JP3388290B2 - 塗膜形成方法 - Google Patents

塗膜形成方法

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JP3388290B2
JP3388290B2 JP08458593A JP8458593A JP3388290B2 JP 3388290 B2 JP3388290 B2 JP 3388290B2 JP 08458593 A JP08458593 A JP 08458593A JP 8458593 A JP8458593 A JP 8458593A JP 3388290 B2 JP3388290 B2 JP 3388290B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、無機質基材に対する塗
膜形成方法に関し、詳しくは、無機質基材に対して優れ
た密着性を有する塗膜が形成し得、無機質基材の耐久性
を向上させ得る塗膜形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】近年、コ
ンクリート構造物の早期劣化が重大な問題となってい
る。主要な劣化要因としては、コンクリート構造物に
水、二酸化炭素、塩素イオンが浸透することなどにより
起こる、該コンクリート構造物の中性化が挙げられる。
【0003】このような、コンクリート構造物の耐久性
の低下を抑制する目的、すなわち、上記した二酸化炭素
などの浸透を抑止する目的で、種々の処理法が検討され
てきている。その処理法に用いるものとして、シラン系
浸透型吸水防止剤と呼ばれるものが市販されている。
【0004】前記した浸透型吸水防止剤は、塗布駆体組
織の毛細管を通じて塗装される基材の中に深く浸透し、
撥水効果、充填効果により、構造物の劣化を抑止してい
る。ところで、今日、塗料や接着剤の分野において、公
害対策あるいは省資源の観点より、有機溶剤を使用する
ものから水溶性あるいは水分散性樹脂への転換が試みら
れている。
【0005】このような試みに鑑み、前記したシラン系
浸透型吸水防止剤においても水性化されたものが開発さ
れてきている。
【0006】しかしながら、シラン系浸透型吸水防止剤
を水性化したもの、すなわち水性シラン系浸透型吸水防
止剤を、基材に対する中性化抑制剤として使用しても、
鉄筋コンクリート中性化の最大の要因である二酸化炭素
の浸透を抑制する作用は不充分であり、基材の耐久性は
それほど向上しなかった。
【0007】また、浸透型であるために、撥水性はあっ
ても塗装表面に埃、ごみなどが付着しやすく、長期間の
うちには表面の汚れが著しくなって、美観を損なうとい
う問題があった、そこで、耐久性の向上や外観性の低下
防止のために、前記浸透型吸水防止剤で処理した塗装基
材の表面に、塗料を塗布して被覆する試がなされてい
る。
【0008】しかし、前記した浸透型吸水防止剤に対す
る前記塗料の密着性が劣ることを原因に、施工後、これ
らが剥落してしまうことがあった。
【0009】コンクリート構造物のような無機質からな
る基材の表面上において、吸水防止機能や優れた外観性
を備え、しかも密着性の良い塗膜を形成し得る水性塗装
方法の市場ニーズは極めて大きなものがある。
【0010】
【課題を解決するための手段と作用】本発明者らは、上
記した問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、表面を水
性シラン系浸透型吸水防止剤で処理した無機質基材の上
に、一般式(I)で示されるシリル基含有エマルション
を塗装することにより、優れた密着性を有するととも
に、高耐候性、耐変色性などの耐久性を有し、しかも構
造物劣化の原因物質(二酸化炭素など)の浸透を顕著に
抑止して基材の耐久性を向上させ得る塗膜が得られるこ
とを見出し、そして本発明に至った。
【0011】すなわち本発明の塗膜の形成方法は、無機
質基材に対して、水性シラン系浸透型吸水防止剤を塗布
したのち、その上から下記一般式(I)で示されるシリ
ル基を有する重合体を含有してなるエマルションからな
る塗料(以下、「上塗り塗料」ともいう)を塗装する方
法であって、前記シリル基を有する重合体が、全モノマ
ー100重量部中、ポリオキシエチレン鎖を有する親水
性ビニル系単量体を0.1〜10重量部含有するモノマ
ー成分を重合して得られた重合体であることを特徴とす
る。
【0012】
【化2】 (式中、Rは炭素数1〜10までのアルキル基、アリー
ル基、アラルキル基より選ばれる1価の炭化水素基、X
はハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アシロ
キシ基、アミノキシ基、フェノキシ基、チオアルコキシ
