JP3383569B2 - メカニカルスプライス部品の光ファイバ把持長さ決定方法 - Google Patents
メカニカルスプライス部品の光ファイバ把持長さ決定方法Info
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Description
合わせて、これを機械的に把持して接続するメカニカル
スプライス技術に関する。 【0002】 【従来の技術】図16は従来のメカニカルスプライス部
品の基本構成を示す図である。メカニカルスプライス部
品は、光ファイバ1(裸光ファイバ1−1,光ファイバ
被覆部1−2から構成される)の押さえ基板2、V溝基
板3、上記両基板2,3で光ファイバ1を把持する力を
発生する保持バネ4、および光ファイバ1が突き合わさ
れる両基板2,3の中央部に入れた屈折率整合剤5の、
複数のスプライス部材で基本構成されている。メカニカ
ルスプライス部品による光ファイバ接続概要は、次の通
りである。光ファイバ心線端部の被覆を除去し、光ファ
イバ表面に残留している光ファイバプライマリコート
を、エチルアルコールを含ませたレンズぺーパー等を用
いてふき取った後、裸部の光ファイバ長がある値になる
ように光ファイバを切断する。この様にして端末形成さ
れた光ファイバ1を、該光ファイバの端面同士が対向す
るようにメカニカルスプライス部品に挿入し、押さえ基
板2、V溝基板3中央部で光ファイバの端面同士が軽く
接触する程度の突き合わせ力で光ファイバを突き合わ
せ、V溝基板3によって光ファイバ1,1同士を軸合わ
せし、対向する光ファイバ1,1の端面間に屈折率整合
剤5を介在させた状態で、保持バネ4によって押さえ基
板2を介して光ファイバを把持して接続する。なお、屈
折率整合剤5は、マッチングオイルあるいはマッチング
ゲルなどと呼ばれている。また、光ファイバ把持に関
し、基板(表面)自体の弾性変形(バネ効果)を期待で
きる場合には、保持バネ4に代わって、バネ効果のない
基板留め具を用いるメカニカルスプライス部品もある。 【0003】また、「電子情報通信学会論文誌C−II、
Vol.J79−C−II、No. 11、p.633」などに見ら
れる如く、光ファイバ同士を軸合せする機能を有するV
溝基板3の代わりに、ガラスキャピラリを用いている場
合もある。 【0004】従来のメカニカルスプライス部品による接
続は、メカニカルスプライス部品内部の光ファイバ1の
裸部分の一部が(1)同一材質(たとえば、アルミニウ
ム)の基板2,3(基板2,3を一体構造で加工した場
合もある)、あるいは、(2)押さえ基板2とV溝基板
3の材質が互いに異なる時も、光ファイバ1,1の裸部
分1−1,1−1について、光ファイバの軸方向には同
一材質で把持されていた。ただし、メカニカルスプライ
ス部品内部において、光ファイバ1の被覆が除去されて
いない光ファイバ被覆部1−2も、押さえ基板2とV溝
基板3とで把持している場合もあるが、実施の形態で後
述するように、引張力が加わったときなど、光ファイバ
心線では、被覆の光ファイバに対する応力分担率は、通
常(φ0.25mm素線を使用している場合など)僅少
である。さらに、光ファイバ突き合わせ部と光ファイバ
1−2の被覆が除去されていない部分の2箇所を強く把
持すると、ヒートサイクル時基板2,3の温度伸縮に伴
い、光ファイバ1の線膨張係数が小さいため、左記2箇
所間の光ファイバ(区間)に曲げや引張り力が作用し、
損失変動等の問題が発生することが多い。 【0005】メカニカルスプライス接続部のハンドリン
グ時等に、メカニカルスプライス接続部内の光ファイバ
に引張り力などの外力を加えたり、また、メカニカルス
プライス接続部が周囲温度変化に伴い伸縮して、光ファ
イバに熱応力が発生したりすると、メカニカルスプライ
ス部品内部の光ファイバ心線あるいは該光ファイバに剪
断力が作用する。このとき、外力あるいは熱応力によっ
て、光ファイバに軸力が発生し、メカニカルスプライス
部品内で突き合わせた光ファイバ端面同士の相対的位置
関係が変化し、次のような(1)乃至(4)の問題が発
生する。 【0006】(1)図17は屈折率整合剤無しのメカニ
カルスプライス部品を用いて、−40〜+75℃のヒー
トサイクルをかけた場合、接続部の損失変動を示す1例
である(損失変動は記号「°」で示す)。接続部を通過
する光パワーを測定すれば、光ファイバの端面同士の間
隔変化などが接続損として、屈折率整合剤の影響を受け
ずに、フレネル損を含んだ値で検出できる。図17か
ら、メカニカルスプライス部品内で突き合わされた光フ
ァイバの端面間隔が周囲温度変化に応じて変化している
ことが分かる。これは、端面間隔に応じた損失変動、あ
るいは、通常、光ファイバの端面同士が接触するのは、
−40℃へ温度降下する場合であり、ある程度以上の突
き合わせ力が作用すると、突き合わせた光ファイバ同士
が曲がり(光ファイバ軸同士の角度変化)、軸ズレなど
によって損失変動(通常、損失増)が発生する。本損失
変動と同時に、反射減衰量変化も問題になる。以上のよ
うに、光の結合状態は接続当初の状態から大きく変化す
る。また、低温側へ温度降下する場合、対向した光ファ
イバの端面同士が接触し光ファイバ端面に傷を付ける危
険がある。また、光ファイバ端面突き合わせ部に屈折率
整合剤を用いたメカニカルスプライス接続部のヒートサ
イクル試験においても、低温側へ温度降下する場合、光
ファイバ端面同士が、相対的に軸ズレ、角度変化などの
形で立体的に動き、20〜30dB程度の損失増が確認
される場合もあった。また、同様に、低温側へ温度降下
する場合、反射減衰量も30dBを超える反射減衰量増
が確認される場合があった。 【0007】(2)外力あるいは熱応力によって、光フ
ァイバ1と、該光ファイバ1を把持する押さえ基板2や
V溝基板3との間に滑りが発生すると、裸光ファイバ1
−1表面が基板2,3で擦られる。このとき、該裸光フ
ァイバ1−1の引張り強度は、光ファイバを端末形成し
た直後の初期引張り強度に対して、次第に低下してい
き、時間の経過に従って、光ファイバが破断する累積破
断確率が、接続当初の計算値に対して、次第に高くなっ
ていく問題がある。周知の通り、光ファイバ接続時に、
被覆除去した光ファイバの表面に残留したプライマリコ
ートを除去するため、光ファイバ表面に傷を付けにくい
レンズペーパーなどにアルコールを含ませて該表面を擦
るだけでも、光ファイバの初期引張り強度は、端末形成
の工程だけでも、表面に傷の無い光ファイバの引張り強
度と比較して、通常、数分の1以下まで低下する。 【0008】(3)実際のヒートサイクル試験において
は、単心線と比較して、4心テーブ心線接続の方が、損
失変動の発生する確率が高い。この理由は、4心の各光
ファイバが、それぞれ等しい大きい力で把持されず、4
心のうち滑りやすい光ファイバと滑りにくい光ファイバ
