JP2010084473A - 柱体の成形工法 - Google Patents
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Abstract
【課題】柱体の高い強度を確保しつつ、地盤の違いによる柱体の強度のばらつきを低減する。
【解決手段】地盤中に柱体を成形する工法であって、外側に螺旋状の搬送スクリュ2を備え、内側に液体供給路3を備えたスパイラルロッド1を、搬送スクリュ2の搬送方向がスパイラルロッド1の圧入方向と一致するように回転させながら地盤5中に圧入すると共に、水硬性材料を含むバラ荷4を搬送スクリュ2により前記圧入方向に搬送して地盤5中に供給する圧入工程と、その後、スパイラルロッド1を前記圧入工程時と同じ方向に回転させながら引き上げる引き上げ工程と、を有する。前記圧入工程及び引き上げ工程の少なくとも一方において、液体供給路3により少なくとも水8を地盤5中に供給し、バラ荷4を硬化させて柱体9を成形する。水8の供給量は、注水率W/C(Wは水重量、Cは水硬性材料重量)が20%〜45%になるように設定されている。
【選択図】図1
【解決手段】地盤中に柱体を成形する工法であって、外側に螺旋状の搬送スクリュ2を備え、内側に液体供給路3を備えたスパイラルロッド1を、搬送スクリュ2の搬送方向がスパイラルロッド1の圧入方向と一致するように回転させながら地盤5中に圧入すると共に、水硬性材料を含むバラ荷4を搬送スクリュ2により前記圧入方向に搬送して地盤5中に供給する圧入工程と、その後、スパイラルロッド1を前記圧入工程時と同じ方向に回転させながら引き上げる引き上げ工程と、を有する。前記圧入工程及び引き上げ工程の少なくとも一方において、液体供給路3により少なくとも水8を地盤5中に供給し、バラ荷4を硬化させて柱体9を成形する。水8の供給量は、注水率W/C(Wは水重量、Cは水硬性材料重量)が20%〜45%になるように設定されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、緩い砂地盤や異なる地層が積層した多層地盤といった不安定な地盤において、地盤中に硬質の柱体を成形して該地盤の強化を図る柱体の成形工法に関する。
緩い砂地盤や粘性土からなる地盤、異なる地層が何層も積層した多層地盤は、地震や水害発生時に崩れて該地盤上に建てられた建築物や道路などの構造物の損傷を招いたり、周辺に影響を及ぼす恐れがある。
そこで、地盤中に硬質の柱体を構築して地盤を強化する手段が講じられている。このような柱体の構築方法としては、例えば特許文献1 に、搬送スクリュを付設したプランジャを地盤中に圧入することによって柱状の中空室を形成し、且つ、該プランジャを回転させることにより搬送スクリュによって水硬性のバラ荷を該中空室に充填し、周囲の地盤から中空室に侵入する水分によって該バラ荷を硬化させる方法が開示されている。
しかしながら、この工法では、地盤中に含まれる水分量が不十分である場合には柱状に充填されたバラ荷の中心部にまで充分に水分が到達せず、削孔の側壁近傍のバラ荷のみが硬化して、構築される柱体の強度が不十分となってしまう。また、地盤中の水分量が充分であっても、径の大きな柱体ではやはり中心部まで充分な水分が到達しにくく、強度が不十分になるという問題がある。
そこで、内側に液体供給路を有するスパイラルロッドを用い、当該スパイラルロットの圧入工程時或いは引き上げ工程時に、液体供給路により水を地盤中に供給し、バラ荷を硬化させて柱体を構築することが提案されている(特許文献2)。これによれば、スパイラルロッド内の液体供給路より地盤中に水が強制的に供給されるので、バラ荷全体の硬化が適正に行われる。
ところで、戸建て住宅など小規模建築物においては、構造物の規模が小さいことから構造物の基礎の設計に係わる地盤調査が十分に実施されない傾向にあり、地盤種の判定や、地盤中に含まれる水の量が不明瞭であることが多い。
以上のような理由により、上記工法を用いる場合、結果としてバラ荷中の水硬性材料の量に対し水の量が多くなりすぎて柱体の強度が低下することを懸念して、一般的には地盤から供給される水の量を多めに想定して、水の供給量を、注水率W/C(Wは水重量、Cは水硬性材料重量)が10%程度になるように比較的少なく設定している。
