JP3376833B2 - 排ガス浄化用触媒 - Google Patents
排ガス浄化用触媒Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は排ガス浄化用触媒に
関し、特に1000℃またはそれ以上の高温でのリーン
雰囲気においても、浄化性能が劣化しない白金複合酸化
物を用いる排ガス浄化用触媒に関する。 【0002】 【従来の技術】従来より、自動車等の排ガス浄化用触媒
は、触媒成分としては白金・パラジウム・ロジウムなど
の貴金属が単独あるいは組み合わせて用いられており、
通常、触媒担体に担持された構成とされている。しかし
ながら、これらのうちロジウムは資源的に豊富ではな
く、また価格面からも高価である。またパラジウムは白
金に比べ耐熱性に優れているものの、ガソリン中の鉛や
潤滑油中のリンなどに対する耐被毒性が著しく劣る。こ
のため、ロジウムに比べまだ資源的に余裕のある白金が
必須成分となっている。 【0003】しかし、白金は高温のリーン雰囲気中で酸
化され、シンタリングにより表面積が減少して触媒成分
としての活性が著しく低下してしまう問題がある。さら
に、欧州ステップIII 規制やλ=1規制等の排気規制強
化への対応により、排気温度が上昇するため、触媒の耐
熱性向上が要求されている。現行のPt/Al2 03 系
触媒では、高温でのリーン雰囲気下で著しく浄化性能が
低下し、これを満足することはできない。この理由も白
金のシンタリングに起因すると考えられる。 【0004】この分野の公知技術として、本出願人は先
に、特開昭62−277150号公報で、内燃機関の排
ガス浄化用触媒として、Ptとランタノイド元素又はア
ルカリ土類金属とのペロブスカイト型複合酸化物又はそ
の類似複合酸化物を用いることにより、Ptの熱劣化、
合金化を防止し、耐久性及び浄化性能の向上が図れるこ
とを提案した。しかし、この技術においても、従来の触
媒に比べ、耐久性等の大幅な向上が図れるものの、排ガ
ス温度が900℃を超える領域ではペロブスカイト型複
合酸化物は分解を始める。このように、最近の各種排ガ
ス規制によって、排ガスの温度が大幅に上昇しており、
1000℃を超えるような領域でも十分な排ガス浄化が
行える触媒の開発が望まれている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高温
における耐久性に優れた複合酸化物を検討し、PtO2
が固溶した状態の複合酸化物による排ガス浄化用触媒を
提供することにある。また、本発明の他の目的は、前記
複合酸化物を各種金属酸化物に担持した触媒をコストお
よび触媒特性から検討し、この最適化を前記複合酸化物
の組成を変化させることによって可能とする排ガス浄化
用触媒を提供することにある。さらに、本発明の別の目
的は、前記複合酸化物の金属種の拡大を検討し、これの
最適組成による排ガス浄化用触媒を提供することにあ
る。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記の目的は、白金と金
属酸化物を反応させて、酸化白金が固溶されている白金
複合酸化物として、化学構造式PtFe9 O15.5、Pt
Ga9 O15.5、PtGa49O75.5、PtGe9 O20で表
される白金複合酸化物のうちの一種または二種以上を用
いることを特徴とする排ガス浄化用触媒によっても達成
される。 【0007】 【0008】 【発明の実施の形態】本発明に係る排ガス浄化用触媒
は、1000℃を超える耐熱性を有する。また、複合酸化物
の成分としてアルカリ土類金属元素を含まないため、炭
酸塩や硫酸塩等の生成に起因する構造破壊が生じ難くな
り、その結果耐久性が向上する。更に、白金は複合酸化
物中に酸化白金の形で固溶しているため、コスト、性能
等の観点から白金と他の金属元素との組成比を任意に設
定することができる。本発明では、白金と、周期律表の
第3周期、第4周期の卑金属および遷移金属のうち一種
または二種以上の金属酸化物粉末を混合し、高温が容易
にえられるスプレーICP(高周波プラズマ炉)に供給
