JP3389021B2 - 石炭スラリー輸送船用堆積物流動化装置 - Google Patents

石炭スラリー輸送船用堆積物流動化装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、石炭スラリー輸送
船に関し、特にカーゴタンクの底面における石炭スラリ
ーの固形分の堆積物を流動化させる装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、石炭スラリー輸送船では、図4
(船体横断面図)および図5(船体縦断面図)に示すよ
うに、石炭の微粒と水などの液体との混合物としての石
炭スラリー4をカーゴタンク3内に積み込んで輸送する
際に、波浪による船体1の動揺に伴って、石炭スラリー
中の固形分が沈降し、その堆積物6がカーゴタンク3の
底面上に層状に形成される。なお、図4,5において、
符号2は海面を示し、5はバラストタンク,7はウェル
を示している。
【0003】従来は、上述の堆積物6の除去作業に多大
の労力を必要としていた。そこで、石炭スラリー輸送船
の航行中に石炭スラリー4の循環流を生成して堆積物6
の形成を阻止する手段などが提案されているが、石炭ス
ラリー中の固形分の沈降を抑制するためにはカーゴタン
ク3内の循環流についてかなりの流速と流量を必要と
し、所要設備が著しく大掛かりになるという問題点があ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、石炭スラリ
ー輸送船において、カーゴタンク内に石炭スラリーを満
載して輸送する場合の堆積物の生成は止むを得ないもの
として、その荷揚げの際に石炭スラリーをカーゴタンク
内に若干残しておき、新たに石炭スラリーの積取りのた
め出港して積取り地へ向かう際に、カーゴタンク内の残
液を簡素な手段で波立たせて、その波面の動きにより上
記堆積物を流動化させることを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前述の課題を解決するた
め、本発明の石炭スラリー輸送船用堆積物流動化装置
は、石炭スラリー輸送船のカーゴタンクにおいて、同カ
ーゴタンクの底面上の堆積物を流動化させるべく、同カ
ーゴタンクの底部中央に形成されたウェルの内部に下縁
を枢着され同ウェルの長手方向に延在する揺動板と、同
揺動板を揺動させる駆動機構とが設けられており、同駆
動機構が、上記ウェルの内部に立設された空気ガイドタ
ンクと、同空気ガイドタンクに連通するように同空気ガ
イドタンクと上記揺動板との間に形成された膨張収縮可
能の空気室と、上記空気ガイドタンクに接続された空気
ポンプとをそなえて構成されたことを特徴としている。
【0006】上述の本発明の石炭スラリー輸送船用堆積
物流動化装置では、石炭スラリーの積取り港に向かう航
海中に、カーゴタンクの底部中央におけるウェル内に下
縁を枢着された揺動板が、駆動機構により揺動させられ
るので、カーゴタンク内の石炭スラリーの残液が波立つ
ようになり、その波面の動きによりカーゴタンク底面上
の堆積物が流動化するようになる。
【0007】そして、上記駆動機構が、上記ウェルの内
部に立設された空気ガイドタンクと、同空気ガイドタン
クに連通するように同空気ガイドタンクと上記揺動板と
の間に形成された膨張収縮可能の空気室と、上記空気ガ
イドタンクに接続された空気ポンプとをそなえて構成さ
れているので、上記空気ポンプの作動により上記空気室
が膨張収縮を繰返して上記揺動板を的確に揺動させるこ
とができ、その構造も著しく簡素なものとなる。
【0008】また、上記の揺動板,空気ガイドタンクお
よび空気室が、上記ウェルの中心線に関して対称に、対
をなして配設されていると、カーゴタンクの底部中央に
あるウェルの両側で揺動板が揺動するので、カーゴタン
ク内の残液の撹拌が適切に行なわれるようになって、カ
ーゴタンク底面上の堆積物の流動化が効率よく行なわれ
る。
【0009】さらに、上記の対をなす空気室に交互に空
気の圧入および排出を行なうための切替弁をそなえた配
管が、上記の空気ポンプと空気ガイドタンクとの間に介
設されていると、上記切替弁の自動切替えにより上記空
気ガイドタンクの両側の空気室の相互間で空気の供給排
出が交互に行なわれて、対をなす上記空気室の膨張収縮
が交互に行なわれるので、各空気室における空気の供給
排出が個別に行なわれる場合に比べて、空気ポンプによ
る空気の給排効率が高められるようになる。
【0010】また、上記空気室が、頂壁と端壁とにジャ
バラ構造の壁板をそなえて構成されていると、同空気室
を単に可撓材で構成する場合と比べて、同空気室の膨張
収縮が的確に行なわれて、構成材の疲労による損傷も防
