JP3381976B2 - 半導体レーザ装置 - Google Patents

半導体レーザ装置

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JP3381976B2 JP23004093A JP23004093A JP3381976B2 JP 3381976 B2 JP3381976 B2 JP 3381976B2 JP 23004093 A JP23004093 A JP 23004093A JP 23004093 A JP23004093 A JP 23004093A JP 3381976 B2 JP3381976 B2 JP 3381976B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光通信や情報処理に用
いる半導体レーザ装置に係わり、特に量子井戸構造の活
性層を有する半導体レーザ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、情報処理や光通信などの光源とし
て、各種化合物半導体材料を用いた半導体レーザが開発
されており、その高性能化が望まれている。特に、低し
きい値特性、温度に対して出力変動の小さい特性、高信
頼性に対する要求は強く、その研究開発が盛んに行われ
ている。
【0003】低しきい値で発振する半導体レーザを実現
するには、活性層に量子井戸構造を導入することが行わ
れ、特に最近においては量子井戸構造の井戸層がクラッ
ド層と格子定数の異なる歪み量子井戸構造を導入するこ
とが行われている。1.5μm帯のレーザの場合に活性
層に歪みを導入する場合には、基板よりも格子定数を大
きくすることでしきい値を下げる効果を実現する場合が
多い。この場合、量子井戸構造の井戸層としては、格子
整合している場合に比べてInAsに組成の近いGaI
nAs層が用いられる。
【0004】歪み量子井戸構造を導入すると、しきい電
流密度が下がるので、レーザ特性の温度依存性を大きく
する量子井戸内でのキャリアの量を低減することにな
り、温度による特性の変動を小さくすることが期待でき
る。しかし、実際にはしきい電流は下がるものの、温度
に対する依存性は必ずしも小さくないことが明らかにな
ってきている。
【0005】一方、1.3μm帯のレーザや量子井戸構
造の井戸層の幅を広くして比較的P組成の高いGaIn
AsPを井戸層に用いて1.5μm帯のレーザを作製し
た場合には、温度特性を容易に改善されることが知られ
ている。しかし、このような構造では、井戸層に蒸気圧
の高いV族元素を二種類含むGaInAsPを用いるた
めに、組成や発振波長が制御しにくいという問題があっ
た。
【0006】これらの問題を、以下に詳しく説明する。
低しきい値の1.5μm帯の半導体レーザの場合に活性
層に歪みを導入する場合においては、井戸層として基板
に格子整合している場合に比べてInAsに組成の近い
GaInAs層が用いられる場合が多い。このとき、し
きい電流密度が下がるのに、レーザ特性の温度依存性が
小さくなりにくい。この点については、クラッド層或い
は基板中に用いられているZnが拡散し、Znの拡散係
数の小さいGaInAs層中にZnが蓄積してしまうと
同時に深いレベルが形成されるためと考えられる。特に
この問題は、量子井戸構造においては井戸層の厚さが薄
いので、Znの蓄積効果が大きく、その影響が顕著とな
る。
【0007】一方、n型の不純物が添加されている領域
ではp型不純物の拡散係数が小さくなる。特に、p型の
不純物濃度以上にn型の不純物が添加されていると、p
型不純物の拡散係数は小さくなる。InP中でのZnの
拡散は2段拡散型であり、低濃度の拡散フロントは濃度
が1015cm-3程度以下で急激に濃度が下がる。このた
め、量子井戸構造中でのn型不純物がこの値を越えた一
定以上の濃度であるとZnの拡散が抑制でき、GaIn
As層へのZnの蓄積や深いレベルの発生を低減するこ
とができる。
【0008】活性層の量子井戸構造を形成する際にはI
nP系の場合、気相成長法、特に有機金属気相成長法で
高品質の結晶の成長が可能である。この方法でGaIn
Asを成長すると、バックグラウンドの不純物はSiが
最も主要な元素であり、n型となり、不純物濃度は10
15cm-3以下となるのが普通である。また、歪み量子井
戸構造を用いた場合には井戸層のGaInAs組成がI
nAsに近くなるが、このような組成の層ではSiが不
