JP3381081B2 - 光記録媒体 - Google Patents

光記録媒体

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JP3381081B2
JP3381081B2 JP06265393A JP6265393A JP3381081B2 JP 3381081 B2 JP3381081 B2 JP 3381081B2 JP 06265393 A JP06265393 A JP 06265393A JP 6265393 A JP6265393 A JP 6265393A JP 3381081 B2 JP3381081 B2 JP 3381081B2
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  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光記録媒体に関し、特
に、レーザ光の照射により情報の記録及び/又は再生を
行う光記録媒体、例えば、テープ状の記録媒体として好
適な光記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】レーザ光の照射により情報の記録及び/
又は再生を行う光記録媒体においては、通常、基板上に
光記録材料からなる記録層が形成されている。そして、
記録を行うに際しては、レーザ光を信号変調して集光す
ることによって記録層に信号記録パターン(ピットと称
することがある。)を形成する。また、記録された情報
の再生は、信号記録パターン部分と信号記録パターンが
形成されていない部分との反射率の差を検出することに
よって行う。
【0003】このような光記録媒体は、磁気記録媒体な
どと比較して、トラック幅又はトラックピッチを狭くす
ることができ、高密度記録が可能であることから、大量
情報保存用の記録媒体として注目され、記録情報量の向
上を図るべく盛んに研究が行われている。
【0004】ところで、上述のように光記録媒体として
は、デジタル・オーディオ・ディスク(いわゆるコンパ
クト・ディスク)、光学式ビデオディスク(いわゆるレ
ーザディスク)等、ディスク状の記録媒体が広く普及し
ている。
【0005】このようなディスク状の記録媒体の場合、
ディスク1枚で記録される情報量を増加させるために
は、ディスク上の信号記録パターン形成密度を上げる
か、或いはディスク自体の直径を大きくして信号記録パ
ターンの形成可能な面積を増やすこと等が必要となる。
【0006】ところが、光記録媒体においては、信号記
録パターン形成密度をあまり高くすると、トラックピッ
チが狭くなりすぎ、信号再生のための光学系に再生分解
限界があるために、再生に際してはクロストークが生
じ、良好な情報検出が行えないといった不都合が生じて
しまう。
【0007】他方、ディスク自体の直径を大きくする
と、情報を再生する再生装置も大型化しなくてはなら
ず、しかも直径の大きいディスクは、破損し易く、携
帯、保管にも不便であるなど、実用性の点で多くの問題
点を抱えてしまう。
【0008】上記のような理由から、ディスク状の光記
録媒体は、現状以上に記録情報量を向上させるのが困難
であるのが実情である。
【0009】ディスク状の光記録媒体よりも大きな記録
情報量が得られる光記録媒体として、例えば特開平4−
163737号、同4−163736号、同1−286130号の各公報に
は、テープ状の光記録媒体が開示されている。
【0010】このテープ状の光記録媒体は、長尺とする
ことによって、ディスク状媒体と比較して大きな信号記
録パターン形成面積を確保することができる。
【0011】また、テープ状の場合、長尺としても、外
形の大きさは殆ど変わらないので、携帯性、保管性など
の実用性を維持したまま、大記録情報量が得られること
になる。
【0012】また、このようなテープ状の光記録媒体
は、後述する如きレーザ光の照射機構及び反射光の検出
機構を有し、かつ高速で回転するドラムに対し非接触状
態で走行させることにより、記録情報の高速書込み及び
高速読出しを行うことができる。
【0013】テープ状の光記録媒体を、高速で回転する
ドラム上を走行させながら記録、再生を行うに際して、
安定な記録、再生特性を得るためには、媒体表面と上記
ドラムとの摩擦を減じ、記録層の損傷を防ぐための工夫
が必要である。
【0014】このため、上記のようなテープ状の光記録
媒体には、低摩擦化、耐摩耗性の改善を図るために、記
