JP3391649B2 - アクリル系樹脂水性組成物 - Google Patents

アクリル系樹脂水性組成物

Info

Publication number
JP3391649B2
JP3391649B2 JP06900097A JP6900097A JP3391649B2 JP 3391649 B2 JP3391649 B2 JP 3391649B2 JP 06900097 A JP06900097 A JP 06900097A JP 6900097 A JP6900097 A JP 6900097A JP 3391649 B2 JP3391649 B2 JP 3391649B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
weight
water
oxazoline
aqueous
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP06900097A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH10251474A (ja
Inventor
正明 佐藤
雅也 黒梅
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Carbide Industries Co Inc
Original Assignee
Nippon Carbide Industries Co Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Carbide Industries Co Inc filed Critical Nippon Carbide Industries Co Inc
Priority to JP06900097A priority Critical patent/JP3391649B2/ja
Publication of JPH10251474A publication Critical patent/JPH10251474A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3391649B2 publication Critical patent/JP3391649B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、ホルムアルデヒドなど
の有害な成分を発生させることなく、室温においても比
較的短時間で硬化して、可撓性に優れ、耐水性、耐溶剤
性、耐熱性、耐久性、基材への密着性などに優れた皮膜
を形成するアクリル系樹脂水性組成物に関し、詳しく
は、例えば、天然繊維、再生繊維、合成繊維からなる織
布、編布、不織布、フェルト、紙などの繊維製品の処理
に用いられる樹脂加工剤のバインダー、例えば、不織布
バインダー、捺染バインダー、紙や織物等に対するコー
ティング剤用バインダー、カーペットバッキング剤バイ
ンダー、植毛加工用バインダー等として特に有用であ
り、また、木材用、金属用、スレート用、モルタル用等
に用いられる塗料、例えば建築物の内外壁用塗料、目止
め塗料、建材用塗料、車輛や産業機械塗装用塗料等に用
いられる塗料用バインダー等としても使用できるアクリ
ル系樹脂水性組成物に関する。 【0002】さらに詳しくはオキサゾリン基と反応性を
有する官能基(以下、オキサゾリン反応性基ということ
がある)に対して反応性を有する、オキサゾリン基以外
の官能基を共重合してなる水分散性のアクリル系共重合
体に対して、オキサゾリン反応性基を含有する該アクリ
ル系共重合体以外の水溶性もしくは水分散性の高分子化
合物、及び、オキサゾリン基を含有する水溶性高分子化
合物をそれぞれ特定量含有してなるアクリル系樹脂水性
組成物に関する。 【0003】 【従来の技術】従来より、各種の繊維製品の加工処理に
際し、得られる製品の耐久性、耐水性、耐洗濯性、耐ド
ライクリーニング性等の向上を目的として、共重合体分
散微粒子中に、例えば、N−メチロールアクリルアミド
等を導入した、所謂自己架橋型アクリルエマルションが
しばしば用いられている。しかしながらこのような自己
架橋型アクリルエマルションは、その使用に際して加熱
処理を必要とすると共に、有害なホルムアルデヒドの発
生が避けられず、さらに得られる繊維製品中にもかなり
の量のホルムアルデヒドが残留するなど、環境衛生上及
び健康上の問題が指摘されている。 【0004】このような従来型の自己架橋型アクリルエ
マルションの問題点を解決する方法として、オキサゾリ
ン基を有する共重合及び、カルボキシル基等のオキサゾ
リン基と反応する官能基を有する共重合体を含有する水
性樹脂組成物が知られており、例えば、特開昭61−8921
7号公報には、オキサゾリン基を含む単量体、オキサゾ
リン基と共有結合を形成しうる官能基を含む単量体及び
これらを含まない単量体を共重合してなるポリマーラテ
ックスについて開示されている。しかしながら上記提案
のポリマーラテックスより得られる硬化皮膜は、オキサ
ゾリン基及びオキサゾリン基と共有結合を形成しうる官
能基が共にポリマー粒子中に存在するためか、架橋効率
が不十分となりがちであり、柔軟性に優れ、且つ十分な
耐水性、耐溶剤性、耐久性などの諸性質を兼ね備える皮
膜を得ることは容易ではなく、特に前記の繊維製品の加
工処理用としての使用に際しては、耐洗濯性、耐ドライ
クリーニング性などの諸性質と、優れた風合とを兼備し
た製品を得ることは困難であるなどの問題点があること
がわかった。 【0005】また、例えば、特開平5−295275号公報に
は、カルボキシル基等のオキサゾリン反応性基を有する
水分散性のアクリル系共重合体、及び、オキサゾリン基
を有する水溶性重合体からなる水性樹脂組成物が開示さ
れ、それらの反応による架橋構造を利用して、塗料、表
面処理剤、接着剤等に好適に使用できる旨記載されてい
る。 【0006】しかしながら、上記アクリル系樹脂水性組
成物を用いて各種の繊維製品の樹脂加工処理をしようと
した時、次の様な不具合があり、十分な耐洗濯性、耐溶
剤性、耐久性、柔軟性等を有する繊維樹脂加工製品を得
ることは容易ではなかった。 【0007】すなわち、上記第2の提案には、オキサゾ
リン反応性基として反応性の点からカルボキシル基、無
水カルボキシル基が特に好適であり、その使用量も官能
基1等量当たりの分子量が500〜10,000であることが好
適である旨記載されている。また本発明者等の実験によ
っても、確かに架橋構造形成の度合いは、機械的強度、
耐水性、耐溶剤性などの諸性能に大きく関与し、これら
諸性能を満足させるためには、かなり多量のカルボキシ
ル基、無水カルボキシル基が必要であることが確認され
ている。 【0008】しかしながら、各種繊維製品の樹脂加工に
際し、耐洗濯性、耐溶剤性等の諸性能を満足する程度に
架橋構造を形成させようとすると、比較的多量にカルボ
キシル基等を含んだ、一般にガラス転移点の高い樹脂を
用いなければならず、得られる樹脂皮膜も固めのものと
なりがちであり、柔軟性が損なわれて風合いの優れた製
品に仕上げることは困難である。さらにこの点を改良す
るために、形成される皮膜の柔軟性を高めるべく、ガラ
ス転移点が比較的低い樹脂骨格となるように、例えばエ
チルアクリレート等のビニル系単量体を単独又は複数組
み合わせたアクリル系樹脂水性組成物では、加工時の機
械的安定性確保や保存中の経時変化の抑制のために該水
性組成物をアルカリ性化合物で中和しようとしたとき、
比較的多量に共重合されているカルボキシル基等のアル
カリ感応性によって、極部的に増粘して該水性組成物が
オカユ状となってしまったり、全体の粘度が極度に増大
してしまうなど、製造上、配合上大きな制約をうける。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、前記の
如く従来のアクリル系樹脂水性組成物を用いた樹脂加工
ではまだ不十分であった、繊維製品の柔軟性を損なわず
に耐洗濯性、耐溶剤性、耐熱性、堅牢度等を改善すると
共に、アルカリ増粘性を抑制して製造上、配合上の困難
を改善すべくアクリル樹脂水性組成物の改良研究を行っ
た結果、オキサゾリン反応性基に対して反応性を有する
オキサゾ基以外の官能基を共重合してなる水分散性のア
クリル系共重合体に、キサゾリン反応性基を含有する水
溶性もしくは半水溶性の高分子化合物、及び、オキサゾ
リン基を含有する水溶性高分子化合物よりなるアクリル
系樹脂水性組成物が上記の課題を解決することを見いだ
し本発明を完成した。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明は、下記(A)〜
(C)、 【0011】(A) オキサゾリン基と反応性を有する官能
基(オキサゾリン反応性基)に対して反応性を有する、
オキサゾリン基以外の官能基を共重合してなる水分散性
のアクリル系共重合体、 【0012】(B) オキサゾリン基と反応性を有する官能
基(オキサゾリン反応性基)を含有する上記(A)以外の
水溶性もしくは水分散性の高分子化合物、及び、 【0013】(C) オキサゾリン基を含有する水溶性高分
子化合物、を含んでなるアクリル系樹脂水性組成物であ
って、 【0014】上記成分(A)中のオキサゾリン基と反応性
を有する官能基(オキサゾリン反応性基)に対して反応
性を有する、オキサゾリン基以外の官能基1当量に対し
て、成分(B)中のオキサゾリン基と反応性を有する官能
基(オキサゾリン反応性基)が0.1〜5当量、及び、成
分(C)中のオキサゾリン基が0.1〜3当量であることを特
徴とするアクリル系樹脂水性組成物。 【0015】以下本発明を一層詳細に説明する。 【0016】本発明で使用される上記成分(A)のアクリ
ル系共重合体は、水性媒体中に該共重合体の微小粒子が
分散している水分散型の樹脂成分であり、該アクリル系
共重合体100g当り、オキサゾリン反応性基に対して反応
性を有する、オキサゾリン基以外の官能基の量が0.005
〜0.15当量、さらには0.01〜0.1当量、特には0.015〜0.
05当量含有されているのが好ましい。該官能基の量が該
上限値以下であれば、得られるアクリル系樹脂水性組成
物の皮膜の柔軟性が損なわれることがないので好まし
く、該下限値以上であれば、得られる皮膜に十分な架橋
構造が形成されるため優れた諸性能が発揮できるので好
ましい。 【0017】このような本発明で使用される水分散性の
アクリル系共重合体(A)は、必須成分として下記単量体
(a-1)及び(a-2)、 【0018】(a-1) 下記一般式(1)で示される(メタ)ア
クリル酸エステル単量体、及び、 【0019】 【化1】 【0020】(式中、R1は水素又はメチル基、R2は炭
素数1〜12のアルキル基を表わす) 【0021】(a-2) 分子内にオキサゾリン反応性基に対
して反応性を有する、オキサゾリン基以外の官能基を有
するα,β-エチレン性不飽和単量体、 【0022】並びに、必要に応じて、(a-3)及び(a-4)、 (a-3) 分子内にカルボキシル基を有するα,β-エチレン
性不飽和単量体、及び、 【0023】(a-4) 上記(a-1)〜(a-3)と共重合可能な該