以上のような理由により、上記工法を用いる場合、結果としてバラ荷中の水硬性材料の量に対し水の量が多くなりすぎて柱体の強度が低下することを懸念して、一般的には地盤から供給される水の量を多めに想定して、水の供給量を、注水率W/C(Wは水重量、Cは水硬性材料重量)が10%程度になるように比較的少なく設定している。
しかしながら、実際に上記工法を用いて柱体を成形した場合、柱体の平均強度は確保できていても、地盤の土壌の状態等により柱体の強度の下ぶれが大きくなることがある。したがって、例えば設計時に柱体強度を過小評価せざるを得ず、経済設計をさまたげる要因となっていた。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、柱体の高い強度を確保しつつ、地盤の違いによる柱体の強度のばらつきを低減することをその目的とする。
上記目的を達成するための本発明は、地盤中に柱体を成形する工法であって、外側に螺旋状の搬送スクリュを備え、内側に液体供給路を備えたスパイラルロッドを、前記搬送スクリュの搬送方向が前記スパイラルロッドの圧入方向と一致するように回転させながら地盤中に圧入すると共に、水硬性材料を含むバラ荷を前記搬送スクリュにより前記圧入方向に搬送して地盤中に供給する圧入工程と、その後、前記スパイラルロッドを前記圧入工程時と同じ方向に回転させながら引き上げる引き上げ工程と、を有し、前記圧入工程及び引き上げ工程の少なくとも一方において、前記液体供給路により少なくとも水を地盤中に供給し、前記バラ荷を硬化させて柱体を成形し、前記水の供給量は、注水率W/C(Wは水重量、Cは水硬性材料重量)が20%〜45%になるように設定されていることを特徴とする。
本発明によれば、水の供給量を従来より多い所定の範囲の注水率W/Cに設定することにより、柱体の高い強度を確保しつつ、地盤の違いによる柱体の強度のばらつきを低減できる。
上記柱体の成形工法において、前記水の供給は、前記スパイラルロッドの引き上げ工程時にのみ行うようにしてもよい。かかる場合、柱体の中核部分を形成する引き上げ工程時に十分な水を供給できるので、柱体の中核部分の強度を十分に確保できる。また、柱体の外殻部分も地盤内に含まれる水により適正に硬化し十分な強度を確保できる。
また、前記スパイラルロッドの引き上げ工程において、前記バラ荷を前記搬送スクリュにより前記圧入方向に搬送して地盤中に供給すると共に、前記水の供給を行うようにしてもよい。かかる場合、スパイラルロッドが引き上げられた部分にさらにバラ荷が供給されるため、地盤の削孔にバラ荷がより密に且つ均一に供給される。これにより柱体の強度をさらに向上できる。
本発明によれば、地盤の違いにより水硬性バラ荷に地中水が供給される分量が異なることによる柱体の強度のばらつきを低減できるので、いずれの土地においても高強度の柱体を安定して成形できる。
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態に係る柱体の成形工法の主な工程を示す模式図である。
本柱体の成形工法に用いられるスパイラルロッド1は、ロッドの外周面に螺旋状の搬送スクリュ2を備えている。搬送スクリュ2は、回転により、スクリュ上のバラ荷4をスパイラルロッド1の前方又は後方に搬送することができる。搬送スクリュ2 は、例えばスパイラルロッド1の後端から先端に向かって時計回りの螺旋状に形成されている。
また、スパイラルロッド1は、ロッドの内側に後端部から先端部に至る液体供給路3を備えている。スパイラルロッド1の例えば先端部には、液体供給路3内の液体が噴出される噴出孔3aが形成されている。
本柱体の成形工法では、先ず、図1(a)に示すようにスパイラルロッド1が地盤5に圧入される。この時、スパイラルロッド1を囲むようにホッパー7が配設され、ホッパー7 内にバラ荷4が収納される。この状態から、スパイラルロッド1が、図中の矢印A方向に回転しながら、地盤5中に圧入され、削孔6が形成される。このときのスパイラルロッド1の回転は、搬送スクリュ2による搬送方向がスパイラルロッド1の圧入方向(図中の矢印B方向)と一致するように行われる。つまり、スパイラルロッド1が、スパイラルロッド1の後端側から見て反時計回りに回転され、搬送スクリュ2の搬送方向が、スパイラルロッド1の後端から先端に向かう方向となり、スパイラルロッド1の圧入方向と一致する。これにより、ホッパー7内に供給された、水硬性材料を含むバラ荷4が、搬送スクリュ2に供給され、当該搬送スクリュ2により圧入方向、即ちスパイラルロッド1の先端に向かって搬送される。