JP3390614B2 - 液状化防止用地盤改良材 - Google Patents

液状化防止用地盤改良材

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JP3390614B2 JP28796496A JP28796496A JP3390614B2 JP 3390614 B2 JP3390614 B2 JP 3390614B2 JP 28796496 A JP28796496 A JP 28796496A JP 28796496 A JP28796496 A JP 28796496A JP 3390614 B2 JP3390614 B2 JP 3390614B2
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昌則 徳田
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  • Processing Of Solid Wastes (AREA)
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液状化防止用地盤
改良材に関するものであり、特に、都市ごみ等の焼却灰
を溶融して得られたスラグを利用する液状化防止用地盤
改良材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、地下水位が高く緩い砂質土地
盤を締め固めるために、生石灰、砂、砕石、石膏、水滓
等の反応による吸水と膨張、圧縮による硬化作用によっ
て、地盤を改良する、所謂生石灰杭工法が知られてい
る。しかしながら、この工法は地下水の豊富な透水性の
砂質土地盤の場合は、生石灰の水和反応が瞬間的に起こ
り、杭周辺地盤を圧縮する残余の圧力が小さく、充分な
締め固めができない。その理由は、生石灰が石灰石を比
較的低温で焼成して得られる軽焼生石灰であって、かつ
粒径が小さいものを用いるからである。
【0003】そこで本発明者等は、硬焼生石灰を使用す
る方法を開発した(特開平4−83012号公報)。
ち、石灰石を1200〜1500℃の高温で焼成した硬
焼生石灰であって、比較的粗い粒子のものを用いると、
含水状態の砂と混合した際に、その生石灰の水和速度が
遅く、10〜15分間は生石灰のまま存在する。従っ
て、混合材料が地中に杭状に押し込まれた後に徐々に水
和反応が起こるので、生石灰が消石灰に変化することに
よる膨張、締固めの作用が有効に働くのである。
【0004】つまり、生石灰は地中で消石灰となり、地
盤中の砂粒子間によく充填され、砂に付着している粘土
の表面の負電荷がカルシウムイオンによって置換され、
粘土粒子の凝集がおこるので地盤改良の効果を奏するこ
とができ、地下水位の高い緩い砂質土地盤で有効な方法
となるのである。さらに、特開平4−83012号公報
に記載されている方法では、高炉水滓や石膏を併用する
ことにより、消石灰の活力によりポゾラン反応がおこ
り、水硬性化合物が生成し、地盤の硬化と改質ができる
のである。
【0005】一方、都市ごみ等は、廃棄物としてその処
分に問題があるが、従来は、焼却灰を利用してブロック
を製造したり、道路用、肥料等の用途に使用されている
が、環境汚染の問題があるために、僅かしか使用され
ず、大部分は埋め立てや投棄処分されているのが現状で
ある。そして近時は、埋め立て地の確保が困難になって
いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、液状化
防止用地盤改良材に関する種々の問題を考究すると共
に、都市ごみ等の焼却灰の利用や処分に関する問題を検
討した。そして、杭状に打設して地盤を改良する場合の
材料として用いる砂、砕石等の透水性材料や、水滓のよ
うな硬化材の代替材料の開発が求められ、かつ都市ごみ
等の廃棄物の再利用が重要な課題であることに着目し
た。
【0007】即ち、本発明は、上記の課題に鑑みてなさ
れたものであり、都市ごみ等の廃棄物の再利用を図り、
液状化防止用の地盤改良材として用いる砂、砕石等の透
水性材料や水滓の代替材料を提供せんとするものであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の課
題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、都市ごみの
焼却灰を溶融して得られたスラグが、液状化防止用の地
盤改良材として用いる砂、砕石等の透水性材料や水滓の
代替材料として利用可能なことを見出した。
【0009】本発明は、上記の知見に基づくものであっ
て、その課題を達成する具体的な手段として、(1)都
市ごみの焼却灰を溶融した溶融スラグを急冷または徐冷
したものを粉砕して、粒径2.5mm以上のものを含ん
だ粒径2.5mm以下を主体とした有姿のスラグと、硬
焼生石灰と、セメントとを含有し、地盤中に打設された
管に入れて杭状に打設することを特徴とする液状化防止
用地盤改良材としたものである。
【0010】また本発明は、(2)都市ごみの焼却灰を
溶融した溶融スラグを急冷または徐冷したものを粉砕し
て、粒径2.5mm以上のものを含んだ粒径2.5mm
以下を主体とした有姿のスラグと、硬焼生石灰と、セメ
ントと、透水性材料とを含有し、地盤中に打設された管
に入れて杭状に打設する液状化防止用地盤改良材、
(3)都市ごみの焼却灰を溶融した溶融スラグを急冷ま
たは徐冷したものを粉砕して、粒径2.5mm以上のも