し複合酸化物を合成するものである。この時、数千度〜
1万度という超高温のプラズマフレーム中で合成反応を
行なうため、得られる複合酸化物粒子は結晶性が高くか
つ微細となり、耐久性が向上すると共に比表面積が増加
するため浄化性能(触媒活性)が向上する。また、Pt
O2 と他の金属元素との反応は、金属−酸素の配位数は
三種類と謂われている。この類型によって化合物または
固溶体を形成し、その固溶量も決定される。この場合の
固溶体の状態はその格子定数の変化に支配されるが、本
発明ような、超高温状態での合成についても各金属との
反応は前記配位数に支配されると考えられるが、その機
構は明らかではない。 【0009】ここで、本発明の排ガス浄化用触媒の製造
に用いるプラズマ装置例の概要について以下説明する。
ブラズマを発生させるために、上部よりブラズマガスと
壁際にはシースガスが供給され、この状態で高周波電磁
場発生装置および高周波コイルによって、高周波電磁場
が上下で非対称に配置されたコイル間で印加されプラズ
マ状態が維持される。この段階で、貴金属を含有する原
料溶液が、キャリヤーガス(Ar等)とともに混合し噴
霧供給管からプラズマトーチ内に供給される。原料はキ
ャリヤーガス(Ar等)と共にプラズマに噴霧され、プ
ラズマ化されることになる。プラズマ中では、溶液が蒸
発し分解して、再反応を起こし酸化物を生成し、プラズ
マ内を下降する間に複合酸化物の超微粒子を合成すると
考えられる。合成された複合酸化物の微粒子はキャリア
ーガスによって、下部に設けられた捕集器に付着させて
微粒子として捕集される。 【0010】複合酸化物中にアルカリ土類金属が存在す
る場合には、雰囲気ガスとの反応により炭酸塩または硫
酸塩を発生し、触媒として有効なPtが構造自体から押
し出され、その結果白金がシンタリングし活性低下をも
たらす場合があるが、上記のように合成された本発明の
複合酸化物はアルカリ土類金属を含まないので、炭酸塩
等の形成はなく、このことに起因する構造破壊が起こら
ないため耐久性が向上する。 【0011】本発明の固溶体として存在する酸化白金量
を白金に換算して10wt%以下としたのは、固溶量が1
0wt%を越えると耐久中の複合酸化物の構造安定性が低
下するからである。また、本発明のPtO2 と複合酸化
物を生成する金属酸化物としては、後述の実施例のFe
2 O3 、Ga2 O3 、GeO2 以外に、SnO2 、Ti
O2 、VO 2 、CrO2 、MnO2 、RuO2 等におい
ても同様の効果が得られる。以下に本発明の実施例につ
いて詳述する。 【0012】 【実施例】 実施例1 本実施例はPtFe9 O15.5(PtO2 −Fe2 O
3 (Pt:Fe=1:9)/Al2 O3 についてのもの
である。10.95gの酸化白金PtO2 と37.98
gの酸化鉄Fe2 O3 を乳鉢でよく混合して粉末A1を
得る。粉末A1を流通式の高周波プラズマ炉に導入し
た。粉末A1の供給速度は、約1g/minだった。流
通ガス濃度は、10%酸素、90%アルゴンである。ガ
ス流量はおよそ20L/min(合計ガス量)、高周波
電力は約150kwとした。785gのγ−Al2 O3
を流動層とする補集器により、PtFe9 O15.5(Pt
O2 −Fe2 O3 (Pt:Fe=1:9))粉末とγ−
Al2 O3 の混合粉末B1を回収した。合成終了後、炉
内に付着したPtFe9 O15.5(PtO2 −Fe2 O3
(Pt:Fe=1:9))を回収し、これを粉末B1に
追加混合して、実施例触媒1を得た。この時の実施例触
媒1のPt担持量は1.28wt%だった。 【0013】実施例2 本実施例はPtGa9 O15.5/Al2 O3 についてのも
のである。10.61gの酸化白金PtO2 と39.3
8gの酸化ガリウムGa2 O3 を乳鉢でよく混合して粉
末A2を得る。粉末A2を流通式の高周波プラズマ炉に
導入した。粉末A2の供給速度は、約1g/minだっ
た。流通ガス濃度は、10%酸素、90%アルゴンであ
る。ガス流量はおよそ20L/min(合計ガス量)、
高周波電力は約150kwとした。689gのγ−Al
