JP3377000B2 - 半導体装置 - Google Patents

半導体装置

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JP3377000B2
JP3377000B2 JP2001144954A JP2001144954A JP3377000B2 JP 3377000 B2 JP3377000 B2 JP 3377000B2 JP 2001144954 A JP2001144954 A JP 2001144954A JP 2001144954 A JP2001144954 A JP 2001144954A JP 3377000 B2 JP3377000 B2 JP 3377000B2
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resistor
resistance
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bolometer
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    • H04ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
    • H04NPICTORIAL COMMUNICATION, e.g. TELEVISION
    • H04N25/00Circuitry of solid-state image sensors [SSIS]; Control thereof
    • H04N25/70SSIS architectures; Circuits associated therewith
    • H04N25/76Addressed sensors, e.g. MOS or CMOS sensors
    • H04N25/78Readout circuits for addressed sensors, e.g. output amplifiers or A/D converters

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  • Transforming Light Signals Into Electric Signals (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体装置に関
し、特に抵抗体とそれに流れる電流を蓄積するコンデン
サからなる積分回路を備え、この抵抗体の抵抗値変化を
検出することにより各種の物理量(赤外線、マイクロ
波、温度、磁気、圧力等)の変化を検出する赤外線セン
サ、マイクロ波/ミリ波検出器、温度センサ、磁気セン
サ、圧力センサ、ガスセンサ、フローセンサ等の半導体
装置に関するものである。なお、以下においては熱型赤
外線撮像装置を中心に説明するが、本発明は微弱な信号
成分を積分して検出する半導体装置の全てに適用可能で
ある。
【0002】
【従来の技術】従来の熱型赤外線撮像装置としては、例
えば特願平9−315455号に記載されたものがあ
る。
【0003】図14は、特願平9−315455号に記
載された従来の熱型赤外線撮像装置を示す断面図であ
る。同図に示すように、半導体基板1401には走査回
路1402が作り込まれ、その上には入射赤外線を電気
信号に変換する受光部1400が複数配設されている。
【0004】すなわち、この受光部1400の一個が撮
像装置の一画素を構成しており、二次元の赤外線画像が
得られるようにするためには、複数の画素を二次元的に
集積する必要がある。また、各受光部1400の下に
は、撮像した画像データを読み出すための走査回路14
02が同様に2次元的に集積されている。
【0005】さて、受光部1400は、ダイヤフラムと
呼ばれる膜状の構造体を有し、図中のダイヤフラム14
03においては、その下部に中空部1404が形成され
ている。この中空部1404は、予め作っておいた犠牲
層をエッチングで取り除くことにより形成される。
【0006】一方、ダイヤフラム1403の表面には、
赤外線を吸収するための赤外線吸収層1405が形成さ
れ、またダイヤフラム1403と中空部1404との境
界には、赤外線の受光により生じた熱を電気信号に変換
する熱電変換素子1406が形成されている。この熱電
変換素子1406としては、この例では温度によってそ
の電気抵抗値が変化するボロメータが用いられており、
ボロメータとしては例えばチタンが用いられている。
【0007】ところで、図14に係る熱型赤外線撮像装
置の動作について簡単に説明すると以下のようになる。
まず、各画素の受光部1400に入射した赤外線は、赤
外線吸収層1405に吸収され、各画素のダイヤフラム
1403の温度を上昇させる。その際、この温度上昇は
熱電変換素子1406(ボロメータ)によって電気信号
に変換されてから、走査回路1402を通じて順次外部
に読み出される。
【0008】ここで、図14に係る熱型赤外線撮像装置
の詳細について説明する。図15は、図14の熱型赤外
線撮像装置に使用される読み出し回路を示したものであ
る。同図に示すように、読み出し回路1500は、複数
のボロメータ1501と、各ボロメータ1501とグラ
ウンドとの間に接続された画素スイッチ1509と、N
PNトランジスタ1502と、キャンセル抵抗1503
と、PNPトランジスタ1504と、積分コンデンサ1
505と、サンプルホールド回路1506と、FPN補
正定電流源1507と、リセット信号ΦRの入力によっ
て開閉されるリセットスイッチ1508とを備えてい
る。
【0009】サンプルホールド回路1506は、前段の
NMOSトランジスタ1510および1511と、外部
から入力されたサンプルホールドパルスΦS/Hに応じ
て開閉されるスイッチ1512と、ホールドコンデンサ
1513と、後段のNMOSトランジスタ1514およ
び1515とで構成されている。
【0010】ここで、ボロメータ1501は、図14で
も説明したように、入射赤外線による発熱を感知して電
気信号に変換する。例えば、NPNトランジスタ150
2のベースに電圧Vb1を印加した場合、NPNトランジ
スタ1502のベース−エミッタ間電圧をVBEとする
と、ボロメータ1501にはVb1−VBEの電圧が加わ
る。そこで、ボロメータ1501の抵抗をRb1とする
と、NPNトランジスタ1502のコレクタにはIc1
(Vb1−VBE)/Rb1 の電流が流れることになる。
【0011】一方、PNPトランジスタ1504のベー
スに電圧Vb2を印加すると、上記同様にPNPトランジ
スタ1504のコレクタには、キャンセル抵抗1503
の抵抗をRb2としてIc2=(Vb2−VBE)/Rb2の電流
が流れる。
【0012】すると、これらIc1とIc2とはほぼ釣り合
うのだが若干異なるため、積分コンデンサ1505に
は、それらのわずかな差分であるΔI=Ic1−Ic2が流
れる。すなわち、この差分ΔIは、信号成分と除ききれ
なかったバイアス成分との和であり、大部分のバイアス
成分は取り除かれている。
【0013】このように、外部から赤外線が入射する
と、熱分離されたダイヤフラム1403(図14)の温
度が上昇し、ボロメータ1501の抵抗値が変化する。
そして、この抵抗値の変化はIc1を変化させ、差分ΔI
が積分コンデンサ1505に蓄積されることになる。
【0014】ところで、除ききれないバイアス成分は、
主として順次選択していく複数のボロメータ1501の
ばらつきによって生じるものである。キャンセル抵抗1
503には単一のものが使用されるためRb2は固定であ
るが、ボロメータ1501は複数設けられているため、
これら多数のRb1間に大きなばらつきがあると、差分Δ
Iにもばらつきを生じることになる。そこで、このよう
なばらつきを補正すべく従来においては、図15に示す
FPN補正定電流源1507をさらに設けていた。
【0015】このFPN補正定電流源1507は、図示
しない複数段の定電流源によって構成されており、各定
電流源の電流値にはI0,2・I0,4・I0, ・・・の
ように、2の整数乗の重み付けが施されている。したが
って、Rb1のばらつきに応じて、これらの定電流源のう
ちの所望のものを適宜選択することにより、Rb1のばら
つきによる差分ΔIのばらつきを軽減させるのである。
【0016】そして、このようにして補正された信号
は、積分コンデンサ1505に蓄えられてから、サンプ
ルホールド回路1506内のソースフォロワで高インピ
ーダンスから低インピーダンスに変換され、時系列でサ
ンプリングされた信号はホールドコンデンサ1513に
一時的に保持された後、出力S/Hout として出力され
る。この出力S/Houtは、図14に示した走査回路1
402によって読み出されることになる。
【0017】このように、従来の熱型赤外線撮像装置に
おいては、積分コンデンサ1505等からなる積分回路
の温度特性をいかにして改善するかが課題となってい
た。そして、積分回路の温度特性を改善する回路として
は、以下のようなものが既に提案されている。
【0018】例えば、特開平2−260914号公報に
示されるようなものがあり、コンデンサと拡散抵抗から
なる積分回路において、拡散抵抗のリーク電流の温度依
存性を補償するための他の拡散抵抗を付加し、それに流
れるリーク電流をコンデンサに加えるようにしたもので
ある。
【0019】また、特開平3−103711号公報に
は、磁気センサの出力電圧が温度によって変化しないよ
うにするため、温度によって定電流源の電流値を変化さ
せることが記されている。また、特開平8−32026
6号公報には、温度係数零の定電流特性を持つ定電流回
路を用い、ピエゾ抵抗素子に流れる電流を温度に依らず
一定にすることが記されている。
【0020】さらに、特開平8−334413号公報に
は、各画素のボロメータの他にボロメータと同じ材料お
よび構造を有する温度補償抵抗を備え、出力オフセット
電圧の温度変動を相殺することが記されている。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特願平
9−315455号に記載された熱型赤外線撮像装置で
は、ボロメータに電圧を印加することによってボロメー