とができるためである。すなわち、ファイバ外径精度、
押さえ基板2やV溝基板3など把持部品の加工寸法精
度、光ファイバを把持する基板表面粗さが原因であり、
該精度、粗さに対する要求精度は、単心線より4心テー
プ心線の接続の場合の方が厳しくなる。各材の寸法精
度、粗さのバラツキの大きさに応じて、各光ファイバに
発生する剪断力にバラツキが発生する。このため、4心
の各光ファイバ毎に滑りに対する耐力が異なり、引張り
強度、損失変動、反射減衰量変動、累積破断確率の増大
へ直接的に影響する。 【0009】(4)端末形成時の裸部の光ファイバ長さ
は、通常10mmで、現在のところ安定して切断できる
該長さの下限値は、7〜8mm程度である。裸部の光フ
ァイバを7〜10mm程度全長を(長く)把持すると、
周囲温度降下時に基板収縮し光ファイバ端面同士を強く
突き合わせる圧縮力が作用するため、端末形成した光フ
ァイバ心線を、突き合わせ端面部の一部の裸部(例え
ば、片側3mm長)と、被覆剥き際の被覆部とを基板で
把持するとき、両部分の間に、全く拘束されていない裸
ファイバ部(例えば、片側4〜7mm長)が発生する。
基板が温度変化によって伸縮(例えば、数μm)すると
き、全く拘束されていない裸ファイバ部において曲げが
発生する。このとき、損失増や折損する問題が発生す
る。 【0010】 【発明が解決しようとする課題】メカニカルスプライス
部品内で、光ファイバと該光ファイバ把持部材との間に
滑りが発生し、光ファイバ突き合わせ部の光ファイバ端
面同士の接続状態(相対的位置関係)が変わると、大き
な損失変化や反射減衰量変化が発生する。滑りによって
光ファイバ表面に傷がつくと、メカニカルスプライス部
品内の光ファイバの累積破断確率が増大する問題があ
る。とくに、周囲温度降下時に、接続部内に全く拘束さ
れていない裸ファイバ部に曲げが発生すると、損失変動
したり、端末形成時の初期表面傷が成長し累積破断確率
が接続当初の確率より高くなっていく。その結果、該接
続部の長期信頼性が低下したり、伝送特性が悪化したり
する問題がある。 【0011】 【0012】 【0013】 【0014】 【0015】 【0016】 【0017】 【課題を解決するための手段】前記課題を解決する[請
求項1]にかかる本発明のメカニカルスプライス部品の
光ファイバ把持長さ決定方法は、光ファイバをメカニカ
ルスプライス部品の中央部で突き合せ、該突き合わせた
光ファイバを基板で把持し、接続するメカニカルスプラ
イス部品の光ファイバ把持長さを決定する方法におい
て、 (1)光ファイバを引っ張る場合、或いは (2)接続部が温
度降下して光ファイバに圧縮力が加わる場合に、上記光
ファイバと基板との間に発生する剪断力の絶対値を次式
(I)により、光ファイバ把持端部から光ファイバ突き
合わせ部に向かって低減しつつ作用するとした場合であ
って、 【数2】 Tf=Tmin・cosh(x/c) ・・・(I) 但し、Tminは基板の中央の光ファイバ突き合わせ点
に作用する最小剪断力であって、 (1)引っ張る場合は、Tmin=cGF/{sinh
(l/c)・Af・Ef}であり、 (2)圧縮力が加わる場合は、Tmin=F0 /{c・s
inh(l/c)}であり、F0 は熱応力による光ファ
イバ突き合わせ点での光ファイバ突き合わせ力であり、
F0 =Ef・Af・T{αf−(Ea・αa・As+E
f・αf・Af)/(Ea・As+Ef・Af)}であ
る。ここで、Tfは光ファイバと基板との間に作用する
剪断力、Fは光ファイバ引張り力、xは基盤の中心から
その長手方向への距離、lは基板が光ファイバを直接把
持している長さの半分、Afは光ファイバの断面積、E
fは光ファイバのヤング率、Asは光ファイバを把持し
ている基板の合計断面積、Gは弾性体又は基板の横弾性
率、Eaは弾性体又は基板のヤング率、c≒G/(Af
・Ef)は定数、αaは弾性体又は基板の線膨張係数、
αfは光ファイバの線膨張係数、Tは温度変化量とす
る。 (1)引っ張る場合、ある引張り力に対して、光ファイバ
把持端部から剪断力の絶対値が概ね零になる点までの長
さL1 を算出し、基板で光ファイバを把持する長さをL
1 の2倍以上とすること、 (2)圧縮力が加わる場合、ある温度での光ファイバ突き
合わせ力に対して、光ファイバ把持端部から剪断力の絶
対値が概ね零になる点までの長さL2 を算出し、基板で
光ファイバを把持する長さをL2 の2倍以下とするこ
と、のうち、上記(1)引っ張る場合の長さL1 或いは
(2)圧縮力が加わる場合の長さL2 、若しくは両方の
長さL1 、L2 に基づき、基板で光ファイバを把持する
長さを決定することを特徴とする。 【0018】 【0019】 【0020】 【0021】 【発明の実施の形態】以下、本発明にかかる発明の実施
の形態を図面を参照して説明する。 【0022】メカニカルスプライス部品による光ファイ
バ接続部の周囲温度が変化して、メカニカルスプライス
部品内部の光ファイバに熱応力が作用したり、あるいは
周囲温度が一定でも、該光ファイバ接続部をハンドリン
グ中に、メカニカルスプライス部品外部の光ファイバ心
線部に引張り力が加わり、この引張り力がメカニカルス
プライス部品内部の光ファイバの突き合わせ端面部まで
作用したりする。外力あるいは熱応力のうち、実際上、
問題が発生する次の2つの場合について解析した。 (1)接続部の外に出ている光ファイバ心線に引っ張り
外力が加わった場合について、接続部内部(の光ファイ
バを把持する面)に発生する剪断力、および接続部内部
の裸光ファイバ1−1に発生する引っ張り力を解析し
た。 (2)接続部の周囲温度が下がり、接続部自体がその長
手方向に収縮した場合について、接続部内部に発生する
剪断力、および接続部内部の裸光ファイバ1−1に発生
する圧縮力を解析した。 【0023】図1は光ファイバを弾性体を介して2枚の
基板で把持する計算モデルを示す。同図中、符号1は光
ファイバ、1−1は裸光ファイバ、1−2は光ファイバ
被覆部、6は弾性体、7−1,7−2は基板、8は光フ
ァイバ端面突き合わせ部、9は光ファイバ心線剥き際の
裸光ファイバ部、及び10は光ファイバ突き合わせ部の
裸光ファイバ部を各々図示する。なお、後述する実施の
形態においても図1で用いた同符号を用いて説明する。
ここで、上記基板7−1,7−2が裸光ファイバ1−1
を直接把持している部分の長さを2l(エル)とする。 【0024】図1は、裸光ファイバ1−1を弾性体6を
介して基板7−1と基板7−2で把持する計算モデルを
示す。ただし、図1は、弾性体6の横弾性率(横弾性率
とヤング率の関係式、G=E/(2(1+ν))、νは
ポアソン比))と断面積との積が基板7−1,7−2の
それと比較して十分小さい場合である。押さえ基板2あ
るいはV溝基板3が弾性体6の作用をする場合には、弾
