JP3376637B2 - 球状アクリロニトリル系架橋共重合体及び弱酸性陽イオン交換樹脂の製造方法 - Google Patents

球状アクリロニトリル系架橋共重合体及び弱酸性陽イオン交換樹脂の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は球状アクリロニトリル系
共重合体及びそれを用いた弱酸性陽イオン交換樹脂の製
造方法に関するものである。さらに詳細には、アクリロ
ニトリルと、これと共重合し得る特定の不飽和単量体及
び架橋性単量体とを、特定の不活性有機溶媒の存在下に
て共重合を行うことにより、重合時の懸濁安定性を改良
し、また物理的強度を有する弱酸性陽イオン交換樹脂、
キレート樹脂等の基体樹脂等として有用な球状アクリロ
ニトリル系架橋共重合体及びそれを用いた強度に優れ、
不定形粒子を含まない弱酸性陽イオン交換樹脂を製造す
る方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】基体樹脂としてのアクリロニトリル系架
橋共重合体を、公知の方法により酸またはアルカリ存在
下において加水分解して得られるカルボキシル基を有す
る弱酸性イオン交換樹脂は、水処理、金属回収、脱アル
カリ、除鉄、蔗糖精製、抗生物質、医薬品、アミノ酸等
の製造等の用途に広く使用されている。これらの用途に
おいて、その使用中に樹脂破損等による不純物の混入
や、使用後の樹脂の再生等の工程における破損は、イオ
ン交換樹脂を用いた製造工程や処理工程における圧力損
失や有効な樹脂量の減少を招き製造上の不利益をもたら
す。このためイオン交換樹脂には押しつぶし強度などの
物理的強度や酸、アルカリの交互負荷に対する強度であ
るサイクル強度に優れた特性が望まれている。
【0003】また、球状アクリロニトリル系共重合体を
製造するにあたり、重合時の懸濁安定性不良によって生
じる不定形の粒子は、球状アクリロニトリル形架橋共重
合体の歩留りを低下させるばかりでなく、最終的にイオ
ン交換樹脂やキレート樹脂として利用される際、不定形
粒子は球状粒子と比べ物理的強度が著しく低いため、樹
脂破損による上述の問題を生じる原因となる。従って不
定形粒子の発生を最小限に抑制する方法が望まれてい
る。最終製品であるイオン交換樹脂やキレート樹脂の物
理的性質を変えるために、基体樹脂としてアクリロニト
リルと、他の不飽和単量体である例えば、アクリル酸メ
チル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリ
ル酸エステル類;メタクリル酸およびメタクリル酸メチ
ル、メタクリル酸グリシジル等のメタクリル酸エステル
類;アクリルアミドやアクリルアミド誘導体等のアミド
化合物と、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビ
ニルキシレンおよびジビニルナフタレン等の一般的な架
橋性不飽和単量体との共重合体を製造し得ることはすで
に公知である(旧東ドイツ特許第79584号参照)。
しかしながらアクリロニトリルとジビニルベンゼン、ジ
ビニルトルエン、ビジニルキシレンおよびジビニルナフ
タレン等の一般的な芳香族系の架橋性不飽和単量体との
混合物を共重合したアクリロニトリル系架橋共重合体
は、架橋が不均一であるために未架橋のポリアクリロニ
トリル共重合体を含み、それゆえポリアクリロニトリル
可溶性溶媒として知られるジメチルホルムアミド等にこ
れら未架橋成分が溶出することが知られている。従っ
て、これらアクリロニトリル系架橋共重合体がイオン交
換樹脂、キレート樹脂等の基体樹脂として、上記用途に
使用されることを考慮すると、基体樹脂として使用され
るのは好ましくなく、またその不均一な架橋構造ゆえに
所望の強度を十分に持ち得ない。
【0004】不溶性アクリロニトリル系架橋共重合体を
得るためにアクリロニトリルと、1,5−ヘキサジエ
ン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプ
タジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、
1,2,4−トリビニルシクロヘキサエン等の2個また
はそれ以上のアリル基を有する脂肪族または脂環族の架
橋性不飽和単量体と、ジビニルベンゼン、ジビニルトル
エン、ジビニルキシレンおよびジビニルナフタレン等の
芳香族系の架橋性不飽和単量体を含む混合物を共重合す
る方法が提案されている(特公昭45−33907号、
米国特許第3544488号、米国特許第367472
