JP3388068B2 - ブラシレスモータの駆動方法及びその装置 - Google Patents

ブラシレスモータの駆動方法及びその装置

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JP3388068B2
JP3388068B2 JP20766595A JP20766595A JP3388068B2 JP 3388068 B2 JP3388068 B2 JP 3388068B2 JP 20766595 A JP20766595 A JP 20766595A JP 20766595 A JP20766595 A JP 20766595A JP 3388068 B2 JP3388068 B2 JP 3388068B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、永久磁石界磁形のブラ
シレスDCモータの駆動に係り、特に界磁の磁極位置セ
ンサを用いることなくモータを駆動するいわゆるセンサ
レス駆動に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種センサレス駆動方法として
は、運転中のモータの電機子巻線に生ずる速度起電力と
界磁の位置及び回転速度の相関に着目して、上記速度起
電力により、転流タイミングを決定するように構成され
ている。そして、始動時においては、同期モータあるい
はステッピングモータとして、予め設定された周波数と
電圧で強制転流し、速度起電力が十分発生する回転領域
まで負荷とバランスを保ちながら徐々に加速する方法が
一般に用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし乍ら、このよう
に構成したものにあっては、加速時間が必然的に長くな
り、低回転高トルクでの始動・運転が困難であるという
問題を有している。
【0004】即ち、速度トルク特性の不安定さによって
急速な加速制御が困難なため、強制転流モードと、推定
した位置情報のフィードバックによる同期インバータ運
転モードの2モードを有し、モータを含む動力系イナー
シャや負荷トルクとのバランスを維持しながら緩やかに
加速せざるを得ない状況であり、このことは、通常DC
モータの動力性能からかけはなれることを意味し、限ら
れた用途にしか適用できないという問題を有している。
【0005】しかも、間接的に検出せざるを得ない速度
起電力によって転流タイミングを決定しているため、特
に高負荷トルク時には、増大する転流スパイク電圧によ
り、検出できる速度起電力情報に大きな誤差が生じ、こ
れによって界磁磁極位置の推定に大きなズレを生じ、必
要なトルクを安定して発生することができないばかりで
なく、停止に陥るおそれがあるという問題を有してい
る。
【0006】本発明は、上述した点にかんがみてなされ
たもので、その目的とするところは、高い起動トルク性
と速やかな加速性及び高負荷トルク時における安定した
回転を得ることができるようにしたものを提供すること
にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
するため、発生トルクに直結する電機子電流の波形に着
目し、各相の通電領域にあらわれる2つの顕著な電流増
加領域における第2の電流増加領域を検出し、この時点
を最適な転流タイミングと決定して転流制御するように
構成したことを特徴とする。
【0008】
【作用】始動時、即ちモータへの通電初期時にあって
は、短周期の転流動作が開始されて電流が増大し、やが
て始動トルクを満足する電流に達すると、この電流の第
2の電流増加領域を検出し、この時点の転流制御により
モータが回転し始める。
【0009】始動後は、上述同様、電機子に流れる電流
の第2の電流増加領域を検出した時点で転流制御を行っ
てモータを駆動させる。
【0010】
【実施例】先ず、本発明の理解を容易にするため、基本
的なモータ挙動について説明する。モータ及び負荷には
イナーシャがあり、これは回転力を蓄積あるいは放出し
ながらトルク平滑要素として機能している。従って、負
荷トルクの変動もイナーシャによって平滑化され、これ
が電機子電流に反映される。
【0011】この電機子電流は、 (電機子電流)=[(加減速トルク)+(ロストルク)
+(軸出力トルク)]/(トルク定数)─(1) と示され、これは(モータ発生トルク)/(トルク定
数)となり、電機子電流の平均値はその時点でモータに
要求されている発生トルクの定数分の1に略平衡する。
即ち、電機子電流をIa ,モータの発生トルクをTa
トルク定数をKT とすると Ia ≒Ta /KT ─(2) で示される。
【0012】モータの高トルクでの始動とすみやかな加
速、定常運転領域での高トルク運転を可能とするために
は、上記(1)式における分子の項、即ち[(加速トル
ク)+(ロストルク)+(負荷トルク)]を満足する電
機子電流が必要であり、高加速性が要求される程、(加
速トルク)の項の電流成分が多く必要となる。
【0013】3相の電機子巻線を有する永久磁石界磁形
モータを、各相120°の矩形波状正負電圧領域をもつ
インバータ方式の3相平衡電圧源で駆動し、モータが希
望する回転方向のトルクを連続的に発生しながら回転し
ている場合の各相の電機子電流は、その印加電圧EI
速度起電力Ev 、電機子インピーダンスZa 及び速度起
電力Ev と印加電圧EI の位相(即ち、ブラシレス付D
Cモータでいうところのブラシ角)により定まり、その
平均値はおおよそ次式で示される。
【数1】
【0014】上記3相の電機子巻線を有するモータがイ
ンバータにより順次120°通電され、所望の回転方向
のトルクを連続的に発生しながら回転している場合の速
度起電力を図9に示す。
【0015】同図において、例えば電機子巻線のU−V
相間に電圧が印加され電機子電流がU相からV相に流れ
(点線矢印方向)ている通電領域についてながめると、
各電機子巻線に作用するトルクは、磁束密度をB、各相
の電機子電流をIu ,Iv ,Iw 、電機子巻線の半径を
r、巻線の有効長をL、磁束に対する垂直平面となす電
機子巻線のなす角度をθとし、界磁による磁界を平衡磁
界とし、電機子反作用を無視して考えると、次式で示さ
れる。 Tu =rIu BLsinθ Tv =−rIv BLsinθ ─(4) Tw =0
【0016】これら上記(4)式から、上記通電領域に
おけるトルクTuvは、
【数2】 同様に、他の通電領域U−W,V−W,V−U,W−
U,W−Vについても次式で示される。
【数3】
【0017】これら上式からも理解されるように、12
0°通電方式におけるモータのトルクは角度θの60°
毎に転流されることになり、平均トルク及び脈動トルク
は各相への転流の角度θによって異なる様相を呈するこ
とになる。
【0018】そして、上記トルクTuvについてみれば、
トルクTuvが正となるのはθが−30°<θ<150°
の領域で、トルク最大となるのは、θが60°の場合で
あり、この点を中心にして前後30°(計60°)をT
uvのトルク領域に設定すれば、平均トルクが最大で、ト
ルクの脈動が最小となって、モータは高効率で運転され
ることになる。
【0019】一方、3相の電機子巻線は互いに120°
の機械角を有して配置されているので、各相の速度起電
力は次のように示される。 eu =2πNrBLsinθ ev =2πNrBLsin(θ−120°) ew =2πNrBLsin(θ−240°) 従って、速度起電力の線間電圧は次式で示される。
【数4】
【0020】そして、上記通電領域におけるトルクTuv
と速度起電力の線間電圧euvとに着目すると、トルクT
uvのトルク最大となる角度θ=60°の前後30°即
ち、U相からV相への通電領域の中央に速度起電力の線
間電圧euvの波形のピークがきて、両者は、図9に示す
ように対応しているということが言える。しかも電機子
巻線に流れる3相一括の線電流はDCリンクにおいて、
同図(ホ)で示すように、2つの顕著な電流増加領域を
有する波形となっている。
【0021】上記電機子巻線の線電流の1相分に着目す
ると、その瞬時電流波形ia は、上記位相角により変化
し、図10(イ)、(ロ)、(ハ)で示すように、進相
時ia+,最適位相時ia0,遅相時ia-の三態にわかれ
る。
【0022】電機子電流ia は、正負いずれも2つの電
流ブロックより成り、1つの電流ブロックは、上記三態
のいずれにおいても、図11に示すように、2つの顕著
な電流増加領域をもつ波形を呈している。
【0023】この2つの電流増加領域のうち、図11に
おいて、Aで示す第1の電流増加領域の電流上昇は、急
