JP3386931B2 - 水車部材の溶接方法 - Google Patents

水車部材の溶接方法

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    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、母材表面に溶接層を形
成する水車部材の溶接方法に係り、特に、表面溶接肉盛
部の溶接割れ及び残留応力を低減するために、溶接後の
最終肉盛層表面を所定温度でピーニング処理する溶接方
法に関する。さらに、高硬度溶接材料による肉盛層の低
温割れ等を防止するため、水車部材用溶接継手部等の疲
労強度向上に寄与するとともに、溶接割れ性が大きいた
めに使用が抑制されている高硬度溶接材料の適用拡大に
大きく貢献できる。
【0002】
【従来の技術】ピーニング処理は部材表面を高硬度を有
する鋼線で叩いたり、鋼やセラミックス等の高硬度ショ
ットを衝突させたりする方法であるが、鋼材の表面硬さ
を上昇させると共に表面層に圧縮残留応力を与えて疲労
強度を向上するため、機械部品の疲労強度増大策とし
て、工業的に広く用いられている技術である(例えば、
日本機械学会編:金属材料疲労強度の設計試料(198
4))。また、これらのピーニング処理は溶接層表面の
残留応力の緩和などにも利用され、さらに、最近では、
広い面積の表面応力を容易に圧縮応力に変えることか
ら、オーステナイト系ステンレス鋼の応力腐食割れ防止
にも有効な技術とされている(例えば、IRONAGE,novem
ber 22(1973)51)。
【0003】一方、固形物の衝突や切削的作用による摩
耗やキャビテーションによる壊食等に対する耐エロージ
ョン性を向上させるため、母材表面に高硬度溶接材料に
よる被覆層を形成させる場合、その溶接材料の溶接性に
も影響するが、溶接後の冷却途中等の肉盛層に溶接割れ
及び低温割れが発生しやすくなる。また、溶接継手部や
表面肉盛材に、特に、母材より熱膨張係数が小さい溶接
材料を用いる場合はそれらの拘束力等により溶接部に非
常に高い引張応力が発生し、部材が変形したり、肉盛層
に割れを発生する確率が高くなるとともに、その表面加
工性にも影響を及ぼす。そのため、特に、溶接肉盛部に
発生する残留応力を低下させる目的で、溶接肉盛後の溶
接継手部や表面肉盛材表面をピーニング処理されてい
る。さらに、浸炭鋼の疲労強度向上を目的に、ピーニン
グ処理⇒焼戻し処理⇒ピーニング処理を実施する2段ピ
ーニング法が特開昭61−79719 号公報や特開平6−14578
5 号公報等に開示されている。なお、これらのピーニン
グ処理は常温において施工することが主流となってい
る。
【0004】しかしながら、最近、高温でピーニング処
理を行うことにより、鋼材表面での再結晶と鍛錬効果に
よって均質で非常に安定な組織が得られることから、こ
れらに関する研究結果が報告されている(例えば、中
村,原田,牧,伊藤,星野,藤村:第42回塑加連講論
(1991)173,中村,原田,牧,武:日本機械学
会岐阜講論(1994)159)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、水車機器部
材の耐エロージョン性を向上するため、母材にマルテン
サイト系ステンレス鋼の13Cr鋼を供し、その表面に
マトリックスの硬さがビッカース硬さで350〜500
HVとなり、かつ、そのマトリックス中にCr炭化物を
析出させるオーステナイト系合金と炭化物系セラミック
スSiCとの複合粉体溶接材料による肉盛層を、プラズ
マ溶接法によって形成させたところ、溶接後の冷却途中
約200℃において肉盛層に割れすなわち低温割れが発
生するとともに、肉盛層表面には非常に高い引張応力が
残留し、表面加工性にも問題を及ぼすことが知られた。
そこで、上記の従来技術を考慮し、溶接肉盛後、肉盛層
表面をピーニング処理したところ、割れは防止できない
ものの、肉盛表面層の残留応力は低くなり、かつ、表面
加工性も容易になることが明らかとなった。
【0006】本発明の目的は、母材表面に溶接層を形成
する水車部材の溶接方法において、溶接後の最終肉盛層
表面を100〜600℃の温度でピーニング処理し、こ