8号各公報参照)。
【0005】上述の2個またはそれ以上のアリル基を有
する化合物をアクリロニトリルおよびジビニルベンゼン
と共重合して得られた共重合体は、アクリロニトリル−
ジビニルベンゼンのみによって得られた共重合体と比
し、均一な架橋の重合体が得られるものの、孔構造が不
均一に分布しているため最終製品であるイオン交換樹脂
やキレート樹脂は所望の強度を有するものではなかっ
た。さらには望ましくない不定形の重合体粒子の発生が
見られた。上記の特公昭45−33907号公報等に
は、アクリロニトリルにスチレン、(メタ)アクリル酸
エステル等のその他の単量体を加えることによって、最
終製品の機械的な性質を変えることが可能である旨が記
載されているが、その他の単量体として(メタ)アクリ
ル酸エステルを使用した例は示されていない。また、球
状アクリロニトリル系共重合体の製造に用いられる不活
性有機溶媒としては、ホワイトスピリット、水添イソブ
チレン、トルエン等の炭化水素が知られている(米国特
許第3544488号、旧東ドイツ特許第75984
号、仏国特許第360169号各公報参照)が、これら
は比重が水と比べて小さいため、分散安定性が低下し、
不定形粒子の発生が認められた。さらに孔構造が不均一
に分布しているものが見られた。
【発明が解決しようとする課題】本発明は、イオン交換
樹脂、キレート樹脂等の基体樹脂として優れた物理的強
度を有する球状アクリロニトリル系架橋共重合体の新規
製造方法並びにそれを用いた弱酸性陽イオン交換樹脂の
製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の従
来方法の問題点について種々検討の結果、アクリロニト
リルを主体とする重合性単量体組成物を特定の方法で重
合することによって解決した。すなわち、重合性単量体
としてアクリロニトリル、アクリル酸もしくはメタクリ
ル酸のアルキルエステル、2個以上のアリル基を有する
脂肪族または脂環族の架橋性不飽和単量体または1,
2,4−トリビニルシクロヘキサン、並びに芳香族の架
橋性ポリ不飽和単量体とを、該重合性単量体の全量に対
して10〜45重量%の量の比重が1.0以上である不
活性有機溶媒存在下にて共重合を行うことを特徴とする
球状アクリロニトリル系架橋共重合体の製造方法並びに
該方法で製造された球状アクリロニトリル系架橋共重合
体を加水分解することによる弱酸性陽イオン交換樹脂の
製造方法である。
【0007】以下、本発明を更に詳細に説明する。本発
明方法において使用するアクリル酸もしくはメタクリル
酸のアルキルエステル(以下、これらを(メタ)アクリ
ル酸エステルと総称する)としては、アクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸
グリシジル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メ
チル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタ
クリル酸グリシジル等のメタクリル酸エステル類が挙げ
られ、特に低級アルキル(炭素数1〜4)エステル類が
好ましく、さらに好ましくはアクリル酸の低級アルキル
エステルである。就中、アクリル酸メチル、アクリル酸
エチルが好ましい。これらの(メタ)アクリル酸エステ
ルは、2種類以上を併用してもよい。本発明において
(メタ)アクリル酸エステルは、アクリロニトリルと
(メタ)アクリル酸エステルの重量の和に対し、通常5
〜50重量%の範囲で用いることができる。好ましくは
10〜40重量%の範囲である。5重量%以下の割合で
は重合時の発熱が過剰になり、得られる共重合体の構造
に悪影響をあたえ、望ましい物理的強度を有するイオン
交換樹脂、キレート樹脂等の基体樹脂となり得る架橋型
アクリロニトリル系共重合体を得ることが難しい。
【0008】本発明では、アクリロニトリルの共重合成
分として、(メタ)アクリル酸エステルを用いることに
より後で挙げる実施例及び比較例に示す如く重合発熱が
抑制さる。この重合発熱が抑制されることにより、重合
反応の操作上の安全性が高められる他、重合体の強度が
改善されるものと考えられる。本発明方法に用いられる
2個以上のアリル基を有する脂肪族または脂環族の架橋
性不飽和単量体としては、炭素数6〜10、更に好まし
くは炭素数8〜10のアルカジエン或いはシクロアルカ
ジエンが好ましい。具体的には1,5−ヘキサジエン、
2−メチル−1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジ
エン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、
1,9−デカジエンが挙げられ、特に1,7−オクタジ
エンが好ましい。2個以上のアリル基を有する脂肪族ま
たは脂環族の架橋性不飽和単量体または1,2,4−ト
リビニルシクロヘキサンは、1種類または2種類以上を
併用して用いることができる。さらに本発明において
は、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキ
シレンおよびジビニルナフタレン等の芳香族系の架橋性
ポリ不飽和単量体を架橋剤として併用する。上記2個以
上のアリル基を有する脂肪族または脂環族の架橋性不飽
和単量体の添加量は、アクリロニトリル、(メタ)アク
リル酸エステル、2個以上のアリル基を有する脂肪族ま
たは脂環族の架橋性不飽和単量体または1,2,4−ト
リビニルシクロヘキサンおよびジビニルベンゼン等の芳
香族系の架橋性不飽和単量体の重量の総和、すなわち重
合性単量体類の重量の総和に対し1〜10重量%、好ま
しくは2〜5重量%の範囲で用いられる。ジビニルベン
ゼン等の芳香族系の架橋性不飽和単量体の添加量は重合
性単量体類の重量の総和に対し2〜15重量%、好まし
くは4〜9重量%の範囲である。
【0009】本発明の目的とする球状の重合体を得るた
めには上記の単量体類は、懸濁重合、分散重合、または
乳化重合により製造される。本発明で得られる共重合体
は、イオン交換樹脂やキレート樹脂の基体樹脂として用
いられるため、所望の粒径強度等を考慮すると、当該単
量体類は、水を主体とする水性媒体中での懸濁状態で共
重合を行うことが好ましい。特に本発明者らは、比重が
1.0以上である単独または混合された不活性有機溶媒
の存在下に当該単量体類を共重合させることにより、単
量体類の水を主体とする水性媒体中への溶解を抑制し、
重合の収率を向上させるばかりでなく、懸濁状態での安
定性を確保することで、球状でない不定形粒子の発生を
抑制することが可能となることを見いだした。
【0010】本発明方法に用いられる比重1.0以上の
不活性有機溶媒は、重合性単量体類を溶解するが生成架
橋共重合体は溶解しないもので、具体的には四塩化炭
素、ジクロルエタン、ジクロルプロパン、トリクロルエ
タン、トリクロルプロパン、クロルベンゼン、ジクロル
ベンゼン、クロルキシレン、ブロモエタン、ジブロモエ
タン、ブロモベンゼン等のハロゲン化炭化水素類が挙げ
られる。これらハロゲン化炭化水素類自体も単独または
混合して用いることができる。好ましくは、このハロゲ
ン化炭化水素類の中でも、アクリロニトリルと(メタ)
アクリル酸エステルの線状共重合体と親和性を有するも
のが好ましい。このハロゲン化炭化水素の親和性の目安
としては、溶解度パラメーターが8.5〜10.5程度
のものであることが挙げられる。具体的には、1,2−
ジクロルエタン、1,2−ジクロルプロパン等のジクロ
ルアルカン等が好ましく使用される。また、これらのハ
ロゲン化炭化水素類は、ヘプタン、ヘキサン、オクタン
等の脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン等の芳香族
炭化水素類;シクロヘキサン、シクロヘキセン等の脂環
族炭化水素類;安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息
香酸ブチル等のエステル類との混合物としても、比重
1.0以上の条件を満足していれば本発明で使用する不
活性有機溶媒として使用できる。比重が1.0以上であ
る当該不活性有機溶媒の添加量は、重合性単量体類の総
重量に対し通常10〜45重量%の範囲、好ましくは1
5〜40重量%の範囲で用いられる。10重量%以下の
範囲では懸濁状態の安定性を確保する効果が期待できな
い。
【0011】本発明で用いられる懸濁重合においては、
懸濁安定剤を用いることができる。例えばゼラチン、ポ
リビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシエ
チルセルロース等の水溶性高分子化合物;各種アニオン
またはカチオン界面活性剤などを用いることができる。
これら懸濁安定剤とともに、重合性単量体類の水への溶
解を抑制するために、塩析剤を添加することもできる。
使用される塩析剤として、塩化ナトリウム、塩化カルシ
ウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウムなどを用いること