録層上に可塑性のある透明な樹脂の保護層が設けられて
いる。
【0015】このような保護層は、摩擦、摩耗を抑える
と共に、特開昭58−94145 号公報に示されるように信号
記録パターン形状の変化を抑えたり、或いは信号記録パ
ターン形成時の材料の飛散を防止し、この飛散に伴う欠
陥の発生を抑える効果を有するものである。
【0016】しかしながら、前記公開公報を含めて従来
の技術では、レーザーによって形成される信号記録パタ
ーン(ピット)について、ピット狭小化を行い、良い記
録、再生特性を保ちつつ、より低いレーザーパワーによ
り記録可能なポリマーについて議論されていない。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の事情
に鑑みてなされたものであって、レーザー等による光記
録媒体上への信号記録パターン形成において、より低パ
ワーで記録することができ、コンパクトディスクと同等
のパターン幅又はピット幅でより狭小ピッチ化された
(特にトラックピッチ 1.6μm以下の)光記録媒体を提
供することを目的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、基体上
に、光学的に情報の記録及び/又は再生が可能な記録層
と、保護層とがこの順に設けられた構造の光記録媒体に
おいて、前記記録層が有機色素等の光吸収物質と高分子
化合物とからなり、この高分子化合物が、少なくとも2
つのカルボキシル基を有するカルボン酸とセルロース又
はその誘導体との縮合物からなることを特徴とする光記
録媒体に係るものである。
【0019】本発明において、上記の高分子化合物は、
上記のカルボン酸とセルロース又はその誘導体とが前者
のカルボキシル基と後者の水酸基との反応で脱水縮合し
たものであり、セルロースアセテートフタレート(特
に、セルロースアセテートテレフタレート)であること
が望ましい。
【0020】また、本発明による光記録媒体は、トラッ
キングサーボが、トラック規制用プリグルーブを用いず
に(グルーブなしで)なされるように構成することが狭
トラックピッチ化及び低コスト化にとって望ましい。
【0021】本発明による光記録媒体の記録層は、上記
の光吸収物質(特に有機色素)と高分子化合物との混合
物によって構成されていてもよいし、両者の化合物によ
って構成されていてもよい。
【0022】本発明者は、上記した課題を達成するため
に、記録層を構成する高分子化合物について鋭意検討を
重ねた結果、これまで用いられているポリメチルメタク
リレートに代表されるポリマーは照射レーザーでメルト
することによりピットが形成されるメルトモード記録を
示すポリマーであるが、これ以外に、ポリマーそのもの
が昇華のモード(アブレートモード)を持つセルロース
系ポリマーを用いて光記録媒体を作製し、メタクリレー
ト系ポリマーに対してピット形成のし易さを比較検討す
ることが最良の方法であるとの知見を得るに至ったので
ある。
【0023】即ち、本発明によれば、特に、テープ状等
の可塑性基体上に、有機色素と高分子化合物との混合物
又は化合物からなる、光学的に情報の記録及び/又は再
生が可能な記録層が形成され、更にその上にフッ素系高
分子からなる保護層が設けられてなる光記録媒体におい
て、セルロースアセテートフタレート等の如く、2以上
のカルボキシル基を有するカルボン酸とセルロース又は
その誘導体との縮合物からなる高分子化合物を記録層に
用いると、レーザー光を用いて記録するときに、いわば
アブレートモードとメルトモードとが混在した如き記録
パターンとなり、ピット狭小化が可能となり、記録、再
生特性の劣化なしに、低パワーで効率よくピットを形成
できるのである。
【0024】本発明の光記録媒体におけるポリマーの選
択により、所望されるトラックピッチの条件を満たす光
記録媒体を得ることができ、従来の光記録媒体よりも低
パワーでピットを形成することができ、更にトラックピ
ッチを詰めることが可能であり、可塑性基体の上に有機
色素と高分子化合物との混合物又は化合物からなる光学
的に情報の記録及び/又は再生が可能な記録層が形成さ
れ、更にその上にフッ素系高分子等からなる保護層が設
けられてなる光記録媒体におけるレーザー照射によるピ
ット形成の機構を明らかにする手がかりを得ることがで
きる。
【0025】本発明の光記録媒体において、記録層上に
は保護層を設けているが、この保護層は光を透過させ、
かつ高硬度であることが必要である。これを設けない
と、記録パターンが乱れ易く、また光記録媒体の走行性