れらの溶接材料を実機部材表面に適用するにあたり、そ
の部材の疲労強度の向上をより改善するために、肉盛層
表面に残留する応力をより低め、さらに、特に耐エロー
ジョン性を付与するために用いられる高硬度溶接材料の
肉盛層に発生しやすい低温割れ等の欠陥を抑制すること
にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、表面溶接肉盛
部の最終肉盛表面層を100〜600℃の温度でピーニ
ング処理し、肉盛層の溶接割れ及び表面残留応力を低減
する水車部材の溶接方法を提供するものである。
【0008】上記目的を達成するために、表面肉盛部の
溶接部材において、その肉盛溶接部材を常温まで冷却後
の再加熱過程あるいは肉盛溶接後の冷却過程のいずれか
の100〜600℃の温度で、最終肉盛層表面を径が1
〜3mmを有する鋼やセラミックス製のショット粒又は鋼
製のワイヤを用いてピーニング処理をしたものである。
【0009】さらに、上記のピーニング処理として、鋼
やセラミックス製によるショット法を用いる場合は、処
理部材より硬度が高いショット粒を角度80〜100
度,速度10〜30m/sで噴射させることが好まし
い。
【0010】また、ピーニング処理にワイヤ法を用いる
場合は、処理部材より硬度が高い鋼製ワイヤを供し、圧
力4〜8Mpaで処理部材表面に打撃を与えることがよ
り効果的である。
【0011】
【作用】本発明によれば、溶接後の肉盛層表面を100
〜600℃の温度でピーニング処理することによって、
常温によるピーニング処理よりも残留応力を低減できる
とともに、高硬度材料の低温割れを抑制することができ
る。なお、前記温度でのピーニング処理が、残留応力の
軽減および高硬度肉盛層の低温割れ防止に有効である原
因は明らかでないが、次のように推定される。
【0012】まず、ピーニング温度について示す。材料
表面へのショットの衝突やワイヤの打撃等によるピーニ
ング処理はその表面層のみを塑性膨張させ圧縮応力を残
留させることにある。しかし、前記温度での金属材料は
一般に、常温に比べ強度,硬さは低く、伸び,絞り等の
延性・靭性は高くなるため、表面に外力を加えることに
より、塑性ひずみの導入および変形しやすくなる。その
ため、前記温度でピーニング処理を施すと、表面には常
温ピーニング処理より低い圧縮応力が負荷されるものと
思われる。しかし、ピーニング処理温度が100℃以下
では圧縮応力を負荷する効果はあるものの、溶接後の冷
却途中である200〜300℃以下の温度域で生ずる溶
接金属の低温割れには効果を示さない。また、ピーニン
グ処理温度が600℃以上では応力緩和が多く、かつそ
の後の冷却による母材との熱膨張差が働くためその効果
が小さくなる。そのため、溶接部材表面の残留応力低減
のみを目的とする場合はその部材を常温まで冷却し、1
00〜600℃に再加熱してピーニング処理を加えるこ
とが好ましい。一方、高硬度溶接金属に見られる低温割
れ防止を図ることのみを目的とする場合は溶接後の冷却
過程100〜600℃温度域におけるピーニング処理の
負荷が有効となる。ただし、この場合は残留応力の低減
と溶接金属の低温割れ防止の両方に効果を発揮する。
【0013】特に、残留応力の低減と溶接金属の低温割
れ防止の両方の効果を発揮するためには200〜300
℃が好ましい。
【0014】さらに、ショットやワイヤピーニングによ
る処理条件について示す。
【0015】まず、ショットやワイヤの材質は通常、常
温処理で用いられている鋼およびセラミック製で発揮で
きるが、ワイヤの場合は坑折強度が要求されるため、鋼
製が効果的である。一方、ショット粒やワイヤの硬さは
その硬度が高いほど材料表面に及ぼす加工能(衝撃,打
撃)が大きくなるため好ましいが、低い場合は表面応力
を圧縮応力側に移行させる十分な作用力として働かな
い。従って、特に、鋼製ショットとワイヤの硬さは溶接
肉盛表面等処理部材より硬いことが必要である。次に、
ショットとワイヤの径について示す。ショットピーニン
グの場合のショット粒(平均粒径)が1mm以下と小さい
場合は、材料表面に与える加工能(衝撃,打撃)が小さ
いため、圧縮側応力値や表面層下に十分な力が作用しな
い。3mm以上の場合は、処理表面層は平滑化されやすい
