JP3379153B2 - リードフレーム用Fe−Ni合金及びリードフレーム用帯板 - Google Patents
リードフレーム用Fe−Ni合金及びリードフレーム用帯板Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プレス打ち抜き向けの
Fe−Ni合金及び帯板に係り、特に薄板における打ち
抜き加工時のバリの発生を抑制できるリードフレーム用
Fe−Ni合金及び当該合金によるリードフレーム用帯
板に関する。
Fe−Ni合金及び帯板に係り、特に薄板における打ち
抜き加工時のバリの発生を抑制できるリードフレーム用
Fe−Ni合金及び当該合金によるリードフレーム用帯
板に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、プレス打ち抜き向けのリードフレ
ーム用帯板として使用されるFe−Ni合金は、Ni含
有量が42重量%程度のものが一般的である(例えば特
開昭59−100215号)。ところで、Niは高価な
金属であることから、その含有率を低下させてもリード
フレーム用帯板として好適な性質が維持できるならば、
コストダウンにつながり望ましいことである。
ーム用帯板として使用されるFe−Ni合金は、Ni含
有量が42重量%程度のものが一般的である(例えば特
開昭59−100215号)。ところで、Niは高価な
金属であることから、その含有率を低下させてもリード
フレーム用帯板として好適な性質が維持できるならば、
コストダウンにつながり望ましいことである。
【0003】しかしながら、Niを42重量%も含有さ
せるのは、帯板の熱膨張係数が大きくなり過ぎないこ
と、耐食性が良好であること、ハンダ付け性が良好であ
ること、メッキ性が良好であること、といったレジンモ
ールドICチップ(最終製品)に要求される各種性能を
満足させるためでもある。このため、簡単にNi含有量
を低下させるということはできなかった。
せるのは、帯板の熱膨張係数が大きくなり過ぎないこ
と、耐食性が良好であること、ハンダ付け性が良好であ
ること、メッキ性が良好であること、といったレジンモ
ールドICチップ(最終製品)に要求される各種性能を
満足させるためでもある。このため、簡単にNi含有量
を低下させるということはできなかった。
【0004】そこで、本願出願人は、かかる観点から鋭
意工夫の末、温度200℃近辺における熱膨張係数が従
来の42Ni−Fe合金と同等で、耐食性,ハンダ付け
性,メッキ性が共に良好な新規な組成のFe−Ni合金
を開発し、「Ni:32〜35重量%、Cu:0.1〜
1.5重量%及び/又はMo:0.1〜1.5重量%
(但し、Cu及びMoを共に含有する場合はCu+M
o:1.5重量%以下)を含み、残部が実質上Feから
なるリードフレーム材料」として、既に特願平4−16
9661号として出願している。この結果、廉価で十分
な性能を有するリードフレーム用Fe−Ni合金を提供
することが可能になった。
意工夫の末、温度200℃近辺における熱膨張係数が従
来の42Ni−Fe合金と同等で、耐食性,ハンダ付け
性,メッキ性が共に良好な新規な組成のFe−Ni合金
を開発し、「Ni:32〜35重量%、Cu:0.1〜
1.5重量%及び/又はMo:0.1〜1.5重量%
(但し、Cu及びMoを共に含有する場合はCu+M
o:1.5重量%以下)を含み、残部が実質上Feから
なるリードフレーム材料」として、既に特願平4−16
9661号として出願している。この結果、廉価で十分
な性能を有するリードフレーム用Fe−Ni合金を提供
することが可能になった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、最近のICチ
ップの小型化,多ピン化の要求は目ざましいものがあ
り、ピンとピンとの間隔がきわめて小さいリードフレー
ムが製造される様になってきた。
ップの小型化,多ピン化の要求は目ざましいものがあ
り、ピンとピンとの間隔がきわめて小さいリードフレー
ムが製造される様になってきた。
【0006】このため、特願平4−169661号にて