純物として取り込まれにくく、バックグラウンドのSi
濃度は更に低いものとなる。このため、Znの拡散及び
蓄積が起こり易くなる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】このように従来、Ga
InAs層を用いて歪み量子井戸構造を導入しても、温
度に対する依存性が小さくできないという問題、さらに
はP組成の高いGaInAsPを量子井戸構造の井戸層
として用いるとレーザの波長制御が難しくなるという問
題があった。
【0010】本発明は、上記事情を考慮してなされたも
ので、その目的とするところは、波長の制御が容易なG
aInAsの歪み量子井戸構造を用いて、しきい値が低
くかつ素子特性の温度依存性を小さくすることのできる
半導体レーザ装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は次のような構成を採用している。即ち本発
明は、GaInAsの歪み量子井戸構造からなる活性層
をp型及びn型のクラッド層で挟んで構成され、1.3
μm帯又は1.5μm帯の発光波長を有する半導体レー
ザ装置において、活性層は気相成長法で形成されてお
り、かつ活性層における不純物としてのSiの濃度を1
×1016cm-3〜5×1017cm-3に設定したことを特
徴とする。
【0012】ここで、Siの濃度が略1×1016cm-3
〜5×1017cm-3の原子濃度というのは、SIMS
(Secondary Ion Mass Spectrometry )により測定した
値であり、ファクター3の誤差を含んでいる。また、本
発明の望ましい実施態様としては、次のものがあげられ
る。 (1) クラッド層はInPを含む層である。 (2) 活性層の量子井戸構造の中の井戸層としては、クラ
ッド層に格子整合したGaInAs、又は基板と格子不
整合したGaInAsを用いること。井戸層については
P組成の低いGaInAsPでもよい。 (3) 量子井戸構造の作成にあたっては気相成長法で行う
必要があり、特に有機金属気相成長法を用いる。
【0013】
【作用】本発明によれば、半導体レーザの活性層中にS
iを積極的に添加することにより、活性層中でp型不純
物(例えばZn)の拡散が抑制できるようになり、量子
井戸構造中でのp型不純物の蓄積及び深いレベルの発生
を抑制することが可能となる。
【0014】Siを添加する領域については、活性層全
体でも量子井戸構造の井戸層のみでもよく、さらに量子
井戸構造の障壁層のみでもp型不純物の拡散を抑制する
効果がある。
【0015】特に埋め込み型のレーザにおいては、量子
井戸構造のGaInAs層に対して、埋め込み層から活
性層の量子井戸構造の面にp型不純物の拡散が起き易
い。この拡散は量子井戸構造の井戸層沿いに起きるの
で、光ガイド層等によってp型不純物の拡散を抑制する
ことは難しいが、本発明を適用することでこのようなp
型不純物の拡散を大幅に抑制できるようになる。また、
歪み量子井戸構造の活性層に本発明を用いた場合にも、
意図的にSiを添加しているので、井戸層のSiの濃度
が十分高く、p型不純物の拡散に対する抑制の効果が顕
著である。
【0016】以上のように、p型不純物の拡散を抑制で
きた結果、活性層がGaInAs層であっても、レーザ
特性の温度に対する依存性を小さくすることができる。
活性層中のSiの濃度が高すぎると、レーザ発振しきい
電流が上がったり、レーザ素子の寿命が短くなったりし
てしまうが、本発明の範囲内の濃度であれば、このよう
な問題は発生しなかった。
【0017】また、活性層の歪み量子井戸構造の井戸層
として、GaInAsの代わりにGaInAsPを用い
た場合、材料の特性としてp型不純物の濃度が上がりに
くくまた拡散係数も小さいので、p型不純物を蓄積しに
くい。また、結晶成長の際のバックグラウンドの不純物
濃度が下がりにくいのでp型不純物の拡散抑制効果があ
るといった点もあるが、本発明を適用することでGaI
nAsと同じ様な効果が、程度は小さいながら実現で
き、レーザの温度特性を向上することができる。特に、
P組成の低いGaInAsPの場合には材料特性がGa
InAsに近いのでその効果が顕著に現れる。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。図1は、本発明の第1の実施例に係わる半導体レ
ーザの素子構造を示す断面図である。n型InP基板1
