JP3385353B2 - 官能基を有する環状ケイ素化合物 - Google Patents
官能基を有する環状ケイ素化合物Info
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- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P20/00—Technologies relating to chemical industry
- Y02P20/50—Improvements relating to the production of bulk chemicals
- Y02P20/52—Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts
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- Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ケイ素原子のβ位
に官能基を有する環状ケイ素化合物に関するものであ
る。 【0002】 【従来の技術】環状ケイ素化合物は、耐熱性高分子材料
の原料モノマーとして有用な化合物であり(Chem.Mate
r. 誌、5 巻、260-279 ページ、1993年)さらに官能基
を有する環状ケイ素化合物は、医農薬の合成中間体とし
て広く用いられている(有機合成化学協会誌、54巻、28
9-302 ページ、1996年)。従来の環状ケイ素化合物の製
造法として、末端にクロロシリル基を有するアルキルハ
ロゲン化物と金属マグネシウムを用いた、閉環反応によ
る方法が知られている(Comprehensive Organometallic
Chemistry、巻2 、226-296 ページ、Pergamon Press、
Oxford 、1982年)。しかし、この方法では、活性なマ
グネシウムを用いるため、カルボニル基等の反応性官能
基を有する環状ケイ素化合物の合成が困難であった。そ
のため、この方法により得られる環状ケイ素化合物の構
造は大きく限定され、一般的合成法とは言えなかった。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】以上のような事情に鑑
み、本発明は、ケイ素原子のβ位に種々の官能基を有す
る環状ケイ素化合物を提供することを目的とする。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討を行なった結果、ロジウム触媒の
存在下、環状ケイ素化合物とジアゾエステル化合物とを
反応させることによりケイ素原子のβ位に官能基を有す
る環状ケイ素化合物が位置選択的に得られることを見い
だし、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は下
記一般式(1)で表わされる環状ケイ素化合物、 【0005】 【化2】【0006】(式中、R1 及びR2 は、炭素数1〜5
の低級アルキル基又はフェニル基を表わし、R3及びR
4 は独立に水素原子又は低級アルキル基を示し、R5
及びR6 は、水素原子を表わす。R7 は水素原子又は
炭素数1〜5の低級アルキル基を表わす。R8 は炭素
数1〜10のアルキル基、炭素数6〜16のアリール
基、炭素数1〜10のアルコキシ基、又はアミノ基を表
わす。mは2を表わし、nは0〜4の整数を表わす。た
だし、2つのR1 は互いに異なっていてもよい。ま
た、nが2以上である場合、2つ以上のR5 は互いに
異なっていてもよい。) 【0007】 【発明の実施の形態】本発明で反応原料として用いる一
般式(2) 【化3】 で表わされる環状ケイ素化合物は種々のものが工業的に
入手容易であるほか、末端にクロロシリル基を有するア
ルキルハロゲン化物と金属マグネシウムによる閉環反応
を利用することで、容易に合成できる(Comprehensive
Organometallic Chemistry、巻2 、226-296 ページ、Pe
rgamon Press、 Oxford 、1982年)。一般式(2)中の
R1 及びR2 は、炭素数1〜5の低級アルキル基又は
フェニル基を示し、R3 及びR4 は独立に水素原子又
は低級アルキル基を示し、R5及びR6 は水素原子を
示す。炭素数1〜5の低級アルキル基は具体例として
は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基等が挙げられる。 【0008】フェニル基は、置換もしくは無置換のフェ
ニル基が特に好ましく、具体例としては、例えば、フェ
ニル基、トリル基、メトキシフェニル基等を挙げること
ができる。一般式(2)中、mは2であり、nは0〜4
の整数であり、好ましくは0、1又は2である。2つの
R1 は互いに異なってもよい。 【0009】前記一般式(2)で表わされる環状ケイ素
化合物を具体的に例示すると、以下の通りである。1,
1,2,2−テトラメチル−1,2−ジシラシクロペン
タン、1,1,2−トリメチル−2−フェニル−1,2
