JP3391259B2 - 燐を含む焼却灰の改質方法 - Google Patents

燐を含む焼却灰の改質方法

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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B09DISPOSAL OF SOLID WASTE; RECLAMATION OF CONTAMINATED SOIL
    • B09BDISPOSAL OF SOLID WASTE NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B09B3/00Destroying solid waste or transforming solid waste into something useful or harmless
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F23COMBUSTION APPARATUS; COMBUSTION PROCESSES
    • F23GCREMATION FURNACES; CONSUMING WASTE PRODUCTS BY COMBUSTION
    • F23G2209/00Specific waste
    • F23G2209/30Solid combustion residues, e.g. bottom or flyash

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Environmental & Geological Engineering (AREA)
  • Processing Of Solid Wastes (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、下水汚泥のような
燐を含む廃棄物の焼却灰から燐を除去し、焼却灰を改質
する方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】下水
処理場で発生する下水汚泥は、脱水され、次いで焼却さ
れ、さらに添加物が加えられて造粒された後、その殆ど
が埋め立て処分されている。しかし、年々、最終処分場
の確保が困難になり、その不足が深刻化するに従って、
焼却灰の有効利用が要望されるようになってきた。この
ような状況において、下水汚泥の焼却灰がセメント原料
として使用可能な成分組成であることに着目され、一部
のものがセメント原料として使用されている。そして、
今後、汚泥焼却灰がセメント原料として問題なく使用で
きるものと判断されるようになれば、セメントの生産量
が極めて大量であることから、多量の汚泥焼却灰が有効
利用されるようになるものとして期待されている。
【0003】しかし、下水汚泥には燐が含まれていて、
その焼却灰には、下水汚泥中の燐が濃縮された状態で残
留していると言う問題があり、この燐の存在が下水汚泥
の焼却灰をセメント原料として使用する場合の大きな障
害になっている。燐はセメントの凝結を遅延させる成分
であり、所定量以上の燐を含有するものはセメント原料
として不適なものである。このため、セメント原料とし
て使用される汚泥焼却灰は、ごく一部ものに限られてい
る。
【0004】表1は通常の汚泥焼却灰の一般的な組成を
示すものである。この表のように、下水汚泥焼却灰の燐
の含有率は汚泥を濃縮処理する際に添加する凝集剤の種
類によって異なり、石灰を添加したもの(石灰系汚泥焼
却灰)よりも高分子凝集剤を添加したもの(高分子系汚
泥焼却灰)の方が多量の燐(P2 5 )を含有してい
る。又、高分子系汚泥焼却灰の中でも、下水を脱燐処理
した際に発生した汚泥の焼却灰には、表2に示すよう
に、さらに多量の燐が含まれている。このため、上記の
ような各種の焼却灰のうち、セメント原料として有効利
用される焼却灰は燐の含有率が低いものだけに限定され
ている。許容される燐(P2 5 )の含有率は10%程
度であるとされている。
【0005】
【表1】
【0006】
【表2】
【0007】ところで、下水汚泥の発生量の推移をみる
と、その量は下水道の普及とともに年々増加している。
又、閉鎖水域などにおいては、排水中に含まれる燐など
によって富栄養化の問題が引き起こされており、これに
対処した排水規制はさらに強化されるものと予想され
る。このため、今後の下水処理においては、脱燐処理を
する割合が一層増加するものと思われる。又、汚泥を濃
縮処理する際の添加剤としては、汚泥発生量が少ない高
分子凝集剤を使用する趨勢になっている。従って、今後
の下水処理においては、汚泥発生量が増加するととも
に、ますます燐の含有率が高いものが排出されるように
なり、セメント原料に供することができない焼却灰が多
量に排出されることになる。
【0008】本発明は、燐を含む焼却灰から燐を除去
し、セメント原料として使用可能なものに改質すること
ができる方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明においては、燐を含む焼却灰に炭素源を混
合し、この混合物を密閉型加熱炉へ装入して前記焼却灰
を溶融させることなく加熱し、焼却灰中の燐を元素燐の
形態にして揮散させる。
【0010】上記の発明において、密閉型加熱炉として
は、キルン炉を用いることが好ましい。
【0011】本発明者らは、複雑な処理工程を経ること
なく、焼却灰中の燐を除去する方法について検討を重