が、肉盛層表面等凹部への作用効果が小さくなり表面に
均一な加工能を与えなくなる。一方、ワイヤピーニング
の場合、そのワイヤ径による効果はショットピーニング
のショット粒と同じ作用を示すが、特に、径が1mm以下
と小さい場合は、処理表面層の捲れ等を積層した変質層
が生じ、応力は開放されるものの金属層としての機能を
有しない処理表面層が生じやすい。
【0016】また、ショットピーニングのショット噴射
速度は10m/s以下では材料表面に与えるエネルギー
が十分作用せず、30m/s以上では作用力は増加する
ものの、衝突角度にもよるが、処理部材表面に切削的摩
耗損傷による減肉等の問題が生じる。その問題を防ぐた
めには衝突角度を約90度にする必要があり、このため
角度80〜100度の領域以外ではショット噴射力によ
る運動エネルギーが残留応力を低減する十分な作用力と
して発揮させることはできない。
【0017】ワイヤピーニングの打撃圧力はあまり低い
場合は効果が低く、あまり高いと過剰な作用力となるた
め材料表面の特性に効果的ではない。従って、装置仕様
にもよるが、4〜8Mpaの範囲内での打撃力が効果的
に作用する。
【0018】
【実施例】
(実施例1)以下、本発明における実施例をしめす。組
成が重量比で、C:1.45% ,Si:3.85%,M
n:7.52%,Ni:3.75%,Cr:16.8%,
Co:5.98%,Mo:1.51%,N:0.16% ,
Fe:残からなる合金粉体溶接材料を粉体プラズマ溶接
装置により水車部材に肉盛した結果に基づき説明する。
表1に粉体プラズマ溶接条件を示す。
【0019】
【表1】
【0020】なお、上記の合金粉体材料は溶接によっ
て、ビッカース硬さで350〜400HVを有するマト
リックス中に、Crを主とする炭化物を析出した混合組
織の肉盛層を呈する。
【0021】溶接材料と母材がほぼ同じ熱膨張係数であ
る場合の肉盛層表面残留応力に及ぼす高温ピーニング処
理の効果について検討した。図2に水車部材としての母
材への溶接肉盛と残留応力測定位置の概要を示す。母材
1には板厚50mm,幅100mm,長さ200mmを有する
SUS304(18Cr−8Ni鋼)を供し、その表面
中央部長手方向に1ビード(長さ150mm,幅18mm)
一層盛(厚さ3mm)の肉盛溶接層2を設けた。
【0022】その溶接部材の溶接後の冷却過程中である
約200℃の温度の際に、高温ワイヤピーニング処理を
実施し、残留応力を測定した。
【0023】また、その溶接部材を室温まで冷却した後
(1)常温及び再加熱処理のみ,(2)常温及び再加熱
高温ショットピーニング処理,(3)常温及び再加熱高
温ワイヤピーニング処理と3通りにおける残留応力を測
定した。測定時の再加熱処理及び高温ピーニング処理
は、200℃,400℃および600℃で実施した。こ
の際のピーニング処理条件を表2に示す。
【0024】
【表2】
【0025】なお、応力測定は肉盛層の両端部と中央部
の3ケ所にひずみゲージ3を貼付け、切断法により、肉
盛層表面のみの残留応力を求めた。
【0026】図1に肉盛層表面の残留応力測定結果を示
す。図より明らかなように、常温及び再加熱処理のみ
で、ピーニングしていないものは、常温ピーニング又は
高温ピーニングしているものより残留応力が高く、また
加熱温度が高くなるに伴い残留応力は低減している。
【0027】次にショットピーニングの場合、常温では
ショットピーニングを実施しないものと比べ残留応力が
低減しており、高温ショットピーニングを実施したもの
は、温度の増加に伴い、さらに、残留応力が低減してい
る。
【0028】ワイヤピーニングの場合は、上記のものよ
り、さらに残留応力が低減している。常温ではワイヤピ
ーニングを実施しないものと比べ残留応力が低減してお
り、高温ワイヤピーニングを実施したものは、温度の増
加に伴い、さらに残留応力が低減している。また、溶接
後の冷却過程中である約200℃の温度の際に、高温ワ
イヤピーニング処理を実施した場合にも同様に残留応力
が低減している。
【0029】ワイヤは、本実施例ではJIS規格のピア
ノ線を使用した。その組成は、C:0.6〜0.9,S
i:0.12〜0.32,Mn:0.8〜0.9,P:<0.