性体6を考えなくてもよい。また、弾性体6は、裸光フ
ァイバ1−1と基板7−1,7−2間にあって、裸光フ
ァイバ1−1と基板7−1,7−2とに剪断力をそれら
の長手方向だけに伝える媒体として作用する。一般に、
弾性体6の横弾性率が小さければ、裸光ファイバ1−1
と基板7−1,7−2との相互作用は小さくなり、逆
に、弾性体6の横弾性率が大きければ、両者の相互作用
は大きくなる。なお、実際の設計においては、弾性体6
のヤング率の温度特性も考慮する必要がある。 【0025】本解析においては、保持バネ4の効果は、
基板7−1と7−2を介して、光ファイバに把持力を与
えるだけと仮定して解析した。保持バネ4は、押さえ基
板2やV溝基板3と摩擦接触しているが、通常、摩擦係
数は、0.1程度と小さい。このため、光ファイバに作
用する力(外力など)は、基板7−1,7−2だけで分
担し、また、光ファイバに作用する熱応力は、基板の周
囲温度変化による伸縮量だけに起因して発生すると仮定
した。たとえば、材質がリン青銅などの、薄い保持バネ
を用いる場合、保持バネの効果を無視しても、これによ
る誤差は僅少となる。厳密には、各部材の線膨張係数
α、ヤング率E、断面積A、保持バネと基板との摩擦係
数などを考慮して解析する必要がある。図1を用いた以
下の解析は、基板,弾性体,光ファイバの長手方向だけ
について、一次元で行う。 【0026】第1に、接続部の外に出ている光ファイバ
心線に引張り外力が加わった場合、接続部内部に発生す
る剪断力と引張り力を解析する。図2は、裸光ファイバ
1−1と弾性体6、弾性体6と基板7−1,7−2との
間に作用する剪断力Tf の一例を示す図である。 【0027】図2において、剪断力Tf 曲線の波形は、
光ファイバ端面突き合わせ部8(光ファイバ軸方向に関
し、基板7−1,7−2の中心(図1で点O)からの距
離をxとし、光ファイバの断面積をAf、光ファイバの
ヤング率をEfとし、基板と弾性体の合計断面積をA
s、弾性材6の横弾性率をG(ヤング率Ea)とし、A
s・Ea>>Af・Efであるため、定数c≒G/(A
f・Ef)とすると、単位長さ当たり、光ファイバまた
は基板に作用する剪断力Tf (kgf/mm)は「Tf
=Tmin cosh(x/c)」となる。また、図3に示
すように、裸光ファイバ1−1に作用する引張り力fx
(kgf)は、「fx=F+Tmin ・c・{sinh
(x/c)−sinh(1/c)}」となる。引張り力
Fは弾性体6(Tf )を介して基板7−1,7−2に伝
達され、基板に分担される。ただし、Tmin は基板7−
1,7−2の中心(通常8と一致)において作用する最
小剪断力で、Tmin =cGF/{sinh(1/c)・
Af・Ef}である。 【0028】図2において、光ファイバの引張り力F
は、Tf の積分値であるため、光ファイバ心線被覆剥き
際から光ファイバ突き合わせ方向に向かって徐々に小さ
くなる。(ア)弾性体6の横弾性率(ヤング率Ea)が
大きくなるほど、光ファイバに作用する剪断力は、光フ
ァイバ把持端部から光ファイバ突き合わせ部に向かっ
て、x軸方向に短い距離(区間)で基板7−1,7−2
に分担されていくが、その分だけ大きな剪断力Tf が光
ファイバ心線被覆剥き際側の裸光ファイバ部9に作用す
ることが分かる。逆に(イ)弾性体6の横弾性率(ヤン
グ率Ea)が小さくなるほど、光ファイバ1に作用する
剪断力は、x軸方向に長い距離(区間)にわたって、基
板7−1,7−2に分担されるが、その分だけ剪断力T
f の最大値は小さくなる。場合により、光ファイバ心線
被覆剥き際部の裸光ファイバ部9から光ファイバ端面突
き合わせ部10まで作用することもある。以上を換言す
れば、Tf をxについて積分した値が、基板7−1,7
−2が当該部分(区間)で分担している引張り力Fと等
しくなる。ただし、図2,図3に関し、基板あるいは弾
性体のヤング率Eaの大小と引張り力fxとの関係は、
剪断力Tf と同様に考えることができる。 【0029】上述したように、弾性体6あるいは基板の
横弾性率や寸法等を選定すれば、引張り力Fが光ファイ
バ端面の突き合わせ部8まで伝搬しない様にも設計でき
る。一旦、裸光ファイバ1−1と該光ファイバ把持部材
である基板7−1,7−2との間に滑りが発生したり、
あるいは接着剤の場合は両者間に剥離が発生すると、剪
断力が作用する箇所が基板7−1,7−2の端部側(す
なわち、光ファイバ心線被覆剥き際)から中央部側の光
ファイバ突き合わせ部8に向かって移動していき、最悪
外力によって発生する最大剪断力が、光ファイバ突き合
わせ部8に直接作用するようになる。このとき、光ファ
イバ端面は、その引張り方向に移動し、たとえば、光フ
ァイバ端面同士が離れたり、光ファイバ心線が接続部か
ら引き抜ける。 【0030】第2に、接続部の周囲温度が下がり、接続
部自体がその長手方向に収縮した場合について、接続部
内部に発生する剪断力、および接続部内部の裸光ファイ
バ1−1に発生する圧縮力を解析する。光ファイバまた
は基板に作用する単位長さ当たりの剪断力Tf (kgf
/mm)は「Tf =−T0min・cosh(x/c)」と
なる。また、裸光ファイバ1−1に作用する圧縮力fx
(kgf)は、fx =F0 −T0min・c・sinh(x
/c)」となる。F0 は、光ファイバ突き合わせ部8に
おける突き合わせ力で、基板と光ファイバとに滑りがな
り条件で求めた熱応力に等しく、F0 =Ef・Af・T
{αf −(Ea・αa ・As+Ef・α f ・Af)/
(Ea・As+Ef・Af)}。但し、αa は弾性体又
は基板の線膨張係数、αf は光ファイバの線膨張係数、
Tは温度変化量である。T0min=F 0 /{c・sinh
(l/c)}であり、基板7−1,7−2の中心(通常
8と一致)において作用する最小剪断力である。基板収
縮によって光ファイバ軸方向に発生する圧縮力は、剪断
力を介して、基板の光ファイバ把持端部から基板中央に
向かって、光ファイバ軸に沿って足し算されていく。 【0031】上述したように、基板や弾性体6の横弾性
率や寸法等を選定すれば、圧縮力が光ファイバ端面の突
き合わせ部8まで伝搬する力を小さく設計できる。すな
わち、弾性体6の横弾性率が小さければ、光ファイバ心
線被覆剥き際部の裸光ファイバ部9に、基板端部から基
板中央部に向かって作用する圧縮力は小さくなる。ま
た、弾性体6、あるいは基板7−1,7−2の裸光ファ
イバ1−1の把持長さ2l(エル)を短くしても、光フ
ァイバ心線被覆剥き際部の裸光ファイバ部9に作用する
圧縮力は小さくなる。 【0032】図4は、図2および図3の計算結果を用い
て、次の二つ裸光ファイバ把持条件(A),(B)につ
いて、ある大きさの引張り力Fが接続部外部の心線に加
わったとき、裸光ファイバに作用する剪断力Tf と引張
り力fxの分布曲線を模擬的に示した図である。図4