峻で印加電圧と電機子巻線のインピーダンスにより定ま
り、ステップ入力電圧(EI −EV )に対するLR直列
回路電流の時間応答となる。図11において、Bとして
示す第2の電流増加領域は、正弦波状の速度起電力EV
がモータの回転につれて上昇から下降に転ずる領域で、
(EI −EV )の差が減少から増加に転ずるために現れ
るものであり、モータが同一方向の回転力を連続的に発
生している場合は必ず現れる。
【0024】即ち、図12(イ)に示すように、矩形波
状の印加電圧EI と正弦波状の速度起電力EV との差
(EI −EV )が同図(ロ)に示すように電機子巻線電
圧となり、1ブロックの電機子電流は同図(ハ)(即
ち、図11)で示すような波形となる。
【0025】そして、インバータ回路に接続されたDC
リンクに流れる電流は、図9(ホ)に示すように、略上
記3相の線電流の合計となった波形として観測される。
【0026】発生トルクは、電機子電流とトルク定数に
より定まり、かつトルク定数は位相角により大きく変化
して、KT a+<KT a0>KT a-となるので、最適
位相で転流制御され通電される時にトルク定数が最も大
きく、一定電流で通電された場合は発生トルクも最大と
なってモータが高効率で運転されることになる。
【0027】また、定常運転時において、負荷トルクが
増大すると、モータはイナーシャに蓄積された回転力を
負荷に放出しながら減速し、これにともなって速度起電
力Evが減少するので、上記(3)式右辺の分子項(E
I −EV )が増加し、その結果、電機子電流Ia が増加
して発生トルクが増加するので、[(加速トルク)+
(ロストルク)+(負荷トルク)]と(発生トルク)が
平衡する回転数まで次第に減速される。
【0028】モータの減速は、主として負荷トルクに見
合った充分なトルクが発生していないことによるもので
あり、ここで充分なトルクが発生するような電機子電流
を流せば、発生トルクが増大して減速を抑制できること
になる。
【0029】このとき、モータは減速過程にあるので、
速度起電力の周期も増大(周波数低下)しつつあるか
ら、特にEI 一定の場合、上記一電流ブロック毎に充分
な電機子電流を流すためには通電時間を長くする必要が
ある。
【0030】換言すれば、モータの速度低下に見合った
適切な通電時間と転流位相を確保するということは、即
ち、モータの界磁磁極位置と回転速度に対して適正なタ
イミングで転流制御するという必要性に合致するもので
ある。
【0031】モータの負荷トルクは、イナーシャによる
トルク平滑機能(トルク平均化機能)によって、急激な
負荷トルク変動成分が平滑化された後、電機子電流に反
映される。このことは、電機子電流の平均化によって負
荷トルクの平均値の推定が可能な事を意味している。そ
こで上記第2の電流増加領域を、電機子電流の平均値に
対して所定倍率に達した時点で判定し、この時点を最適
転流位相と決定すれば常にモータの発生トルクに応じて
転流タイミングが決定できることになる。
【0032】本発明は上述した点に着目して電機子電流
の平均化を少なくとも1倍以上の所定倍率(速度起電力
定数によって定まる速度起電力の電圧波形の波高値をモ
ータの電機子インピーダンスで除した値以下に設定さ
れ、例えば1.2倍)に増幅し、これを転流目標電流指
令として、電機子電流の瞬時と比較し、(電機子電流瞬
時値)>(転流目標電流値)の関係になった時点で転流
を行えば、負荷トルクの増大に対応した電機子電流の増
加が達成することができ、且つ転流周期をモータ回転周
期(速度起電力周期)に同期させることができるので、
重負荷トルク時においても適切な転流タイミングを決定
することができることになる。
【0033】以下、本発明の実施例を図によって説明す
る。図1は基本的な構成を示すブロック図で、同図にお
いて、1は直流電源、2は例えば3相120°通電形の
インバータ回路で、フライホイールダイオードを内蔵し
た6個のトランジスタ等から成るスイッチング素子を3
相ブリッジ接続し、かつ各スイッチング素子のベースに
ドライバー回路を設けて、6個の通電指令により各スイ
ッチング素子がオンオフ制御されて、出力端からブラシ
レスDCモータ(以下、単にモータという)3に3相1
20°通電形の交流電力を供給するようになっている。
【0034】4は上記インバータ回路2と直流電源1と
の間に介挿されたシャント抵抗からなる電流検出器で、
モータ3の電機子巻線に流れる電流を3相一括して検出
し、かつ電圧に変換して出力するようになっている。
【0035】5は、上記電流検出器4から接続されて、
上記インバータ回路2のスイッチング素子をオンオフ制
御する通電制御回路である。
【0036】これは、上記電流検出器4の出力端に、抵
抗とコンデンサからなる平均化回路5aと,比較回路5
cの入力端の一方とを接続し、比較回路5cの入力端の
他方と平均化回路5aとの間に、入力を所定倍率(例え
ば1.2倍)に増幅して出力する演算増幅器からなる増
幅回路5bを介設して、この増幅回路5bから出力され
る転流目標電流指令Vitとモータ3の電機子巻線に流れ
る3相一括の電流Viaとの両入力を比較し、Via>Vit
の関係になったとき、比較回路5cの出力端から転流指
令Vcpt を送出するようになっている。
【0037】そして、上記比較回路5cの出力端に、6
進カウンタからなる計数回路5dを介して分配回路5e
を接続して、上記転流指令Vcpt が入力する毎に1つ歩
進する歩進信号により、120°通電形の通電指令をイ
ンバータ回路2の6個のスイッチング素子のドライバー
回路にそれぞれ送出するようになっている。
【0038】即ち、通電制御回路5は、モータ3の電機
子巻線に流れる電流の瞬時値Viaが、該瞬時値を平均化
して設定される転流目標電流指令Vitに達したとき、転
流指令Vcpt を送出するようになっている。
【0039】6は、直流電源1に接続されて各回路に定
電圧電源Vccを供給する制御電源回路である。
【0040】そして、直流電源1が印加されると、制御
電源回路6から各回路に定電圧電源Vccが供給される。
これにより、回路構成及び使用部品の応答遅れによっ
て、きわめて短い周期の転流動作が開始され、モータ3
の電流も徐々に増大し、これにつれて転流目標電流指令
itも大きくなって転流周期も長くなり、やがて始動ト
ルクを満足する電流に達すると、モータ3が回転しはじ
める(即ち、始動する)。
【0041】始動後は、上記始動時と同様、モータ3の
電機子電流を検出する電流検出器4の出力を平均化し、
これを所定倍(例えば1.2倍)に増幅して転流目標電
流指令Vitをつくり、この転流目標電流指令Vitとモー
タ3の電機子電流の瞬時値Viaとを比較し、Via>Vit
の関係になったとき、比較回路5cが出力する転流指令
cpt により計数回路5dが1つ歩進して出力する歩進
信号により、次の転流タイミングの通電指令に切替え
て、インバータ回路2のスイッチング素子をドライバー
回路を介して駆動させ、これを継続して繰返し、モータ
3をセンサレスで安定駆動させる。
【0042】上記定常運転において、負荷トルクが増大
すると、モータ3はイナーシャの回転エネルギーを放出
しながら減速しはじめる。このモータ3の減速により速
度起電力が減少し電機子電流が増加して発生トルク不足
を補う方向に作用する。
【0043】転流タイミングは平均電流と電機子電流と
により定まるので、モータ3の減速直後において転流の
急変は起きず、転流位相はモータ3の速度起電力に対し
て進相となる(即ち、転流タイミングが進み傾向にな
る)。
【0044】電機子電流Viaの増加につれて平均電流値
が増加し、その結果、転流目標電流指令Vitが増大する
ので、Via>Vitの関係に達するまでの時間(即ち、転
流周期)が長くなり、モータ3の速度起電力Evに対す
る転流位相の進みが改善されていき、転流周波数は減少
していく。
【0045】この転流タイミングの進みの改善につれ
て、電機子電流ia の波形は進相時のia+(図10
(イ))から最適位相時のia0(図10(ロ))に変化
していき、トルク定数も増加して発生トルクが増大し、
[(加速トルク)+(ロストルク)+(負荷トルク)]
と(発生トルク)が平衡する回転数に達した時点で適正
な転流タイミングに復帰する。
【0046】また、負荷トルクが減少すると、該負荷ト
ルクの減少前後において発生トルクの急変は起らないと
考えると、モータ3の発生トルク中に占める負荷トルク
成分が減少するので、トルク余剰が発生し、この余剰ト
ルクが加速トルク成分に反映されて、モータ3が加速を
はじめる。
【0047】転流タイミングは平均電流と電機子電流に
より定まるので、モータ3の加速前後においても、転流
