JP3389256B2 - ノズルプレートとその製造方法 - Google Patents

ノズルプレートとその製造方法

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【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明はインクジェットプリンタ
用ノズルプレートとノズルプレートの製造方法に関す
る。 【0002】 【従来の技術】インクジェット用プリンタのヘッドには
幾つかのタイプがあり、インク加圧室に連通するインク
通路をノズルプレートにより覆って、インク通路の部分
に開口したノズルからインクを吐出させるように構成し
たものでは、加圧したインクをノズルの軸線方向に正し
く吐出させるために、通常、メッキによる電鋳法によっ
て図7で示すような円を4分割した円弧状のインク導入
部102−bとインク吐出口102cをもつノズル10
2が形成されたノズルプレート101が用いられる。イ
ンクジェットヘッドにおいてインクがノズルから吐出す
る際に、インク導入部に接触点と接線を持つようにメニ
スカスが形成される。このメニスカスの形状は一定の形
とならなければインク飛翔は安定化しない。しかし、こ
のような円弧状のインク導入部102では、メニスカス
103(接触点a)とメニスカス103a(接触点b)
との比較で分かるように、円弧の各点において異なる角
度の接線を持つため、インク4の接触のしかたによって
メニスカス3の形状が安定しない。また、温度変化によ
ってインクの物性、特に粘性が変化によっても、接触の
しかたが変わるため同様なことがおきる。つまり円弧状
のインク導入部102ではインク飛翔は安定化しない。
しかも、ノズルプレートの生産方法がメッキという化学
的方法であるためインク吐出口102cの最小直径部の
管理が大変むずかしく、生産性も悪いためコストも高い
ものであった。 【0003】また特公平1−26837公報に開示され
た方法もあるが、この様なノズルを形成するために、単
葉曲線状的広がりを持つポンチが、ポンチが当接するこ
とにより膨出する体積に見合う体積を持つ凹部を持つダ
イに載置された金属プレートに当接し、形成された膨出
部を研削加工し所要の形状を得るようになっている。と
ころが本方法では、例えばポンチの下降精度とくに下死
点の精度が狂い、下降し過ぎた場合、膨出部の体積がダ
イの凹部より大きくなり、ポンチを圧縮し摩耗を早め
る、また最悪の場合はポンチの細径部を破断してしまう
という問題や、金属プレートがバネ性を有している場合
はポンチを上昇させた直後に形成されたノズル形状が縮
んでしまい、ノズル形状が安定的にできない、高精度に
ならないという問題を有している。また、その他にも金
属プレートの板厚の変化、ポンチ、ダイの加工精度によ
っても膨出部の体積は変化し上記問題は発生し、低コス
トでの安定的なノズルプレートの製作は不可能である。
また、単葉曲線状の導入部は前述したとうり円弧形状に
なるため、インク飛翔は安定化しない。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明はこの
ような問題点を解決するもので、その目的とするところ
は安定的に生産のできる低コストで高精度なノズルプレ
ートを提供するところにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】このような課題を達成す
るために本発明においては、大径軸部の一端側にノズル
プレートのノズルの円錐形状に対応する円錐形状部を、
また前記円錐形状部の先端側に細径部を備えたポンチ
と、前記細径部より大径で、かつ前記ポンチの進入側
に、前記ポンチを金属シートに押圧させることにより前
記金属シートの面方向への膨出を規制する一方、貫通孔
に誘導するテーパー状の面取り部と、前記面取り部の先
端側に形成された前記貫通孔とが形成されたダイと
より、前記金属シートの膨出部を前記面取り部で規制し
つつ、前記金属シートに前記ノズルに対応する孔を形成
する工程と、前記ポンチとダイから前記金属シートを取
り出して前記膨出部を研削加工により除去する工程と、
を備える。これにより、ポンチ先端に掛かる反力を軽減
させてポンチの先端部の破断を防止しつつ、面取り部に
