JP3381612B2 - 液体ターゲット及び中性子発生設備 - Google Patents

液体ターゲット及び中性子発生設備

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JP3381612B2
JP3381612B2 JP06251498A JP6251498A JP3381612B2 JP 3381612 B2 JP3381612 B2 JP 3381612B2 JP 06251498 A JP06251498 A JP 06251498A JP 6251498 A JP6251498 A JP 6251498A JP 3381612 B2 JP3381612 B2 JP 3381612B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高エネルギーの陽
子線を液体状の重金属に照射して核破砕により高密度の
中性子を発生させるとともに液体金属を熱媒体として利
用する液体ターゲットと、液体金属の冷却設備とを備え
た核破砕型の中性子発生設備(以下、単に中性子発生設
備という)に関する。
【0002】
【従来の技術】高エネルギーの陽子線を重金属に照射し
て核破砕により高密度の中性子を発生させる中性子発生
設備は、入射エネルギーに対して最も多くの中性子を発
生させることができ、原子炉に比べて設備が簡素であ
る。このため、中性子を利用する生命科学,物質・材料
研究,核物理,医療などの多様な利用を目的として、欧
州,米国,日本など世界的に大出力・高密度の中性子発
生設備の建設が計画されている。
【0003】従来の中性子発生設備では、ターゲット材
である重金属にタンタルやタングステンなどの固体金属
が使用されている。一方、現在、計画されている中性子
発生設備では、出力が10倍以上であり、ターゲットで
の発熱密度が約3kW/cm2に達し、固体金属では冷却
が困難であるため、平均出力が数MW以上の中性子発生
設備では水銀,鉛,ビスマスなどの液体金属が使用され
る計画になっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、液体タ
ーゲットを用いる中性子発生設備は概念設計・技術開発
中であり、具体的な課題が不明確な事項もあるが、中性
子利用効率の向上,安全性の向上,設備の軽量化と経済
性向上など、一般的な多くの開発課題がある。
【0005】中性子発生設備では、核破砕によりターゲ
ットで高エネルギーの中性子を発生させ、ターゲット外
部に配置する減速材で中性子エネルギーを低下させ、冷
中性子にして利用する。この際、中性子の損失を低減し
て中性子利用効率を向上させるためには、ターゲット容
器の厚さを薄くして容器材での中性子吸収を減少し、中
性子発生位置から減速材までの距離を短くして減速材に
入射される中性子密度を高くする必要がある。
【0006】ターゲット容器の先端には高エネルギーの
陽子線が照射され温度が高くなり損傷しやすく、ターゲ
ット容器も高エネルギーの中性子により損傷しやすいた
め、核破砕により放射化した液体金属が外部に漏洩しな
いようターゲット容器を保護容器で覆うことが考えられ
ているが、ターゲット容器先端の冷却性を向上する必要
がある。
【0007】また、ターゲット容器の温度が高くなる
と、液体金属と不純物による構造材の腐食が促進される
ため、液体金属の流量を多くして液体金属の温度上昇を
抑制する一方、温度を均一化して流量を減少し、液体金
属冷却設備の容量を低減する必要がある。また、ターゲ
ット容器内の液体金属や保護容器内の冷却材の沸騰を防
止するため、加圧使用することが考えられているが、タ
ーゲット容器や保護容器を厚肉の耐圧構造とする必要が
あり、前述した中性子利用効率の向上に反することにな
る。
【0008】さらに、ターゲット容器は損傷しやすいた
め消耗品として保護容器とともに、一定期間毎に交換し
て使用することが考えられているが、放射線レベルが高
いため、遠隔操作による交換が必要であり、ターゲット
容器を遠隔操作で容易に交換できる構造にする必要があ
る。
【0009】本発明の第1の目的は、耐圧性を維持しな
がら、ターゲット容器と保護容器の肉厚を薄くし、中性
子利用効率に優れた液体ターゲットを提供することにあ
る。本発明の第2の目的は、ターゲット容器の先端の冷
却性を向上するとともに、液体金属の温度を均一化して
流量を減少し、信頼性と経済性に優れた液体ターゲット
