JP3377228B2 - フェライト合金圧延材の製造方法 - Google Patents

フェライト合金圧延材の製造方法

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JP3377228B2
JP3377228B2 JP19882092A JP19882092A JP3377228B2 JP 3377228 B2 JP3377228 B2 JP 3377228B2 JP 19882092 A JP19882092 A JP 19882092A JP 19882092 A JP19882092 A JP 19882092A JP 3377228 B2 JP3377228 B2 JP 3377228B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、セラミックの持つ硬
さと金属の持つ強さを兼備した刃物、特に電気カミソリ
の内刃や外刃の製造に適したフェライト合金圧延材の製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】Fe−Cr−Ni−Al系フェライト合
金は、母材中に径が数μm以下のNiAl系金属化合物
が分散析出しているため母材硬度が高く(ビッカース硬
度Hv:400以上)、表面硬度も熱酸化で表面に20
μm以内のα−アルミナ層を析出させて高められる。こ
のFe−Cr−Ni−Al系フェライト合金を用いれ
ば、セラミックの持つ硬さと金属の持つ強さを兼備した
電気カミソリの内刃や外刃の実現の期待がもてる。
【0003】ただ、Fe−Cr−Ni−Al系フェライ
ト合金は、高硬度材であることから、加工性に欠ける。
難加工材なのである。カミソリの内刃や外刃にするに
は、上記合金を薄材化しなければならないが、通常の冷
間圧延では焼鈍回数を極端に多くなけれはならず、ま
た、小さな圧下率でしか加工できないため、適切な薄材
化は困難である。また、熱間圧延や温間圧延の場合に
は、歩留りが悪くて生産性が低く、実用には向かない。
特に、電気カミソリの外刃に必要な30〜40μm程度
まで薄材化することは極めて困難である。
【0004】そこで、発明者らは、以下のような方法を
先に提案した。溶融状態のFe−Cr−Ni−Al系フ
ェライト合金材を、急冷凝固法で直に薄帯化し、これを
用いて刃を製造するのである(特開平3-153825号)。圧
延工程が大幅に簡素化できるのであるが、急冷凝固法に
よる薄帯は、厚みが均一でない。そのため、厚みの均一
化と、また、急冷凝固組織の改善のために、やはり冷間
圧延を必要とする。しかし、やはり、母材硬度が高くて
冷間圧延で割れを生じたりして、適切な冷間圧延は難し
い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上記事情
に鑑み、電気カミソリの刃などの作製に適した薄いFe
−Cr−Ni−Al系フェライト合金の圧延材を、簡単
な工程で容易に製造することのできる方法を提供するこ
とを課題とする。
【0006】
【問題を解決するための手段】上記課題を達成するた
め、この発明にかかるフェライト合金圧延材の製造方法
では、急冷凝固法により薄材化してなるFe−Cr−N
i−Al系フェライト合金を、950〜1200℃の範
囲内の温度で均熱した後、10℃/分以下の冷却速度で
650〜800℃の範囲の温度まで徐冷し、その後、急
冷するという温度処理を行っておいて、冷間圧延してか
ら、再び、前記温度処理を行うようにする。
【0007】以下、この発明について、より具体的に説
明する。この発明におけるFe−Cr−Ni−Al系フ
ェライト合金(以下、「フェライト合金」と言う)は、
後ほど詳しく述べるように、Cr:20〜40重量%、
Ni:10〜25重量%、Al:4〜8重量%、Zr,
Y,Hf,Ce,La,NdおよびGdのうちのいずれ
か1種または2種以上:0〜1.0重量%、Ti,Nb
およびMoのうちのいずれか1種または2種以上:0〜
2重量%、残部:Feからなる組成であることが好まし
い。
【0008】この発明の場合、急冷凝固法により薄材化
したフェライト合金を用いるが、これは、次のようにし
て得ることが出来る。まず、所望の組成に合わせた配合