周期の急変は起らず、結果的に転流位相はモータ3の速
度起電力Ev に対して遅相となる(転流タイミングが遅
れ傾向になる)。
【0048】この結果、電機子電流ia の波形は、最適
位相時の波形ia0(図10(ロ))から遅相時の波形i
a-(図10(ハ))に変化する。この時、上述したよう
に、トルク定数も減少するので、結果的に負荷トルク減
少直後のモータ加速は緩やかである。電機子電流は、そ
の後の加速につれて印加電圧EI と速度起電力Ev との
差(EI −Ev )の減少が進み、減少の度合を深めてい
く。
【0049】電機子電流の減少につれて平均値が減少
し、その結果、転流目標電流指令が低下するので(電機
子電流瞬時値)>(転流目標電流指令)の関係に達する
時間(即ち転流周期)が短くなり、モータの速度起電力
v に対する転流の遅れが改善されていき、転流周波数
は増加していく。
【0050】転流タイミングの遅れの改善につれて、電
機子電流ia の波形は、遅れ転流タイミングの波形ia-
(図10(ハ))から最適転流タイミングの波形i
a0(図10(ロ))に変化していき、トルク定数も増加
してモータの加速がすすみ[(加速トルク)+(ロスト
ルク)+(負荷トルク)]と(発生トルク)が平衡する
回転数に達した時点で、適正な転流タイミングに復帰す
る。
【0051】このように平均電流によって転流目標電流
指令を自動的に設定し、これとモータ電流とを比較し、
モータ電流が上記転流目標電流指令を超えたとき、即ち
(モータの電機子電流)>(転流目標電流指令)の関係
に達した時点で転流指令を出力し、これによって計数回
路を歩進させ、次の転流タイミングの通電指令に切替え
てインバータ回路を駆動し、これを継続させることによ
って永久磁石界磁形ブラシレスモータをセンサレスで安
定駆動する。
【0052】そして、負荷トルクの変動によるモータの
加減速現象に対しても、転流タイミングの自己修復能力
をもってモータを駆動させることができることになる。
【0053】図2は、本発明の他の実施例を示すブロッ
ク図である。図1と同等の部材は同一符号を付し、重複
する説明は省略することとする。図1と異なる点は、電
機子電流の瞬時値を、通電制御回路5の比較回路5c
に、抵抗とコンデンサ、又は抵抗、コンデンサとリアク
トルで形成されたローパスフィルタ回路5fを介して入
力させるように構成したことである。
【0054】これにより、インバータ回路2がパルス幅
制御される場合であってもモータ3に印加されるチョッ
パ状電圧の高調波成分を除去し、転流目標電流指令に実
効の電機子電流が到達する時間を安定させることによ
り、電機子電流のフラツキを防止して発生トルクを安定
化させ、安定したモータ駆動を実現することができる。
【0055】図3,図4は本発明の他の実施例を示すブ
ロック図である。なお、図1,図2と同等の部材は同一
符号を付し重複する説明は省略することとする。図1と
異なる点は、図2と同様、電機子電流をローパスフィル
タ回路5fを介して比較回路5cに入力せしめるよう形
成すると共に、上記ローパスフィルタ回路5fと比較回
路5cとの間に、ローパスフィルタ回路5fの出力を転
流指令毎に短絡あるいは開放するゼロリセット手段を設
けて構成したことにある。
【0056】そして、上記ゼロリセット手段は、図3に
おいては、ローパスフィルタ回路5fの出力端と比較回
路5cの入力端との間に常閉形のスイッチS1 を設け、
このスイッチS1 を、上記転流指令によってワンパルス
信号を送出するパルス回路を備えた比較回路5cの上記
ワンパルス信号により開路せしめてゼロリセットするよ
うに構成されている。
【0057】また、図4においては、ローパスフィルタ
回路5fの出力端と回路接地間に、常開形のスイッチS
2 を挿入し、このスイッチS2 を、上述同様、パルス回
路を備えた比較回路5cの上記ワンパルス信号によって
閉成してゼロリセットするように構成されている。
【0058】なお、上記パルス回路は比較回路5cに具
備せしめるように説明したが比較回路5cと別に設けて
もよい。
【0059】このように構成した場合、ローパスフィル
タ回路5fを介した電機子電流情報は転流毎に確実にゼ
ロリセットされるため、電流ピークとゼロ点が明確とな
り、比較回路5cは転流指令を的確に送出することがで
きる。
【0060】図5と図6は、本発明の更に他の実施例を
示すブロック図である。なお、図1乃至図4と同等部材
は同一符号を付し、重複する説明は省略することとす
る。図1乃至図4と異なる点は、通電制御回路5に、上
記ゼロリセット手段と、電機子電流波形の波形改善手段
とを具備せしめて、転流毎にゼロリセットせしめると共
に、電機子電流波形に関わる弧状部分を顕著化して、よ
り高トルク領域での転流指令の安定性を図るよう構成し
たことである。
【0061】図5における波形改善手段は、ローパスフ
ィルタ回路5fの出力端に、該回路5fの出力(即ち、
電機子電流)から平均化回路5aの出力(即ち、平均電
流)を減算して出力する減算回路5gと、これの出力
(即ち、両者の差)を増幅する増幅回路5hと、これの
出力を上記平均化回路5aの出力に加算する加算回路5
iとを設け、この加算回路5iの出力と増幅回路5bを
介した上記平均化回路5aの出力(即ち、転流目標電流
指令)とを比較して転流指令を発生するように形成し、
かつゼロリセット手段は、上記ローパスフィルタ回路5
fの出力端と回路接地間に常開形のスイッチS2 を挿入
して、構成したことにある。
【0062】図6における波形改善手段は、ローパスフ
ィルタ回路5fの出力端に、該回路5fの出力から平均
化回路5aの出力を減算する減算回路5gと、これの出
力を増幅する増幅回路5hとを設けて、増幅回路5hの
出力を、新たな電機子電流として、平均化回路5jを介
して所定倍率に増幅する増幅回路5bの出力(即ち、転
流目標電流指令)と上記増幅回路5hの出力(即ち、新
たな電機子電流)とを比較して転流指令を送出するよう
形成し、かつゼロリセット手段は、上記ローパスフィル
タ回路5fの出力端と回路接地間に常開形のスイッチS
2 を挿入して、構成したことにある。
【0063】このように構成した場合、電機子電流波形
の弧状部分を拡大することができるので、電機子巻線抵
抗が高いモータであっても、高負荷トルクで運転されて
も、転流目標電流指令がきわめて大きくかつ、きわめて
大きな遅相状態で指令されることもなく、一時的な失速
と再始動を繰り返したり完全停止状態で振動したり等異
常回転を惹起することなく、転流指令を最適位相で送出
することができ、高トルク領域での運転を安定して行う
ことができる。
【0064】図7及びこの図7を更に具体化して示す図
8は、本発明の他の実施例を示したものである。これ
は、図1乃至図6と異なる点は、始動性能をより改善す
るため、通電制御回路5に始動補償手段を具備せしめて
構成したことにある。
【0065】即ち、図7においては、比較回路5cの入
力端の一方に電流検出器4の出力(即ち、3相一括の電
機子電流)をローパスフィルタ回路5fを介して入力せ
しめると共に、比較回路5cの入力端の他方には、上記
増幅回路5bの出力(即ち、転流目標電流指令)と、始
動時、必要とするトルクを発生するに充分な電流が流れ
るような始動時の転流目標電流指令(以下始動電流指令
という)を送出する始動補償回路5lの出力とを優先回
路5mを介して、入力せしめるよう形成して、通電初期
においては始動電流指令に電機子電流が達した時点で転
流指令が送出されてモータ3が回転し、その後、平均電
流により設定されたいわゆる定常運転用の転流目標電流
指令に滑らかに自動切替えされ、高トルクで運転され、
速やかに加速していく。
【0066】図8は、図7をさらに具体化して示すブロ
ック図である。同図において、1は直流電源、2は入力
端P,Nが上記直流電源1に接続されて、モータ3に直
流電力を3相交流電力に変換して供給するようにしたイ
ンバータ回路である。これは、入力端PにPNP形トラ
ンジスタQu,Qv,Qwのエミッタを接続し、このト
ランジスタQu,Qv,Qwのコレクタには、回路接地
した入力端Nにエミッタを接続したトランジスタQx,
Qy,Qzのコレクタをそれぞれ接続して複数のアーム
を形成し、これら6個のトランジスタQu〜Qzのベー
スには、ベース駆動回路BDu,BDv,BDw,BD
x,BDy,BDzがそれぞれ接続されて、上記ベース
駆動回路BDu〜BDzを介してトランジスタQu〜Q
zを120°通電制御するようになっている。なお、ト
ランジスタQu〜Qzの端子間には、フリー・ホイール
・ダイオードDu,Dv,Dw,Dx,Dy,Dzがそ
れぞれ逆並列に接続されている。
【0067】4は入力端Nとインバータ回路2との間に