0上に、n型クラッド層11,光ガイド層12,活性層
13,光ガイド層14及びp型クラッド層15が、上記
順に成長形成されている。
【0019】n型クラッド層11は、キャリア濃度10
18cm-3のSi添加のn型InPである。光ガイド層1
2は、キャリア濃度1017cm-3のSi添加のn型Ga
InAsP(厚さ0.1μm,バンドギャップ1.3μ
m)である。活性層13は、キャリア濃度5×1016
-3のSi添加のGaInAsP障壁層13a(厚さ1
0nm,バンドギャップ1.3μm,7層)と、キャリ
ア濃度5×1016cm-3のSi添加のGa 0.35 In
0.65 As井戸層13b(厚さ3nm,8層)とが交互
に繰り返された歪み量子井戸構造となっている。光ガイ
ド層14は、キャリア濃度1016cm-3のSi添加のG
aInAsP(厚さ0.1μm,バンドギャップ1.3
μm)である。また、p型クラッド層15は、キャリア
濃度1018cm-3のZn添加のp型InP(厚さ0.5
μm)である。
【0020】n型InPクラッド層11の上部より上層
が幅約1.5μmのメサ構造になっており、その両側が
キャリア濃度1018cm-3のZn添加のp型InP層1
6及びキャリア濃度1018cm-3のSi添加のn型In
P電流阻止層17で埋め込まれている。さらにその上部
には、キャリア濃度1018cm-3のZn添加のp型In
P層18及びキャリア濃度5×1018cm-3のZn添加
のp型のGa 0.47 In 0.53 Asコンタクト層19
(厚さ0.5μm)が形成されている。
【0021】そして、GaInAsコンタクト層19上
にはAu−Zn/Au電極(p側電極)21が蒸着形成
され、n型InP基板10の下面にはAu−Ge/Ni
/Au電極(n側電極)22が蒸着形成されている。
【0022】本実施例の半導体レーザは共振器長を20
0μmとし、SiとSiO2 の多層膜により、一方の端
面の反射率が70%、他方の端面の反射率が90%の高
反射コートを施した。
【0023】本実施例の半導体レーザの発振波長は1.
56μmで、しきい電流は3mA,スロープ効率ηの温
度変動はη(75℃)/η(25℃)〜0.7と、この
ような低しきい電流のレーザ素子としては大きな値を示
した。活性層にSiに添加を行わなかった同様な構造の
素子においては、η(75℃)/η(25℃)〜0.6
となった。
【0024】本実施例の半導体レーザの活性層13は有
機金属気相成長法で形成した。その際に、Siの添加は
SiH4 をもって行った。結晶成長の温度は620〜6
90℃で行った。Ga 0.35 In 0.65 As井戸層13
bについては結晶の厚さが極めて薄いので、膜中のSi
の濃度を測定することが難しい。一方、SiH4 につい
てはInAs中への取り込まれ効率は620℃では、G
0.47 In 0.53 As中への取り込まれ効率より約
1.5桁小さく、Ga 0.47 In 0.53 As中への取り
込まれ効率はGaAs中へのそれよりも約1桁小さかっ
た。このことは、SiH4 の取り込まれが材料との表面
反応でGax In1-x As(0≦x=1)の組成に対し
て、指数関数的に変化していることを意味している。
【0025】そこで、Ga 0.35 In 0.65 As井戸層
13bにSiH4 を供給するときの条件はSiH4 の取
り込まれ効率がGaInAsの組成変化に対して指数関
数的に変化しているとして決めた。原料としてSiH4
を用いたとき、Siの取り込まれ効率はInAs組成の
高いGaInAsほど温度に対して強い依存性を持ち、
このときの活性化エネルギーはGax In1-x As(0
≦x=1)の固相組成に比例した。そこで、InAsへ
のSiの取り込まれ効率、Ga 0.47 In 0.53 Asへ
のSiの取り込まれ効率の温度依存性、及び材料組成に
対するSiの取り込まれ効率を勘案して、Ga 0.35
0.65 As井戸層13b中でのキャリア濃度が5×1
16cm-3となるようにSiH4 の供給条件を決めた。
【0026】ここで、活性層13中のSi濃度の望まし
い範囲について説明する。本実施例の半導体レーザにお
いて、Ga0.35In0.05As井戸層13bのnタイプの
キャリア濃度を1×1016cm-3より低くすると、しき
い電流が略3mAから6mAと急激に上昇した。一方、
Ga0.35In0.65As井戸層13bのキャリア濃度を略
5×1017cm-3より高くすると、再びしきい値が上昇