タ自身が自己発熱を起こすが、この自己発熱によって積
分波形に曲がり生じ、積分回路のゲインを上げることが
できないという問題がある。すなわち、Ic1−Ic2のキ
ャンセル動作とFPN補正回路により、積分波形の振幅
を小さくしたとしても、この積分波形の曲がりに回路の
ダイナミックレンジが占有されてしまう。
【0022】また、特願平9−315455号に記載さ
れた熱型赤外線撮像装置では、バイアス電流のキャンセ
ル動作を決めるVb1、Vb2等のバイアス電圧の設定が微
妙であり、個々の撮像装置ごとの調整が煩雑になるとい
う問題がある。Ic1−Ic2のキャンセル動作の設定やF
PN補正定電流源の設定が適切でないと、積分波形の振
幅が回路のダイナミックレンジを外れてしまう。加え
て、従来では、デバイスの温度が変化したとき、画素の
直流のレベルが変化するという問題があった。
【0023】したがって、本願発明は、バイアス成分の
補正を安定かつ低ノイズで行い、信号増幅や信号処理を
円滑に行うことができるようにすることを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、請求項1に係る本発明の半導体装置は、物理
量を抵抗値に変換する1個の測定抵抗体と、この測定抵
抗体に接続されかつ測定抵抗体にバイアス電流を印加す
るとともに測定抵抗体に流れる電流を積分して蓄積する
積分回路と、測定抵抗体に接続され測定抵抗体に流れる
バイアス電流をキャンセルするキャンセル抵抗とからな
る読み出し回路を備え、積分回路に蓄積された電流に基
づいて測定抵抗体の抵抗値の変化を検出して物理量を間
接的に測定するようにした半導体装置において、上記測
定抵抗体に接続されかつ抵抗温度係数が測定抵抗に等し
い基準抵抗を備えた第1のバイアス回路と、上記キャン
セル抵抗に接続されかつ抵抗温度係数がキャンセル抵抗
に等しい基準抵抗を備えた第2のバイアス回路とを備
え、上記第1のバイアス回路は、その出力電圧を測定抵
抗体に印加する手段であり、上記第2のバイアス回路
は、その出力電圧をキャンセル抵抗に印加する手段であ
る。
【0025】この発明によれば、ボロメータ等の測定抵
抗に電圧を印加することによって測定抵抗自身が自己発
熱を起こす影響を無くすことができる。これによって積
分回路を含めた信号処理回路のダイナミックレンジに余
裕ができ、回路のゲインを上げることができる。特に初
段の積分回路のゲインを上げることにより、入力換算ノ
イズを低減することができ、S/Nを大幅に改善させる
ことができる。さらに、低ドリフト、低ノイズの特徴を
維持したまま、デジタルでバイアス設定ができる機能を
持つことができる。そして、その構成はシンプルなもの
であり、高性能な半導体装置を安価で実現することがで
きる。
【0026】上記発明において、積分回路は、コレクタ
同士が接続された第1および第2のバイポーラトランジ
スタと、コレクタに接続された積分コンデンサとによっ
て構成され、第1のバイポーラトランジスタは、そのエ
ミッタにキャンセル抵抗が接続されかつそのベースに第
2のバイアス回路が接続され、第2のバイポーラトラン
ジスタは、そのエミッタに測定抵抗体が接続されかつそ
のベースに第1のバイアス回路が接続されているもので
ある。
【0027】また、第1のバイアス回路は、温度補償さ
れた定電流回路と、この定電流回路に接続されかつ抵抗
温度係数が測定抵抗に等しい基準抵抗と、この基準抵抗
に接続されかつこの基準抵抗に生じた電圧からノイズを
除去するフィルタとを備えたものである。また、第2の
バイアス回路は、温度補償された定電流回路と、この定
電流回路に接続されかつ抵抗温度係数がキャンセル抵抗
に等しい基準抵抗と、この基準抵抗に接続されかつこの
基準抵抗に生じた電圧からノイズを除去するフィルタと
を備えたものである。
【0028】上記発明において、半導体装置は、赤外線
センサ、マイクロ波/ミリ波検出器、温度センサ、磁気
センサ、圧力センサ、ガスセンサまたはフローセンサの
何れかである。
【0029】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て図を用いて説明する。 [第1の実施の形態]図1は、本発明の第1の実施の形
態を示す熱型赤外線撮像装置のブロック図である。
【0030】同図に示すように、本実施の形態の熱型赤
外線撮像装置は、複数の読み出し回路117と、ボロメ
ータ用のバイアス回路120と、キャンセル抵抗用のバ
イアス回路121と、FPN補正回路用のバイアス回路
122と、マルチプレクサ110と、水平シフトレジス
タ118と、垂直シフトレジスタ119とを備えてい
る。
【0031】バイアス回路120は、定電流回路101
と基準抵抗回路102とフィルタ103とで構成されて
いる。同様に、バイアス回路121は、定電流回路11
1と基準抵抗回路112とフィルタ113とで構成さ
れ、バイアス回路122は、定電流回路114と基準抵
抗回路115とフィルタ116とで構成されている。
【0032】読み出し回路117は、バイアス回路12
0および121に接続された積分回路105と、この積
分回路105と電源との間に接続されたキャンセル抵抗
106と、積分回路105に接続されたn(n:任意の
自然数)個のボロメータ104と、このボロメータ10
4とグラウンドとの間に接続されたNMOSトランジス
タからなるn個の画素スイッチ107と、積分回路10
5に接続されたサンプルホールド回路109と、積分回
路105の出力に接続されかつバイアス回路122と接
続されたFPN補正回路108とを備えている。
【0033】そして、図14,15に示した従来例同様
に、ボロメータ104は画素毎に形成されたダイヤフラ
ムに形成され、入射した赤外線の変化を電流変化に変換
する手段である。画素スイッチ107は、ダイヤフラム
の下に形成されたNMOSトランジスタであり、ボロメ
ータ104の選択/非選択を決定する手段である。
【0034】キャンセル抵抗106は、積分回路105
を介してボロメータ104に接続され、ボロメータ10
4に流れる電流のバイアス成分をキャンセルする手段で
ある。FPN補正回路108は、ボロメータ104に流
れる電流のばらつきを低減する手段である。
【0035】積分回路105は、ボロメータ104、キ
ャンセル抵抗106、FPN補正回路108に流れる電
流を積分する手段である。サンプルホールド回路109
は、積分回路105の出力をサンプリングして保持する
手段である。
【0036】さて、ボロメータ104と画素スイッチ1
07とで構成される画素は、図14で示した半導体基板
1401上に、1次元ないしは2次元状に複数配設され
ている。例えばy方向にこのような画素を複数形成し、
各画素を1個の積分回路105に接続する。そして、こ
の積分回路105にキャンセル抵抗106、FPN補正
回路108およびサンプルホールド回路109を接続し
て1個の読み出し回路117を構成する。
【0037】このとき、1次元の熱型赤外線撮像装置で
あれば、読み出し回路117を1個設ければよい。それ
に対して、2次元の熱型赤外線撮像装置であれば、この
ようにして作られた読み出し回路117をx方向に複数
配置する。そして、さらに読み出し回路117に近接し
てマルチプレクサ110を設けることにより、各読み出
し回路117の信号を適宜切り換えられるようにする。
【0038】したがって、水平シフトレジスタ118
は、マルチプレクサ110を制御することによって複数
ある読みだし回路117の一個を選択することができ
る。一方、垂直シフトレジスタ119は、1次元および
2次元の場合の両方で使用され、画素スイッチ107を
制御することによって各積分回路105に接続されてい
るボロメータ104の一個を選択する。
【0039】ここで、本実施の形態の動作について説明
する。まず、バイアス回路120は、積分回路105を
介して、ボロメータ104にバイアスを与える。温度補
償された定電流回路101は、温度依存性が小さい定電
流を発生し、この定電流は基準抵抗回路102に供給さ
れる。すると、基準抵抗回路102は、ボロメータ10
4と同じ抵抗温度係数(以下、TCRという)の抵抗R
1 を持っており、温度補償された定電流I1 を受けるこ
とにより、ボロメータ104のTCRと同じ温度係数の
電圧V1 を出力する。
【0040】これはV1 =I1 ×R1 より、I1 の温度
依存性を小さくすれば、V1 はR1と同じ温度係数を持
つことによるものである。そして、この基準抵抗回路1
02の出力する電圧V1 を、フィルタ103を介して積
分回路105に接続されているボロメータ104に印加
する。すると、ボロメータ104には温度依存性の小さ
い電流I11が流れる。これはボロメータ104の抵抗値
をR11とすると、I11=V1 /R11=I1 ×R1 /R11
となり、R1 とR11のTCRを同じにしているためであ
る。
【0041】次に、バイアス回路121は、積分回路1
05を介してキャンセル抵抗106にバイアスを与え
る。温度補償された定電流回路111は、温度依存性が
小さい定電流を基準抵抗回路112に供給する。この基
準抵抗回路112は、キャンセル抵抗106と同じTC
Rの抵抗を持ち、温度補償された定電流を受け、キャン
セル抵抗106のTCRと同じ温度係数の電圧を出力す
る。そして、基準抵抗回路112の出力する電圧を、フ
ィルタ113を介してキャンセル抵抗106に印加す
る。これによって、キャンセル抵抗106には温度依存
性の小さい電流が流れる。
【0042】さらに次に、バイアス回路122は、FP
N補正回路108にバイアスを与える。温度補償された
定電流回路114は、温度依存性が小さい定電流を出力
する。この定電流を基準抵抗回路115に供給する。こ
の基準抵抗回路115は、FPN補正回路108の補正
抵抗と同じTCRの抵抗を持ち、温度補償された定電流
を受けてFPN補正回路108の補正抵抗のTCRと同
じ温度係数の電圧を出力する。そして、基準抵抗回路1
15の出力する電圧を、フィルタ116を介してFPN
補正回路108の補正抵抗に印加する。これによって、
FPN補正回路108は温度依存性の小さい電流を出力
する。
【0043】なお、図1においては、温度補償された定
電流回路101,111および114を、それぞれ別個
のものとして記載しているが、後述するように1個の温