中、(A)は、光ファイバ心線被覆の剥き際の裸光ファ
イバ部分9と光ファイバ突き合わせ接続部の裸光ファイ
バ部分10とも、裸光ファイバを同じ材料(横弾性率)
の基板7−1,7−2を、長さ方向に等しい力で把持し
て光ファイバを引っ張る場合の光ファイバの把持条件を
模式的に示す図である。 【0033】図4中、(B)は、光ファイバ心線被覆の
剥き際の裸光ファイバ部分9では、光ファイバ1−1を
把持する部材の横弾性率を小さくして、光ファイバを軸
方向に長い区間で剪断力を受けるようにし、一方、光フ
ァイバ突き合わせ接続部の裸光ファイバ部分10では、
光ファイバ1−1を把持する部材の横弾性率を大きくし
て、相対的に短い区間で剪断力を受ける場合の裸光ファ
イバの把持条件を模式的に示す図である。ただし、
(B)に関し、裸光ファイバ部分9と裸光ファイバ部分
10を把持する部材の横弾性率の大小関係を逆にする
と、必ず、裸光ファイバ部分9において剪断力の最大値
が発生し外力Fが分担されるようになり、裸光ファイバ
部分9と裸光ファイバ部分10の両方で剪断力を分担す
る効果が通常なくなる。 【0034】図4から、(A)の場合と(B)の場合と
を比較すると、光ファイバ心線被覆剥き際の裸光ファイ
バ部分9と裸光ファイバ部分10とでそれぞれ剪断力を
分担することにより、発生する剪断力最大値を低減で
き、光ファイバと弾性体の滑りが抑制される。具体的に
は、弾性体6の長さと横弾性率を設計する必要がある。
また、(A)と(B)とも、裸ファイバ長について、剪
断力Tf の分布曲線を、裸光ファイバ長についてxで積
分した値は引張り力Fに等しくなる。ただし、剪断力T
f は、接着剤の場合には、光ファイバと弾性体との間の
剪断接着強さ、あるいは光ファイバと基板7−1,7−
2(押さえ基板2、V溝基板3に相当)との間の最大静
止摩擦力より小さくなるように設計する必要がある。 【0035】光ファイバ心線被覆の剥き際側の裸光ファ
イバに作用する最大剪断力Tfmaxと、弾性体6の横弾性
率との関係を、図1の計算モデルを用いて具体的数値計
算例で示す。ここで、計算パラメーターは、引張り力F
=1kgf、裸光ファイバ部の長さ2l(エル)=8m
m、裸光ファイバ把持部の基板7−1,7−2と弾性体
の断面積の合計As=16mm2 、基板7−1,7−2
のヤング率2000kgf/mm2 、光ファイバ直径
0.125mm、光ファイバのヤング率7300kgf
/mm2 の場合、弾性体6のヤング率が200(=横弾
性率80)とヤング率2000(=横弾性率800)k
gf/mm2 に対して、Tfmaxはそれぞれ約0.96k
gf/mm、3.0kgf/mmと計算される。計算例
から、弾性体の横弾性率を小さくすると、最大剪断力を
小さく抑制できることが分かる。ただし、ポアソン比ν
=0.25として概算した。 【0036】また、光ファイバ心線被覆の剥き際の裸光
ファイバ部9に作用する引張り力fxと、弾性体6の横
弾性率との関係を、図1の計算モデルによる計算例で示
す。計算パラメータが前記と同じ場合、弾性体6のヤン
グ率が200(=横弾性率80)とヤング率2000
(=横弾性率800)kgf/mm2 に対して、fxは
引張り端で共に1kgfであり、fxがTf を介して基
板に分担され、約0kgfとなるまでの基板長さは、そ
れぞれ約3.4mm弱、約2.0mmと計算される。計
算例から、裸光ファイバ把持部材の横弾性率を大きくし
て基板長さを選べば、引張り力(最大剪断力)が光ファ
イバ突き合わせ部まで作用しないようにすることができ
る。また、該弾性体の横弾性率を小さくし過ぎると、光
ファイバと基板との間に滑りが発生し、最大剪断力が光
ファイバ突き合わせ部まで作用する場合も出てくること
が分かる。 【0037】次に、引張り力Fが2kgfのとき、裸光
ファイバをヤング率2000(=横弾性率800)kg
f/mm2 の基板だけで把持するとき、引張り力Fが、
上記剪断力の式に従って、裸光ファイバから基板に分担
されていくx方向の距離を計算した。基板による光ファ
イバ把持端部から(x方向)長さ約2mmの範囲にわた
って分担される。ただし、光ファイバ心線被覆の剥き際
に作用する剪断力は5.98kgf/mmと大きくな
る。裸光ファイバ把持の前提として、基板と裸光ファイ
バとの間に十分な摩擦力が作用するようにしっかり把持
するには、たとえば、基板が裸光ファイバを把持する
(バネ)力をマージンをみて設計したり、あるいは基板
の塑性変形による裸光ファイバ把持面積を増加するなど
する必要がある。 【0038】一方、図5は、図4で上述した裸光ファイ
バ把持条件(A),(B)について、図1モデルの計算
結果を用いて、基板の収縮により、弾性体を介して光フ
ァイバに圧縮力(図5において、把持端部(中心側)の
値F0 ,F1 ,F2 )が加わったとき、裸光ファイバに
作用する剪断力Tf と圧縮力fxの分布曲線を模擬的に
示した図である。図5から、(A)の場合と(B)の場
合とを比較して考察すると、(B)の場合、光ファイバ
端面の突き合わせ力は、裸光ファイバ把持部分9と10
とで発生する突き合わせ力の和である。光ファイバ心線
被覆の剥き際側の裸光ファイバ部分9を把持する部材の
横弾性率(ヤング率)は小さいため、突き合わせ力への
影響は小さい。光ファイバ被覆剥き際側9の裸光ファイ
バを柔把持しているから、光ファイバ突き合わせ部の剛
把持長を短くすることが可能になり、光ファイバ端面に
作用する突き合わせ力を抑制できる。このとき、柔把持
を省略すると、光ファイバ端面がその軸方向に数μm動
くだけでも、裸光ファイバ把持部分9において、該軸に
直交する方向に0.1mmオーダーの撓みが発生した
り、曲げ(光ファイバの曲げ応力、曲げ損失)が問題に
なってくる。 【0039】このことを詳細に説明すると、(B)の場
合、光ファイバ心線被覆の剥き際の裸光ファイバ部分9
では、横弾性率が小さい弾性体を選定するため作用する
圧縮力は小さくなる。光ファイバ突き合わせ接続部の裸
光ファイバ部分10では、横弾性率が大きい弾性体を選
定するため作用する圧縮力は大きくなる。しかし、該部
分10では、裸光ファイバ把持長が短いため、(A)の
場合と比較して把持長が短くなった分だけ作用する圧縮
力は小さくなる。また、(A)と(B)とも、裸ファイ
バ長について、剪断力Tf の分布曲線をxで積分した値
は圧縮力に等しくなる。ただし、剪断力Tf は、接着剤
の場合には、光ファイバと弾性体との間の剪断接着強
さ、あるいは光ファイバと基板7−1,7−2(押さえ
基板2、V溝基板3に相当)との間の最大静止摩擦力よ
り小さくなるように、光ファイバと弾性体、弾性体と基
板との間の滑りが発生しないように設計する必要があ
る。 【0040】周囲温度が下がり、接続部自体が収縮した
場合について、光ファイバ心線被覆の剥き際の裸光ファ
