JP3383434B2 - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents
空気入りラジアルタイヤInfo
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はショルダ−部の外観を改
良した空気入りラジアルタイヤに関するものである。 【0002】 【従来の技術】空気入りラジアルタイヤの構造は、広く
知られているように、基本的にはトロイド状のラジアル
カ−カスと、このカ−カスのクラウン部外周上に順次配
置された非伸長性ベルト層、トレッド、そしてカ−カス
の側部外面を被覆するサイドゴム層により主として構成
される。上記タイヤ構成部材のうち路面と直接係合する
トレッドは、硬質でモジュラスが高いゴムの層より成
り、また走行時に最も屈強変形を受ける区域に位置する
サイドゴム層には、耐屈曲性に富む柔軟なものが適用さ
れる。 【0003】トレッド、サイド両ゴム層の接合は、サイ
ドウォ−ルの径方向外側端部に位置するショルダ−部、
またはバットレス部で行われる。そしてこのショルダ−
部は走行時に伸縮を始めとする種々の複雑な変形を受け
る部分であるため、トレッドゴム層に対してサイドゴム
層は、軸方向外側からこれを覆うように固着される。以
下図4、および図5を用いてこれら両ゴム層の接合状態
を説明する。 【0004】図4は、扁平比が小さいタイヤの部分断面
図であり、図5は扁平比が大きいタイヤの部分断面図で
ある。図4において、赤道面O より右側と、断面高さの
中央を通り赤道面と直行する線C より下方を省略してい
るが、タイヤ1 はトロイド状を呈した普通の形状であ
る。タイヤ1 はラジアルカ−カス2 と、このカ−カスの
クラウン部3 の外周上に配置された非伸長性ベルト層4
によって補強され、更にこのベルト層の外側にトレッド
5 としての分厚いゴム層6 、サイドウォ−ル7 における
カ−カス2 の外側にサイドゴム層8 をそれぞれ備えてい
る。 【0005】トレッドゴム層6 とサイドゴム層8 との接
合は、上に述べたように厳しい変形に晒されるショルダ
−部9 に位置することから、サイドゴム層の上にトレッ
ドゴム層を重ねるようなことはせず、製造に当たり張り
付け作業に手間がかかるにも関わらず、図4に示すよう
に、トレッドゴム層6 の側端面をサイドゴム層8 で覆う
ように外側から固着することが原則である。扁平比(タ
イヤ幅に対するタイヤ断面高さの比)が0.7以上の汎
用タイヤにおいては、走行時に受けるショルダ−部の変
形が比較的マイルドであることから、図5示すように製
造時における張り付け作業性を考慮し、予め耐摩耗性に
優れる主ゴム層6Mと、その両端にサイドゴム層8 と実質
上同一ゴムの補助ゴム層6Sを一体に押し出したものをト
レッドゴム層6 として用い、サイドゴム層8 端部の上か
ら接合される。この構造の場合、主ゴム層6Mに対する補
助ゴム層6Sが上記トレッドゴム層の両端面をサイドゴム
層で覆う形態をとっている。 【0006】サイド、トレッド両ゴム層の接合は作業者
の手作業によって行われるが、図5に示す構造の場合、
タイヤの表面に現れるサイドゴム層とトレッドゴム層と
の手作業による接合位置J が、サイドウォ−ル上で最も
厳しい変形を受ける部位であるため、高速走行に供せら
れる扁平比が0.7未満の高性能タイヤでは、この位置
を避けて接合位置J がトレッドの接地端E に近接した図
4に示す構造が適用される。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】ところが、タイヤの接
地端E に近接する位置でサイドゴム層をトレッドゴム層
に接合する場合、サイドゴムの接合部はタイヤの位置的
関係からサイドゴムのうちでも分厚つい部分であり、こ
の分厚い部分を、同様に分厚いトレッドゴム層と、しか
も手作業によって接合すると、タイヤによっては厚み上
の段差が断面方向に生じることを避けることができず、