度補償された定電流回路を用い、電流ミラー回路を介し
て3つの定電流を作り出すようにしてもよい。
【0044】次に、図1に示すバイアス回路120,1
21および122、並びに、読み出し回路117の詳細
な構成について説明する。
【0045】図2、3、4は、図1で示した本実施の形
態の具体的な回路図を示す。これらの図に示す回路素子
は、素子間の温度マッチングが良好な同一半導体基板上
に形成することが好ましいが、可変抵抗器などの調整部
品や大容量コンデンサ等としてディスクリートな部品を
適宜使用することは可能である。また、温度ドリフトの
要求仕様によっては、ペルチェ素子などを利用して半導
体基板の温度を一定に保つようにしてもよい。
【0046】図2は、図1に係る熱型赤外線撮像装置の
具体的な回路図を示す。同図に示すように、本実施の形
態の熱型赤外線撮像装置は、複数の読み出し回路201
と、ボロメータ用のバイアス回路212と、キャンセル
抵抗用のバイアス回路218と、FPN補正回路用のバ
イアス回路224と、マルチプレクサ231と、水平シ
フトレジスタ232と、垂直シフトレジスタ233とを
備えている。
【0047】バイアス回路212は、定電流回路213
と、NPNトランジスタ214および215と、抵抗2
16と、フィルタ217とで構成されている。同様に、
バイアス回路218は、定電流回路219と、PNPト
ランジスタ220および221と、抵抗222と、フィ
ルタ223とで構成されている。同様に、バイアス回路
224は、定電流回路225と、NPNトランジスタ2
26および227と、抵抗228と、フィルタ229と
で構成されている。
【0048】読み出し回路201は、抵抗207と、P
NPトランジスタ208と、NPNトランジスタ204
と、ボロメータ202と、画素スイッチ203と、FP
N補正回路236と、リセットスイッチ206と、積分
コンデンサ205と、サンプルホールド回路230とで
構成されている。
【0049】さて、このように構成された読み出し回路
201において、NPNトランジスタ204は、図1
4,15に示した従来例同様に、エミッタに複数(ここ
ではn個(n:任意の自然数))のボロメータ202が
接続され、コレクタに積分コンデンサ205が接続され
ている。すなわち、ボロメータ202の抵抗変化は、電
流変化に変換され、積分コンデンサ205に蓄えられる
ようになっている。
【0050】画素スイッチ203は、ボロメータ202
とグラウンドとの間に接続され、NPNトランジスタ2
04に接続されている複数のボロメータ202の一個な
いしはいくつかを選択する。PNPトランジスタ208
は、エミッタにキャンセル抵抗207が接続され、コレ
クタに積分コンデンサ205が接続されることにより、
ボロメータ202を流れる電流からバイアス成分を除去
する。
【0051】FPN補正回路236は、ゲート同士が接
続された複数のNPNトランジスタ211と、各NPN
トランジスタ211のエミッタに接続された抵抗209
と、各抵抗209に接続されたNMOSトランジスタ2
10と、全てのNMOSトランジスタ210のベースに
接続されたFPNデータバッファ235および234を
備えている。
【0052】このように、1個のNPNトランジスタ2
11と1個のFPN補正抵抗209と1個のNMOSト
ランジスタ210とは、一組の定電流源を構成してお
り、電流値設定が異なる複数の定電流源を複数組配置す
ることにより、ボロメータ202の抵抗値のばらつきを
低減させることができる。このボロメータ202の抵抗
値のばらつきは、一般に固定パタンノイズと呼ばれ、以
下においてはFPNと呼ぶ。
【0053】さて、これら複数の定電流源の電流値設定
は、デジタル設定が可能である。すなわち、ボロメータ
202の抵抗のばらつきに応じて、複数あるうちの所望
のNMOSトランジスタ210を選択してオン/オフさ
せることによって合成抵抗を可変することができ、積分
コンデンサ205に流れる積分電流の画素間ばらつきを
減らすことができる。その結果、積分電流から大部分の
バイアス成分と画素間ばらつきを取り除くことができ
る。
【0054】なお、その際に残った成分には、信号成分
と取り除けなかったバイアスおよび画素間のばらつき成
分とが含まれており、この残りの成分は、一定期間に亘
って積分コンデンサ205に印加されて蓄積される。
【0055】さて、サンプルホールド回路230は、一
定期間に亘って電流を蓄積した後の積分コンデンサ20
5の電圧をサンプリングして一時的に保持するためのも
のである。したがって、積分回路は信号の読み出しが終
わる前に次の積分を開始することができ、積分時間を長
くすることができる。積分時間が長いほどノイズの周波
数帯域が狭まり、ノイズを低減することができる。
【0056】リセットスイッチ206は、積分コンデン
サ205に接続されており、サンプリング後に積分コン
デンサ205を一定電圧にリセットするために設けられ
ている。リセットは外部からリセットパルスΦRを以下
することによって行われる。
【0057】ところで、図1で示したように、ボロメー
タ202とNMOSトランジスタ203とで構成される
画素は、図15に示した半導体基板上に1次元または2
次元状に複数配設されている。例えばy方向にこの画素
を複数形成し、1個のNPNトランジスタ204に接続
する。1次元の熱型赤外線撮像装置であれば読み出し回
路201は1個でよいが、2次元の熱型赤外線撮像装置
であれば、この読み出し回路201をx方向に複数形成
し、各読み出し回路201の信号を切り換えるためのマ
ルチプレクサ231をさらに配置する。
【0058】水平シフトレジスタ232は、このマルチ
プレクサ231を制御し、複数ある読み出し回路201
の一個を選択するものであり、垂直シフトレジスタ23
3は、画素スイッチ203を制御し、NPNトランジス
タ204に接続されているボロメータ202の一個また
はいくつかを選択するものである。
【0059】また、バイアス回路212において、温度
補償された定電流回路213は、温度依存性が小さい定
電流I1 を出力する。NPNトランジスタ214は、こ
の定電流I1 がコレクタに印加され、エミッタにはボロ
メータ202と同じTCRを有する抵抗216が接続さ
れている。また、NPNトランジスタ214のベースお
よびコレクタには、もう一つのNPNトランジスタ21
5のエミッタおよびベースがそれぞれ接続され、NPN
トランジスタ215のコレクタは電源に接続されてい
る。
【0060】なお、NPNトランジスタ214は、ボロ
メータ202に接続されているNPNトランジスタ20
4と同じ構造および寸法にする必要がある。また、NP
Nトランジスタ214のベースは、フィルタ217を介
して各読み出し回路201のNPNトランジスタ204
のベースに接続されている。
【0061】したがって、NPNトランジスタ214の
ベースは、温度補償された定電流I 1 を受け、V1 =I
1 ×R1 +VBE11の電圧を出力する。ここで、R1 は抵
抗216の抵抗値であり、VBE11はNPNトランジスタ
214のベース−エミッタ間電圧である。V1 をNPN
トランジスタ204のベースに印加することで、ボロメ
ータ202にはV1 −VBE12の電圧が加わる。また、V
BE12は、NPNトランジスタ204のベース−エミッタ
間電圧である。そして、NPNトランジスタ204およ
び214を、同じ構造および寸法にしているため、V
BE11とVBE12はほぼ等しい。
【0062】以上の結果、ボロメータ202には、I1
×R1 の電圧が加わり、ボロメータ202の抵抗値をR
11としてI11=I1 ×R1 /R11の電流が流れる。I1
の温度依存性を小さくし、R1 とR11のTCRを同じに
しているため、ボロメータ202には温度依存性の小さ
い電流I11が流れることになる。
【0063】ところで、図2の構成からNPNトランジ
スタ215を省略し、NPNトランジスタ214のベー
スとコレクタとを接続してもこの回路は動作する。しか
し、NPNトランジスタ215は、NPNトランジスタ
214のベース電流の大部分を電源を経由して供給する
ことにより、温度補償された定電流回路213の電流I
1 の大部分をNPNトランジスタ214のコレクタに流
している。これによって同じベース電圧を与えているN
PNトランジスタ204のコレクタ電流は精度良くI1
となり、NPNトランジスタ204のコレクタ電流の温
度依存性を改善することができる。
【0064】すなわち、NPNトランジスタ215を追
加することにより、NPNトランジスタ214に存在す
る1/fノイズの影響を減らす効果があるといえ、この
点については、発明者によるシミュレーションによって
既に確認されている。また、NPNトランジスタ215
は、NPNトランジスタ214のベースのインピーダン
スを下げる効果もある。
【0065】また、抵抗216には、ボロメータ202
と同じ材料および同じ構造のものが使うことができる。
しかし、使用状況がボロメータと異なって常時電流が流
されるため、熱分離されたダイヤフラム上に形成すると
ボロメータ自身の自己発熱が過大となり、最悪の場合焼
損することが考えられる。そのため、仮に犠牲層上に形
成しても、この部分においては犠牲層をエッチングしな
い構成にすることが考えられる。
【0066】さらに、抵抗216とボロメータ202と
を同じ抵抗値にすると、I1 とI11が等しくなり、V
BE11とVBE12を精度良く等しくさせることができる。た
だし、ボロメータ202には、例えば2次元センサの場
合、x、y方向の面内ばらつきがあるため、R1 とR11
とを等しくするのは難しい。そこで、このような場合に
おいては、可能な限り両者が等しくなるように抵抗21
6を、x方向に並んだ複数のボロメータ202の中央付
近に配置したり、y方向の中央付近に配置したりするこ
とにより好ましい結果を得ることができる。
【0067】さらに、R1 とR11を等しくするため、抵
抗216として複数のボロメータ202をつなげたもの
を使用すれば、平均化によってR1 とR11の差を緩和さ
せることができる。例えば、ボロメータ202を3個並
列につないだものを3個直列につなげば、ボロメータ2
02と同じ抵抗値が得られると共に、平均化によってR
1 とR11の差も緩和される。
