JP3377012B2 - チョコレート利用食品及びその製造方法 - Google Patents
チョコレート利用食品及びその製造方法Info
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Description
ー感を呈するチョコレート利用食品及びその製造方法に
関する。
とを混合して製造される、いわゆるガナッシュは、例え
ばケーキ等の表面にヘラで塗布(ナッペ)したり、製菓
用の器具を用いて造花したり、又はケーキ生地の間にサ
ンドしたりして使用される高級洋菓子素材である。
態が非常に不安定であり、使用時に加温したり攪拌した
りすると、油分離や急激な粘度上昇を起こしたりして、
作業が困難となることがあり、良好な物性のものを得る
のは難しかった。また、冷蔵庫に保存して固化したもの
は、室温に放置する程度では使用可能な柔らかさにはな
らず、湯煎で融解するなど強制的に加温融解しなければ
ならなったが、この融解の際に乳化状態が壊れて分解し
てしまうことがあるため、かなり注意深く融解処理する
必要があった。
機、自動ナッペマシン、造花ロボットなどが使用されて
いるが、このような機器の使用により物理的な力が加わ
ると、製造直後のガナッシュでも滑らかな組織が失わ
れ、場合によっては完全に油相と水相が分離し、商品価
値を著しく損なう場合があった。このような状況下にお
いて、出願人は先に、加温融解を繰り返しても油分離を
起こさず、良好な作業性を有するガナッシュ様のチョコ
レート利用食品を、特願平4-95447号(特開平5-284911
号)として出願した。当該ガナッシュ様のチョコレート
利用食品は、湯煎等で加温融解しても乳化破壊を起こす
ことなく、安定な水中油型の乳化状態を保っているが、
流動状態での使用を前提としており、自動サンド機、自
動ナッペマシン、造花ロボットなどの機器を使用し難
く、機械耐性に劣るものであった。
コレート利用食品として、多くのチョコレートホイップ
クリームが作られてきたが、これらは液状のクリームを
起泡させることにより保形性を得るものであって、本発
明とは異なる技術を用いるものである。このようなチョ
コレートホイップクリームの製造技術を用いて水中油型
の乳化状態を強化したとしても、水飴のような物性にし
かならず、作業性の良好な製品は得られない。
間保存しても滑らかな組織を保つとともに、機械耐性を
有し、使用温度範囲の広い良好な作業性を有するガナッ
シュ様のチョコレート利用食品を提供することである。
の結果、本発明者等は、所定の方法により得た水中油型
乳化物を冷却して油脂分を結晶化させた後、昇温して水
中油型乳化物を部分解乳化させることにより、良好な作
業性を有するガナッシュ様のチョコレート利用食品が得
られることを見出し、本発明を完成した。
重量%、油脂10〜44重量%、無脂乳固形分0.5〜20重量
%及び水分10〜50重量%を含むとともに、乳化剤として
HLB値が8以上のポリグリセリン脂肪酸エステルを含
む水中油型エマルジョンが、部分解乳化されてなること
を特徴とする、チョコレート利用食品である。また、本
発明は、無脂カカオ分2〜40重量%、油脂10〜44重量
%、無脂乳固形分0.5〜20重量%及び水分10〜50重量%
を含むとともに、乳化剤としてHLB値が8以上のポリ
グリセリン脂肪酸エステルを含む水中油型エマルジョン
を調製し、該水中油型エマルジョンを10℃以下に冷却し
た後、静置加温して部分解乳化することを特徴とする、
チョコレート利用食品の製造方法である。
おける無脂カカオ分とは、カカオ豆由来の固形分のう
ち、ココアバター以外の成分であり、そのような無脂カ
カオ分源としては、カカオマス、ココア、並びにこれら
を原料とする各種チョコレート及びその加工品のすべて
を使用することができる。エマルジョン全量における無
脂カカオ分の含有量は、2〜40重量%である。2重量%
より少ないと、水中油型エマルジョンを部分解乳化した
際に、可塑性の、いわゆるガナッシュ様のボディー感が
得られない。また40重量%より多いと、非常に粘度が高
くなり、製造が困難となる。
油、大豆油、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、米糠
油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、カポック