抵抗Rsを挿入して、モータ3の電機子電流を3相一括
して検出し、電圧に変換して出力するようにした電流検
出器である。5は、上記インバータ回路2のトランジス
タQu〜Qzを120°通電制御する通電制御回路であ
る。
【0068】これは、上記電流検出器4の出力端と回路
接地間に抵抗R1 とコンデンサC1を直列に挿入し上記
抵抗R1 とコンデンサC1 との接続点から入力電圧を平
均化して出力する平均化回路5aと、これの出力端に非
反転入力端子を接続した演算増幅器A1 及び抵抗R2
3 よりなる増幅回路であって、上記演算増幅器A1
反転入力端子と出力端子間に抵抗R2 を挿入し、上記反
転入力端子と回路接地間に抵抗R3 を挿入して、演算増
幅器A1 の出力端子から入力電圧を所定倍率(例えば、
1.2倍)に増幅した出力を送出するようにした非反転
増幅回路5bと、定電圧電源Vccと回路接地間に、コ
ンデンサC2 と抵抗R4 を直列に挿入し、抵抗R4 の端
子間にアノード接地のダイオードD1 を並列接続して、
上記コンデンサC2 と抵抗R4 との接続点からモータ3
の始動に必要なトルクを発生させるに十分な電流に対応
する電圧としての始動電流指令を送出するようにした始
動補償回路5lと、
【0069】これの出力端にダイオードD2 とD3 のカ
ソードが共通接続された上記ダイオードD2 のアノード
を接続すると共に、ダイオードD3 のアノードを上記非
反転増幅回路5bの出力端に接続して、上記共通接続し
たカソードから始動補償回路5lと非反転増幅回路5b
のいずれ一方の出力を選択して送出するようにした優先
回路5mと、上記電流検出器4の出力端と回路接地間に
抵抗R5 とコンデンサC3 とを直列に挿入して、抵抗R
5 とコンデンサC3 の接続点から、電機子電流に含まれ
る高調波成分を除去して出力するようにしたローパスフ
ィルタ回路5fと、これの出力端に非反転入力端子が接
続された演算増幅器からなる比較器COM1 の反転入力
端子を上記優先回路5mの出力端に接続し、比較器CO
1 の出力端子に単パルス発生器MB1 の入力端Aを接
続して、出力端Qから、上記比較器COM1 の出力の立
上り毎にワンパルス信号を転流指令Vcptとして送出
するようにした比較回路5cと、
【0070】これの出力端に入力端CKを接続して、6
個の出力端Q0 〜Q5 から入力の立上り毎に順次歩進し
て(例えばQ0 →Q1 →Q2 →Q3 →Q4 →Q5 →Q0
の順に)“H”レベルの出力信号を送出するようにした
6進カウンタからなる計数回路5dと、6個のオアー回
路OR1 〜OR6 を備え、オアー回路OR1 とOR5
入力端の一方を上記計数回路5dの出力端Q0 に、オア
ー回路OR1 の入力端の他方とオアー回路OR6 の入力
端の一方を出力端Q1 に、またオアー回路OR2 の入力
端の一方とオアー回路OR6 の入力端の他方を出力端Q
2 に、更に、オアー回路OR2 の入力端の他方とオアー
回路OR4 の入力端の一方を出力端Q3に、更にまた、
オアー回路OR3 の入力端の一方とオアー回路OR4
入力端の他方を出力端Q4 に、また、オアー回路OR3
とOR5 の入力端の他方を出力端Q5 にそれぞれ接続し
て、上記オアー回路OR1 〜OR6 の出力端から上記イ
ンバータ回路2のベース駆動回路BDu〜BDzの入力
端u〜zに通電指令をそれぞれ送出するようにした分配
回路5eと、
【0071】上記比較回路5cの比較器COM1 の非反
転入力端子に、エミッタ接地のトランジスタQ1 のコレ
クタを接続し、このトランジスタQ1 のベースを抵抗R
6 を介して比較回路5cの単パルス発生器MB1 の出力
端Qに接続し、トランジスタQ1 のベース・エミッタ間
に抵抗R7 を挿入して、比較回路5cが転流指令を送出
する毎にトランジスタQ1 をオンさせて電機子電流をゼ
ロリセットするようにしたリセット回路5nとを具備し
て構成されている。
【0072】6は入力端P,N間に挿入されて、定電圧
電源Vccを各回路に供給するようにした制御電源回路
である。
【0073】次にその動作について説明する。直流電源
1が印加されると、制御電源回路6から各回路に定電圧
電源Vccが供給される。これにより始動補償回路5l
は、コンデンサC2 と抵抗R4 により形成された微分回
路により、抵抗R4 に発生する微分パルス状の電圧、即
ち始動トルクを発生させるに十分な電流を電圧として始
動電流指令を送出する。これをうけた優先回路5mは入
力の高い方が優先されるため、ダイオードD2 が導通
し、始動電流指令が転流目標電流指令Vitとして比較回
路5cの比較器COM1 に送出する。
【0074】一方、上記定電圧電源Vccをうけた計数回
路5dは出力端(例えばQ0 )から“H”レベルの出力
信号が歩進信号として分配回路5eに与えられる。これ
をうけた分配回路5eは、オアー回路(例えばOR1
OR5 )からインバータ回路2のベース駆動回路(例え
ばBDuとBDy)に通電指令を送出し、トランジスタ
(例えばQuとQy)がオンされ、モータ3の電機子巻
線例えばU−V間にU側を正とする直流電圧が印加さ
れ、上記U−V間に直流電圧EI と初速度0とする速度
起電力Ev との差電圧Va (EI −Ev )とU−V巻線
間の固有のインピーダンスZuv及び通電時間により定ま
る電機子電流iuvが流れる。
【0075】この電機子電流iuvは電流検出器4により
電圧に変換され、ローパスフィルタ回路5fを介して電
機子電流Viaとして比較回路5cの比較器COM1 に与
えられる。比較器COM1 は両入力VitとViaがVia
itの関係になったとき、出力信号が“H”レベルに反
転する。これをうけた単パルス発生回路MB1 は入力の
立上りでワンショットのパルス信号を転流指令として計
数回路5dに送出する。計数回路5dは入力の立上りで
カウントして歩進し、出力端例えばQ1 から“H”レベ
ルの出力信号を歩進信号として分配回路5eに送出す
る。分配回路5eはオアー回路例えばOR1 とOR6
出力端から通電指令を送出し、インバータ回路2のベー
ス駆動回路BDuとBDzを介してトランジスタQu,
Qzをオンする。
【0076】この際、計数回路5dは歩進動作により、
出力端Q0 の出力信号が“L”レベルに反転するため、
分配回路5eのオアー回路OR5 の出力信号も“L”レ
ベルに反転し、トランジスタQyはオフする。
【0077】また、上記電流検出器4から電機子電流を
電圧に変換してうけた平均化回路5aは抵抗R1 を介し
てコンデンサC1 が充電され、抵抗R1 とコンデンサC
1 の接続点から平均化した電流が電圧として出力され、
増幅回路5bにより所定倍率(例えば1.2倍)に増幅
されて優先回路5mに出力されることになるが、優先回
路5mは両入力のいずれか高い方が優先されるため、ダ
イオードD3 は不導通のままである。
【0078】そして、上記始動補償回路5lの出力、即
ち始動時の転流目標電流指令は、初期値を始動トルク相
当の値とし、以降、抵抗R4 とコンデンサC2 のCR時
定数で定まる時限を有して減少していく指令となる。換
言すれば、時間に対して負の勾配をもつ時間関数の指令
となる。
【0079】一方、モータ3は始動後(例えば1〜2回
転後)、高効率、高トルクで運転され、速やかに加速さ
れる。この加速により電機子電流を平均化した出力は、
平均化回路5a固有の時定数から定まる時限を有して上
昇し、これを所定倍率で増幅した出力が優先回路5mに
与えられることになり、ダイオードD3 のアノード電位
が、そのカソード電位に該ダイオードD3 の順方向電圧
降下分を加えた値に達したとき、上記ダイオードD3
導通し(ダイオードD2 が不導通となる)、以降、電機
子電流を平均化した電流によって設定される転流目標電
流指令Vitによりモータ3が運転される。
【0080】このように、始動時の転流目標電流指令か
ら定常運転時の転流目標電流指令への移行は、きわめて
滑らかに、かつ自動的に切換えられることになる。この
切換後は、上述同様、電機子電流Viaとこれを平均化し
所定倍率で増幅して設定される転流目標電流指令Vit
ia>Vitの関係に達したとき、比較回路5eから転流
指令が送出され、これによって出力される計数回路5d
の歩進信号により分配回路5eから通電指令が対応する
インバータ回路2のトランジスタにベース駆動回路を介
して送出され、当該トランジスタをオンさせていわゆる
モータ3をインバータ駆動させる。
【0081】なお、上記比較回路5cから転流指令が送
出される毎に、リセット回路5nのトランジスタQ1
オンされ電機子電流Viaはゼロリセットされる。これに
より電流のゼロ点が明確になり、比較回路5cは的確な