より膨出部を円筒部に誘導して打ち抜き量を増やして研
磨で除去すべき体積を少なくする。 【0006】 【実施例】本発明の一実施例を図面を用いて詳細に説明
する。 【0007】図1が本発明のノズルプレートとノズル形
状を示す図である。2がノズルであり、2−aが円柱部
であり、2−bが円錐部がインク導入部として構成され
ている。このノズル2が多数個形成されたものがノズル
プレート1となる。3がインク4のメニスカス(接触点
a)であり、インク4の導入部として機能する円錐部2
−bの綾に接線を有して形成されている。この接線は円
錐部2−bの綾が直線であるため接する角度が一定に保
たれる。その結果、インク4の円錐部2−bへの接触位
置が接触点aから接触点bへ変化した状態のメニスカス
103−aの形状が示すとうり、メニスカス3で示す形
状と大きな差は無くメニスカスの形成の安定化が図れ
る。このことを従来例を示す図7で示す電鋳法で製作さ
れたノズルプレート101と比較してみる。103がメ
ニスカス(接触点a)であり、103−aはメニスカス
(接触点b)がインク導入部102とインク104が接
触位置が接触点aから接触点bへ変化した状態を示して
いる。インク導入部102は円弧で形成されているた
め、インク4の接触位置によって、接線の角度が変化
し、図1のメニスカス3−aと図7のメニスカス103
−aとの比較により分かるように、図7のメニスカス1
03に対するメニスカス103−aの変形は、図1のメ
ニスカス3に対するメニスカス3−a変形より大きくな
る。 【0008】このメニスカス3の形状の安定化は、イン
クジェットヘッドの特性の安定化に大きな影響を及ぼす
ことを図2、図3、図4を用いて説明する。図2はイン
ク吐出前のノズル内の状態を示す。この状態で例えば、
流路上部に振動を伝える上蓋部材と圧電素子を載置した
もの、流路上に発熱素子を載置したもの等に代表される
インク吐出手段5が動作すると、図3で示すようにイン
ク滴4−aが吐出する。インク滴4−aの吐出後の状態
が図4であり、吐出した量に見合うインク空僚部4−
形成される。この空僚部4−bをメニスカス3の再形
成によって元のメニスカスの状態に戻す。このため、メ
ニスカス3の形が正確に戻るかどうかがインク飛翔に大
きな影響を与える。メニスカス3の形が毎回変動すると
1回に飛翔するインク重量が変化や、インクが飛び出す
時の、メニスカス3からの抵抗力が変わるため、インク
飛翔スピードが変化がおき印字品質に重大な影響を与え
る。メニスカス3の円錐部2−bへの接触点は、連続イ
ンク吐出中や間欠インク吐出中等の印字の状態や、温
度、湿度等の外的要因によるインク物性の変化によって
も変化するため、本発明のようにインク導入部を円錐形
とし接触点の多少の変動に対してメニスカス3の形が大
きな変化を起こさないようにしたことは、インク飛行安
定性に大きな効果ある。 【0009】図5、図6が本発明のノズルプレートにノ
ズルを形成する時の加工概念図である。10がノズル2
に見合う形状をしてるポンチであり、円錐部10−a、
円柱部10−bで構成されている。12がダイでありポ
ンチ10先端の細径部より僅かに大きい孔13と、孔1
3入口にポンチ10が金属のノズルプレート原料1−a
に当接、貫通する際に膨出する体積(ばり16+抜きカ
ス15)より少ない体積を持つ面取り部14を設けてあ
る。図6のようにポンチ10の大径軸部10−cを案内
するストリッパプレート11とダイ12との間に押圧挟
示した厚さ数百ミクロン以下の金属のノズルプレート素
材1−aにポンチ10が当接、貫通することによって抜
きカス15が孔13に落ち、ばり16が形成する。この
ばり16を研削加工によって除去し図1で示すようなノ
ズル形状を得ることができる。本方法であれば、抜きカ
ス15は抜けてしまうため、ポンチ10先端を圧縮する
力が軽減するため、従来例でみられたポンチ10の先端
部を圧縮して円柱部10−aを破断してしまうようなこ
とは発生しなかった。また、ノズルプレート1に残る膨
出部はばり16のみであり、従来例では研削の必要な体
積が抜きカス15とばり16を合わせた体積分であった
ことに比べ、研削加工で取る際も大幅な時間短縮を図れ
た。ポンチ10の先端部を円柱形状と円錐形状の複合形
状としたため、円弧状の複雑な曲線加工が不要となりポ
ンチ加工の高精度化、加工の簡易化が図れ、また円柱部