が悪くなるので、記録性能及び走行性を良好にするため
には保護層を設けることが不可欠である。
【0026】
【実施例】以下、本発明を実施例について更に詳細に説
明する。
【0027】本実施例による光記録媒体は、テープ状の
光記録媒体として図3に示すような層構成を示すもので
ある。
【0028】即ち、このテープ状光記録媒体1は、可撓
性ベースフィルム2の一方の表面に、記録層3及び保護
層4がこの順に被着され、またベースフィルム2の他方
の面(記録層3とは反対側の面)にバックコート層5が
被着された積層体として構成されている。
【0029】ベースフィルム2の材料としては、テープ
状の記録媒体のベースフィルムに使用されている物質が
使用可能であり、例えば、ポリエチレンテレフタレート
等のポリエステル、ポリアミド、ポリイミド等の高分子
化合物等が挙げられる。
【0030】記録層3は、光吸収物質と高分子化合物と
の混合物又は化合物からなっている。光吸収物質と高分
子化合物との配合割合は公知の範囲から選択してよく、
例えば重量比で1:1としてよい。
【0031】使用可能な光吸収物質としては、一般に光
記録材料に用いられているものであればよく、特に色
素、例えばシアニン系色素、ナフトキノン系色素、フタ
ロシアニン系色素等の有機色素が挙げられる。
【0032】また、上記高分子化合物は、色素等の光吸
収物質が結晶化せずに非晶質状に分散するものであっ
て、低パワーでピット形成が可能なセルロースアセテー
トフタレート(特にセルロースアセテートテレフタレー
ト)が挙げられる。セルロースアセテートフタレート
は、セルロースの水酸基に対してフタル酸のカルボキシ
ル基が脱水縮合(特に1分子当り2箇所で)したもので
ある。フタル酸としては、テレフタル酸、フタル酸、イ
ソフタル酸がある。
【0033】使用可能なセルロース又はその誘導体は、
セルロースをはじめ、アセテート化したセルロース等が
挙げられ、また、カルボン酸としては、上記のフタル酸
以外にもカルボキシル基が3以上のものであってもよ
い。
【0034】記録層3は、例えば有機色素と高分子化合
物とを主体とする混合物を用いる場合、これらをメチル
エチルケトン、シクロヘキサノン、アセトン等の溶媒に
溶解してなる有機色素塗料を上記可撓性基体上に塗布、
乾燥することにより形成することができる。
【0035】記録層3上には、上記の保護層4を設ける
が、この保護層は、レーザー光を透過し、かつ高硬度で
あること(耐摩耗性が良好であること)を要する。この
ような材料としては、例えば、紫外線硬化樹脂、架橋性
樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。保護層4は、上記
材料を含む塗料を記録層3上に塗布、乾燥して形成する
ことができる。
【0036】ベースフィルム2の記録層3とは反対側の
面には、媒体の走行性を確保するためにバックコート層
5を設けるのが望ましい。バックコート層5の材料とし
ては、テープ状記録媒体に一般に用いられているもので
よく、例えば、導電性カーボンを分散させた樹脂が挙げ
られる。バックコート層5は、媒体の走行性を確保する
ために設けるのがよいが、これに加えて、媒体に発生し
た静電気を接地回路に放出する帯電防止効果や、後述す
る光ドラムに対して媒体にカッピング(彎曲)を付与し
て摩擦を軽減する作用を発揮することもできる。
【0037】次に、本実施例の光記録媒体を使用した情
報記録及びその再生の原理を、図4によって説明する。
【0038】記録層3に対し、信号変調され、かつガウ
ス分布のエネルギーを有するレーザ光LBがスポット照
射されると、照射部分3aが溶融し、更にその一部3b
が昇華し、メルトとアブレーションの両状態が混在した
形で局部的に膨張する。このため、保護層4の対応部分
4aが凸状に盛り上がり、信号記録パターン(ピット)
1aを形成する。
【0039】図5は、上記のようにして信号記録パター
ン(ピット)1aをトラック方向Tに所定のトラックピ
ッチで形成したテープ状光記録媒体1を示している。ピ
ット1aの列は、光記録媒体1の長さ方向A(走行方
向)に対して傾斜した方向(トラック方向)に沿って形
成される。
【0040】記録情報の再生時には、再生レーザ光を照
射し、ピット1aとこれ以外の部分との反射光量差をフ
ォトディテクタで検出することによって再生信号を得
る。
【0041】この再生時にトラッキングサーボを行うに
は、トラッキングすべき所定のトラックとその両側にス
リービーム方式でレーザ光を照射することによって行う