基、アミノ基より選ばれる基、yは0〜2までの整数、
Siに結合するXおよびRがそれぞれ2個以上の場合、
それらは同一の基であっても異なる基であってもよ
い。)。
【0013】水性シラン系浸透型吸水防止剤としては、
市販されているものについては特に限定なく使用でき
る。一般的には、例えば、オルガノアルコキシシラン、
オルガノアセトキシシラン、オルガノハロゲンシラン、
オルガノジシラン、オルガノシランカルボン酸、オルガ
ノシランチオール、オルガノシリコンイソシアナート、
オルガノシリコンイソチオシアナートまたはこれらの部
分加水分解物などを水性化したものが挙げられる。
【0014】その中でも、加水分解反応副生成物の臭
気、無害性などの点で、オルガノアルコキシシランを水
性化したものが他の化合物よりも好ましい。
【0015】オルガノアルコキシシランとしては、
【化3】 で示される化合物およびその部分縮合物が挙げられる。
【0016】(式中R、Rは炭素数1〜30までの
アルキル基、アリール基、アラルキル基より選ばれる1
価の炭化水素基、zは0〜3までの整数、Siに結合す
るR、ORがそれぞれ2個以上の場合、それらは同
一の基であっても異なる基であってもよい。) その具体例としては、メトキシトリメチルシラン、ジメ
トキシジメチルシラン、トリメトキシメチルシラン、エ
トキシトリメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、
トリエトキシメチルシラン、メトキシトリエチルシラ
ン、ジメトキシジエチルシラン、トリメトキシエチルシ
ラン、エトキシトリエチルシラン、ジエトキシジエチル
シラン、トリエトキシエチルシラン、メトキシトリプロ
ピルシラン、ジメトキシジプロピルシラン、トリメトキ
シプロピルシラン、エトキシトリプロピルシラン、ジエ
トキシジプロピルシラン、トリエトキシプロピルシラ
ン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ト
リメトキシヘキシルシラン、ジメトキシメチルヘキシル
シラン、トリエトキシヘキシルシラン、ジエトキシメチ
ルヘキシルシラン、トリメトキシウンデシルシラン、ジ
メトキシメチルウンデシルシラン、トリエトキシウンデ
シルシラン、ジエトキシメチルウンデシルシラン、トリ
メトキシオクタデシルシラン、ジメトキシメチルオクタ
デシルシラン、トリエトキシオクタデシルシラン、ジエ
トキシメチルオクタデシルシラン、トリプロポキシメチ
ルシラン、トリプロポキシヘキシルシラン、トリプロポ
キシウンデシルシラン、トリプロポキシオクタデシルシ
ラン、テトラプロポキシシラン、トリ−n−ブトキシメ
チルシラン、トリ−n−ブトキシヘキシルシラン、トリ
−n−ブトキシウンデシルシラン、テトラ−n−ブトキ
シシラン、トリ−tert−ブトキシメチルシラン、ト
リ−tert−ブトキシヘキシルシラン、トリ−ter
t−ブトキシウンデシルシラン、トリ−tert−ブト
キシオクタデシルシラン、テトラ−tert−ブトキシ
シランなどが挙げられる。
【0017】本発明における浸透型吸水防止剤は、例え
ばアルキルアルコキシシランとポリアクリル酸エステ
ル、あるいはアルキルアルコキシシランと塩素化ポリオ
レフィンのようにアルキルアルコキシシランと樹脂をブ
レンドして使用することも可能である。
【0018】シラン系浸透型吸水防止剤の水性化方法と
して、高速撹拌で強制的に乳化してもよいが、界面活性
剤を用いて乳化する方法が浸透型吸水防止剤の安定性の
点で好ましい。使用される界面活性剤に特に限定はない
が、例えば、以下に示す型のものが挙げられる。
【0019】すなわち、ポリオキシエチレンノニルフェ
ニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエ
ーテルなどのアルキルアリルエーテル型;ポリオキシエ
チレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラウリル
エーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリ
オキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレ
ンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエー
テルなどのアルキルエーテル型;ポリオキシエチレンラ
ウレート、ポリオキシエチレンオレエート、ポリオキシ
エチレンステアレートなどのアルキルエステル型;ポリ
オキシエチレンラウリルアミンなどのアルキルアミン
型;ソルビタンラウレート、ソルビタンステアレート、
ポリオキシエチレンソルビタンラウレート、ポリオキシ