【0068】また、このように複数のボロメータ202
をつなげたものを使うことにより、1/fノイズを低減
させる効果も得られる。これは1/fノイズが一般的
に、キャリア総数の平方根に反比例することによるもの
であり、例えば9個のボロメータをつなげた場合、1/
fノイズを1/3に低減させることができる。
【0069】なお、抵抗216とボロメータ202とを
同じ抵抗値にできないとしても、NPNトランジスタ2
04および214の寸法を適切に設定することにより、
上記同様の効果を得ることができる。例えば、抵抗21
6がボロメータ202のa倍の抵抗値とすると、このと
き抵抗216につながるNPNトランジスタ214のエ
ミッタ面積を、ボロメータ202につながるNPNトラ
ンジスタ204のエミッタ面積の1/a倍にすることに
よりVBE11とVBE12を精度良く等しくさせることでき
る。
【0070】これは次の理由によるものであり、ベース
電流IB とベース−エミッタ間電圧VBEとの関係は、エ
ミッタ面積をAE 、比例係数をIB0、素電荷をq、ボル
ツマン定数をk、絶対温度をTとして、
【0071】 IB =AE ・IB0・Exp[qVBE/k/T] ・・・・(1)
【0072】となる。抵抗をa倍にすることでIB は1
/a倍になるが、このときAE を1/a倍にすることで
同じVBEが得られる。
【0073】同様に、バイアス回路218において、温
度補償された定電流回路219は、温度依存性が小さい
定電流I2 を出力する。PNPトランジスタ220は、
この定電流出力がコレクタに印加され、エミッタにキャ
ンセル抵抗207と同じTCRの抵抗222が接続され
ている。また、そのベースとコレクタにはもう一個のP
NPトランジスタ221のエミッタとベースがそれぞれ
接続され、PNPトランジスタ221のコレクタはグラ
ウンドに接続されている。
【0074】PNPトランジスタ220は、キャンセル
抵抗207に接続されているPNPトランジスタ208
と同じ構造および寸法にする。PNPトランジスタ22
0のベースは、フィルタ223を介して各読み出し回路
201のPNPトランジスタ208のベースに接続され
ている。
【0075】PNPトランジスタ220のベースは、温
度補償された定電流I2 を受け、V 2 =I2 ×R2 +V
BE21の電圧を出力する。ここで、R2 は抵抗222の抵
抗値であり、VBE21はPNPトランジスタ220のベー
ス−エミッタ間電圧である。V2 をPNPトランジスタ
208のベースに印加することで、キャンセル抵抗20
7にはV2 −VBE22の電圧が加わる。VBE22は、PNP
トランジスタ208のベース−エミッタ間電圧である。
PNPトランジスタ208および220は同じ構造およ
び寸法にしているため、VBE21とVBE22はほぼ等しい。
【0076】したがって、キャンセル抵抗207には、
2 ×R2 の電圧が加わり、キャンセル抵抗207の抵
抗値をR21としてI21=I2 ×R2 /R21の電流が流れ
る。I2 の温度依存性を小さくし、R2 とR21のTCR
を同じにしているため、キャンセル抵抗207には温度
依存性の小さい電流I12が流れる。
【0077】ところで、PNPトランジスタ221に
は、NPNトランジスタ215と同様の効果がある。抵
抗222とキャンセル抵抗207についても、同じ材料
および同じ構造にして、両者の抵抗値を等しくすること
が好ましいが、抵抗222をキャンセル抵抗207の抵
抗値のa倍、PNPトランジスタ220のエミッタ面積
をPNPトランジスタ208のエミッタ面積の1/a倍
にしてもよい。
【0078】さらに同様に、バイアス回路224におい
て、温度補償された定電流回路225は、温度依存性が
小さい定電流I3 を出力する。NPNトランジスタ22
6は、この定電流出力にコレクタを接続し、エミッタに
はFPN補正抵抗209の一個と同じTCRの抵抗22
8を接続する。そのベースとコレクタにはもう一個のN
PNトランジスタ227のエミッタとベースをそれぞれ
接続し、NPNトランジスタ227のコレクタは電源に
接続する。
【0079】NPNトランジスタ226は、先のFPN
補正抵抗209につながるNPNトランジスタ211と
同じ構造および寸法にする。NPNトランジスタ226
のベースは、フィルタ229を介して各読み出し回路2
01のNPNトランジスタ211のベースに接続してい
る。
【0080】NPNトランジスタ226のベースは、温
度補償された定電流I3 を受けて、V3 =I3 ×R3
BE31の電圧を出力する。ここで、R3 は抵抗228の
抵抗値、VBE31はNPNトランジスタ226のベース−
エミッタ間電圧である。V3をNPNトランジスタ21
1のベースに印加することで、FPN補正抵抗209に
はV3−VBE32の電圧が加わる。VBE32は、NPNトラ
ンジスタ226のベース−エミッタ間電圧である。NP
Nトランジスタ211と226は同じ構造および寸法に
しているため、VBE31とVBE32はほぼ等しい。
【0081】したがって、FPN補正抵抗209には、
3 ×R3 の電圧が加わり、FPN補正抵抗209の抵
抗値をR31としてI31=I3 ×R3 /R31の電流が流れ
る。I3 の温度依存性を小さくし、R1 とR31のTCR
を同じにしているため、FPN補正抵抗209には温度
依存性の小さい電流I31が流れる。
【0082】NPNトランジスタ227は、バイアス回
路212内のNPNトランジスタ215と同様の効果が
ある。抵抗228とFPN補正抵抗209の場合も、抵
抗228をFPN補正抵抗209の抵抗値のa倍、NP
Nトランジスタ226のエミッタ面積をNPNトランジ
スタ211のエミッタ面積の1/a倍にすることで、V
BE31とVBE32を等しくすることができる。
【0083】さて、温度補償された定電流回路219の
具体例としては、次のようなものを用いるとよい。
【0084】図3は、定電流回路の具体的な回路を示す
回路図である。例えば図3(a)のように、温度補償さ
れた定電圧回路301の出力を非反転増幅器302の入
力に接続し、さらに非反転増幅器302の出力をNPN
トランジスタ303のベースに接続し、そのエミッタに
拡散抵抗303aを接続している。非反転増幅器302
aはオペアンプ302aと抵抗302aおよび302c
とで構成されている。
【0085】この温度補償された定電圧回路301とし
ては、図4に示すバンドギャップリファレンス回路を使
用するとよい。
【0086】図4は、バンドギャップリファレンス回路
を示す回路図である。同図に示すように、バンドギャッ
プリファレンス回路400は、定電流源402と、この
定電流源402にベースの接続されたNPNトランジス
タ401と、このNPNトランジスタ401のエミッタ
に共通接続された抵抗403および405と、抵抗40
3および405のそれぞれに接続されたNPNトランジ
スタ404および406と、NPNトランジスタ406
とグラウンドとの間に接続された抵抗407と、ベース
に抵抗405が接続されかつコレクタに定電流源402
が接続されかつエミッタにグラウンドが接続されたNP
Nトランジスタ408とで構成されている。
【0087】このバンドギャップリファレンス回路40
0では、NPNトランジスタ404,NPNトランジス
タ406のエミッタ電流IE1,IE2は、
【0088】 IE2・R1 =(kT/q)ln(A1・IE1 /A2 /IE2 )・・・・(2)
【0089】の関係がある。ここでA1 、A2 はNPN
トランジスタ404および406のエミッタ面積で決ま
る値、kはボルツマン定数、Tは絶対温度、qは素電荷
である。
【0090】また、出力電圧V41は、NPNトランジス
タ408のベース−エミッタ間電圧VBE3と抵抗405
(R3 の両端の電圧との和となり、
【0091】 V41=VBE3 +(R2 /R1 )・(kT/q)ln(A1 ・IE1 /A2 / IE2 ) ・・・・(3)
【0092】で表される。この式(3)の右辺の第1項
および第2項は互いに逆の温度係数を持っており、回路
定数を選ぶことによってV41の温度係数を非常に小さく
することができる。また、通常このようなバンドギャッ
プリファレンス回路は、1.35[V]程度の出力電圧
で0.01[%/℃]程度の温度係数を容易に得ること
ができる。
【0093】さて、図3(a)の温度補償された定電圧
回路301の出力は、非反転増幅器302の働きによ
り、その後段に接続されているNPNトランジスタ30
3および拡散抵抗303aで必要な電圧に変換される。
非反転増幅器302のゲインGは、R31とR32によって
決まり、G=1+R32/R31となる。したがって、R31
とR32の温度係数を同じにすることで、ゲインGの温度
係数を小さくすることができる。これらR31とR32は同
じ温度になるようにすることが好ましく、同一半導体基
板上に形成したり、集合抵抗,ポテンショメータおよび
可変抵抗器等を利用したりして構成するとよい。
【0094】また、非反転増幅器302の出力する電圧
32は、NPNトランジスタ303および拡散抵抗30
3aによって温度依存性の小さい電流I31に変換され
る。NPNトランジスタ303のベース−エミッタ間電
圧をVBE、拡散抵抗303aの抵抗値をR33として、
【0095】 I31=(V32−VBE)/R33 ・・・・(4)
【0096】となる。一般のシリコンICでは、VBE
温度係数βは−2[mV/℃]程度、R33の温度係数γ
は、P- (P型低濃度)拡散抵抗を使用した場合、0.
2[%/℃]程度であるため、回路定数を適切に選べば
31の温度係数をほぼ零にすることができる。
【0097】ここで、I31の温度係数をほぼ零にする条
件は、V32の温度係数をδ[mV/℃]として、
【0098】 R33=(δ−β)/γ/I31 ・・・・(5)
【0099】となる。例えばI31として200[μA]
程度流す場合、δが小さく無視できるものと考えると、
33を5[kΩ]程度にすれば、I31の温度係数をほぼ
零にすることができ、式(4)より、このときのV32
BEを0.7[V]とすると1.7[V]となる。
【0100】したがって、温度補償された定電圧回路3
01として、図4に示したバンドギャップリファレンス
回路400を使用した場合、非反転増幅器302のゲイ