のを含んだ粒径2.5mm以下を主体とした有姿のスラ
グと、硬焼生石灰と、石膏と、透水性材料とを含有し、
地盤中に打設された管に入れて杭状に打設する液状化防
止用地盤改良材としても前記の課題を達成することがで
きる。
【0011】本発明に係る地盤改良材は、特に、地下水
位の高い緩い砂質土地盤で液状化の危険性が高い場合や
支持力不足な地盤の改良に有効な地盤改良材である。そ
の使用に当たっては、地盤中に杭状に打設して用いるこ
とが好ましい。
【0012】本発明において使用する都市ごみの焼却灰
を溶融して得られたスラグは、都市ごみの焼却灰を、竪
型炉又は電気炉等により溶融し、この溶融スラグを水に
より急冷するか、空気により徐冷して得られるスラグ
(以下「灰スラグ」という)である。実際に使用する灰
スラグの粒径は、2.5mm以下に調整したものが望ま
しが、混合材料としての経済性を考慮すれば、2.5m
m以上のものが多少含まれている有姿の状態の灰スラグ
を使用しても問題がない。有姿のものを使用した場合
は、予め杭状に打ち込まれたケーシング内の材料が抜け
易くなるという利点がある。なお、都市ごみの焼却灰
は、溶融することにより、その嵩が10分の1程度に減
少するので、廃棄物の利用と処分の両面において好都合
である。
【0013】次に、本発明で使用する硬焼生石灰は、粒
径が20〜40mm程度の石灰石原石を、石灰焼成炉を
用いて、約1200〜1500℃で焼成して得られるも
のであって、その粒径は2mm以上、好ましくは5mm
以上のものである。この硬焼生石灰は、含水状態の地盤
中の砂と接触する時、日本石灰協会参考試験方法の活性
度試験により判定すると、その生石灰の水和速度が遅
く、10〜15分間は生石灰のまま存在する。従って、
混合材料が地中に杭状に押し込まれた後に徐々に水和反
応が起こるので、生石灰が消石灰に変化することによる
膨張、締固めの作用が有効に働くのである。
【0014】さらに、本発明において使用するセメント
としては、高炉スラグと石膏との混合物、高炉スラグを
60〜70%含む高炉セメントC種や高炉スラグ80〜
85%、石膏10〜15%、ポルトランドセメント3〜
5%を含む高硫酸塩スラグセメントが好ましい。尚、石
膏を併用すれば、上記のセメントを混合する必要がな
い。即ち、硬焼生石灰の水和反応により生じる消石灰の
活力により、前記の灰スラグ等とのポゾラン反応がおこ
り、水硬性化合物が生成し、地盤を硬化させることがで
きるからである。また、本発明における透水性材料とし
ては、山砂、川砂、砕石等の材料を、必要に応じて適宜
使用する。
【0015】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を実施
例により説明する。本発明に係る地盤改良材について、
種々の配合からなるものを調製し、その配合からなる材
料で硬焼生石灰杭工法に使用するパイルを作成し、強度
等を測定して、適否を判定した。
【0016】上記の測定に供した地盤改良材の配合例
(配合割合は重量%)を表1に示す。使用した配合材料
の灰スラグは、都市ごみの焼却灰を溶融し、急冷および
徐冷によって得られたスラグであって、0.1〜2.5m
mに調整したもの、硬焼生石灰は、日本石灰協会法に基
づく試験法で塩酸滴定値100cc(10分値)のもの
で、粒径2〜10mmのもの、セメントは高炉スラグ粉
に石膏を3.4%添加したものを使用し、石膏としては
排煙脱硫石膏で粒径が0.01〜0.3mmのもの、透水
性材料としては川砂を使用した。
【0017】
【表1】
【0018】上記の1〜6の各配合例からなる材料で、
緩い飽和砂質土地盤での硬焼生石灰杭工法に使用するパ
イルを作成し、60日養生後のパイルの強度等を測定し
て、適否の判定をした結果を表2に示す。
【0019】強度等の測定に供したパイルの作成は次の
ようにした。図1の(1)乃至(6)は、パイルの作成
手順を示す工程図である。先ず、図1(1)に示すよう
に、内径31cm、高さ32cmの円筒状の容器1内の
中心に、内径9cmの管2を設置し、上記の容器内に砂
質土3を充填する。
【0020】次に、図1(2)に示すように、上記の砂
質土3に水4を加えて飽和砂質土3aを形成する。その
後、図1の(3)に示すように管2内に既述の表1に示
されている各配合材料5を導入し、(4)に示すように
管2を抜き取り、飽和砂質土中に配合材料からなるパイ
ル5aが打設された状態とする。
【0021】次に、図1の(5)に示すように、飽和砂
質土3aとパイル5aの上に鉄板6を載置し、この鉄板
の上に20kgの錘7を載せて、60日間放置した後、
図1(6)に示すように、飽和砂質土3aを取り除き、
パイル5aを取り出して強度等の測定に供する。
【0022】尚、上記の1〜4と6の各配合例からなる
材料によるパイルの作成における水4の供給は上記の通
り当初のみであるが、配合例5の場合には砂質土3が6
0日間に亘り常に水で飽和した状態を保つように水の供
給を続けた。
【0023】
【表2】
【0024】表2に示されている結果から明らかなよう
に、相応の膨張率と強度とを有する硬化パイルが形成さ
たので、前記の配合例1〜6による材料は、硬焼生石
灰杭工法における液状化防止用地盤改良材として用いら
れてきた砂、砕石等の透水性材料や、硬化材としての水
滓の代替材料として使用することが可能である。配合例
1〜4及び6と配合例5との場合における強度の差異
、水による砂質土の飽和を当初のみに留めるか或いは
常に飽和状態に保つかの違いにより生じたものである。
