JP3385119B2 - 膜被覆ガラスの膜分割法 - Google Patents

膜被覆ガラスの膜分割法

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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
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    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ガラス基板の表面に、
ガラス基板自体に種々のダメージを付与することなく、
種々にパターン化された熱線反射膜等の各種機能性膜を
容易に効率よく安価に膜抜きとして形成することがで
き、ひいては本来の機能膜の性能を維持しつつ、その機
能に付随して発現するマイナス機能をも解消することが
でき、バランスがとれた優れた機能と性能を発揮できる
等、建築用窓ガラスや自動車など車両用窓ガラス等の板
ガラス分野に有用であるのみならず、広く種々の分野の
ガラス物品に採用できる有用な膜被覆ガラスの膜分割法
に関する。
【0002】なかでも例えば、熱線反射膜被覆ガラスを
用いた建造物あるいは熱線反射膜被覆アンテナ導体付ガ
ラスを用いた自動車などにおける各種電波の障害を防
ぎ、電波を効率よく透過させ、さらには文字状や図形状
等も成し得、しかも全面に被膜したように見せかけるこ
とができ、居住者や環境に対し違和感なく格段に優しい
美観を呈する、優れた膜被覆ガラスの膜分割法を提供す
るものである。
【0003】
【従来技術】近年、窓ガラスは次第に機能性を備えるも
のが使用され、例えば金属、金属酸化物などの膜をコー
ティングしたり、このような膜を有するフイルムを貼付
けた断熱性能などの機能を付与したガラスの採用が増加
傾向にある。厚さの影響はさほどではないが、ガラスよ
り電波に対して反射率が高い膜をコーティングしたり、
このような膜を有するフイルムを貼付けると反射率が例
えばかなりの高い値となり、電波障害は避けられない面
があった。
【0004】したがって、このような場合には電波の到
来方向の窓は何もコーティングしていないガラスを配設
せざるをえず、同一ビルで色調が異なるという不調和が
さけられなかったし、場合によってはビル全体の窓にお
ける断熱効果を低減させざるを得ないこともあるもので
あった。
【0005】また例えば、実公昭63-49932号公報には、
アンテナ付き自動車用ウインドガラスが記載されてお
り、窓枠に嵌め込み固定され、受信用又は送信用のアン
テナ素線を設けたウインドガラス表面に、少なくとも上
記窓枠の内側に沿った所定幅の部分を残して熱線反射用
の導電性被膜を設けたというものが開示されている。
【0006】さらに例えば、実開昭61-121010 号公報に
は、自動車用窓ガラスが記載されており、熱線反射膜ま
たは電導性膜とアンテナ線とを備えた自動車用窓ガラス
において、熱線反射膜または電導性膜はアンテナ線が設
けられていない部分に設けられているものが開示されて
いる。
【0007】そこで、熱線反射性能と電波透過性能を有
するガラスの一つとして所謂パッチ方式と称する膜分割
タイプ、例えば本出願人が既に出願した特開平3-250797
号公報あるいは特開平5-42623 号公報では電波に対して
低反射特性を有する積層板をはじめ、特開平5-50548 号
公報では電波低反射特性を有する熱線反射ガラス、さら
には特開平6-40752 号公報では車輌用電波透過熱線反射
ガラス、またさらには特開平6-247745号公報では電波透
過特性を有する熱線反射ガラスをそれぞれ提案してい
る。
【0008】上述した該提案の膜被覆ガラスの膜分割タ