及び中性子発生設備を提供することにある。
【0010】本発明の第3の目的は、液体ターゲットの
交換を容易にして、交換時間を短縮するとともに交換設
備を簡素化し、設備利用率と経済性に優れた液体ターゲ
ット及び中性子発生設備を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】第1の目的を達成するた
めの第1の発明は、高エネルギーの陽子線を液体状の重
金属に照射して核破砕により高密度の中性子を発生させ
るとともに液体金属を熱媒体として利用する液体ターゲ
ットにおいて、液体金属を内蔵するターゲット容器と、
ターゲット容器内を液体金属の入口側流路と出口側流路
とに区画する多孔板もしくは仕切板とを設け、多孔板も
しくは仕切板の両端をターゲット容器に接合するととも
に、ターゲット容器の外部に保護容器を設け、ターゲッ
ト容器と保護容器とを複数の補強板で相互に接合する
【0012】
【0013】第2の目的を達成するための第2の発明
は、第1の発明において、ターゲット容器と保護容器と
の間に冷却材を流し、冷却材がターゲット容器と保護容
器の先端に供給されるように、補強板を陽子線と平行に
設置する。
【0014】
【0015】第3の目的を達成するための第3の発明
は、高エネルギーの陽子線を液体状の重金属に照射して
核破砕により高密度の中性子を発生させるとともに液体
金属を熱媒体として利用する液体ターゲットにおいて、
液体金属を内蔵するターゲット容器と、ターゲット容器
内を液体金属の入口側流路と出口側流路とに区画する多
孔板もしくは仕切板とを設け、液体金属の入口開口と出
口開口とを有する端面板をターゲット容器に接合し、タ
ーゲット容器をフランジに接合する。
【0016】第3の目的を達成するための第4の発明
は、第3の発明において、ターゲット容器の外部に保護
容器を設け、ターゲット容器と保護容器との間に冷却材
を流し、端面板を保護容器に接合し、液体金属の入口開
口と出口開口とから離れた位置において端面板に冷却材
の入口開口と出口開口とを設け、保護容器をフランジに
接合する。
【0017】
【0018】
【0019】第1の発明によれば、多孔板もしくは仕切
板の両端をターゲット容器に接合し、ターゲット容器と
保護容器とを複数の補強板で相互に接合することによ
り、ターゲット容器と保護容器の耐圧強度を増加し、タ
ーゲット容器と保護容器の肉厚を薄くして中性子利用効
率に優れた液体ターゲットを実現することができる。
【0020】第2の発明によれば、冷却材がターゲット
容器と保護容器の先端に供給されるように補強板を陽子
線と平行に設置することにより、ターゲット容器の先端
の冷却性を向上して、信頼性に優れた液体ターゲットを
実現することができる。
【0021】
【0022】第3及び第4の発明によれば、液体金属の
入口開口と出口開口とを有する端面板を接合したターゲ
ット容器をフランジに接合するとともに、液体金属の入
口開口と出口開口とから離れた位置において冷却材の入
口開口と出口開口とを設けた端面板を接合した保護容器
をフランジに接合することにより、液体金属の入口開口
と出口開口及び冷却材の入口開口と出口開口を1体のフ
ランジで接続することができ、ターゲット容器の交換を
容易にして、交換時間を短縮するとともに交換設備を簡
素化し、設備利用率と経済性に優れた液体ターゲットと
中性子発生設備を実現するこができる。
【0023】
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明による液体ターゲッ
ト及び中性子発生設備の第1実施例を図1乃至図10を
用いて説明する。図1は液体ターゲットの第1実施例の
縦断面図と横断面図、図2は図1のA−A′断面図、図
3は図1のB−B′矢視図、図3は図1のC−C′断面
図、図4は冷却材の入口管と出口管の部分詳細図、図6
は液体金属の冷却設備の概略構成図、図7は冷却材の冷
却設備の概略構成図、図8は図1の液体ターゲットを備
えた中性子発生設備の概略構成図、図9はターゲット容
器の交換装置の部分詳細図、図10は多孔板の開口率分
布を示す図である。
【0025】図1は、液体金属を内蔵するターゲット容
器11,ターゲット容器11の外部に設けられた保護容
器21,ターゲット容器11と保護容器21とに接合さ
れた1体型のフランジ19で構成された液体ターゲット
10を示している。ターゲット容器11内は入口側多孔