−ジシラシクロペンタン等。 【0010】本発明で用いる一般式(3) 【化4】で表わされるジアゾ化合物は、トシルアジドをはじめと
する工業的に入手可能な種々の原料から容易に合成され
る化合物である(Chem.Rev. 誌、94巻、1091−1160ペー
ジ、1994年)。一般式(3)において、R7 は、水素
原子又は炭素数1〜5の低級アルキル基を示す。また、
R8 は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜1
6のアリール基、炭素数1〜10のアルコキシ基、又は
アミノ基を示し、低級アルコキシ基が特に好ましい。 【0011】この場合のアルキル基、アリール基及びア
ルコキシ基の具体例については、前記一般式(2)につ
いて示したと同様である。アミノ基は置換基を有しても
よく、特にジアルキルアミノ基が好ましい。この置換基
は好ましくは炭素数1〜10、さらに好ましくは炭素数
1〜7であり、脂肪族、芳香族のいずれでもよい。具体
例としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ
フェニルアミノ基、ジベンジルアミノ基等が挙げられ
る。 【0012】前記一般式(3)で示されるジアゾ化合物
の具体例を示すと以下の通りである。ジアゾ酢酸エチ
ル、ジアゾ酢酸メチル、ジアゾ酢酸t−ブチル、ジアゾ
−N,N−ジメチルアセトアミド、ジアゾ−N,N−ジ
エチルアセトアミド、ジアゾ−N,N−ジフェニルアセ
トアミド、2−ジアゾブタン酸エチル、2−ジアゾプロ
パン酸エチル等。 【0013】本発明に用いられるロジウムの金属錯体ま
たはロジウム金属塩からなる触媒は工業的に種々のもの
が入手容易であり、具体的に例示すると、以下の通りで
ある。酢酸ロジウム二量体、トリフルオロ酢酸ロジウム
二量体、オクタン酸ロジウム二量体、安息香酸ロジウム
二量体、ペンタフルオロ安息香酸ロジウム二量体、ヘプ
タフルオロプロパン酸ロジウム二量体、塩化ロジウム、
ロジウムアセトアセトナト等。 【0014】本発明の反応は溶媒中で行うことが反応効
率の点から望ましい。本発明で用いることのできる溶媒
としては例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエ
タン、テトラクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素溶
媒、トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒、ペン
タン、ヘキサン、デカン等の脂肪族炭化水素溶媒等が挙
げられる。反応は−50〜100℃の範囲で行うことが
できるが、反応の効率の点から室温〜100℃で行うこ
とが望ましい。また、触媒の使用量は、一般式(2)で
表わされる化合物1モル当り、0.00001〜0.1
モル、好ましくは0.001〜0.05モルの割合にす
るのがよい。反応時間は通常1〜10時間である。反応
後の生成物の分離は、蒸留・再結晶等の通常の精製単離
法によって容易に実施される。 【0015】本発明によれば、前記一般式(1)で表わ
されるケイ素原子のβ位に官能基を有する環状ケイ素化
合物が得られる。一般式(1)中のR1 〜R8 、m及
びnについては一般式(2)、(3)において示したと
同様である。 【0016】前記一般式(1)で表わされる官能基を有
する環状ケイ素化合物を具体的に例示すると以下の通り
である。4−メトキシカルボニルメチル−1,1,2,
2−テトラメチル−1,2−ジシラシクロペンタン、4
−エトキシカルボニルメチル−1,1,2,2−テトラ
メチル−1,2−ジシラシクロペンタン、4−t−ブト
キシカルボニルメチル−1,1,2,2−テトラメチル
−1,2−ジシラシクロペンタン、4−エトキシカルボ
ニルメチル−1,1,2−トリメチル−2−フェニル−
1,2−ジシラシクロペンタン等。 【0017】 【実施例】次に本発明を実施例によってさらに具体的に
説明する。 【0018】実施例1 ジクロロメタン溶媒(0. 5ml)中、酢酸ロジウム
(2. 3mg,0.005mmol)の存在下で1,
1, 2, 2−テトラメチル−1, 2−ジシラシクロペン
タン(31. 6mg,0.20mmol)にジアゾ酢酸
エチル(45. 6mg,0.40mmol)を室温で4
時間かけて滴下した。滴下終了後、減圧下で溶媒を留去
し、薄層クロマトグラフィー(展開溶媒、酢酸エチル:
ヘキサン1:10)により分離精製したところ、4−エ
トキシカルボニルメチル−1,1,2,2−テトラメチ
ル−1,2−ジシラシクロペンタン(43. 9mg,
0.18mmol、91%)を無色透明液体として得
た。本実施例の反応は下記式によって表わされる。 【0019】 【化5】【0020】1H- NMR(300MHz,C6D6):
δ0. 03- 0. 25(m,2H,CH2) ,0. 09(d,J= 1. 9Hz,12H,CH3),
0. 99- 1. 07(m,2H,CH2),1. 00
(t,J= 7. 1Hz,3H,CH3),2. 05-2.