2 O3 を流動層とする補集器により、PtGa9 O15.5
粉末とγ−Al2 O3 の混合粉末B2を回収した。合成
終了後、炉内に付着したPtGa9 O15.5粉末を回収
し、これを粉末B2に追加混合して、実施例触媒2を得
た。この時の実施例触媒2のPt担持量は1.20wt
%だった。 【0014】実施例3 本実施例はPtGa49O75.5/Al2 O3 についてのも
のである。2.36gの酸化白金PtO2 と47.63
gの酸化ガリウムGa2 O3 を乳鉢でよく混合して粉末
A3を得る。粉末A3を流通式の高周波プラズマ炉に導
入した。粉末A3の供給速度は、約1g/minだっ
た。流通ガス濃度は、10%酸素、90%アルゴンであ
る。ガス流量はおよそ20L/min(合計ガス量)、
高周波電力は約150kwとした。122gのγ−Al
2 O3 を流動層とする補集器により、PtGa49O75.5
粉末とγ−Al2 O3 の混合粉末B3を回収した。合成
終了後、炉内に付着したPtGa49O75.5粉末を回収
し、これを粉末B3に追加混合して、実施例触媒3を得
た。この時の実施例触媒3のPt担持量は1.23wt
%だった。 【0015】実施例4 本実施例はPtGe9 O20/Al2 O3 についてのもの
である。12.78gの酸化白金PtO2 と52.98
gの酸化ゲルマニウムGeO2を乳鉢でよく混合して粉
末A4を得る。粉末A4を流通式の高周波プラズマ炉に
導入した。粉末A4の供給速度は、約1g/minだっ
た。流通ガス濃度は、10%酸素、90%アルゴンであ
る。ガス流量はおよそ20L/min(合計ガス量)、
高周波電力は約150kwとした。838gのγ−Al
2 O3 を流動層とする補集器により、PtGe9 O20粉
末とγ−Al2 O3 の混合粉末B4を回収した。合成終
了後、炉内に付着したPtGe9 O20粉末を回収し、こ
れを粉末B4に追加混合して、実施例触媒4を得た。こ
の時の実施例触媒4のPt担持量は1.26wt%だっ
た。 【0016】比較例1 本比較例はBa4 PtO6 /Al2 O3 (Ba4 PtO
6 はゾル−ゲル法で合成)についてのものである。20
gのPtCl4 をエタノール200gに溶かして溶液O
1とした。溶液O1にNaエトキシドC2 H5 ONaの
エタノール溶液(10wt%)を40g加えて、さらに5
時間還流してPtアルコキシドBa(OC2 H5 )2 の
エタノール溶液(10wt%)を541g加えて溶液Q1
とした。溶液Q1にイオン交換水120gを加えて2時
間放置して沈殿(ゲル)を得た。窒素雰囲気中、200
℃で一昼夜乾燥・脱脂後、1000℃、5時間焼成して
粉末R1を得た。5.31gの粉末R1と96.41g
のγ−Al2 O3 を乳鉢でよく混合して比較例触媒1を
得た。この時の比較触媒1のPt担持量は1.25wt
%だった。 【0017】以上の各実施例触媒および比較例触媒をX
線回折した結果、すべての実施例触媒および比較例触媒
で白金金属相は認められなかった。以下に、性能評価方
法について説明する。上記の各触媒をSIP(常温静水
圧プレス)にて加圧後、粉砕し、1.7〜1.0mmに成
型した。性能評価の前に1000℃、10時間の耐久処
理を行った。耐久処理ガス組成(A/F=16相当)を
表1に示す。 【0018】 【表1】 【0019】次に常圧流通式反応装置を使用して、浄化
率を測定した。この時の浄化率測定ガス組成(ストイキ
相当)を表2に示す。 【0020】 【表2】【0021】この時の浄化率測定ガスの流量は5L/mi
n 、触媒重量は2.0gである。各触媒床温度を500
℃,450℃,400℃,350℃,300℃,250
℃として、各温度で定常状態での浄化率を測定した。こ
の時の浄化率の定義は下記のとおりである。 浄化率=〔(入りガス濃度−出ガス濃度)/入りガス濃
度〕×100 次に触媒床温度と浄化率をプロットし浄化率50%とな
る温度(これをTHC−T50<C3 H6 成分>、NO
−T50<NO成分>と記す)を求めた。結果を表3に
まとめて示す。 【0022】 【表3】 【0023】表3から本発明のPt複合酸化物触媒は、