イプにおいて、ガラス基板を傷めることなく、より容易
に効率よくかつ安価にできしかもライン化が可能な膜分
割方法を、レーザー法やエッチング法等に代えて新たに
見出す必要があった。
【0009】一方例えば、特開平4-112073号公報には窓
ガラスに永続的な文字を印する方法及び印字のある自動
車用窓ガラスが記載されており、熱処理する前に永続的
な文字を印するために、無機焼付ペイントを窓ガラスの
表面に塗布し、そして有機ペイントを用いてマーキング
又は文字の印刷を行うに際し、有機ペイントを無機焼付
ペイントの膜を塗布する前に窓ガラスの表面上に塗布す
るか、あるいは無機焼付ペイントの膜を塗布しそして乾
燥したあと有機ペイントを無機焼付ペイントの膜上に塗
布するかして、次いで焼付ペイントを窓ガラスの熱処理
工程の間に焼付けをすることが開示され、インキジェッ
トプリンターを用いて文字を印することが記載されてい
る。
【0010】
【発明が解決しようとする問題点】本発明は、前述した
ようにガラス基板上に成膜した機能性膜をより活かすた
めの優れたパターン化である分割法がない中で、例えば
AM放送波、FM放送波あるいはTV放送波などの各種電波に
対して反射率を低減せしめて電波障害が発現しないと言
えて、膜を被覆しない素板ガラスに近い電波透過率の値
となり、かつ充分な断熱性能を発揮する、なかでも本出
願人が先に提案した前記特開平5-50548 号に記載したス
トライプ状あるいは格子状の分割形状にするパツチ分割
方式における分割溝の幅についてより融通性があり、し
かも本出願人が先に提案した前記特開平6-40752 号公報
ならびに特開平6-247745号公報に記載の分割方式に代え
てより実用性に優れる、ガラス基板を傷めることなく、
より容易に効率よくかつ安価にできしかもライン化が可
能な膜分割方式になり、さらに種々の機能を付与するよ
うにすることができる膜被覆ガラスの膜分割法を提供す
ることを目的とする。
【0011】
【問題点を解決するための手段】本発明は前述したよう
な問題点に鑑みて成したものであり、インクジェットプ
リンター等プリント技術の特徴を活かし、特異なインク
によって適宜目的の繊細な線状等の各種パターニング膜
を形成し、該パターニング膜に被覆した機能性膜ととも
に簡易に除去し機能性膜に膜抜きパターンを形成するこ
とができるようにしたので、例えばパツチ分割方式の分
割溝の微小な幅(アパーチヤ幅)が確実に安定して外観
上目立たないようにして分割パターンを形成でき、全体
として熱線反射性能等の機能性膜の性能を維持しつつ、
例えば電波の反射を格段に低減し、被膜しないガラス自
体と同等の電波透過性能を実現できる等、機能性膜のマ
イナス性能を解消する被膜の分割溝あるいは斑点状模様
または文字等のパターンを、ガラス基板を傷めることな
く、より容易に効率よくかつ安価にできしかもライン化
が可能な膜分割方式とした膜被覆ガラスの膜分割法を提
供するものである。
【0012】すなわち、本発明は、ガラス基板表面上
に、インクによるパターニング膜を形成し、該パターニ
ング膜形成側の表面に、機能性膜を被覆成膜した後、該
機能性膜面を洗浄することで、前記パターニング膜とと
もに機能性膜をも取り去ることで膜抜きパターンを形成
することを特徴とする膜被覆ガラスの膜分割法。
【0013】ならびに、前記インクによる膜抜きパター
ニング膜を、インクジェットプリンターを用いて形成す
ることを特徴とする上述した膜被覆ガラスの膜分割法。
また、前記膜抜きパターンの部分が、丸状部の集合であ
って線状を成していることを特徴とする上述した膜被覆
ガラスの膜分割法。
【0014】さらに、前記線状を成している膜抜きパタ
ーンの部分が、格子状または/およびストライプ状を呈
して成ることを特徴とする上述した膜被覆ガラスの膜分