(a-1)〜(a-3)以外の単量体、 【0024】を乳化重合して得られるアクリル系共重合
体ことが好ましい。 【0025】上記の、必須成分である(メタ)アクリル酸
エステル単量体(a-1)としては、例えば、メチルアクリ
レート、エチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、
i-ブチルアクリレート、n-オクチルアクリレート、i-オ
クチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、
n-ノニルアクリレート、i-ノニルアクリレート、n-デシ
ルアクリレート、n-ドデシルアクリレート等のアクリル
酸の炭素数1〜12の直鎖もしくは分枝アルキルエステ
ル;例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレ
ート、n-ブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタ
クリレート、n-ドデシルメタクリレート等のメタクリル
酸の炭素数1〜12の直鎖もしくは分枝アルキルエステ
ル;を挙げることができる。 【0026】上記(メタ)アクリル酸エステル単量体(a-
1)の使用量は、単量体(a-1)〜(a-4)の合計 100重量%
中、好ましくは30〜99重量%、より好ましくは50〜98重
量%、特に好ましくは70〜95重量%であるのがよい。単
量体(a-1)の使用量が該下限量以上であれば、得られる
アクリル系樹脂水性組成物の形成する皮膜に、柔軟性や
強靱さなど所望の性質を与えることができ、また耐水
性、耐候性、透明性などの優れた皮膜特性を付与するこ
とができるので好ましい。一方、該上限量以下であれ
ば、後記するオキサゾリン反応性基を有する高分子化合
物(B)を介してのオキサゾリン基との反応性が向上し
て、特に繊維製品の加工用として使用したとき、得られ
る繊維製品の風合と各種耐久性のバランスが優れている
ので好ましい。 【0027】本発明におけるアクリル系共重合体は、必
須成分として前記(メタ)アクリル酸エステル単量体(a-
1)とともに、前記の、分子内にオキサゾリン反応性基に
対して反応性を有するオキサゾリン基以外の官能基を有
するα,β-エチレン性不飽和単量体(a-2)を共重合して
なるものである。 【0028】このような、オキサゾリン反応性基に対し
て反応性を有するオキサゾリン基以外の官能基として
は、例えば、エポキシ基、アミド基もしくは置換アミド
基、水酸基、アミノ基もしくは置換アミノ基等を挙げる
ことができる。 【0029】このような、オキサゾリン反応性基に対し
て反応性を有するオキサゾリン基以外の官能基を有する
前記不飽和単量体(a-2)の具体例としては、例えば、グ
リシジル(メタ)アクリルレート、3,4-エポキシシクロヘ
キシルメチル(メタ)アクレート、グリシジルビニルエー
テル、3,4-エポキシシクロヘキシルビニルエーテル、グ
リシジル(メタ)アリルエーテル、3,4-エポキシシクロヘ
キシル(メタ)アリルエーテル等のエポキシ基含有エチレ
ン性不飽和単量体;例えば、(メタ)アクリルアミド、Nー
メチル(メタ)アクリルアミド、N,Nージメチル(メタ)アク
リルアミド等のエチレン性不飽和カルボン酸アミド;例
えば、2-ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート、2-ヒ
ドロキシルプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシ
ルプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシルブチル
(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシルブチル(メタ)アク
リレート、4-ヒドロキシルブチル(メタ)アクリレート、
2-ヒドロキシルエチル(メタ)アリルエーテル、2-ヒドロ
キシルプロピル(メタ)アリルエーテル、3-ヒドロキシル
プロピル(メタ)アリルエーテル、4-ヒドロキシルブチル
(メタ)アリルエーテル、アリルアルコール等の水酸基含
有エチレン性不飽和単量体;例えば、N,N'-ジメチルア
ミノエチル(メタ)アクリレート、N,N'-ジエチルアミノ
エチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有エチレン性
不飽和単量体;から選ばれた少なくとも1種以上の単量
体が用いられる。 【0030】本発明においては、これら不飽和単量体(a
-2)のうち、オキサゾリン反応性基に対する反応性に優
れ、得られる皮膜の強靱性と柔軟性のバランスがよく、
且つ耐水性、耐溶剤性等の皮膜特性に優れているなどの
理由から、エポキシ基含有エチレン性不飽和単量体の使
用が好ましく、中でもグリシジル(メタ)アクリレートの
使用が特に好ましい。 【0031】不飽和単量体(a-2)の使用量は、好ましく
は0.5〜20%、より好ましくは1〜15%、更に好ましく
は2〜10%である。単量体(a-2)の使用量が該上限値以
下であれば、得られるアクリル系樹脂水性組成物の皮膜
の柔軟性が損なわれることがないので好ましく、該下限
値以上であれば、得られる皮膜に十分な架橋構造が形成
されるため優れた諸性能が発揮できるので好ましい。 【0032】本発明におけるアクリル系共重合体は、必
須成分としての前記(メタ)アクリル酸エステル単量体(a
-1)及び特定の官能基を有する不飽和単量体(a-2)ととも
に、必要に応じて、分子内にカルボキシル基を含有する
α,β-エチレン性不飽和単量体〔以下、カルボキシル基
含有不飽和単量体ということがある〕(a-3)を共重合す
ることができる。 【0033】上記のカルボキシル基含有不飽和単量体(a
-3)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イ
タコン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、ク
ロトン酸、シトラコン酸、桂皮酸等の不飽和カルボン酸
類が挙げられ、また下記一般式(2)及び(3)で示される単
量体も使用できる。 【0034】 【化2】 【0035】 【化3】 【0036】〔式中、R1は前記一般式(1)で定義したと
おりであり、A1は炭素数2〜6のアルキレン基、A2
炭素数2〜4のアルキレン基、X1はエチレン基、ビニ
レン基、1,2-フェニレン基又は1,2-シクロヘキシレン基
を表わし、nは1〜10の有理数である〕 【0037】上記一般式(2)単量体としては、例えば、
(メタ)アクリル酸ダイマー(好ましくはnの平均値約1.
4のもの)、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノ(メ
タ)アクリレート(好ましくはnの平均値約2のもの)
等が例示できる。また上記一般式(3)単量体としては、
例えば、コハク酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレ
ート、マレイン酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレ
ート、フマル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、1,2-ジカルボキシシクロヘキサンモノヒドロキシエ
チル(メタ)アクリレート等が例示できる。 【0038】本発明においては、これら単量体(a-3)の
うち、重合安定性のよさ、他の単量体との共重合性のよ
さ、並びに、得られるアクリル系共重合体分散液の機械
安定性及び貯蔵安定性に優れている等の理由から、アク
リル酸、メタクリル酸、イタコン酸の使用が特に好まし
い。 【0039】単量体(a-3)の使用量は、好ましくは5重
量%以下、より好ましくは2重量%以下、更に好ましく
は0.2〜1重量%であるのがよい。単量体(a-3)の使用量
が該上限値以下であれば、オキサゾリン基と適度の架橋
構造を形成し、皮膜の柔軟性が損なわれることがないの
で好ましく、該下限値以上であれば、乳化重合の際の重
合安定性、得られるアクリル系樹脂水性組成物の機械的
安定性が優れているので好ましい。 【0040】本発明におけるアクリル系共重合体は、必
須成分としての前記(メタ)アクリル酸エステル単量体(a
-1)及び特定の官能基を有する不飽和単量体(a-2)、並び
に、必要に応じて用いるカルボキシル基含有不飽和単量
体(a-3)とともに、さらに必要に応じて、これら(a-1)〜
(a-3)と共重合可能な該(a-1)〜(a-3)以外の単量体(a-4)
を共重合することができる。 【0041】上記単量体(a-4)のとしては、例えば、ス
チレン、α-メチルスチレン、クロロメチルスチレン、
ビニルトルエン等の芳香族モノビニル単量体;例えば、
(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体;例
えば、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、
「バーサチック酸ビニル」等の飽和脂肪酸ビニル単量
体;などを挙げることができる。 【0042】これら単量体(a-4)の共重合量は、単量体
(a-1)〜(a-4)の合計100重量%に対して、一般に0〜69
重量%の範囲であるのがよい。 【0043】本発明におけるアクリル系共重合体(A)の
ガラス転移点(Tg)は、−50〜50℃であるのが好まし
い。Tgが該上限値以下であれば、得られる皮膜の可撓
性が損なわれることがないので好ましく、該下限値以上
であれば、得られる皮膜が十分な耐溶剤性、耐熱性、機
械的強度などを有しているので好ましい。また、得られ
るアクリル系樹脂水性組成物を繊維加工用に用いるとき
には、得られる繊維製品の柔軟性の観点から、該Tgは
−50〜20℃であるのが好ましく、−50〜10℃であるのが
更に好ましい。 【0044】なお本発明においてガラス転移点(Tg)
とは、共重合体を構成するそれぞれの単量体成分の単独
重合体のTgを用いて次式によって求めるたものであ
る。 【0045】 【数1】 【0046】但し、Tgは共重合体のガラス転移温度で
あり、Tg1、Tg2、・・・・・・Tgkは各単量体成分の単独重
合体のTg;w1、w2、・・・・・・wkは各単量体成分の重量
分率を表わし;w1+w2+・・・・・・+wk=1である。 【0047】本発明におけるアクリル系共重合体として
は、以上述べた単量体(a-1)及び(a-2)、或いは、これら
とともに必要に応じてさらに単量体(a-3)及び/又は(a-
4)を加えたものを、水性媒体中で乳化重合して得られる
ものを用いるのが好ましい。 【0048】本発明で用いられる乳化剤としては、アニ
オン系及びノニオン系の何れの乳化剤でも特に限定され
ず、それぞれ単独で又は2種以上組合わせて使用するこ
とができる。 【0049】上記のノニオン系乳化剤として、例えば、
ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチ
レンステアリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキ
ルエーテル類;例えば、ポリオキシエチレンオクチルフ
ェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエ
ーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテ
ル類;例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタン
モノステアレート、ソルビタントリオレエート等のソル
ビタン高級脂肪酸エステル類; 【0050】例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモ
ノラウレート等のポリオキシエチレンソルビタン高級脂
肪酸エステル類;例えば、ポリオキシエチレンモノラウ
レート、ポリオキシエチレンモノステアレート等のポリ
オキシエチレン高級脂肪酸エステル類;例えば、オレイ
ン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド
等のグリセリン高級脂肪酸エステル類;例えば、ポリオ
キシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブロックコポリ
マー;等を例示することができる。 【0051】またアニオン系乳化剤としては、例えば、
オレイン酸ナトリウム等の高級脂肪酸塩類;例えば、ド
デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルアリ
ールスルホン酸塩類;例えば、ラウリル硫酸ナトリウム
等のアルキル硫酸エステル塩類;例えば、ポリエキシエ
チレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシ
エチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類; 【0052】例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニ
ルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオクチ
ルフェニルエーテル硫酸アンモニウム等のポリオキシエ
チレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩類;モ
ノオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスル
ホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルス
ルホコハク酸ナトリウム等のアルキルスルホコハク酸エ
ステル塩及びその誘導体類;等を例示することができ
る。 【0053】また、これらの乳化剤のアルキル基の水素
の一部をフッ素で置換したものも使用可能である。 【0054】更に、これら乳化剤の分子構造中にラジカ
ル共重合性不飽和結合を有する、いわゆる反応性乳化剤
も使用することができ、このような反応性乳化剤として
は、例えば、スルホコハク酸アルケニルエステル塩型反
応性乳化剤、アルケニルコハク酸塩型反応性乳化剤、脂
肪族不飽和カルボン酸スルホアルキルエステル塩型乳化
剤、(メタ)アクリル酸スルホアルキルエステル塩型乳化
剤、脂肪族不飽和ジカルボン酸アルキルスルホアルキル
ジエステル塩型乳化剤などを使用することもできる。こ
れら反応性アニオン系乳化剤は、必要に応じて、前述し
た通常の(非反応性)のアニオン系乳化剤類及び/又は
ノニオン系乳化剤類と適宜組合せて使用することができ
る。 【0055】これらの乳化剤の使用量としては、用いる
乳化剤の種類やモノマーの種類等に応じて適宜変更でき
るが、一般には、前記共重合体(A)を形成するのに用い
る単量体(a-1)〜(a-4)の合計100重量部に対して、通常
約0.3〜10重量部用いられ、水性乳化重合時の重合安定
性のよさ、分散複層粒子の形成し易さ、共重合体水性分
散液の貯蔵安定性のよさ及び基材との密着性の優秀さの
観点から、約0.5〜5重量部、特には約1〜3重量部用
いるのが好ましい。 【0056】本発明に用いられるアクリル系共重合体の
乳化重合による製造に際しては、これらのアニオン系乳
化剤及びノニオン系乳化剤をそれぞれ単独で、又は適宜
組合せて用いることができる。 【0057】本発明に用いられるアクリル系共重合体の
乳化重合に際しては、得られる共重合体の性能に悪影響
を及ぼさない範囲において、前記のアニオン系及び/又
はノニオン系乳化剤とともに水溶性保護コロイドを併用
することもできる。 【0058】上記の水溶性保護コロイドとしては、例え
ば、部分ケン化ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリ
ビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール等のポリ
ビニルアルコール類;例えば、ヒドロキシエチルセルロ
ース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチ
ルセルロース塩等のセルロース誘導体;及びグアガムな
どの天然多糖類;などが挙げられ、これらは、単独でも
複数種併用の態様でも利用できる。水溶性保護コロイド
の使用量としては、前記単量体(a-1)〜(a-4)の合計100
重量部当り0〜0.5重量部程度である。 【0059】更に乳化重合に際しては、通常、例えば、
過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウ
ムなどの過硫酸塩類;t-ブチルヒドロパーオキシド、ク
メンヒドロパーオキシド、p-メンタンヒドロパーオキシ
ドなどの有機過酸化物類;過酸化水素;などの重合開始
剤が使用される。これら重合開始剤も一種もしくは複数
種併用のいずれの態様でも利用できる。これらの重合開
始剤は、前記単量体(a-1)〜(a-4)の合計100重量部に対
して、0.1〜1重量部程度の量を用いるのが好ましい。 【0060】また乳化重合に際して、所望により、重合
開始剤とともに還元剤を併用することができる。このよ
うな還元剤としては、例えば、アスコルビン酸、酒石
酸、クエン酸、ブドウ糖、ホルムアルデヒドスルホキシ
ラート金属塩等の還元性有機化合物;チオ硫酸ナトリウ
ム、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜
硫酸ナトリウム等の還元性無機化合物;を例示できる。
これら還元剤は、前記単量体(a-1)〜(a-4)の合計100重
量部に対して、0.1〜1重量部程度の量を用いるのが好
ましい。 【0061】更にまた、乳化重合に際しては連鎖移動剤
を使用することができる。このような連鎖移動剤として
は、例えば、n-ドデシルメルカプタン、t-ドデシルメル
カプタン、n-ブチルメルカプタン、2-エチルヘキシルチ
オグリコレート、2-メルカプトエタノール、トリクロロ
ブロモメタン等を挙げることができる。これら連鎖移動
剤は、前記単量体(a-1)〜(a-4)の合計100重量部に対し
て0〜1重量部程度の量を用いるのが好ましい。 【0062】なお前記の水性媒体とは、水、並びに、水
及び水と相溶性を有する有機溶媒からなる混合溶媒をい
う。このような有機溶媒としては、例えば、メタノー
ル、エタノール、n-プロピルアルコール、i-プロピルア
ルコール、n-ブチルアルコール、t-ブチルアルコール、
エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエ
ーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチ
レングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコ
ール、アセトン、メチルエチルケトン等を挙げることが
できる。本発明に用いるアクリル系共重合体(A)の乳化
共重合における水性媒体としては、水を主成分とするも
のを用いるのが好ましく、該水性媒体中に占める水溶性
有機溶媒の含有量は、通常20重量%以下、好ましくは10
重量%以下であるのがよい。 【0063】本発明に用いるアクリル系共重合体(A)の
乳化共重合において好適に採用される共重合温度は、約
40〜100℃、特には約50〜90℃である。 【0064】かくして得られたアクリル系共重合体(A)
の水性分散液は、必要に応じてアンモニア水等によって
pH調節してもよい。このような分散液は、通常、固形
分濃度30〜50重量%、粘度10〜3000cps(BH型回転粘度
計、25℃、20rpm;粘度測定条件以下同様)、pH2〜9
程度であり、水性媒体中のアクリル系共重合体粒子の平
均粒子径は、0.05〜0.5μmであるのが好ましい。 【0065】本発明のアクリル系樹脂水性組成物は、以
上詳細に述べた、オキサゾリン反応性基に対して反応性
を有する、オキサゾリン基以外の官能基を共重合してな
る水分散性のアクリル系共重合体(A)と共に、オキサゾ
リン反応性基を含有する上記(A)以外の水溶性もしくは
水分散性の高分子化合物(B)を必須成分として含んでな
るものである。 【0066】上記必須成分(B)の高分子化合物は、特に
限定されるものではなく、例えば、アクリル系(共)重合
体、(メタ)アクリルアミド系(共)重合体、ポリオレフィ
ン系(共)重合体、酢酸ビニル系(共)重合体、ポリビニル
アルコール系(共)重合体、スチレン−マレイン酸系(共)
重合体等の付加重合型高分子化合物;例えば、ポリエス
テル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、
エポキシ系樹脂等の重縮合型高分子化合物;などの中か
ら適宜選択して使用することができるが、これら高分子
化合物のうち、オキサゾリン基との反応性に優れ、必要
に応じて容易に水溶性化、又は一部水溶性化することが
できる付加重合型高分子化合物、中でもアクリル系(共)
重合体を用いるのが好ましい。 【0067】また前記のオキサゾリン反応性基として
は、オキサゾリン基を開環付加反応させることのできる
活性水素を有する官能基であれば特に限定されるもので
はなく、例えば、カルボキシル基、無水カルボキシル
基、メルカプト基、アミノ基、アミド基等の中から適宜
選択して使用することができるが、これらのうち、オキ
サゾリン基との反応性に特に優れ、且つ重合安定性を損
なわずに広範な各種単量体と良好な共重合製を有してい
るなどの理由からカルボキシル基の使用が特に好まし
い。 【0068】これらオキサゾリン反応性基の、前記高分
子化合物(B)中に含有される好適な量としては、該高分
子化合物(B)100g当り0.15〜1.5当量、好ましくは0.3〜
1.4当量であるのがよい。オキサゾリン反応性基の量が
該下限値以上であれば、架橋構造の形成が十分に行わ
れ、得られる本発明のアクリル系樹脂水性組成物を繊維