転流指令を送出することになり、より高トルク領域での
運転の安定性を増大させることができる。
【0082】図13は上記図1〜図8における計数回路
5d及び分配回路5eをディジタル化した実施例を示し
たものである。同図において、5pは上記比較回路5c
の出力端に接続されたマイクロコンピュータ(以下マイ
コンという)からなる演算処理部である。
【0083】これは、比較回路5cの出力端に接続され
て、転流指令の安定化を図るノイズデバンス機能と停止
・加速・減速・異常高速の各転流モードを判定する周期
管理機能とを備えた判定手段5p1 と、これの判定信号
毎にカウントして「0」〜「5」まで1つづつ歩進し、
「6」に達すると「0」にリセットするいわゆる6進の
カウンタ機能を有する歩進手段5p2 と、これの歩進信
号毎に通電指令を送出して上記インバータ回路2のトラ
ンジスタQu〜Qzを順次通電制御する分配手段5p3
と、上記判定信号毎に上記リセット回路5nにゼロリセ
ット信号を送出するリセット手段5p4 とを具備して構
成されている。
【0084】そして、上記判定手段5p1 のノイズデバ
ンス機能は、上記転流指令の1イベントにより起動し、
内部クロック信号を分周した所定の周期でN回(例えば
6回)サンプリング確認して確実な転流指令を判定する
ようになっている。また、該判定手段5p1 の転流周期
管理機能は、上記ノイズデバンス機能と連係して内部ク
ロック信号により転流指令の周期をチェックし、停止・
加速・減速又は異常高速の各転流モードを弁別判定する
ようになっている。
【0085】上記各転流モードの判定基準は、例えば 停止モード───(転流周期)>0.1秒 異常高速モード───(転流周期)<1/(6×仕様により定まる最高回転時 周波数) 加速モード───(前々回の転流周期)−(前回の転流周期) =(周期偏差)>0 減速モード───(前々回の転流周期)−(前回の転流周期) =(周期偏差)>0 によって判定するようになっている。なお、この実施例
での転流周期は、前回の転流処理終了後から内部クロッ
ク信号によりカウントした転流判定が開始されて転流指
令の確認が終了するまでの時間となる。
【0086】上記判定により、停止モードと判定した場
合は始動処理を行い、異常高速モードと判定した場合
は、一旦停止処理を行った後、始動処理が行われる。
【0087】また、加速モードと判定した場合は、先ず
今回の加速モードの予想転流周期を算出する。これは、
前回の転流周期をCt2,周期偏差をTe ,最大加速係数
をKu とすると、予想転流周期Cfaは Cfa=Ct2−Ku ×Te ───(7) で演算される。上記(7)式において、最大加速係数K
uは、モータと負荷を含めたイナーシャと、モータとイ
ンバータとで定まる電機子電流の最大値とから定まる係
数(例えば1.4)である。
【0088】そして、前回の転流周期Ct2と予想転流周
期Cfaと転流指令までの周期との関係が Ct2>(転流指令までの周期)>Cfa にあるときは、転流指令により上記歩進手段5p2 を応
動させ、その歩進信号により分配手段5p3 を介してイ
ンバータ回路2のトランジスタQu〜Qzをオンオフ制
御する通電指令を送出するようになっている。
【0089】また、上記予想転流周期Cfaと転流指令ま
での周期との関係が (転流指令までの周期)<Cfa にあるときは、上記予想転流周期Cfaにより歩進手段5
2 を応動させ、その歩進信号により分配手段5p3
介してインバータ回路2に上述同様、通電指令を送出す
るようになっている。
【0090】更に、減速モードと判定した場合は、上述
同様、先ず今回の減速モードの予想転流周期を算出す
る。これは前回の転流周期をCt2、周期偏差をTe 、最
大減速係数をKd とすると、予想転流周期Cfdは Cfd=Ct2+Kd ×Te ───(8) から演算される。上記(8)式において、最大減速係数
をKdは、モータ及び負荷を含めたイナーシャと仕様で
定める回転数−トルク特性における回転数に応答する最
大回転力(出力トルク)と、粘性抵抗及び回転数から定
めるロストルクと、電機子の発生トルクと、負荷トルク
の時間当りの増加分とにより定まる係数(例えば1.
7)である。
【0091】そして、前回の転流周期Ct2と今回の予想
転流周期Cfdと転流指令までの周期との関係が Ct2<転流指令までの周期)<Cfd にあるときは転流指令により上記歩進手段5p2 を応動
させ、その歩進信号により、分配手段5p3 を介して、
インバータ回路2に通電指令を送出するようになってい
る。
【0092】また、上記予想転流周期Cfdと転流指令ま
での周期との関係が (転流指令までの周期)>Cfd にあるときは、予想転流周期Cfdにより歩進手段5p2
を応動させ、その歩進信号により、上述同様、分配手段
5p3 を介してインバータ回路2に通電指令を送出する
ようになっている。
【0093】上記分配手段5p3 は、あらかじめ6個の
歩進信号(例えば「0」〜「5」)に対応させて組合さ
れたインバータ回路2のトランジスタQu〜Qz(例え
ばQuとQy,QuとQz,QvとQz,QvとQx,
QwとQx,QwとQy)に、歩進信号をデコードしそ
の出力信号を通電指令として送出するようになってい
る。
【0094】上記リセット手段5p4 は、上記トランジ
スタQu〜Qzの通電制御後、所定の時間幅を有したパ
ルス信号をゼロリセット指令として、上記リセット回路
5nに送出して電機子電流を転流毎に確実にゼロリセッ
トさせるようになっている。
【0095】次に、その動作を図8並びに図15乃至図
19に示すフローチャート図と共に説明する。図示しな
い電源スイッチの投入により、直流電源1がインバータ
回路2に供給されると共に、制御電源回路6から定電圧
電源Vccが各回路に供給される。
【0096】これにより、図15に示す初期設定が行わ
れる(ステップ100)。これは、図16に示すよう
に、演算処理部5pの図示しない内部メモリにあらかじ
め書き込んだ初期の転流周期Ct0を前回の転流周期Ct2
に、また今回の転流周期Ct1に上記Ct0よりも小さい値
をそれぞれセットし、かつ異常フラグをリセットする
(ステップ107)。
【0097】次いで、始動補償回路5lの図示しない電
源スイッチを閉路する。これにより、定電圧電源Vcc
始動補償回路5lに供給される(ステップ108)。
【0098】次に、予想転流周期の演算が行われる(ス
テップ109)。これは、図19に示すように、内部メ
モリの前々回の転流周期Ct3に前回の転流周期Ct2をセ
ットし(ステップ110)、また、内部メモリの前回の
転流周期Ct2に今回の転流周期をセットして(ステップ
111)、前々回の転流周期Ct3と前回の転流周期Ct2
の周期偏差Te (=Ct3−Ct2)を算出し(ステップ1
12)、この周期偏差Te が加速・等速モードか否かを
判定する(ステップ113)。
【0099】これは、上記周期偏差Te がTe ≧0であ
れば、加速・等速モード(以下加速モードという)と判
定し、Te <0であれば減速モードと判定する。
【0100】始動時の初期設定であるので、加速モード
と判定し、加速モードの予想転流周期Cfa(=Ct2−K
u ・Te )を算出し(ステップ114)、この予想転流
周期Cfaは、始動時にあっては、下限の転流周期Ctd
fa<Ctdの関係にあり(ステップ115)、かつ異常
高速でもないので(ステップ116)、ワンショットパ
ルス信号をゼロリセット指令としてリセット回路5nに
送出し(ステップ117)、リセット回路5nのトラン
ジスタQ1 をオンさせて比較回路5cの比較器COM1
に入力される電機子電流Viaをゼロリセットして、初期
設定(ステップ100)が終了する。
【0101】次いで、初期通電が実行される(ステップ
101)。これは始動時にあっては、歩進手段5p2
強制的に応動させ、その歩進信号により分配手段5p3
を介してインバータ回路2に通電指令が送出され、例え
ばトランジスタQu,Qyがオンして初期通電が終了す
る。
【0102】次に、転流判定が実行される(ステップ1
02)。これは図17に示すように、転流周期を図示し
ない内部カウンタ用クロック信号により計時する周期カ
ウンタを0からスタートさせるが(ステップ122)、
始動時においては、当然ながら加速モードであり(ステ
ップ123)、上記周期カウンタの値が予想転流周期C
fa以上に達した後、(ステップ124)、既に実行済の
上記ステップ108によって始動補償回路5lから優先
回路5mを介して送出されている始動時の転流目標電流
指令Vitと電流検出器4からローパスフィルタ回路5f
を介して送出される電機子電流ViaとがVia>Vitの関
係になって単パルス発生回路MB1 から転流指令が出力