その結果加硫時に生じるその部分におけるエアトラップ
に起因するベアを回避するため、加硫金型にエア抜き手
段としてのベントホ−ル(直径1mm前後の小孔)を多数
設ける必要がある。 【0008】ベントホ−ルを有する金型で成型されたタ
イヤは、加硫時に軟化し、エアに追従したゴムの一部が
ベントホ−ル内でスピュ−としてタイヤと一体に型付け
されるため、加硫硬化後これらスピュ−を切除する必要
があるが、上記トレッド、サイド両ゴム層の接合位置は
比較的小さい円弧によって形成された部分であることか
ら、切除作業が厄介で、しかも量的に多くを切除する必
要がある。本発明は上記問題に鑑みなされたもので、ト
レッド、サイド両ゴム層におけるスピュ−切除を実質上
必要としない空気入りラジアルタイヤを提供することを
目的とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明は、トロイド状ラ
ジアルカ−カスのクラウン部外周上に非伸長性ベルト
層、および耐摩耗性に優れるゴム層より成るトレッドを
順次備え、またカ−カスの側部外表面を各々耐屈曲性に
優れるサイドゴム層で被覆すると共に、その径方向外側
端部をトレッドゴムの側端に対し軸方向外側から固着一
体化したタイヤにして、上記トレッドゴム層とサイドゴ
ム層とのタイヤ表面上の接合位置を実質上中心とする少
なくとも両側各5mmの範囲の区域に、0.1〜1.0mm
の幅と0.05〜1.0mmの深さのほぼ周方向を向いた
微細溝を、0.5〜10mmの間隔を置いて複数本有する
ことを特徴とする空気入りラジアルタイヤである。 【0010】 【作用】本発明に成るタイヤは、カ−カスの側部外表面
を被覆する耐屈曲性に優れるサイドゴム層を、耐摩耗性
に優れるトレッドゴム層に対しその軸方向外側から固着
一体化したタイヤにして、上記トレッドゴム層とサイド
ゴム層とのタイヤ表面上の接合位置を実質上中心とする
少なくとも両側各5mmの範囲の区域に、0.1〜1.0
mm、の幅と、0.05〜1.0mmの深さのほぼ周方向を
向いた微細溝を、0.5〜10mmの間隔を置いて複数本
有することを構成上の特徴とする。 加硫時に金型と、
グリ−ンタイヤの上記接合位置近傍との間に生じるエア
トラップにつき、金型にベントホ−ルを設けることなく
防止する手段を発明者が種々検討したところによると、
上記トレッド、サイド両ゴム層のタイヤ表面上の接合位
置に対応する金型に著しく細く、且つ浅い、ほぼ周方向
を向いた微細溝を設けた場合、グリ−ンタイヤとの間の
エアは、これら微細溝を通じてモ−ルドを構成する多数
の金型の周方向における合わせ目(セグメントの継ぎ
目)、およびトレッドのパタ−ンを構成する金型構成要
素の継ぎ目の間の僅かな隙間を通じて排出され、また排
出されずに残った微量のエアは、微細溝を配置した区域
に均一に分散し、その結果、タイヤの微細溝を配置した
ショルダ−部にはベアは発生しないことが分かった。従
って金型のその位置にベントホ−ルを設ける必要はな
く、タイヤショルダ−部よりの厄介なスピュ−切除の問
題は有利に解決されるのである。またベントホ−ルを設
けるにしても、最小限にとどめることができる。 【0011】そして上記金型の合わせ目、および金型構
成要素の継ぎ目にエアを導くために必要な周方向微細溝
の幅と深さは、夫々最低限0.1、および0.05mmで
ある。一方幅および深さが夫々1.0mmを越えると、こ
れら溝内にエアトラップが生じ、タイヤのこの部分にベ
アが生じることとなる。そしてショルダ−部における配
置区域は、ゴムの接合に起因してエアトラップが生じる
接合位置を実質上中心とする少なくとも両側各5mmの範
囲の区域であるが、この区域の幅が5mmに満たないとき
は、エアトラップが生じる範囲を微細溝によってカバ−
しきれず、また範囲の上限は、設ける溝が微細溝である
ところから実質上タイヤに悪影響を及ぼすことはなく、
従ってタイヤ外観などの面で事情が許すかぎり広範囲に
設けることができる。なお、微細溝の相互間隔について