加工に用いたとき、耐洗濯性、耐溶剤性などに優れた繊
維製品が得られるので好ましく、一方、該上限値以下で
あれば、得られる繊維製品の柔軟性が損なわれることが
ないので好ましい。 【0069】また高分子化合物(B)の重量平均分子量
(以下Mwと略記することがある)は1,000〜100,000、
特には5,000〜50,000の範囲であるのが好ましい。Mwが
該下限値以上であれば、得られる皮膜の耐水性、耐溶剤
性、耐久性が優れているので好ましく、一方該上限値以
下であれば、該高分子化合物(B)の製造が容易であり、
前記の水分散性のアクリル系共重合体(A)及び後記する
オキサゾリン基を含有する水溶性高分子化合物(C)と共
に配合して本発明のアクリル系樹脂水性組成物を作成す
るに際して該高分子化合物(B)が極部増粘するなどの不
都合が生じず、得られるアクリル系樹脂水性組成物も全
体の粘度が上がり過ぎるなどの使用上の制約がないので
好ましい。 【0070】かくして、本発明において好適に使用する
ことのできるオキサゾリン反応性基含有高分子化合物
(B)は、オキサゾリン反応性基含有不飽和単量体(b-1)の
1種以上を必須成分として用い、必要に応じて、これと
(メタ)アクリル酸エステル単量体(b-2)、並びに、これ
ら単量体(b-1)及び(b-2)と共重合可能で該単量体(b-1)
及び(b-2)以外の共単量体(b-3)を、水性媒体中で、従来
公知の重合方法、例えば、溶液重合や乳化重合によって
得ることができる。 【0071】上記オキサゾリン反応性基含有不飽和単量
体(b-1)としては、前記アクリル系共重合体(A)において
用いられる単量体として例示されたカルボキシル基含有
不飽和単量体(a-3)、及び、α,β-エチレン性不飽和単
量体(a-2)として例示された単量体として例示された単
量体のうち、エチレン性不飽和カルボン酸アミドを挙げ
ることができる。これらのうち、オキサゾリン基との反
応性に優れ、後記する単量体(b-2)及び(b-3)との共重合
性に優れているなどの理由から、カルボキシル基含有不
飽和単量体を必須成分として(共)重合するのが好まし
く、これらのうち、例えば、アクリル酸、メタクリル
酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン
酸等(特にアクリル酸、メタクリル酸等)を用いるのが
好ましい。 【0072】前記オキサゾリン反応性基含有不飽和単量
体(b-1)の使用量は、単量体(b-1)〜(b-3)の合計100重量
%に対して、15〜100重量%、特には30〜100重量%の範
囲で用いるのが好ましい。該使用量が該下限値以上であ
れば、必要に応じて高分子化合物(B)を水溶化するに際
して比較的容易に水溶化させることができ、オキサゾリ
ン基との反応性にも優れているので好ましい。 【0073】前記(メタ)アクリル酸エステル単量体(b-
2)としては、前記アクリル系共重合体(A)において用い
られる必須単量体として例示された(メタ)アクリル酸エ
ステル単量体(a-1)が使用できる。そしてこれら単量体
(b-2)のうち、前記オキサゾリン反応性基含有不飽和単
量体(b-1)との共重合性が優れており、必要に応じて高
分子化合物(B)を水溶化するに際して比較的容易に水溶
化できる等の観点から、メチルアクリレート、エチルア
クリレート、ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルア
クリレート、メチルメタクリレート等が特に好適に使用
できる。 【0074】(メタ)アクリル酸エステル単量体(b-2)の
使用量は、単量体(b-1)〜(b-3)の合計100重量%に対し
て、0〜80重量%、特には0〜40重量%の範囲で用いる
のが好ましい。該使用量が該下限値以上であれば、必要
に応じて高分子化合物(B)を水溶化するに際して比較的
容易に水溶化させることができ、オキサゾリン基との反
応性にも優れているので好ましい。 【0075】さらに共単量体(b-3)としては、前記アク
リル系共重合体(A)において用いられる単量体(a-4)で例
示された、芳香族モノビニル単量体、シアン化ビニル単
量体、飽和脂肪酸ビニル単量体などを挙げることができ
る。該共単量体(b-3)の使用量は、特に限定されるもの
ではなく、得られる本発明のアクリル系樹脂組成物の皮
膜の強靱性や柔軟性のバランスのよさ、耐水性、耐溶剤
性、耐熱性等の優秀さなどに鑑みて適宜選択することが
でき、単量体(b-1)〜(b-3)の合計100重量%に対して、
一般に0〜40重量%、特には0〜20重量%の範囲で用い
るのが好ましい。 【0076】本発明において特に好適に使用することの
できるオキサゾリン反応性基含有高分子化合物(B)は、
水溶性又は水分散性であることが必要であり、特に該高
分子化合物(B)の少なくとも一部は水溶性であるのが好
ましい。 【0077】このような高分子化合物(B)は、前記の通
り、単量体(b-1)〜(b-3)を、水性媒体中で、従来公知の
重合方法、例えば、溶液重合や乳化重合によって得るこ
とができる。(共)重合に使用される重合開始剤は、前記
アクリル系共重合体(A)の共重合に際して用いられたも
のと同様の、過硫酸塩類、有機過酸化物類、過酸化水素
等が使用可能である。また同様に、重合開始剤とともに
還元剤を併用することができ、還元性有機化合物、還元
性無機化合物が使用できる。さらに前記同様の連鎖移動
剤も使用することができ、その使用量は、単量体(b-1)
〜(b-3)の合計100重量部に対して0.1〜10重量部程度の
量を用いるのが好ましい。 【0078】乳化重合による場合にも、やはり前記アク
リル系共重合体(A)の乳化共重合に際して用いられた乳
化剤、すなわちポリオキシエチレンアルキルフェニルエ
ーテル類、ソルビタン高級脂肪酸エステル類、ポリオキ
シエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル類、ポリオキ
シエチレン高級脂肪酸エステル類、グリセリン高級脂肪
酸エステル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピ
レン・ブロックコポリマー等のノニオン系乳化剤;高級
脂肪酸塩類、アルキルアリールスルホン酸塩類、アルキ
ル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエー
テル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルア
リールエーテル硫酸エステル塩類、アルキルスルホコハ
ク酸エステル塩及びその誘導体類等のアニオン系乳化剤
が使用でき、これらの乳化剤のアルキル基の水素の一部
をフッ素で置換したものや、前記の反応性乳化剤も使用
することができる。 【0079】さらにポリビニルアルコール類、セルロー
ス誘導体、天然多糖類等の水溶性保護コロイドも使用量
可能である。 【0080】なお本発明に用いるオキサゾリン反応性基
含有高分子化合物(B)の乳化重合における水性媒体とし
ては、前記アクリル系共重合体(A)の場合と同様、水を
主成分とするものを用いるのが好ましく、該水性媒体中
に占める水溶性有機溶媒の含有量は、通常20重量%以
下、好ましくは10重量%以下であるのがよい。 【0081】本発明に用いる好適に用いられるオキサゾ
リン反応性基含有高分子化合物(B)の重合において好適
に採用される重合温度は、前記アクリル系(共)重合体
(A)と同様、約40〜100℃、特には約50〜90℃程度であ
る。 【0082】かくして得られたオキサゾリン反応性基含
有高分子化合物(B)の水溶液又は水分散液は、必要に応
じてアンモニア水等によってpH調節してもよい。この
ような水溶液又は水分散液は、通常、固形分濃度10〜50
重量%、粘度50,000cps以下(BH型回転粘度計、25℃、2
0rpm;粘度測定条件以下同様)、pH4〜10程度であるの
が好ましい。 【0083】本発明におけるオキサゾリン反応性基含有
高分子化合物(B)は、前記水分散性のアクリル系共重合
体(A)中のオキサゾリン基反応性基に対して反応性を有
する、オキサゾリン基以外の官能基1当量に対して、該
高分子化合物(B)中のオキサゾリン基反応性基が0.1〜5
当量、好ましくは0.4〜4当量、さらに好ましくは1〜
3当量となるように調整して使用することが必要であ
る。使用する高分子化合物(B)中のオキサゾリン基反応
性基の量が該下限値未満と少な過ぎては、得られる皮膜
の架橋構造の形成が不十分となりがちであり、耐水性、
耐溶剤などの諸性能が不十分となる傾向があり好ましく
ない。一方、該上限値を超えて多過ぎては、形成される
皮膜の柔軟性が損なわれる傾向にあり、また、アクリル
系樹脂水性組成物の配合過程で、例えばアンモニア水等
のアルカリ性化合物で中和しようとしたとき、該組成物
が極部的に増粘したり、全体の粘度上昇が激しくなった
りするなどの不都合が生じやすく好ましくない。 【0084】本発明のアクリル系樹脂水性組成物は、前
記のオキサゾリン反応性基に対して反応性を有する、オ
キサゾリン基以外の官能基を共重合してなる水分散性の
アクリル系共重合体(A)、及び、オキサゾリン反応性基
を含有する上記(A)以外の水溶性もしくは水分散性の高
分子化合物(B)と共に、オキサゾリン基を含有する水溶
性高分子化合物(C)を必須成分として含んでなるもので
ある。 【0085】上記のオキサゾリン基を含有する水溶性高
分子化合物(C)は、下記一般式(4)で示されるオキサゾリ
ン基含有単量体(c-1)、及び、必要に応じてこれと共重
合可能な他の単量体(c-2)の少なくとも1種を(共)重合
してなるものである。 【0086】 【化4】 【0087】(式中、R3〜R5はそれぞれ独立に水素又
は炭素数1〜2のアルキル基、R6〜R9はそれぞれ独立
に水素、ハロゲン、アルキル基、シクロアルキル基、ア
ラルキル基又はアリール基であり、X2は単結合、−A3
−OCO−、−A4−NHCO−又は−A5−O−を表わ
し、A3〜A5はそれぞれ独立に単結合又は炭素数1〜3
のアルキレン基を表わす) 【0088】上記のオキサゾリン基含有単量体(c-1)に
おけるR3としては、例えば、ビニル基、アリル基、プ
ロペニル基、i-プロペニル基、α-ブテニル基、β-ブテ
ニル基、γ-ブテニル基、i-ブテニル基等の炭素数2〜
4のアルケニル基;例えば、(メタ)アクリロイルオキシ
基、(メタ)アクリルアミド基等の(メタ)アクリロイル基
含有基;例えば、ビニロキシ基、アリロキシ基等の炭素
数2〜4のアルケニルオキシ基を挙げることができ、該
単量体(c-1)の具体例としては、2-ビニル-2-オキサゾリ
ン、2-ビニル-4-メチル-2-オキサゾリン、2-ビニル-5-
メチル-2-オキサゾリン、2-i-プロペニル-2-オキサゾリ
ン、2-i-プロペニル-4-メチル-2-オキサゾリン、2-i-プ
ロペニル-5-エチル-2-オキサゾリンを例示することがで
き、入手の容易さ等の理由から2-ビニル-2-オキサゾリ
ンの使用が好ましい。 【0089】前記の、必要に応じて単量体(c-1)と共重
合可能な他の単量体(c-2)としては、前記アクリル系共