割法。
【0015】さらに、前記線状を成している膜抜きパタ
ーンの部分が、ガラス面に施した熱線もしくはアンテナ
導体の上、あるいは該上とその近傍上で成ることを特徴
とする上述した膜被覆ガラスの膜分割法。
【0016】さらにまた、前記膜抜きパターンの部分
が、丸状部の集合域であって、該集合域において大きさ
の異なる丸状部ならびに該丸状部の異なる密度が存在
し、しかも丸状部の密の部分から粗の部分に傾斜して成
ることを特徴とする上述した膜被覆ガラスの膜分割法。
【0017】さらにまた、前記膜抜きパターンの部分
が、線状、点状の文字状または/および図形状を成して
いることを特徴とする上述した膜被覆ガラスの膜分割法
をそれぞれ提供するものである。加えて、膜抜きパター
ンを有する膜被覆ガラスの製造ラインを提供するもので
あって、ガラス基板にインクによるパターンニング膜を
形成するためのインクジェットプリンター、ガラス基板
上に膜を形成するためのスパッタ装置、ガラス基板を洗
浄することによりパターニング膜の部分のみガラス基板
からパターニング膜とともに機能性膜を取り去るための
ブラッシイング洗浄装置の順で配置されたことを特徴と
する膜抜きパターンを有する膜被覆ガラスの製造ライン
である。
【0018】ここで、前記インクとしては、ガラス面あ
るいはセラミックスペーストをスクリーン印刷し焼成し
た所謂黒枠面等に薄膜として成膜されたとき、少なくと
も温水乃至熱湯でブラッシイング洗浄程度で剥離し取り
除くことができる接着力を有するものであり、かつパタ
ーニング膜上に被覆する機能性膜との接着性を有し、し
かも剥離時に機能性膜の分割境界部の境界状況を損なう
ことがない等の条件を満たし、さらに塗膜が速乾性で例
えばにじみ現象等を発現しない、例えば線径あるいは直
径として少なくとも0.1mm 以上、好ましくは0.2mm 以上
を確保できるものである。
【0019】また、該インクは剥がし去った後にガラス
面等に傷や汚れを残さないことはもちろん、後工程での
例えば合せ処理、あるいは約550 乃至650 ℃程度の加熱
をし曲げや強化処理を施してもガラス面や機能性膜に影
響を及ばさないものでなければならない。
【0020】前記機能性膜としては、例えば熱線反射率
が高い薄膜であって、スパッタ薄膜の表面抵抗率が500
Ω/口以下であるものはプラズマ振動により低い電磁波
を反射するから、反射率は膜の表面抵抗に支配されるた
め、太陽光の遮断だけでなく、赤外線の反射による断熱
を含めた高断熱ガラスとなる。また薄膜の表面抵抗率が
1kΩ/口以上であれば電波の反射率が低いものとなる
ものの、断熱性能が低下してくることとなり易い。さら
に電波の透過性を考慮すれば例えば10M Ω/口以上、好
ましくは20M Ω/口以上、より好ましくは22M Ω/口以
上であり、断熱性能とバランスを持つようなものとすべ
く種々の選択ができるものである。また特に表面抵抗率
が数Ω/口の Low-E膜(例えば、商品名:ヒートガー
ド、ペアレックス)がある。
【0021】また、該機能性膜は単層でも多層でもよい
ものであり、例えばCr薄膜(例えば約12nm程度)、TiN
薄膜(例えば約35〜70nm程度)、TiOx薄膜(例えば約30
nm程度)等の単層膜あるいはTaOx薄膜(例えば約5nm 程
度)/TiNxOy薄膜(例えば約4〜6nm程度)/TaOx薄膜
(例えば約5nm 程度)等の多層膜である。厚みとして
は、例えば約100nm 程度以下、好ましくは約80nm程度以
下、より好ましくは約50nm程度以下である。
【0022】つぎに、前記ストライプ膜の到来電波の電
界方向に平行なストライプの幅を、前記電波の波長λの
1/20倍以下になるようにするようにすることが好まし
く、例えば既に同出願人が提案したように、前記電波の
