の耐食性向上効果を
期待できない。このため、特に耐食性が要求される場合
には、ろう材層の溶射形成に先立ってZn皮膜を溶射等
により形成しておくのが望ましい。アルミニウム押出材
に対してZn溶射を行う場合、上記のろう材層とは異な
り、図1に示すように、押出機(1)に近接して溶射ガ
ン(6)を配置し、押出材(2)の表面が押出直後の高
温で活性な状態のうちに行うほうが望ましい。これは、
押出材表面が活性な方が、付着したZn粒子の拡散浸透
が容易かつスムーズに行われることによる。
【0021】なお、Zn溶射層を形成しない場合であっ
ても、溶射粉末としてAl−Si−Zn合金粉末を使用
した場合には、Znの拡散による防食効果が得られる。
【0022】また、この発明では、溶射粉末の全てにつ
いて、それらの表面部のみを溶融せしめなければならな
いものではなく、内部まで完全溶融したものが一部に含
まれていても良いし、逆に表面部も内部も溶融していな
い完全固体状態のものが含まれていても良い。
【0023】
【作用】溶射の材料として粉末を用いるとともに、該粉
末の表面部のみを溶融させて溶射を行い、ろう材層を形
成するものであるから、溶射時に粉末粒子は完全溶融す
るほどの高温状態にならないため、粒子の酸化が抑制さ
れ、ろう付不良の発生が防止される。しかも、粉末粒子
の内部は溶融しておらず、溶射前の組織状態をそのまま
維持しているから、粉末粒子の全体がすでにろう付を行
ったのと同じ凝固組織になるのが防止され、非溶融内部
組織を利用して良好なろう付接合が達成される。さらに
は、蒸発による組成変化の危険性がなくなり、これに起
因するろう付不良の発生の恐れがなくなる。また、粉末
粒子はその表面溶融部によりアルミニウム材と密着性良
く付着するから、ろう材層の密着性が低下して剥離等を
生じる不都合はない。
【0024】
【実施例】JIS1070Al合金からなる幅16mm
×高さ3mmの多孔偏平押出材を、図1に示すように、
押出機(1)から押出したのち冷却用水槽(3)で冷却
し、その後コイル(7)に連続的に巻き取った。そし
て、冷却用水槽(3)の出側において、押出材(2)の
上下に溶射ガン(4a)(4a)をコイル方向に傾斜さ
せた状態で配置した。溶射ガン(4a)としては、図3
に示すようなノズル部を有するフレーム式のものを用い
た。この溶射ガンでは、燃料送給管(41)を介して供
給される燃焼ガスおよび酸素の混合燃料ガスがノズル部
先端から噴出して点火され円柱状のフレームを形成し、
粉末送給管(42)を介してキャリアガスとともにフレ
ーム中に送給される原料粉末(43)を加熱する。そし
て、加熱された粉末を圧縮空気送給管(44)から送給
される圧縮空気のジェットにより霧状にして前方に飛ば
し、押出材(2)の表面に付着させるものとなされてい
る。図3中(45)は空気流を示す。なお、本実施例の
溶射ガンでは、燃料ガスとしてO2:700リットル/
分、プロピレン:68リットル/分の混合ガスを用い、
圧縮空気量は800リットル/分とした。またフレーム
温度(溶射温度)は約2700℃であった。
【0025】上記の構成において、溶射すべき粉末の種
類、Si量、溶射条件を表1のNo1〜17のように各
種に変えて、粉末粒子の内部を残し表面部のみを溶融さ
せて溶射を行い、押出材(2)の上下両面にろう材層を
被覆形成した。なお、No3、4、7、9については、
ろう材溶射前に、図1に示すように押出機(1)の出側
直後に配置したZn溶射機(6)(6)によりZn溶射
層を形成し、次いでろう材層を形成した。
【0026】そして、得られたろう付用アルミニウム材
料について、ろう材層の平均厚さ、ろう材層中のSi量
を測定した。その結果を表1に示す。
【0027】次に、上記により製作した各ろう付用アル
ミニウム材料を熱交換チューブに用いて、図4および図
5に示すいわゆるマルチフロー形のアルミニウム製熱交
換器にそれぞれ組み立てた。なお、図4および図5に示
す熱交換器は、水平状態で上下に平行に配置された上記
ろう付用アルミニウム材料からなる多数本のチューブ
(11)と、隣接するチューブ(11)間に介在配置さ
れたコルゲートフィン(12)と、各チューブの両端が
連通接続された左右1対の中空筒状ヘッダー(13)
(14)とを備え、かつ左ヘッダー(13)の上下周面
には冷媒入口管(15)と同出口管(16)が接続され
ると共に、左右ヘッダーには冷媒回路を蛇行回路に仕切
る仕切板(17)が設けられている。また、コルゲート
フィン(12)としては、JIS1050Al合金から
なる厚さ0.15mmのものを用いた。
【0028】次に、上記の各熱交換器組立物に、フラッ
クス懸濁液を塗布し乾燥した後、N2雰囲気中にて58