止されるようになる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図面により本発明の一実施
形態としての石炭スラリー輸送船用堆積物流動化装置に
ついて説明すると、図1は同装置をそなえた石炭スラリ
ー輸送船の船体横断面図、図2は図1の要部の詳細構造
を示す拡大横断面図、図3は図1の石炭スラリー輸送船
の要部縦断面図である。
【0012】図1〜3に示すように、石炭スラリー輸送
船の船体1に設けられたカーゴタンク3において、その
底部中央に形成されたウェル(凹所)7の内部に、船体
中心面に沿って左右に仕切られた空気ガイドタンク8,
8が立設されており、同タンク8,8の下部にそれぞれ
ヒンジ軸10a, 10bで下縁を枢着された左右一対の揺動
板9a,9bが、ウェル7の長手方向に延在するように
設けられている。
【0013】そして、各揺動板9a,9bと空気ガイド
タンク8との間に、膨張収縮可能の空気室19a, 19bが
左右に対をなして形成され、各空気室19a, 19bと空気
ガイドタンク8とは、同タンク8の壁部に形成された多
数の通孔8pを介して連通している。
【0014】各空気室19a, 19bの頂壁はジャバラ構造
の壁板12a, 12bをそなえて構成され、同空気室19a,
19bの端壁も同様にジャバラ構造の壁板をそなえて構成
されていて、これにより各空気室19a, 19bの膨張収縮
が円滑に行なわれるようになっている。なお、各揺動板
9a,9bの下縁のヒンジ部はカバー11a, 11bで気密
に覆われている。
【0015】各空気ガイドタンク8の下縁は、接続管13
を介して、空気ポンプ18および複数の切替弁15a, 15
b, 16a, 16bを含む配管14に接続されており、空気ポ
ンプ18を作動させた状態で各切替弁15a, 15b, 16a,
16bの自動切替操作により左右の空気室19a, 19bが交
互に膨張収縮を行なうように構成されている。すなわ
ち、図2において、右側の空気室19aが膨張し、左側の
空気室19bが収縮した状態から、切替弁15a, 16bを閉
じ、切替弁15b, 16aを開くと、空気ポンプ18の作動に
より右側の空気室19a内の空気が左側の空気室19bへ移
送され、これにより右側の空気室19aは収縮し、左側の
空気室19bが膨張した状態になる。ついで切替弁15a,
15b, 16a, 16bの開閉操作を逆にすると、再び右側の
空気室19aは膨張し左側の空気室19bは収縮するように
なる。
【0016】このようにして、左右の空気室19a, 19b
が交互に膨張収縮するのに伴い、左右の揺動板9a,9
bの揺動が行なわれるようになっている。なお、上述の
ような作動が行なわれている間、元弁17は閉じた状態に
保たれる。また上述の各切替弁15a, 15b, 16a, 16b
の開閉操作は、図示しない制御系により自動的に繰返し
行なわれるようになっている。
【0017】上述の本実施形態の石炭スラリー輸送船用
堆積物流動化装置では、石炭スラリーの積取り港に向か
う航海中に、カーゴタンク3の底部中央におけるウェル
7内に下縁を枢着された揺動板9a,9bが、駆動機構
により揺動させられるので、カーゴタンク3内の石炭ス
ラリーの残液4aが波立つようになり、その波面の動き
によりカーゴタンク底面20上の堆積物6が流動化するよ
うになる。
【0018】そして、上記駆動機構が、ウェル7の内部
に立設された空気ガイドタンク8,膨張収縮可能の空気
室19a,19bおよび空気ポンプ18などで構成されている
ので、空気ポンプ18の作動により空気室19a, 19bが膨
張収縮を繰返して揺動板9a,9bを的確に揺動させる
ことができ、その構造も著しく簡素なものとなる。
【0019】また、揺動板9a,9b,空気ガイドタン
ク8,8および空気室19a, 19bが、ウェル7の中心線
に関して対称に、対をなして配設されているので、カー
ゴタンク3の底部中央にあるウェル7の両側で揺動板9
a,9bが揺動することになり、これによりカーゴタン
ク3内の残液4aの撹拌が適切に行なわれるようになっ
て、カーゴタンク底面20上の堆積物6の流動化が効率よ
く行なわれる。
【0020】さらに、空気ガイドタンクの8の両側方の
空気室19a, 19bの相互間で空気の供給排出が交互に行
なわれることにより、対をなす空気室19a, 19bの膨張
収縮が交互に行なわれるので、各空気室19a, 19bにお
ける空気の供給排出が個別に行なわれる場合と比べて、
空気ポンプ18による空気の給排効率が高められるように
なる。
【0021】また、空気室19a, 19bが、頂壁と端壁と
にジャバラ構造の壁板12a, 12bをそなえて構成されて
いるので、同空気室19a, 19bを単に可撓材で構成する
場合に比べて、同空気室19a, 19bの膨張収縮が的確に
行なわれて、構成材の疲労による損傷も防止されるよう