波長λの1/3倍以下、好ましくは1/4倍以下の前記
ストライプ幅でよいのであるが、より過酷な環境あるい
は条件下でも前述した所期の目的を達成するために1/
20倍以下になるようにする必要であり、好ましくは1/
30倍以下である。
【0023】さらに好ましくは、到来電波の電界方向
に、平行な溝の幅が0〜3mm、直交する溝の幅が0.1 〜
3mmであり、より好ましくは平行な溝の幅が0〜3mm、
直交する溝の幅が0.3 〜3mmであるものの、熱線反射導
電性の膜が全面に被覆されたごとく外見でき、意匠性あ
るいは断熱性能ならびに紫外線遮断性に格段に優れるも
のとできる。
【0024】また、水平偏波の場合は水平方向の前記間
隔の幅は零でもよく、垂直偏波の場合は垂直方向の前記
間隔の幅は零でもよいものとなり、ストライプ状でも、
碁盤目状でもよいものである。
【0025】さらについで、ストライプ状の幅の下限に
ついては、例えば上述した通常の高断熱品のものでは、
電波の周波数が200MHzの場合、前記溝の幅が0.5mm であ
れば、ストライプの幅が約3mm程度まで断熱効果が期待
できることとなり、例えばストライプの分割幅の範囲は
波長λの2/1000〜1/30程度となる。仮に前記間隔の
幅をさらに小さくすれば、この下限はさらに小さくな
る。
【0026】
【作用】前述したように、本発明は、ガラス基板表面上
に、インクジェットプリンター等を用い、インクによる
パターニング膜を形成し、該パターニング膜形成側の表
面に、機能性膜を被覆成膜した後、該機能性膜面を洗浄
することで前記パターニング膜とともに機能性膜をも取
り去ることで膜抜きパターンを形成する膜被覆ガラスの
膜分割法としたことにより、ガラス表面等にインクで所
望の線状や点状のパターニング膜をにじみ現象もなく簡
便に確実にでき、しかも格別でもない温水洗浄処理でも
って膜分割ができ、分割した機能性膜の境界部も整って
ダメージを与えることもなく、かつ膜抜きパターン部に
残骸を残すこともなく、しかもガラス面に傷や汚れ等を
発現することもない綺麗な仕上がりの各種膜の各種分割
をする方法となり、さらに特別のマスキング材あるいは
マスキングに係わる作業等を必要とせず、例えばガラス
面に傷や汚れが付き易いレーザー等による膜分割法に代
えて簡便でより効率よく安価に施すことができ、自動化
や省力化を安全にできかつ広いガラス製品に採用できる
有用な膜被覆ガラスの膜分割法を提供することができ
る。
【0027】
【実施例】以下、図面を参照しながら、本発明の一実施
例を詳細に説明する。実施例1 先ず、大きさ約 305mmx305mm で厚み約3mmのクリアガ
ラス基板(Fl3)を中性洗剤、水すすぎ、イソプロピルア
ルコールで順次洗浄し、乾燥する。
【0028】次に、通常のインクジェットプリンターを
用い、 MEK(メチルエチルケトン)を溶媒の主成分とす
る速乾性のインクを帯電させたインク流として塗布し、
ガラス基板1表面上に図1および図3に部分拡大して示
すような火山状の線状パターニング膜2の側断面図(直
径a=約0.46〜0.56mm程度、高さh=約1.5 μ程度、g
=約0.5 μ程度)で、かつ図2の(A)に拡大し部分的
に示すような充分重なって連続する小滴10(直径a=約
0.46〜0.56mm程度、重なり部分e=約0.4 mm程度)でな
る線状パターニング膜2を速乾して形成する。なお、イ
ンクジェットプリンターは主として、超音波信号、イン
ク送りとインクフリードを備えるガン本体、帯電信号と
帯電電極、偏向板、ガター等からなる(ドミノ社製)を
用いた。
【0029】次いで、図4に部分拡大して示すように、
該線状パターニング膜2付きのガラス基板1の膜付き側
表面に、スパッタ法により、真空槽を真空ポンプで約5