されたかを判断し(ステップ125)、上記転流指令の
安定状態を所定周期(例えば)N回確認し(ステップ1
26)、確認後、上記周期カウンタのカウント値を今回
の転流周期Ct1にセットし(ステップ127)、このセ
ットした今回の転流周期Ct1が初期転流周期Ct0以下で
あることを判定して(ステップ128)、転流判定が終
了する。
【0103】次いでステップ103の転流が実行され
る。これは、歩進手段5p2 の6進カウンタを1つカウ
ントアップさせ(ステップ134)、このカウント値を
分配手段5p3 においてデコードして(ステップ13
5)、インバータ回路2に通電指令が送出され例えばト
ランジスタQu,Qzをオンさせて(Qyはオフ)、転
流を終了する。
【0104】次に、ステップ104の予想転流周期を、
上述同様、図19により演算処理して実行し、異常フラ
グもセットされていないので(ステップ105)、ステ
ップ102に戻って継続的に実行され、モータ3は滑ら
かに始動し、極めて高トルクで運転され速やかに加速さ
れる。万一、最初の通電指令で希望する方向の回転力が
発生しない場合が生じても、転流周期毎に電機子電流と
界磁磁極の位置関係が転流によって切替えられ、5回以
内の転流で所望の回転力が発生するので、短い時間後に
始動させることができる。
【0105】そして、電流検出器4からの電機子電流の
平均電流により設定された定常運転用の転流目標電流指
令値が始動時の転流目標電流指令値より高い値になると
優先回路5mのダイオードD3 が導通し(D2 は不導
通)、以降、平均電流により設定される転流目標電流指
令に滑らかに自動切替され、以降、平均電流による転流
目標電流指令により転流タイミングが制御されてモータ
3が運転される、即ち定常運転に入る。
【0106】定常運転状態となったモータ3の負荷が変
動し負荷トルクが減少して、モータ3が加速された場合
について説明すると、図19に示すステップ115にお
いて、加速モードの予想転流周期Cfaと下限の転流周期
tdとがCfa<Ctdの関係でなければ、異常運転状態に
あるとみなして異常フラグをセットして(ステップ11
8)、ゼロリセット指令を送出した後(ステップ11
7)、図15に示すステップ105において、異常と判
定し、モータ3を停止させ(ステップ106)、始動時
の初期設定(ステップ100)に戻って実行される。
【0107】この際、上記ステップ115において、上
記予想転流周期Cfaと下限の転流周期CtdとがCfa<C
tdの関係にあっても、次のステップ116において、異
常高速[本例ではCt1<1/(6×最高回転数時の周波
数)]と判定したときは、上述同様、異常フラグをセッ
トし(ステップ118)、ステップ117を介してステ
ップ105において異常と判定し、上述同様、初期設定
(ステップ100)に戻って実行される。
【0108】次に、負荷トルクが増加し、モータ3が減
速された場合について説明すると、図19に示すステッ
プ113において、減速モードと判定し、減速モードの
予想転流周期Cfdの算出が実行され(ステップ11
9)、この算出された予想転流周期Cfdと上限の転流周
期CtuとがCfd>Ctuの関係にあれば(ステップ12
0)、異常減速(本例ではCt1>0.1秒)かを判定し
(ステップ121)、異常減速でなければ、ステップ1
17を介してステップ105において異常でないと判定
し、ステップ102に戻ってくりかえし実行される。
【0109】この際、上記ステップ102において、C
fa<Ctuの関係になければ、異常フラグをセットし(ス
テップ118)、ステップ117を介して、ステップ1
05において異常と判定し、モータ3を停止させ(ステ
ップ106)、再始動のために、初期設定(ステップ1
00)に戻って実行される。また、上記ステップ121
において、異常減速と判定すれば、異常フラグをセット
し(ステップ118)、ステップ105において異常と
判定し、上述同様、モータ3を停止させ(ステップ10
6)、初期設定(ステップ100)に戻って実行され
る。
【0110】また、図17に示すステップ123におい
て、減速モードと判定すれば、周期カウンタのカウント
値が前回の転流周期Ct2以上であれば、(ステップ13
0)、次いで上記カウント値が予想転流周期Cfd以下か
を判定し(ステップ131)、Cfd以下であれば転流指
令かを判定し(ステップ132)、この転流指令の安定
状態をN回確認した後(ステップ133)、上記カウン
ト値を今回の転流周期Ct1にセットし(ステップ12
7)、このセットされた今回の転流周期Ct1と初期転流
周期Ct0とがCt1≦Ct0の関係にあれば、ステップ10
3を実行し、もし上記Ct1≦Ct0の関係になければ、異
常フラグをセットし(ステップ129)、ステップ10
4を介してステップ105において、上記異常フラグに
より異常と判定し、モータ3を停止させ(ステップ10
6)、初期設定(ステップ100)に戻って実行され
る。
【0111】本実施例によれば、転流指令の安定状態を
N回確認後通電指令を送出するノイズデバンス機能をも
たせるようになっているので、ノイズ混入による誤転流
を防止することができ、これに連係して転流周期を監視
する周期管理機能をもたせているので、負荷急変に対す
る転流タイミングの応答遅れを改善することができ、高
負荷トルク時や外乱トルクに対する安定性を向上させる
ことができる。また、負荷の外乱などによって、仕様外
の異常な高速や低速運転に陥りそうな場合にも、事前に
察知して安全に停止し、かつ再始動させることができ
る。
【0112】図14は、更に他の実施例を示したもの
で、通電制御回路5がマイコンによって形成されてい
る。これは電流検出器4から出力される電機子電流をデ
ジィタル信号に変換し、これを所定時間(例えば50μ
S)毎にサンプリングして、その値を、複数個(例えば
4個)の最新データが常に記憶されるようにしたサンプ
リング用データバッファに出力するA/D変換手段5r
1 と、
【0113】上記サンプリング用データバッファに記憶
された複数個のサンプリング値を読出して平均化演算処
理し、その平均値m1 を電機子電流情報Viaとしてロー
パス用データバッファに出力するローパスフィルタ手段
5r3 と、
【0114】上記平均値m1 をP個(Pは正の整数、例
えば32)読出して平均値演算処理し、この平均値m2
を増倍(例えば1.2倍)して転流目標電流指令Vit
して、転流目標用データバッファに出力する平均化手段
5r2 と、
【0115】上記両情報ViaとVitを比較し、Via>V
itの関係になったとき、転流指令を、該指令入力毎にイ
ンクリメントし、N回(例えば6)になると「0」にリ
セットされるようにして、確実な転流判定を期した転流
指令用データバッファに出力する比較手段5r4 と、上
記N回の転流指令の安定性の確認並びに停止、加速(等
速)・減速・異常高速の各転流モードとを判定して判定
手段5r5 と、これの判定信号毎に内部メモリの当該領
域データを「0」から「5」まで1つづつインクリメン
ト、いわゆる1個宛歩進し「6」に達する毎にゼロリセ
ットする6進カウンタ機能を備えた歩進手段5r6 と、
【0116】これの「0」から「5」までのカウンタ情
報に対応して、あらかじめ上述同様、インバータ回路2
のトランジスタQu〜Qzを組合せて、上記カウンタ情
報をデコードしてトランジスタQu〜Qzを順次通電せ
しめる通電指令を出力する分配手段5r8 と、上記判定
手段5r5 の判定信号毎に上記ローパス用データバッフ
ァのデータをゼロリセットさせるリセット指令を出力す
るリセット手段5r7とを具備して構成されている。
【0117】次にその動作を図20並びに図15〜図1
9と共に説明する。なお図15乃至図19に関し重複す
る説明はできるだけ省略することとする。図示しない電
源の投入により、直流電源1がインバータ回路2に供給
されると共に、制御電源回路6から定電圧電源Vccが通
電制御回路5に供給される。
【0118】これにより、図15及び図16に示すよう
に、内部メモリの今回の転流周期と前回の転流周期のデ
ータエリアに初期値をセットし、予想転流周期を算出す
る初期設定処理が行われ(ステップ100)、次いで初
期通電処理が行われ(ステップ101)、内部メモリの
歩進データ領域の値(例えば0)に対応した通電指令が
インバータ回路2に送出され、トランジスタ(例えばQ
uとQy)をオンして、電機子巻線(例えばU−V相)
に電流が流れる。
【0119】次いで、転流判定処理(ステップ102)
が行われる。これは、図17に示すように、内部タイマ
により、転流指令までの周期を計時する周期カウンタを