で原料金属をアルミナつるぼに入れ真空溶解したあと冷
却して母合金を予め得ておく。ついで、この母合金を石
英製やカーボン製のノズル中に入れ、アルゴン雰囲気中
などの不活性雰囲気中で再び溶解し、融点〜融点+50
℃(融点直上50℃)の範囲の温度状態にした溶湯をア
ルゴンガス圧をかけノズルから回転する金属製(冷却)
ロール上に噴出させることにより、急冷凝固させ薄帯を
連続的に得る。この薄帯がにより薄材化したフェライト
合金ということになる。
【0009】急冷凝固法には単ロール法と双ロール法な
どがある。単ロール法の場合、例えば、直径300mm
の銅製のロールを1個だけ用いており、ロールの周速度
を30m/秒とした時は平均厚み約40μmの薄帯が得
られ、ロールの周速度を10m/秒とした時は平均厚み
約100μmの薄帯が得られる。普通、平均厚み30〜
150μm、幅が約50mm程度で長さが20m程度の
ものを得ることが出来る。この時のノズルとしては、例
えば、カーボン製であって先端に幅0.5mm、長さ5
0mmのスリットが設けられたノズルが例示される。ロ
ールの表面とノズルの先端の間の距離は、普通、例え
ば、1mm程度に設定する。
【0010】双ロール法の場合、例えば、直径100m
mの銅製のロールを2個、対向配置し、ロールの間隙の
20〜30mmほど上方より配したノズル先端より行う
溶湯噴射と同期してロールを回転させロールの圧力下で
急冷凝固させるようにする。ロールの周速度を30m/
秒とした時は平均厚み約80μmの薄帯が得られ、ロー
ルの周速度を10m/秒とした時は平均厚み約200μ
mの薄帯が得られる。この時のノズルとしては、例え
ば、カーボン製であって先端に幅1mm、長さ20mm
のスリットが設けられたノズルが例示される。得られる
薄帯の幅は、ロールの周速度に依存していて、周速度が
速いほど幅は狭く、例えば、周速度を10m/秒とした
時は幅約25mmの薄帯が得られる。普通、平均厚み8
0〜250μm程度で長さが40m程度のものを得るこ
とが出来る。
【0011】得られる薄帯の表面には、普通、湯じわが
認められる。幅方向ならびに長さ方向の板厚みの変動
は、単ロールの場合で±20%(幅方向)、±40%
(長さ方向)であり、双ロールの場合で±10%(幅方
向)、±30%(長さ方向)であった。しかし、普通、
薄帯の表面には、顕著な表面割れや穴などの致命的欠陥
は認められない。
【0012】このようにして得られた、急冷凝固法で得
た薄いフェライト合金を冷間圧延する前に次の熱処理を
行う。また、この熱処理は冷間圧延のあとも行う。急冷
凝固法で得た薄いフェライト合金は、脆くて非常に硬
く、そのままで冷間圧延を施してもうまくいかない。つ
まり、この薄材化フェライト合金は、急冷凝固面から内
部に向かって成長した樹枝状晶が大きな体積比率で占有
しているために非常に脆いものとなっているとともに、
凍結分散された微細なNiAl粒により600以上の高
硬度となっているのである。それで、予め熱処理で焼鈍
するのである。
【0013】また、冷間圧延のあとの熱処理は、この圧
延加工で出来た不具合、すなわち、フェライト結晶粒の
加工歪み緩和や微細フェライト結晶粒の異方性緩和、お
よび、NiAl粒の異方性緩和・粒子整形(形やサイズ
を整えること)、さらには、フェライト結晶粒とNiA
l粒の界面の歪み緩和などのためになされる。先ず、9
50〜1200℃の温度で均熱処理する。なお、この発
明で言う均熱処理とは、処理する薄いフェライト合金の
全体(表面と内部)が同じ温度状態で行う熱処理であ
る。勿論、フェライト合金が薄いものであるため、何も
特別なことをせずとも、普通に熱処理することで全体が
速やかに同じ温度となる。
【0014】冷間圧延前の均熱処理では、微細NiAl
粒の粗大化が進む。つまり、微細NiAlが成長し粗大
化するのである。ただ、均熱処理温度が、1200℃を
越えると、硬度向上をもたらすNiAl粒は急速に母材
に固溶して消失し、フェライト結晶粒の粗大化が抑えら
れず、しかも、1200℃以下に降温するに伴いNiA
lは再析出するのであるが、この時、フェライト結晶粒
界にもNiAlが析出し、結果として、合金の脆化が起
こる。
【0015】なお、冷間圧延後の均熱処理では、950
