JP3385552B2 - モリブデン材料およびその製造方法 - Google Patents
モリブデン材料およびその製造方法Info
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Description
結部品およびブロック製品等の耐熱材料に用いられ,と
くに,低温延性に優れ,高温に加熱されても結晶粒が阻
大化しにくいモリブデン材料と,結晶粒を任意の大きさ
に調整できるモリブデン材料の製造方法に関する。
点が高く,塑性加工性も良いため,耐熱材料として,と
くに1500℃以上の高温で広く使用されている。
程度以上に加熱すると再結晶し脆化し,高温強度が著し
く低下する。さらに高温では,結晶粒が粗大化するため
に脆化する。また,この再結晶材の延性一脆性遷移温度
(以下,DBTTと呼ぶ)は室温近傍にあるために,こ
の温度以下では著しく脆くなる。これらの脆化は,Mo
の結晶粒界が本質的に脆いこと,即ち,粒界脆化に起因
するとされている。
がまったく存在しない単結晶化が行なわれているが,実
用的規模の大きさのものを得ることは工業的に容易でな
い。
の酸化物を添加し,長大結晶粒の積層組織に組織制御す
ることで,結晶粒界の影響を少なくする方法が行なわれ
ている。ところが,この組織制御には,熱間鍛造,熱間
圧延などによる高加工率の塑性加工が不可欠である,た
とえば,特公昭61−27459号公報,特開昭59−
150071号公報,及び米国特許第4514234号
明細書によると,アルミ,珪素,カリウムの元素のう
ち,一種または二種以上添加したモリブデン材料では,
85%以上の加工率の塑性加工が必要であるとされてい
る。
いモリブデン焼結体の製造に限界がある。
得るには,少なくとも330mm以上のモリブデン焼結
体が必要になる計算となり,圧延機,加熱装置などの設
備上の問題あるいは材料の歩留まり,コストなどの問題
が生じる。すなわち,高加工率の塑性加工を必要とする
組織制御法では,粒界脆性を改善した板厚の厚い材料は
得難く,厚板やブロックおよび焼結部品などに適用は困
難である。
熱間圧延、熱間転打加工などの板材や棒材を作製するた
めの熱間加工である塑性加工を必要としないで作製で
き、粒界脆化を改善したMo材料を開発するためには、
この塑性加工する前のMo焼結体そのものの強度および
靭性を向上させることが必要である。
鍛造、熱間圧延、熱間転打加工などの板材や棒材を作製
するための熱間加工である塑性加工する前の焼結体にお
いて、高温に加熱されても結晶粒が粗大化しにくく、低
温で靭性に富むMo材料を提供することにある。
る結晶粒径を備えた上記Mo材料を得るための製造方法
を提供することにある。
デン粉末に炭化タンタル(TaC)粉末を添加して粉体
を高エネルギーで混合処理することにより粉末の微粒
化、非晶質化、または硬質微粒子の金属粉末への埋め込
みを行うメカニカルアロイング処理を施した粉末から作
製されるとともに、0.2〜3.0質量%のTaCが分
散され、残部モリブデンからなる焼結体であって、結晶
粒径が1〜25μmであり、延性−脆性遷移温度が−5
0℃以下であることを特徴とするモリブデン材料が得ら
れる。
TaCの添加量の範囲を0.2〜3.0質量%と限定し
たのは,0.2質量%より少ない場合,Moの結晶粒界
の強化が乏しく,また高温における結晶粒の粗大化を抑
制しにくく,強度および靭性の向上が図れにくいためで
ある。一方,3.0質量%を越えると緻密化しにくく,
また脆化し,塑性加工した場合に割れが生じやすくな
り,歩留まりが低下するためである。また,本発明にお
いて,炭化タンタル(TaC)は,上記範囲の中でより
好ましくは,結晶粒径が3.3μmよりも小さな1.6
質量%である。
0.2〜3.0質量%のTaC粉末を混合して、粉体を
高エネルギーで混合することで粉末の微細化、あるいは
TaCの分散粒子のモリブデン粉への埋め込みを行うメ
カニカルアロイング処理を行い、生成した粉末を熱間等
方加圧した後、熱処理を行い、当該熱処理の温度及び時
間を制御することによって、1.0〜25μmの範囲の
結晶粒径を有するモリブデン焼結体を得ることを特徴と
するモリブデン材料の製造方法が得られる。
材料の製造方法において,前記メカニカルアロイング処
理及び前記熱間等方加圧は,大気にさらされない状態で
おこなわれることを特徴とするモリブデン材料の製造方
法が得られる。