重合体(A)において(メタ)アクリル酸エステル単量体(a-
1)として例示された単量体、及び、例えば、メトキシ
(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート等のその
他の(メタ)アクリル酸エステル単量体;前記アクリル系
共重合体(A)において用いられる単量体(a-4)で例示され
た、芳香族モノビニル単量体、シアン化ビニル単量体、
飽和脂肪酸ビニル単量体などの単量体;不飽和単量体(a
-2)として例示された単量体のうちエチレン性不飽和カ
ルボン酸アミド、水酸基含有エチレン性不飽和単量体、
アミノ基含有エチレン性不飽和単量体などの官能基含有
単量体;などが挙げられる。 【0090】このようなオキサゾリン基を含有する水溶
性高分子化合物(C)に関する詳細については、例えば、
特開平5−295275号公報に開示されており、該公報に開
示された方法に従って製造して使用することができる。 【0091】本発明において用いられる前記の水溶性高
分子化合物(C)中のオキサゾリン基の量は、該高分子化
合物100g当り0.1〜1当量であるのが好ましく、0.2〜0.
6当量であるのがさらに好ましい。オキサゾリン基の量
が該下限値以上であれば、前記オキサゾリン基との反応
性に優れており、得られる皮膜に十分な架橋構造を形成
させることができ優れた皮膜特性を付与できるので好ま
しく、一方、該上限値以下であれば皮膜の柔軟性が損な
われることがないので好ましい。 【0092】また水溶性高分子化合物(C)の重量平均分
子量は、一般に500〜10,000であるのが好ましく、1,000
〜7,000であるのがさらに好ましい。さらに水溶性高分
子化合物(C)の水溶液は、固形分濃度が一般に10〜50重
量%程度であり、粘度10,000cps以下、pH7〜9である
のが好ましい。 【0093】このような高分子化合物(C)の水溶液とし
ては、例えば「エポクロス WS-500」〔(株)日本触媒
製〕として市販されているものが好適に使用できる。 【0094】オキサゾリン基を(共)重合してなる水溶性
高分子化合物(C)は、前記水分散性のアクリル系共重合
体(A)中のオキサゾリン基反応性基に対して反応性を有
する、オキサゾリン基以外の官能基1当量に対して、該
高分子化合物(C)中のオキサゾリン基が0.1〜3当量、好
ましくは0.2〜2当量、さらに好ましくは0.3〜1.5当量
となるように調整して使用することが必要である。使用
する水溶性高分子化合物(C)中のオキサゾリン基の量が
該下限値未満と少な過ぎては、得られる皮膜の架橋構造
の形成が不十分となりがちであり、耐水性、耐溶剤性等
の諸性能が不十分となる傾向にあり好ましくない。一
方、該上限値を超えて多過ぎては、皮膜の可撓性が損な
われることがあり好ましくない。 【0095】本発明のアクリル系樹脂水性組成物として
は、必須成分であるオキサゾリン反応性基に対して反応
性を有する、オキサゾリン基以外の官能基を共重合して
なる水分散性のアクリル系共重合体(A)、オキサゾリン
反応性基を含有する上記(A)以外の水溶性もしくは水分
散性の高分子化合物(B)、及び、オキサゾリン基を含有
する水溶性高分子化合物(C)と共に、必要に応じて、水
溶性多価金属塩、水溶性エポキシ樹脂、水分散性ブロッ
ク化イソシアネート等の架橋剤を配合することができ
る。特に水溶性溶性多価金属塩は、皮膜に架橋構造を形
成させるための補助として作用すると同時に、アクリル
系樹脂水性組成物の配合に際して、過剰の増粘や極部的
な増粘を抑制する働きもあり、好ましく使用できる。こ
のような水溶性多価金属塩の具体例としては、酢酸カル
シュウム、酢酸亜鉛、塩化カルシュウムなどが挙げられ
る。 【0096】本発明のアクリル系樹脂水性組成物は、本
発明の目的を損なわない範囲において、可塑剤、溶剤、
難燃剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、着色顔料、染料、乳化
剤などのその他の添加剤を添加することができる。 【0097】 【実施例】 【0098】以下、実施例と共に比較例及び参考例を挙
げて、本発明を一層詳細に説明する。なお上記実施例及
び比較例において用いた、各種の試験方法及び評価方法
は、以下のとおりである。 【0099】(1) フイルム強伸度 水平に固定した離型紙上に、ドクターブレードにて、乾
燥時のフイルムの平均厚さが50〜100μmの範囲に入るよ
うにアクリル系樹脂水性組成物を塗布し、室温で乾燥し
た後、これを熱風循環式乾燥器にて140℃、10分間熱処
理してフイルム試験片を作成する。但し、最低造膜温度
が室温以上のアクリル系樹脂水性組成物の場合は、室温
で塗布後直ちに、又は室温で半乾燥した後、熱風循環式
乾燥器にて140℃、10分間熱処理してもよい。 【0100】フイルム試験片の平均厚さは、膜厚計
〔「デジタルミクロメーター 形式M-30」、ソニー(株)
製〕を用いて5箇所測定し、それらの測定値を平均する
ことにより求める。得られるフイルム試験片は、温度23
℃、相対湿度65%の恒温恒湿条件下に3時間以上放置し
た後、同条件下でその引張応力−伸度曲線を測定する。
得られる引張応力−伸度曲線より、最大抗張力、破断時
伸度を求める。 【0101】引張応力−伸度曲線の測定は、「テンシロ
ン UTM-4-100」〔東洋ボードウイン(株)製〕及び幅10mm
のフイルム保持用治具を用い、つかみ間幅10mm及び引張
速度100mm/分の条件下で行う。 【0102】(2) 耐水性試験 固形分が約10重量%となるように樹脂水性組成物を水で
希釈し、その中に2号濾紙〔東洋濾紙(株)製〕を浸積し
た後、乾燥時の目付け量が10g/m2となるように「マン
グル」(手動式ゴムロール)を用いて絞り、直ちに150
℃、4分間熱処理を行って試験用シートとする。得られ
た試験シートを温度23℃、相対湿度65%の恒温恒湿条件
下に3時間以上放置下後、同条件下、試料幅2.5cm、引
張速度300mm/分における常態破断強度、及び試験用シ
ートを水中に1分間浸漬した直後の破断強度を求め、水
浸積破断強度/常態破断強度比から耐水性を、下記の評
価基準に従って評価する。 【0103】評価の基準 ◎・・・・・・強度比0.4以上 ○・・・・・・強度比0.25以上、0.4未満 △・・・・・・強度比0.1以上、0.25未満 ×・・・・・・強度比0.1未満 【0104】(3) 耐洗濯性試験 下記の配合処方に従って調製した捺染糊を用い、10mm間
隔で幅10mmの縦縞模様になるようにエポキシ樹脂で防染
加工したスクリーンを用いて綿ブロードに捺染加工し、
140℃、10分間加熱処理して試験用シートとする。 【0105】捺染糊の配合 レデューサー*1 65 アクリル系樹脂水性組成物 25 青顔料ペースト*2 10 【0106】*1:ミネラルターペン65重量部をノニオン
系乳化剤「レピトールS」〔第一工業製薬(株)製〕4重
量部を用いて水31重量部中に乳化分散させたもの。 *2:「FL2B」(青)〔大日精化工業(株)製〕 【0107】得られた試験シートを5cm×15cmの大きさ
に切り出し、これを新品のタオルに縫い付けたものを下
記条件で洗濯し、試験シートの損傷の度合いで洗濯性を
下記の評価基準に従って評価する。 【0108】洗濯条件 容積40Lうず巻き反転式家庭用洗濯器に40℃温水を30L
を入れ、洗剤〔「スーパートップ」;ライオン(株)製〕
120g、負荷布として新品のタオル1kg及び試験シートを
縫い付けたタオル1枚を入れ、15分間洗濯−5分間すす
ぎ−1分間脱水−室温乾燥を1サイクルとして、計5サ
イクル洗濯する。 【0109】評価の基準 ○・・・・・・殆ど損傷なし △・・・・・・少し損傷 ×・・・・・・損傷がめだつ 【0110】(4) 摩擦堅牢度試験 耐洗濯性で用いたものと同様に作成した試験用シートを
水に10分間浸積した後、学振型試験器を用いて捺染した
縦縞模様と直角方向に学振して摩擦堅牢度を測定する。 【0111】摩擦条件 摩擦子 45R、カナキン被覆(水で十分濡らす。) 荷重 200g 回数 100回 【0112】評価の基準 ○・・・・・・摩擦子への色落ちが殆どなし △・・・・・・摩擦子への色落ち少しあり。 ×・・・・・・摩擦子への色落ち多い。 【0113】(5) 耐溶剤性試験 離型紙上に、乾燥時の膜厚約80μmになるようにアクリ
ル系樹脂水性組成物を塗布し、140℃、10分間熱処理
後、得られた皮膜を30分間パークロルエチレン中に浸漬
し、皮膜の面積膨潤率を測定する。 【0114】(6) 風合い試験 耐洗濯性試験で用いたものと同じ試験用シートを用い、
手触りによる柔軟性の度合いで風合いを評価する。なお
風合は、ほぼ同じガラス転移点を有している実施例1及
び比較例1〜6の樹脂水性組成物を用いて得られた試験
シートについて測定する。 【0115】評価の基準 ○・・・・・・加工前の基布と同じ柔らかさ △・・・・・・加工前の基布に比べ、少し硬めに感じる ×・・・・・・加工前の基布に比べ、硬めに感じる 【0116】〔アクリル系共重合体水分散液(A)の調
製〕 参考例1 攪拌機、還流冷却機及び温度計を備えたセパラブルフラ
スコに、脱イオン水56重量部、ノニオン系乳化剤として
ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテルを0.12
重量部仕込み、窒素フローしながら60℃に昇温した。次
にフラスコ内を同温度に保ちながら脱イオン水28重量
部、ノニオン系乳化剤としてポリエチレングリコールノ
ニルフェニルエーテルを3.88重量部、単量体(a-1)とし
て、エチルアクリレート(EA)50重量部及びブチルアク
リレート(BA)34.9重量部、単量体(a-4)として、アク
リロニトリル(AN)10重量部、単量体(a-2)として、グ
リシジルメタクリレート(GMA)5重量部、単量体(a-3)
としてアクリル酸(AA)0.1重量部を均一に混合した単
量体予備分散液、重合開始剤水溶液として、3重量%過
硫酸カリウム(KPS)10重量部、並びに3重量%メタ重
亜硫酸ナトリウム(SMBS)10重量部を3時間で連続的に
添加し、その後同温度で1時間保持した後、室温まで冷
却し、25重量%アンモニア水0.16重量部を添加して、p
H7.5、粘度80cps、固形分50.1重量%のアクリル系共重
合体の水性分散液を得た。得られたアクリル系共重合体
の計算Tgは−27℃であり、オキサゾリン反応性基に対
して反応性を有する、オキサゾリン基以外の官能基であ
るエポキシ基の含有量は、該アクリル系共重合体100gに
対して0.0352当量であった。 【0117】参考例2〜6 参考例1において、単量体(a-1)としてEA 50重量部及び
BA 34.9重量部、単量体(a-4)としてAN 10重量部、単量
体(a-2)としてGMA 5重量部、単量体(a-3)としてAA 0.1
重量部を用いる代わりに、単量体の種類及び量を表1に
示すように変え、以下参考例1と同様の重合操作を用い
ってアクリル系共重合体の水分散液を得た。得られたア
クリル共重合体の計算Tg、エポキシ基の含有量、並び
に、得られたアクリル共重合体水性分散液の粘度、pH