比較例触媒Ba4 PtO6 /Al2O3 よりも耐久後の
浄化性能が優れていることがわかる。一方、耐久処理後
の比較例触媒Ba4PtO6/Al2O3 をXRD分析したところ耐
久前には存在しないBaCO 3 の生成が認められた。こ
れは、Ba4PtO6 とモデルガス中のCO2 等との反応によ
って生成したものである。このBaCO3 が生成する
と、Ba4PtO6 中のPtが不安定になりPt金属が析出
し、活性低下すると考えられる。これに対し、本発明品
では耐久処理後でも炭酸塩の生成は認められなかった。
すなわち、本発明品は排ガス雰囲気中での構造安定性に
優れるため、比較例触媒よりも耐久後の浄化性能が向上
したものと考えられる。 【0024】 【発明の効果】本発明の複合酸化物触媒は、1000℃
を超える耐熱性を有し、その成分にアルカリ土類金属を
含まないため、炭酸塩や硫酸塩等の生成による構造破壊
がなくその結果耐久性が向上する。また、白金が複合酸
化物中に酸化白金の形で固溶しているため、所望の性能
およびコストによって白金と他の金属元素との組成比を
任意に設定することが可能である。
関し、特に1000℃またはそれ以上の高温でのリーン
雰囲気においても、浄化性能が劣化しない白金複合酸化
物を用いる排ガス浄化用触媒に関する。 【0002】 【従来の技術】従来より、自動車等の排ガス浄化用触媒
は、触媒成分としては白金・パラジウム・ロジウムなど
の貴金属が単独あるいは組み合わせて用いられており、
通常、触媒担体に担持された構成とされている。しかし
ながら、これらのうちロジウムは資源的に豊富ではな
く、また価格面からも高価である。またパラジウムは白
金に比べ耐熱性に優れているものの、ガソリン中の鉛や
潤滑油中のリンなどに対する耐被毒性が著しく劣る。こ
のため、ロジウムに比べまだ資源的に余裕のある白金が
必須成分となっている。 【0003】しかし、白金は高温のリーン雰囲気中で酸
化され、シンタリングにより表面積が減少して触媒成分
としての活性が著しく低下してしまう問題がある。さら
に、欧州ステップIII 規制やλ=1規制等の排気規制強
化への対応により、排気温度が上昇するため、触媒の耐
熱性向上が要求されている。現行のPt/Al2 03 系
触媒では、高温でのリーン雰囲気下で著しく浄化性能が
低下し、これを満足することはできない。この理由も白
金のシンタリングに起因すると考えられる。 【0004】この分野の公知技術として、本出願人は先
に、特開昭62−277150号公報で、内燃機関の排
ガス浄化用触媒として、Ptとランタノイド元素又はア
ルカリ土類金属とのペロブスカイト型複合酸化物又はそ
の類似複合酸化物を用いることにより、Ptの熱劣化、
合金化を防止し、耐久性及び浄化性能の向上が図れるこ
とを提案した。しかし、この技術においても、従来の触
媒に比べ、耐久性等の大幅な向上が図れるものの、排ガ
ス温度が900℃を超える領域ではペロブスカイト型複
合酸化物は分解を始める。このように、最近の各種排ガ
ス規制によって、排ガスの温度が大幅に上昇しており、
1000℃を超えるような領域でも十分な排ガス浄化が
行える触媒の開発が望まれている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高温
における耐久性に優れた複合酸化物を検討し、PtO2
が固溶した状態の複合酸化物による排ガス浄化用触媒を
提供することにある。また、本発明の他の目的は、前記
複合酸化物を各種金属酸化物に担持した触媒をコストお
よび触媒特性から検討し、この最適化を前記複合酸化物
の組成を変化させることによって可能とする排ガス浄化
用触媒を提供することにある。さらに、本発明の別の目
的は、前記複合酸化物の金属種の拡大を検討し、これの
最適組成による排ガス浄化用触媒を提供することにあ
る。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記の目的は、白金と金
属酸化物を反応させて、酸化白金が固溶されている白金
複合酸化物として、化学構造式PtFe9 O15.5、Pt