ができる。これらの添加量は、通常水相の重量に対し
0.1%〜5.0重量%の範囲で用いられる。懸濁に際
し、単量体混合物と水相の比率は、単量体混合物の重量
に対し、水相の重量はその1〜5倍の範囲で用いられ
る。
【0012】また、本発明で用いられる重合触媒は、公
知のラジカル重合開始剤を用いることができる。例え
ば、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;過酸
化ラウロイル、過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物など
を用いることができる。重合触媒の添加量は、通常重合
性単量体類の仕込み全重量に対し、0.01〜3.0重
量%の範囲である。好ましくは0.1〜2.0重量%で
ある。重合温度は、重合触媒の分解温度に応じて通常5
0〜130℃の範囲であり、好ましくは55〜80℃の
範囲である。通常は恒温で重合反応を行うが、重合反応
を促進させるため、反応途中で温度を変えることもでき
る。重合の反応時間は、重合の温度、触媒の種類によっ
て異なるが、通常反応が完結するまで行う。反応の完結
は、単量体混合物の重量に対し、生成した重合物の固形
成分重量の比率が増加しなくなる時点をもって知ること
ができる。
【0013】重合反応終了後、蒸留または他の溶媒によ
る抽出等により反応に使用した不活性有機溶媒を取り除
く処理を行う。このようにして製造された球状アクリロ
ニトリル系架橋共重合体は、必要であれば洗浄、乾燥を
行い、公知の方法により、硫酸、塩酸等の酸または水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリの存在下加
水分解することにより、弱酸性陽イオン交換樹脂を製造
することができる。具体的には40〜60%の硫酸水溶
液、15〜50%の水酸化ナトリウム水溶液中或いはメ
タノール等のアルコール中で、還流条件下等で行うのが
好ましい。
【0014】本発明で得られる共重合体粒子は、その用
途が弱酸性陽イオン交換樹脂の母体である場合は、その
イオン交換樹脂としての粒径が一般に300〜1000
μmの範囲であるため、共重合体粒子としての粒径は2
00〜800μmの範囲に調製するのが良い。
【発明の効果】本発明方法によれば、従来の公知技術と
比して、重合発熱の抑制と懸濁糞低安定性の向上の結
果、優れた物理的強度を有し、且つ不定形粒子の少ない
イオン交換樹脂、キレート樹脂等の基体樹脂等として適
当な球状アクリロニトリル系架橋共重合体を製造するこ
とができる。そして、該球状アクリロニトリル系架橋共
重合体から得られる弱酸性陽イオン交換樹脂が、工業的
用途に使用される場合、樹脂の破損が極めて少なくその
利用価値は極めて大である。
【0015】
【実施例】以下に、本発明方法を実施例を用いてさらに
詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以
下の実施例に限定されるものではない。 実施例1 1)重合 還流冷却管を備えた1リッターの重合槽に、4重量%濃
度の塩化ナトリウムを含む0.2重量%濃度のポリビニ
ルアルコール水溶液500mlを仕込み、これにアクリロ
ニトリル118.3g、アクリル酸メチル56.5g、
1,7−オクタジエン4.0g、44%のエチルスチレ
ンを含む純度56%のジビニルベンゼン21.2g、
1,2−ジクロルエタン(比重1.256g/ml)60
gおよび水分25%を含む純度75%過酸化ベンゾイル
2.0gを含む有機混合溶液を添加し、窒素気流中、攪
拌しながら懸濁状態を保ち、60℃に1時間で昇温し、
60℃に温度を制御しながら10時間重合反応を行っ
た。重合反応後、1,2−ジクロルエタンを水蒸気蒸留
によって除いた。得られたアクリロニトリル系架橋共重
合体の収率は93%であった。得られた重合体は図2に
示す様に球状の粒子で不定形粒子の数は1%以下であっ
た。また、粒子の内部孔構造は均一ゲル様であった。
【0016】2)加水分解 還流冷却管を備えた0.5リッターのフラスコに上記重
合で得られたアクリロニトリル系架橋共重合体30g
(乾燥)を仕込み、これに50重量%濃度の硫酸180
g添加し、還流条件下、攪拌しながら8時間加熱し、こ
のままさらに反応生成物であるメタノールを水蒸気蒸留
により反応系から取り除いた。得られたH形カチオン交
換樹脂を、洗液が中性になるまで洗浄した。得られた弱
酸性イオン交換樹脂のアルカリ吸着容量は、H形樹脂1
リッター当たり4.40当量であった。また算出した加
水分解率は89%であった。外観色は淡黄白色であっ