提案した新規なFe−Ni合金においても、0.075
〜0.25mm程度の薄板から打ち抜き加工をしたとき
に生ずるバリの高さが問題となってきた。即ち、小型
化,多ピン化によりインナーリード同士の間隔が狭くな
ったICチップ基板では、バリによるインナーリード同
士のショートの発生が問題となり、バリ高さをきわめて
小さなものに抑制すべきことまで要求される様になっ
た。
提案した新規なFe−Ni合金においても、0.075
〜0.25mm程度の薄板から打ち抜き加工をしたとき
に生ずるバリの高さが問題となってきた。即ち、小型
化,多ピン化によりインナーリード同士の間隔が狭くな
ったICチップ基板では、バリによるインナーリード同
士のショートの発生が問題となり、バリ高さをきわめて
小さなものに抑制すべきことまで要求される様になっ
た。
【0007】そこで、本発明においては、Ni含有量を
低下させたFe−Ni合金において、薄板から打ち抜き
加工をしたときに発生するバリの高さを十分に抑制する
ことのできるリードフレーム用Fe−Ni合金及びリー
ドフレーム用帯板を提供することを目的とする。
低下させたFe−Ni合金において、薄板から打ち抜き
加工をしたときに発生するバリの高さを十分に抑制する
ことのできるリードフレーム用Fe−Ni合金及びリー
ドフレーム用帯板を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段及び作用】かかる目的を達
成するためなされた本発明のリードフレーム用Fe−N
i合金は、請求項1に記載した様に、プレス打ち抜き向
けであって、かつ、Ni:32〜35重量%、Cu:
0.1〜1.5重量%及び/又はMo:0.1〜1.5
重量%(但し、Cu及びMoを共に含有する場合はCu
+Mo:1.5重量%以下)、S及び/又はP:合計で
0.011〜0.020重量%を含み、残部が実質上F
eからなる。
成するためなされた本発明のリードフレーム用Fe−N
i合金は、請求項1に記載した様に、プレス打ち抜き向
けであって、かつ、Ni:32〜35重量%、Cu:
0.1〜1.5重量%及び/又はMo:0.1〜1.5
重量%(但し、Cu及びMoを共に含有する場合はCu
+Mo:1.5重量%以下)、S及び/又はP:合計で
0.011〜0.020重量%を含み、残部が実質上F
eからなる。
【0009】Cu及び/又はMoを所定量含有すること
により、Ni含有量を従来品より低下させたにもかかわ
らず、十分な耐食性、ハンダ付け性、メッキ性を奏す
る。また、熱膨張係数もNiを42%含有していた従来
品と遜色ない値とすることができ、レジンモールドIC
としたときに、シリコン半導体との熱膨張差が小さく、
不良品の発生がきわめて少ない。なお、CuとMoは、
これら性質に関して同様に機能するものであるため、一
方だけを含んでもよいし、両方とも含んでいても構わな
い。
により、Ni含有量を従来品より低下させたにもかかわ
らず、十分な耐食性、ハンダ付け性、メッキ性を奏す
る。また、熱膨張係数もNiを42%含有していた従来
品と遜色ない値とすることができ、レジンモールドIC
としたときに、シリコン半導体との熱膨張差が小さく、
不良品の発生がきわめて少ない。なお、CuとMoは、
これら性質に関して同様に機能するものであるため、一
方だけを含んでもよいし、両方とも含んでいても構わな
い。
【0010】ここで、Cu及び/又はMoの含有量を、
それぞれ0.005重量%以上としているのは、これ以
下では十分な耐食性が得られなくなるからである。一
方、両者の含有量を1.5重量%以下に制限するのは、
これ以上を含有すると熱間加工性が劣化することとなる
からである。
それぞれ0.005重量%以上としているのは、これ以
下では十分な耐食性が得られなくなるからである。一
方、両者の含有量を1.5重量%以下に制限するのは、
これ以上を含有すると熱間加工性が劣化することとなる
からである。
【0011】一方、S及び/又はPを所定量含有させる
ことにより、これら快削性元素が、薄板の打ち抜き加工
の際のバリ発生を抑制し、バリ高さを小さくすることが