板13と出口側多孔板16により、入口側流路12と核
破砕流路14と出口側流路17とに区画されている。入
口側流路12はフランジ31に接合された入口管32と
接続され、出口側流路17はフランジ31に接合された
出口管33に接続されている。
【0026】入口側多孔板13と出口側多孔板16は、
図2に示すように、上下両端でターゲット容器11と接
合され、ターゲット容器11と保護容器21とは複数の
補強板28及び29で相互に接合されている。
【0027】フランジ19の端面部は、図3に示すよう
に、液体金属の入口開口22と出口開口23及び冷却材
の入口開口24と出口開口27とを有する端面板18が
接合されており、冷却材の入口開口24と出口開口27
は液体金属の入口開口22と出口開口23から離れた位
置に配置されている。
【0028】図1乃至図3から明らかなように、ターゲ
ット容器11と保護容器21は、それぞれ、上下の平
板,左右の半円筒,先端の半円筒,先端左右の1/4球
殻で構成され、ターゲット容器11と保護容器21とは
冷却材の入口側流路25を形成する複数の補強板28及
び冷却材の出口側流路26を形成する複数の補強板29
で相互に接合されている。
【0029】ターゲット容器11と保護容器21の上下
の平板と左右の半円筒、及び複数の補強板28,29は
1体鋳造で容易に製造することができる。この1体鋳造
の先端に、ターゲット容器11先端の半円筒と先端左右
の1/4球殻を接合し、次いで保護容器21先端の半円
筒,先端左右の1/4球殻を接合し、さらに入口側多孔
板13と出口側多孔板16の上下両端をターゲット容器
11に接合し、最後に端面板18をターゲット容器11
と保護容器21に接合した後に、保護容器21をフラン
ジ19に接合すればよい。各接合には溶接などを用いる
ことができる。端面板18をターゲット容器11と保護
容器21に接合する際には、端面板18をターゲット容
器11部分と保護容器21部分とに分割したものを順次
接合すれば、容易に製作することができる。
【0030】一方、液体ターゲット10を接続するフラ
ンジ31には、図4に示すように、液体金属の入口管3
2,出口管33,冷却材の入口管34、及び出口管35
が接合される。フランジ31側においては、冷却材の入
口管34、及び出口管35の肉厚を薄くする必要がなく
厚肉構造にして耐圧性を向上することができる。しか
し、冷却材の入口管34及び出口管35は矩形(実際に
は応力集中を避けるために4角には曲率を設ける)であ
るため、図5に示すように、円管37と接合するための
ディフューザ36を接合する。
【0031】以上のように構成した液体ターゲット10
において、液体金属は入口管32,端面板18の入口開
口22,入口側流路12,入口側多孔板13を経由して
核破砕流路14に流入し、陽子線1により、図2の陽子
線領域15において核破砕により高密度の中性子を発生
するとともに発熱して温度が上昇し、出口側多孔板1
6,出口側流路17,端面板18の出口開口23を経由
して出口管33から流出する。発生した中性子は、液体
ターゲット10の上下に配置された減速材2及び3によ
り減速され冷中性子となって、各種の用途に利用され
る。液体金属には、水銀,鉛,ビスマスなどが使用され
る。
【0032】陽子線1による核破砕で発熱して温度が上
昇し、出口管33から流出した液体金属は、図6に示す
ように、冷却器41で冷却され、核破砕で発生した不純
物を純化装置42で除去した後、加圧気体と液体金属を
内蔵する液体金属タンク43に戻り、循環ポンプ44に
より液体ターゲット10に再循環される。冷却器41に
は従来技術による熱交換器を、純化装置42には従来技
術によるフィルタや蒸発・凝縮装置などを、循環ポンプ
44には従来技術による電磁ポンプや機械式ポンプを用
いることができる。
【0033】一方、冷却材は、入口管34,端面板18
の入口開口24,入口側流路25を経由してターゲット
容器11と保護容器21の先端部に供給され、ターゲッ
ト容器11と保護容器21の先端部を冷却し、出口側流
路26,端面板18の出口開口27を経由して出口管3
5から流出する。冷却材には、重水,軽水などが使用さ
れる。
【0034】ターゲット容器11と保護容器21の先端
部を冷却して温度上昇し、出口管35から流出した冷却
材は、図7に示すように、冷却器51で冷却され、純化
装置52で不純物を除去した後、加圧気体と冷却材を内