℃以上の温度とすると、冷間圧延加工で引き延ばされ線
状ないし平板状に変形したNiAl粒が、固溶・再析出
により粗大化し丸棒状ないし球状に変わり、これに従っ
てNiAl粒の異方性が緩和されてゆく。それに、フェ
ライト結晶粒とNiAl粒の間で原子拡散が起こるのに
伴い、両粒間界面の歪みも緩和される。また、NiAl
粒の異方性緩和と同時に、フェライト結晶粒自体の歪み
や異方性も緩和されてゆく。冷間圧延加工で組織に生じ
た加工組織の不具合が解消されるのである。1200℃
を越す場合の不都合は上と同様である。
【0016】950〜1200℃の温度での均熱処理の
場合、完全固溶化温度以下ではあるが、高温のため熱活
性化されており、NiAlはフェライト母相中への固溶
・再析出を激しく繰り返している。NiAlの固溶速度
・再析出速度は温度の関数ではあるが、析出速度の方が
大きく初めから一定の大きさがあるNiAl粒は粗大化
(平均粒径数μm程度)するようになる。一方、フェラ
イト母相中では新たなNiAl粒の核形成も起こってい
るが、粒径が小さなNiAl核は高温のため不安定で大
きく成長することは出来ない。硬度の上昇を抑えつつ、
加工組織の不具合を解消できるようになるのである。
【0017】均熱処理に要する時間は、温度が低いほど
長くなる。1200℃ではフェライト合金がその温度に
なれば次の徐冷に移ればよく、30分が処理時間の上限
である。1100℃では5分以上〜2.5時間以下、1
000℃では15分以上〜10時間以下である。低い温
度では均熱処理時間を長くし、高い温度では均熱処理時
間を短くするのが良いのである。低い温度で均熱処理時
間が足りないと加工組織の不具合を解消できないし、ま
た、合金硬度も低くなってくれない。高い温度で均熱処
理時間が長過ぎると、NiAl粒およびフェライト結晶
粒の粗大化を招くとともに、合金脆化が起こり加工で割
れ易くなるなどの不都合を招来する。
【0018】950〜1200℃の均熱処理のあと、降
温するのであるが、そのまま冷却するのではなく、一
旦、650〜800℃の温度まで徐冷し、普通、650
〜800℃の温度で均熱処理する。このとき、950〜
1200℃の温度から10℃/分以下の冷却速度で65
0〜800℃の温度まで徐冷する。これ以上の冷却速度
で降温させると合金の硬度が十分に低くならないからで
ある。つまり、950〜1200℃から650〜800
℃までの降温を、10℃/分以下の冷却速度で徐冷した
場合と、10℃/分を越す冷却速度で急冷した場合とで
比較すると、前者の方が1μm以下のNiAl粒の生成
が少なく、その結果、必要な硬度の低下が図れるように
なるのである。これは、徐冷中に、粒径1μm以下のN
iAl粒がより大きく成長し、その分、微細なNiAl
粒の生成が妨げられるからであると推察している。普
通、5〜8℃/分程度の冷却速度が好ましい。冷却速度
を小さくするほど硬度低下は大きくなるが、1℃/分程
度で硬度低下効果が飽和状態となるとともにエネルギー
も無駄になることから、1℃/分未満にはならないよう
にするのがよい。
【0019】650〜800℃の温度範囲とするのは、
650℃を下回ると合金の脆化が起こるからであり、8
00℃を越すと硬度低下効果が十分に現れないからであ
る。十分な合金硬度の低減を確保するという点では、6
50〜750℃の範囲であることが好ましい。均熱処理
の処理時間は、1時間以内とする。この均熱処理により
微細なNiAl粒の量が少なくなり、十分な硬度低下が
達成できるようになる。均熱処理の効果は処理時間が1
時間で飽和に達し、これ以上の処理を行ったとしても効
果の増大は期待できず、消費エネルギーの量が増えるだ
けであるため、処理時間を1時間以下とする。
【0020】続いて、急冷を行う。急冷により、Fe−
Cr−Ni−Al系フェライト合金の脆化温度領域(約
400〜600℃)を急速に通過させ、σ脆化や475
℃脆化が起こらないようにするのである。この急冷の方
法は、室温雰囲気に放置する通常の空冷やファン又はブ
ロアを用いる強制空冷などが用いられる。水冷は、熱応
力割れを起こす恐れがあるため用いない方がよい。
【0021】このようにして熱処理した薄いフェライト
合金を、冷間圧延前であれば冷間圧延する。冷間圧延