は、0.5〜10mmの範囲が必要である。この場合の下
限0.5mmは、金型工作上制約される値であり、上限1
0mmを越えるとエア導通の面で本発明の目的に照らし効
果が得られない。 【0012】 【実施例】以下図面に基づき説明する。図1は本発明に
おける第1実施例を示すトレッドの部分斜視図であり、
図2は図1における要部の拡大図である。本発明におい
てタイヤ1 は、詳細な図示を省略しているが、トロイド
状ラジアルカ−カス2 のクラウン部3 外周上に非伸長性
ベルト層4 、および耐摩耗性に優れるゴム層6 より成る
トレッド5 を順次備え、またカ−カス2 の側部外表面を
各々耐屈曲性に優れるサイドゴム層8 で被覆すると共
に、サイドゴム層8 の径方向外側端部をトレッドゴム層
6 の側端に対し軸方向外側から固着一体化している。そ
して上記トレッドゴム層6 とサイドゴム層8 の接合部10
のタイヤ表面に現れる接合位置J を実質上中心とする両
側各5mmの範囲r の区域11にに、0.1〜1.0mmの幅
w と、0.05〜1.0mmの深さd を有するほぼ周方向
を向いた微細溝12を0.5〜10mmの間隔を置いて複数
本有するものとする。 【0013】タイヤ1 の補強については、ポリエステ
ル、レ−ヨンなどの繊維コ−ドをタイヤの赤道面とほぼ
直行する方向に配列したプライの1枚、または複数枚
(通常2枚)を重ね合わせて成るラジアルカ−カス2 を
一方のサイドウォ−ル7 から他方サイドウォ−ル7 に亙
って配置し、またこのカ−カス2 とトレッド5 との間
に、トレッド5 いっぱいの幅の非伸長性ベルト層4 を配
置して強化した公知の構造を適用することができる。 【0014】図1、2に示す乗用車用ラジアルタイヤの
実施例では、トレッド、サイド両ゴム層6 、8 の接合位
置J 上に設けた線j を中心に両側各5mmの範囲r 内に、
幅wが0.3mm、深さd が0.15mmの周方向微細溝12
を1.2mmの間隔i をもって周方向に向け6本設けてい
る。微細溝12につき、幅w 、深さd の好ましい範囲とし
ては、夫々0.2〜0.6mm、および0.1〜0.3mm
であり、一方間隔i は、0.5〜4.0mmの範囲が好ま
しい。 【0015】図3は本発明における第2実施例を示すト
レッドの部分斜視図である。この実施例の特徴は、接合
位置上の線j に対し交わる向きに微細溝12' を設けた点
にある。微細溝12' と線j との角度は、最大10°程度
が好ましい。このように周方向、または線j に対し角度
をもって微細溝12' を設ける場合、図示を省略している
が、逆向きの微細溝を、例えば線j に対して対称に交差
させ同じ本数設けることができる。 【0016】なお金型を構成する金型構成要素間の隙間
のエアを加硫時に吸引するバキュウムタイプで加硫成型
する場合、一層効果的である。 【0017】 【効果】本発明にに成るタイヤの効果を確かめるべく20
5/65R15 サイズのラジアル構造に、図1、2に示す第1
実施例のタイヤと、比較例のタイヤとの間で比較評価を
行った。実施例のタイヤは、ショルダ−部における両ゴ
ム層の接合位置J を中心とする範囲2r 内に幅、および
深さが夫々0.3、0.15mmの周方向微細溝を1.2
mmの間隔を置いて13本設けた。一方比較例のタイヤ
は、実施例のタイヤと同一サイズ、同一構造とし、この
場合ベア発生を防止するため加硫金型のショウルダ−部
におけるトレッド、およびサイドゴム層の接合位置J の
近傍対応位置にベントホ−ル(直径1.2mm)を各ブロ
ックに少なくとも1個周方向に設けた。なおトレッドに
ついては、実施例、比較例共に同一のブロックパタ−ン
とした。 【0018】タイヤを加硫成型した結果、実施例のタイ
ヤは微細溝を設けたショルダ−部にベアの発生はまった
く認められなかった。これに対して比較例のタイヤも同
様にベアの発生は認められなかったが、当然のことなが
らベントホ−ル位置にスピュ−が生じ、これらを切除す
るのに約0.5分必要とした。 【0019】このように、トレッドゴム層とサイドゴム