た。
【0017】実施例2 1)重合 実施例1において、有機混合溶液の組成をアクリロニト
リル115.6g、アクリル酸メチル53.6g、1,
7−オクタジエン4.0g、44%のエチルスチレンを
含む純度56%のジビニルベンゼン26.6g、1,2
−ジクロルエタン60gおよび水分25%を含む純度7
5%過酸化ベンゾイル2.0gとした以外は、実施例1
と同様の方法で重合し、続いて水蒸気蒸留の操作を行っ
た。得られたアクリロニトリル系架橋共重合体の収率は
94.5%であった。
【0018】2)加水分解 実施例1と同様の方法で上記1)で得られた共重合体の
加水分解を行った。得られた弱酸性イオン交換樹脂のア
ルカリ吸着容量は、H形樹脂1リッター当たり4.55
当量であった。また算出した加水分解率は86%であっ
た。外観色は淡黄白色であった。 実施例3 1)重合 実施例1において用いられた1,2−ジクロルプロパン
60gの代わりに1,2−ジクロルプロパン40gを用
いる以外は実施例1と同様にして重合反応を行った。次
いで水蒸気蒸留により1,2−ジクロルプロパンを除去
した。得られたアクリロニトリル系架橋共重合体の収率
は92.0%であった。 2)加水分解 実施例1と同様の方法で加水分解を行った。得られた弱
酸性イオン交換樹脂のアルカリ吸着容量は、H形樹脂1
リッター当たり4.40当量であった。また外観色は淡
黄白色であった。
【0019】比較例1(比重1.0以上の不活性有機溶
媒を使用しない例) 実施例1で用いたのと同じ重合槽に4重量%濃度の塩化
ナトリウムを含む0.2%ポリビニルアルコール水溶液
500mlを仕込み、これにアクリロニトリル118.
3g、アクリル酸メチル56.5g、1,7−オクタジ
エン4.0g、44%のエチルスチレンを含む純度56
%のジビニルベンゼン21.2gおよび水分25%を含
む純度75%過酸化ベンゾイル2.0gを含む混合物を
添加し、実施例1と同様に重合を行った。得られたアク
リロニトリル系架橋共重合体の収率は88.0%であっ
た。得られた粒子は図3に示す様に不定形粒子や平均粒
径粒子の数倍の大きさを有する異常大粒子を多く含んで
いた。その量は全粒子基準で5重量%であった。また、
内部構造が不均一な粒子も多数存在した。
【0020】実施例4〜8および比較例2((メタ)ア
クリル酸エステルを使用しない例) 実施例1と同様にして、有機混合溶液組成を下記表1に
記載のとおりの仕込量で用いアクリロニトリル系架橋共
重合体を作製した。表−1中の重合発熱Δt1およびΔ
t2は、図1のように恒温重合時の設定温度60℃(ベ
ースライン)と発熱ピークの温度差を示している。
【0021】
【表1】 表1中、略号は下記を意味する。 AN :アクリロニトリル MA :アクリル酸メチル EA :アクリル酸エチル DVB* :純度56%(44%のエチルスチレンを
含む) 1,7OD :1,7−オクタジエン EDC :ジクロルエタン BPO* :純度75%(水分25%を含む) Δt1,2 :発熱ピークとベースラインとの温度差
【0022】比較例3((メタ)アクリル酸エステル、
2個以上のアリル基を有する架橋性不飽和単量体及び比
重1.0以上の不活性有機溶媒を使用しない例) 1)重合 実施例1において、有機混合溶液の組成をアクリロニト
リル178.7g、44%のエチルスチレンを含む純度
56%のジビニルベンゼン21.2gおよび水分25%
を含む純度75%過酸化ベンゾイル2.0gとした以外
は、実施例1と同様の方法で重合を行った。得られたア
クリロニトリル系架橋共重合体の収率は84.2%であ
った。
【0023】2)加水分解 実施例1と同様の方法で上記1)で得られた共重合体の
加水分解を行った。得られた弱酸性イオン交換樹脂のア
ルカリ吸着容量は、H形樹脂1リッター当たり3.05
当量であった。また算出した加水分解率は75%であっ
た。外観色は乳白色であった。
【0024】比較例4((メタ)アクリル酸エステル及
び比重1.0以上の不活性有機溶媒を使用しない例) 1)重合 実施例1において、有機混合溶液の組成をアクリロニト
リル174.7g、1,7−オクタジエン4.0g、4
4%のエチルスチレンを含む純度56%のジビニルベン
ゼン21.2gおよび水分25%を含む純度75%過酸
化ベンゾイル2.0gとした以外は、実施例1と同様の
方法で重合を行った。得られたアクリロニトリル系架橋
共重合体の収率は86.2%であった。
【0025】2)加水分解 実施例1と同様の方法で上記1)で得られた共重合体の
加水分解を行った。得られた弱酸性イオン交換樹脂のア