は、普通、圧延前の厚みを100とすると、圧延後の厚
みが45〜95程度となるように行う。また、圧延後で
あれば、電気カミソリの刃に合わせた形に成形する後加
工を行う。なお、後加工で所定の形に整えたフェライト
合金を、普通、酸化性雰囲気において、1100〜13
50℃程度の熱処理を行い、α−アルミナ皮膜を形成す
る。アルミナ被膜形成後は急冷するなどして合金硬度を
高くするようにする。
【0022】続いて、原材料であるFe−Cr−Ni−
Al系フェライト合金の含有元素について、その含有量
の限定理由を説明する。この発明の合金は、フェライト
生成元素であるCrおよびAlと、オーステナイト生成
元素であるNiを多量に含有したFe基合金であり、合
金を主としてフェライト相にする理由は、次の通りであ
る。フェライト相の合金は、酸化加熱処理により、緻密
で下地との密着性の良い厚いアルミナ(Al2 3 )皮
膜を形成し易いが、オーステナイト相の合金はアルミナ
皮膜が均一に生じず、剥離するからである。
【0023】〔Cr:20〜40wt%〕 Crは、合金
表面に緻密で均一なアルミナ皮膜を形成させるために必
要であるが、この発明の合金ではNiを含有するため、
合金をフェライト相にするためには、Niが下限値でA
lが上限値の場合でも25wt%以上のCrが必要であ
る。Ni量が下限値、Al量が上限値付近、Cr量が2
5wt%未満の合金ではアルミナ皮膜の形成が不完全であ
る。このため、Crの下限は25wt%である。また、合
金中のCr含有量が増加するにつれて脆化の傾向が強く
なるので、Crの上限は40wt%である。
【0024】〔Ni:10〜25wt%〕 Niは、微細
なNiAlを合金中に析出させ、母材の機械的性質(例
えば、硬度)を向上させるものと推察されるが、Alと
の共存下でNiAlを析出させるのに不可欠の元素であ
る。機械的性質の向上に十分効果的であるためには15
wt%以上のNiを必要とする。Ni量が増加すれば、N
iAlの析出には好都合であるが、オーステナイト生成
元素であるNiの含有量を増加すれば、それに伴ってC
rおよびAlの含有量を増加させる必要がある。しか
し、Ni量が25wt%を越えると、Cr量を増加させね
ばならず、そうすると脆化し易くなるので、Niの上限
値は25wt%である。
【0025】〔Al:4〜8wt%〕 Alは、微細なN
iAlを合金中に析出させ、さらに、高温酸化処理によ
り合金表面にアルミナ皮膜を形成させるために不可欠な
元素である。緻密で均一な皮膜を形成させるためには、
4wt%以上のAlを含有することが必要である。Al含
有量の増加は、NiAlの析出やアルミナ皮膜の形成に
有利であるが、8wt%を越えると合金の加工性が低下す
るので、Alの上限は8wt%である。
【0026】〔Zr,Y,Hf,Ce,La,Ndおよ
びGdのうちのいずれか1種または2種以上:0〜1.
0重量%〕 これらの各元素は必要に応じて添加される
ものであり、アルミ皮膜内に混入して皮膜の脆さを改善
するとともに皮膜直下の合金内に内部酸化物粒子として
分散し、皮膜の密着性を著しく向上させる。これらの効
果を発揮させるには、0.05wt%以上で含有させるこ
とが好ましい。他方、1wt%を越えて含有すると、合金
の加工性が急激に低下するので、上限は1wt%である。
【0027】〔Ti,NbおよびMoのうちのいずれか
1種または2種以上:0〜2.0重量%〕 これらの各
元素も必要に応じて添加されるものであり、アルミ皮膜
内に混入して皮膜の脆さを改善するとともに皮膜直下の
合金内に内部酸化物粒子として分散し、皮膜の密着性を
著しく向上させるなどの効果を奏する。ただ、2重量%
を越えて含有すると、合金特性の劣化等を招来するた
め、上限は2重量%に抑えるようにする。
【0028】〔Fe:残部〕 以上の成分の他をFeが
占める。ただし、残部が完全にFeである場合のみに限
定されず、不可避的に不純物としてFe中に存在するも
の(Si等)があってもよい。この発明の方法で得られ
たフェライト合金圧延材の用途としては、耐磨耗性や耐
食性が要求される電気カミソリの内刃、外刃が主なもの
として挙げられるが、これに限らないことは言うまでも
ない。
【0029】
【作用】この発明では、急冷凝固法により薄材化してな