蔵する冷却材タンク53に戻り、循環ポンプ54により
保護容器21に再循環される。冷却器51には従来技術
による熱交換器を、純化装置42には従来技術によるフ
ィルタを、循環ポンプ44には従来技術による機械式ポ
ンプを用いることができる。
【0035】図8に示すように、液体ターゲット10
は、中性子発生時には遮蔽体4で囲まれた照射室5内で
使用され、交換時には遮蔽体4で囲まれた取扱室6内で
遠隔操作により交換される。従って、液体ターゲット1
0は、冷却設備とともにターゲット台車7に設置され、
遠隔操作により移動できるようになっている。
【0036】以下に、上述した実施例に適用した特徴の
原理と効果を具体的に説明する。円筒や球殻は、圧力容
器に使用されるように、耐圧性に優れ、肉厚を薄くでき
ることは自明である。従って、図1及び図2に示す実施
例において、耐圧性が問題になるのは液体ターゲット1
0の上面と下面に使用される平板部分である。この部分
に部分円筒を用いることもできるが、この場合、核破砕
により中性子が発生する陽子線領域15の端面から保護
容器21の外面までの距離h(図2)が大きくなり、減
速材2までの距離が大きくなり、中性子の利用効率を低
下させることになる。
【0037】上面と下面に使用される平板部分で必要な
肉厚tは、平板部分の幅をL、構造材の許容応力をσと
すると、圧力pに対して次式で表せる。
【0038】
【数1】t>(3p/4σ)0.5L 許容応力σは材料によって一定であるから、肉厚tは平
板部分の幅Lに比例して厚くする必要がある。本発明に
おいては、入口側多孔板13と出口側多孔板16を上下
両端でターゲット容器11と接合することにより、構造
材の最大応力に影響する平板部分の有効幅Lを1/2以
下とし、ターゲット容器11の肉厚を1/2以下にする
ことができる。
【0039】しかし、この場合、保護容器21の肉厚は
薄くできないため、図11に示すように、ターゲット容
器11と保護容器21を合わせた平均の肉厚は70%程
度となる。一方、ターゲット容器11と保護容器21と
を複数の補強板28及び29で相互に接合し、ターゲッ
ト容器11と保護容器21とを構造強度的に一体化する
ことにより、ターゲット容器11と保護容器21の肉厚
を、図11に示すように極めて薄くすることができる。
【0040】しかし、この方法を単独で用いると、ター
ゲット容器11と保護容器21の平板部分で構成される
平板部分の断面係数を大きくするために、冷却材の入口
側流路25と出口側流路26の厚さを冷却に必要な厚さ
以上にする必要があり、陽子線領域15の端面から保護
容器21の外面までの距離hを大幅に低減することはで
きない。
【0041】入口側多孔板13と出口側多孔板16を上
下両端でターゲット容器11と接合し、かつ、ターゲッ
ト容器11と保護容器21とを複数の補強板28及び2
9で相互に接合することにより、ターゲット容器11と
保護容器21の肉厚を薄くすると同時に、陽子線領域1
5の端面から保護容器21の外面までの距離hを小さく
することができる。
【0042】この場合、冷却材の入口側流路25と出口
側流路26の厚さは冷却に必要な最小限にすることがで
きる。複数の補強板28及び29は、ターゲット容器1
1と保護容器21と構造的に結合することが目的であ
り、図2に示すような鉛直板でなく、傾斜板とし、冷却
材の入口側流路25と出口側流路26の形状を三角形と
してもよい。
【0043】本実施例においては、図2に示すように、
液体金属は、入口側流路12,入口側多孔板13を経由
して核破砕流路14に流入し、陽子線1により陽子線領
域15において核破砕により高密度の中性子を発生する
とともに発熱して温度が上昇し、出口側多孔板16,出
口側流路17を経由して流出する。
【0044】この場合、図1の発熱密度は、図10に示
すように、陽子線1の入射位置からの距離の増加に伴っ
て急激に低下する。従って、発熱密度に比例するように
入口側多孔板13と出口側多孔板16の開口率を決定す
ることにより、液体金属の流速を発熱密度と比例させ、
液体金属の最高温度を均一化するとともに、液体金属の
流量を必要最小限にすることができる。
【0045】入口側多孔板13と出口側多孔板16の開
口率は階段状の分布としているが、液体金属は相互に混
合するため、流速分布はほぼ発熱密度に近い分布にな
る。このような開口率分布は、開口の直径とピッチを変
更することにより、容易に実現することができる。液体