ルカリ吸着容量は、H形樹脂1リッター当たり4.60
当量であった。また算出した加水分解率は87%であっ
た。外観は淡黄白色と透明部分のまだら模様のある球で
あり、重合が不均一であって、一粒中にポーラス度の異
なる部分があることがわかった。
【0026】サイクル強度試験 ふるい分けした粒径850〜425μmの湿潤H形弱酸
性イオン交換樹脂13ml(試験前体積)をカラムに充填
し、6.5ml/分の流速で、2規定の水酸化ナトリウム
溶液、脱イオン水を各々20分通液し、続いて2規定の
塩酸溶液、脱イオン水を各々20分通液した。かかる通
液を1サイクルとして、50サイクル行った後、425
μmのふるいでふるい分けし、残留した弱酸性イオン交
換樹脂のH形体積を測定した(試験後体積)。
【0027】一方、H形弱酸性イオン交換樹脂粒子中の
完全球粒子の百分率を外観指数とし、試験前後について
求めた。以上の試験方法により、下記数式からサイクル
強度を算出した。
【0028】
【数1】 実施例1、実施例2、比較例3で得られた弱酸性イオン
交換樹脂のサイクル強度はそれぞれ100、100、0
であった。
【0029】押しつぶし強度 ふるい分けした粒径600μmの湿潤H形弱酸性イオン
交換樹脂の押しつぶし強度を、押しつぶし強度測定器
(John Chatillon & Sons社製
dial push−pull model DPP)
にて測定した。測定結果を表−2に示した。表中の値は
30粒の測定平均値である。測定器の有効測定最強強度
は2500g/粒であり、これを越える値については2
500g/粒以上と表記した。また、実施例1と比較例
4の1,7−オクタジエンとジビニルベンゼンの添加量
は同じである。
【0030】
【表2】
【0031】比較例5(比重1.0以上の不活性有機溶
媒を所定量よりも少ない量使用した例) 実施例1における1,2−ジクロルエタン60gの代わ
りに1,2−ジクロルエタン19gを用いる以外は実施
例1と同様にして共重合体粒子を製造した。1,2−ジ
クロルエタンの量は重合性単量体類の総量に対して9.
5%であった。得られた重合体の内部孔構造は均一ゲル
様であったが、不定形粒子を5重量%含有していた。
【0032】比較例6(比重が1.0よりも小さい不活
性有機溶媒を使用した例) 実施例1における1,2−ジクロルエタン60gの代わ
りにトルエン40gを用いる以外は実施例1と同様にし
て共重合体粒子を製造した。トルエンの量は重合性単量
体類の総量に対し20.0%であった。得られた重合体
粒子は図4に示すように不定形粒子を4%含有し、且つ
内部構造が不均一な粒子が多数存在した。
【図面の簡単な説明】
【図1】恒温重合時の重合時間に対する重合発熱を示す
もので、縦軸は温度(℃)、横軸は時間(Hr)を表わ
す。
【図2】実施例1において製造された共重合体粒子の
子構造を示す透過光による顕微鏡写真。(倍率12倍)
【図3】比較例1において製造された共重合体粒子の
子構造を示す透過光による顕微鏡写真。(倍率12倍)
【図4】比較例6において製造された共重合体粒子の
子構造を示す透過光による顕微鏡写真。(倍率12倍)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特公 昭45−33907(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 220/12 - 220/44 B01J 39/20 C08F 8/12 C08F 2/06

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重合性単量体として、アクリロニトリル
    と、アクリル酸もしくはメタクリル酸のアルキルエステ
    、および2個以上のアリル基を有する脂肪族または脂
    環族の架橋性不飽和単量体または1,2,4−トリビニ
    ルシクロヘキサン、並びに芳香族架橋性ポリ不飽和単量
    体とを、該重合性単量体の全量に対して10〜45重量
    %に相当する量の比重が1.0以上の不活性有機溶媒の
    存在下にて共重合を行うことを特徴とする球状アクリロ
    ニトリル系架橋共重合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1の製造方法で得られる球状アク
    リロニトリル系架橋共重合体を加水分解することを特徴
    とする弱酸性陽イオン交換樹脂の製造方法。
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