できる。SとPは、共に同様の機能を有する元素である
ので、一方だけでもよいし、両方ともを含んでいても構
わない。
ことにより、これら快削性元素が、薄板の打ち抜き加工
の際のバリ発生を抑制し、バリ高さを小さくすることが
できる。SとPは、共に同様の機能を有する元素である
ので、一方だけでもよいし、両方ともを含んでいても構
わない。
【0012】ここで、S及び/又はPの含有量を、合計
で0.005重量%以上としているのは、これ以下では
バリ高さを抑制する効果が十分に発揮されないからであ
る。一方、両者の含有量を合計で0.020重量%以下
に制限するのは、これ以上を含有してもバリ高さの抑制
効果はそれほど向上せず、ほぼサチュレートしてしま
い、むしろ、プレス打ち抜きの際に打ち抜き品のエッジ
に割れが生じたりして、製品歩留まりが低下してしまう
からである。
で0.005重量%以上としているのは、これ以下では
バリ高さを抑制する効果が十分に発揮されないからであ
る。一方、両者の含有量を合計で0.020重量%以下
に制限するのは、これ以上を含有してもバリ高さの抑制
効果はそれほど向上せず、ほぼサチュレートしてしま
い、むしろ、プレス打ち抜きの際に打ち抜き品のエッジ
に割れが生じたりして、製品歩留まりが低下してしまう
からである。
【0013】なお、請求項2に記載した様に、この請求
項1記載のリードフレーム用Fe−Ni合金において、
さらに、上記以外の成分として混入するMgの含有量を
0.005重量%以下に抑制することが望ましい。これ
は、折角S,Pを添加してバリ高さの抑制効果を付与し
ても、Mgが多く含有されてしまうと、上記バリ高さ抑
制効果が妨げられてしまい、バリ高さを十分に小さな値
に抑制できなくなってしまうからである。
項1記載のリードフレーム用Fe−Ni合金において、
さらに、上記以外の成分として混入するMgの含有量を
0.005重量%以下に抑制することが望ましい。これ
は、折角S,Pを添加してバリ高さの抑制効果を付与し
ても、Mgが多く含有されてしまうと、上記バリ高さ抑
制効果が妨げられてしまい、バリ高さを十分に小さな値
に抑制できなくなってしまうからである。
【0014】また、請求項3に記載した様に、請求項1
又は請求項2記載のリードフレーム用Fe−Ni合金に
おいて、さらに、上記以外の成分として混入するMnの
含有量を1.0重量%以下に抑制することが望ましい。
これは、Mnは、脱酸材として混入し易い元素である
が、これが多く混入した場合には、熱膨張係数が上がっ
てしまうからである。
又は請求項2記載のリードフレーム用Fe−Ni合金に
おいて、さらに、上記以外の成分として混入するMnの
含有量を1.0重量%以下に抑制することが望ましい。
これは、Mnは、脱酸材として混入し易い元素である
が、これが多く混入した場合には、熱膨張係数が上がっ
てしまうからである。
【0015】これらMg,Mnは、本発明のリードフレ
ーム用Fe−Ni合金においては、積極的に添加するべ
きでものではなく、むしろ、限りなく0に近い値に抑制
することが望ましい。その意味で、これらについては下
限が示されていないのである。
ーム用Fe−Ni合金においては、積極的に添加するべ
きでものではなく、むしろ、限りなく0に近い値に抑制
することが望ましい。その意味で、これらについては下
限が示されていないのである。
【0016】なお、これら請求項1〜請求項3のいずれ
か記載のリードフレーム用Fe−Ni合金を、熱間にて
鍛造,圧延し、その後焼鈍し、さらに圧下率30%程度
で最終板厚まで冷間圧延し、その後、500℃〜720
℃の温度条件で焼鈍した板厚0.2mm以下のリードフ
レーム用帯板とするとよい。
か記載のリードフレーム用Fe−Ni合金を、熱間にて
鍛造,圧延し、その後焼鈍し、さらに圧下率30%程度
で最終板厚まで冷間圧延し、その後、500℃〜720
℃の温度条件で焼鈍した板厚0.2mm以下のリードフ
レーム用帯板とするとよい。
【0017】ここで、冷間圧延後の最終焼鈍温度を50
0〜720℃の範囲とすることが望ましいのは以下の理
由による。500℃未満の焼鈍条件では、打ち抜き品に