Ga9 O15.5、PtGa49O75.5、PtGe9 O20で表
される白金複合酸化物のうちの一種または二種以上を用
いることを特徴とする排ガス浄化用触媒によっても達成
される。 【0007】 【0008】 【発明の実施の形態】本発明に係る排ガス浄化用触媒
は、1000℃を超える耐熱性を有する。また、複合酸化物
の成分としてアルカリ土類金属元素を含まないため、炭
酸塩や硫酸塩等の生成に起因する構造破壊が生じ難くな
り、その結果耐久性が向上する。更に、白金は複合酸化
物中に酸化白金の形で固溶しているため、コスト、性能
等の観点から白金と他の金属元素との組成比を任意に設
定することができる。本発明では、白金と、周期律表の
第3周期、第4周期の卑金属および遷移金属のうち一種
または二種以上の金属酸化物粉末を混合し、高温が容易
にえられるスプレーICP(高周波プラズマ炉)に供給
し複合酸化物を合成するものである。この時、数千度〜
1万度という超高温のプラズマフレーム中で合成反応を
行なうため、得られる複合酸化物粒子は結晶性が高くか
つ微細となり、耐久性が向上すると共に比表面積が増加
するため浄化性能(触媒活性)が向上する。また、Pt
O2 と他の金属元素との反応は、金属−酸素の配位数は
三種類と謂われている。この類型によって化合物または
固溶体を形成し、その固溶量も決定される。この場合の
固溶体の状態はその格子定数の変化に支配されるが、本
発明ような、超高温状態での合成についても各金属との
反応は前記配位数に支配されると考えられるが、その機
構は明らかではない。 【0009】ここで、本発明の排ガス浄化用触媒の製造
に用いるプラズマ装置例の概要について以下説明する。
ブラズマを発生させるために、上部よりブラズマガスと
壁際にはシースガスが供給され、この状態で高周波電磁
場発生装置および高周波コイルによって、高周波電磁場
が上下で非対称に配置されたコイル間で印加されプラズ
マ状態が維持される。この段階で、貴金属を含有する原
料溶液が、キャリヤーガス(Ar等)とともに混合し噴
霧供給管からプラズマトーチ内に供給される。原料はキ
ャリヤーガス(Ar等)と共にプラズマに噴霧され、プ
ラズマ化されることになる。プラズマ中では、溶液が蒸
発し分解して、再反応を起こし酸化物を生成し、プラズ
マ内を下降する間に複合酸化物の超微粒子を合成すると
考えられる。合成された複合酸化物の微粒子はキャリア
ーガスによって、下部に設けられた捕集器に付着させて
微粒子として捕集される。 【0010】複合酸化物中にアルカリ土類金属が存在す
る場合には、雰囲気ガスとの反応により炭酸塩または硫
酸塩を発生し、触媒として有効なPtが構造自体から押
し出され、その結果白金がシンタリングし活性低下をも
たらす場合があるが、上記のように合成された本発明の
複合酸化物はアルカリ土類金属を含まないので、炭酸塩
等の形成はなく、このことに起因する構造破壊が起こら
ないため耐久性が向上する。 【0011】本発明の固溶体として存在する酸化白金量
を白金に換算して10wt%以下としたのは、固溶量が1
0wt%を越えると耐久中の複合酸化物の構造安定性が低
下するからである。また、本発明のPtO2 と複合酸化
物を生成する金属酸化物としては、後述の実施例のFe
2 O3 、Ga2 O3 、GeO2 以外に、SnO2 、Ti
O2 、VO 2 、CrO2 、MnO2 、RuO2 等におい
ても同様の効果が得られる。以下に本発明の実施例につ
いて詳述する。 【0012】 【実施例】 実施例1 本実施例はPtFe9 O15.5(PtO2 −Fe2 O
3 (Pt:Fe=1:9)/Al2 O3 についてのもの
である。10.95gの酸化白金PtO2 と37.98
gの酸化鉄Fe2 O3 を乳鉢でよく混合して粉末A1を
得る。粉末A1を流通式の高周波プラズマ炉に導入し
た。粉末A1の供給速度は、約1g/minだった。流
通ガス濃度は、10%酸素、90%アルゴンである。ガ
ス流量はおよそ20L/min(合計ガス量)、高周波
電力は約150kwとした。785gのγ−Al2 O3
を流動層とする補集器により、PtFe9 O15.5(Pt