ことができる。従って、光記録媒体には、特開昭62−11
36号、特開昭62−273634号の各公報に記載されているよ
うなトラッキング用のプリグルーブを設けてもよいが、
設ける必要がない。プリグルーブを設けないと、その
分、トラックピッチを詰めることができ、トラック密度
の増大(大容量)やコストの点で有利である。
【0042】なお、上記のプリグルーブなしでもトラッ
キングが可能となるのは、光ドラムを高精度に装置設計
又はアセンブリすることができ、光学系の回転時のブレ
を減少させ得るからである。また、トラッキングは、再
生時だけでなく、記録時にも行うことができる。
【0043】本実施例によれば、上記の如くにピット1
aを記録する際、プリグルーブなしに低パワーでトラッ
クピッチを 1.6μm以下とし、効率よく記録を行うため
に、以下に示すようにしてテープ状光記録媒体を作製し
ている。
【0044】まず、上述したベースフィルム2となる幅
広のベースフィルムとして、幅5インチ、厚さ20μmの
ポリエチレンテレフタレート(PET)のフィルム(例
えば帝人社製の商品名AH−677)を用意する。そし
て、光記録媒体の各層を塗布で形成する際に、図10に示
すマイクログラビアコータ(康井精機社製)を使用す
る。
【0045】このコータによれば、繰り出しロール13に
巻回された前記の幅広ベースフィルム12は、多数のガイ
ドロール25に案内されながら繰り出され、マイクログラ
ビアユニット14によって所定の塗料が塗布される。
【0046】塗布された塗料は、乾燥部20A、20Bにて
温風を穏やかに吹き付けられて乾燥する。塗料が塗布、
乾燥された幅広ベースフィルム12は、巻取りロール24に
巻き取られる。
【0047】図11は図10のマイクログラビアユニット14
及びその周辺の拡大図、図12は同拡大平面図である。
【0048】マイクログラビアユニット14は、図12に示
すように、溝15aが 110本/インチの割合で斜線状に刻
設された直径20mmのグラビアロール(例えば康井精機社
製の商品名アニックスロール)15と、フィルム12のグラ
ビアロール15への当たり具合を調節するフィルム押えロ
ール19とを有している。図中の60はベアリング、61は押
え部材、62はモータである。
【0049】グラビアロール15は、塗液パン16中に貯え
られた塗料17をピックアップし、その表面に設けられた
溝15aに充填させ、これをフィルム12上に転写させるも
のである。
【0050】グラビアロール15のフィルム12の送り出し
側の接近した位置には、塗液パン16中よりピックアップ
して溝内に充填させた塗料を掻き取って一定量とするた
めのドクターブレード18が設けられている。
【0051】また、グラビアロール15よりも更に下流側
には、フィルム押えロール19が配設され、フィルム12に
対して上下方向に脱着自在に支持されている。マイクロ
グラビアユニット14では、フィルム押えロール19の上下
位置を調節することにより、フィルム12のグラビアロー
ル15への当たり具合、即ち巻付け角θが調節される。
【0052】また、マイクログラビアユニット14におけ
るフィルム12の走行速度は、図10に示すようにフィード
ユニット21により制御される。フィードユニット21は、
金属製ロール23とゴム製ロール22とが、走行する幅広ベ
ースフィルム12を挟んで対向配置されてなるものであ
り、これらロールの回転速度を調節することによりフィ
ルム12の走行速度が制御される。
【0053】フィードユニット21によるベースフィルム
の走行速度の調節、更にグラビアロール15の回転速度、
グラビアロール15に設けられる溝15aの形状、ベースフ
ィルムのグラビアロール15への巻付け角θの調節を行う
ことにより、ベースフィルム12に塗布される塗料の量及
び塗布パターンを制御でき、所望の塗膜を形成できる。
【0054】次に、具体的な例について、本実施例を詳
細に説明する。実施例1 上記の塗布装置を使用し、幅広ベースフィルムの片面
に、カーボンブラックとニトロセルロースとの1:1
(重量比)混合物をメチルエチルケトンとシクロヘキサ
ノンとの1:1(重量比)混合溶媒に10重量%濃度で溶
解及び分散してなる塗料を塗布し、厚さ1μmのバック
コート層を作製した。
【0055】この塗布条件は、フィルムの走行速度を5
m/分、グラビアロールの回転数を10回転/分、フィル
ムのグラビアロールへの巻付け角を3度とした。乾燥温
度は100℃とした。
【0056】次に、この幅広ベースフィルム上のバック