油、ゴマ油、月見草油、パーム油、シア脂、サル脂、カ
カオ脂、ヤシ油、パーム核油等の植物性油脂及び乳脂、
牛脂、ラード、魚油、鯨油等の動物性油脂を例示するこ
とができ、上記油脂類の単独若しくは混合油、又はそれ
らの硬化、分別、エステル交換等を施した加工油脂を用
いることができる。また、市販のバター、マーガリン、
ショートニング、ハードバター等を使用することもでき
る。なお、当然ではあるが、この油脂成分は上記無脂カ
カオ分源であるチョコレート等由来であってもよい。以
上例示した油脂の中でも、SUS型トリグリセリドを比
較的多く含有するものが好ましい。
は、10〜44重量%である。10重量%より少ないと、良好
な可塑性を有するガナッシュ様のボディー感は得られ
ず、44重量%より多いと、安定な水中油型乳化が不可能
である。無脂乳固形分は、本発明において安定な水中油
型乳化処理をする際に必要であり、上記無脂カカオ分源
であるチョコレート等由来であってもよいし、後述する
水性成分由来であってもよい。エマルジョン全量におけ
る無脂乳固形分の含有量は、0.5〜20重量%であり、好
ましくは2〜10重量%である。無脂乳固形分の量が下限
未満では水中油型乳化を十分に行うことができず、目標
とするエマルジョン粒径が得られない。一方、上限を超
えると組成物の粘度が非常に高くなり、乳化操作が困難
となる。
脱脂粉乳や全脂粉乳を水に溶解若しくは分散させた水性
成分、天然の生クリーム類、牛乳、濃縮乳、従来種々開
発されてきた動植物性油脂等を使用した合成クリーム類
等の乳成分を含む水性成分、又は糖類を含む水性成分と
して含まれるのが好ましい。エマルジョン全量における
水分の含有量は、10〜50重量%である。10重量%より少
ないと、水中油型に乳化するのが困難であり、50重量%
より多いと、可塑性の、いわゆるガナッシュ様のボディ
感が得られない。
としてHLB値が8以上のポリグリセリン脂肪酸エステ
ルを使用する。HLB値が8未満では、十分な乳化効果
が得られず、目標のエマルジョン径が得られない。エマ
ルジョン全量におけるポリグリセリン脂肪酸エステルの
含有量は、0.05〜1重量%であるのが好ましい。0.05重
量%未満では乳化効果が少なく、1重量%を超えると乳
化剤の味が強くなる。また乳化剤としては、当該ポリグ
リセリン脂肪酸エステルの他に、レシチン、ショ糖脂肪
酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、モノグリセリ
ド等を必要に応じて併用することができる。
風味付けや保存性のために果汁、各種洋酒等を加えた
り、甘味度調整のために水飴等の甘味剤を用いることが
できる。また、安定剤として、例えばキサンタンガム、
ローカストビーンガム、グアーガム、アラビアガム、フ
ァーセラン、CMC、微結晶セルロース等のガム類や、
ペクチン、寒天、カラギーナン、ゼラチン等を必要に応
じて使用することもできる。
ン径で7μm以下のエマルジョンの微細粒子が部分解乳
化されることにより、10μm以上のメジアン径を有する
ネットワーク構造を形成してなるものであり、そのため
長期間保存しても滑らかな組織を保ち、良好な作業性、
機械耐性を有する。次に、本発明のチョコレート利用食
品を製造する方法を説明する。まず、無脂乳固形分を含
む水性成分に、HLB値が8以上のポリグリセリン脂肪
酸エステルを添加した水相を、65〜70℃程度に加熱す
る。65℃未満では次の工程での混合物の粘度が高すぎ
て、十分な乳化効果が得難く、70℃を超えると無脂乳固
形分中の蛋白質の熱変性により、十分な乳化効果が得難
い場合がある。
ョコレート類、又は細かく刻んだチョコレート類を添加
する。この混合物に強力な剪断力を加えるために、高速
攪拌タンク、例えばホモミキサー(特殊機化工業社製)
等を使用し、混合物を乳化する。また、場合によって
は、さらに、30〜200kg/cm2で均質化を行う。このと
き、得られるエマルジョンの粒子径が、メジアン径で7
μm以下になるように乳化する。7μmを超えると、後
工程でのエマルジョンのネットワーク構造が十分に得ら
れず、保形性の弱い物性となる。なお、本発明でいうメ
ジアン径は、粒子径体積基準で累積分布の50%に相当す
る粒子径であり、レーザ回折式粒度分布測定装置により
測定した値である。
に冷却し、融解した油脂を結晶化する。この操作におい
ては、エマルジョンの粒子径は、未だメジアン径で7μ