した。
【0027】しきい電流のキャリア濃度依存性を図2に
示す。キャリア濃度を下げた時にしきい電流が上昇した
のは、Ga0.35In0.65As井戸層13b中のSi濃度
を下げたために、Znの二段階拡散の一段目の低濃度領
域のZn濃度とSiの濃度が略一致或いはより高くな
り、Znの拡散が急激に増大したためと推定される。
【0028】一方、キャリア濃度を上げた時にしきい電
流が上昇したのは、以下のような理由と考えられる。レ
ーザが発振するためには活性層中で活性層の不純物によ
りキャリア濃度に対して外部から注入されたキャリア濃
度が十分高く、キャリアの反転分布が形成される必要が
ある。ところが、井戸層中の不純物濃度が略5×1017
cm-3以上となると、通常レーザ発振するときに外部か
ら注入されるキャリア濃度と差が小さくなる。このた
め、井戸層中の不純物濃度の上昇に伴い反転分布を形成
するために必要な注入キャリア濃度が上昇したと推定さ
れる。
【0029】このような結果に基づき本発明の半導体レ
ーザにおいては、歪み量子井戸層中のSi濃度を1×1
16cm-3〜5×1017cm-3の間にあるようにした。
このように本実施例によれば、歪み量子井戸構造の活性
層13の井戸層13bに組成制御の行い易いGaInA
sを用いることにより、組成の確認が難しい歪み量子井
戸構造を用いても発振波長が極めて安定であり、1.5
6±0.01μmに制御することができた。類似の構造
の量子井戸レーザで活性層の井戸層に四元混晶であるG
aInAsPを用いた場合に比べてウェハー毎のばらつ
きを約6割程度に抑えることができた。
【0030】しかも、活性層13中にSiを積極的に添
加し、Si濃度を1×1016cm-3〜5×1017cm-3
に設定しているので、活性層13中でのp型不純物(Z
n)の拡散を抑制することができ、歪み量子井戸構造中
でのp型不純物の蓄積及び深いレベルの発生を抑制する
ことが可能となる。従って、しきい値の低減化と共に素
子特性の温度依存性を小さくすることができ、その有用
性は絶大である。
【0031】図3は、本発明の第2の実施例に係わる半
導体レーザの素子構造を示す断面図である。本実施例の
半導体レーザにおいては、キャリア濃度4×1018cm
-3のZn添加のp型InP基板30の上に、p型クラッ
ド層31,光ガイド層32,活性層33,光ガイド層3
4及びn型クラッド層35が、上記順に成長形成されて
いる。
【0032】p型クラッド層31は、キャリア濃度10
18cm-3のZn添加のp型InP(厚さ1.5μm)で
ある。光ガイド層32は、キャリア濃度5×1017cm
-3のSi添加のGaInAsP(厚さ0.2μm,バン
ドギャップ1.13μm)である。活性層33は、キャ
リア濃度1017cm-3のSi添加のGaInAsP障壁
層33a(厚さ6nm,バンドギャップ1.13μm,
5層)と、キャリア濃度1017cm-3のSi添加のGa
InAsP井戸層33b(厚さ7nm,バンドギャップ
1.4μm,格子不整合度0.6%,6層)とを、交互
に繰り返した歪み量子井戸構造となっている。光ガイド
層34は、キャリア濃度5×1017cm-3のSi添加の
GaInAsP(バンドギャップ1.13μm)であ
る。また、n型クラッド層35は、キャリア濃度5×1
18cm-3のSi添加のn型InPである。
【0033】p型InPクラッド層31の上部より上層
が幅約1.5μmのメサ構造になっており、その両側が
キャリア濃度1018cm-3のZn添加のp−InP層3
6a、キャリア濃度1018cm-3のSi添加のn型In
P電流阻止層37、キャリア濃度1018cm-3のZn添
加のp型InP層36bで埋め込まれている。さらにそ
の上部は、キャリア濃度1018cm-3のSi添加のn型
InP層38及びキャリア濃度5×1018cm-3,厚さ
0.5μmのSi添加n型のGa 0.47 In 0.53 As
コンタクト層39が形成されている。
【0034】そして、GaInAsコンタクト層39上
にはAu−Ge/Ni/Au電極(n側電極)41が蒸
着形成され、p型InP基板30の裏面にはAu−Zn
/Au電極(p側電極)42が蒸着形成されている。
【0035】本実施例の半導体レーザは共振器長を20
0μmとし、SiとSiO2 の多層膜により、一方の端
面の反射率が70%、他方の端面の反射率が90%の高
反射コートを施した。
【0036】本実施例の半導体レーザの発振波長は1.