O2 −Fe2 O3 (Pt:Fe=1:9))粉末とγ−
Al2 O3 の混合粉末B1を回収した。合成終了後、炉
内に付着したPtFe9 O15.5(PtO2 −Fe2 O3
(Pt:Fe=1:9))を回収し、これを粉末B1に
追加混合して、実施例触媒1を得た。この時の実施例触
媒1のPt担持量は1.28wt%だった。 【0013】実施例2 本実施例はPtGa9 O15.5/Al2 O3 についてのも
のである。10.61gの酸化白金PtO2 と39.3
8gの酸化ガリウムGa2 O3 を乳鉢でよく混合して粉
末A2を得る。粉末A2を流通式の高周波プラズマ炉に
導入した。粉末A2の供給速度は、約1g/minだっ
た。流通ガス濃度は、10%酸素、90%アルゴンであ
る。ガス流量はおよそ20L/min(合計ガス量)、
高周波電力は約150kwとした。689gのγ−Al
2 O3 を流動層とする補集器により、PtGa9 O15.5
粉末とγ−Al2 O3 の混合粉末B2を回収した。合成
終了後、炉内に付着したPtGa9 O15.5粉末を回収
し、これを粉末B2に追加混合して、実施例触媒2を得
た。この時の実施例触媒2のPt担持量は1.20wt
%だった。 【0014】実施例3 本実施例はPtGa49O75.5/Al2 O3 についてのも
のである。2.36gの酸化白金PtO2 と47.63
gの酸化ガリウムGa2 O3 を乳鉢でよく混合して粉末
A3を得る。粉末A3を流通式の高周波プラズマ炉に導
入した。粉末A3の供給速度は、約1g/minだっ
た。流通ガス濃度は、10%酸素、90%アルゴンであ
る。ガス流量はおよそ20L/min(合計ガス量)、
高周波電力は約150kwとした。122gのγ−Al
2 O3 を流動層とする補集器により、PtGa49O75.5
粉末とγ−Al2 O3 の混合粉末B3を回収した。合成
終了後、炉内に付着したPtGa49O75.5粉末を回収
し、これを粉末B3に追加混合して、実施例触媒3を得
た。この時の実施例触媒3のPt担持量は1.23wt
%だった。 【0015】実施例4 本実施例はPtGe9 O20/Al2 O3 についてのもの
である。12.78gの酸化白金PtO2 と52.98
gの酸化ゲルマニウムGeO2を乳鉢でよく混合して粉
末A4を得る。粉末A4を流通式の高周波プラズマ炉に
導入した。粉末A4の供給速度は、約1g/minだっ
た。流通ガス濃度は、10%酸素、90%アルゴンであ
る。ガス流量はおよそ20L/min(合計ガス量)、
高周波電力は約150kwとした。838gのγ−Al
2 O3 を流動層とする補集器により、PtGe9 O20粉
末とγ−Al2 O3 の混合粉末B4を回収した。合成終
了後、炉内に付着したPtGe9 O20粉末を回収し、こ
れを粉末B4に追加混合して、実施例触媒4を得た。こ
の時の実施例触媒4のPt担持量は1.26wt%だっ
た。 【0016】比較例1 本比較例はBa4 PtO6 /Al2 O3 (Ba4 PtO
6 はゾル−ゲル法で合成)についてのものである。20
gのPtCl4 をエタノール200gに溶かして溶液O
1とした。溶液O1にNaエトキシドC2 H5 ONaの
エタノール溶液(10wt%)を40g加えて、さらに5
時間還流してPtアルコキシドBa(OC2 H5 )2 の
エタノール溶液(10wt%)を541g加えて溶液Q1
とした。溶液Q1にイオン交換水120gを加えて2時
間放置して沈殿(ゲル)を得た。窒素雰囲気中、200
℃で一昼夜乾燥・脱脂後、1000℃、5時間焼成して
粉末R1を得た。5.31gの粉末R1と96.41g
のγ−Al2 O3 を乳鉢でよく混合して比較例触媒1を
得た。この時の比較触媒1のPt担持量は1.25wt
%だった。 【0017】以上の各実施例触媒および比較例触媒をX
線回折した結果、すべての実施例触媒および比較例触媒
で白金金属相は認められなかった。以下に、性能評価方
法について説明する。上記の各触媒をSIP(常温静水
圧プレス)にて加圧後、粉砕し、1.7〜1.0mmに成
型した。性能評価の前に1000℃、10時間の耐久処