剪断歪が生じ、リードフレームとして無視できない反り
を発生させるからである。また、720℃を越える焼鈍
条件では、打ち抜き断面がほとんど剪断面となり、形状
精度がでなくなるからである。
0〜720℃の範囲とすることが望ましいのは以下の理
由による。500℃未満の焼鈍条件では、打ち抜き品に
剪断歪が生じ、リードフレームとして無視できない反り
を発生させるからである。また、720℃を越える焼鈍
条件では、打ち抜き断面がほとんど剪断面となり、形状
精度がでなくなるからである。
【0018】
【実施例】次に、本発明を一層明らかにするために、好
適な実施例を、いくつかの比較例と共に説明する。ま
ず、表1に示した様な重量比となる様に原料を整え、溶
解,鋳造してインゴットとし、これを950〜1000
℃の熱間にて鍛造,圧延し、その後1000℃以下の所
定温度に保持(下記例では1000℃,2分保持)した
後に徐冷して焼鈍し、さらに圧下率30%程度で最終板
厚(0.15mm)の帯板に冷間圧延し、その後、50
0〜720℃の所定温度(下記例では600℃,2分保
持)に保持した後に徐冷して焼鈍する。なお、上記溶解
は、MgやMn等の混入を制限することのできる処理条
件下で実施し、表中「−」となっている成分は、実質的
に「0」とみなしてよいくらい十分に少なく制御した。
適な実施例を、いくつかの比較例と共に説明する。ま
ず、表1に示した様な重量比となる様に原料を整え、溶
解,鋳造してインゴットとし、これを950〜1000
℃の熱間にて鍛造,圧延し、その後1000℃以下の所
定温度に保持(下記例では1000℃,2分保持)した
後に徐冷して焼鈍し、さらに圧下率30%程度で最終板
厚(0.15mm)の帯板に冷間圧延し、その後、50
0〜720℃の所定温度(下記例では600℃,2分保
持)に保持した後に徐冷して焼鈍する。なお、上記溶解
は、MgやMn等の混入を制限することのできる処理条
件下で実施し、表中「−」となっている成分は、実質的
に「0」とみなしてよいくらい十分に少なく制御した。
【0019】
【表1】
【0020】上記各組成の帯板に対し、φ20mmのポ
ンチにて丸孔を打ち抜き、図1に示す様に、その孔1の
エッジ2の部分の板厚t1と、帯板本体3の板厚t2と
をそれぞれ何点かについてマイクロメータで計測し、両
者の差(t1−t2)をバリ高さとして求めた。なお、
ポンチと下型とのクリアランスは板厚の10%,剪断速
度は200mm/秒とした。
ンチにて丸孔を打ち抜き、図1に示す様に、その孔1の
エッジ2の部分の板厚t1と、帯板本体3の板厚t2と
をそれぞれ何点かについてマイクロメータで計測し、両
者の差(t1−t2)をバリ高さとして求めた。なお、
ポンチと下型とのクリアランスは板厚の10%,剪断速
度は200mm/秒とした。
【0021】また、各帯板の温度200℃での熱膨張係
数も計測した。さらに、耐食性、ハンダ付け性、メッキ
性についても試験した。なお、耐食性は、塩水噴霧試験
法により、ハンダ付け性はメニスコグラフ試験により、
メッキ性はメッキフクレ試験により試験した。
数も計測した。さらに、耐食性、ハンダ付け性、メッキ
性についても試験した。なお、耐食性は、塩水噴霧試験
法により、ハンダ付け性はメニスコグラフ試験により、
メッキ性はメッキフクレ試験により試験した。
【0022】これら各測定,試験の結果を表2に示す。
【0023】
【表2】
【0024】上記表1,表2について分析する。実1〜
実9はいずれも、Ni:32〜35重量%の範囲内にあ
り、かつ、P及び/又はSを0.011〜0.020重
量%の範囲内で含んでいる。また、Cu:0.1〜1.
5重量%及び/又はMo:0.1〜1.5重量%(但
し、Cu及びMoを共に含有する場合はCu+Mo:
1.5重量%以下)の範囲内でこれらが添加されてお
り、かつ、Mg混入量は0.005重量%以下に、Mn
混入量は1.0重量%以下に抑制してある。
実9はいずれも、Ni:32〜35重量%の範囲内にあ
り、かつ、P及び/又はSを0.011〜0.020重
量%の範囲内で含んでいる。また、Cu:0.1〜1.
