JP3380180B2 - 食肉の加工処理方法 - Google Patents
食肉の加工処理方法Info
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Description
肉等の食肉塊に、ピックル液や調味液等の高圧の液状物
質を用いて、食肉塊中の骨から肉が剥離しやすくする等
の加工処理を行う食肉の加工処理方法に関するものであ
る。
アリブ、バックリブ等)の調味は、調味液に浸漬する方
法や、調味液を多針型インジェクターを用いて注入する
方法が知られている。注入すれば浸漬する方法に比べ
て、多くの調味液を肉中に加えることができ、より軟ら
かい製品が得られる。骨付き食肉原料用のインジェクタ
ーもあり、注入は可能であるが、注入圧力は高くても約
12kg/cm2 程度であり、肉の応力よりも低いた
め、骨と肉の境界面に液状物質を注入することは困難で
あった。従って、肉は軟らかくなっても、骨と肉は骨膜
を介して接合しており、食べるときに骨から肉が剥離し
難く、食べにくい製品になっていた。
かくするために、従来の技術では調味液等の液体中にガ
スを溶解するか、分散させて注入する方法が行われてい
た。また従来より、肉を軟らかくするために、肉タタキ
で肉をたたいたり、先端が針状やナイフ状になっている
ホーリング装置や、テンダーライザーと呼ばれる装置で
肉に小さい穴あるいは切れ目をたくさん入れて軟らかく
する軟化処理方法が知られている。そしてこの軟化処理
は、調味をする前あるいは調味した後に行われている。
さらにこの軟化処理に、針で調味液を注入しながら肉に
穴あるいは切れ目を入れるインジェクターも用いられる
が、構造上複雑となり、また穴あるいは切れ目を入れる
部分が折れて、肉中に異物として混入する問題点があっ
た。
インジェクション方法のハムなどの食肉加工品への応用
については次のような先行技術が知られている。特開平
5−244906号には、スプレイノズルを用いて高圧
下に無針型のピックルインジェクターにより肉片の中に
塩水等の液状物質を導入する方法が開示されている。該
ピックルインジェクターは、圧力ローラとコンベアで肉
塊の厚みを一定にしておき、下からスプレイノズルでイ
ンジェクションする構造であり、ノズル間隔が20mm
以内で、厚さ20mmの肉に液状物質を注入することが
可能である旨記載されているものの、該ピックルインジ
ェクターは拡散型のスプレイノズルを使用しているた
め、該公報の図5に示されるように、液状物質が同心円
状に広がり、注入されない部分や液が重複する部分が発
生し、均一に注入分散することができる方法とはいい難
く、また、該ピックルインジェクターは、肉の厚みを押
し潰して薄くした後インジェクションする構造であり、
同心円状に広がる高いスプレー圧力は肉に損傷を与える
ため、肉の厚みが厚いものには使用できないという欠点
がある。また、この方法では圧力ローラによって、肉塊
の割れや崩れ等が生じるおそれがある。したがって、こ
の導入方法では、圧力ローラで例え厚みを減らしたとし
ても、厚みが30mmを超えるような豚モモ肉やロース
肉に適用することは困難である。
屠殺後短時間の内に肉を柔らかくするために、脂質物質
や少量の水からなる肉質柔軟化剤等の可食性粒子を高圧
下高速で肉表面にスプレイし、肉の深部まで浸透させる
と共に、肉の筋線維を機械的に破壊することが開示され
ているが、その可食性粒子の分散状況等の詳細について
は記載されていない。
国特許第3436230号明細書には、肉表面にノズル
の先端を接触させて保存液等の液体を高圧で注入し、肉
線維を壊すことなく、液体を分散させる方法が開示され
ており、具体例として、ベーコンベリーの赤身と脂肪
に、赤身注入ノズル及び脂肪注入ノズルを備えた自動注
入機械を用いて、高速度液体流を注入することが記載さ
れている。
国特許第3649299号明細書には、肉中への柔軟化
剤及び/又は香味付与剤の液の浸透深度を効果的に制限
するために、3方向からの直進水流を焦点でぶつかり合
わせ、エネルギーを消失させ、拡散させることで浸透深
度を制限する方法が記載されている。
上記米国特許第3769037号明細書及び米国特許第
3649299号明細書記載のインジェクションノズル
を肉と同じ速さで移動させながら、電気タイマーにより
素速くオン−オフしうるソレノイドバルブの制御によ
り、1000〜5000psiの圧力で、柔軟化剤、香
味付与剤等の液を家禽肉に高速で注入する装置が記載さ
れている。
国特許第3814007号明細書には、予め定めておい