m以下に保持しておく。なお、当該冷却工程又は均質化
工程前に、エマルジョンを滅菌(加熱)又は殺菌しても
差し支えない。また、当該冷却工程前に、絞り出し容易
なプラスチック容器に無菌的に充填するのが好ましい。
置した状態で加温する。加温する際の雰囲気温度は、20
〜45℃であるのが好ましい。20℃未満では組成物が部分
解乳化を起こし難く、45℃を超えると油脂の融解によ
り、液状で保形性のないものとなる。また、攪拌を加え
ず静置するのは、エマルジョンの部分解乳化によるネッ
トワーク構造の形成を阻害しないためである。
ることで、エマルジョンの粒子径(レーザ回折式粒度分
布測定装置による測定値)が、メジアン径で10μm以上
となるように、組成物を部分解乳化するのが好ましい。
エマルジョンの粒子径が10μm未満では、十分な保形性
とキレの良い物性が得られない。なお、ここでいう部分
解乳化とは、メジアン径で7μm以下のエマルジョン微
細粒子が、メジアン径で10μm以上の大きさに凝集した
状態をいう。そして、このメジアン径は粒子径体積基準
で累積分布の50%に相当する粒子径であり、レーザ回
折式粒度分布測定装置(LA500,株式会社堀場製作
所製)により測定した値である。
乳化状態にある好ましい組織や、良好な風味の維持のた
めに、冷蔵又は冷凍下に保管するのが好ましい。このよ
うにして得られたガナッシュ様のチョコレート利用食品
は、長期間保存しても滑らかな組織を保ち、使用温度範
囲の広い良好な作業性を有する。また、良好な機械耐性
を有し、自動サンド機、自動ナッペマシン、造花ロボッ
ト等の機器に適用することができる。
明するが、これらの実施例は本発明の範囲を何等限定す
るものではない。なお、例中、部及び%はいずれも重量
基準を意味する。 (実施例1)水17部と、デカグリセリンエステルモノオ
レート(HLB=12.9)1部と、市販の脱脂粉乳4部と、油
分22%及び無脂カカオ分78%含有ココアパウダー(ココ
アパウダー900、不二製油(株)製)13部と、水分30%含
有還元水飴(HS300、林原商事(株)製)36部と、ココア
バター(ココアバター100、不二製油(株)製)30部とを
混合し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)を用いて
65℃にて10000rpmで30分間攪拌乳化した。得られたエマ
ルジョンの粒度分布を、レーザ回折式粒度分布測定装置
(LA500、(株)堀場製作所製)により測定した結果、メ
ジアン径は2.8μmであった。
で冷却した後、30℃雰囲気で品温25℃まで静置加温し
た。加温処理後のエマルジョン粒度分布を測定したとこ
ろ、メジアン径は15.0μmであった。このようにして得
られたガナッシュ様の食品は、滑らかな組織で良好なス
プレッド性を有し、自動サンド機(新日本機械(株)製)
を使用して菓子パン等に充填しても、滑らかな組織は失
われなかった。
℃の冷蔵庫に40日間保存し、その後25℃雰囲気温度で品
温20℃になるまで戻したところ、当該ガナッシュ様食品
は、冷蔵前と同様に滑らかな組織を有するとともに、良
好なスプレッド性を有し、自動サンド機(新日本機械
(株)製)での機械耐性も良好であった。 (比較例1)加温処理を、45℃の湯煎を用いて緩やかに
攪拌しながら行う以外、実施例1と同様にしてガナッシ
ュ様食品を製造した。加温処理後のエマルジョンのメジ
アン径は、3.2μmであり、部分解乳化されていなかっ
た。得られたガナッシュ様食品は、水飴の如くキレの悪
い物性で、ナッペ作業及び造花作業が困難であった。ま
た、自動サンド機(新日本機械(株)製)での使用におい
てもキレが悪く、作業できなかった。
(200rpm)により行い、エマルジョンのメジアン径を1
3.0μmとする以外、実施例1と同様にしてガナッシュ
様食品を製造した。得られたガナッシュ様食品は、メジ
アン径が18.3μmであり、水飴の如くキレの悪い物性
で、ナッペ作業及び造花作業ができなかった。
13℃の品温となるように行い、エマルジョンのメジアン
径を4.2μmとする(部分解乳化しない)以外、実施例
1と同様にしてガナッシュ様食品を製造した。得られた
ガナッシュ様食品は、キレが悪く、糸を引くような物性
であった。
5%含有の市販生クリーム35部及び水15部に、ヘキサグ
リセリンエステルモノステアレート(HLB=11.6)1部を