コート層と反対の面に、シアニン色素(例えば日本感光
色素社製の商品名NK−125)とセルロース系ポリマ
ーCAP(セルロースアセテートフタレート:和光純薬
社製)との重量比1:1混合物を溶媒(塩化メチレン:
1,1,2,2−テトラクロロエタン:シクロヘキサノ
ン:メタノールの重量比28:8:2:3の混合溶媒)に
重量比で2%溶解したものをグラビアコートし、厚さ 4
00nmの記録層を形成した。
【0057】この塗布条件は、フィルムの走行速度を5
m/分、グラビアロールの回転数を10回転/分、フィル
ムのグラビアロールへの巻付け角を3度とした。乾燥温
度は70℃とした。
【0058】次に、この幅広ベースフィルムを1/2イ
ンチ幅にスリッターによりスリットし、図3のテープ状
光記録媒体1とした。
【0059】次に、フッ素系高分子化合物(例えばデュ
ポン社製の商品名テフロンAF2400)をフッ素系不
活性溶媒(例えば住友3M社製の商品名フロリナートF
C−75)に 3.0重量%溶解し、上述した記録層の上に
グラビアコートし、厚さ 210nmの保護層を形成した。こ
の保護層の乾燥は窒素下において自然乾燥とした。
【0060】上記実施例1に対し、比較のために、次の
ような光記録テープを作成した。比較例1 シアニン色素(例えば日本感光色素社製の商品名NK−
125)とメタクリレート系ポリマーPMMA(ポリメ
チルメタクリレート:例えばScientific Polymer Produ
cts 社製のCAT#037D、平均分子量540,000)との
重量比1:1混合物を溶媒(塩化メチレン:1,1,
2,2−テトラクロロエタン:シクロヘキサノン:メタ
ノールの重量比28:8:2:3の混合溶媒)に重量比で
2%溶解したものをグラビアコートし、厚さ 400nmの記
録層を形成した。
【0061】この塗布条件は、フィルムの走行速度を5
m/分、グラビアロールの回転数を10回転/分、フィル
ムのグラビアロールへの巻付け角を3度とした。乾燥温
度は70℃とした。その他は前記実施例1におけると同様
である。
【0062】比較例2 シアニン色素(例えば日本感光色素社製の商品名NK−
125)とメタクリレート系ポリマーPMMA(ポリメ
チルメタクリレート:例えばScientific Polymer Produ
cts 社製のCAT#037B、平均分子量75,000)との
重量比1:1混合物を溶媒(塩化メチレン:1,1,
2,2−テトラクロロエタン:シクロヘキサノン:メタ
ノールの重量比28:8:2:3の混合溶媒)に重量比で
2%溶解したものをグラビアコートし、厚さ 400nmの記
録層を形成した。
【0063】この塗布条件は、フィルムの走行速度を5
m/分、グラビアロールの回転数を10回転/分、フィル
ムのグラビアロールへの巻付け角を3度とした。乾燥温
度は70℃とした。その他は前記実施例1におけると同様
である。
【0064】比較例3 シアニン色素(例えば日本感光色素社製の商品名NK−
125)とメタクリレート系ポリマーPMMA(ポリメ
チルメタクリレート:例えばScientific Polymer Produ
cts 社製のCAT#037A、平均分子量35,000)との
重量比1:1混合物を溶媒(塩化メチレン:1,1,
2,2−テトラクロロエタン:シクロヘキサノン:メタ
ノールの重量比28:8:2:3の混合溶媒)に重量比で
2%溶解したものをグラビアコートし、厚さ 400nmの記
録層を形成した。
【0065】この塗布条件は、フィルムの走行速度を5
m/分、グラビアロールの回転数を10回転/分、フィル
ムのグラビアロールへの巻付け角を3度とした。乾燥温
度は70℃とした。その他は前記実施例1におけると同様
である。
【0066】比較例4 シアニン色素(例えば日本感光色素社製の商品名NK−
125)とメタクリレート系ポリマーPPhMA(ポリ
フェニルメタクリレート:例えばScientific Polymer P
roducts 社製)との重量比1:1混合物を溶媒(塩化メ
チレン:1,1,2,2−テトラクロロエタン:シクロ
ヘキサノン:メタノールの重量比28:8:2:3の混合
溶媒)に重量比で2%溶解したものをグラビアコート
し、厚さ 400nmの記録層を形成した。
【0067】この塗布条件は、フィルムの走行速度を5
m/分、グラビアロールの回転数を10回転/分、フィル
ムのグラビアロールへの巻付け角を3度とした。乾燥温
度は70℃とした。その他は前記実施例1におけると同様
である。