ンは1.7/1.35=1.26倍となる。回路定数に
よってはこのゲインは1となり、非反転増幅器302を
省略することは可能である。また非反転増幅器302を
適宜電圧を変換する他の手段に変更することは可能であ
る。
【0101】また、式(5)から分かるように、温度補
償された定電圧回路301の温度係数δは小さくなくて
も、回路定数を適切に選べばI31の温度係数を小さくす
ることができる。ただし、量産品等において回路定数を
固定した場合、δのばらつきはI31のばらつきにつなが
るため、δの絶対値は小さい方が好ましい。
【0102】NPNトランジスタ303のエミッタに拡
散抵抗303aを接続する構成は、NPNトランジスタ
のショットノイズ、ベース抵抗(rbb)のジョンソンノ
イズ、ベースにつながる回路ノイズの影響を減らす効果
がある。
【0103】図5は、拡散抵抗303aを変化させたと
きに、コレクタに流れる電流性ノイズを示したグラフで
ある。同図において、Rは拡散抵抗303aのジョンソ
ンノイズ、IC はコレクタ電流のショットノイズ、IB
はベース電流のショットノイズ、rbbはベース抵抗のジ
ョンソンノイズ、トータルはこれらのノイズの合計を表
わす。そして、ここではコレクタ電流が100[μ
A]、ベース抵抗100[Ω]の場合を示しており、こ
れは通常、ボロメータに流す電流が100[μA]程度
であることによるものである。
【0104】さて、同図から明らかなように、トータル
ノイズはエミッタ抵抗を大きくすることで小さくなり、
ある下限のノイズ電流に落ち着く。エミッタ抵抗値を1
00[Ω]以上にすることでトータルノイズは減り始め
るが、3[KΩ]程度以上にすることで、下限のノイズ
電流の2倍程度に抑えられる。コレクタ電流を100
[μA]とした場合、エミッタ抵抗を50[KΩ]以下
にすることでエミッタ抵抗両端の電圧は5[V]以下と
なり、通常のBiCMOS回路で扱うことができる。
【0105】また、エミッタ抵抗の値を30[KΩ]以
下にすることで、エミッタ抵抗両端の電圧は3[V]以
下となり、回路のダイナミックレンジに余裕ができる。
したがってエミッタ抵抗の値を、100[Ω]〜50
[KΩ]、好ましくは3[KΩ]〜30[KΩ]として
いる。
【0106】このように、エミッタに抵抗を接続する構
成を用いることにより、このようなノイズ低減の効果が
期待できる。そして、上記抵抗の範囲は、コレクタに流
れる電流によって若干変わるものであり、コレクタ電流
が増えるほど、好ましい抵抗値が小さくなる傾向にあ
る。
【0107】また、積分回路につながるバイアス回路と
しては、積分回路が微弱な信号を扱うことから、特に低
ノイズが要求される。そこで、ローパスフィルタを用い
ることによりノイズの高周波成分を除去することも考え
られるが、ローパスフィルタを用いただけでは、高周波
成分を除去することはできるものの、低周波ノイズ、特
に1/fノイズを除去するのは困難である。したがっ
て、上記のようなエミッタに抵抗を接続する構成は、各
回路素子に存在する1/fノイズも含めたノイズを低減
させることができるため、低ノイズが要求される用途に
好ましいといえる。
【0108】次に、温度補償された定電流回路219の
電流値を適宜変化させたい場合、図3(b)のような構
成が好ましいといえる。同図に示すように、定電流回路
324は、定電圧回路304と、非反転増幅器305
と、n個のNPNトランジスタ306と、各NPNトラ
ンジスタ306に接続された複数の抵抗307およびN
MOSトランジスタ308と、各NMOSトランジスタ
308に接続されたシフトレジスタ309とを備えてい
る。
【0109】温度補償された定電圧回路304の出力を
非反転増幅器305の入力に接続し、その非反転増幅器
305の出力を複数のNPNトランジスタ306のベー
スに接続する。各NPNトランジスタ306のエミッタ
には抵抗307が接続され、それぞれの抵抗値をR,2
R,4R,・・・,2n-1・Rと変化させて設定する。
【0110】各NPNトランジスタ306のエミッタ面
積は、抵抗307の抵抗値に反比例して、AE ,AE
2,AE /4,・・・,AE /2n-1 となるように設定
する。各抵抗307とグラウンドの間には、NMOSト
ランジスタ308を接続し、そのゲート幅は抵抗307
の抵抗値に反比例して、W,W/2,W/4,・・・,
W/2n-1 となるように設定する。シフトレジスタ30
9は、各NMOSトランジスタ308のゲートに接続し
て、トランジスタのオン/オフを制御する。
【0111】その際、各NPNトランジスタ306のコ
レクタに流れる電流は、ベース電圧が一定であるため、
抵抗307の抵抗値に反比例してバイナリーで変化され
ることになる。
【0112】ここで、エミッタ面積をバイナリーで変化
させるのは次の理由による。抵抗307の抵抗値をバイ
ナリーで変化させると、それにほぼ反比例して各NPN
トランジスタのベース電流も変化する。このとき式
(1)より、各NPNトランジスタのエミッタ面積AE
も抵抗値に反比例して変化させれば、各トランジスタ間
でVBEは同一になる。これによって各抵抗307にかか
る電圧が正確に同一になり、誤差を減少させることがで
きる。
【0113】一方、NMOSトランジスタ308のゲー
ト幅も、抵抗307の抵抗値に反比例して変化させてい
るのは次の理由による。ドレイン電流ID とドレイン−
ソース間電圧VDSの関係は、ゲート−ソース間電圧をV
GS、ゲートしきい値電圧をVT 、比例係数をID0、ゲー
ト幅をWとして、
【0114】 ID =W・ID0[(VGS−VT )・VDS−VDS 2 /2]・・・・(6)
【0115】となる。抵抗307の抵抗値をバイナリー
で変化させると、それにほぼ反比例して各NMOSトラ
ンジスタのドレイン電流も変化する。このとき各NMO
Sトランジスタ308のゲート幅も抵抗307の抵抗値
に反比例して変化させれば、各トランジスタ間でドレイ
ン−ソース間電圧は同一になる。
【0116】これによって各抵抗307にかかる電圧が
正確に同一になり、誤差を減少させることができる。た
だし、ドレイン−ソース間電圧が、抵抗307の両端の
電圧に比べて無視できるほど小さい場合、このように変
化させなくても問題はない。
【0117】また、この回路では定電流回路219に必
要な電流に応じて、シフトレジスタ309にデータを送
り、NMOSトランジスタ308のオン/オフを制御す
ることで、バイナリーで変化する温度補償された定電流
を得ることができる。すなわち、温度補償された定電流
の値をデジタル設定することができるわけである。
【0118】その際、得られる定電流の分解能は、ほぼ
LSBの定電流値となり、得られる定電流の最大電流
は、MSBの定電流値の約2倍となる。例えばMSBの
定電流値が200[μA]で8段の定電流回路を構成し
たとき、LSBは1.56[μA]となり、分解能は約
1.56[μA]、最大電流は約400[μA]とな
る。この分解能は理想的な場合を示し、実際には各ビッ
トの定電流値の誤差などの影響を受ける。
【0119】以上説明した図3(a),(b)は、定電
流回路に流れ込む電流(シンク電流)を得るものであ
る。それに対して、以下で説明する図3(c)は、定電
流回路から流れ出す電流(ソース電流)も得られる回路
である。
【0120】図3(c)において、定電流回路325
は、抵抗313と、エミッタにこの抵抗313の接続さ
れたPNPトランジスタ311と、このPNPトランジ
スタ311のベースにエミッタが接続されかつPNPト
ランジスタ311のコレクタにベースが接続されたPN
Pトランジスタ312と、PNPトランジスタ311の
コレクタとグラウンドとの間に接続された定電流回路3
10と、抵抗317と、この抵抗317にエミッタの接
続されたPNPトランジスタ316と、PNPトランジ
スタ316のコレクタにベースの接続されたPNPトラ
ンジスタ319と、PNPトランジスタ319のエミッ
タにベースの接続されたPNPトランジスタ318と、
PNPトランジスタ318のエミッタとグラウンドとの
間に接続された抵抗320と、抵抗315と、この抵抗
315にエミッタが接続されかつPNPトランジスタ3
16のベースにベースの接続されたPNPトランジスタ
314と、PNPトランジスタ318のベースにベース
の接続されたPNPトランジスタ321と、PNPトラ
ンジスタ321のエミッタとグラウンドとの間に接続さ
れた抵抗322とを備えている。
【0121】さて、本実施の形態においては、温度補償
された定電流回路310として、図3(a),(b)に
示した温度補償された定電流回路を使用することができ
る。NPNトランジスタ311は、上述のようにこの定
電流出力にコレクタが接続され、エミッタには抵抗31
3が接続されている。そのベースとコレクタにはもう一
個のNPNトランジスタ312のエミッタとベースがそ
れぞれ接続され、NPNトランジスタ312のコレクタ
はグラウンドに接続されている。NPNトランジスタ3
11のベースには、これと同じ構造、寸法のNPNトラ
ンジスタ314のベースが接続されている。そして、こ
のNPNトランジスタ314のエミッタには抵抗313
と同じ構造および寸法の抵抗315が接続されている。
これによってNPNトランジスタ314のコレクタか
ら、温度補償された定電流回路310と同じ電流値のソ
ース電流を得ることができる。
【0122】この場合も抵抗313を抵抗315の抵抗
値のa倍、NPNトランジスタ311のエミッタ面積を
NPNトランジスタ314のエミッタ面積の1/a倍に
することもできる。このソース電流は、図2の温度補償
された定電流回路213や温度補償された定電流回路2
25に使用することができる。さらに、PNPトランジ
スタ316,NPNトランジスタ318,319および
321、抵抗317,320および322で構成される
回路を追加することで、同じ電流値のシンク電流も得る
こともできる。
【0123】この回路を利用して、一個の温度補償され
た定電流回路からいくつかのソース電流およびシンク電
流を作り出し、上述の定電流回路213,222および
225等の複数の定電流回路をこれで置き換えることが
可能である。
【0124】また、定電流回路213,222および2
25の望ましい実施の形態としては、ボロメータを流れ