イバに作用する圧縮力fxと、弾性体6の横弾性率との
関係を、図1の計算モデルによる具体的計算例で示す。
ここで、計算パラメーターは、接続部作成時の温度に対
する温度差50℃、裸光ファイバ部の長さ21(エル)
=8mm、裸光ファイバ把持部の基板7−1,7−2の
弾性体の断面積の合計As=16mm2 、基板7−1,
7−2のヤング率2000kgf/mm2 、光ファイバ
直径0.125mm、光ファイバヤング率7300kg
f/mm2 の場合、弾性体6のヤング率200(=横弾
性率80)とヤング率2000(=横弾性率800)k
gf/mm2 に対して、基板収縮による光ファイバ端面
突き合わせ力はそれぞれ約42gf、約43gfと計算
される。計算例から、突き合わせ力はほぼ等しいが、前
者の場合、fxがTfを介して基板に分担され、端部か
ら突き合わせ部に向かって低減していくが、fxは基板
長さ4mm全長にわたって分担される。後者の場合、f
xは基板長さ約2mmにわたって一部区間で分担され
る。弾性体の横弾性率を小さくすると、圧縮力はより長
い区間にわたって基板に分担される。また、圧縮力の大
きさから分かるように、剪断力はヤング率200kgf
/mm2 のとき40g、ヤング率2000kgf/mm
2 のとき128gと小さい。ただし、ポアソン比ν=
0.25として概算した。 【0041】さらに、図4の(B),図5の(B)に示
すように、剛把持と柔把持を組み合わせたときの(外力
による)引張り力と(温度差による)圧縮力を計算例で
考察する。端末形成時の裸光ファイバ1−1長が10m
m(2l(エル)=20mm)、基板7−1,7−2中
央部10の裸光ファイバの剛把持長が8mm、したがっ
て、基板7−1,7−2の端部側9の柔把持長はそれぞ
れ6mmとなり、剛把持部のヤング率が2000kgf
/mm2 、柔把持部のヤング率が200kgf/mm2
の場合、1kgfの引張り外力が加わると、外力は柔把
持部でおおむね基板に分担される。この理由は、1kg
fの引張り外力は、柔把持部の全長6mmで約970g
f受け持たれるからである。また、接続部作成時の温度
に対して50℃温度が下がった場合、基板収縮により光
ファイバ端面に発生させる突き合わせ力は剛把持部だけ
で独立して計算すると約43gf、柔把持部だけで独立
して独立して計算すると約42gfであり、合計約85
gf程度と見積もられる。以上の計算は、基板としての
ヤング率が光ファイバの接触する基板表面のヤング率と
等しいと仮定している。上記計算式の基板寸法等の定
数、把持力と滑りが発生しない条件の検討は、実際的に
は、引張りに対しては、光ファイバ1本あたり例えば数
秒間数百gfの引き抜き力が光ファイバが滑ることなく
達成されること、圧縮に対しては、突合せ力に相当する
引張りが24時間光ファイバが滑ることなく達成される
ことなど、心線の引き抜き試験によってできる。一般的
に、光ファイバと基板との間に作用する剪断力は、部品
と適用温度範囲によってある値になるが、上記数式を用
いて具体的に基板寸法などを設計して、剪断力の最大値
を小さく抑制するようにすれば、光ファイバと基板との
間の滑りに対する潜在能力を向上できる。その結果、光
ファイバ突き合わせ端面同士の初期位置関係が維持され
るようになり、損失変動,反射減衰量変動,光ファイバ
端面同士の接触がなくなる。なお、光ファイバと基板と
の間に剪断力が作用しても、小さければ、両者間に滑り
は発生しない。 【0042】<第1の実施の形態>図6及び図7は、本
発明の第一の実施の形態であって、メカニカルスプライ
ス部品の構成を説明する図である。光ファイバ押さえ基
板2と、光ファイバ軸合せ用V溝基板3と、光ファイバ
被覆剥き際の裸光ファイバ部9を挟むように、該押さえ
基板2とV溝基板3とに設けた接着剤充填空間13と、
少なくともどちらか一方の基板2または3に設けた接着
剤注入孔2−3,2−4と、該接着剤注入孔2−3,2
−4から光ファイバ突き合わせ部と該接着剤充填空間と
に充填する接着剤であって、硬化後に発現する横弾性率
が押さえ基板2あるいはV溝基板3の横弾性率と比較し
て小さく、かつ、硬化後の屈折率が石英ガラスの屈折率
に近い接着剤14と、上記の押さえ基板2とV溝基板3
とを介して光ファイバを把持する力を与える保持バネ4
とから構成される。接着剤14の横弾性率は、同じ材料
でも接着剤充填空間13の深さ(すなわち、接着剤の厚
さ)を大きくすれば、該横弾性率を小さくしたことにな
る。また、基板自体に光ファイバを把持するバネ効果が
ある場合には、光ファイバが接触する基板の表面層の弾
性変形による復元力を利用できるため、該復元力を得る
ために必要な歪みを基板2,3の光ファイバ把持面に付
与する基板留め具4−1で、光ファイバを挟持してもよ
い。また、光ファイバ軸合せ用V溝基板3は、図6
(a)に示すように、光ファイバ挿入ガイド斜面18を
有する構造にすると急激な剪断力を回避できる。なお、
押さえ基板2とV溝基板3の具体的材料としては、低線
膨張係数を有するガラス粒子あるいはガラス繊維を骨材
としてエポキシ樹脂で固めたもの、あるいは、アルミニ
ウムなどがある。接着剤14の具体的材料としては、屈
折率が石英ガラスと等しくなるように調整されたフッ素
系、あるいは、エポキシ系接着剤などがある。 【0043】光ファイバを接続するには、(1)まず、
保持バネ4を開放し、端末形成した光ファイバ1をメカ
ニカルスプライス部品内部に挿入できる状態にする。例
えば、光ファイバ軸と直交する方向から、基板2,3の
間に楔を挿入する構造とすればよい。(2)端末形成し
た光ファイバをメカニカルスプライス部品内部に挿入
し、光ファイバ端面突き合わせ部8、すなわち基板の中
央部で突き合わせる。(3)保持バネ4を閉じ、両基板
2,3で突き合わせた光ファイバを把持する。たとえ
ば、前記楔を抜くなどすればよい。(4)接着剤14
が、光ファイバ部突き合わせ部8から光ファイバ被覆剥
き際の裸光ファイバ部9まで全体的に回り込むように、
該接着剤注入孔2−3,2−4から接着剤14を押さえ
基板2とV溝基板3との間の接着剤充填空間13に注入
し、接続が完了する。この時点では、接着剤14の接着
力が十分発現していないため、光ファイバ1に過大な外
力(引張り、曲げ、ねじり)を加えないようにする必要
がある。ところで、接着剤硬化後、この外力が直接裸光
ファイバ部に作用しないようにするには、接着剤充填空
間13(の軸方向位置)は、図6に示すように、光ファ
イバ突き合わせ部から見て、光ファイバ被覆剥き際より
外側の光ファイバ被覆部の一部(たとえば、2〜3m
m)までとっておくとよい。なお、接着剤14が紫外線
硬化樹脂の場合、上記手順(4)の直前に、ある時間だ
け、紫外光を接着剤14に照射しておくと、接着剤硬化
を円滑に進めることができる。ただし、接着剤14の接
着力が発現していなくても、光ファイバ1は、光ファイ