た値に達するまでノズル通路中の液の圧力を高めてお
き、バルブ解放後、不定形の肉塊に適合する、複数本の
種々の長さのノズル通路の先端部から、素早く一気に液
体を噴射させ、液漏れが生じることがないインジェクシ
ョン装置が開示されている。
低級肉の柔らかさや官能的品質を向上させるために、肉
から一定の距離だけ離したノズルから、移動している肉
に、バインダーとしての植物性油又は脂肪等が肉組織中
に充分浸入しうるような圧力で注入し、肉の結合組織を
横方向及び縦方向に切断しうる肉の処理法が記載されて
いる。
ウオータージェット屠殺を行うために、超高圧(300
0〜4000kg/cm2 )で頭蓋骨を破壊することが
記載されている。
配管中を連続的に搬送されている肉に、高圧ノズルか
ら、短時間の細いジェットの形で液体を間欠的又は周期
的に噴射し、該液体を肉の与えられた深さまで注入する
方法が記載されている。
肉に損傷が生じない手段の改善をするために、押圧ロー
ラーによってコンベア上の肉塊を予め決められた厚さに
平たくすると共にスプレーノズルに接触せしめ、肉の外
面にインジェクションストリームを噴霧することなく、
調味液等を均質に分散させる方法及び装置が記載されて
いる。
塊中の骨から肉が剥離しやすい食肉製品や、食肉塊中に
空気やガスを含んだ食肉製品や、肉質が軟らかい食肉製
品等を得るための、高圧直進水流を用いた食肉の加工処
理方法を提供することにある。
を解決するために鋭意研究し、高圧の直進水流を利用す
ることにより、上記課題が達成しうることを見い出し、
本発明を完成するに至った。
を用いて食肉塊へ液状物質を注入することにより、食肉
塊中の骨から肉が剥離しやすくする加工処理や、食肉塊
中に空気やガスを含ませる加工処理や、食肉を軟らかく
する加工処理を行うことを特徴とする高圧直進水流を用
いた食肉の加工処理方法に関する。
力をゼロ又は低圧からの漸次上昇するように注入圧力を
制御しながら注入することを特徴とする上記の高圧直進
水流を用いた食肉の加工処理方法や、液状物質の注入
を、高圧の初発注入圧力で注入を開始し、その後注入圧
力が低圧又はゼロに漸次下降するように注入圧力を制御
しながら注入することを特徴とする上記の高圧直進水流
を用いた食肉の加工処理方法に関する。
豚肉、牛肉、家禽肉、馬肉、羊肉及びこれらの内臓肉、
骨付き肉及び皮付き肉、並びに魚肉等を例示することが
でき、食用に供される肉であればどのような肉をも使用
することができる。
用のピックル液、調味用の調味液の他、脂質、植物タン
パク質等の組織改良剤、天然保存剤、天然色素剤、酵
素、微生物等の溶液、分散懸濁液を例示することがで
き、直進水流噴射ノズルから噴射しうる液状のものであ
れば、気体状のガスを含むものなど、いかなるものでも
使用することができる。
に拡散して噴出することなく、直線状に収束して噴出す
る液状物質の流れをいい、直進水流噴射ノズルとは、直
進水流を噴射させるノズルをいう。また、本発明におい
て、注入圧力とは、直進水流噴射ノズルから噴出された
直後の液状物質の液圧をいい、通常は高圧水発生装置と
直進水流噴射ノズルとの間の配管中の液圧として、例え
ば圧力センサにより測定される。圧力センサを備えるこ
とにより、注入圧力をその設定値に一層正確に調整する
ことができる。
段としては、高圧水発生装置の出力を、サーボモータや
ステッピングモータを用いて、モータの回転数を制御す
る方法、油圧、水圧、空気圧等の流体圧を用いて液状物
質の圧力を制御する方法を例示することができる。ま
た、高圧の初発注入圧力とする手段としても、同様にサ
ーボモータやステッピングモータを用いて、予め所定の
圧力に高めることができる。
ルコントローラ(PLC)から構成されているサーボモ
ータを用いて圧力を制御する場合について説明すると、
ドライバはPLCと接続され、モータの運転状態のPL
Cへの出力とPLCの指令を受けてモータの駆動を行
う。モータはドライバがPLCより受けたパルス数に比
例して回転を行い、そのパルスの速さ(時間的密度)に
応じて回転速度を変化させる。そして、サーボモータに
より高圧ポンプを駆動する場合、概略、液体の流量はモ
ータの回転数(位置決め)に比例し、液体の圧力はモー
タの回転数に比例することになる。
ら液状物質を注入しながら、注入圧力を、ゼロ又は低圧
から漸次上昇、好ましくは漸次連続的に上昇させるよう
に変化させることが、食肉を均一に加工処理する上で望
ましい。直進水流噴射ノズルを用いると、肉塊中への液
状物質の注入及び分散の特性として、注入された液状物
質は、肉組織の抵抗によりある一定の深度で横方向へ分