20(m,1H,CH),2. 33(d,J= 7. 0H
z,2H,CH2),4. 01(q,J= 7. 1Hz,
2H,CH2) IR(neat):2958,2912,2858,1
731,1369,1251,1170,1129,8
39,803cm−1 【0021】実施例2 ジクロロメタン溶媒(0. 5ml)中、酢酸ロジウム
(2. 3mg,0.005mmol)の存在下で1,
1, 2−トリメチル−2−フェニル−1, 2−ジシラシ
クロペンタン(46.7mg,0.21mmol)にジ
アゾ酢酸エチル(45. 6mg,0.40mmol)を
室温で4時間かけて滴下した。滴下終了後、減圧下で溶
媒を留去し、薄層クロマトグラフィー(展開溶媒、酢酸
エチル:ヘキサン1:10)により分離精製したとこ
ろ、4−エトキシカルボニルメチル−1,1,2−トリ
メチル−2−フェニル−1,2−ジシラシクロペンタン
(40.0mg,0.13mmol,62%)を無色透
明液体として得た。本実施例の反応は下記式によって表
わされる。 【0022】 【化6】 【0023】1H- NMR(300MHz,C6D6):
δ0. 03- 0. 62(m,9H) ,1. 12- 1. 2
6(m,4H) ,1. 26(t,J= 7. 1Hz,3
H) ,2.13(m,1H,),2. 42(m,2H)
,4. 13(q,J= 7. 1Hz) ,7.51−7.
50(m,5H) IR(neat):3071,2958,2912,2
858,1734,1429,1251,1191,1
122,839,781,731,700cm−1 【0024】参考例1 ジクロロメタン溶媒(0. 5ml)中、酢酸ロジウム
(2. 2mg,0.005mmol)の存在下で1, 1
−ジメチル−1−シラシクロブタン(22. 0mg,
0.22mmol)にジアゾ酢酸t- ブチル(57. 6
mg,0.41mmol)を室温で4時間かけて滴下し
た。滴下終了後、減圧下で溶媒を留去し、薄層クロマト
グラフィー(展開溶媒、酢酸エチル:ヘキサン1:1
8)により分離精製したところ、3−t−ブトキシカル
ボニルメチル−1,1−ジメチル−1−シラシクロブタ
ン(30. 1mg,0.14mmol,68%)を無色
透明液体として得た。本参考例の反応は下記式によって
表わされる。 【0025】 【化7】 【0026】1H- NMR(300MHz,C6D6):
δ0. 21(d,J= 3. 9Hz,6H,CH3),0.
63(m,2H,CH2),1. 15(m,2H,CH
2),1. 38(s,9H,CH3),2. 25(d,J
= 7. 4Hz,2H,CH2),2. 53(m,1H,
CH) IR(neat):2966,1731,1369,1
251,1162,1096,806cm−1 【0027】参考例2 ジクロロメタン溶媒(0. 5ml)中、酢酸ロジウム
(3. 5mg、0.008mmol)の存在下で1, 1
−ジメチル−1−シラシクロペンタン(35. 7mg、
0.31mmol)にジアゾ酢酸t- ブチル(176.
7mg,1. 24mmol)を室温で18時間かけて滴
下した。滴下終了後、減圧下で溶媒を留去し、薄層クロ
マトグラフィー(展開溶媒、クロロホルム:ヘキサン
1:6)により分離精製したところ、3−t−ブトキシ
カルボニルメチル−1,1−ジメチル−1−シラシクロ
ペンタン(42. 8mg,0.19mmol,60%)
を無色透明液体として得た。本参考例の反応は下記式に
よって表わされる。 【0028】 【化8】 【0029】1H- NMR(300MHz,C6D6):
δ0. 01(d,J= 2. 2Hz,6H,CH3),0.