るフェライト合金を用いており、バルクを何度も圧延・
焼鈍して薄材化する従来の場合と異なり、2回の焼鈍と
1回の圧延で済ませられるため、非常に工程が簡単であ
る。それに、この発明の場合、冷間圧延の前に適切な条
件の熱処理により適切な焼鈍が施されており、冷間圧延
で割れなどが生じることもないため、製造は非常に容易
である。
【0030】勿論、この発明の場合、冷間圧延の後にも
適切な条件の熱処理により適切な焼鈍が施されており、
得られた圧延材は、必要な形に整える後加工が支障なく
行える電気カミソリの刃等の製造に適したものとなって
いる。
【0031】
【実施例】以下、この発明の実施例を説明する。この発
明は、下記の実施例に限らないことは言うまでもない。
実施例では、下記組成の柱状インゴット合金1,2を母
合金として用いた。 〔合金1〕Cr:26.0重量% Ni:15.0重量
% Al:4.5重量% Zr: 0.2重量% Y: 0.6重量% Ti:
0.5重量% 残部:Fe 〔合金2〕Cr:35.0重量% Ni:21.0重量
% Al:7.0重量% Zr: 0.3重量% Nb:1.0重量% 残部:F
e −実施例1〜10− 合金1の溶湯を、単ロール法および双ロール法により急
冷凝固させて薄帯(薄材)を得た。
【0032】単ロール法の場合は、直径300mmの銅
製のロールを20m/秒の周速度で回転させながら、カ
ーボン製であって先端に幅0.5mm、長さ50mmの
スリットが設けられたノズルをロール表面から1mmだ
け離して設置し、融点〜融点+50℃の合金1の溶湯
を、アルゴンガス圧で吐出するようにした。得られた薄
帯は、厚み平均60μm、板幅は45mm、長さ20m
の連続帯であった。板厚みの変動は40〜80μmであ
った。
【0033】双ロール法の場合は、直径100mmの銅
製のロールを20m/秒の周速度で回転させながら、カ
ーボン製であって先端に幅1mm、長さ20mmのスリ
ットが設けられたノズルから、融点〜融点+50℃の合
金1の溶湯を、アルゴンガス圧で吐出するようにした。
得られた薄帯は、厚み平均150μm、板幅は20m
m、長さ40mの連続帯であった。板厚みの変動は11
0〜180μmであった。
【0034】得られた薄帯には、顕著な表面割れや穴な
どの欠陥は観察されなかった。また、得られた薄帯の硬
度はHV=600というものであった。これらの薄帯に
対し、図1に示す温度変化を経る熱処理を、表1に示す
具体的条件で実施した。なお、図1および表1中の温度
T1,T2,t1は、以下の通りである。なお、熱処理
は酸化を防ぐためアルゴン雰囲気中で行った。
【0035】T1: 950〜1200℃での均熱処理
温度 t1: 950〜1200℃での均熱処理時間 α: 950〜1200℃から650〜800℃への冷
却速度 T2: 急冷開始温度 熱処理後、薄帯を冷間圧延し、それぞれ、厚みを37μ
mと100μmにした。圧延後の平均硬度はHv:40
0を超えていた。圧延のあと、再び、上記と同じ熱処理
を施し、フェライト合金圧延材を得た。薄帯の熱処理後
の硬度、冷間圧延での割れの有無、冷間圧延のあとの熱
処理後の硬度を、表2に示す。
【0036】なお、得られたフェライト合金圧延材のう
ち、厚み37μmのものは電気カミソリの外刃の形で、
厚み100μmのものは電気カミソリの内刃の形でそれ
ぞれプレス打ち抜きを行ってみたが、割れの発生は認め
られなかった。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】−比較例1〜6− 実施例1〜10で得られた厚み150μmの薄帯に対
し、この発明の温度処理条件から外れる条件(表3)で
温度処理を行い、冷間圧延を施した。熱処理後の硬度
と、冷間圧延時の割れの有無の観察結果を表4に示す
が、比較例1〜6の場合、圧延過程で全て割れが生じる
ことが分かった。
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】−実施例11〜20− 合金2の溶湯を、単ロール法および双ロール法により急
冷凝固させて薄帯(薄材)を得た。単ロール法の場合
は、直径300mmの銅製のロールを20m/秒の周速
度で回転させながら、カーボン製であって先端に幅0.