層のタイヤ表面上の接合位置を実質上中心とする両側5
mmの区域に、0.1〜1.0mmの幅と0.05〜1.0
mmの深さのほぼ周方向を向いた微細溝を複数本有する本
発明のタイヤは、加硫成型時に、上記接合位置に対応す
る金型の区域にベントホ−ルなどのエア抜き手段を設け
なくてもエアトラップによるベアの発生を防止すること
ができ、そのためベントホ−ルを設けることによってタ
イヤショルダ−部に生じるスピュ−の不所望な切除作業
を省略することができるのである。
良した空気入りラジアルタイヤに関するものである。 【0002】 【従来の技術】空気入りラジアルタイヤの構造は、広く
知られているように、基本的にはトロイド状のラジアル
カ−カスと、このカ−カスのクラウン部外周上に順次配
置された非伸長性ベルト層、トレッド、そしてカ−カス
の側部外面を被覆するサイドゴム層により主として構成
される。上記タイヤ構成部材のうち路面と直接係合する
トレッドは、硬質でモジュラスが高いゴムの層より成
り、また走行時に最も屈強変形を受ける区域に位置する
サイドゴム層には、耐屈曲性に富む柔軟なものが適用さ
れる。 【0003】トレッド、サイド両ゴム層の接合は、サイ
ドウォ−ルの径方向外側端部に位置するショルダ−部、
またはバットレス部で行われる。そしてこのショルダ−
部は走行時に伸縮を始めとする種々の複雑な変形を受け
る部分であるため、トレッドゴム層に対してサイドゴム
層は、軸方向外側からこれを覆うように固着される。以
下図4、および図5を用いてこれら両ゴム層の接合状態
を説明する。 【0004】図4は、扁平比が小さいタイヤの部分断面
図であり、図5は扁平比が大きいタイヤの部分断面図で
ある。図4において、赤道面O より右側と、断面高さの
中央を通り赤道面と直行する線C より下方を省略してい
るが、タイヤ1 はトロイド状を呈した普通の形状であ
る。タイヤ1 はラジアルカ−カス2 と、このカ−カスの
クラウン部3 の外周上に配置された非伸長性ベルト層4
によって補強され、更にこのベルト層の外側にトレッド
5 としての分厚いゴム層6 、サイドウォ−ル7 における
カ−カス2 の外側にサイドゴム層8 をそれぞれ備えてい
る。 【0005】トレッドゴム層6 とサイドゴム層8 との接
合は、上に述べたように厳しい変形に晒されるショルダ
−部9 に位置することから、サイドゴム層の上にトレッ
ドゴム層を重ねるようなことはせず、製造に当たり張り
付け作業に手間がかかるにも関わらず、図4に示すよう
に、トレッドゴム層6 の側端面をサイドゴム層8 で覆う
ように外側から固着することが原則である。扁平比(タ
イヤ幅に対するタイヤ断面高さの比)が0.7以上の汎
用タイヤにおいては、走行時に受けるショルダ−部の変
形が比較的マイルドであることから、図5示すように製
造時における張り付け作業性を考慮し、予め耐摩耗性に
優れる主ゴム層6Mと、その両端にサイドゴム層8 と実質
上同一ゴムの補助ゴム層6Sを一体に押し出したものをト
レッドゴム層6 として用い、サイドゴム層8 端部の上か
ら接合される。この構造の場合、主ゴム層6Mに対する補
助ゴム層6Sが上記トレッドゴム層の両端面をサイドゴム
層で覆う形態をとっている。 【0006】サイド、トレッド両ゴム層の接合は作業者
の手作業によって行われるが、図5に示す構造の場合、
タイヤの表面に現れるサイドゴム層とトレッドゴム層と
の手作業による接合位置J が、サイドウォ−ル上で最も
厳しい変形を受ける部位であるため、高速走行に供せら
れる扁平比が0.7未満の高性能タイヤでは、この位置
を避けて接合位置J がトレッドの接地端E に近接した図
4に示す構造が適用される。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】ところが、タイヤの接
地端E に近接する位置でサイドゴム層をトレッドゴム層
に接合する場合、サイドゴムの接合部はタイヤの位置的
関係からサイドゴムのうちでも分厚つい部分であり、こ