【0068】比較例5 シアニン色素(例えば日本感光色素社製の商品名NK−
125)とセルロース系ポリマーCAB(セルロースア
セテートブチレート:例えばScientific Polymer Produ
cts 社製)との重量比1:1混合物を溶媒(塩化メチレ
ン:1,1,2,2−テトラクロロエタン:シクロヘキ
サノン:メタノールの重量比28:8:2:3の混合溶
媒)に重量比で2%溶解したものをグラビアコートし、
厚さ 400nmの記録層を形成した。
【0069】この塗布条件は、フィルムの走行速度を5
m/分、グラビアロールの回転数を10回転/分、フィル
ムのグラビアロールへの巻付け角を3度とした。乾燥温
度は70℃とした。その他は前記実施例1におけると同様
である。
【0070】以上のようにして作製された各サンプルテ
ープ(テープ状光記録媒体)に対し、ヘリカルスキャン
ドラム上において往復して記録、再生を行った。図6は
実験に供した装置の要部斜視図、図7は同要部正面図、
図8は同内部平面図、図9は光学系の内部正面図であ
る。
【0071】この装置は光ドラム30を有する。この光ド
ラム30は、レーザー光(波長が例えば780nm)の照射機構
及び反射光の検出機構を備えるものであり、ここでは、
線速度10m/秒で回転する光ドラム30に各テープ状光記
録媒体(光記録テープ)を 180度巻付けて走行させるこ
とによって、記録、再生を行った。
【0072】光ドラム30は、磁気記録用のヘリカルスキ
ャンドラムと似た形状をしており、図示しないモータに
連結して回転する上ドラム31と、固定された下ドラム41
とからなる。上ドラム31にレーザー光射出孔31aが設け
られ、下ドラム41には光記録テープガイド用のガイド溝
41aが設けられている。
【0073】上記の光学系32においては、図9に示すよ
うに、半導体レーザ33、トラッキングミラー35、フォー
カスレンズ34、ハーフミラー36、検出器37によって照射
機構及び検出機構が構成されている。
【0074】即ち、光学系32において、半導体レーザ33
からレーザー光LB(波長780nm)が射出され、この射出
されたレーザー光LBは上ドラム31の軸に沿って進行
し、トラッキングミラー35によって上ドラム31の軸と垂
直に曲げられる。そして、フォーカスレンズ34を介して
光記録テープ1の記録層表面に集光され、記録ピットが
形成される。
【0075】他方、光記録テープ1の記録層表面から反
射された反射光は、フォーカスレンズ34、トラッキング
ミラー35、ハーフミラー36を通過して検出器37に導か
れ、光量が測定される。
【0076】このような構成の記録/再生特性評価装置
によって光記録テープの記録再生特性を評価するには、
まず光記録テープを光ドラム30に掛け渡して走行させ、
更に上ドラム31を回転させながら上記光学系のレーザー
光照射機構を動作させる。記録すべきデータ信号に対応
させて半導体レーザーをオン、オフすると、図5に示し
たように記録ピット1aが走行方向(図中、矢印A方
向)に対して斜めに順次形成される。
【0077】次に、形成された記録ピットを再生する。
形成された記録ピットを再生するには、上記光学系の反
射光検出機構を動作させ、記録時よりも小さいレーザー
強度で記録トラックに沿ってレーザー光を連続的に照射
し、その反射光の強度をモニターし、信号データに変換
する。
【0078】なお、光記録テープ1は、走行中には光ド
ラム30から浮上り、非接触状態で走行する。
【0079】こうして記録されたピット形状を走査型電
子顕微鏡により観察し、ピット幅を見積もった。
【0080】また、記録時のレーザーパワーを照射され
たエネルギーに換算し、照射されたエネルギーに対して
形成されたピット面積をプロットし、図1及び図2に例
示した。その直線と横軸の照射されたエネルギーとの交
点を、ピットを形成するのに必要な最小しきい値エネル
ギー(Threshold Energy : Eth)と規定し、ピット形成
のしやすさの指針とした。
【0081】さらに、その直線の傾き(Slope)から、傾
きの大きいポリマーほど感度が良く、効率的にピットが
形成されると考えられる。図1及び図2に、ポリマーと
してCAP(実施例1)とPMMA CAT#037D
(比較例1)を用いた結果をそれぞれ示す。また、上記
の各例についてまとめた結果を以下に示す。
【0082】
【0083】この結果から、ピットが形成されやすい
(即ち、Ethの小さい)ものほど直線の傾き(Slo
pe)が大きく、この評価法がポリマーのピットの形成