12(m,1H,CH2),0. 43(m,1H,CH
2),0. 68(m,1H,CH2),0. 91(m,1
H,CH2),0. 96- 1.10(m,1H,C
H2),1. 42(s,9H,CH3),1. 89- 1.
99(m,1H,CH2),2. 06- 2. 15(m,
2H,CH2) IR(neat):2932,1731,1369,1
251,1160,843,803cm−1 【0030】 【0031】 【0032】 【0033】 【発明の効果】本発明の一般式(1)で表わされる環状
ケイ素化合物は、ケイ素原子のβ位に種々の官能基を有
する。この化合物は、一般式(2)の化合物をロジウム
触媒の存在下、一般式(3)で表わされるジアゾ化合物
と反応させることにより位置選択的に得られる。このよ
うにして得られた本発明の環状ケイ素化合物は、耐熱材
料、有機合成反応剤、医農薬の合成中間体等として利用
することができ、高い工業的価値を有する。
に官能基を有する環状ケイ素化合物に関するものであ
る。 【0002】 【従来の技術】環状ケイ素化合物は、耐熱性高分子材料
の原料モノマーとして有用な化合物であり(Chem.Mate
r. 誌、5 巻、260-279 ページ、1993年)さらに官能基
を有する環状ケイ素化合物は、医農薬の合成中間体とし
て広く用いられている(有機合成化学協会誌、54巻、28
9-302 ページ、1996年)。従来の環状ケイ素化合物の製
造法として、末端にクロロシリル基を有するアルキルハ
ロゲン化物と金属マグネシウムを用いた、閉環反応によ
る方法が知られている(Comprehensive Organometallic
Chemistry、巻2 、226-296 ページ、Pergamon Press、
Oxford 、1982年)。しかし、この方法では、活性なマ
グネシウムを用いるため、カルボニル基等の反応性官能
基を有する環状ケイ素化合物の合成が困難であった。そ
のため、この方法により得られる環状ケイ素化合物の構
造は大きく限定され、一般的合成法とは言えなかった。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】以上のような事情に鑑
み、本発明は、ケイ素原子のβ位に種々の官能基を有す
る環状ケイ素化合物を提供することを目的とする。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討を行なった結果、ロジウム触媒の
存在下、環状ケイ素化合物とジアゾエステル化合物とを
反応させることによりケイ素原子のβ位に官能基を有す
る環状ケイ素化合物が位置選択的に得られることを見い
だし、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は下
記一般式(1)で表わされる環状ケイ素化合物、 【0005】 【化2】【0006】(式中、R1 及びR2 は、炭素数1〜5
の低級アルキル基又はフェニル基を表わし、R3及びR
4 は独立に水素原子又は低級アルキル基を示し、R5
及びR6 は、水素原子を表わす。R7 は水素原子又は
炭素数1〜5の低級アルキル基を表わす。R8 は炭素
数1〜10のアルキル基、炭素数6〜16のアリール
基、炭素数1〜10のアルコキシ基、又はアミノ基を表
わす。mは2を表わし、nは0〜4の整数を表わす。た
だし、2つのR1 は互いに異なっていてもよい。ま
た、nが2以上である場合、2つ以上のR5 は互いに
異なっていてもよい。) 【0007】 【発明の実施の形態】本発明で反応原料として用いる一
般式(2) 【化3】 で表わされる環状ケイ素化合物は種々のものが工業的に
入手容易であるほか、末端にクロロシリル基を有するア
ルキルハロゲン化物と金属マグネシウムによる閉環反応
を利用することで、容易に合成できる(Comprehensive
Organometallic Chemistry、巻2 、226-296 ページ、Pe
rgamon Press、 Oxford 、1982年)。一般式(2)中の
R1 及びR2 は、炭素数1〜5の低級アルキル基又は
フェニル基を示し、R3 及びR4 は独立に水素原子又