エチレンソルビタンステアレートなどのソルビタン型;
アンモニウムアルキルベンゼンスルホネート、ナトリウ
ムアルキルジフェニルエーテルジスルホネート、ナトリ
ウムジアルキルスルホサクシネートなどのスルホネート
型;ナトリウムポリオキシエチレンノニルフェニルエー
テルサルフェート、アンモニウムポリオキシエチレンア
リルエーテルサルフェートなどのサルフェート型;アル
コキシアルキルホスフェート、アルキルホスフェートな
どのホスフェート型が挙げられる。
【0020】これら界面活性剤は1種を単独で用いても
よく、2種類以上を併用してもよい。
【0021】シラン系浸透型吸水防止剤の使用時におけ
る濃度は10〜50重量%となるように調整される。ま
た、系のpHは6〜8に調整することが安定性の点で好
ましい。
【0022】一般式(I)で示されるシリル基を有する
重合体の基体に特に限定はなく、例えばエポキシ樹脂、
ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、
フッ素樹脂などが挙げられる。特に、アクリル樹脂が、
耐候性、耐薬品性、樹脂設計の幅の広さ、価格の点で好
ましい。
【0023】一般式(I)で示されるシリル基を有する
上記樹脂の製造方法としては特に限定はなく、公知の方
法を用いることができるが、とりわけ、前記シリル基を
有するビニル系単量体(以下、「シリル基含有ビニル系
単量体」という)を、共重合可能な他のビニル系単量体
と乳化重合する方法が容易であり、好ましい。
【0024】一般式(I)で示されるシリル基を有する
ビニル系単量体に限定はないが、具体例としては、
【化4】
【化5】
【化6】 などが挙げられる。
【0025】これらのシリル基含有ビニル系単量体は、
1種を単独で用いてもよいし、また2種以上を併用して
もよい。特に、取扱いの容易さ、価格、反応副生物の点
からアルコキシシリル基含有化合物を使用することが好
ましい。
【0026】シリル基含有ビニル系単量体と共重合可能
な他のビニル系単量体に限定はなく、例えば、メチル
(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、
ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アク
リレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキ
シル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート
系単量体;トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、
ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、パーフ
ルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2,2,
3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート、β−
(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート
などのフッ素含有ビニル系単量体;スチレン、α−メチ
ルスチレン、クロロスチレン、4−ヒドロキシスチレ
ン、ビニルトルエンなどの芳香族炭化水素系ビニル単量
体;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレ
イン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、クロトン酸、フ
マル酸、シトラコン酸などのα,β−エチレン性不飽和
カルボン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸な
どの重合可能な炭素−炭素二重結合を有する酸、あるい
はそれらの塩(アルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミ
ン塩など);無水マレイン酸などの酸無水物またはそれ
らと炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルコールとの
ハーフエステル;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリ
レート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレー
ト、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの
アミノ基を有する(メタ)アクリレート;(メタ)アク
リルアミド、α−エチル(メタ)アクリルアミド、N−
ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメ
チルアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、アク
リロイルモルホリンあるいは、それらの塩酸、酢酸塩;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ジアリルフタレート
などのビニルエステルやアリル化合物;(メタ)アクリ
ロニトリルなどのニトリル基含有ビニル系単量体;グリ
シジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有ビニ
ル系単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2
−ヒドロキシエチルビニルエーテル、N−メチロール
(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシスチレン、アロニ
クス5700(東亜合成化学(株)製)、Placce
lFA−1、PlaccelFA−4、Placcel
FM−1、PlaccelFM−4(以上、ダイセル化
学(株)製)、HE−10、HE−20、HP−10、
HP−20(以上、日本触媒化学(株)製)、ブレンマ
ーPPシリーズ、ブレンマーPEPシリーズ、ブレンマ
ーAP−400、ブレンマーNKH−5050、ブレン
マーGLM(以上、日本油脂(株)製)、水酸基含有ビ
ニル系変性ヒドロキシアルキルビニル系モノマーなどの
水酸基含有ビニル系単量体;(メタ)アクリル酸のヒド
ロキシアルキルエステル類などのα,β−エチレン性不
飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル類とリン
酸もしくはリン酸エステル類との縮合生成物たるビニル
化合物あるいはウレタン結合やシロキサン結合を含む
(メタ)アクリレートなどのビニル化合物;東亜合成化
学(株)製のマクロモノマーであるAS−6、AN−
6、AA−6、AB−6、AK−5などの化合物、ビニ
ルメチルエーテル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロ
ロプレン、プロピレン、ブタジエン、N−ビニルイミダ
ゾール、ビニルスルホン酸などのその他のビニル系単量
体、旭電化工業(株)製のLA87、LA82、LA2
2などの重合型光安定剤、重合型紫外線吸収剤、などが
挙げられる。
【0027】フッ素含有ビニル系単量体、シロキサン含
有ビニル系単量体を使用することにより撥水性が向上
し、耐水性、耐久性が向上する。また、(メタ)アクリ
ル酸、マレイン酸、ジメチルアミノエチル(メタ)アク
リレート、(メタ)アクリルアミド、水酸基含有ビニル
系単量体あるいはポリプロピレングリコールメタクリレ
ートのような親水性単量体を使用するとエマルションの
安定性が向上する。特に、ブレンマーPE−90、PE
−200、PE−350、PME−100、PME−2
00、PME−400、AE−350(日本油脂(株)
製)、MA−30、MA−50、MA−100、MA−
150、RA−1120、RA−2614、RMA−5
64、RMA−568、RMA−1114、MPG13
0−MA(日本乳化剤(株)製)のようにポリオキシエ
チレン鎖を有する親水性ビニル系単量体を用いるとシリ
ル基の安定性を損なわず、エマルションの機械的安定
性、耐水性、白エナメルの光沢を向上させることができ
る。
【0028】前記ポリオキシエチレン鎖を有する親水性
ビニル系単量体の使用量は、全単量体を100重量部
(以下、単に「部」という)とした場合、0.1〜10
部が好ましい。0.1部未満の場合、機械的安定性、白
エナメルの光沢が低くなる傾向が生じ、10部を超える
場合は塗膜が軟化し、汚れやすくなる。
【0029】それに加えて、例えば、ポリエチレングリ
コールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリ
レート、トリアリルシアヌレートなどの重合性の不飽和
結合を2つ以上有する単量体を使用することにより、生
成するポリマーが架橋構造を有するものにすることも可
能である。
【0030】前記シリル基含有ビニル系単量体とこれと
共重合可能な他のビニル系単量体との使用割合として
は、これらの合計量に対してシリル基含有ビニル系単量
体を、1〜30%(重量%、以下同様)使用するのが好
ましく、さらに2〜20%使用するのが好ましい。シリ
ル基含有ビニル系単量体の量が、1%より少なくなる
と、耐水性、耐候性が劣る傾向が生じ、30%を超える