のは,TaCは融点が高く熱的に安定で,Moの粒界強
度を高めることで,DBTTを低くすることを見い出し
たからである。また,TaCが結晶粒の粗大化を抑制す
る効果があることを見い出したからである。
ング処理を施したのは,高エネルギーで混合することで
TaCを微粒化し,Mo中に分散させることで,TaC
とMoの結合力をさらに強化させ,その結果,強度およ
び靭性の向上が図れることを見い出したからである。こ
こで,本発明において,メカニカルアロイング処理と
は,合金化を目的とする狭義の粉末処理法を意味するも
のではなく,粉体を高エネルギーで混合することで粉末
の微細化あるいは分散粒子(ここでは,TaC)の金属
粉末(ここでは,Mo)への埋め込みを行う広義の粉末
処埋法を意味する。
を施したのは、通常用いられる水素焼結に比べ、焼結温
度を低くし、緻密化することができることができるから
である。したがって、メカニカルアロイング処理し微粒
化した粉末を粗大化されることなく緻密化させることが
できる。また、低温焼結して緻密化した材料は、高温に
加熱されても結晶粒が粗大化しにくいことを見いだした
からである。尚、周知の通り、本発明において用いた質
量%は、重量%の同じ意味である。
て図面を参照して説明する。
のMo粉末に平均粒径1.1μmのTaC粉末を0〜
3.2質量%添加し,超硬合金製容器およびボールを用
いた遊星型ボールミルで30時間メカニカルアロイング
(MA)処理した。なお,MA処理前後での粉末の取り
扱いは,高純度アルゴンガスで置換したグローブボック
ス中で行った。得られた粉末は,CIP成形後ガラス製
容器に封入したのち,1300℃,1500kgf/c
m2 ,3時間で熱間等方加圧(HIP)焼結した。した
がって,HIP焼結後まで,材料は大気にさらされない
状態で作製し,緻密化させた。得られた焼結体(HIP
材)及びHIP材を1800℃で一時間加熱した材料
(1800加熱材)から厚さ1mm,幅2mm,長さ2
5mmの試験片を切り出し,−196〜90℃の温度範
囲で静的3点曲げ試験(支持ピン間距離16mm,負荷
速度1mm/分)し,DBTTを調べた。
と最大強度の温度曲線1の交点5の温度6をDBTTと
した。この温度は延性を示す臨界温度であり,曲げ角は
ほどんど0度である。なお,比較材料として,結晶粒径
20μmの純Mo板についてもDBTTを調べた。
観察して結晶粒径を求め,高温加熱による結晶粒成長に
ついて調べた。ここで,結晶粒径は面積計量法によって
測定した。
るTaC分散Mo焼結体(HIP材)と,HIP材を1
800℃で1時間加熱(1800℃加熱材)した後の結
晶粒径とDBTTを示す。同時に比較例の純Mo板の結
晶粒径とDBTTも示す。
場合,TaCを0.1質量%添加(試料2)すること
で,TaCを添加しないで作製した純Mo焼結体(試料
1)に比べ,結晶粒径は小さい。1800℃加熱材の場
合,純Mo焼結体(試料1)は著しく粗大化している
が,TaCを0.1質量%添加(試料2)することで,
粗大化が抑制されている。
粒径はさらに小さくなり,結晶粒の成長は抑制されてい
るが,添加量が3.2質量%(試料No.8)では,密
度が上がらず,ポアが多かった。
材および1800℃加熱材においても,TaCを0.1
質量%添加(試料2)することで,TaCを添加しない
で作製した純Mo焼結体(試料1)に比べDBTTは著
しく低下する。ただし,試料2の焼結体のDBTTは,
比較材料の純Mo板に比べほとんど変らない。
低下するが,添加量が3.2質量%(試料8)では,密
度が上がらず,脆化した。
C分散Mo焼結体(HIP材)と,HIP材を2000
℃でl時間および100時間加熱した後の結晶粒径を示
す。
で,2000℃で100時間加熱しても,粗大化が抑制
されている。
分散Mo焼結体(a)および純Mo焼結体(b)の金属
組織を示す光学顕微鏡組織写真である。また,図3は,
1800℃でl時間加熱後の1.6質量%TaC−Mo
焼結体(a)およびMo焼結体(b)の金属組織を示す
光学顕微鏡写真である。焼結後において,TaCを分散
することで,結晶粒が微細化する。1800℃でl時間
加熱すると,純Mo焼結体の結晶粒径は1〜2mmと,
結晶粒が粗大化しているのに対して,TaC分散Mo焼
結体の場合,結晶粒径は10μm程度と細かく,粒成長
が著しく抑制されている。
量%TaC分散Mo焼結体(試料5)および純Mo焼結
体(試料1)の1800℃加熱材と純Mo板の曲げ角の