理を行った。耐久処理ガス組成(A/F=16相当)を
表1に示す。 【0018】 【表1】 【0019】次に常圧流通式反応装置を使用して、浄化
率を測定した。この時の浄化率測定ガス組成(ストイキ
相当)を表2に示す。 【0020】 【表2】【0021】この時の浄化率測定ガスの流量は5L/mi
n 、触媒重量は2.0gである。各触媒床温度を500
℃,450℃,400℃,350℃,300℃,250
℃として、各温度で定常状態での浄化率を測定した。こ
の時の浄化率の定義は下記のとおりである。 浄化率=〔(入りガス濃度−出ガス濃度)/入りガス濃
度〕×100 次に触媒床温度と浄化率をプロットし浄化率50%とな
る温度(これをTHC−T50<C3 H6 成分>、NO
−T50<NO成分>と記す)を求めた。結果を表3に
まとめて示す。 【0022】 【表3】 【0023】表3から本発明のPt複合酸化物触媒は、
比較例触媒Ba4 PtO6 /Al2O3 よりも耐久後の
浄化性能が優れていることがわかる。一方、耐久処理後
の比較例触媒Ba4PtO6/Al2O3 をXRD分析したところ耐
久前には存在しないBaCO 3 の生成が認められた。こ
れは、Ba4PtO6 とモデルガス中のCO2 等との反応によ
って生成したものである。このBaCO3 が生成する
と、Ba4PtO6 中のPtが不安定になりPt金属が析出
し、活性低下すると考えられる。これに対し、本発明品
では耐久処理後でも炭酸塩の生成は認められなかった。
すなわち、本発明品は排ガス雰囲気中での構造安定性に
優れるため、比較例触媒よりも耐久後の浄化性能が向上
したものと考えられる。 【0024】 【発明の効果】本発明の複合酸化物触媒は、1000℃
を超える耐熱性を有し、その成分にアルカリ土類金属を
含まないため、炭酸塩や硫酸塩等の生成による構造破壊
がなくその結果耐久性が向上する。また、白金が複合酸
化物中に酸化白金の形で固溶しているため、所望の性能
およびコストによって白金と他の金属元素との組成比を
任意に設定することが可能である。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(56)参考文献 特開 昭52−139686(JP,A)
特開 平6−304449(JP,A)
特開 平8−229404(JP,A)
特開 平6−100319(JP,A)
特開 昭61−86944(JP,A)
特開 平5−76762(JP,A)
特開 昭63−302950(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
B01J 23/00 - 38/74
B01D 53/94
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 白金と金属酸化物を反応させて、酸化白
金が固溶されている白金複合酸化物として、化学構造式
PtFe9 O15.5、PtGa9 O15.5、PtGa49O
75.5、PtGe9 O20で表される白金複合酸化物のうち
の一種または二種以上を用いることを特徴とする排ガス
浄化用触媒。
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---|---|---|---|
JP26072596A JP3376833B2 (ja) | 1996-10-01 | 1996-10-01 | 排ガス浄化用触媒 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP26072596A JP3376833B2 (ja) | 1996-10-01 | 1996-10-01 | 排ガス浄化用触媒 |
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- 1996-10-01 JP JP26072596A patent/JP3376833B2/ja not_active Expired - Fee Related
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