になる。
【0022】なお、本実施形態では、揺動板9a,9b
を揺動させる駆動機構として、空気ガイドタンク8およ
び膨張収縮可能の空気室19a, 19bと、空気ポンプ18お
よび切替弁15a, 15b, 16a, 16bを含む配管14とから
なる駆動機構が設けられているが、油圧シリンダ式のも
のや、電動式のものなどを用いることもできる。
【0023】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の石炭スラ
リー輸送船用堆積物流動化装置によれば次のような効果
が得られる。 (1) 石炭スラリーの積取り港に向かう航行中に、カーゴ
タンクの底部中央におけるウェル内に下縁を枢着された
揺動板が、駆動機構により揺動させられるので、カーゴ
タンク内の石炭スラリーの残液が波立つようになり、そ
の波面の動きによりカーゴタンク底面上の堆積物が流動
化するようになる。そして、空気ポンプの作動により上
記空気室が膨張収縮を繰返して上記揺動板を的確に揺動
させることができ、その構造も著しく簡素なものとな
る。 (2) カーゴタンクの底部中央にある上記ウェルの両側で
揺動板が揺動するので、カーゴタンク内の残液の撹拌が
適切に行なわれるようになって、カーゴタンク底面上の
堆積物の流動化が効率よく行なわれる。 (3) 切替弁の自動切替えにより上記空気ガイドタンクの
両側の空気室の相互間で空気の供給排出が交互に行なわ
れて、対をなす上記空気室の膨張収縮が交互に行なわれ
るので、各空気室における空気の供給排出が個別に行な
われる場合と比べて、空気ポンプによる空気の給排効率
が高められるようになる。 (4) 上記空気室が、頂壁と端壁とにジャバラ構造の壁板
をそなえて構成されていると、同空気室を単に可撓材で
構成する場合と比べて、同空気室の膨張収縮が的確に行
なわれて、構成材の疲労による損傷も防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての装置をそなえた石
炭スラリー輸送船の船体横断面図である。
【図2】図1の要部を拡大して示す横断面図である。
【図3】図1の石炭スラリー輸送船の要部縦断面図であ
る。
【図4】従来の石炭スラリー輸送船の船体横断面図であ
る。
【図5】図4の石炭スラリー輸送船の船体縦断面図であ
る。
【符号の説明】
1 船体 2 海面 3 カーゴタンク 4 石炭スラリー 4a 石炭スラリーの残液 5 バラストタンク 6 堆積物 7 ウェル 8 空気ガイドタンク 8p 通孔 9a,9b 揺動板 10a,10b ヒンジ軸 11a,11b カバー 12a,12b ジャバラ構造の壁板 13 接続管 14 配管 15a,15b,16a, 16b 切替弁 17 元弁 18 空気ポンプ 19a,19b 空気室 20 カーゴタンク底面
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B63B 25/02 101 B65D 88/12 B65D 90/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 石炭スラリー輸送船のカーゴタンクにお
    いて、同カーゴタンクの底面上の堆積物を流動化させる
    べく、同カーゴタンクの底部中央に形成されたウェルの
    内部に下縁を枢着され同ウェルの長手方向に延在する揺
    動板と、同揺動板を揺動させる駆動機構とが設けられ
    おり、同駆動機構が、上記ウェルの内部に立設された空
    気ガイドタンクと、同空気ガイドタンクに連通するよう
    に同空気ガイドタンクと上記揺動板との間に形成された
    膨張収縮可能の空気室と、上記空気ガイドタンクに接続
    された空気ポンプとをそなえて構成されたことを特徴と
    する、石炭スラリー輸送船用堆積物流動化装置。
  2. 【請求項2】 上記の揺動板,空気ガイドタンクおよび
    空気室が、上記ウェルの中心線に関して対称に、対をな
    して配設されたことを特徴とする、請求項に記載の石
    炭スラリー輸送船用堆積物流動化装置。
  3. 【請求項3】 上記の対をなす空気室に交互に空気の圧
    入および排出を行なうための切替弁をそなえた配管が、
    上記の空気ポンプと空気ガイドタンクとの間に介設され
    ていることを特徴とする、請求項に記載の石炭スラリ
    ー輸送船用堆積物流動化装置。
  4. 【請求項4】 上記空気室が、頂壁と端壁とにジャバラ
    構造の壁板をそなえて構成されていることを特徴とす
    る、請求項1〜3のいずれか1つに記載の石炭スラリー
    輸送船用堆積物流動化装置。
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