のしやすさの指針となることが分かる。
【0084】即ち、メタクリレート系ポリマー(比較例
1〜4)や他のセルロース系ポリマー(比較例5)に対
して、セルロース系のセルロースアセテートフタレート
(CAP)(実施例1)はEthの値が小さく、ポリマ
ーとして感度が良いことを示している。また、記録時に
おけるピットの幅の大きさにおいても、CAPは小さ
く、CAPを用いることにより、トラックピッチ 1.4μ
mでも記録を行うことが可能であった。
【0085】これは、CAPがメタクリレート系ポリマ
ーと異なり、ポリマーそのものがアブレートの物性を持
っていると考えられ、ピット形成機構としてメルトとア
ブレートの中間の性質を示すため、Ethが小さく、効
率よくピットが形成されるものと考えられる。
【0086】以上、本発明の実施例を説明したが、本発
明は、テープ状光記録媒体以外にも、ディスク状などの
他の形状の光記録媒体にも同様に適用できる。また、記
録層構成材料をはじめ、保護層や基体材料等も適宜の材
料とすることができる。
【0087】
【発明の作用効果】本発明は上述した如く、セルロース
アセテートフタレート等の如く、2以上のカルボキシル
基を有するカルボン酸とセルロース又はその誘導体との
縮合物からなる高分子化合物を記録層に用いているの
で、レーザー光を用いて記録するときに、いわばアブレ
ートモードとメルトモードとが混在した如き記録パター
ンとなり、ピット狭小化が可能となり、記録、再生特性
の劣化なしに、低パワーで効率よくピットを形成でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による光記録媒体においてレー
ザー照射エネルギーによるピット面積の変化を示すグラ
フである。
【図2】比較例による光記録媒体においてレーザー照射
エネルギーによるピット面積の変化を示すグラフであ
る。
【図3】本発明の実施例によるテープ状光記録媒体の層
構成を示す拡大部分断面図である。
【図4】同信号記録パターン形成の機構を説明するため
のテープ状光記録媒体の拡大部分断面図である。
【図5】同信号記録パターンの配列を示すテープ状光記
録媒体の平面図である。
【図6】同光ドラムの斜視図である。
【図7】同光ドラムの正面図である。
【図8】同光ドラム及びその周辺の平面図である。
【図9】同光学系の概略正面図である。
【図10】同塗布装置の内部正面図である。
【図11】同マイクログラビアユニット及びその周辺の正
面図である。
【図12】同マイクログラビアユニットの平面図である。
【符号の説明】
1・・・テープ状光記録媒体(光記録テープ) 1a・・・信号記録パターン(ピット) 2・・・ベースフィルム 3・・・記録層 4・・・保護層 5・・・バックコート層 12・・・幅広のベースフィルム 14・・・マイクログラビアユニット 30・・・光ドラム 31・・・上ドラム(回転) 32・・・光学系 41・・・下ドラム(固定) LB・・・レーザー光
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 瀬戸 順悦 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソ ニー株式会社 内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 7/24

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体上に、光学的に情報の記録及び/又
    は再生が可能な記録層と、保護層とがこの順に設けられ
    た構造の光記録媒体において、前記記録層が光吸収物質
    と高分子化合物とからなり、この高分子化合物が、少な
    くとも2つのカルボキシル基を有するカルボン酸とセル
    ロース又はその誘導体との縮合物からなることを特徴と
    する光記録媒体。
  2. 【請求項2】 高分子化合物がセルロースアセテートフ
    タレートである、請求項1に記載した光記録媒体。
  3. 【請求項3】 セルロースアセテートフタレートがセル
    ロースアセテートテレフタレートである、請求項2に記
    載した光記録媒体。
  4. 【請求項4】 トラッキングサーボが、トラック規制用
    プリグルーブを用いずになされる、請求項1〜3のいず
    れかに記載した光記録媒体。
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