は低級アルキル基を示し、R5及びR6 は水素原子を
示す。炭素数1〜5の低級アルキル基は具体例として
は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基等が挙げられる。 【0008】フェニル基は、置換もしくは無置換のフェ
ニル基が特に好ましく、具体例としては、例えば、フェ
ニル基、トリル基、メトキシフェニル基等を挙げること
ができる。一般式(2)中、mは2であり、nは0〜4
の整数であり、好ましくは0、1又は2である。2つの
R1 は互いに異なってもよい。 【0009】前記一般式(2)で表わされる環状ケイ素
化合物を具体的に例示すると、以下の通りである。1,
1,2,2−テトラメチル−1,2−ジシラシクロペン
タン、1,1,2−トリメチル−2−フェニル−1,2
−ジシラシクロペンタン等。 【0010】本発明で用いる一般式(3) 【化4】で表わされるジアゾ化合物は、トシルアジドをはじめと
する工業的に入手可能な種々の原料から容易に合成され
る化合物である(Chem.Rev. 誌、94巻、1091−1160ペー
ジ、1994年)。一般式(3)において、R7 は、水素
原子又は炭素数1〜5の低級アルキル基を示す。また、
R8 は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜1
6のアリール基、炭素数1〜10のアルコキシ基、又は
アミノ基を示し、低級アルコキシ基が特に好ましい。 【0011】この場合のアルキル基、アリール基及びア
ルコキシ基の具体例については、前記一般式(2)につ
いて示したと同様である。アミノ基は置換基を有しても
よく、特にジアルキルアミノ基が好ましい。この置換基
は好ましくは炭素数1〜10、さらに好ましくは炭素数
1〜7であり、脂肪族、芳香族のいずれでもよい。具体
例としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ
フェニルアミノ基、ジベンジルアミノ基等が挙げられ
る。 【0012】前記一般式(3)で示されるジアゾ化合物
の具体例を示すと以下の通りである。ジアゾ酢酸エチ
ル、ジアゾ酢酸メチル、ジアゾ酢酸t−ブチル、ジアゾ
−N,N−ジメチルアセトアミド、ジアゾ−N,N−ジ
エチルアセトアミド、ジアゾ−N,N−ジフェニルアセ
トアミド、2−ジアゾブタン酸エチル、2−ジアゾプロ
パン酸エチル等。 【0013】本発明に用いられるロジウムの金属錯体ま
たはロジウム金属塩からなる触媒は工業的に種々のもの
が入手容易であり、具体的に例示すると、以下の通りで
ある。酢酸ロジウム二量体、トリフルオロ酢酸ロジウム
二量体、オクタン酸ロジウム二量体、安息香酸ロジウム
二量体、ペンタフルオロ安息香酸ロジウム二量体、ヘプ
タフルオロプロパン酸ロジウム二量体、塩化ロジウム、
ロジウムアセトアセトナト等。 【0014】本発明の反応は溶媒中で行うことが反応効
率の点から望ましい。本発明で用いることのできる溶媒
としては例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエ
タン、テトラクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素溶
媒、トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒、ペン
タン、ヘキサン、デカン等の脂肪族炭化水素溶媒等が挙
げられる。反応は−50〜100℃の範囲で行うことが
できるが、反応の効率の点から室温〜100℃で行うこ
とが望ましい。また、触媒の使用量は、一般式(2)で
表わされる化合物1モル当り、0.00001〜0.1
モル、好ましくは0.001〜0.05モルの割合にす
るのがよい。反応時間は通常1〜10時間である。反応
後の生成物の分離は、蒸留・再結晶等の通常の精製単離
法によって容易に実施される。 【0015】本発明によれば、前記一般式(1)で表わ
されるケイ素原子のβ位に官能基を有する環状ケイ素化
合物が得られる。一般式(1)中のR1 〜R8 、m及
びnについては一般式(2)、(3)において示したと
同様である。 【0016】前記一般式(1)で表わされる官能基を有