0℃×5分加熱し、チューブ(11)とコルゲートフィ
ン(12)、およびチューブ(11)とヘッダー(1
3)(14)、その他各構成部材をろう付した。ここ
に、チューブ(11)とコルゲートフィン(12)との
接合はチューブ表面の前記ろう材溶射層により行い、チ
ューブ(11)とヘッダー(13)(14)との接合
は、ヘッダーの内外面にクラッドされたろう材により行
った。
【0029】そして、各熱交換器のチューブ(11)に
ついて、コルゲートフィン(12)との接合率を求める
ことにより、ろう付性を評価した。接合率は、コルゲー
トフィン(12)の山部を残してフィンを切除し、フィ
ンが残っている部分の数の全山部に対する接合割合をい
い、一部残っているものは山部を4等分して計算した。
【0030】一方、比較例(表1のNo18〜20)と
して、プラズマ溶射法(溶射温度約10000℃)を用
いるとともに、表1の条件で粉末粒子を内部に至るまで
完全溶融させた状態で、チューブの表面に溶射してろう
付用チューブを製造した。また、他の比較例(表1のN
o21)として、Al−12wt%Si合金からなる
2.4mmφのろう合金線材を、電気アーク溶接法(溶
射温度約10000℃)を用いて同じくチューブの表面
に溶射し、ろう付用チューブを製造した。そして、得ら
れたろう付用チューブを用いて図4、図5に示す熱交換
器に組立てたのち、前記と同一の条件でろう付を行い、
フィン接合率を求めた。
【0031】以上の結果を表1にまとめて示す。
【0032】
【表1】 また、No2、8〜14、19及び20の各供試品につ
いて、溶射形成したろう材層の断面の金属組織を顕微鏡
にて拡大観察した。そのときの顕微鏡写真を図6(a)
〜図15に示す。また、図6(a)の写真を模式的に示
した図を図6(b)に示す。また、表1No10〜14
に示した粉末条件、溶射条件でろう材層を被覆したJI
S1070Al合金板と、JIS1050Al合金板と
からなるT形継手を、ろう付けしたときの接合部の金属
組織の写真を図16〜図20に示す。
【0033】ろう材層の金属組織写真に示されているよ
うに、本発明実施品は、ろう材層(5)において粒子
(50)(図6〜図8の各(b)図に示す)の球形状が
保持されており、従って溶射によって粒子の表面部のみ
が溶融し、内部は非溶融状態のまま付着していることが
わかる。また、表1の結果及びろう付接合部の拡大写真
から、このような本発明実施品は接合部に十分なフィレ
ットが形成されており、ろう付性に優れていることもわ
かる。これに対し比較例では、溶射粒子は完全溶融した
状態で付着しており、ろう付性に劣ることがわかる。
【0034】
【発明の効果】この発明は、上述の次第で、溶射の材料
として粉末を用いるとともに、該粉末の表面部のみを溶
融させて溶射を行い、ろう材層を形成するものであるか
ら、溶射時に粉末粒子は完全溶融するほどの高温状態に
ならないため、粒子の酸化を抑制でき、ろう付不良の発
生を防止できる。しかも、粉末粒子の内部は溶融してお
らず、溶射前の組織状態をそのまま維持しているから、
粉末粒子の全体がすでにろう付を行ったのと同じ凝固組
織になるのを防止でき、ひいては非溶融内部組織を利用
して良好なろう付接合を達成できる。さらには、蒸発に
よる組成変化の危険性を低減でき、これに起因するろう
付不良の発生の恐れをなくすことができる。従って、益
々良好なろう付接合を達成し得て、高品質のろう付品の
提供が可能となる。
【0035】もとより、粉末粒子はその表面溶融部によ
りアルミニウム材と密着性良く付着するから、ろう材層
の密着性が低下して剥離等を生じる不都合はない。
【0036】また、溶射材料として用いられる粉末がA
l−Si系合金粉末を含み、ろう材層中の合計Si量が
5〜40wt%に設定された場合には、その後のろう付
時において、ろう材層の液相線温度が上昇することによ
るろう付不良の発生を防止でき、確実かつ安定したろう
付を行うことが出来る。
【0037】また、ろう材層の被覆形成前に、アルミニ
ウム材の表面にZnを溶射してZn層を被覆形成してお
いた場合には、該Znの防食効果により、ろう付後のろ
う付品に優れた耐食性を付与することのできるアルミニ
ウム材料となしうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明において、押出工程と同時的に溶射を
行う場合の概略構成図である。
【図2】図1の要部拡大断面図である。
【図3】実施例で用いた溶射ガンの拡大断面図である。
【図4】実施例で製作したマルチフロー型アルミニウム
熱交換器の正面図である。
【図5】図4の熱交換器のチューブとコルゲートフィン