x10 -6Torrまで脱気した後、N2ガスを導入し、2x10-3
Torrに保持し(約70SCCM)、Tiターゲットに1kWの電力
を印加し、線状パターニング膜付きガラス基板を搬送速
度約42mm/min で移動し、熱線反射等の機能性膜3であ
る膜厚約70nmのTiN 薄膜を全面に被覆成膜した。
【0030】次に、線状パターニング膜2付きガラス基
板1の機能性膜3面を上面にして、約30℃程度の温水
で、約170RTM程度の回転にあるナイロンブラシ(東洋レ
ーヨン社製)を5対(先ずブラシの線径約0.2mm 程度が
2対、次に線径約0.15mm程度が2対、更に線径約0.1mm
程度が1対)備える洗浄機に投入し、約25秒程度の通過
時間で温水シャワーとブラッシングでもって温水ブラシ
洗浄を行う。
【0031】その結果、図5に示すように、ガラス基板
1の線状パターニング膜2の部分のみ、ガラス基板1か
ら線状パターニング膜2と機能性膜3とが同時に剥がさ
れ、線状パターニング膜2とともに機能性膜3を取り去
りガラス面が現れ、他の線状パターニング膜がない部分
でガラス面に直接被膜された機能性膜3であるTiN 薄膜
は成膜した際と同じ状態のまま残り、現れたガラス面部
分で分割部4を形成できた。なお、図6は上述した分割
部の製造工程をまとめて示すものである。
【0032】図7に示すように、上述した分割法によっ
て電波透過特性を有する熱線反射ガラスを表す正面図
であって、横ストライプ型に分割したパターンを形成し
たものであり、約20mmのストラプ幅で約0.5mm 程度の分
割溝幅であるものができ、分割された機能性膜の境界部
も整い、機能性膜にダメージを与えることもなく、かつ
分割部での膜残りもなく、しかもガラス面に傷や汚れ等
を発現させることもなく、綺麗に仕上がり、マスキング
材とマスキングに係わる作業を必要とぜず、単にインク
塗布と温水洗浄のみで所期の分割を簡便で効率よく安価
に施すことができ、さらに熱線反射性能と電波透過性能
の両者をバランスよく両立せしめて優れる電波透過型熱
線反射ガラスを得ることができた。
【0033】実施例2 図2の(B)、(C)、(D)に示すように、(B)は
少ない重なりで連続する小滴10、(C)は接して連続す
る小滴10、(D)は遊離して連続する小滴10からなる線
状パターニング膜を拡大し部分的に示したものである。
なお、小滴10の直径は約0.56mm以下0.25mm以上程度のも
のであった。
【0034】図8は、スパッタ法で成膜した機能性膜3
であるITO 薄膜に、比較的大きい面積の円形状孔7明き
から比較的小さな面積の円形状孔7明きを適宜密から粗
に組み合わせて配置することで、ぼかし模様を実施例1
の分割法と上記図2の小滴の分布法によって形成した自
動車用窓ガラスの一部を部分的に拡大して示したもので
ある。
【0035】得られたぼかし模様付き自動車用窓ガラス
は、機能性膜3であるITO 薄膜に設けた各円形状孔7
明きの境界部も整い、機能性膜であるITO 薄膜にダメー
ジを与えることもなく、かつ孔明き部での膜残りもな
く、しかもガラス面に傷や汚れ等を発現させることもな
く、綺麗に仕上がり、マスキング材とマスキングに係わ
る作業を必要とぜず、ただインク塗布と温水洗浄のみで
所期のぼかし模様を簡便で効率よく安価に施すことがで
き、サンシェードバンド、ヘッドアップディスプレイあ
るいは電波透過型熱線反射ガラス等に広く採用できるも
のである。
【0036】実施例3 図9は、ガラスアンテナを備える自動車用窓ガラスにお
いて電波透過性能と熱線反射性能を兼ね備えるものとす
るため、ガラスアンテナ9上部分の熱線反射性能を有す
る機能性膜3〔例えば、ITO 薄膜(約30nm〜70nm程
度)、TiN 薄膜(約70nm程度)、TiN 薄膜(約35nm程