金属の流量を必要最小限にすることにより、図6に示し
た冷却器41,純化装置42,液体金属タンク43,循
環ポンプ44の他、配管径を小型化し、経済性に優れた
中性子発生装置を実現することができる。
【0046】冷却材は、ターゲット容器11と保護容器
21の先端部の冷却を目的としており、この部分に効率
よく供給される必要がある。図3に示すように、冷却材
の入口開口24と出口開口27は、図2の陽子線領域1
5を含む核破砕流路14の上下にのみ設けられており、
この部分に供給された冷却材は、補強板28及び29を
整流板としてターゲット容器11と保護容器21の先端
部に効率よく供給されるため、冷却材の流量を低減し、
図7に示した冷却器51,純化装置52,冷却材タンク
53,循環ポンプ54の他、配管径を小型化し、経済性
に優れた中性子発生装置を実現することができる。
【0047】さらに、図3に示すように、液体金属の入
口開口22と出口開口23及び冷却材の入口開口24と
出口開口27は、1体のフランジ19により供給側のフ
ランジ31(図1)と接続される。冷却材の入口開口2
4と出口開口27が液体金属の入口開口22と出口開口
23から離れた位置に配置されており、液体金属と冷却
材との間のリークを容易に防止することができる。この
ように、冷却材の入口開口24と出口開口27を部分的
に設けることにより、ターゲット容器11と保護容器2
1の先端部の冷却性を向上するだけでなく、フランジ1
9とフランジ31との一体接続を可能にしている。
【0048】ターゲット容器11と保護容器21の先端
部は、陽子線1により損傷されやすく、液体ターゲット
10は消耗品として交換使用されるが、核破砕による放
射性物質により放射線レベルが高くなるため、図8に示
すように、遮蔽体4で囲まれた取扱室6内で遠隔操作に
より交換される。液体金属の入口開口22と出口開口2
3及び冷却材の入口開口24と出口開口27を独立した
フランジに接続すると、フランジが4体となり、マニュ
ピュレータなどによる交換作業が極めて複雑になること
が容易に推察される。
【0049】本発明においては、フランジ19とフラン
ジ31との一体接続を可能にしていることにより、容易
に交換することができる。例えば、液体ターゲット10
の交換装置62を台車61にセットし、図9に示すよう
に、交換装置本体63に複数の治具64と回転軸65と
を設け、フランジ19とフランジ31を接続するボルト
を同時に脱着することができる。また、保護容器21と
ターゲット容器11の端、及びフランジ31にテーパを
設けておけば、新しい液体ターゲット10を、容易かつ
精度よく装着することができる。
【0050】交換装置62は、駆動装置を有する専用装
置としてもよいし、複数の治具64と回転軸65を有す
る案内治具のみとしてマニュピュレータなどによる脱着
としてもよい。マニュピュレータなどによる脱着におい
ても、対象が1体になるだけでなく、端面からの作業と
なり、交換が極めて容易になる。従って、本実施例によ
れば、遠隔操作装置などの付属設備を含めて、経済性に
優れた中性子発生装置を実現することができる。
【0051】次に、図12乃至図14を用いて本発明に
よる液体ターゲットの第2実施例を説明する。図12は
液体ターゲットの第2実施例の縦断面図と横断面図、図
13は図12のA−A′断面図、図14は図12のB−
B′矢視図である。第1実施例と第2実施例の主な相違
は、第1実施例においては陽子線1の入射方向に対して
液体金属が直角方向に流れるのに対し、第2実施例にお
いては液体金属の流れ方向が陽子線1の入射方向と平行
であることである。
【0052】図12に示すように、液体ターゲット11
0は、液体金属を内蔵するターゲット容器111と、タ
ーゲット容器111の外部に設けられた保護容器12
1、及び1体型のフランジ119で構成されている。タ
ーゲット容器111内は、仕切板113により入口側流
路112と核破砕流路を兼用する出口側流路117とに
区画されている。入口側流路112はフランジ131に
接合された入口管132に接続され、出口側流路117
はフランジ131に接合された出口管133に接続され
ている。
【0053】仕切板113は、図13に示すように、上
下両端でターゲット容器111と接合され、ターゲット
容器111と保護容器121とは複数の補強板128及
び129で相互に接合されている。
【0054】フランジ119の端面部は、図14に示す