とエマルションの安定性が低下しやすくなる。
【0031】次に、上記したシリル基含有ビニル系単量
体とこれと共重合可能な他のビニル系単量体とを乳化重
合させて得られる乳化重合体の製造について説明する。
【0032】乳化重合法としては、バッチ重合法、モノ
マー滴下重合法、乳化モノマー滴下重合法などの各種乳
化重合法を適宜選択して採用することができるが、特
に、製造時の安定性を確保する上でモノマー滴下重合
法、乳化モノマー滴下重合法が適している。
【0033】前記製法に用い得る界面活性剤としては、
通常の乳化重合に使用されるものであれば特に限定はな
く、たとえばイオン性あるいは非イオン性の界面活性剤
などが挙げられる。
【0034】イオン性界面活性剤としては、ラウリルス
ルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナト
リウム、イソオクチルベンゼンスルホン酸ナトリウムな
どのスルホン酸塩;イミダリンラウレート、アンモニウ
ムハイドロオキサイドなどのアンモニウム塩、などが挙
げられる。
【0035】ポリオキシエチレン鎖を有する陰イオン界
面活性剤を用いることにより、シリル基は安定化され
る。具体例としては、Newcol560SN、New
col560SF(以上、日本乳化剤(株)製)、エマ
ールNC−35、レベールWZ(以上、花王(株)製)
のような、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル
サルフェート;Newcol707SF、Newcol
707SN、Newcol723SF、Newcol7
40SFのようなポリオキシエチレンアリルエーテルサ
ルフェート;Newcol861SEのようなオクチル
フェノキシエトキシエチルスルホネート;Newcol
1305SNのようなポリオキシエチレントリデシルエ
ーテルサルフェート(以上、日本乳化剤(株)製)が挙
げられる。また、非イオン性界面活性剤としては、ポリ
オキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエ
チレンラウリルエーテルなどのポリオキシエチレン類;
L−77、L−720、L−5410、L−7602、
L−7607(以上、ユニオンカーバイド社製)などの
シリコンを含むノニオン系界面活性剤などが代表例とし
て挙げられる。
【0036】界面活性剤として、分子内に重合性二重結
合を有する反応性界面活性剤を使用することも本発明を
妨げるものではない。特に、分子内に重合性二重結合を
有し、しかもポリオキシエチレン基を有する反応性界面
活性剤を用いると耐水性が向上する。具体例として、ア
デカソープNE−10、NE−20、NE−30、NE
−40、SE−10N(以上、旭電化工業(株)製)、
Antox−MS−60(日本乳化剤(株)製)、アク
アロンRN−20、RN−30、RN−50、HS−1
0、HS−20、HS−1025(以上、第一工業製薬
(株)製)が挙げられる。
【0037】これら界面活性剤は1種を単独で用いても
よいし、2種以上を併用してもよい。
【0038】また、界面活性剤の代りに、水溶性樹脂を
用いて重合することも可能である。この方法を用いる
と、塗膜の耐水性が向上する。水溶性樹脂に一般式
(I)で示されるシリル基を導入することにより、より
耐水性を高めることができる。
【0039】重合をより安定に行なうために、レドック
ス系触媒を用いて70℃以下の温度、好ましくは40〜
65℃の温度で反応を進めることが好ましい。
【0040】前記レドックス系触媒としては、過硫酸カ
リウム、過硫酸アンモニウムと酸性亜硫酸ナトリウム、
ロンガリットの組み合わせ、過酸化水素とアスコルビン
酸の組み合わせ、t−ブチルハイドロパーオキサイド、
ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサ
イド、p−メンタンハイドロパーオキサイドなどの有機
過酸化物と酸性亜硫酸ナトリウム、ロンガリットなどと
の組み合わせなどが用いられる。特に、有機過酸化物と
還元剤の組み合わせが、安定に重合を行なえるという点
から好ましい。また、触媒活性を安定的に得るために硫
酸鉄などの2価の鉄イオンを含む化合物とエチレンジア
ミン4酢酸2ナトリウムのようなキレート剤を適宜併用
してもよい。
【0041】このようなレドックス系触媒(開始剤)の
使用割合は、モノマーの重量を基準として0.01〜1
0%が好ましく、0.05〜5%がさらに好ましい。
【0042】本発明の方法において用いるエマルション
中の固形分濃度としては、20〜70%が好ましく、3
0〜60%がさらに好ましい。
【0043】前記した固形分濃度が70%を超える場