る電流を決める定電流回路213として6ビット程度の
温度補償された定電流回路を構成するとよい。ボロメー
タ電流は10kΩ程度のボロメータ抵抗を仮定した場合
100〜400[μA]程度あり、6ビット程度あれば
その1/64程度の分解能でボロメータ電流を設定する
ことができる。
【0125】また、キャンセル電流はボロメータ電流と
同じ程度の電流にするが、ここで問題なのがボロメータ
の自己発熱と抵抗ばらつきである。高いTCRを持つボ
ロメータは負の温度係数を持つことが多いが、自己発熱
を起こすとボロメータ抵抗が下がり、ボロメータ電流が
10〜20[%]程度増大する。
【0126】さらに、ボロメータ抵抗は、通常、10
[%p−p]程度、大きい場合では30[%p−p]程
度ばらつく。したがって、これらを考慮してキャンセル
電流を設定する必要があり、例えばボロメータ電流の1
〜1.5倍程度に設定するとよい。すなわち、このよう
にキャンセル電流をボロメータ電流の1〜1.5程度に
しておけば、ボロメータ電流を変化させたときにキャン
セル電流も一緒に変わるため、都合がよいといえる。
【0127】また、積分回路のゲインを上げる場合、キ
ャンセル電流の設定の分解能を小さくする必要がある。
積分回路の積分電流に対するゲインは積分時間をTs
積分コンデンサの容量をCとすると、Ts /Cとなる。
【0128】例えばTs として30[μs]程度、Cと
して100[pF]程度を設定することが、本発明の一
つの実施例として好ましいが、ゲインは300,000
程度になる。これは1[μA]程度の分解能でも積分出
力は0.3[V]になることになる。キャンセル電流の
設定の分解能が積分回路のダイナミックレンジを占有し
ないよう、キャンセル電流の設定のビット数は8ビット
以上あることが好ましい(このときキャンセル電流はボ
ロメータ電流の100〜150[%]まで変化し、分解
能は1[μA]である)。
【0129】上記積分ゲインを考慮すると、図2のFP
N補正回路236は6ビット程度あれば抵抗ばらつきを
1/64程度にできて好ましい。定電流回路225はF
PN補正回路の最大電流を決定する。この定電流回路2
25においても、ボロメータ電流を基本として回路を構
成することにより、ボロメータ電流を変えたときに追従
して変わるため都合がよい。例えばボロメータの抵抗ば
らつきが30[%p−p]の場合、FPN補正回路23
6の最大電流がボロメータ電流の30[%p−p]にな
るように設定する。
【0130】ボロメータの抵抗ばらつきはサンプルによ
って変化するため、定電流回路225も任意に設定でき
るように4ビット程度のバイナリー定電流源を構成する
ことが好ましい。
【0131】図6は、図2のフィルタ217,223お
よび229の具体的な回路の一例を示したものである。
同図に示すように、この例では抵抗601とコンデンサ
602を利用したローパスフィルタを構成している。こ
のローパスフィルタの遮断周波数は、抵抗601の抵抗
値をR、コンデンサ602の容量をCとして、1/(2
πCR)で表される。オペアンプ603はフィルタの出
力インピーダンスを下げるためのバッファであり、ボル
テージフォロワを構成している。
【0132】次に、従来の積分回路およびバイアス回路
と、本発明の積分回路およびバイアス回路とを図を参照
して比較してみる。図7(a)は、従来の積分回路およ
びバイアス回路の回路図と、各画素におけるコレクタ電
流を示すグラフとを示している。同様に、図7(b)
は、本発明の積分回路およびバイアス回路の回路図と、
各画素におけるコレクタ電流を示すグラフとを示してい
る。
【0133】まず、図7(a)に示すように、従来の積
分回路およびバイアス回路は、一定電圧V0 を出力する
電源701と、この電源701にベースの接続された積
分トランジスタ702と、積分トランジスタ702のエ
ミッタに接続された複数のボロメータ704と、各ボロ
メータ704に接続された画素スイッチ703と、積分
トランジスタ702のコレクタに接続された積分コンデ
ンサ705とを備えている。このように図7(a)に示
す従来例では、積分トランジスタ702のベースには一
定バイアスが印加されており、コレクタ電流(すなわ
ち、積分電流)は、
【0134】 IC =V0 /R/(1+αΔT) ・・・・(7)
【0135】となる。ここでRはボロメータ703のあ
る温度(例えば25[℃])での抵抗値、αはTCR、
ΔTはシリコン基板の温度上昇である。この式から分か
るように、ΔTが変化するとボロメータ抵抗値が小さい
画素、すなわちバイアス電流が大きい画素ではIC の変
化量が大きくなる。
【0136】逆に、ボロメータ抵抗値が大きい画素では
C の変化量は小さい。すなわち、このコレクタ電流I
C の変化量のばらつきが、デバイス温度が変化したとき
の固定パターンノイズ(FPN)そのものになるのであ
る。
【0137】これに対して図7(b)に示す本発明は、
定電流回路706と、この定電流回路706にベースの
接続されたNPNトランジスタ707と、定電流回路7
06にコレクタが接続されかつNPNトランジスタ70
7のエミッタにベースの接続されたNPNトランジスタ
708と、NPNトランジスタ708のエミッタとグラ
ウンドとの間に接続された基準抵抗709と、NPNト
ランジスタ708のベースにベースの接続されたNPN
トランジスタ712と、NPNトランジスタ712のエ
ミッタに接続された複数のボロメータ710と、各ボロ
メータ710に接続された複数の画素スイッチ711
と、NPNトランジスタ712のコレクタとグラウンド
との間に接続された積分コンデンサ713とを備えてい
る。
【0138】このように図7(b)に示す本発明では、
基準抵抗709の電圧を各ボロメータ710に加えてい
る。基準抵抗709のTCRはボロメータ710のTC
Rと同じにしてあるため、コレクタ電流IC はΔTにほ
とんど依存しない電流となり、固定パターンノイズ(F
PN)の発生を抑えることができる。
【0139】例えば320×240画素、画素ピッチ5
0[μm]程度の2次元の熱型赤外線撮像装置では、面
内のボロメータ抵抗のばらつきは10[%p−p]程度
あり、これによってバイアス電流も10[%p−p]程
度ばらつく。そのため、図7(a)に示す従来例では、
デバイス温度のx℃の変化で、バイアス電流はx[℃]
×2[%/℃]×I0 変化するが、バイアス電流のばら
つきによって、変化量はx[℃]×2[%/℃]×10
[%p−p]×I0 程度ばらつく。すなわち、固定パタ
ンノイズが生じることになる。
【0140】一方、赤外線撮像装置の温度分解能に相当
する雑音等価温度差(NETD)として0.1[℃]を
得ようとする場合を考えると、0.1[℃]の被写体の
温度変化は、ダイヤフラムの温度を0.1[m℃]程度
変化させ、ボロメータのTCRを2[%/℃]とする
と、バイアス電流I0 を2E−6×I0 程度変化させ
る。これは最小分解能温度差を見たときのバイアス変調
度に相当し、上述の固定パタンノイズをこれ以下にする
必要がある。つまり、デバイス温度変化xを1[m℃]
以内に抑える必要を意味する。ところが、通常使用され
るペルチェ素子等の温度安定化装置は、10[m℃]程
度の精度しかないため、上記条件を実現することは困難
である。
【0141】これに対して本実施の形態は、デバイスの
温度変化によってバイアス電流はほとんど変化しないた
め、この様な問題が発生しない。ただし、ボロメータの
TCRのばらつきが存在すると、本発明でも固定パタン
ノイズを生じることになる。通常、TCRのばらつきは
0.1[%]程度であるため、このような場合は100
[m℃]程度以下の精度の温度コントロールを行った方
が好ましい。
【0142】図8は、図2の回路の動作を説明するタイ
ミング図である。同図に示すように、φVは例えば30
[Hz]程度の垂直同期信号であり、垂直シフトレジス
タ233のデータ端子に入力される。φHは例えば7
[KHz]程度の水平同期信号であり、垂直シフトレジ
スタ233のクロック端子に入力される。これによって
垂直シフトレジスタ233からは、垂直選択信号V1
2 ,・・・が出力され、ある行を選択している間、各
列の読み出し回路201において積分等の読み出し動作
が行われる。
【0143】VC は、図2の積分コンデンサ205での
電圧波形(積分波形)である。サンプルホールド回路2
30にサンプルホールドパルスφS/Hを印加すること
により、積分後の電圧をサンプリングし、サンプルホー
ルド回路230内のホールドコンデンサ(図示せず)に
保持する。また、サンプリング後、リセットスイッチ2
06にリセットパルスφRを印加して積分コンデンサ2
05をリセットする。
【0144】また、水平シフトレジスタ232のデータ
端子に水平同期信号φH’を入力し、クロック端子にク
ロック信号φCLKを入力することで、水平選択信号H
1 ,H2 ,・・・の信号を得る。水平選択信号H1 ,H
2 ・・・は、図2のマルチプレクサ231を順次選択
し、各列のホールドコンデンサに保持された信号は、マ
ルチプレクサ231を介してVout として出力される。
なお、水平同期信号φH’としては、水平同期信号φH
と同じ信号を使用してもよいし別の信号を用いてもよ
い。
【0145】さらに、図2のFPNデータバッファ23
4の制御端子(書き込みを制御する端子)には、水平選
択信号H1,H2,・・・が入力され、FPNデータバッ
ファ235には、ラッチイネーブルLEが入力される。
これによってFPNデータ(DFPN )はある行の読み出
しの前にFPNデータバッファ235に転送され、行を
切り替えるタイミングでFPNデータバッファ235に
転送され保持される。FPNデータバッファ235は、
NMOSトランジスタ210につながり、FPN補正回
路236から出力される定電流値を決める。
【0146】次に、本発明のその他の実施の形態(第2
〜5の実施の形態)についてそれぞれ図を参照して説明
する。
【0147】[第2の実施の形態]図9は、本発明の第
2の実施の形態を示す熱型赤外線撮像装置の回路図であ
る。同図に示すように、本実施の形態は、1個のOB読
み出し回路901と、図2で説明したのと同様の複数の
読み出し回路910と、オペアンプ909と、ボロメー
タ用のバイアス回路913と、FPN補正回路用のバイ