及び固形分を表1に示した。 【0118】 【表1】 【0119】〔水溶性もしくは水分散性高分子化合物
(B)の調製〕 参考例A 参考例1で用いたと同様のセパラブルフラスコに、脱イ
オン水80重量部を仕込み、窒素フローしながら80℃に昇
温した。次にフラスコ内を同温度に保ちながら、脱イオ
ン水37.5重量部、ノニオン系乳化剤として第一工業製薬
(株)製「ハイティノール N-17」(ポリオキシエチレン
ノニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム)を4重量
部、単量体(b-2)として、EA 30重量部及びBA 30重量
部、単量体(b-1)として、メタクリル酸(MAA)40重量
部、連鎖移動剤してn-ドデシルメルカプタン2重量部を
均一に混合した単量体予備分散液、重合開始剤水溶液と
して3重量%過硫酸アンモニウム(APS)20重量部、並
びに、3重量%メタ重亜硫酸ナトウム(SMBS)20重量部
を2時間で連続的に添加し、その後同温度で1時間保持
した後室温まで冷却、次いで25重量%アンモニア水7.5
重量部を75重量部の脱イオン水で希釈したアンモニア水
溶液を添加し、固形分約30重量%、粘度1,100cps、pH
約7、重量平均分子量16,000のアクリル系共重合体水溶
液を得た。このアクリル系共重合体中の、オキサゾリン
反応性基であるカルボキシル基の量は、該アクリル系共
重合体100g当り約0.465当量であった。 【0120】参考例B 参考例Aに用いたと同様のセパラブルフラスコに、脱イ
オン水を280重量部仕込み、窒素フローしながら80℃に
昇温した。次いでフラスコ内を同温度に保ちながら、AA
100重量部、3重量%KPS水溶液25重量部、3重量%SMB
S水溶液25重量部を2時間で連続添加し、その後同温度
で1時間保持後30℃まで冷却した。次いで6.67重量部の
脱イオン水を添加し、固形分約20重量%、粘度600cps、
pH7.5重量平均分子量13,000の重合体水溶液を得た。こ
のアクリル酸重合体中のカルボキシル基の量は、該アク
リル酸重合体100g当り約1.389当量であった。 【0121】実施例1 ポリエチレン製ビーカーに、成分(A)として参考例1で
得たアクリル系共重合体の水性分散液200重量部(固形
分約100重量部)を計量し、次いで成分(B)として参考例
Aで得たアクリル系共重合体水溶液23重量部(固形分約
6.9重量部)をディスパーで攪拌しながら添加して、均
一に混合した。次いで同じく攪拌しながら、成分(C)と
して「エポクロス WS-500」〔固形分約40重量%、固形
分100g当りのオキサゾリン基の量は約 当量;日本触媒
(株)製〕12.5重量部(固形分約5重量部)を添加、均一
混合しアクリル系樹脂水性組成物を得た。得られたアク
リル系樹脂組成物のpHは7.6、固形分濃度は46.1重量
%、粘度は3200cpsであり、成分(A)中のエポキシ基1当
量に対する、成分(B)中のカルボキシル基及び成分(C)中
のオキサゾリン基の量は、それぞれ0.912当量及び0.639
当量であった。 【0122】得られたアクリル系樹脂組成物を用いて、
前記の各種試験を行った。試験結果は表3に示す。 【0123】実施例2及び比較例1〜2 実施例1において、成分(B)として参考例Aで得たアク
リル系共重合体水溶液の使用量を変える以外は実施例1
と同様にして、アクリル系樹脂水性組成物を得た。得ら
れたアクリル系樹脂組成物のpH、固形分及び粘度、並
びに、成分(A)中のエポキシ基1当量に対する、成分(B)
中のカルボキシル基及び成分(C)中のオキサゾリン基の
量を表2に示す。また得られたアクリル系樹脂組成物を
用いて、前記の各種試験を行った。試験結果は表3に示
す。 【0124】比較例3〜4 実施例1において、成分(C)として「エポクロス WS-50
0」の使用量を変える以外は実施例1と同様にしてアク
リル系樹脂水性組成物を得た。得られたアクリル系樹脂
組成物のpH、固形分及び粘度、並びに、成分(A)中のエ
ポキシ基1当量に対する、成分(B)中のカルボキシル基
及び成分(C)中のオキサゾリン基の量を表2に示す。ま
た得られたアクリル系樹脂組成物を用いて、前記の各種
試験を行った。試験結果は表3に示す。 【0125】実施例3〜4及び比較例5 実施例1において、成分(A)として参考例1で得たアク
リル系共重合体の水性分散液を用いる代わりに、参考例
2、参考例3又は参考例5で得たアクリル系共重合体の
水性分散液を用い、成分(B)として参考例Aで得たアク
リル系共重合体水溶液の使用量を変える以外は実施例1
と同様にして、アクリル系樹脂水性組成物を得た。得ら
れたアクリル系樹脂組成物のpH、固形分及び粘度、並
びに、成分(A)中のエポキシ基1当量に対する、成分(B)
中のカルボキシル基及び成分(C)中のオキサゾリン基の
量を表2に示す。また得られたアクリル系樹脂組成物を
用いて、前記の各種試験を行った。試験結果は表3に示
す。 【0126】実施例5 実施例1において、成分(A)として参考例1で得たアク
リル系共重合体の水性分散液を用いる代わりに、参考例
4で得たアクリル系共重合体の水性分散液を用い、成分
(B)として参考例Aで得たアクリル系共重合体水溶液を2
3重量部(固形分約6.9重量部)用いる代わりに、参考例
Bで得たアクリル酸重合体水溶液を10重量部(固形分約
2重量部)用いる以外は実施例1と同様にして、アクリ
ル系樹脂水性組成物を得た。得られたアクリル系樹脂組
成物のpH、固形分及び粘度、並びに、成分(A)中のエポ
キシ基1当量に対する、成分(B)中のカルボキシル基及
び成分(C)中のオキサゾリン基の量を表2に示す。また
得られたアクリル系樹脂組成物を用いて、前記の各種試
験を行った。試験結果は表3に示す。 【0127】なお、実施例1〜4のアクリル系樹脂組成
物は、いずれも極部増粘が少なく、容易に配合できたの
に対して、成分(B)の使用量が多過ぎる比較例2は極部
増粘が激しく、均一混合化が非常に困難であった。 【0128】 【表2】 【0129】 【表3】【0130】 【発明の効果】本発明のアクリル系樹脂水性組成物は、
オキサゾリン反応性基に対して反応性を有する、オキサ
ゾリン基以外の官能基を共重合してなる水分散性のアク
リル系共重合体に対して、オキサゾリン反応性基を含有
する該アクリル系共重合体以外の水溶性もしくは水分散
性の高分子化合物、及び、オキサゾリン基を含有する水
溶性高分子化合物をそれぞれ特定量含有してなるもので
ある。 【0131】このような本発明のアクリル系樹脂水性組
成物は、例えば、天然繊維、再生繊維、合成繊維等から
なる織布、編布、不織布、フェルト、紙などの繊維品に
用いられる樹脂加工剤のバインダー、例えば不職布バイ
ンダー、捺染用バインダー、紙や織物に対するコーティ
ング剤用バインダー、カーペットバッキング剤用バイン
ダー、植毛加工用バインダーなどとして特に有用であ
り、繊維製品特有の柔軟性を損なうことなしに、耐洗濯
性、耐溶剤性、耐熱性、堅牢度の優れた繊維製品を提供
することができる。 【0132】また本発明のアクリル系樹脂水性組成物
は、木材用、金属用、スレート用、モルタル用などに用
いられる塗料、例えば、建築物の内外壁用塗料、目止め
塗料、建材用塗料、車両や産業機械塗装用塗料などとし
ても使用可能である。 【0133】次に本発明の要旨及びその好適な実施態様
を列記する。 【0134】1. 下記(A)〜(C)、(A) オキサゾリン基と
反応性を有する官能基に対して反応性を有する、オキサ
ゾリン基以外の官能基を共重合してなる水分散性のアク
リル系共重合体、(B) オキサゾリン基と反応性を有する
官能基を含有する上記(A)以外の水溶性もしくは水分散
性の高分子化合物、及び、(C) オキサゾリン基を含有す
る水溶性高分子化合物、を含んでなるアクリル系樹脂水
性組成物であって、上記成分(A)中のオキサゾリン基と
反応性を有する官能基に対して反応性を有する、オキサ
ゾリン基以外の官能基1当量に対して、成分(B)中のオ
キサゾリン基と反応性を有する官能基が0.1〜5当量、
及び、成分(C)中のオキサゾリン基が0.1〜3当量である
ことを特徴とするアクリル系樹脂水性組成物。 【0135】2. 上記成分(A)のアクリル系共重合体中
のオキサゾリン基と反応性を有する官能基に対して反応
性を有する、オキサゾリン基以外の官能基の量が該アク
リル系共重合体100g当り0.005〜0.15当量である上記1
項に記載のアクリル系樹脂水性組成物。 【0136】3. 上記成分(A)のアクリル系共重合体
が、下記単量体(a-1)〜(a-4)、(a-1) 下記一般式(1)で
示される(メタ)アクリル酸エステル単量体 30〜99重量
%、 【0137】 【化5】 【0138】(式中、R1は水素又はメチル基、R2は炭
素数1〜12のアルキル基を表わす) (a-2) 分子内にオキサゾリン基と反応性を有する官能基
に対して反応性を有する、オキサゾリン基以外の官能基
を有するα,β-エチレン性不飽和単量体 1〜20重量
%、(a-3) 分子内にカルボキシル基を有するα,β-エチ
レン性不飽和単量体 0〜5重量%、及び、(a-4) 上記
(a-1)〜(a-3)と共重合可能な該(a-1)〜(a-3)以外の単量
体 0〜69重量%、〔但し、(a-1)〜(a-4)の合計を100
重量%とする〕を乳化重合して得られるアクリル系共重
合体である前記1項又は2項に記載のアクリル系樹脂水
性組成物。 【0139】4. 上記成分(A)のアクリル系共重合体の
重量分率計算法によるガラス転移点が−50〜+50℃であ
る前記1〜3項の何れか1項に記載のアクリル系樹脂水
性組成物。 【0140】5. 上記成分(B)の高分子化合物中のオキ
サゾリン基と反応性を有する官能基の量が該高分子化合
物100g当り0.15〜1.5当量である前記1項に記載のアク
リル系樹脂水性組成物。 【0141】6. 上記成分(B)の高分子化合物の重量平
均分子量が1,000〜100,000の範囲である前記1項に記載
のアクリル系樹脂水性組成物。 【0142】7. 上記成分(C)の高分子化合物中のオキ
サゾリン基の量が、該高分子化合物100g当り0.1〜1当
量である前記1項に記載のアクリル系樹脂水性組成物。 【0143】8. 上記成分(C)の高分子化合物の重量平
均分子量が500〜10,000の範囲である前記1項に記載の
アクリル系樹脂水性組成物。 【0144】9. オキサゾリン基と反応性を有する官能
基がカルボキシル基である前記1〜3及び5項の何れか
1項に記載のアクリル系樹脂水性組成物。 【0145】10. オキサゾリン基と反応性を有する官能
基に対して反応性を有する、オキサゾリン基以外の官能
基がエポキシ基である前記1〜3項の何れか1項に記載
のアクリル系樹脂水性組成物。 【0146】11. アクリル系樹脂水性組成物が繊維加工
用に使用される前記1項に記載のアクリル系樹脂水性組
成物。 【0147】12. 繊維加工における使用が不織布用バイ
ンダーとしての使用である前記11項に記載のアクリル系
樹脂水性組成物。 【0148】13. 繊維加工における使用が捺染加工用バ
インダーとしての使用である前記11項に記載のアクリル
系樹脂水性組成物。