バ突き合わせ部8で、押さえ基板2とV溝基板3とによ
って機械的に把持されており、通常、把持力の大きさは
接着剤硬化後に許容される引張り外力の半分程度の大き
さになるように設計できる。また、V溝だけで光ファイ
バを把持する場合、通常、光ファイバは3本の線で把持
されるのに対して、接着剤14を用いる場合、光ファイ
バ挟持に関する基板精度が多少無くても、裸光ファイバ
全体を面的に把持できるため、光ファイバ把持力が大幅
に向上する。その結果、外力や熱応力に対して、光ファ
イバとメカニカルスプライス部品との滑りに対する耐力
が大幅に向上する。 【0044】<第2の実施の形態>図8及び図9は、本
発明の第二の実施の形態であって、メカニカルスプライ
ス部品の構成を説明する図である。第二の実施の形態
は、第一の実施の形態において、屈折率整合剤を光ファ
イバ突き合わせ部に注入するため、光ファイバ押さえ基
板2の中央部に設けた注入穴15と、光ファイバ端面突
き合わせ部8の空隙を充填する屈折率整合剤5とを追加
したものである。なお、注入穴15の位置は、基板中央
部に設けるが、光ファイバの軸合わせに影響しない箇所
に設ける。また、両基板2,3の隙間から屈折率整合剤
を注入する場合には、屈折率整合剤の注入穴15の機能
は、光ファイバ端面突き合わせ部8にある空気の空気抜
きとして作用し、屈折率整合剤を狭い空隙に確実に充填
できる。 【0045】光ファイバを接続するには、第一の実施の
形態で上述した(1),(2),(3)手順の後、(3
−1)光ファイバ部突き合わせ部8近傍を除き、接着剤
14が光ファイバ被覆剥き際側の裸光ファイバ部9へ回
り込むように、接着剤注入孔2−3,2−4から接着剤
充填空間13に接着剤14を注入する。このとき、たと
えば、接着剤が紫外線硬化樹脂の場合、少なくとも、光
ファイバ部突き合わせ部8に近い部分の接着剤は、紫外
光を、注入直前の、あるいは両基板2,3の隙間などか
ら接着剤14に照射(必要により、照射量を調節す
る。)して確実に硬化させる。この後、(3−2)屈折
率整合剤5を注入穴15から光ファイバ突き合わせ部8
に送り込み、光ファイバ端面間を充填する。 【0046】本実施の形態は、第一の実施の形態と比較
して、屈折率が石英ガラスの屈折率に近い接着剤が高価
な場合に使用できる。光ファイバ被覆剥き際側の裸光フ
ァイバ部9が屈折率整合剤で濡れていなければ、通常の
接着が可能である。また、注入穴15の個数は、光ファ
イバ端面間の空気抜きを考慮して、複数個設けてもよ
い。通常は、押さえ基板2とV溝基板3との隙間が空気
抜きの役目を果たす。 【0047】<第3の実施の形態>図10及び図11
は、本発明の第三の実施の形態であって、別のメカニカ
ルスプライス部品の構成を説明する図である。押さえ基
板2と、V溝基板3と、横弾性率が両基板の横弾性率よ
り小さい材質であって、光ファイバ被覆剥き際側の裸光
ファイバ部9を把持する薄板16と、該薄板を収容かつ
固定する薄板固着空間17と、押さえ基板2とV溝基板
3を介して光ファイバを把持する力を付与する保持バネ
4と、押さえ基板とV溝基板の中央部間隙に入れた屈折
率整合剤とから構成される。本メカニカルスプライス部
品で光ファイバを接続する手順は、上記第一の実施の形
態の(1),(2),(3)である。 【0048】従来技術を示す図16において、薄板16
で光ファイバ心線被覆1−2も把持する場合、押さえ基
板2あるいはV溝基板3とメカニカルスプライス部品内
の光ファイバ心線被覆部1−2とが接触しても、光ファ
イバ突き合わせ部10および光ファイバ被覆剥き際側9
の裸光ファイバ部がそれぞれ十分な把持力で把持される
ように、光ファイバ心線(1−2)被覆把持部の押さえ
基板2(後述する、図12,図13の第四の実施の形態
では、2−2)あるいはV溝基板3に対して、該光ファ
イバ心線被覆の厚み(外径)を目安として、被覆厚から
その被覆に加える変形量を差し引いた分だけ逃げる加工
を施しておくとよい。接続部外部の心線に加わる外力が
接続部内の裸光ファイバに直接的に作用しないように、
該光ファイバ心線被覆も軽く把持されるようにするのが
よい。 【0049】<第4の実施の形態>図12及び図13
は、本発明の第四の実施の形態であって、別のメカニカ
ルスプライス部品の構成を説明する図である。光ファイ
バを突き合わせ部8の裸光ファイバ1−1と光ファイバ
被覆剥き際の裸光ファイバ部9とを別々に把持するた
め、中央部と両端部に3分割された押さえ基板2−1,
2−2であって、両端部2−2の横弾性係数が中央部2
−1の横弾性係数より小さい押さえ基板2−1,2−2
と、V溝基板3と、押さえ基板2−1,2−2とV溝基
板3とを介して、光ファイバを把持する力を付与する保
持バネ4と、押さえ基板とV溝基板の中央部間隙に入れ
た屈折率整合剤とから構成される。光ファイバを接続す
るには、上記手順(1),(2),(3)であり、接続
が完了する。ただし、手順(1)において、3分割され
た押さえ基板を一緒に動かせるように、例えば、押さえ
基板2−1,2−2と、V溝基板3との間に、光ファイ
バ軸と直交する方向から楔を挿入する構造とすればよ
い。 【0050】<第5の実施の形態>図14及び図15
は、本発明の第五の実施の形態であって、別のメカニカ
ルスプライス部品の構成を説明する図である。光ファイ
バ突き合わせ部の裸光ファイバ1−1(図11におい
て、9と10の両部分)と、光ファイバ被覆剥き際の被
覆部1−2とをそれぞれ把持する押さえ基板2とV溝基
板3であって、前記両基板の中央部の裸光ファイバ1−
1を把持し、かつ、該被覆内部の光ファイバを前記両基
板の横弾性率より小さい横弾性率を有する該被覆部1−
2を介して把持し、光ファイバ被覆剥き際部で拘束され
ていない裸光ファイバ長を短くするように構成した押さ
え基板2とV溝基板3と、前記両基板2,3を介して裸
光ファイバ1−1と被覆部1−2とを把持する力を付与
する保持バネ4、または該両基板2,3のうち少なくと
も一方の基板自体に裸光ファイバ把持によって弾性変形
に伴う復元力が存在するときは該両基板の留め具と、押
さえ基板2とV溝基板3の中央部間隙に入れた屈折率整
合剤5とから構成される。なお、押さえ基板2は、図1
2のように、裸光ファイバ1−1と被覆部1−2をそれ
ぞれ確実に押さえるように、3分割してもよい。さら
に、保持バネ4も3分割した押さえ基板に対応して3分
割構造としてもよい。この場合、光ファイバを把持した
とき、被覆部1−2の厚みの製造誤差が比較的大きくて
も吸収され、光ファイバ1は確実に保持される。光ファ
イバを接続するには、上記手順(1),(2),(3)
により、接続が完了する。 【0051】光ファイバの被覆材料として、通常用いら
れる被覆のヤング率は100kgf/mm2 前後であ
り、基板のヤング率2000kgf/mm2 と比較して