こうして、地盤5に削孔6が形成されながら、当該削孔6にバラ荷4が供給されていく。このように、バラ荷4は圧縮されて削孔6に供給されるため、圧縮されない場合と比較してバラ荷4を構成する粒子同士に空気や水が入る間隙が少ない状態となる。なお、本実施の形態ではバラ荷4として、例えば水硬性材料としてのセメントと、砂や砂利の骨材との混合物が用いられる。この圧入工程では、搬送スクリュ2の搬送方向がスパイラルロッド1の圧入方向と同じであるので、地盤5の土砂がホッパー7内に排出されることがない。この点、本工法は、緩い地盤に対して施工された時、施工地盤から外部へ土砂を排出しなくても削孔6を形成することに困難はなく、周囲に土砂を押しのけて削孔6を形成することにより、削孔6の内壁自体を密にして地盤5の安定化に寄与する。
その後、図1(b)に示すようにスパイラルロッド1の先端が所定の深さまで達した時点で、地盤5に所定の深さの削孔6が形成され、当該削孔6の内壁とスパイラルロッド1との間隙にバラ荷4が充填されている。
その後、図1(c)に示すようにスパイラルロッド1が引き上げられる。この際、スパイラルロッド1の圧入時と同じ方向にスパイラルロッド1が回転される(矢印A方向) 。これにより、搬送スクリュ2の搬送方向は、スパイラルロッド1の引き上げ方向(図中の矢印B ’方向) と逆方向になり、スパイラルロッド1の先端方向になるため、削孔6内のバラ荷4がスパイラルロッド1の引き上げによって削孔6の外に排出されることはない。さらに、このスパイラルロッド1の引き上げの際には、引き続き搬送スクリュ2にバラ荷4が供給され、搬送スクリュ2により削孔6内にさらにバラ荷4が充填される。また、スパイラルロッド1の引き上げの際には、スパイラルロッド1の液体供給路3に水8が供給され、当該液体供給路3を通じて、噴出孔3aから削孔6内に水8が供給される。これにより、水8とバラ荷4の水硬性材料が反応し、バラ荷4が硬化される。水8の供給は、削孔6の底部から開口部まで全体にわたって行われ、この水8の全供給量は、注水率W/C(Wは水重量、Cは水硬性材料重量)が20%〜45%、より好ましくは25%〜35%になるように設定されている。
そして図1(d)に示すようにスパイラルロッド1が削孔6から完全に引き上げられると、地盤5中にバラ荷4が硬化した柱体9が成形される。こうして、柱体9により地盤5の補強が図られ、地盤5が改良される。
本実施の形態によれば、水8の供給量を、従来より多い注水率W/Cが20%〜45%になるように設定することによって、柱体9の高い強度を維持しつつ、地盤の違いによる柱体9の強度のばらつきを低減できる。以下にこの本発明による効果を検証する。
上記本発明に係る柱体の成形工法と同様の工法を用いて、注水率W/Cの異なる柱体9を成形し、それを掘り出して、柱体9の強度とそのばらつきを検出する実験を行った。実験は、0%、10%、23%、28%、35%、42%、55%、80%の各注水率W/Cについて、複数種類の地盤で行った。地盤の種類は、ローム、埋土、砂質シルト、有機質粘土、凝灰質粘土等であった。また、柱体9の強度として、圧縮試験により一軸圧縮強度が測定された。バラ荷4には、セメントと骨材との混合物が用いられた。
次の表1には、本実験データを示し、図2(a)、(b)には、その実験データをグラフ化したものを示す。
(強度:N/mm2)
図2(a)、(b)に示すように注水率W/Cが0%〜20%未満では、強度平均値が高いが、変動係数が大きく強度にばらつきが見られる。注水率W/Cが20%〜45%では、強度平均値が高く維持され(本実験条件では15N/mm2以上)、その上変動係数が低く強度のばらつきが小さくなっている。特に注水率W/Cが25%〜35%の間ではその傾向が顕著である。注水率W/Cが45%を超えると、強度平均値が低くなり、その上変動係数が大きくなり強度のばらつきが見られる。
この実験結果から、本発明の工法のように注水率W/Cを20%〜45%に設定することにより、柱体9の強度を高く維持しつつ、地盤の違いによる強度のばらつきを低減できることが確認できる。
上記実施の形態では、さらに水8の供給を、スパイラルロッド1の引き上げ工程時にのみ行うようにしたので、地盤5中に充填されたバラ荷4の中核部分に十分な水8を供給できる。これにより、柱体9の中核部分の強度を十分に確保できる。また、柱体9の外殻部分も地盤5内に含まれる水により適正に硬化し十分な強度を確保できる。