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】下記(A)〜(C)、 (A) オキサゾリン基と反応性を有する官能基に対して反
    応性を有する、オキサゾリン基以外の官能基を共重合し
    てなる水分散性のアクリル系共重合体、 (B) オキサゾリン基と反応性を有する官能基を含有する
    上記(A)以外の水溶性もしくは水分散性の高分子化合
    物、及び、 (C) オキサゾリン基を含有する水溶性高分子化合物、を
    含んでなるアクリル系樹脂水性組成物であって、 上記成分(A)中のオキサゾリン基と反応性を有する官能
    基に対して反応性を有する、オキサゾリン基以外の官能
    基1当量に対して、成分(B)中のオキサゾリン基と反応
    性を有する官能基が0.1〜5当量、及び、成分(C)中のオ
    キサゾリン基が0.1〜3当量であることを特徴とするア
    クリル系樹脂水性組成物。
JP06900097A 1997-03-07 1997-03-07 アクリル系樹脂水性組成物 Expired - Lifetime JP3391649B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP06900097A JP3391649B2 (ja) 1997-03-07 1997-03-07 アクリル系樹脂水性組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP06900097A JP3391649B2 (ja) 1997-03-07 1997-03-07 アクリル系樹脂水性組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH10251474A JPH10251474A (ja) 1998-09-22
JP3391649B2 true JP3391649B2 (ja) 2003-03-31