アス回路914と、マルチプレクサ916と、水平シフ
トレジスタ917と、垂直シフトレジスタ915とを備
えている。
【0148】このように、本実施の形態では、OB読み
出し回路901を備えるとともに、図2のバイアス回路
218の代わりに、オペアンプ909を配置している点
に特徴を有する。そして、このオペアンプ909の+入
力端子には、読み出し回路901中の積分コンデンサ9
05が接続され、またその−入力端子にはバイアス電圧
C0が印加されている。そして、オペアンプ909の出
力端子は、読み出し回路901内のPNPトランジスタ
908のベースに接続されている。
【0149】また、OB読み出し回路901は、NPN
トランジスタ904と、PNPトランジスタ908と、
複数のボロメータ902と、各ボロメータ902とグラ
ウンドとの間に接続された画素スイッチ903と、FP
N補正回路911と、リセットスイッチ906と、積分
コンデンサ905と、サンプルホールド回路912とを
備えている。
【0150】そして、このOB読み出し回路901は、
図2に記載のものとは異なって特別な読み出し回路であ
り、内蔵されているボロメータには、入射した赤外線に
対する感度を持たないボロメータ(OBボロメータ90
2)を使用している。いわゆるオプティカルブラック・
ボロメータ(以下、OBボロメータという)と呼ばれて
いるものであり、入射した赤外線を光学的に遮蔽するな
どして作られている。
【0151】ただし、このOBボロメータ902を持つ
のは読み出し回路901のみであり、その他の読み出し
回路910は通常の読み出し回路であり、通常のボロメ
ータが使用されている。したがって、読み出し回路91
0は、赤外線に対する感度を有する。
【0152】また、本実施の形態では、PNPトランジ
スタ908のバイアス設定は、OB読み出し回路901
中の積分コンデンサ905の電圧を、一定電圧VC0に保
つようにして行われる。すなわち、デバイス温度が変化
して、OBボロメータ902の抵抗値が変化することに
よりボロメータ電流が変化した場合でも、その変化に追
従してPNPトランジスタ908側の電流が変化するよ
うになっている。そして、このPNPトランジスタ90
8のベースへのバイアス電圧は、通常の読み出し回路9
10中のPNPトランジスタにも加わっており、そのた
め読み出し回路910の積分電流もデバイスの温度変化
が補償されるようになっている。
【0153】さらに、本実施の形態では、ボロメータの
自己発熱の影響も補償することができる。通常、熱分離
したボロメータに電流を流すと、そのジュール熱によっ
てボロメータ自身が発熱し、ボロメータの温度が上昇す
る。そのため、このボロメータの自己発熱によって図8
の積分波形VC に曲がりが生じ、その曲がりが信号のダ
イナミックレンジを占有してしまうという問題を生じ
る。また、図9の回路では、OBボロメータ902も通
常のボロメータと同様に自己発熱を生じることになる。
【0154】そこで、OB読み出し回路901の積分コ
ンデンサ905の電圧が一定になるようにPNPトラン
ジスタ908にバイアスを与えることにより、自己発熱
によるボロメータ電流の変化に追従してPNPトランジ
スタ908に流れる電流も変化するようにしている。
【0155】したがって、OB読み出し回路901中の
積分コンデンサ905の電圧は一定に保たれる。そのた
め、OB読み出し回路901中の積分コンデンサ905
を省略してもよい。
【0156】[第3の実施の形態]図10は、本発明の
第3の実施の形態を示す熱型赤外線撮像装置の回路図で
ある。同図に示すように、本実施の形態は、1個のOB
読み出し回路1001と、図2で説明したのと同様の複
数の読み出し回路1010と、オペアンプ1009と、
キャンセル抵抗用のバイアス回路1013と、FPN補
正回路用のバイアス回路1014と、マルチプレクサ1
016と、水平シフトレジスタ1017と、垂直シフト
レジスタ1015とを備えている。
【0157】また、本実施の形態では、図2の回路にお
けるバイアス回路212の代わりにオペアンプ1009
を配置し、その+入力端子には読み出し回路1001中
の積分コンデンサ1005が接続され、−入力端子には
バイアス電圧VC0が印加されている。そして、オペアン
プ1009の出力は、NPNトランジスタ1004のベ
ースに接続されている。
【0158】また、この読み出し回路1001中のボロ
メータ1002もOBボロメータを構成している。この
OBボロメータを持つOB読み出し回路1001以外の
通常の読み出し回路1019は、図2と同じ構成を持
ち、赤外線に対して感度がある。
【0159】さて、第2の実施の形態で説明したよう
に、本実施の形態においても、OB読み出し回路100
1中の積分コンデンサ1005の電圧を一定電圧VC0
保つようにNPNトランジスタ1004のバイアスが設
定される。これによって図9同様に、デバイスの温度変
化やボロメータの自己発熱の影響をキャンセルすること
ができる。
【0160】[第4の実施の形態]図11は、本発明の
第4の実施の形態を示す熱型赤外線撮像装置のブロック
図である。同図に示すように本実施の形態では、読み出
し回路1101と、ボロメータ用のバイアス回路110
2と、キャンセル抵抗用のバイアス回路1106と、F
PN補正回路用のバイアス回路1107と、垂直シフト
レジスタ1113と、マルチプレクサ1114と、水平
シフトレジスタ1115とを備えている。
【0161】すなわち、本実施の形態は、各読み出し回
路1101ごとにボロメータ用のバイアス回路1102
が設けられ、このバイアス回路1102は温度補償され
た定電流源1103とFPN補正回路1104と基準抵
抗回路1105を有する点に特徴がある。そして、バイ
アス回路1102がFPN補正回路1104を持つ代わ
りに、各読み出し回路1101中にはFPN補正回路を
持たないようになっている。
【0162】また、バイアス回路1107は、バイアス
回路1102中のFPN補正回路1104にバイアスを
与えるようになっており、それ以外の構成は図1と同じ
である。すなわち、読み出し回路1101はキャンセル
抵抗1108と、積分回路1109と、ボロメータ11
10と、NMOSトランジスタからなる画素スイッチ1
111と、サンプルホールド回路1112とを備えてい
る。
【0163】このように、バイアス回路1102にFP
N補正回路1104を設けることにより、各画素毎に感
度ばらつきを補正することができる。これは図1の構成
におけるFPN補正回路は、ボロメータ電流のばらつき
に対して追加電流を補うように働くのに対し、図11の
FPN補正回路1104は、ボロメータ電流のばらつき
が生じないように働くことによるものである。したがっ
て、入射赤外線に対する感度はボロメータ電流に比例す
るため、ボロメータ電流のばらつき自体を減らすことに
より、各画素の感度ばらつきを低減することができる。
【0164】ここで、図11の詳細な構成について説明
する。図12は、図11に係る第4の実施の形態の具体
的な回路図を示したものである。同図に示すように、本
実施の形態は複数の読み出し回路1201と、各読み出
し回路1201に設けられたバイアス回路1202と、
FPN補正回路用のバイアス回路1207と、キャンセ
ル抵抗用のバイアス回路1206と、垂直シフトレジス
タ1228と、マルチプレクサ1229と、水平シフト
レジスタ1230とを備えている。
【0165】そして、各読み出し回路1201は、抵抗
1220と、PNPトランジスタ1221と、NPNト
ランジスタ1222と、ボロメータ1223と、画素ス
イッチ1224と、リセットスイッチ1225と、積分
コンデンサ1227と、サンプルホールド回路1226
とを備えている。
【0166】また、各バイアス回路1202は、FPN
補正回路1203と、温度補償された定電流回路120
4と、基準抵抗回路1205とを備えている。FPN補
正回路1203は、抵抗1215aと、PNPトランジ
スタ1208および1209と、NPNトランジスタ1
210と、抵抗1211と、NMOSトランジスタ12
12と、データバッファ1213および1214と、抵
抗1215と、PNPトランジスタ1216とを備えて
いる。各FPN補正回路1203中のNPNトランジス
タ1210のベースは、バイアス回路1207の出力に
接続されている。
【0167】基準抵抗回路1205は、ボロメータ12
23と同じTCRの抵抗1219と、NPNトランジス
タ1217および1218を有し、基準抵抗回路120
5のNPNトランジスタ1217のベースは、NPNト
ランジスタ1218のコレクタに接続されている。ま
た、抵抗1219をボロメータ1223の抵抗値のa倍
にし、NPNトランジスタ1222のエミッタ面積をN
PNトランジスタ1222のエミッタ面積の1/a倍に
してもよい。
【0168】温度補償された定電流回路1204は、図
2の例と同様に温度依存性の小さい電流I0 を出力す
る。
【0169】さて、図2のNPNトランジスタ211、
FPN補正抵抗209、NMOSトランジスタ210と
同様に、ボロメータの抵抗値のばらつきに応じてデジタ
ル設定された定電流を出力する。この定電流も、バイア
ス回路1207によって温度依存性の小さいものになっ
ている。FPN補正回路1203は、図3(c)の構成
と同様に、ソース電流を得る構成になっている。
【0170】温度補償された定電流回路1204とFP
N補正回路1203の出力する電流を足し合わせて基準
抵抗回路1205に流し、基準抵抗回路1205の出力
するバイアス電圧をNPNトランジスタ1222のベー
スに加えることで、各ボロメータ電流は温度依存性がほ
とんどなくなると共に、ばらつきも減少し、感度ばらつ
きも減少する。
【0171】前述したように、320×240画素、画
素ピッチ50[μm]程度の2次元の熱型赤外線撮像装
置では、面内のボロメータ抵抗のばらつきは10[%p
−p]程度あり、このとき従来の回路では、抵抗のばら
つきと同じ程度、つまり10[%p−p]程度の感度ば
らつきが発生する。これに対して本実施の形態は、ボロ
メータの抵抗ばらつきがあっても、バイアス電流がほぼ
同じになるように補正するため、感度ばらつきを大幅に
低減できる。残った感度ばらつきはTCRの面内ばらつ
きによるものであり、上記熱型赤外線撮像装置では0.