ように、液体金属の入口開口122と出口開口123及
び冷却材の入口開口124と出口開口127とを有する
端面板118が接合されており、冷却材の入口開口12
4と出口開口127は液体金属の入口開口122と出口
開口123から離れた位置に配置されている。
【0055】ターゲット容器111と保護容器121と
は、冷却材の入口側流路125を形成する複数の補強板
128及び冷却材の出口側流路126を形成する複数の
補強板129で相互に接合されている。
【0056】以上のように構成した液体ターゲット11
0において、液体金属は入口管132,端面板118の入口
開口122,入口側流路112,仕切板113を経由し
て核破砕流路を兼用する出口側流路117に流入し、陽
子線1により、図13の陽子線領域115において核破
砕により高密度の中性子を発生するとともに発熱して温
度が上昇し、端面板118の出口開口123を経由して
出口管133から流出する。発生した中性子は、液体タ
ーゲット110の上下に配置された減速材2及び3によ
り減速され冷中性子となって、各種の用途に利用され
る。
【0057】ターゲット容器111先端部における液体
金属の流れの剥離を防止するために、仕切板113の先
端は半円筒状の曲率を有し、その付け根には開口116
が設けられている。また、ターゲット容器111先端部
における液体金属の流れの剥離を防止するとともに、冷
却性を向上するために、ターゲット容器111先端部に
も曲率が設けられている。入口管132と入口側流路1
12が両側に2カ所設けられているため、入口管132
と端面板118の入口開口122は、出口管133と出
口開口123より小さくしてある。
【0058】一方、冷却材は、入口管134,端面板1
18の入口開口124,入口側流路125を経由してタ
ーゲット容器111と保護容器121の先端部に供給さ
れ、ターゲット容器111と保護容器121の先端部を
冷却し、出口側流路126,端面板118の出口開口1
27を経由して出口管135から流出する。端面板11
8の入口開口124と出口開口127をそれぞれ2カ所
設けることにより、液体金属の入口開口122と出口開
口123から離れた位置に配置し、冷却材と液体金属と
の間のリークを防止している。
【0059】本実施例の特徴は、図10に示した第1実
施例における入口側多孔板13と出口側多孔板16の複
雑な開口率分布を必要とせず、液体金属の流量を必要最
小限にすることができることにある。一方、端面板11
8,液体金属の入口管132,冷却材の入口管134と
出口管135は第1実施例より複雑になる。
【0060】上記以外の効果、即ち、ターゲット容器1
11と保護容器121の耐圧性向上と肉厚の削減、ター
ゲット容器111と保護容器121先端の冷却性向上と
冷却材流量の減少、液体ターゲット110の交換性向上
については、第1実施例と同様である。
【0061】
【発明の効果】第1の発明によれば、多孔板もしくは仕
切板の両端をターゲット容器に接合し、ターゲット容器
と保護容器とを複数の補強板で相互に接合することによ
り、ターゲット容器と保護容器の耐圧強度を増加し、タ
ーゲット容器と保護容器の肉厚を薄くして中性子利用効
率に優れた液体ターゲットを実現することができる。
【0062】第2の発明によれば、冷却材がターゲット
容器と保護容器の先端に供給されるように補強板を陽子
線と平行に設置することにより、ターゲット容器の先端
の冷却性を向上して、信頼性に優れた液体ターゲットを
実現することができる。
【0063】
【0064】第3及び第4の発明によれば、液体金属の
入口開口と出口開口とを有する端面板を接合したターゲ
ット容器をフランジに接合するとともに、液体金属の入
口開口と出口開口とから離れた位置において冷却材の入
口開口と出口開口とを設けた端面板を接合した保護容器
をフランジに接合することにより、液体金属の入口開口
と出口開口及び冷却材の入口開口と出口開口を1体のフ
ランジで接続することができ、ターゲット容器の交換を
容易にして、交換時間を短縮するとともに交換設備を簡
素化し、設備利用率と経済性に優れた液体ターゲットと
中性子発生設備を実現するこができる。
【0065】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による液体ターゲットの第1実施例の水
平断面図及び縦断面図。
【図2】図1のA−A′断面図。