5重量%及び/又はMo:0.1〜1.5重量%(但
し、Cu及びMoを共に含有する場合はCu+Mo:
1.5重量%以下)の範囲内でこれらが添加されてお
り、かつ、Mg混入量は0.005重量%以下に、Mn
混入量は1.0重量%以下に抑制してある。
【0025】実1〜実9はいずれも、バリ高さがほぼ
0.02mm以下であり、バリは十分に小さくなってい
る。また、いずれも、熱膨張係数は、42Ni−Fe
(比7)とほぼ同程度の数値となった。さらに、いずれ
も、耐食性、ハンダ付け性、メッキ性もすべて良好であ
った。
0.02mm以下であり、バリは十分に小さくなってい
る。また、いずれも、熱膨張係数は、42Ni−Fe
(比7)とほぼ同程度の数値となった。さらに、いずれ
も、耐食性、ハンダ付け性、メッキ性もすべて良好であ
った。
【0026】一方、比較例としての比1,比2は、それ
ぞれP含有量が0.001重量%,S含有量が0.00
2重量%と少なすぎるものである。この結果、バリ高さ
が0.03mm以上もあり、性能上不十分であった。ま
た、比3は、S含有量は0.005〜0.020重量%
の範囲内に収まっているものの、Mgが0.012重量
%と、0.005重量%よりも多く混入してしまった例
である。そして、バリ高さ0.033mmと、不十分な
結果となった。
ぞれP含有量が0.001重量%,S含有量が0.00
2重量%と少なすぎるものである。この結果、バリ高さ
が0.03mm以上もあり、性能上不十分であった。ま
た、比3は、S含有量は0.005〜0.020重量%
の範囲内に収まっているものの、Mgが0.012重量
%と、0.005重量%よりも多く混入してしまった例
である。そして、バリ高さ0.033mmと、不十分な
結果となった。
【0027】これら比1〜比3を、実1〜実9と比較し
て総合的に判断すれば、「P,Sの含有量が少な過ぎる
とバリ高さの抑制効果が不十分である」ということ、
「P,Sの含有量が適当な範囲内にあっても、Mgが所
定以上多く混入するとバリ高さ抑制効果が不十分なもの
となる」ということが分かる。
て総合的に判断すれば、「P,Sの含有量が少な過ぎる
とバリ高さの抑制効果が不十分である」ということ、
「P,Sの含有量が適当な範囲内にあっても、Mgが所
定以上多く混入するとバリ高さ抑制効果が不十分なもの
となる」ということが分かる。
【0028】一方、比4はCu+Moが1.5重量%以
上の比較例であり、比5はCu+Moが0.1重量%以
下の比較例であり、比6はMnが1.0重量%以上の比
較例である。これらは、いずれも熱膨張係数、耐食性、
ハンダ付け性、メッキ性の全部又は一部の性能が不十分
であった。特に、比4,比6はいずれも熱膨張係数が従
来品(比7)に比べて大きくなりすぎており、ICモー
ルドを製造する場合にシリコン半導体との熱膨張差が大
きくなりすぎる。
上の比較例であり、比5はCu+Moが0.1重量%以
下の比較例であり、比6はMnが1.0重量%以上の比
較例である。これらは、いずれも熱膨張係数、耐食性、
ハンダ付け性、メッキ性の全部又は一部の性能が不十分
であった。特に、比4,比6はいずれも熱膨張係数が従
来品(比7)に比べて大きくなりすぎており、ICモー
ルドを製造する場合にシリコン半導体との熱膨張差が大
きくなりすぎる。
【0029】これらのことから、Cu,Moは一定範囲
(0.1重量%≦Cu+Mo≦1.5重量%)内で含有
される必要があり、Mg,Mnはでき得る限り少なく抑
制すべきで、少なくともMg≦0.005重量%、Mn
≦1.0重量%の条件を満足する必要があることが分か
る。
(0.1重量%≦Cu+Mo≦1.5重量%)内で含有
される必要があり、Mg,Mnはでき得る限り少なく抑
制すべきで、少なくともMg≦0.005重量%、Mn
≦1.0重量%の条件を満足する必要があることが分か
る。
【0030】一方、特にバリ高さの抑制効果とP,S含
有量との関係を明らかにすべく、34Ni−Fe合金に
対して、Pだけ、あるいはSだけを積極的に添加し、上
述のバリ高さ測定試験と同様の試験を行ない、P,S含
有量を横軸に、バリ高さを縦軸に整理した結果を図2
に、□,◆の記号を結んだ折れ線グラフで示す。また、
図2中には、実1〜実9に対応するポイントも、○,
●,等の記号で合わせて記入した。
有量との関係を明らかにすべく、34Ni−Fe合金に
対して、Pだけ、あるいはSだけを積極的に添加し、上
述のバリ高さ測定試験と同様の試験を行ない、P,S含
有量を横軸に、バリ高さを縦軸に整理した結果を図2
に、□,◆の記号を結んだ折れ線グラフで示す。また、
図2中には、実1〜実9に対応するポイントも、○,