また、スパイラルロッド1の引き上げ工程において、バラ荷4を搬送スクリュ2にて圧入方向に搬送するとともに、水8の供給を行うようにしたので、スパイラルロッド1が引き上げられた部分にさらにバラ荷4が供給され、削孔6にバラ荷4をより密に且つ均一に充填できる。これにより柱体9の強度をさらに向上できる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に相到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば以上の実施の形態では、スパイラルロッド1の引き上げ時に水8を供給していたが、スパイラルロッド1の圧入時に水8を供給してもよい。また、スパイラルロッド1の圧入時と引き上げ時の両方に水8を供給してもよい。また、バラ荷4の供給は、スパイラルロッド1の引き上げ時に行わず圧入時にのみ行うようにしてもよい。また、バラ荷4の硬化のために供給される水8には、必要に応じて硬化促進剤など、水以外の成分が添加されていてもよい。さらに、バラ荷4は、セメントと骨材の混合物に限られず、石灰などの他の水硬性材料と骨材との混合物であってもよい。
1 スパイラルロッド
2 搬送スクリュ
3 液体供給路
4 バラ荷
5 地盤
6 削孔
7 ホッパー
8 水
9 柱体
2 搬送スクリュ
3 液体供給路
4 バラ荷
5 地盤
6 削孔
7 ホッパー
8 水
9 柱体
Claims (4)
- 地盤中に柱体を成形する工法であって、
外側に螺旋状の搬送スクリュを備え、内側に液体供給路を備えたスパイラルロッドを、前記搬送スクリュの搬送方向が前記スパイラルロッドの圧入方向と一致するように回転させながら地盤中に圧入すると共に、水硬性材料を含むバラ荷を前記搬送スクリュにより前記圧入方向に搬送して地盤中に供給する圧入工程と、
その後、前記スパイラルロッドを前記圧入工程時と同じ方向に回転させながら引き上げる引き上げ工程と、を有し、
前記圧入工程及び引き上げ工程の少なくとも一方において、前記液体供給路により少なくとも水を地盤中に供給し、前記バラ荷を硬化させて柱体を成形し、
前記水の供給量は、注水率W/C(Wは水重量、Cは水硬性材料重量)が20%〜45%になるように設定されていることを特徴とする、柱体の成形工法。 - 前記水の供給は、前記スパイラルロッドの引き上げ工程時にのみ行うことを特徴とする、請求項1に記載の柱体の成形工法。
- 前記スパイラルロッドの引き上げ工程において、前記バラ荷を前記搬送スクリュにより前記圧入方向に搬送して地盤中に供給することを特徴とする、請求項2に記載の柱体の成形工法。
- 前記スパイラルロッドの引き上げ工程において、前記バラ荷を前記搬送スクリュにより前記圧入方向に搬送して地盤中に供給すると共に、前記水の供給を行うことを特徴とする、請求項1に記載の柱体の成形工法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008256724A JP2010084473A (ja) | 2008-10-01 | 2008-10-01 | 柱体の成形工法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012164728A1 (ja) * | 2011-06-02 | 2012-12-06 | 旭化成建材株式会社 | 埋設治具を利用した杭の施工方法および杭施工用埋設治具 |
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JPH10130645A (ja) * | 1996-10-30 | 1998-05-19 | Toda Constr Co Ltd | 液状化防止用地盤改良材 |
JP2007113177A (ja) * | 2005-10-18 | 2007-05-10 | Asahi Kasei Construction Materials Co Ltd | 地盤改良工法 |
-
2008
- 2008-10-01 JP JP2008256724A patent/JP2010084473A/ja active Pending
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