の分厚い部分を、同様に分厚いトレッドゴム層と、しか
も手作業によって接合すると、タイヤによっては厚み上
の段差が断面方向に生じることを避けることができず、
その結果加硫時に生じるその部分におけるエアトラップ
に起因するベアを回避するため、加硫金型にエア抜き手
段としてのベントホ−ル(直径1mm前後の小孔)を多数
設ける必要がある。 【0008】ベントホ−ルを有する金型で成型されたタ
イヤは、加硫時に軟化し、エアに追従したゴムの一部が
ベントホ−ル内でスピュ−としてタイヤと一体に型付け
されるため、加硫硬化後これらスピュ−を切除する必要
があるが、上記トレッド、サイド両ゴム層の接合位置は
比較的小さい円弧によって形成された部分であることか
ら、切除作業が厄介で、しかも量的に多くを切除する必
要がある。本発明は上記問題に鑑みなされたもので、ト
レッド、サイド両ゴム層におけるスピュ−切除を実質上
必要としない空気入りラジアルタイヤを提供することを
目的とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明は、トロイド状ラ
ジアルカ−カスのクラウン部外周上に非伸長性ベルト
層、および耐摩耗性に優れるゴム層より成るトレッドを
順次備え、またカ−カスの側部外表面を各々耐屈曲性に
優れるサイドゴム層で被覆すると共に、その径方向外側
端部をトレッドゴムの側端に対し軸方向外側から固着一
体化したタイヤにして、上記トレッドゴム層とサイドゴ
ム層とのタイヤ表面上の接合位置を実質上中心とする少
なくとも両側各5mmの範囲の区域に、0.1〜1.0mm
の幅と0.05〜1.0mmの深さのほぼ周方向を向いた
微細溝を、0.5〜10mmの間隔を置いて複数本有する
ことを特徴とする空気入りラジアルタイヤである。 【0010】 【作用】本発明に成るタイヤは、カ−カスの側部外表面
を被覆する耐屈曲性に優れるサイドゴム層を、耐摩耗性
に優れるトレッドゴム層に対しその軸方向外側から固着
一体化したタイヤにして、上記トレッドゴム層とサイド
ゴム層とのタイヤ表面上の接合位置を実質上中心とする
少なくとも両側各5mmの範囲の区域に、0.1〜1.0
mm、の幅と、0.05〜1.0mmの深さのほぼ周方向を
向いた微細溝を、0.5〜10mmの間隔を置いて複数本
有することを構成上の特徴とする。 加硫時に金型と、
グリ−ンタイヤの上記接合位置近傍との間に生じるエア
トラップにつき、金型にベントホ−ルを設けることなく
防止する手段を発明者が種々検討したところによると、
上記トレッド、サイド両ゴム層のタイヤ表面上の接合位
置に対応する金型に著しく細く、且つ浅い、ほぼ周方向
を向いた微細溝を設けた場合、グリ−ンタイヤとの間の
エアは、これら微細溝を通じてモ−ルドを構成する多数
の金型の周方向における合わせ目(セグメントの継ぎ
目)、およびトレッドのパタ−ンを構成する金型構成要
素の継ぎ目の間の僅かな隙間を通じて排出され、また排
出されずに残った微量のエアは、微細溝を配置した区域
に均一に分散し、その結果、タイヤの微細溝を配置した
ショルダ−部にはベアは発生しないことが分かった。従
って金型のその位置にベントホ−ルを設ける必要はな
く、タイヤショルダ−部よりの厄介なスピュ−切除の問
題は有利に解決されるのである。またベントホ−ルを設
けるにしても、最小限にとどめることができる。 【0011】そして上記金型の合わせ目、および金型構
成要素の継ぎ目にエアを導くために必要な周方向微細溝
の幅と深さは、夫々最低限0.1、および0.05mmで
ある。一方幅および深さが夫々1.0mmを越えると、こ
れら溝内にエアトラップが生じ、タイヤのこの部分にベ
アが生じることとなる。そしてショルダ−部における配
置区域は、ゴムの接合に起因してエアトラップが生じる
接合位置を実質上中心とする少なくとも両側各5mmの範
囲の区域であるが、この区域の幅が5mmに満たないとき
は、エアトラップが生じる範囲を微細溝によってカバ−
しきれず、また範囲の上限は、設ける溝が微細溝である