度)/TiO 薄膜(約30nm程度)、TaO (約5nm程度)/T
iNO(約10nm程度)/TaO (約5nm 程度)等〕を除去し
たものを部分拡大して示すものである。
【0037】すなわち、実施例1の分割法を用いて、ガ
ラスアンテナ9上に線状パターニング膜を形成し、前記
機能性膜3をガラスアンテナ面側全面に被覆成膜し、ガ
ラスアンテナ9上の機能性膜3を、先ず熱湯で約10秒程
度処理し、次いでブラシ洗浄、次にアルコール拭きをす
ることで、図9に示すようにガラスアンテナ9部分の機
能性膜3を除去することができ、除去した部分である分
割部4での膜境界部も整い、機能性膜ならびにガラスア
ンテナにダメージを与えることもなく、かつ除去部での
膜残りもなく、しかもガラスアンテナやガラス面に傷や
汚れ等を発現させることもなく、綺麗に仕上がり、マス
キング材とマスキングに係わる作業を必要とぜず、ただ
インク塗布と温水洗浄のみで所期のガラスアンテナ部の
機能性膜除去を簡便で効率よく安価に施すことができ、
熱線反射性能と電波透過性能の両者をバランスよく両立
せしめて優れるガラスアンテナ付き電波透過型熱線反射
ガラスを得ることができた。
【0038】実施例4 上記各実施例の孔明けを含む分割法を適宜組み合わせ
て、ガラス板状体の表面に成膜した各種機能性膜に、所
望の各種形状や模様あるいは文字や数字等の文字状また
は/および図形状のパターンを設けたところ、各実施例
と同様、機能性膜の境界部も整い、機能性膜にダメージ
を与えることもなく、かつ分割部での膜残りもなく、し
かもガラス面に傷や汚れ等発現させることもなく、綺麗
に仕上がり、マスキング材とマスキングに係わる作業を
必要とぜず、ただインク塗布と温水洗浄のみで所期の分
割を簡便で効率よく安価に施すことができた。
【0039】
【発明の効果】以上前述したように、本発明によれば、
単にインクでのパターニング膜の形成と、温水洗浄とを
組み合わせ施すのみで、機能性膜に膜抜きパターンを形
成する膜被覆ガラスの膜分割法としたことにより、にじ
み現象もなく所望のパターニング膜が簡便かつ確実にで
き、格別でもない温水洗浄でもって、分割した機能性膜
の境界部も整ってダメージを与えることもなく、かつ膜
抜きパターン部に残骸を残すこともなく、しかもガラス
面に傷や汚れ等を発現することもない綺麗な仕上がりの
各種膜の各種分割をする方法となり、さらに特別のマス
キング材あるいはマスキングに係わる作業等を必要とせ
ず、簡便でより効率よく安価に施すことができ、自動化
や省力化を安全にできかつ広いガラス製品に採用できる
有用な膜被覆ガラスの膜分割法を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における、ガラス基板の表面
上に線状パターニング膜を形成した状態を示す部分拡大
した側断面図である。
【図2】本発明の一実施例における、インク小滴によっ
て形成される線状パターニング膜の状態を示す部分拡大
した説明図であり、(A)は充分に重なった小滴が連続
した線状パターニング膜、(B)は少ない重なりで小滴
が連続した線状パターニング膜、(C)は接する小滴が
連続した線状パターニング膜、(D)は離隔した小滴が
連続した線状パターニング膜をそれぞれ表す。
【図3】図1における線状パターニング膜について、さ
らに大きさを具体化するための説明図である。
【図4】図1の線状パターニング膜に機能性膜を被覆し
た状態を示す部分拡大した側断面図である。
【図5】図4の状態から、温水ブラシング洗浄を施すこ
とで、機能性膜とともに線状パターニング膜が剥離し取
り除かれた状態を示す部分拡大した側断面図である。
【図6】本発明の膜被覆ガラスの膜分割法における製造
工程をフローチャート化して示す説明図である。
【図7】実施例1において成した電波透過型熱線反射ガ