とを分離して示す斜視図である。
【図6】(a)は実施例における試料No2のろう付け
用アルミニウム材料のろう材層の金属組織を示す写真、
(b)はそれを模式的に示した図である。
【図7】(a)は実施例における試料No8のろう付け
用アルミニウム材料のろう材層の金属組織を示す写真、
(b)はそれを模式的に示した図である。
【図8】(a)は実施例における試料No9のろう付け
用アルミニウム材料のろう材層の金属組織を示す写真、
(b)はそれを模式的に示した図である。
【図9】実施例における試料No10のろう付け用アル
ミニウム材料のろう材層の金属組織を示す写真である。
【図10】実施例における試料No11のろう付け用ア
ルミニウム材料のろう材層の金属組織を示す写真であ
る。
【図11】実施例における試料No12のろう付け用ア
ルミニウム材料のろう材層の金属組織を示す写真であ
る。
【図12】実施例における試料No13のろう付け用ア
ルミニウム材料のろう材層の金属組織を示す写真であ
る。
【図13】実施例における試料No14のろう付け用ア
ルミニウム材料のろう材層の金属組織を示す写真であ
る。
【図14】実施例における試料No19のろう付け用ア
ルミニウム材料のろう材層の金属組織を示す写真であ
る。
【図15】実施例における試料No20のろう付け用ア
ルミニウム材料のろう材層の金属組織を示す写真であ
る。
【図16】実施例の試料No10と同じ条件でろう材層
を形成したろう付用アルミニウム材料のろう付部の金属
組織を示す写真である。
【図17】実施例の試料No11と同じ条件でろう材層
を形成したろう付用アルミニウム材料のろう付部の金属
組織を示す写真である。
【図18】実施例の試料No12と同じ条件でろう材層
を形成したろう付用アルミニウム材料のろう付部の金属
組織を示す写真である。
【図19】実施例の試料No13と同じ条件でろう材層
を形成したろう付用アルミニウム材料のろう付部の金属
組織を示す写真である。
【図20】実施例の試料No14と同じ条件でろう材層
を形成したろう付用アルミニウム材料のろう付部の金属
組織を示す写真である。
【符号の説明】
2…押出材(アルミニウム材) 4…溶射ガン 5…ろう材層
フロントページの続き (72)発明者 荒川 勝行 大阪府堺市海山町6丁224番地 昭和ア ルミニウム 株式会社内 (72)発明者 岩井 一郎 大阪府堺市海山町6丁224番地 昭和ア ルミニウム 株式会社内 (72)発明者 古田 正一 大阪府堺市海山町6丁224番地 昭和ア ルミニウム 株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−46969(JP,A) 特公 昭63−1152(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 35/40 B23K 35/22 - 35/28 C23C 4/00 - 4/18

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム材の表面に、溶射法により
    ろう材層が形成されたろう付用アルミニウム材料におい
    て、前記ろう材層中に、多数の粒子状非溶融組織が存在
    していることを特徴とするろう付用アルミニウム材料。
  2. 【請求項2】 ろう材層がAl−Si系合金を含み、ろ
    う材層中の合計Si量が5〜40wt%である請求項1
    に記載のろう付用アルミニウム材料。
  3. 【請求項3】 アルミニウム材の表面に、溶射法により
    ろう材層を被覆形成するろう付用アルミニウム材料の製
    造方法において、前記溶射の材料として粉末を用いると
    ともに、該粉末の表面部のみを溶融させ内部は非溶融状
    態にして、溶射を行うことを特徴とするろう付用アルミ
    ニウム材料の製造方法。
  4. 【請求項4】 溶射材料として用いられる粉末がAl−
    Si系合金粉末を含み、ろう材層中の合計Si量が5〜
    40wt%である請求項4に記載のろう付用アルミニウ
    ム材料の製造方法。
  5. 【請求項5】 ろう材層の被覆形成前に、アルミニウム
    材の表面にZnを溶射してZn層を被覆形成しておく請
    求項4に記載のろう付用アルミニウム材料の製造方法。
JP30572493A 1992-10-30 1993-10-29 ろう付用アルミニウム材料及びその製造方法 Expired - Fee Related JP3392484B2 (ja)

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