即ち、配合例5の場合は、60日間に亘り砂質土が常に
水で飽和した状態であるが、このような場合でも膨張率
の高い硬化パイルを形成することが でき、この膨張によ
り該パイル周囲における砂質土 (地盤) の水平土圧及び
密度を増加させ、締め固めることができる。
【0025】次に、前記の各配合例による配合材料によ
り形成された膨張硬化パイルからの各種有害成分の溶出
量を測定し、埋め立て処分の場合の基準値と比較した結
果は下記の通りであり、何れの成分に関しても基準値以
下であり、地盤の液状化防止対策に利用しても安全であ
ることが確認された。 成 分 総水銀 6価クロム 鉛 シアン カドミウム 砒素 基準値 0.005以下 1.5以下 3以下 1以下 0.03以下 1.5以下 配合例 検出されず 0.07以下 0.02以下 0.05以下 0.01以下 0.01以下 (注)各溶出量数値の単位はmg/lである
【0026】
【発明の効果】本発明は、地下水位の高い緩い砂質土地
盤で液状化の危険性が高い場合や支持力不足の場合に使
用する地盤改良材に関するものであり、特に、都市ごみ
等の焼却灰を溶融して得られたスラグを成分の1つとし
ており、地盤の改良と都市ごみの最終処分とを同時に行
うことができる。本発明による地盤改良材が膨張硬化し
た場合に、該硬化物から溶出する可能性のある有害成分
も廃棄物の埋め立て処分に関する基準値以下なので使用
安全性も高い。また液状化防止用地盤改良材に、都市ご
みの焼却灰を溶融した溶融スラグを急冷または徐冷した
ものを粉砕して、粒径2.5mm以上のものを含んだ粒
径2.5mm以下を主体とした有姿のスラグを含有させ
たことにより、予め杭状に打ち込まれたケーシング内の
材料が抜け易くなるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1の(1)乃至(6)は、強度等の測定に供
したパイルの作成手順を示す工程図である。
【符号の説明】
1 容器 2 管 3 砂質土 3a 飽和砂質土 4 水 5 配合材料 5a 膨張硬化パイル 6 鉄板 7
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // C09K 103:00 B09B 3/00 303L (72)発明者 花田 光雄 神奈川県鎌倉市梶原2−5−7 (72)発明者 光成 高志 東京都中央区京橋1−7−1 戸田建設 株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−238908(JP,A) 特開 平4−83012(JP,A) 特開 平8−259285(JP,A) 特開 昭56−115401(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09K 17/00 - 17/52 B09B 3/00 E02D 1/00 - 3/115 E02D 3/12

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 都市ごみの焼却灰を溶融した溶融スラグ
    を急冷または徐冷したものを粉砕して、粒径2.5mm
    以上のものを含んだ粒径2.5mm以下を主体とした有
    姿のスラグと、硬焼生石灰と、セメントとを含有し、地
    盤中に打設された管に入れて杭状に打設することを特徴
    とする液状化防止用地盤改良材。
  2. 【請求項2】 都市ごみの焼却灰を溶融した溶融スラグ
    を急冷または徐冷したものを粉砕して、粒径2.5mm
    以上のものを含んだ粒径2.5mm以下を主体とした有
    姿のスラグと、硬焼生石灰と、セメントと、透水性材料
    とを含有し、地盤中に打設された管に入れて杭状に打設
    することを特徴とする液状化防止用地盤改良材。
  3. 【請求項3】 都市ごみの焼却灰を溶融した溶融スラグ
    を急冷または徐冷したものを粉砕して、粒径2.5mm
    以上のものを含んだ粒径2.5mm以下を主体とした有
    姿のスラグと、硬焼生石灰と、石膏と、透水性材料とを
    含有し、地盤中に打設された管に入れて杭状に打設する
    ことを特徴とする液状化防止用地盤改良材。
  4. 【請求項4】 スラグと、硬焼生石灰と、セメントとの
    割合が重量比で65:25:10であることを特徴とす
    る請求項1に記載の液状化防止用地盤改良材。
  5. 【請求項5】 スラグと、硬焼生石灰と、セメントと、
    透水性材料との割合が重量比で25〜30:25:20
    〜1030〜35であることを特徴とする請求項2に
    記載の液状化防止用地盤改良材。
  6. 【請求項6】 スラグと、硬焼生石灰と、石膏と、透水
    性材料との割合が重量比で10:25:3:62である
    ことを特徴とする請求項3に記載の液状化防止用地盤改
    良材。
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JP5047745B2 (ja) * 2007-09-27 2012-10-10 美建マテリアル株式会社 地盤改良材
JP2010084473A (ja) * 2008-10-01 2010-04-15 Asahi Kasei Construction Materials Co Ltd 柱体の成形工法

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