十分小さい。光ファイバ突き合わせ部の裸光ファイバ部
10は基板自体2,3によって剛に短く把持され、一
方、光ファイバ被覆剥き際側の被覆部内部の光ファイバ
は、該被覆がヤング率の小さい弾性体として作用した柔
に把持される。この場合、端末形成時の裸部の光ファイ
バ長さを短く(5mm程度)安定して切断できる切断器
を開発すると有効である。光ファイバ被覆剥き際におい
て、両基板に全く把持されない裸ファイバ部の長さはで
きるだけ短かい(0.5mm程度)ほうがよい。すなわ
ち、端末形成時に光ファイバ表面に傷を付けてしまった
裸ファイバ長さが、短くなった分だけ、光ファイバの累
積破断確率が小さくなる。また、裸ファイバ長さが短い
ため、座屈、すわなち曲げの発生が抑制される。 【0052】本第五の実施の形態の場合、光ファイバ被
覆剥き際の被覆内部の光ファイバと該被覆との間、ある
いは、該被覆と押さえ基板またはV溝基板との間におい
て、滑りが発生する危険がある。しかし、該滑りが発生
するまでは、第四の実施の形態までと全く同等の作用効
果が得られる。該滑りが発生した後は、外部引張り力、
あるいは基板収縮による熱応力が接続部に作用しても、
両基板に把持された該被覆自体が光ファイバにその軸方
向に力を発生することはなく(僅少であり)、悪影響は
ない。このように、前記の作用効果に準じた作用効果を
期待できる。すなわち、被覆内部の光ファイバは、両基
板に擦られないし、曲げも発生しない(大幅に抑制され
る)し、被覆内の光ファイバ表面に傷がないため破断す
る危険はない。また、光ファイバ突き合わせ部の光ファ
イバ端面間の位置関係を変えるような力を増大させるこ
とはない。本実施の形態は、第一、二、三、四の実施の
形態と比較して、部品構成が簡単なため、経済性に優れ
ている特徴がある。 【0053】以上、図5から図9の第1から第5の実施
の形態において、各々の図中の(a)の断面を示す
(b)は光ファイバ突き合わせ部の裸光ファイバ部10
を示す、(c)は光ファイバ被覆剥き際の裸光ファイバ
部9を示し、(b)の光ファイバ突き合わせ部の裸光フ
ァイバ部10では裸光ファイバを剛に、(c)の光ファ
イバ被覆剥き際の裸光ファイバ部9では裸光ファイバを
柔に把持する。接着剤14、あるいは薄板16は、材料
がエポキシ樹脂、プラスチック等で、光ファイバ突き合
わせ部8で光ファイバ1−1を把持する押さえ基板2、
V溝基板3の横弾性率(通常、ヤング率が2000から
5000kg/mm2 )より小さい横弾性率(通常、ヤ
ング率が10kg/mm2 から100kg/mm2 前
後)を有する材料を用いる。なお、(d)の部分では、
接続部外部の光ファイバ心線や曲げやねじりが、端末形
成された光ファイバ部に直接的に作用しない程度に、両
基板2,3によって光ファイバ被覆部1−2を軽く把持
するとよい。 【0054】以上のように構成すれば、引張り力外力に
関して、光ファイバ突き合わせ部の裸光ファイバを短く
剛把持すること、および光ファイバ被覆剥き際側の裸光
ファイバを柔把持することによって、両把持部それぞれ
から基板に引張り力を分担させる結果、接続部に発生す
る最大剪断応力が小さくなる。 【0055】一方、周囲温度降下時基板収縮によって発
生する熱応力に関して、光ファイバ被覆剥き際側の裸光
ファイバを柔把持して曲げの発生を抑制し、同時に該裸
光ファイバの表面を保護し、したがって、光ファイバ突
き合わせ部の剛把持長を短くすることが可能になる結
果、端末形成時の裸光ファイバ表面上初期傷の成長を抑
制し、光ファイバ端面に作用する突き合わせ力を抑制で
きる。ただし、光ファイバ柔把持部のヤング率が小さい
ため、柔把持部に起因する突き合わせ力の増し分は剛把
持部で発生する突き合わせ力と比較して小さくなる。 【0056】本発明の効果を確認するため、第一の実施
の形態により、裸光ファイバ部突き合わせ部10(=剛
把持部)の長さ8mm、被覆剥き際側の裸光ファイバ9
(=柔把持部)の長さ(それぞれ)6mm、接着剤充填
空間の深さ0.5mmの基板を用いて、常温でのヤング
率が数十kgf/mm2 で、−40℃のヤング率が約2
00kgf/mm2 (推定値)のヤング率温度特性を有
するフッ素系接着剤を用いて、85℃の高温試験と、9
5%の高湿で60℃の温度試験と、−40℃〜75℃の
8時間/サイクルのヒートサイクル試験を順に各7日間
行った。その結果、良好な損失変動特性±0.1dB以
下が得られ、光ファイバと基板2,3との滑りの影響が
小さいことを確認した。また、試験前後、室温におい
て、反射減衰量は最大−40dBで良好であった。 【0057】以上の説明から、光ファイバ突き合わせ部
において、光ファイバ端面同士の相対的位置関係(光結
合状態)が当初の接続状態のままほぼ維持されるように
なり、接続部での損失変動、反射減衰量変動、また、光
ファイバ端面損傷に対する危険を回避あるいは抑制する
効果がある。したがって、メカニカルスプライス部品に
よる接続部の伝送特性の悪化がなく、また接続部の信頼
性を向上できる。 【0058】以上の説明では単心線の接続を主体に述べ
たが、4心など複数心のテーパ心線の場合も同様であ
る。ただし、保持バネ4などによる基板同士の把持力を
約1〜2倍に増加する必要がある。とくに、4心テープ
心線の場合、従来技術で上述したように、4本の各裸光
ファイバが等しい力で把持されない危険が大きいが、各
部材の寸法精度、加工精度や表面粗さのバラツキがある
程度存在しても、光ファイバ心線被覆剥き際側の裸光フ
ァイバ部(=柔把持部)9において、光ファイバは小さ
いヤング率を有する薄板などで把持されるため、4心テ
ープ心線の場合、把持力に幾分差異が生ずるが、大きい
ヤング率を有する把持部材で光ファイバを把持する場合
と比較して、4心光ファイバ間の把持力の差異を小さく
できる。換言すれば、メカニカルスプライス部品や光フ
ァイバの寸法精度や表面粗さのバラツキを吸収するマー
ジンとなる。 【0059】以上の説明では、相異なる2種類の横弾性
率を有する部材で、光ファイバを把持する場合について
説明したが、メカニカルスプライス部品の中央から該部
品の端部に向かって横弾性率が漸減していくように、相
異なる横弾性率を有する2種類以上の部材で、メカニカ
ルスプライス部品内部の裸光ファイバを把持してもよ
い。また、メカニカルスプライス部品の中央から該部品
の端部に向かって、薄板あるいは接着剤の厚みを徐々に
厚くするなどして、横弾性率を徐々に小さくしていき、
該裸光ファイバを把持するようにしてもよい。 【0060】 【発明の効果】メカニカルスプライス部品による光ファ
イバ接続部に加わる引張外力、あるいは周囲温度変化に
伴い光ファイバ接続部に加わる熱応力に対して、メカニ
カルスプライス部品と内部の光ファイバとの滑りに対す
る耐力が大きくなる。このため、本発明により、ハンド