ラスを示す正面図である。
【図8】実施例2において成したぼかし模様付き自動車
用窓ガラスを示す部分拡大した平面図である。
【図9】実施例3において成したガラスアンテナ付き電
波透過型熱線反射ガラスを示す部分拡大した平面図であ
る。
【符号の説明】
1 ガラス基板 2 線状パターニング膜 3 機能性膜 4 分割部 電波透過型熱線反射ガラス ぼかし模様付き自動車用窓ガラス 7 円形状孔 ガラスアンテナ付き電波透過型熱線反射ガラス 9 ガラスアンテナ 10 小滴
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−250797(JP,A) 特開 昭57−166390(JP,A) 特開 平4−112073(JP,A) 特開 平6−297717(JP,A) 特開 平5−31922(JP,A) 実開 昭61−121010(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C03C 15/00 - 23/00 B41J 3/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガラス基板表面上に、インクジェットプリ
    ンターを用いて形成されたインクによるパターニング膜
    を形成し、該パターニング膜形成側の表面に、機能性膜
    を被覆成膜した後、該機能性膜面を洗浄することでパタ
    ーニング膜部分のみガラス基板からパターニング膜とと
    もに機能性膜をも取り去り、パターニング膜がない部分
    でガラス面又はセラミックペーストをスクリーン印刷し
    焼成した所謂黒枠面上に直接被膜された機能性膜は成膜
    した際と同じ状態のまま残すことで膜抜きパターンを形
    成することを特徴とする膜被覆ガラスの膜分割法。
  2. 【請求項2】前記インクが、ガラス面又はセラミックペ
    ーストをスクリーン印刷し焼成した所謂黒枠面上に薄膜
    として成膜されたとき、少なくとも温水乃至熱湯でのブ
    ラッシイング洗浄で剥離し取り除くことができる接着力
    を有するものであり、且つパターンニング膜上に被覆す
    る機能性膜との接着性を有し、しかも剥離時に機能性膜
    の分割境界部の境界状況を損なうことがないものである
    ことを特徴とする請求項1に記載の膜被覆ガラスの分割
    法。
  3. 【請求項3】前記線状を成している膜抜きパターンの部
    分が、ガラス面に施した熱線もしくはアンテナ導体の
    上、あるいは該上とその近傍上で成ることを特徴とする
    請求項1又は2に記載の膜被覆ガラスの膜分割法。
  4. 【請求項4】前記膜抜きパターンの部分が、丸状部の集
    合域であって、該集合域において大きさの異なる丸状部
    ならびに該丸状部の異なる密度が存在し、しかも丸状部
    の密の部分から粗の部分に傾斜して成ることを特徴とす
    る請求項1乃至3のいずれかに記載の膜被覆ガラスの膜
    分割法。
  5. 【請求項5】膜抜きパターンを有する膜被覆ガラスを製
    造するためのラインであって、ガラス基板にインクによ
    るパターンニング膜を形成するためのインクジェットプ
    リンター、ガラス基板上に膜を形成するためのスパッタ
    装置、ガラス基板を洗浄することによりパターニング膜
    の部分のみガラス基板からパターニング膜とともに機能
    性膜を取り去るためのブラッシイング洗浄装置の順で配
    置されたことを特徴とする膜抜きパターンを有する膜被
    覆ガラスの製造ライン
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