ね、種々の実験を行った。この結果、焼却灰に炭素源を
加えて加熱するだけで、焼却灰中の燐化合物が還元さ
れ、燐が揮散することを見出した。図2はその実験結果
の一例を示す図であり、加熱温度と処理後の焼却灰中の
燐(P2 5 )の含有率との関係を示したものである。
この実験においては、表3に示す組成の焼却灰に炭素源
として黒鉛の粉末を混合し、加熱炉に入れて加熱した。
この際に使用した加熱炉は管状電気炉であったが、密閉
型加熱炉を使用した場合と同様に、炉内が酸化雰囲気に
ならないように、窒素ガスを流通させながら加熱した。
加熱は30分間行なった。加熱温度は700℃〜125
0℃の間で種々変えた。そして、電気炉から取り出した
処理灰中のP2 5を分析した。
【0012】
【表3】
【0013】図2によれば、約900℃以上に加熱する
と、燐の揮散が始まり、1000℃に加熱すると、処理
灰中の燐(P2 5 )は約1/3が揮散する。このた
め、P 2 5含有率が表3に示す値よりも低い焼却灰で
あれば、1000℃に加熱することによって、処理灰中
に残留するP2 5は10%以下になり、セメント原料
として使用されている焼却灰のP2 5含有率と同程度
の値になる。
【0014】なお、加熱温度が高くなるにしたがって、
2 5 の除去率は上昇するが、1100℃を超える
と、焼却灰の一部が溶融し始め、1250℃を超える温
度領域まで加熱すると、比較的多量の焼却灰が溶融して
加熱炉の炉壁に付着するようになるので、加熱温度の上
限は1250℃程度にする必要がある。そして、P2
5 の揮散率を更に上げ、かつ溶融物の付着が起らない安
定的な操業を実施しようとする場合には、加熱温度は1
100℃〜1200℃程度の範囲にすることが望まし
い。
【0015】焼却灰を加熱する炉は、外気の流入が遮ら
れて炉内が酸化雰囲気にならず、炉内温度を1000〜
1250℃に保持することができるものであれば、バッ
チ式のものでも、連続式のものでもよい。連続式の加熱
炉としては、例えば、外熱式のキルン炉を使用すること
ができる。
【0016】焼却灰に混合する炭素源としては、コーク
ス、黒鉛、使用済みの活性炭(廃活性炭)などのような
炭素を主成分とする物質の粉末が使用される。又、この
他に、下水汚泥などのような有機物を含んでいるもの、
あるいは造粒助剤などとして使用されるポリビニールア
ルコールのような有機物も、炭素源として使用すること
ができる。上記の有機物類は、加熱炉で炭化された後に
還元剤として作用する。
【0017】なお、焼却灰、例えば、下水汚泥の焼却灰
は、表1及び表2に示すように、その組成が汚泥の処理
方法によって非常に異なり、さらに発生地域によっても
異なるので、焼却灰の加熱還元処理に際しては、必要に
応じて成分調整をする必要がある。焼却灰中の燐は燐酸
カルシウムや燐酸アルミニウムなどの化合物として存在
しているものとされているが、これらの化合物は炭素源
の存在下で加熱されると、(1)式及び(2)式の反応
が進行するものと考えられる。
【0018】 2Ca3(PO4)2+6SiO2+10C =6CaO・SiO2+10CO+P4 ・・・(1) 4AlPO4+10C=2Al23+10CO+P4 ・・・・(2) しかし、燐酸カルシウムは、(1)式に示すように、S
iO2の共存下でなければ、炭素源を加えただけでは還
元されないので、下水汚泥のうち、消石灰と塩化第二鉄
を添加して濃縮処理を行なった石灰系汚泥焼却灰のよう
な、CaOを多量に含有する焼却灰を処理する場合に
は、SiO2源を添加して成分調整をする必要がある。
SiO2源としては、ケイ石、石炭灰などのようなSi
2を多量に含む物質が使用され、焼却灰に添加され
る。
【0019】上記の反応によって元素燐が揮散し、排ガ
ス中に含まれて排出されるので、排ガスの浄化処理を行
なう。排ガス中の燐を除去する方法としては、燐を元素
燐のままの状態で捕集する方法と、元素燐を燐酸の形態
に変換して捕集する方法とがある。
【0020】排ガス中の燐を元素燐のままで捕集する場
合には、排ガスを水と接触させて冷却する。冷却された
元素燐は凝縮し、溶融状態の黄燐として捕集される。
【0021】又、元素燐を燐酸の形態にして捕集する場
合には、排ガスに空気を混合し、(3)式の反応によっ
て、排ガス中の元素燐を酸化して五酸化燐を生成させ
る。次いで、五酸化燐を含む排ガスを水と接触させ、
(4)式の反応によって、燐酸を生成させて水に吸収さ
せる。
【0022】 P4+5O2=2P25 ・・・(3) P25+3H2O=2H3PO4 ・・・(4)
【0023】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施の形態に係る
一例の説明図である。この実施の形態においては、下水
汚泥のような燐を含む焼却灰にコークス、黒鉛、廃活性
炭などの炭素源の粉末を混合し、この混合物を造粒した
後、炉内が酸化雰囲気にならないように保持される密閉
型加熱炉、例えば、外熱式キルン炉へ装入して1000
℃〜1250℃に加熱する。この加熱によって、焼却灰
中の燐化合物が還元されて元素燐が生成し、この元素燐
は燐の蒸気になって揮散する。そして、加熱炉から燐が
除去された焼却灰(処理灰)が排出される。この処理灰
は燐含有率が大幅に低下しており、セメント原料に供す
ることができるように改質されている。
【0024】一方、揮散した元素燐の蒸気は排ガス中に
含まれて加熱炉から抜き出される。元素燐の蒸気を含ん
だ排ガスは、燐を除去する排ガス処理工程へ送られる。
前述のように、排ガス中の燐を除去する方法としては、