10−aを1度より10度迄の広がり角度をつけたこと
により、ポンチ10がノズルプレート1−aを貫通する
際、またはポンチ10を抜く際の抵抗を軽減できるた
め、ポンチ10の低摩耗化に効果があり、結果的に安価
で高精度のノズルプレートを製造できる。ただし、広が
り角度を10度以上取るとポンチの下降精度によって
は、インク吐出口2−cの径の変化が、円柱部2−aの
広がり角度をθとすると、式(インク吐出口2−cの変
化量=2xポンチ10の下降誤差xtanθ)であるた
め、ノズルの円柱部2−aのインク吐出口2−aの径の
寸法変化が大きくなるので、広がり角度は10度以下が
望ましい。 【0010】本実施例のノズルプレートを使用したイン
クジェットヘッドを製作したところ、インク吐出スピー
ド、インク重量の非常に安定した高印字品質のインクジ
ェットヘッドを得ることができた。 【0011】 【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、
ンチ先端に掛かる反力を軽減させてポンチの先端部の破
断を防止しつつ、面取り部により膨出部を円筒部に誘導
して打ち抜き量を増やして研磨で除去すべき体積を少な
することができる。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明のノズル形状実施例を示す断面図。 【図2】本発明のノズルプレートを用いた時のインクの
挙動を示す図。 【図3】本発明のノズルプレートを用いた時のインクの
挙動を示す図。 【図4】本発明のノズルプレートを用いた時のインクの
挙動を示す図。 【図5】本発明の加工実施例を示す図。 【図6】本発明の加工実施例を示す図。 【図7】従来例のノズル形状を示す断面図。 【符号の説明】 1 ノズルプレート 1−a ノズルプレート素材 2 ノズル 2−a 円柱部 2−b 円錐部 2−cインク吐出口 3 メニスカス 3−a メニスカス 4 インク 4−a インク滴 4−b インク空僚 5 インク吐出手段 10 ポンチ 11 ストリッパプレート 12 ダイ 13 孔 14 面取り部 15 抜きカス 16 ばり 101 ノズルプレート 102 ノズル 102−b インク導入部 102−c インク吐出口 103 メニスカス 103−a メニスカス 104 インク
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−39053(JP,A) 特開 昭56−155772(JP,A) 特開 昭57−113079(JP,A) 特開 平4−37426(JP,A) 特開 昭63−180338(JP,A) 特開 昭63−174750(JP,A) 特公 平1−26837(JP,B2) 「知りたいプレス金型▲○1▼基礎 編」株式会社ジャパンマシニスト社 昭 和51年 3月1日第8版発行 47〜49頁 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/135 B05B 1/02

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 大径軸部の一端側にノズルプレートのノ
    ズルの円錐形状に対応する円錐形状部を、また前記円錐
    形状部の先端側に細径部を備えたポンチと、 前記細径部より大径で、かつ前記ポンチの進入側に、前
    記ポンチを金属シートに押圧させることにより前記金属
    シートの面方向への膨出を規制する一方、貫通孔に誘導
    するテーパー状の面取り部と、前記面取り部の先端側に
    形成された前記貫通孔とが形成されたダイと、により、 前記金属シートの膨出部を前記面取り部で規制しつつ、
    前記金属シートに前記ノズルに対応する孔を形成する工
    程と、 前記ポンチとダイから前記金属シートを取り出して前記
    膨出部を研削加工により除去する工程と、 からなるノズルプレートの製造方法。
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「知りたいプレス金型▲○1▼基礎編」株式会社ジャパンマシニスト社 昭和51年 3月1日第8版発行 47〜49頁

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