3μmで、しきい電流は2.3mA,スロープ効率ηの
温度変動はη(75℃)/η(25℃)〜0.8とn基
板上に形成したレーザと同様のp基板上に形成したよう
な低しきい電流のレーザ素子としては優れた特性を示し
た。活性層にSiに添加を行わなかった同様な構造の素
子としては、しきい電流η(75℃)/η(25℃)〜
0.7となった。これは、光ガイド層32中のキャリア
濃度が5×1017cm-3と比較的高いために、高濃度に
添加された基板30からのZnの拡散をこの層で大幅に
低減でき、活性層33の量子井戸構造の中にZnの蓄積
が起こることを防ぐことができたためである。ここで、
光ガイド層32中のキャリア濃度を5×1018cm-3
上の高い濃度とすると素子の寿命が急激に低下した。
【0037】なお、本発明は上述した各実施例に限定さ
れるものではない。実施例では、p型の不純物としてZ
nを用いたが、Cd,Mg,Be等をp型の不純物とし
て用いた場合にも本発明はZnの場合と同様の効果を発
揮する。
【0038】また、実施例で説明した量子井戸構造はい
ずれも圧縮歪みのGaInAsないしGaInAsP量
子井戸であるが、歪みが無くても、引張り歪みの量子井
戸構造でもよい。さらに、InAsPの活性層等への適
用も可能である。また、実施例では通常の埋め込み型の
ファブリペローレーザを例にとり説明したが、メサ構造
やリッジウェイブ構造のレーザ、DFBレーザや面発光
レーザへの応用も可能である。その他、本発明の要旨を
逸脱しない範囲で、種々変形して実施することができ
る。
【0039】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、量
子井戸構造の活性層中にSiを積極的に添加し、不純物
としてのSiの濃度を1×1016cm-3〜5×1017
-3に設定することにより、活性層中でp型不純物(例
えばZn)の拡散を抑制して、量子井戸構造中でのp型
不純物の蓄積及び深いレベルの発生を抑制することが可
能となる。従って、波長の制御が容易なGaInAsの
歪み量子井戸構造を用いて、しきい値が低くかつ素子特
性の温度依存性を小さくすることのできる半導体レーザ
装置を実現することが可能となる。
【0040】またこの効果は高出力の半導体レーザにも
適用可能であり、素子特性の向上を実現できる。さら
に、GaInAs井戸層を用いた場合には、井戸層がG
aInAs混晶であり特に有機金属気相成長法を用いた
場合には組成の決定が容易であり発振波長が容易に決定
できる。特に、埋め込み型の1.5μm帯の半導体レー
ザにおいて本発明の効果は絶大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係わる半導体レーザの
素子構造を示す断面図。
【図2】第1の実施例におけるしきい電流のキャリア濃
度依存性を示す特性図。
【図3】本発明の第2の実施例に係わる半導体レーザの
素子構造を示す断面図。
【符号の説明】
10…n−InP基板 11…n−In
Pクラッド層 12…n−GaInAsP光ガイド層 13…量子井戸
活性層 14…GaInAsP光ガイド層 15…p−In
Pクラッド層 16…p−InP層 17…n−In
P電流阻止層 18…p−InP層 19…p−Ga
InAsコンタクト層 21…Au-Zn/Au電極(p側電極) 22…Au-Ge/Ni
/Au 電極(n側電極) 30…p−InP基板 31…p−In
Pクラッド層 32…GaInAsP光ガイド層 33…量子井戸
活性層 34…GaInAsP光ガイド層 35…n−In
Pクラッド層 36a,36b…p−InP層 37…n−In
P電流阻止層 38…n−InP層 39…n−Ga
InAsコンタクト層 41…Au-Ge/Ni/Au 電極(n側電極) 42…Au-Zn/Au
電極(p側電極)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小野村 正明 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝研究開発センター内 (56)参考文献 特開 平6−268315(JP,A) 特開 平3−73586(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01S 5/00 - 5/50

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】GaInAsの歪み量子井戸構造からなる
    活性層をp型及びn型のクラッド層で挟んで構成され、
    1.3μm帯又は1.5μm帯の発光波長を有する半導
    体レーザ装置であって、 前記活性層は気相成長法で形成されており、かつ前記活
    層におけるSiの濃度を1×1016cm-3〜5×10
    17cm-3に設定してなることを特徴とする半導体レーザ
    装置。
  2. 【請求項2】前記活性層及びこれを挟む各クラッド層か
    ら成るダブルへテロ構造部はメサ型に加工され、前記活
    性層の側面にはp型埋め込み層が形成されていることを
    特徴とする請求項1記載の半導体レーザ装置。
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