●,等の記号で合わせて記入した。
【0031】図から分かる様に、P,Sいずれを含有さ
せてもバリ高さ抑制効果はほぼ同様であり、両方を含ん
でいる実8との関係からも分かる様に、これらP,S
は、その合計含有量としてバリ高さ抑制効果を判断する
ことができる。そして、合計約0.020重量%以上で
は、それ以上添加量を増やしてもバリ高さ抑制効果はそ
れほど向上しないことが分かった。むしろ、添加量が増
大するに従って、製品の割れが発生し、歩留まりが低下
することを確認した。このことから、P,S添加の上限
は、0.020重量%とすることができる。また、P,
S合計添加量が0.005重量%付近から上では、バリ
高さをほぼ0.025mm以下に抑制でき、良好である
が、例えば合計0.003重量%程度ではそれほど向上
しないことが分かる。このことから、P,S含有量の下
限として合計0.005重量%という数値を得ることが
できる。
せてもバリ高さ抑制効果はほぼ同様であり、両方を含ん
でいる実8との関係からも分かる様に、これらP,S
は、その合計含有量としてバリ高さ抑制効果を判断する
ことができる。そして、合計約0.020重量%以上で
は、それ以上添加量を増やしてもバリ高さ抑制効果はそ
れほど向上しないことが分かった。むしろ、添加量が増
大するに従って、製品の割れが発生し、歩留まりが低下
することを確認した。このことから、P,S添加の上限
は、0.020重量%とすることができる。また、P,
S合計添加量が0.005重量%付近から上では、バリ
高さをほぼ0.025mm以下に抑制でき、良好である
が、例えば合計0.003重量%程度ではそれほど向上
しないことが分かる。このことから、P,S含有量の下
限として合計0.005重量%という数値を得ることが
できる。
【0032】なお、実2の組成の合金について最終焼鈍
温度だけを450℃,500℃,600℃,720℃,
800℃と変えた最終板厚0.2mmの帯板を製造し、
それぞれについて、端部から長さ150mmのスリット
を2本剪断し、幅2mmの細い細帯を形成し、当該細帯
先端の反りを計測したところ、焼鈍温度450℃のもの
では0.2mm、500℃のもので0.1mm、600
℃で0.05mm、720℃で0.01mm、800℃
でほぼ「0」であった。このことから、最終焼鈍温度は
500℃以上とすることが望ましいことが分かった。ま
た、これら最終焼鈍温度を変えた各帯板について、ポン
チで打ち抜き加工をして剪断面を顕微鏡で観察したとこ
ろ、焼鈍温度が上昇するにつれて(剪断面)/(全断
面)の比率が上昇した。そして、720℃当りを遷移温
度としてそれ以上ではほぼ全断面が剪断面となり、形状
精度が悪くなった。このため、精密形状を打ち抜き加工
するには、焼鈍温度が720℃を越えないことが望まし
いことも分かった。
温度だけを450℃,500℃,600℃,720℃,
800℃と変えた最終板厚0.2mmの帯板を製造し、
それぞれについて、端部から長さ150mmのスリット
を2本剪断し、幅2mmの細い細帯を形成し、当該細帯
先端の反りを計測したところ、焼鈍温度450℃のもの
では0.2mm、500℃のもので0.1mm、600
℃で0.05mm、720℃で0.01mm、800℃
でほぼ「0」であった。このことから、最終焼鈍温度は
500℃以上とすることが望ましいことが分かった。ま
た、これら最終焼鈍温度を変えた各帯板について、ポン
チで打ち抜き加工をして剪断面を顕微鏡で観察したとこ
ろ、焼鈍温度が上昇するにつれて(剪断面)/(全断
面)の比率が上昇した。そして、720℃当りを遷移温
度としてそれ以上ではほぼ全断面が剪断面となり、形状
精度が悪くなった。このため、精密形状を打ち抜き加工
するには、焼鈍温度が720℃を越えないことが望まし
いことも分かった。
【0033】以上本発明の実施例を説明したが、本発明
はこれら実施例に限定されるものではなく、その要旨を
逸脱しない範囲内で種々なる態様にて実現することがで
きることはいうまでもない。
はこれら実施例に限定されるものではなく、その要旨を
逸脱しない範囲内で種々なる態様にて実現することがで
きることはいうまでもない。
【0034】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明のリードフレ
ーム用Fe−Ni合金及びリードフレーム用帯板によれ
ば、薄板から打ち抜き加工をしたときに発生するバリの
高さを十分に抑制することができる。しかも、Ni含有
量が従来品の42重量%に比べて少ないにもかかわら
ず、熱膨張係数、耐食性、ハンダ付け性、メッキ性にお
いて従来品に劣らない。この結果、高価なNiの使用量