する環状ケイ素化合物を具体的に例示すると以下の通り
である。4−メトキシカルボニルメチル−1,1,2,
2−テトラメチル−1,2−ジシラシクロペンタン、4
−エトキシカルボニルメチル−1,1,2,2−テトラ
メチル−1,2−ジシラシクロペンタン、4−t−ブト
キシカルボニルメチル−1,1,2,2−テトラメチル
−1,2−ジシラシクロペンタン、4−エトキシカルボ
ニルメチル−1,1,2−トリメチル−2−フェニル−
1,2−ジシラシクロペンタン等。 【0017】 【実施例】次に本発明を実施例によってさらに具体的に
説明する。 【0018】実施例1 ジクロロメタン溶媒(0. 5ml)中、酢酸ロジウム
(2. 3mg,0.005mmol)の存在下で1,
1, 2, 2−テトラメチル−1, 2−ジシラシクロペン
タン(31. 6mg,0.20mmol)にジアゾ酢酸
エチル(45. 6mg,0.40mmol)を室温で4
時間かけて滴下した。滴下終了後、減圧下で溶媒を留去
し、薄層クロマトグラフィー(展開溶媒、酢酸エチル:
ヘキサン1:10)により分離精製したところ、4−エ
トキシカルボニルメチル−1,1,2,2−テトラメチ
ル−1,2−ジシラシクロペンタン(43. 9mg,
0.18mmol、91%)を無色透明液体として得
た。本実施例の反応は下記式によって表わされる。 【0019】 【化5】【0020】1H- NMR(300MHz,C6D6):
δ0. 03- 0. 25(m,2H,CH2) ,0. 09(d,J= 1. 9Hz,12H,CH3),
0. 99- 1. 07(m,2H,CH2),1. 00
(t,J= 7. 1Hz,3H,CH3),2. 05-2.
20(m,1H,CH),2. 33(d,J= 7. 0H
z,2H,CH2),4. 01(q,J= 7. 1Hz,
2H,CH2) IR(neat):2958,2912,2858,1
731,1369,1251,1170,1129,8
39,803cm−1 【0021】実施例2 ジクロロメタン溶媒(0. 5ml)中、酢酸ロジウム
(2. 3mg,0.005mmol)の存在下で1,
1, 2−トリメチル−2−フェニル−1, 2−ジシラシ
クロペンタン(46.7mg,0.21mmol)にジ
アゾ酢酸エチル(45. 6mg,0.40mmol)を
室温で4時間かけて滴下した。滴下終了後、減圧下で溶
媒を留去し、薄層クロマトグラフィー(展開溶媒、酢酸
エチル:ヘキサン1:10)により分離精製したとこ
ろ、4−エトキシカルボニルメチル−1,1,2−トリ
メチル−2−フェニル−1,2−ジシラシクロペンタン
(40.0mg,0.13mmol,62%)を無色透
明液体として得た。本実施例の反応は下記式によって表
わされる。 【0022】 【化6】 【0023】1H- NMR(300MHz,C6D6):
δ0. 03- 0. 62(m,9H) ,1. 12- 1. 2
6(m,4H) ,1. 26(t,J= 7. 1Hz,3
H) ,2.13(m,1H,),2. 42(m,2H)
,4. 13(q,J= 7. 1Hz) ,7.51−7.
50(m,5H) IR(neat):3071,2958,2912,2
858,1734,1429,1251,1191,1
122,839,781,731,700cm−1 【0024】参考例1 ジクロロメタン溶媒(0. 5ml)中、酢酸ロジウム
(2. 2mg,0.005mmol)の存在下で1, 1
−ジメチル−1−シラシクロブタン(22. 0mg,
0.22mmol)にジアゾ酢酸t- ブチル(57. 6
mg,0.41mmol)を室温で4時間かけて滴下し
た。滴下終了後、減圧下で溶媒を留去し、薄層クロマト
グラフィー(展開溶媒、酢酸エチル:ヘキサン1:1
8)により分離精製したところ、3−t−ブトキシカル
ボニルメチル−1,1−ジメチル−1−シラシクロブタ
ン(30. 1mg,0.14mmol,68%)を無色
透明液体として得た。本参考例の反応は下記式によって
表わされる。 【0025】 【化7】 【0026】1H- NMR(300MHz,C6D6):
δ0. 21(d,J= 3. 9Hz,6H,CH3),0.