025 ,S:<0.025,Cu:<0.2及び残部Feで
あり、約HV300程度の物を用いた。
【0030】このように、再加熱後の高温ピーニング処
理表面層の残留応力は溶接後の常温ピーニング処理材に
比べ、ピーニング処理温度が高くなるほど低くなってい
る。また、溶接後の冷却中に処理した表面残留応力は、
溶接後に常温まで冷却し、再加熱処理した部材表面より
効果は少ないものの、常温ピーニング処理材よりは残留
応力が低減している。
【0031】すなわち、本実施例によると、約10(kg
f/mm2 )以下に残留応力を低減することができる。
【0032】以上のように、残留応力が、従来、おおよ
そ20〜35kgf/mm2 であったものをおおよそ−15
〜10kgf/mm2 に低減でき、溶接層の疲労強度の向上
ができた。
【0033】(実施例2)溶接材料より母材の熱膨張係
数が小さい場合について、高温ピーニング処理を実施
し、母材には水車部材として用いられるSUS403(13C
r鋼)を供した。溶接肉盛方法は、実施例1と同じ条件
とした。
【0034】その結果、肉盛溶接後、その部材を常温ま
で冷却中、約150〜200℃の温度に達した時に、肉
盛層に割れが発生した。
【0035】そこで、再肉盛溶接し、その冷却過程の2
00℃に達した温度でワイヤピーニング処理を施した。
その結果、溶接肉盛層には割れは観察されなかつた。以
上のことにより、高温でのピーニング処理は溶接材料の
低温割れ防止にも有効に作用することが明らかである。
【0036】(実施例3)本発明の主要な構成要素であ
る肉盛層表面への高温ピーニング処理をフランシス水車
で実施した例を示す。
【0037】図3に示すフランシス水車を製作した。図
3は水車の断面図、図4は図3のX方向からみた時のラ
ンナの斜視図を示す。本水車の動翼である水車ランナ本
体はクラウン4,シュラウド5,羽根6,ランナコーン
7,ガイドベーン8,ステーベーン9,ランナライナ1
0及びシートライナ11を主体に構成されているが、特
に河川水と接する機器部材表面に耐エロージョン性を有
する肉盛溶接層が設けられる。そこで、水車を構成する
各機器部材表面に前述した粉体溶接材料による肉盛層
(ビッカース硬さでHV約400)を形成させ、その溶
接部に適用した。なお、この肉盛層を形成させるための
問題点は母材と溶接材料の熱膨張係数の違いによる肉盛
部の割れ発生にある。
【0038】次に、肉盛溶接後高温でのピーニング処理
を適用した機器部材について示す。図5(a)は、水と
接する水車ランナの作用面側(図3のP)羽根6の両端
入口部、図5(b)は水車ランナの反作用面側(図4の
R)羽根6の両端入口部と出口外側(図5のE)、図6
はガイドベーン8及び、図7はシートライナ11であ
る。その処理方法は羽根を5Ni−13Cr鋼、ガイド
ベーン8とシートライナ11を13Cr鋼のマルテンサ
イト系ステンレス鋼製とし、その表面に実施例1に示す
合金粉体を用い、表1のプラズマ溶接条件によって溶接
肉盛層2を形成させ、その冷却過程の250〜300℃
の温度領域でワイヤピーニング処理を表2の条件で付加
して常温まで冷却した。その後、肉盛表面層を機械加工
した。また、図8に関する各ライナ類にも同様に肉盛層
を形成し、ワイヤピーニング処理を施し、機械加工によ
る仕上げを行った。その結果、溶接層には割れ等の異常
が認められず疲労強度が向上した良質な部品が得られ
た。
【0039】そこで、これらの部品を組立て図3に示す
水車を製作した。この水車を土砂を含む河川水を利用す
る水力発電所で実機運転したところ、良好な耐エロージ
ョン性を示し、従来より疲労強度が優れた水車を製造で
きた。
【0040】(実施例4)本発明の主要な構成要素であ
る肉盛層表面への高温ピーニング処理をペルトン水車で
実施した例を示すが、本発明はこれに限定されない。
【0041】図8に示すペルトン水車を製作した。図8
は、水車の断面図を示すが、本水車のエロージョン損傷
による対策が重要なのは導入される河川水の流量を調整
するニードルバルブを構成するニードル12の先端部外
周面とノズル13の先端部内周面及びその噴流水を受け
るバケット14の内周面である。そこで、この機器部材
をマルテンサイト系ステンレス鋼、すなわちニードル1
2とノズル13を13Cr鋼、バケット14を5Ni−13
Cr鋼製とし、その表面に実施例1に示す合金粉体を供
し、表1のプラズマ溶接条件によって溶接肉盛層2を形
成し、その冷却過程の250〜300℃の温度領域でワ
イヤピーニング処理を表2の条件で付加して常温まで冷
却した。その後、肉盛り表面層を機械加工による仕上げ
を行った。その結果、溶接層には割れ等の異常が認めら
れず疲労強度が向上した良質な部品が得られた。図9と
図10にその状況概要を示す。次に、これらの部品を組
立て図8に示す水車を製作した。この水車を土砂を含む
河川水を利用する水力発電所での実機運転したところ、