合、系の粘度が著しく上昇するため重合反応に伴う発熱
を除去することが困難になったり、重合機からの取り出
しに長時間を要するなどの不都合を生じる。また、固形
分濃度が20%未満の場合、重合操作の面では何ら問題
は生じないものの、1回の重合操作によって生じる樹脂
の量が少なく、経済面から考えた場合、著しく不利とな
り、また、塗膜の膜厚が薄くなってしまい、性能劣化を
起こしたり、塗装作業性の点で不利となるなどの用途上
の問題が生じる。
【0044】また、平均粒子径が0.02〜0.7μm
程度の超微粒子より構成されており、その結果として優
れた被膜形成能を有している。
【0045】硬化剤を塗装時に添加することにより、架
橋は促進される。硬化剤として有機金属化合物、酸性触
媒、塩基性触媒が使用される。特に、有機アルミニウム
化合物あるいは有機スズ化合物が硬化活性の点で好まし
く、例えば、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズ
ジマレエート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチ
ルスズジマレエート、ジブチルスズジアセテート、ジブ
チルスズジメトキサイド、トリブチルスズサルファイ
ト、ジブチルスズチオグリコレート、オクチル酸スズな
どの有機スズ化合物;アルミニウムイソプロピレート、
アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アル
ミニウムトリス(アセチルアセトネート)、エチルアセ
トアセテートアルミニウムジイソプロピレートなどの有
機アルミニウム化合物などが挙げられる。
【0046】これら有機金属化合物は、予めアルキルエ
ーテル型を主体とした界面活性剤を用い、乳化して使用
時に添加することにより、硬化活性、保存安定性に優れ
る。使用量は、有機金属化合物として、シリル基含有エ
マルションの固形分100部に対して0.01〜10部
配合することが好ましく、特に、0.1〜5部配合する
ことが好ましい。0.01部未満では、硬化活性が低
く、10部を超えると耐水性が低下する。
【0047】必要に応じて、通常塗料に用いられる顔料
(二酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、カオ
リンなど白色顔料、カーボン、ベンガラ、シアニンブル
ーなどの有色系顔料)や造膜剤、コロイダルシリカ、可
塑剤、溶剤、分散剤、増粘剤、消泡剤、防腐剤、紫外線
吸収剤などの通常の塗料用組成分として使用される添加
剤を混合して使用することも差し支えない。
【0048】また、市販されている水系の塗料ともブレ
ンドすることが可能であり、例えば、アクリル系塗料、
アクリルメラミン系塗料のような熱硬化アクリル塗料、
アルキッド塗料、エポキシ系塗料、フッ素樹脂塗料が挙
げられ、これら塗料の耐候性、耐酸性、耐溶剤性を向上
させることができる。
【0049】また、架橋剤として、イソシアネート化合
物を添加し、速硬化性を出すことも可能である。
【0050】本発明の方法において、塗布した上塗り塗
料が無機質基材に対して密着性が良いのは、前記上塗り
塗料がシラン系浸透性吸水防止剤と同一の架橋形式をと
るためであり、予め無機質基材の上に塗布された水性シ
ラン系浸透型吸水防止剤に対して強固に結合し、化学反
応的に固定される結果と考えられる。
【0051】本発明における無機質基材としては、表面
に空隙を有する(吸水性を有する)コンクリート、モル
タル、ALC、気泡コンクリート、煉瓦、瓦、スレー
ト、硅酸カルシウム板、陶磁器、タイル、石材などが挙
げられる。
【0052】本発明の方法において、上塗り塗料は、水
性シラン系浸透型吸水防止剤を塗布した数時間後、好ま
しくは24時間以上あとに塗装することが望ましい。
【0053】
【発明の効果】本発明の方法によれば、優れた密着性を
有し、しかも構造物劣化の原因物質(二酸化炭素など)
の浸透を顕著に抑止して基材の耐久性を向上させ得る塗
膜が得られる。
【0054】
【実施例】以下に、本発明を実施例に基づいて説明する
が、本発明はこれによって限定されるものではない。
【0055】合成例1、2 撹拌機、還流冷却器、窒素ガス導入管及び滴下ロートを
取付けた反応装置に、初期仕込みとして、脱イオン水4
0部、ロンガリット0.35部、[表1]に示す界面活
性剤0.9部、ポリオキシエチレンノニルフェニルエー
テル1.0部、酢酸アンモニウム0.5部、t−ブチル
ハイドロパーオキサイド0.2部および[表1]に示す
組成のモノマー乳化液158部中の20部を仕込んだ。
【0056】次に、窒素ガスを導入しつつ、50℃に昇
温し、1時間加温後、t−ブチルハイドロパーオキサイ