Family

ID=13389906

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP06900097A Expired - Lifetime JP3391649B2 (ja) 1997-03-07 1997-03-07 アクリル系樹脂水性組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3391649B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4143804B2 (ja) * 2002-02-05 2008-09-03 東洋紡績株式会社 機能性コーティング布及びその製造方法
JP4099727B2 (ja) * 2006-08-11 2008-06-11 大日本インキ化学工業株式会社 布帛用インクジェットインク受理性付与剤及びそれを用いて加工された布帛
JP4907442B2 (ja) * 2006-09-04 2012-03-28 株式会社日本触媒 水性樹脂組成物
EP3161028B1 (de) 2014-06-26 2018-12-12 Basf Se Copolymer enthaltend oxazolin-monomere und dessen verwendung als vernetzer
BR112018012016B1 (pt) * 2015-12-29 2022-10-04 Rohm And Haas Company Formulação aquosa curável, método para formar a formulação aquosa curável, produto, adesivo sensível à pressão e adesivo de laminação
WO2018168487A1 (ja) * 2017-03-17 2018-09-20 Dic株式会社 植毛加工用水性樹脂組成物及び植毛加工品
JP2021050336A (ja) * 2020-11-02 2021-04-01 ローム アンド ハース カンパニーRohm And Haas Company ホルムアルデヒド不含硬化性配合物

Also Published As

Publication number Publication date
JPH10251474A (ja) 1998-09-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI708818B (zh) 氟化表面效應塗層中的疏水性延伸劑
CN100451037C (zh) 使用中空球体聚合物的方法
CN106604943A (zh) 包含噁唑啉单体的共聚物及其作为交联剂的用途
HUT59730A (en) Method for treating porous substratums
US4128520A (en) Thickening butadiene-styrene latices with terpolymer emulsions
JP3391649B2 (ja) アクリル系樹脂水性組成物
US3083172A (en) Graft copolymer of an acrylic ester with poly(vinyl acetate)
US2994676A (en) Interpolymer of acrylonitrile, acrylamide, ethyl acrylate, and higher alkyl acrylate, and aqueous dispersions thereof
KR20030096096A (ko) 중합체 나노입자 배합물 및 직물 케어 첨가제로서의 용도
KR20100136563A (ko) 종이 코팅 조성물
CN101665556B (zh) 具有改善的可压花性的皮革涂料组合物
JP2559427B2 (ja) アクリレート繊維間結合剤を含む不織布並びに該不織布の製造法
JP2019172842A (ja) 捺染用樹脂組成物及び印捺物
US3647735A (en) Pigmented finishes for fibrous articles
JPWO2004085553A1 (ja) 染着剤組成物及びコーティング剤組成物
JP2864147B2 (ja) 乳化重合法
JP5211425B2 (ja) 繊維素繊維加工用水性樹脂分散体の製造方法
JP3807069B2 (ja) 水性架橋型樹脂組成物
CN113195565B (zh) 用于纺织品的与氨基酸交联剂可交联的水性聚合物分散体
JP3035944B2 (ja) 遅燃性合成樹脂組成物およびそれをコーティングしてなる繊維
JPH0717847B2 (ja) 撥水性樹脂水性組成物
JP2022153120A (ja) 捺染用水性分散液
US4321181A (en) Thickened butadiene-styrene latices
Yilmaz et al. Synthesis and application of a low emulsifier content composite polyacrylic latex for leather finishing
TW202407061A (zh) 無甲醛水性顏料組成物及用其製備的塗佈物品

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090124

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100124

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100124

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110124

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120124

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130124

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130124

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140124

Year of fee payment: 11

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term