を減少せしめてコストダウン効果をも発揮する。
ーム用Fe−Ni合金及びリードフレーム用帯板によれ
ば、薄板から打ち抜き加工をしたときに発生するバリの
高さを十分に抑制することができる。しかも、Ni含有
量が従来品の42重量%に比べて少ないにもかかわら
ず、熱膨張係数、耐食性、ハンダ付け性、メッキ性にお
いて従来品に劣らない。この結果、高価なNiの使用量
を減少せしめてコストダウン効果をも発揮する。
【図1】 バリ高さの計測に関する説明図である。
【図2】 P,S含有量とバリ高さとの関係を現したグ
ラフである。
ラフである。
1・・・孔、2・・・エッジ、3・・・帯板本体。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(56)参考文献 特開 平3−197646(JP,A)
特開 平4−231418(JP,A)
特開 昭59−100215(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
C22C 38/00 - 38/60
C21D 9/46
Claims (4)
- 【請求項1】 Ni:32〜35重量%、Cu:0.1
〜1.5重量%及び/又はMo:0.1〜1.5重量%
(但し、Cu及びMoを共に含有する場合はCu+M
o:1.5重量%以下)、S及び/又はP:合計で0.
011〜0.020重量%を含み、残部が実質上Feか
らなるプレス打ち抜き向けのリードフレーム用Fe−N
i合金。 - 【請求項2】 請求項1記載のリードフレーム用Fe−
Ni合金において、さらに、上記以外の成分として混入
するMgの含有量を0.005重量%以下に抑制したこ
とを特徴とするリードフレーム用Fe−Ni合金。 - 【請求項3】 請求項1又は請求項2記載のリードフレ
ーム用Fe−Ni合金において、さらに、上記以外の成
分として混入するMnの含有量を1.0重量%以下に抑
制したことを特徴とするリードフレーム用Fe−Ni合
金。 - 【請求項4】 請求項1〜請求項3のいずれか記載のリ
ードフレーム用Fe−Ni合金を、熱間にて鍛造,粗圧
延し、その後焼鈍し、さらに圧下率30%程度で最終板
厚まで冷間圧延し、その後、500℃〜720℃の温度
条件で焼鈍した板厚0.25mm以下のリードフレーム
用帯板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16474293A JP3379153B2 (ja) | 1993-07-02 | 1993-07-02 | リードフレーム用Fe−Ni合金及びリードフレーム用帯板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16474293A JP3379153B2 (ja) | 1993-07-02 | 1993-07-02 | リードフレーム用Fe−Ni合金及びリードフレーム用帯板 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0718384A JPH0718384A (ja) | 1995-01-20 |
JP3379153B2 true JP3379153B2 (ja) | 2003-02-17 |
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ID=15799050
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP16474293A Expired - Fee Related JP3379153B2 (ja) | 1993-07-02 | 1993-07-02 | リードフレーム用Fe−Ni合金及びリードフレーム用帯板 |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3379153B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4863651B2 (ja) | 2005-06-09 | 2012-01-25 | 本田技研工業株式会社 | 燃料電池システム |
-
1993
- 1993-07-02 JP JP16474293A patent/JP3379153B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0718384A (ja) | 1995-01-20 |
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