温度依存性を示す図である。図4において,TaC分散
Mo焼結体,曲線12は比較のための純Mo板,曲線1
3は純Mo焼結体の曲げ角と試験温度との関係を夫々示
している。図4から明らかなように,TaC分散Mo焼
結体(曲線11)は,比較のための純Mo板(曲線1
2)及び純Mo焼結体(曲線13)のDBTTが曲極め
て低く,低温延性に優れていることを示している。図4
において,曲線11に示すように,TaC分散Mo焼結
体のDBTTが,曲線12及び曲線13に示す純Mo板
及び純Mo焼結体に比べて極めて低く,低温延性に優れ
ていることを示している。
塑性加工する前の焼結体において,高温に加熱されても
結晶粒が粗大化しにくく,低温で靭性に富むMo材料を
提供することができる。
所望する結晶粒径を備えたMo材料を得るための製造方
法を提供することができる。
げ角の温度依存性を示した図である。
分散Mo焼結体(a)および純Mo焼結体(b)の金属
組織を示す光学顕微鏡組織写真である。
分散Mo焼結体(a)および純Mo焼結体(b)の18
00℃でl時間加熱後の金属組織を示す光学顕微鏡写真
である。
分散Mo焼結体および純Mo焼結体の1800℃加熱材
と純Mo板の曲げ角の温度依存性を示した図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 モリブデン粉末に炭化タンタル(Ta
C)粉末を添加して粉体を高エネルギーで混合処理する
ことにより粉末の微粒化、非晶質化、または硬質微粒子
の金属粉末への埋め込みを行うメカニカルアロイング処
理を施した粉末から作製されるとともに、0.2〜3.
0質量%のTaCが分散され、残部モリブデンからなる
焼結体であって、結晶粒径が1〜25μmであり、延性
−脆性遷移温度が−50℃以下であることを特徴とする
モリブデン材料。 - 【請求項2】 モリブデン粉末に0.2〜3.0質量%
のTaC粉末を混合して、粉体を高エネルギーで混合す
ることで粉末の微細化、あるいはTaCの分散粒子のモ
リブデン粉への埋め込みを行うメカニカルアロイング処
理を行い、生成した粉末を熱間等方加圧した後、熱処理
を行い、当該熱処理の温度及び時間を制御することによ
って、1.0〜25μmの範囲の結晶粒径を有するモリ
ブデン焼結体を得ることを特徴とするモリブデン材料の
製造方法。 - 【請求項3】 請求項2記載のモリブデン材料の製造方
法において、前記メカニカルアロイング処理及び前記熱
間等方加圧は、大気にさらされない状態でおこなわれる
ことを特徴とするモリブデン材料の製造方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP08241098A JP3385552B2 (ja) | 1998-03-16 | 1998-03-16 | モリブデン材料およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP08241098A JP3385552B2 (ja) | 1998-03-16 | 1998-03-16 | モリブデン材料およびその製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH11264045A JPH11264045A (ja) | 1999-09-28 |
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Family Applications (1)
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JP08241098A Expired - Fee Related JP3385552B2 (ja) | 1998-03-16 | 1998-03-16 | モリブデン材料およびその製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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1998
- 1998-03-16 JP JP08241098A patent/JP3385552B2/ja not_active Expired - Fee Related
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