ところから実質上タイヤに悪影響を及ぼすことはなく、
従ってタイヤ外観などの面で事情が許すかぎり広範囲に
設けることができる。なお、微細溝の相互間隔について
は、0.5〜10mmの範囲が必要である。この場合の下
限0.5mmは、金型工作上制約される値であり、上限1
0mmを越えるとエア導通の面で本発明の目的に照らし効
果が得られない。 【0012】 【実施例】以下図面に基づき説明する。図1は本発明に
おける第1実施例を示すトレッドの部分斜視図であり、
図2は図1における要部の拡大図である。本発明におい
てタイヤ1 は、詳細な図示を省略しているが、トロイド
状ラジアルカ−カス2 のクラウン部3 外周上に非伸長性
ベルト層4 、および耐摩耗性に優れるゴム層6 より成る
トレッド5 を順次備え、またカ−カス2 の側部外表面を
各々耐屈曲性に優れるサイドゴム層8 で被覆すると共
に、サイドゴム層8 の径方向外側端部をトレッドゴム層
6 の側端に対し軸方向外側から固着一体化している。そ
して上記トレッドゴム層6 とサイドゴム層8 の接合部10
のタイヤ表面に現れる接合位置J を実質上中心とする両
側各5mmの範囲r の区域11にに、0.1〜1.0mmの幅
w と、0.05〜1.0mmの深さd を有するほぼ周方向
を向いた微細溝12を0.5〜10mmの間隔を置いて複数
本有するものとする。 【0013】タイヤ1 の補強については、ポリエステ
ル、レ−ヨンなどの繊維コ−ドをタイヤの赤道面とほぼ
直行する方向に配列したプライの1枚、または複数枚
(通常2枚)を重ね合わせて成るラジアルカ−カス2 を
一方のサイドウォ−ル7 から他方サイドウォ−ル7 に亙
って配置し、またこのカ−カス2 とトレッド5 との間
に、トレッド5 いっぱいの幅の非伸長性ベルト層4 を配
置して強化した公知の構造を適用することができる。 【0014】図1、2に示す乗用車用ラジアルタイヤの
実施例では、トレッド、サイド両ゴム層6 、8 の接合位
置J 上に設けた線j を中心に両側各5mmの範囲r 内に、
幅wが0.3mm、深さd が0.15mmの周方向微細溝12
を1.2mmの間隔i をもって周方向に向け6本設けてい
る。微細溝12につき、幅w 、深さd の好ましい範囲とし
ては、夫々0.2〜0.6mm、および0.1〜0.3mm
であり、一方間隔i は、0.5〜4.0mmの範囲が好ま
しい。 【0015】図3は本発明における第2実施例を示すト
レッドの部分斜視図である。この実施例の特徴は、接合
位置上の線j に対し交わる向きに微細溝12' を設けた点
にある。微細溝12' と線j との角度は、最大10°程度
が好ましい。このように周方向、または線j に対し角度
をもって微細溝12' を設ける場合、図示を省略している
が、逆向きの微細溝を、例えば線j に対して対称に交差
させ同じ本数設けることができる。 【0016】なお金型を構成する金型構成要素間の隙間
のエアを加硫時に吸引するバキュウムタイプで加硫成型
する場合、一層効果的である。 【0017】 【効果】本発明にに成るタイヤの効果を確かめるべく20
5/65R15 サイズのラジアル構造に、図1、2に示す第1
実施例のタイヤと、比較例のタイヤとの間で比較評価を
行った。実施例のタイヤは、ショルダ−部における両ゴ
ム層の接合位置J を中心とする範囲2r 内に幅、および
深さが夫々0.3、0.15mmの周方向微細溝を1.2
mmの間隔を置いて13本設けた。一方比較例のタイヤ
は、実施例のタイヤと同一サイズ、同一構造とし、この
場合ベア発生を防止するため加硫金型のショウルダ−部
におけるトレッド、およびサイドゴム層の接合位置J の
近傍対応位置にベントホ−ル(直径1.2mm)を各ブロ
ックに少なくとも1個周方向に設けた。なおトレッドに
ついては、実施例、比較例共に同一のブロックパタ−ン
とした。 【0018】タイヤを加硫成型した結果、実施例のタイ
ヤは微細溝を設けたショルダ−部にベアの発生はまった
く認められなかった。これに対して比較例のタイヤも同