0からスタートさせ(ステップ122)、上述同様、周
期偏差Te がTe ≧0の関係にあれば、加速・等速(以
下加速という)と判定し(ステップ123)、上記周期
カウンタのカウント値が加速の予想転流周期Cfa以上か
を判定する(ステップ124)。
【0120】一方、上記電機子巻線の例えばU−V相に
流れた電流は、電流検出器4を介して、3相一括して電
圧で出力され、これをA/D変換手段5r1 により、デ
ータ取込処理が行われる。即ち、図20に示すように、
上記電機子巻線に流れた電流は、ディジタル信号に変換
され(ステップ137)、これを所定時間毎にサンプリ
ングし、そのサンプリング値を複数個(例えば4個)の
サンプリング用データバッファに出力する(ステップ1
38)。データ取込完了フラグをセットして(ステップ
139)、データの取込処理を終了する。
【0121】上記ステップ124が終了すると、転流指
令の判定が行われる(ステップ125)。これは、上記
データ取込処理が完了しているか否かをデータ取込完了
フラグにより判定し、完了していれば、ローパスフィル
タ手段5r3 によりサンプリング用データバッファから
複数個(例えば4個)のサンプリング値を読出して平均
値演算処理し、その平均値m1 を電機子電流情報Via
してローパス用データバッファに出力する。
【0122】次いで、平均化手段5r2 により、上記ロ
ーパス用データバッファに記憶された平均値m1 をP個
(例えば32個)読出して平均値演算処理し、その平均
値を増倍(例えば1.2倍)し、転流目標電流情報Vit
として転流目標用データバッファに出力する。
【0123】なお、上記サンプリング用データバッファ
に記憶される複数個(例えば4個)のデータは、複数個
+1個(例えば4個+1個)目から順次シフトされて、
サンプリング用データバッファには常に最新のデータが
記憶される。従って、上記演算処理された平均値m1
2 は移動平均された値となる。
【0124】そして、比較手段5r4 により上記ローパ
ス用データバッファと転流目標用データバッファとから
電機子電流情報Viaと転流目標電流情報Vitとを読出し
てVia≧Vitの関係になったとき、転流指令を、判定毎
にカウントアップしN回(例えば6回)カウントする
と、N+1回で上記カウント値を「0」にリセットされ
る転流指令用データバッファに出力する。
【0125】次いで、判定手段5r5 により、上記転流
指令用データバッファのカウント値がNになったこと
(即ち、転流指令がN回あったこと)を判定し、(ステ
ップ126)、上述同様、ステップ127,128が実
行されると共に、上記判定信号によりリセット手段5r
7 がローパス用データバッファにリセット指令を出力し
てデータをゼロリセットして転流判定処理(ステップ1
02)を終了する。
【0126】次に、上述同様、上記判定信号により、歩
進手段5r6 が内部メモリの当該領域のデータを1つカ
ウントアップし(ステップ134)、このカウントアッ
プした値を分配手段5r8 によりデコードして対応する
インバータ回路2のトランジスタ(例えばQu,Qz)
に通電指令を送出する転流処理(ステップ103)が実
行される。
【0127】そして、上述同様、予想転流周期処理(ス
テップ104)が実行され、異常がなければ(ステップ
105)、ステップ102に戻って繰返し実行されてモ
ータ3が駆動する。
【0128】なお、モータ3の定常運転において負荷が
変動した場合、モータ3の減速の場合は上述同様に動作
するので説明を省略する。
【0129】この実施例によれば、通電制御回路5はマ
ンコンで構成するので、制御回路の小形化を図ることが
でき、モータと一体形成が可能となり、外部の引出リー
ド線も電源への接続だけとなって、引出し本数を減少さ
せることができ、いわゆる単なるDCモータ同等に構成
することができる。また、複数個のサンプリングによ
り、データの取込みが完了するようにしてあるので、メ
モリ容量を減少することができ、安価に構成することが
できる。
【0130】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、発生トルクに
直結した電機子電流を、その平均化した値に所定倍率を
乗じて設定した転流目標電流と、その電流波形の第2の
電流増加領域を上記転流目標電流に達した時点で検出し
定めた転流目標電流の大小関係により判定して転流タ
イミングを決定するようにしているので、即ち、上記第
2の電流増加領域は、正弦波状の速度起電力がモータの
回転につれて上昇から下降に転ずる領域で、ステップ入
力電圧の差が減少から増加に転ずるために現れるもの
で、これにより、モータが常に同一方向に回転力を連続
的に発生している場合は必ず現れる。また、電機子電流
は、正負いずれも2つの電流ブロックからなり、1つの
電流ブロックは、常に2つの顕著な電流増加領域をもつ
波形となっている。この結果、発生トルクは電機子電流
とトルク定数により定まり、かつ、トルク定数は位相角
により大きく変化し、最適位相で転流制御され通電され
る時にトルク定数が最も大きく、一定電流で通電された
場合は発生トルクも最大となってモータを高効率で運転
することができる。このように、本発明においては、常
必要なトルクを確実に発生させることができ、かつ、
外乱に対しても充分な電流を流す転流タイミングを確保
することができるので、始動領域を含む広範囲な運転領
域できわめて高トルクを発生させて駆動させることがで
きる。しかも、従来の速度起電力利用方式にみられる様
な転流スパイク電圧による位置情報の誤差の拡大のおそ
れがないので、転流タイミングの誤差の拡大を防止して
常に安定してモータを駆動させることができる。また、
電機子電流により転流タイミングを定めるようにしてい
るので、従来のように強制始動モードから定常運転モー
ドへのモード切替も不要となり、その結果モード切替に
よる不安定性を惹起することなく、高加速で始動させる
ことができ、かつ、負荷トルクの変動によるモータの加
減速が生じても転流タイミングを自動的に追従して安定
駆動させることができる。更に、本発明は、転流目標電
流は電機子電流を平均化した値に所定倍率を乗じて設定
して転流タイミングを判定するようにしてあるので、上
記所定倍率をモータ固有の定数から設定することがで
き、適用モータに応じた転流目標電流により転流タイミ
ングを判定して駆動させることができる。
【0131】
【0132】
【0133】請求項の発明によれば、電機子電流の瞬
時値が該瞬時値を平均化し所定倍率を乗じて設定した転
流目標電流値を超えたとき、出力する転流指令により、
インバータ回路の複数のスイッチング素子をオンオフ制
御するようになっているので、負荷トルクの増減に対応
した電機子電流の増減を達成することができ、かつ転流
周期もモータの回転周期に同期させることができるの
で、重負荷トルク時及び軽負荷トルク時においても適切
な転流タイミングを定めて通電制御することができる。
【0134】しかも、負荷トルクの変動によりモータの
加減速直後において転流周期の急変や電流の不平衡が起
きず、転流位相は速度起電力に対して若干の進相、遅相
を呈して、転流タイミングに進み、遅れ傾向が生じて
も、発生トルクが平衡する回転数に達したとき、適正位
相の転流タイミングに自動的に復帰することができる自
己修復機能を有しているので、ブラシレスモータをセン
サレスで安定駆動させることができる。
【0135】また電機子電流の第2の電流増加領域の検
出は該電機子電流と、これを平均化し所定倍率を乗じて
設定する転流目標電流との比較によって行うようになっ
ているので、通電制御回路は簡単な回路構成で形成する
ことができる。
【0136】請求項の発明によれば、電機子電流をロ
ーパスフィルタ回路を介して比較回路に入力せしめるよ
うになっているので、インバータ回路をPWM駆動制御
にも、キャリア周波数に含まれる高調波を抑圧すること
ができ、モータへの転流周期とキャリア周波数の比が小
さくなり、かつ、高調波成分の振幅が第2電流増加領域
の変化量に接近した場合に生ずる転流タイミングのフラ
ツキや電機子電流のフラツキが発生トルクのフラツキと
なって、モータの回転や発生トルクが不安定になるのを
防止することができるのでブラシレスモータを常に安定
駆動せしめることができる。
【0137】請求項の発明によれば、電機子電流と平
均電流との差を増幅して第2の電流増加領域を検出する
ようにしてあるので、第2の電流増加領域を拡大し顕著
化することができ、モータ印加電圧の大半が電機子イン
ピーダンスの電圧降下となって第2の電流増加領域が大
幅に圧縮されるようなことがあっても、的確に転流タイ
ミングを決定することができ、電機子インピーダンスの