63(m,2H,CH2),1. 15(m,2H,CH
2),1. 38(s,9H,CH3),2. 25(d,J
= 7. 4Hz,2H,CH2),2. 53(m,1H,
CH) IR(neat):2966,1731,1369,1
251,1162,1096,806cm−1 【0027】参考例2 ジクロロメタン溶媒(0. 5ml)中、酢酸ロジウム
(3. 5mg、0.008mmol)の存在下で1, 1
−ジメチル−1−シラシクロペンタン(35. 7mg、
0.31mmol)にジアゾ酢酸t- ブチル(176.
7mg,1. 24mmol)を室温で18時間かけて滴
下した。滴下終了後、減圧下で溶媒を留去し、薄層クロ
マトグラフィー(展開溶媒、クロロホルム:ヘキサン
1:6)により分離精製したところ、3−t−ブトキシ
カルボニルメチル−1,1−ジメチル−1−シラシクロ
ペンタン(42. 8mg,0.19mmol,60%)
を無色透明液体として得た。本参考例の反応は下記式に
よって表わされる。 【0028】 【化8】 【0029】1H- NMR(300MHz,C6D6):
δ0. 01(d,J= 2. 2Hz,6H,CH3),0.
12(m,1H,CH2),0. 43(m,1H,CH
2),0. 68(m,1H,CH2),0. 91(m,1
H,CH2),0. 96- 1.10(m,1H,C
H2),1. 42(s,9H,CH3),1. 89- 1.
99(m,1H,CH2),2. 06- 2. 15(m,
2H,CH2) IR(neat):2932,1731,1369,1
251,1160,843,803cm−1 【0030】 【0031】 【0032】 【0033】 【発明の効果】本発明の一般式(1)で表わされる環状
ケイ素化合物は、ケイ素原子のβ位に種々の官能基を有
する。この化合物は、一般式(2)の化合物をロジウム
触媒の存在下、一般式(3)で表わされるジアゾ化合物
と反応させることにより位置選択的に得られる。このよ
うにして得られた本発明の環状ケイ素化合物は、耐熱材
料、有機合成反応剤、医農薬の合成中間体等として利用
することができ、高い工業的価値を有する。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(56)参考文献 Danilkina,L.P.,e
t.al.,Zh.Obshch.Kh
im.,197
Ando,W.,et.al.,J.
Organometal.Chem.,
1974,Vol.
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
C07F 7/00
CA(STN)
REGISTRY(STN)
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 下記一般式(1)で表わされる環状ケイ
素化合物。 【化1】(式中、R1 及びR2 は、炭素数1〜5の低級アルキ
ル基又はフェニル基を表わし、R3及びR4 は独立に
水素原子又は低級アルキル基を示し、R5 及びR6
は、水素原子を表わす。R7 は水素原子又は炭素数1
〜5の低級アルキル基を表わす。R8 は炭素数1〜1
0のアルキル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数
1〜10のアルコキシ基、又はアミノ基を表わす。mは
2を表わし、nは0〜4の整数を表わす。ただし、2つ
のR1 は互いに異なっていてもよい。)
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP01625699A JP3385353B2 (ja) | 1999-01-25 | 1999-01-25 | 官能基を有する環状ケイ素化合物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP01625699A JP3385353B2 (ja) | 1999-01-25 | 1999-01-25 | 官能基を有する環状ケイ素化合物 |
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---|---|---|---|
JP9054313A Division JP2923764B2 (ja) | 1997-03-10 | 1997-03-10 | 官能基を有する環状ケイ素化合物の製造方法 |
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JPH11263793A JPH11263793A (ja) | 1999-09-28 |
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JP4317296B2 (ja) | 1999-09-17 | 2009-08-19 | 株式会社ターボデータラボラトリー | 並列コンピュータのアーキテクチャおよびこのアーキテクチャを利用した情報処理ユニット |
-
1999
- 1999-01-25 JP JP01625699A patent/JP3385353B2/ja not_active Expired - Lifetime
Non-Patent Citations (2)
Title |
---|
Ando,W.,et.al.,J.Organometal.Chem.,1974,Vol. |
Danilkina,L.P.,et.al.,Zh.Obshch.Khim.,197 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH11263793A (ja) | 1999-09-28 |
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