実施例3と同様、従来の材料技術より優れた水車が製造
できた。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように、母材表面に溶接層
を形成する水車部材の溶接方法において、溶接後の最終
肉盛層表面を100〜600℃の温度でピーニング処理
することにより、肉盛部材表面に生ずる残留応力を低減
することができた。さらに、高硬度溶接材料による肉盛
層の低温割れ等を防止するため、回転機器部材用溶接継
手部等の疲労強度向上に寄与するとともに、溶接割れ性
が大きいために使用が抑制されている高硬度溶接材料の
適用拡大に大きく貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】肉盛層表面のピーニング温度と残留応力との関
係を示す図である。
【図2】母材への溶接肉盛と残留応力測定位置の概要を
示す図である。
【図3】本発明の実施例であるフランシス水車の断面図
を示す図である。
【図4】図3のX方向からみた時の水車ランナの斜視図
を示す。
【図5】水と接する水車ランナの作用面側及び反作用面
側を示す。
【図6】本発明の実施例であるフランシス水車のガイド
ベーンを示す。
【図7】本発明の実施例であるフランシス水車のシート
ライナを示す。
【図8】本発明の実施例であるペルトン水車の断面図を
示す。
【図9】本発明の実施例であるペルトン水車のニードル
バルブ周辺部を示す。
【図10】本発明の実施例であるペルトン水車のバケッ
トを示す。
【符号の説明】
1…母材、2…溶接肉盛層、3…ひずみゲージ、4…ク
ラウン、5…シュラウド、6…羽根、7…ランナコー
ン、8…ガイドベーン、9…ステーベーン、10…ラン
ナライナ、11…シートライナ、12…ニードル、13
…ノズル、14…バケット。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B24C 11/00 B24C 11/00 C D // C21D 7/06 C21D 7/06 Z (72)発明者 万代 利彦 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (72)発明者 芦沢 康二 東京都千代田区内幸町1丁目1番3号 東京電力株式会社内 (72)発明者 中沢 智 東京都千代田区内幸町1丁目1番3号 東京電力株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−230968(JP,A) 蓮井 淳・森垣 脩,現代溶接技術大 系<第15巻>,日本,産報出版株式会 社,1980年1月23日,P.83−85 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 31/00 B24C 1/10 B24C 11/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】母材表面に肉盛溶接層を形成する水車部材
    の溶接方法において、溶接後の最終肉盛層表面を100
    〜600℃の温度でピーニング処理することを特徴とす
    る水車部材の溶接方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の前記ピーニング処理を、
    肉盛溶接後の冷却過程で前記100〜600℃の温度で
    行うことを特徴とする水車部材の溶接方法。
  3. 【請求項3】請求項に記載の前記ピーニング処理を、
    肉盛溶接部材を常温まで冷却後再加熱過程で前記10
    0〜600℃の温度で行うことを特徴とする水車部材の
    溶接方法。
  4. 【請求項4】請求項に記載のピーニング処理は、鋼ま
    たはセラミックス製のショットあるいはワイヤのいずれ
    かによる施工であることを特徴とする水車部材の溶接方
    法。
  5. 【請求項5】鋼またはセラミックス製のショットは肉盛
    層より硬度が高くかつ粒径が1〜3mmの球状物とし、処
    理部材表面と前記球状物の噴射方向とのなす角度が80
    〜100°噴射速度が10〜30m/sにて前記処理
    部材表面へ噴射することを特徴とする請求項4に記載の
    水車部材の溶接方法。
  6. 【請求項6】ワイヤは処理部材より硬度が高くかつ1
    3mm径を有する鋼製とし、圧力4〜8MPaにて前記処
    理部材表面に打撃を与えることを特徴とする請求項4に
    記載の水車部材の溶接方法。
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蓮井 淳・森垣 脩,現代溶接技術大系<第15巻>,日本,産報出版株式会社,1980年1月23日,P.83−85

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