大きなモータが低回転高負荷トルクで運転する場合であ
っても安定した駆動を行うことができる。
【0138】請求項の発明によれば、電機子電流情報
が入力する比較回路の入力端にリセット手段を設けて、
転流指令毎に電機子電流の入力をゼロリセットするよう
にしてあるので、無負荷時の微小な電機子電流に対して
もゼロ点が明確となり転流タイミングを常に的確に決定
することができ、異常振動等を発生させることなく安定
した駆動を行うことができる。
【0139】請求項の発明によれば、始動時に必要と
するトルクを発生するに十分な電流が流れるようになっ
ているので、モータ,負荷条件によって始動不能な状態
を発生することなく的確に始動させることができる。し
かも始動補償回路は、時間に対して負の勾配を有して逓
減して出力するようになっているので、定常運転用の転
流目標電流指令への移行を滑らかに行うことができ、格
別の切換手段も不要となってモータを高トルク、高加速
性を有して駆動させることができる。
【0140】請求項の発明によれば、比較回路の出力
端に判定手段、歩進手段、分配手段及びリセット手段を
具備した演算処理部を設けるようにしてあるので、転流
指令を複数回確認してノズル混入による誤転流を防止す
ることができ、かつ、負荷急変に対する転流タイミング
の急変や過大な応答を大幅に改善することができ、高負
荷トルク時や外乱トルクに対する安定性を一層向上して
モータを安定駆動させることができる。しかも、比較回
路の転流指令はディジタル信号化されているので格別の
A/D変換手段を設けることなく、安価な部品で構成す
ることができる。
【0141】請求項の発明によれば、転流タイミング
制御のソフト化を図ることができることは勿論、小形コ
ンパクト化を図って、ブラシレスモータに内蔵させるこ
とができ、一体化を図って構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示すブロック図
【図2】本発明の他の実施例を示すブロック図
【図3】本発明の他の実施例を示すブロック図
【図4】本発明の他の実施例を示すブロック図
【図5】本発明の他の実施例を示すブロック図
【図6】本発明の他の実施例を示すブロック図
【図7】本発明の他の実施例を示すブロック図
【図8】図7を具体化して示すブロック図
【図9】120°通電形インバータにおける速度起電力
とトルクの関係を説明するタイムチャート図
【図10】120°通電形インバータにおける電機子電
流の線電流の一相分の位相角による波形変化説明図
【図11】図10の1ブロックの電機子電流波形拡大図
【図12】1ブロックの電機子電流波形形成説明図
【図13】本発明の他の実施例を示す要部ブロック図
【図14】本発明の他の実施例を示すブロック図
【図15】図13のメインフローチャート図
【図16】図15の初期設定のフローチャート図
【図17】図15の転流判定のフローチャート図
【図18】図15の転流のフローチャート図
【図19】図15の予想転流周期のフローチャート図
【図20】図14のデータ取込のフローチャート図
【符号の説明】
1 直流電源 2 インバータ回路 3 ブラシレスDCモータ 4 電流検出器 5 通電制御回路 5a 平均化回路 5b 増幅回路 5c 比較回路 5d 計数回路 5e 分配回路 5f ローパスフィルタ回路 5g 減算回路 5i 加算回路 5l 始動補償回路 5m 優先回路 5p 演算処理部 5p1 ,5r5 判定手段 5p2 ,5r6 歩進手段 5p3 ,5r8 分配回路 5p4 ,5r7 リセット手段 5r1 A/D変換手段 5r2 平均化手段 5r3 ローパスフィルタ手段 5r4 比較手段

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直流電源に複数のスイッチング素子をブ
    リッジ接続してなるインバータ回路を介して接続された
    ブラシレスモータを、上記インバータ回路の通電制御に
    より駆動せしめる方法において、上記通電制御は、電機
    子電流を、その平均化した値に所定倍率を乗じて設定し
    た転流目標電流と、その電流波形の第2の電流増加領域
    が上記転流目標電流に達した時点で検出して転流タイミ
    ングを判定し、上記複数のスイッチング素子を順次切換
    制御するようにしたことを特徴とするブラシレスモータ
    の駆動方法。
  2. 【請求項2】 直流電源に複数のスイッチング素子をブ
    リッジ接続してなるインバータ回路と、これの出力端に
    電機子巻線が接続されたブラシレスモータと、上記イン
    バータ回路の入力端の一方に介挿されて上記電機子巻線
    に流れる電流を電圧に変換して出力する電流検出器と、
    これの出力端に接続されて、上記インバータ回路の複数
    のスイッチング素子をオンオフ制御する通電制御回路と
    を具備したブラシレスモータの駆動装置において、上記
    通電制御回路は、上記電流検出器から接続されて入力を
    平均化して出力する平均化回路と、これに接続されて入
    力を所定倍率で増幅した出力を転流目標電流指令として
    送出する増幅回路と、これの出力端と上記電流検出器と
    に接続されて、電流検出器の出力が上記転流目標電流指
    令を超えたとき、転流指令を送出するようにした比較回
    路とを備え、上記転流指令により、上記複数のスイッチ
    ング素子を順次切換えるように構成したことを特徴とす
    るブラシレスモータの駆動装置。
  3. 【請求項3】 上記通電制御回路は、上記電流検出器の
    出力端が直接接続される上記比較回路の入力端側に、ロ
    ーパスフィルタ回路を介挿させたことを特徴とする請求
    項2記載のブラシレスモータの駆動装置。
  4. 【請求項4】 上記通電制御回路は、上記電流検出器の
    出力端に接続された平均化回路の出力と上記電流検出器
    の出力との差を増幅した出力によって、第2の電流増加
    領域を顕著化して転流目標電流指令を設定するよう構成
    したことを特徴とする請求項2又は請求項3記載のブラ
    シレスモータの駆動装置。
  5. 【請求項5】 上記通電制御回路は、電機子電流が入力
    する比較回路の入力端に、該比較回路が送出する転流指
    令毎に当該入力をゼロリセットするリセット 手段を設け
    たことを特徴とする請求項2,3又は4記載のブラシレ
    スモータの駆動装置。
  6. 【請求項6】 上記通電制御回路は、初期値が始動トル
    クを発生させるに十分な値となし、かつ時間に対して負
    の勾配を有して逓滅する始動時の転流目標電流指令を送
    出するようにした始動補償回路を、高指令値が優先する
    ようにした優先回路を介して比較回路に接続し、この優
    先回路に、上記平均化回路を増幅回路を介して接続して
    成ることを特徴とする請求項2,3,4又は5記載のブ
    ラシレスモータの駆動装置。
  7. 【請求項7】 上記通電制御回路は、上記比較回路の出
    力端に、転流指令を判定する判定手段と、これの出力毎
    に歩進信号を送出する歩進手段と、上記判定手段の出力
    毎にリセット信号を送出するリセット手段と、上記歩進
    手段の歩進信号により、上記複数のスイッチング素子を
    選択して通電指令を送出する分配手段とを具備した演算
    処理部を設けたことを特徴とする請求項2,3,4又は
    5記載のブラシレスモータの駆動装置。
  8. 【請求項8】 上記通電制御回路は、上記電流検出器の
    出力端に接続されてディジタル変換した入力のサンプリ
    ング値を出力するA/D変換手段と、これのサンプリン
    グ値を複数個平均化して出力するローパスフィルタ手段
    と、これの平均値を所定個数平均化して出力する平均化
    手段と、これの出力と上記ローパスフィルタ手段の出力
    とを比較して転流指令を送出する比較手段と、これの転
    流指令を複数回確認して判定信号を出力する判定手段
    と、これの判定信号毎に歩進する歩進信号を出力する歩
    進手段と、これの歩進信号をデコードして上記複数のス
    イッチング素子を選択して通電指令を送出する分配手段
    と、上記判定信号毎にローパスフィルタ手段の出力をゼ
    ロリセットするリセット手段とを具備してディジタル演
    算処理するように構成したことを特徴とする請求項2記
    載のブラシレスモータの駆動装置。
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