リング中に発生する接続部の故障を回避でき、また、周
囲温度変化を伴う屋外環境で使用しても、損失変動や反
射減衰量変動が小さくなり、メカニカルスプライス部品
内部の光ファイバの累積破断確率も上昇しない。したが
って、伝送特性の劣化がなく、長期信頼性が向上する利
点がある。応用分野として、本発明のメカニカルスプラ
イスは、ファイバ・トゥ・ザ・ホーム(FTTH)の実
現において、架空光ケーブルからユーザ宅への引き込み
など、屋外環境という比較的環境条件の厳しい箇所へ適
用することができる。
する計算モデルを示す。 【図2】光ファイバに引張り力が加わったとき、光ファ
イバあるいは基板に作用する剪断力の一例を示す図であ
る。 【図3】光ファイバに引張り力が加わったとき、光ファ
イバあるいは基板に作用する引張り力の一例を示す図で
ある。 【図4】(A)と(B)の光ファイバ把持条件に対し
て、引張り力Fが加わったとき、裸光ファイバ部に作用
する剪断力分布と引張り力分布とを模式的に示した図で
ある。(A)は、全裸光ファイバを同じ材料(横弾性
率)の基板で把持する場合の光ファイバ把持条件を模式
的に示した図である。(B)は、裸光ファイバ部を二分
し、横弾性率の相異なる把持部材で把持した場合の光フ
ァイバ把持条件を模式的に示した図である。 【図5】(A)と(B)の光ファイバ把持条件に対し
て、基板の収縮により光ファイバに圧縮力が加わったと
き、裸光ファイバ部に作用する剪断力分布と圧縮力分布
とを模式的に示した図である。(A)は、全裸光ファイ
バを同じ材料(横弾性率)の基板で把持する場合の光フ
ァイバ把持条件を模式的に示した図である。(B)は、
裸光ファイバ部を二分し、横弾性率の相異なる把持部材
で把持した場合の光ファイバ把持条件を模式的に示した
図である。 【図6】本発明の第一の実施の形態であって、メカニカ
ルスプライス部品の構成を説明する図である。 【図7】本発明の第一の実施の形態であって、メカニカ
ルスプライス部品の構成を説明する図である。 【図8】本発明の第二の実施の形態であって、第一の実
施の形態に関連したメカニカルスプライス部品の構成を
説明する図である。 【図9】本発明の第二の実施の形態であって、第一の実
施の形態に関連したメカニカルスプライス部品の構成を
説明する図である。 【図10】本発明の第三の実施の形態であって、別のメ
カニカルスプライス部品の構成を説明する図である。 【図11】本発明の第三の実施の形態であって、別のメ
カニカルスプライス部品の構成を説明する図である。 【図12】本発明の第四の実施の形態であって、別のメ
カニカルスプライス部品の構成を説明する図である。 【図13】本発明の第四の実施の形態であって、別のメ
カニカルスプライス部品の構成を説明する図である。 【図14】本発明の第五の実施の形態であって、別のメ
カニカルスプライス部品の構成を説明する図である。 【図15】本発明の第五の実施の形態であって、別のメ
カニカルスプライス部品の構成を説明する図である。 【図16】従来のメカニカルスプライス部品の基本構成
を示す図である。 【図17】屈折率整合剤なしメカニカルスプライス部品
を用いて、ヒートサイクルをかけた場合の接続部の損失
変動を示す1例である。 【符号の説明】 1 光ファイバ 1−1 裸光ファイバ 1−2 光ファイバ被覆部 2,2−1,2−2 押さえ基板 3 V溝基板 4 保持バネ 4−1 基板留め具 5 屈折率整合剤 6 弾性体 7−1 基板 7−2 基板 8 光ファイバ端面突き合わせ部 9 光ファイバ心線剥き際の裸光ファイバ部 10 光ファイバ突き合わせ部の裸光ファイバ部 13 接着剤充填空間 14 接着剤 15 注入穴 16 薄板 17 薄板設置空間 18 光ファイバ挿入ガイド斜面
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 光ファイバをメカニカルスプライス部品
の中央部で突き合せ、該突き合わせた光ファイバを基板
で把持し、接続するメカニカルスプライス部品の光ファ
イバ把持長さを決定する方法において、 (1)光ファイバを引っ張る場合、或いは (2)接続部が温
度降下して光ファイバに圧縮力が加わる場合に、上記光
ファイバと基板との間に発生する剪断力の絶対値を次式
(I)により、光ファイバ把持端部から光ファイバ突き
合わせ部に向かって低減しつつ作用するとした場合であ
って、 【数1】 Tf=Tmin・cosh(x/c) ・・・(I) 但し、Tminは基板の中央の光ファイバ突き合わせ点
に作用する最小剪断力であって、 (1)引っ張る場合は、Tmin=cGF/{sinh
(l/c)・Af・Ef}であり、 (2)圧縮力が加わる場合は、Tmin=F0 /{c・s
inh(l/c)}であり、F0 は熱応力による光ファ
イバ突き合わせ点での光ファイバ突き合わせ力であり、
F0 =Ef・Af・T{αf−(Ea・αa・As+E
f・αf・Af)/(Ea・As+Ef・Af)}であ
る。ここで、Tfは光ファイバと基板との間に作用する
剪断力、 Fは光ファイバ引張り力、 xは基盤の中心からその長手方向への距離、 lは基板が光ファイバを直接把持している長さの半分、 Afは光ファイバの断面積、 Efは光ファイバのヤング率、 Asは光ファイバを把持している基板の合計断面積、 Gは弾性体又は基板の横弾性率、 Eaは弾性体又は基板のヤング率、 c≒G/(Af・Ef)は定数、 αaは弾性体又は基板の線膨張係数、 αfは光ファイバの線膨張係数、 Tは温度変化量とする。 (1)引っ張る場合、ある引張り力に対して、光ファイバ
把持端部から剪断力の絶対値が概ね零になる点までの長
さL1 を算出し、基板で光ファイバを把持する長さをL
1 の2倍以上とすること、 (2)圧縮力が加わる場合、ある温度での光ファイバ突き
合わせ力に対して、光ファイバ把持端部から剪断力の絶
対値が概ね零になる点までの長さL2 を算出し、基板で
光ファイバを把持する長さをL2 の2倍以下とするこ
と、 のうち、 上記(1)引っ張る場合の長さL1 或いは(2)圧縮力
が加わる場合の長さL2 、若しくは両方の長さL1 、L
2 に基づき、基板で光ファイバを把持する長さを決定す
ることを特徴とするメカニカルスプライス部品の光ファ
イバ把持長さ決定方法。
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JP17946697 | 1997-07-04 | ||
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- 1998-03-05 JP JP05330398A patent/JP3383569B2/ja not_active Expired - Lifetime
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