添加し、65℃まで加熱した。これに、油分33%、無脂カ
カオ分7%及び無脂乳固形分16%含有ミルクチョコレー
ト(フジサニーミルクチョコレート、不二製油(株)製)
50部を加え、プロペラ攪拌機(200rpm)を用いて65℃で
30分間攪拌乳化し、次いで30kg/cm2で均質化した。得ら
れたエマルジョンの粒度分布を、レーザ回折式粒度分布
測定装置(LA500、(株)堀場製作所製)により測定した
結果、メジアン径は2.1μmであった。
℃)で品温2℃まで冷却した後、25℃雰囲気で品温23℃
まで加温処理した。このときのエマルジョン粒度分布を
測定したところ、メジアン径は16.3μmであった。この
ようにして得られたガナッシュ様の食品を、自動ナッペ
機(ジャパンシステム社製)によりスポンジケーキにナ
ッペ作業したところ、キメが細かく艶のある表面が得ら
れ、手作業と遜色のない仕上がりであった。
合比で、市販の生クリーム及び水に、ヘキサグリセリン
エステルモノステアレート(HLB=11.6)を添加し、85℃
まで加熱した。これに、細かく刻んだミルクチョコレー
トを加え、ホイッパーを用いて手攪拌により十分に混合
した。当該混合物の粒度分布を測定したところ、メジア
ン径は25.3μmであり、十分に乳化されていなかった。
室温で品温20℃まで静置加温した。このときのエマルジ
ョン粒度分布を測定したところ、メジアン径は27.2μm
であった。得られたチョコレート利用食品について、ケ
ーキにナッペ及び造花作業を試みたが、硬くて作業がで
きなかった。
とともに、良好な機械耐性を有し、使用温度範囲の広い
良好な作業性を有するガナッシュ様のボディー感を呈す
るチョコレート利用食品が得られる。
Claims (5)
- 【請求項1】 無脂カカオ分2〜40重量%、油脂10〜44
重量%、無脂乳固形分0.5〜20重量%及び水分10〜50重
量%を含むとともに、乳化剤としてHLB値が8以上の
ポリグリセリン脂肪酸エステルを含む水中油型エマルジ
ョンが、部分解乳化されてなることを特徴とする、チョ
コレート利用食品。 - 【請求項2】 エマルジョン粒子径が、メジアン径で10
μm以上であることを特徴とする、請求項1記載のチョ
コレート利用食品。 - 【請求項3】 無脂カカオ分2〜40重量%、油脂10〜44
重量%、無脂乳固形分0.5〜20重量%及び水分10〜50重
量%を含むとともに、乳化剤としてHLB値が8以上の
ポリグリセリン脂肪酸エステルを含み、メジアン径が7
μm以下である水中油型エマルジョンを調製し、該水中
油型エマルジョンを10℃以下に冷却した後、静置加温し
て部分解乳化することを特徴とする、チョコレート利用
食品の製造方法。 - 【請求項4】 部分解乳化したエマルジョンの粒子径
が、メジアン径で10μm以上であることを特徴とする、
請求項3記載の製造方法。 - 【請求項5】 静置加温を、20〜45℃の雰囲気温度下
で、15〜35℃の品温となるように行うことを特徴とす
る、請求項3又は4記載の製造方法。
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JP17712394A JP3377012B2 (ja) | 1994-07-28 | 1994-07-28 | チョコレート利用食品及びその製造方法 |
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JP17712394A Expired - Fee Related JP3377012B2 (ja) | 1994-07-28 | 1994-07-28 | チョコレート利用食品及びその製造方法 |
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JP2013158312A (ja) * | 2012-02-07 | 2013-08-19 | Sugihara Craft:Kk | 菓子・ケーキの製造方法 |
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1994
- 1994-07-28 JP JP17712394A patent/JP3377012B2/ja not_active Expired - Fee Related
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