様にベアの発生は認められなかったが、当然のことなが
らベントホ−ル位置にスピュ−が生じ、これらを切除す
るのに約0.5分必要とした。 【0019】このように、トレッドゴム層とサイドゴム
層のタイヤ表面上の接合位置を実質上中心とする両側5
mmの区域に、0.1〜1.0mmの幅と0.05〜1.0
mmの深さのほぼ周方向を向いた微細溝を複数本有する本
発明のタイヤは、加硫成型時に、上記接合位置に対応す
る金型の区域にベントホ−ルなどのエア抜き手段を設け
なくてもエアトラップによるベアの発生を防止すること
ができ、そのためベントホ−ルを設けることによってタ
イヤショルダ−部に生じるスピュ−の不所望な切除作業
を省略することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例のタイヤのトレッド部分斜視図。
【図2】図1における要部の拡大図。
【図3】第2実施例のタイヤのトレッド部分斜視図。
【図4】扁平比が小さいタイヤの部分断面図。
【図5】扁平比が大きいタイヤの部分断面図。
【符号の説明】
1 タイヤ
2 カ−カス
3 クラウン部
4 ベルト層
5 トレッド
6 トレッドゴム層
8 サイドゴム層
11 区域
12 周方向微細溝
P トレッド、サイド両ゴム層の接合位置
w 微細溝の幅
d 微細溝の深さ
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 トロイド状ラジアルカ−カスのクラウン
部外周上に非伸長性ベルト層、および耐摩耗性に優れる
ゴム層より成るトレッドを順次備え、またカ−カスの側
部外表面を各々耐屈曲性に優れるサイドゴム層で被覆す
ると共に、その径方向外側端部をトレッドゴムの側端に
対し軸方向外側から固着一体化したタイヤにして、上記
トレッドゴム層とサイドゴム層とのタイヤ表面上の接合
位置を実質上中心とする少なくとも両側各5mmの範囲の
区域に、0.1〜1.0mmの幅と0.05〜1.0mmの
深さのほぼ周方向を向いた微細溝を、0.5〜10mmの
間隔を置いて複数本有することを特徴とする空気入りラ
ジアルタイヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25098994A JP3383434B2 (ja) | 1994-10-17 | 1994-10-17 | 空気入りラジアルタイヤ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25098994A JP3383434B2 (ja) | 1994-10-17 | 1994-10-17 | 空気入りラジアルタイヤ |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08113010A JPH08113010A (ja) | 1996-05-07 |
JP3383434B2 true JP3383434B2 (ja) | 2003-03-04 |
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ID=17216016
Family Applications (1)
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JP25098994A Expired - Fee Related JP3383434B2 (ja) | 1994-10-17 | 1994-10-17 | 空気入りラジアルタイヤ |
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-
1994
- 1994-10-17 JP JP25098994A patent/JP3383434B2/ja not_active Expired - Fee Related
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