1[%p−p]程度である。
【0172】[第5の実施の形態]図13は、本発明の
第5の実施形態を示す撮像装置全体のブロック図であ
る。同図に示すように、本実施の形態に係る撮像装置
は、撮像素子1301と、増幅器1302と、サンプル
ホールド回路1303と、A/Dコンバータ1304
と、VRAM1305と、FPNメモリコントローラ1
306と、FPNメモリ2と、FPNメモリ1307
と、デジタル減算器1308と、D/Aコンバータ13
09と、NTSC(National Television System Commi
ttee)信号発生器1310と、コンパレータ1311
と、FPNメモリコントローラ1312と、FPNメモ
リ1313と、ペルチェ素子等からなる温度安定化素子
1314と、温度調整素子の駆動を制御するペルチェ制
御回路1315と、光学系1316とを備えている。
【0173】撮像素子1301は、例えば図2に示した
構成を一枚のシリコン基板上に形成するよって構成され
る。また、撮像素子1301と対向して光学系1316
が配設されており、外部から入射した光はこの光学系1
316によって撮像素子1301上に集光される。する
と、撮像素子1301は光を電気信号に変換し、撮像素
子1301内の積分回路等によって増幅してから外部に
出力する。
【0174】増幅器1302は、撮像素子1301の出
力信号を増幅してからサンプルホールド回路1303に
入力し、サンプルホールド回路1303は、受信した信
号を一時的に保持する。なお、増幅器1302は、撮像
素子1301の出力信号が十分大きければ使用しなくて
もよい。
【0175】A/D変換器1304は、サンプルホール
ド回路1303で保持された信号をデジタル信号に変換
する。そして、このA/D変換器1304のビット数
は、赤外線撮像装置を例にとって考えると次のようにな
る。例えば、被写体の温度分解能を0.1[℃]、被写
体の温度のダイナミックレンジを100[℃]とする
と、この時点で10ビット(約1000階調)のビット
数が必要になる。そして、さらに量子化誤差を減らすた
め、最小温度分解能あたり2ビット(4階調)を割り振
ると、合計12ビットのデータ幅がA/D変換器130
4に必要になる。
【0176】VRAM1305は、各画素の12ビット
のデジタル信号を保持するメモリであり、例えば撮像素
子1301が320×240の画素数であるとした場
合、320×240×12ビット程度の容量があればよ
い。なお、データをバイト単位で管理するため、必要に
応じて大きな容量(例えば320×240×16ビッ
ト)を用意することは可能である。
【0177】FPNメモリ1307は、撮像素子130
1内で行われるFPN補正で取りきれなかったばらつき
を補正するための記憶手段であり、補正のための各画素
のばらつきデータが保持されている。FPNメモリコン
トローラ1306は、このFPNメモリ1307を制御
するための回路であり、デジタル減算器1308はリア
ルタイムでやってくる各画素の信号から、各画素のばら
つき量を減算するためのものである。このばらつきデー
タの取得は、撮像素子1301内のFPN補正データを
取得した後、次のようなシーケンスで行うとよい。
【0178】まず、入射光をシャッター等で遮断した状
態でA/D変換器1304から出力される各画素のデー
タは、撮像素子1301内のFPN補正で取りきれなか
ったばらつきを持っているため、このデータをFPNメ
モリ1307に記憶させる。
【0179】この操作は電源投入時や、前回の補正がず
れたときなどに行い、通常の撮像状態では、この記憶さ
れたFPNメモリ1307のばらつきデータを減算器1
308に渡して、リアルタイムでやってくる各画素の信
号から減算してばらつきの無い信号を得るようにする。
【0180】なお、減算器1308の代わりに加算器を
用いてもよいことは当然であり、すなわちFPNメモリ
1307のデータの補数をとってから加算器を用いるこ
とにより、減算器と同等の演算を行うことができる。ま
た、減算器1308の位置は、必ずしも図13に示され
る位置に配置される必要はなく、VRAM1305とD
/A変換器1309との間にあってもよい。
【0181】その後、D/A変換器1309は、このよ
うにして処理されたデジタル信号をアナログ信号に変換
してから、NTSC信号発生器1310に出力する。N
TSC信号発生器1310は、このアナログ信号と所定
の同期信号とを合成することにより、NTSCコンポジ
ット信号を出力する。また、NTSC信号発生器131
0の代わりに、必要に応じてPAL(Phase Alternatio
n by Line)やRGB出力など他の方式の信号発生器を
用いてもよい。
【0182】ところで、撮像素子1301内のFPN補
正回路に供給する補正データの取得は、次のようにして
行われる。本実施の形態で使用されるコンパレータ13
11は、デジタルコンパレータであり、各画素の信号レ
ベルと所定の基準レベルとの大小関係を判定する。
【0183】この基準レベルは、撮像素子1301内の
積分回路や増幅器、A/D変換器等、信号処理回路のダ
イナミックレンジの上限又は下限に設定したり、この上
限又は下限に所定のレベルの余裕を加えた値に設定する
ことができる。大小関係の判定には、所定の基準レベル
以上のものを良としたり、所定の基準レベル以下のもの
を良としたり、所定の2つの基準レベルの範囲内のもの
を良としたりする等の何れを用いてもよい。
【0184】FPNメモリコントローラ1312は、こ
の比較結果に従ってFPN補正データを作成する。作成
されたFPN補正データは、FPNメモリ1313に保
持される。したがって、FPNメモリ1313は、全画
素数にこのFPN補正データのビット数を掛けた容量が
あればよい。例えば320×240の画素数で、FPN
補正データのビット数が6ビットの場合320×240
×6ビットの容量があればよい。また、データをバイト
単位で制御するために、必要に応じて容量を大きくする
ことは可能である。
【0185】[第6の実施の形態]以上の5つの実施の
形態においては、各読み出し回路に複数のボロメータを
備えたものについて説明したが、本発明はこれに限られ
るものではない。例えば、人体検知器や火災検知器等に
本発明の撮像装置を適用する場合においては、赤外線の
有無のみを検知できればよいため、撮像素子を複数画素
設ける必要はない。したがって、少なくとも1画素以上
あればよく、その場合、読み出し回路内のボロメータは
少なくとも1個あればよい。また、単画素であれば、複
数画素の場合のように画素間のばらつきはないため、F
PN補正回路およびFPN補正回路用のバイアス回路は
不要となる。
【0186】さて、以上の事実を踏まえて第1〜5の実
施の形態に適用すると以下のようになる。例えば、第
1,4の実施の形態において、1個のボロメータを備え
た1個の読み出し回路のみの構成にしたり、1個の読み
出し回路内に2個のボロメータを用意してそのうちの1
個をOBボロメータにしたりするとよい。そして、1個
の読み出し回路内に2個のボロメータを設けるときは、
FPN補正回路やFPN補正回路用のバイアス回路を設
けても構わない。
【0187】また、第2,3の実施の形態において、1
個のボロメータを備えた1個の読み出し回路と、1個の
OBボロメータを備えた1個の読み出し回路とを組み合
わせるとよい。さらに、第5の実施の形態において、撮
像素子1301を1画素としてもよいことは明らかであ
る。
【0188】
【発明の効果】以上説明したとおり本発明によれば、ボ
ロメータ等の測定抵抗に電圧を印加することによって測
定抵抗自身が自己発熱を起こす影響を無くすことができ
る。これによって積分回路を含めた信号処理回路のダイ
ナミックレンジに余裕ができ、回路のゲインを上げるこ
とができる。特に初段の積分回路のゲインを上げること
により、入力換算ノイズを低減することができ、S/N
を大幅に改善させることができる。さらに、低ドリフ
ト、低ノイズの特徴を維持したまま、デジタルでバイア
ス設定ができる機能を持つことができ、その構成はシン
プルなものであり、高性能な半導体装置を安価で実現す
ることができる。このように、本発明によれば、バイア
ス成分の補正を安定かつ低ノイズで行い、信号増幅や信
号処理を円滑に行うことができるようになるというすぐ
れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態を示す回路図であ
る。
【図2】 図1に係る熱型赤外線撮像装置の具体的な回
路図である。
【図3】 (a),(b)および(c)は何れも温度補
償された定電流回路を示す回路図である。
【図4】 バンドギャップリファレンス回路を示す回路
図である。
【図5】 本実施の形態におけるトランジスタのノイズ
電流を示すグラフである。
【図6】 図1に係るフィルタを示す回路図である。
【図7】 (a)は従来の積分回路およびバイアス回路
を示す回路図と各画素におけるコレクタ電流を示すグラ
フ、(b)は本実施の形態に係る積分回路およびバイア
ス回路を示す回路図と各画素におけるコレクタ電流を示
すグラフである。
【図8】 本実施の形態の動作を示すタイミングチャー
トである。
【図9】 本発明の第2の実施形態を示す回路図であ
る。
【図10】 本発明の第3の実施形態を示す回路図であ
る。
【図11】 本発明の第4の実施形態を示すブロック図
である。
【図12】 図11の詳細を示す回路図である。
【図13】 本発明の第5の実施の形態を示すブロック
図である
【図14】 従来の熱型赤外線撮像装置を示す断面図で
ある。
【図15】 図14に係る熱型赤外線撮像装置の読み出
し回路を示す回路図である。
【符号の説明】
101,111,114…定電流回路、102,11
2,115…基準抵抗回路、103,113,116…
フィルタ、104…ボロメータ、105…積分回路、1
06…キャンセル抵抗、107…画素スイッチ、108
…FPN補正回路、109…サンプルホールド回路、1
10…マルチプレクサ、117…読み出し回路、118
…水平シフトレジスタ、119…垂直シフトレジスタ、
120,121,122…バイアス回路、ΦV…垂直同
期信号、ΦH…水平同期信号、ΦH’…水平同期信号、
ΦCLK…クロック信号、ΦS/H…サンプルホールド
パルス、Vout…出力電圧、V1,V2,…,Vn …垂
直選択信号、H1,H2,…,Hn …水平選択信号。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01L 29/84 H04N 5/33 H04N 5/33 H01L 27/14 K (56)参考文献 特開 平9−284651(JP,A) 特開 平10−48018(JP,A) 特開2000−106651(JP,A) 千葉一浩他,非冷却型赤外線センサの 低ノイズオンチップ読み出し回路,映像 情報メディア学会技術報告,2000年 2 月25日,第24巻第71号,p.13−18 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01J 1/00 - 1/60 G01J 5/00 - 5/62 G01N 27/04 - 27/12 H04N 5/33 H01L 27/04 G01P 5/10 WPI/L(QUESTEL) JICSTファイル(JOIS)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 物理量を抵抗値に変換する1個の測定抵
    抗体と、この測定抵抗体に接続されかつ前記測定抵抗体
    にバイアス電流を印加するとともに前記測定抵抗体に流
    れる電流を積分して蓄積する積分回路と、前記測定抵抗
    体に接続され前記測定抵抗体に流れるバイアス電流をキ
    ャンセルするキャンセル抵抗とからなる読み出し回路を
    備え、前記積分回路に蓄積された電流に基づいて前記測
    定抵抗体の抵抗値の変化を検出して前記物理量を間接的
    に測定するようにした半導体装置において、 前記測定抵抗体に接続されかつ抵抗温度係数が前記測定
    抵抗に等しい基準抵抗を備えた第1のバイアス回路と、 前記キャンセル抵抗に接続されかつ抵抗温度係数が前記
    キャンセル抵抗に等しい基準抵抗を備えた第2のバイア
    ス回路とを備え、 前記第1のバイアス回路は、その出力電圧を前記測定抵
    抗体に印加する手段であり、前記第2のバイアス回路
    は、その出力電圧を前記キャンセル抵抗に印加する手段
    であることを特徴とする半導体装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 前記積分回路は、コレクタ同士が接続された第1および
    第2のバイポーラトランジスタと、前記コレクタに接続
    された積分コンデンサとによって構成され、 前記第1のバイポーラトランジスタは、そのエミッタに
    前記キャンセル抵抗が接続されかつそのベースに前記第
    2のバイアス回路が接続され、 前記第2のバイポーラトランジスタは、そのエミッタに
    前記測定抵抗体が接続されかつそのベースに前記第1の
    バイアス回路が接続されていることを特徴とする半導体
    装置。
  3. 【請求項3】 請求項1において、 前記第1のバイアス回路は、温度補償された定電流回路
    と、この定電流回路に接続されかつ抵抗温度係数が前記
    測定抵抗に等しい基準抵抗と、この基準抵抗に接続され
    かつこの基準抵抗に生じた電圧からノイズを除去するフ
    ィルタとを備えたことを特徴とする半導体装置。
  4. 【請求項4】 請求項1において、 前記第2のバイアス回路は、温度補償された定電流回路
    と、この定電流回路に接続されかつ抵抗温度係数が前記
    キャンセル抵抗に等しい基準抵抗と、この基準抵抗に接
    続されかつこの基準抵抗に生じた電圧からノイズを除去
    するフィルタとを備えたことを特徴とする半導体装置。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4の何れか一項において、 前記半導体装置は、赤外線センサ、マイクロ波/ミリ波
    検出器、温度センサ、磁気センサ、圧力センサ、ガスセ
    ンサまたはフローセンサの何れかであることを特徴とす
    る半導体装置。
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