ド0.5部と前記したモノマー乳化液における残り13
8部との混合物を3時間かけて滴下した。その後、1時
間重合して、脱イオン水を用いて固形分濃度が40%と
なるように調整し、エマルション1(合成例1に相
当)、エマルション2(合成例2に相当)を得た。
【0057】
【表1】
【0058】実施例2,4、比較例1〜4 セメント/川砂/水=25/60/15の割合で混合
し、型枠に入れて4×4×16cmのコンクリートの角
柱に成型した。その後、2日間室温(23℃、55%R
H)、6日間水中(23℃)に置き、更に7日間乾燥
(23℃、55%RH)養生した。これにより、試験体
が得られた。
【0059】得られた試験体に、市販水性シラン系浸透
型吸水防止剤Aおよび市販水性シラン系浸透型吸水防止
剤Bを所定量塗布した。
【0060】合成例1により得られたエマルション1か
らなる上塗り塗料100部にジブチルスズマレエートを
2部加え、あるいは合成例2により得られたエマルショ
ン2からなる上塗り塗料にジブチルスズマレエートを2
部加え、前記シラン系浸透型吸水防止剤AあるいはBを
塗布した24時間後に上記試験体に対して上塗り塗装を
行なった。
【0061】そして、室温で7日間放置後、塗膜の密
着性、試験体における二酸化炭素による中性化深さの
試験(耐久性試験)を行なった。
【0062】密着性の試験 密着性は、2mm幅のゴバン目をナイフで切り、セロフ
ァンテープで剥離を行ない、塗膜の状態を目視で観察し
て評価した。その評価基準は、日本塗料検査協会の密着
性評価基準に従った。すなわち、10段階評価基準であ
り、剥離認められない場合には10点(満点)とし、全
面剥離の場合には0点とした。
【0063】二酸化炭素による中性化深さの試験 二酸化炭素による中性化深さは、試験体を室温で炭酸ガ
ス濃度5%雰囲気下に放置し、2週間、4週間後に試験
体を割り、フェノールフタレイン法により中性化深さを
測定した。
【0064】なお、比較対照用として、前記エマルショ
ン1あるいはエマルション2を使用しなかった場合、前
記エマルション1あるいはエマルション2に代えて市販
アクリル系エマルション塗料C(シリル基は有していな
い)を同様に上塗り塗装した場合(比較例1〜4に相
当)についても、同様の試験を行なった。
【0065】それぞれの結果を[表2]に併記する。
【0066】
【表2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C09D 201/00 C09D 201/00 // C08L 71/02 C08L 71/02 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B05D 7/00 B05D 7/24 302 C09D 5/00 C09D 5/02 C09D 143/04 C09D 201/00 C08L 71/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】無機質基材に対して水性シラン系浸透型吸
    水防止剤を塗布したのち、その上から下記一般式(I)
    で示されるシリル基を有する重合体を含有してなるエマ
    ルション塗料を塗装する塗膜形成方法であって、前記シ
    リル基を有する重合体が、全モノマー100重量部中、
    ポリオキシエチレン鎖を有する親水性ビニル系単量体を
    0.1〜10重量部含有するモノマー成分を重合して得
    られた重合体であることを特徴とする塗膜形成方法。 【化1】 (式中、Rは炭素数1〜10までのアルキル基、アリー
    ル基、アラルキル基より選ばれる1価の炭化水素基、X
    はハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アシロ
    キシ基、アミノキシ基、フェノキシ基、チオアルコキシ
    基、アミノ基より選ばれる基、yは0〜2までの整数、
    Siに結合するXおよびRがそれぞれ2個以上の場合、
    それらは同一の基であっても異なる基であってもよ
    い。)
  2. 【請求項2】前記一般式(I)で示されるシリル基を有
    する重合体が、 アルコキシシリル基を有するビニル系単量体1〜30重
    量部と、 ポリオキシエチレン鎖を有する親水性ビニル系単量体
    0.1〜10重量部と、 共重合可能な他のビニル系単量体とを加えて全体を10
    0重量部としたビニル系単量体混合物を、ポリオキシエ
    チレン鎖を有する陰イオン界面活性剤を用いて乳化重合
    して得た重合体である請求項1に記載の方法。
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