【図3】図1のB−B′矢視図。
【図4】図1のC−C′断面図。
【図5】図1の冷却材の入口管と出口管の部分詳細図。
【図6】本発明による液体金属冷却設備の概略構成図。
【図7】本発明による冷却材の冷却設備の概略構成図。
【図8】本発明による中性子発生設備の概略構成図。
【図9】本発明による液体ターゲット交換装置の部分詳
細図。
【図10】発熱密度,多孔板の開口率分布と液体金属の
流速分布を示す図。
【図11】本発明の効果を示す図。
【図12】本発明による液体ターゲットの第2実施例の
水平断面図及び縦断面図。
【図13】図12のA−A′断面図。
【図14】図12のB−B′矢視図。
【符号の説明】
1…陽子線、2,3…減速材、4…遮蔽体、5…照射
室、6取扱室、7…台車、10,110…液体ターゲッ
ト、11,111…ターゲット容器、12,112,125
…入口側流路、13…入口側多孔板、14…核破砕流
路、15,115…陽子線領域、16…出口側多孔板、
17,117,126…出口側流路、18,118…端
面板、19,31,119,131…フランジ、21,
121…保護容器、22,24,122,124…入口
開口、23,27,123,127…出口開口、25…
入口側流路、26…出口側流路、28,29,128,
129…補強板、32,34,132,134…入口
管、33,35,133,135…出口管、36…ディ
フューザ、37…円管、41,51…冷却器、42,5
2…純化装置、43…液体金属タンク、44,54…循
環ポンプ、53…冷却材タンク、61…台車、62…交
換装置、63…交換装置本体、64…治具、65…回転
軸、113…仕切板、116…開口。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−249498(JP,A) 特開 平11−224798(JP,A) 特開 昭56−1400(JP,A) 特開 平11−251095(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G21K 5/08 H05H 3/06 H05H 6/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高エネルギーの陽子線を液体状の重金属に
    照射して核破砕により高密度の中性子を発生させるとと
    もに液体金属を熱媒体として利用する液体ターゲットに
    おいて、 前記液体金属を内蔵するターゲット容器と、前記ターゲ
    ット容器内を前記液体金属の入口側流路と出口側流路と
    に区画する多孔板もしくは仕切板とを設け、前記多孔板
    もしくは仕切板の両端を前記ターゲット容器に接合する
    とともに、前記ターゲット容器の外部に保護容器を設
    け、前記ターゲット容器と前記保護容器とを複数の補強
    板で相互に接合したことを特徴とする液体ターゲット。
  2. 【請求項2】請求項1において、前記ターゲット容器
    前記保護容器との間に冷却材を流し、前記冷却材が前記
    ターゲット容器と前記保護容器の先端に供給されるよう
    に前記補強板を陽子線と平行に設置したことを特徴とす
    る液体ターゲット。
  3. 【請求項3】高エネルギーの陽子線を液体状の重金属に
    照射して核破砕により高密度の中性子を発生させるとと
    もに液体金属を熱媒体として利用する液体ターゲットに
    おいて、 前記液体金属を内蔵するターゲット容器と、前記ターゲ
    ット容器内を前記液体金属の入口側流路と出口側流路と
    に区画する多孔板もしくは仕切板とを設け、前記液体金
    属の入口開口と出口開口とを有する端面板を前記ターゲ
    ット容器に接合し、前記ターゲット容器をフランジに接
    したことを特徴とする液体ターゲット。
  4. 【請求項4】請求項3において、前記ターゲット容器の
    外部に保護容器を設け、前記ターゲット容器と前記保護
    容器との間に冷却材を流し、端面板を前記保護容器に接
    合し、前記液体金属の入口開口と出口開口とから離れた
    位置において前記端面板に前記冷却材の入口開口と出口
    開口とを設け、前記保護容器を前記フランジに接合し
    ことを特徴とする液体ターゲット。
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