散し、注入圧力が漸次上昇するとその注入圧力に見合っ
た注入深度となり、その深度における肉組織の抵抗によ
り、横方向に分散する。かかる現象が注入深度の増加と
共に繰り返し生じ、肉塊の表面から底部まで液状物質が
均一に分散されていくので、注入圧力をゼロ又は低圧か
ら漸次上昇させると、均一に加工処理された優れた製品
が得られる。かかるインジェクション方法やそれに用い
られるピックルインジェクターは、特願平9−1219
24号及び特願平9−2536784号の明細書に詳し
く述べられている。
圧力で注入を開始し、その後注入圧力が低圧又はゼロに
漸次下降するように注入圧力を制御しながら注入する、
好ましくは漸次連続的に下降するように変化させながら
注入することが、食肉を均一に加工処理する上で望まし
い。直進水流噴射ノズルを用いると、肉塊中への液状物
質の注入及び分散の特性として、ある初発注入圧力に応
じてある深度まで注入された液状物質は、肉組織の抵抗
により横方向へ分散し、注入圧力が漸次下降するとその
注入圧力に見合った注入深度となり、その深度における
肉組織の抵抗により、横方向に分散する。かかる現象が
注入深度の減少と共に繰り返し生じ、肉塊の底部から表
面まで液状物質が均一に分散されていくので、注入圧力
を低圧又はゼロに漸次下降させると、均一に加工処理さ
れた優れた製品が得られる。かかるインジェクション方
法やそれに用いられるピックルインジェクターは、特願
平10−331733号の明細書に詳しく述べられてい
る。
工処理、すなわち骨付き肉製品の骨離れをよくする本発
明の加工処理としては、注入圧力の最高値を肉の応力よ
り高く、骨の硬度よりも低く設定し、かかる注入圧力で
骨の方向や、骨と肉の間に注入する方法を例示すること
ができる。この方法によると、調味液等の液状物質は、
肉中で分散しながら骨にあたり、骨の周囲に沿って分散
するため、あるいは肉中の骨にあたり、まず骨の周囲に
沿って分散した後、肉中で分散するため、骨離れのよい
骨付きフライドチキンなどの鶏肉加工品やスペアリブや
バックリブなどの軟らかくて食べやすい骨付き製品が得
られる。
加工処理としては、予め液体中に不活性ガスや空気等を
溶解、分散させ、注入圧力を制御しながら注入する方法
もあるが、高圧直進水流をノズルから噴射したときに、
水流の周囲の空気やガスを水流が巻き込む性質を利用し
て、高圧水流を肉に対して離して噴射することによって
注入すると同時に、空気や炭酸ガスや窒素ガス等のガス
を注入する方法が好ましい。この高圧水流を肉に対して
離して噴射する場合、噴射水流の勢いで肉が動いたとき
傷つくため、損傷が問題となる場合は、ノズル先端部分
の側面に空気の導入孔を設けたり、あるいはノズル先端
部分の側面にガスの配管を接続させておくことができ
る。このように、肉中に空気やガスを含ませることによ
り、口当たりがソフトな柔らかくて食べやすい製品が得
られる。
ては、硬い肉組織や結合組織を切り、軟らかくするため
に、高圧水流と液状物質を相対的に移動させながら注入
する方法を挙げることができる。この方法によると、従
来の装置と比較して構造が単純で、異物混入も起こらな
い。また、高圧水流に調味液を用いれば、調味と同時に
肉を軟らかくすることができる。
的に説明するが、この発明の技術的範囲はこれらの実施
例に限定されるものではない。 実施例1 手羽元に対して、食塩3.0重量部、砂糖2.0重量
部、調味料6.0重量部、香辛料2.0重量部、水8
7.0重量部からなる調味液を、ノズル径3/1000
インチの複数の直進水流噴射ノズルを用い、初発注入圧
力300kg/cm 2 で約0.2秒間注入した。注入率
(注入後の重量/注入前の重量×100)は118%で
あった。対照区として、手羽元に対して、上記調味液を
通常の多針型インジェクターで注入率が118%になる
ようにインジェクションしたものを用いた。これら手羽
元を常法に従いフライし、10名のパネラーにより骨離
れについての評価を含めた官能評価を行ったところ、全
員が対照区に比べ本発明の加工処理製品の方が骨離れの
がよく軟らかくて食べやすいと判定した。
を400kg/cm2、注入率110%とする以外は実
施例1と同様に行った。これらスペアリブを常法に従い
ローストし、10名のパネラーにより骨離れについての
評価を含めた官能評価を行ったところ、全員が対照区に
比べ本発明の加工処理製品の方が骨離れのがよく軟らか
くて食べやすいと判定した。
径3/1000インチでノズル先端部分の側面に空気の
導入孔を有する複数の直進水流噴射ノズルを用い、注入
圧力をゼロから600kg/cm2 に漸次上昇させなが