下記の2方法がある。
【0025】まず、燐を元素燐のままの状態で捕集して
除去する場合には、加熱炉から抜き出された排ガスは、
燐の蒸気が凝縮しないように、300℃以上の温度に維
持されながら除塵器へ送られ、ダストが除去される。ダ
ストが除去された排ガスは凝縮器へ送られ、水がスプレ
ーされて冷却される。このガス冷却によって、排ガス中
に含まれている元素燐の蒸気は凝縮して捕集される。凝
縮した元素燐は、温水中では溶融状態であり、水と層分
離するので、これを抜き出せば、燐を回収することがで
きる。燐の蒸気が取り除かれた処理ガスは、COなどの
可燃性ガスを含んでいるので、燐のミストなどを除去す
る浄化処理がなされた後、燃料ガスとして使用される。
【0026】又、排ガス中の元素燐を燐酸の形態で捕集
して除去する場合には、加熱炉から抜き出された排ガス
は除塵処理された後、燃焼室へ送られる。燃焼室におい
ては、空気が導入され、排ガス中のCOガスを燃焼させ
る処理が行われると同時に、(3)式の反応によって元
素燐の蒸気が酸化され五酸化燐になる。この際、(3)
式の反応熱は非常に大きいので、元素燐が多量に含まれ
る排ガスを処理する場合には、排ガスを冷却しながら酸
化処理する必要がある。次いで、五酸化燐を含む排ガス
は吸収塔へ導入される。吸収塔では、水がスプレーさ
れ、五酸化燐が水に吸収されて捕集される。五酸化燐が
水に吸収された際には、(4)式の反応によって燐酸が
生成する。この燐酸を含む吸収液を取り出せば、燐の有
効利用を図ることもできる。そして、燐が取り除かれた
排ガスは、燐酸のミストなどを除去する浄化処理がなさ
れ後、大気放散される。
【0027】(実施例1)表4に示す組成の下水汚泥焼
却灰100gに黒鉛粉末10gを混合し、1150℃に
保持された管状電気炉(加熱炉)へ装入し、少量の窒素
ガスを流通させ、窒素気流中で加熱した。上記の条件で
30分間加熱した後、処理灰を取り出して分析をした。
この結果は表4に示す。
【0028】表4の記載を基に、加熱処理の前後におけ
る焼却灰の燐含有率を比較すると、処理前の焼却灰の燐
含有率(P25)が15.8%であったのに対し、処理
灰の燐含有率は4.42%に低下しており、燐の低減率
は約71%であった。そして、この処理灰は、燐含有率
がセメント原料として使用できる限度とされている値、
10%を十分に下回っているものであった。
【0029】一方、炉から排出された排ガスはシーズヒ
ーターが巻かれて加熱・保温施工された導管を経由さ
せ、加熱空気を混合してガス中の元素燐を酸化させて五
酸化燐にした後、吸収びんを通して吸収させた。
【0030】(実施例2)表4に示す組成の下水汚泥焼
却灰100kgに0.2mm以下の大きさに粉砕された
コークス粉10kgを混合し、これにポリビニールアル
コールの20%液10リットルを加えて造粒し、10mm
程度の大きさの粒状物にした。そして、この粒状物を乾
燥した後、炉内温度が1150℃に保持された外熱式キ
ルン炉(密閉型加熱炉)へ20kg/時の割合で装入し
た。キルン炉から排出された処理灰は,部分的に溶融し
ており、粒状物が焼結した状態になっていた。排出され
る処理灰を1時間毎に採取し、その組成を分析した。こ
の処理灰の組成については、その平均値を表4に示す。
表4の記載を基に、加熱処理の前後における焼却灰の燐
含有率を比較すると、処理前の焼却灰の燐含有率(P2
5)が15.8%であったのに対し、処理灰の燐含有
率は4.8%に低下しており、燐の低減率は70%であ
った。この処理灰は、燐含有率がセメント原料として使
用できる限度とされている値、10%を十分に下回って
いるものであった。
【0031】キルン炉から排出された排ガスは燃焼室へ
導入して燃焼させた後、スプレー塔へ送り、排ガス中の
燐分を吸収させた。
【0032】
【表4】
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、燐を含む焼却灰に炭素
源を混合し、この混合物を密閉型加熱炉へ装入して加熱
するだけで、焼却灰中の燐を元素燐の形態にして揮散さ
せることができる。このため、焼却灰中の燐が容易に除
去され、焼却灰をセメント原料として使用可能なものに
改質することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る一例の説明図であ
る。
【図2】加熱温度と処理灰の燐含有率との関係を示す図
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 品川 拓也 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 平9−145038(JP,A) 特開 平10−279301(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B09B 3/00 - 5/00 F23G 7/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燐を含む焼却灰に炭素源を混合し、この
    混合物を密閉型加熱炉へ装入して前記焼却灰を溶融させ
    ることなく加熱し、焼却灰中の燐を元素燐の形態にして
    揮散させることを特徴とする燐を含む焼却灰の改質方
    法。
  2. 【請求項2】 密閉型加熱炉がキルン炉であることを特
    徴とする請求項1に記載の燐を含む焼却灰の改質方法。
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