5mm、長さ50mmのスリットが設けられたノズルを
ロール表面から1mmだけ離して設置し、融点〜融点+
50℃の合金2の溶湯を、アルゴンガス圧で吐出するよ
うにした。得られた薄帯は、厚み平均60μm、板幅は
45mm、長さ20mの連続帯であった。板厚みの変動
は40〜80μmであった。
【0043】双ロール法の場合は、直径100mmの銅
製のロールを20m/秒の周速度で回転させながら、カ
ーボン製であって先端に幅1mm、長さ20mmのスリ
ットが設けられたノズルから、融点〜融点+50℃の合
金2の溶湯を、アルゴンガス圧で吐出するようにした。
得られた薄帯は、厚み平均150μm、板幅は20m
m、長さ40mの連続帯であった。板厚みの変動は11
0〜180μmであった。
【0044】得られた薄帯には、顕著な表面割れや穴な
どの欠陥は観察されなかった。また、得られた薄帯の硬
度はHV=660というものであった。これらの薄帯に
対し、図1に示す温度変化を経る熱処理を、表5に示す
具体的条件で実施した。熱処理後、薄帯を冷間圧延し、
それぞれ、厚みを37μmと100μmにした。圧延後
の平均硬度はHv:450を超えていた。圧延のあと、
再び、上記と同じ熱処理を施し、フェライト合金圧延材
を得た。薄帯の熱処理後の硬度、冷間圧延での割れの有
無、冷間圧延のあとの熱処理後の硬度を表6に示す。
【0045】なお、得られたフェライト合金圧延材のう
ち、厚み37μmのものは電気カミソリの外刃の形で、
厚み100μmのものは電気カミソリの内刃の形でそれ
ぞれプレス打ち抜きを行ってみたが、割れの発生は認め
られなかった。
【0046】
【表5】
【0047】
【表6】
【0048】−比較例7〜12− 実施例11〜20で得られた厚み60μmの薄帯に対
し、この発明の温度処理条件から外れる条件(表7)で
温度処理を行い、冷間圧延を施した。熱処理後の硬度
と、冷間圧延時の割れの有無の観察結果を表8に示す
が、比較例7〜12の場合、圧延過程で全て割れが生じ
ることが分かった。
【0049】
【表7】
【0050】
【表8】
【0051】実施例と比較例の割れの有無の調査結果を
みれば、この発明の場合、熱処理により適切に焼鈍され
ていることがよく分かる。
【0052】
【発明の効果】この発明にかかるフェライト合金圧延材
の製造方法では、急冷凝固法により薄材化してなるフェ
ライト合金を用いていて、2回の焼鈍と1回の圧延で済
ませられるため、非常に工程が簡単ある上、適切な焼鈍
が施されており、冷間圧延が支障なく行われるため、製
造は非常に容易であり、しかも、冷間圧延の後にも適切
な焼鈍が施されていて、後加工性が良いため、電気カミ
ソリの刃などの製造に適するものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の熱処理における処理時間の経過と処
理温度の関係をあらわすグラフである。
【符号の説明】
T1: 950〜1200℃での均熱処理温度 t1: 950〜1200℃での均熱処理時間 α: 950〜1200℃から650〜800℃への冷
却速度 T2: 急冷開始温度
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C22C 38/40 C22C 38/40 38/50 38/50 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 9/46 C21D 6/00 102 C21D 8/00 C22C 30/00 C22C 38/00 302 C22C 38/40 C22C 38/50

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Cr:25〜40重量%、Ni:10〜
    25重量%、Al:4〜8重量%、残部:Feからなる
    組成であり急冷凝固法により薄材化してなるFe−Cr
    −Ni−Al系フェライト合金を、950〜1200℃
    の範囲内の温度で均熱した後、10℃/分以下の冷却速
    度で650〜800℃の範囲の温度まで徐冷し、その
    後、急冷するという温度処理を行っておいて、冷間圧延
    してから、再び、950〜1200℃の範囲内の温度で
    均熱した後、10℃/分以下の冷却速度で650〜80
    0℃の範囲の温度まで徐冷し、その後、急冷するという
    温度処理を行うようにするフェライト合金圧延材の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 Cr:25〜40重量%、Ni:10〜
    25重量%、Al:4〜8重量%、Zr,Y,Hf,C
    e,La,NdおよびGdのうちのいずれか1種または
    2種以上:1.0重量%以下の有効量、Ti,Nbおよ
    びMoのうちのいずれか1種または2種以上:2重量%
    以下の有効量、残部:Feからなる組成であり急冷凝固
    法により薄材化してなるFe−Cr−Ni−Al系フェ
    ライト合金を、950〜1200℃の範囲内の温度で均
    熱した後、10℃/分以下の冷却速度で650〜800
    ℃の範囲の温度まで徐冷し、その後、急冷するという温
    度処理を行っておいて、冷間圧延してから、再び、95
    0〜1200℃の範囲内の温度で均熱した後、10℃/
    分以下の冷却速度で650〜800℃の範囲の温度まで
    徐冷し、その後、急冷するという温度処理を行うように
    するフェライト合金圧延材の製造方法。
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