らが注入率が120%となるように注入した。対照区と
して、豚ロース肉に対して、含気させた上記調味液を通
常の多針型インジェクターで注入率が120%になるよ
うにインジェクションしたものを用いた。これら豚ロー
ス肉を常法に従いパン粉をまぶした後フライし、10名
のパネラーによりテクスチャについての官能評価を行っ
たところ、全員が対照区に比べ本発明の加工処理製品の
方が柔らかく口当たりがソフトで食べやすいと判定し
た。
ル径3/1000インチの複数の直進水流噴射ノズルを
用い、筋の多い牛肉を移動させながら注入圧力をゼロか
ら一気に1000kg/cm2 に上昇させ、注入率が1
20%となるように注入した。対照区として、筋の多い
牛肉に対して、上記調味液を通常の多針型インジェクタ
ーで注入率が120%になるようにインジェクションし
たものを用いた。これら筋の多い牛肉を常法に従いロー
ストし、10名のパネラーによりテクスチャについての
官能評価を行ったところ、全員が対照区に比べ本発明の
加工処理製品の方が軟らかくて食べやすいと判定した。
肉塊中の骨から肉が剥離しやすい食肉製品や、食肉塊中
に空気やガスを含んだ食肉製品や、肉質が軟らかい食肉
製品等テクスチャや風味に優れた食肉製品を得ることが
できる。
Claims (5)
- 【請求項1】 直進水流噴射ノズルを用いて食肉塊へ液
状物質を注入することにより、食肉を加工処理する方法
であって、 前記加工処理が、食肉塊中の骨から肉が剥離しやすくす
る加工処理であることを特徴とする高圧直進水流を用い
た食肉の加工処理方法。 - 【請求項2】 直進水流噴射ノズルを用いて食肉塊へ液
状物質を注入することにより、食肉を加工処理する方法
であって、 前記加工処理が、食肉塊中に空気やガスを含ませる加工
処理であることを特徴とする高圧直進水流を用いた食肉
の加工処理方法。 - 【請求項3】 直進水流噴射ノズルを用いて食肉塊へ液
状物質を注入することにより、食肉を加工処理する方法
であって、 前記加工処理が、食肉を軟らかくする加工処理であるこ
とを特徴とする高圧直進水流を用いた食肉の加工処理方
法。 - 【請求項4】 液状物質の注入を、注入圧力をゼロ又は
低圧からの漸次上昇するように注入圧力を制御しながら
注入することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記
載の高圧直進水流を用いた食肉の加工処理方法。 - 【請求項5】 液状物質の注入を、高圧の初発注入圧力
で注入を開始し、その後注入圧力が低圧又はゼロに漸次
下降するように注入圧力を制御しながら注入することを
特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高圧直進水
流を用いた食肉の加工処理方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP33176198A JP3380180B2 (ja) | 1998-11-20 | 1998-11-20 | 食肉の加工処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP33176198A JP3380180B2 (ja) | 1998-11-20 | 1998-11-20 | 食肉の加工処理方法 |
Publications (2)
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JP2000157217A JP2000157217A (ja) | 2000-06-13 |
JP3380180B2 true JP3380180B2 (ja) | 2003-02-24 |
Family
ID=18247333
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP33176198A Expired - Fee Related JP3380180B2 (ja) | 1998-11-20 | 1998-11-20 | 食肉の加工処理方法 |
Country Status (1)
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- 1998-11-20 JP JP33176198A patent/JP3380180B2/ja not_active Expired - Fee Related
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