JP3375652B2 - 球形単分散粒子の製造方法および装置 - Google Patents

球形単分散粒子の製造方法および装置

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JP3375652B2
JP3375652B2 JP31709691A JP31709691A JP3375652B2 JP 3375652 B2 JP3375652 B2 JP 3375652B2 JP 31709691 A JP31709691 A JP 31709691A JP 31709691 A JP31709691 A JP 31709691A JP 3375652 B2 JP3375652 B2 JP 3375652B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、サイズの揃った微小球
形粒子、すなわち球形単分散粒子あるいは球形単分散粉
体を製造するための球形単分散粒子の製造方法および装
置に関し、詳しくは、電子顕微鏡観察における標準サイ
ズ粒子、半導体装置などの精密電子機器製造工程におけ
るマイクロソルダリングおよびHIP成形などによる焼
結合金製造のための合金粉などに用いられる球形単分散
粒子製造方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】サイズの揃った微小粒子、すなわち単分
散粒子あるいは単分散粉体は、今日種々の科学技術の分
野で需要が増大している。例えば粒子サイズの揃った微
小粒子としてよく知られているゾル−ゲル法によって作
製されるラテックス粒子は、粒度分布の標準偏差が平均
粒径の約10%であり、電子顕微鏡観察における標準サ
イズ粒子として用いられている。半導体工業ではICチ
ップの小型化や接合のために30〜40μmの粒度の揃
った球形半田粉が要望されている。また、合金粉のHI
P成形においても、材料に対して致命的な欠陥となる不
均一空隙の形成を防ぐため、粒度の揃った球形粉が必要
であるとされている。
【0003】サイズの揃った微小粒子を作るための方法
としては数μm以下の酸化物微粒子に限れば前述のゾル
−ゲル法あり、一方100μm以上の粒子が希望であ
れば、プラズマ回転電極法(PREP法)がある。ある
程度の粒度幅を許容するならば、一般的なアトマイズ粉
を篩などで機械的に級別する方法も実用的である。
【0004】しかし、従来の方法では粒サイズを幅広く
制御すること、すなわち希望の粒サイズの単分散粒子を
得ることは一般に困難である。ゾル−ゲル法ではすでに
述べたように0.1〜1.2μmの微粒子の作製に限定
されるし、PREP法では電極の回転安定性から、粒径
約100μmがその作製限界である。現状における単分
散粒子の応用分野を拡大するためには、より自由に粒度
制御の可能な作製プロセスの開発が望まれていた。
【0005】このため、本出願人らは、パルス圧力を圧
電アクチュエータで発生させ、圧電アクチュエータに密
着する振動数によって溶融金属を噴射ノズルから噴射さ
せて、単分散粒子の試作を行うパルス付加ノズル噴射法
を考案した。この方法は、噴射ノズルの口径である40
0μmにほぼ等しい円相当径の噴射粒子を得ることがで
き、得られた単分散粒子の形状もサイズも揃っており、
その粒度分布(粒径/平均粒径の頻度分布)も比較的狭
く、単分散粒子を作製する代表的な方法として確率され
ているゾル−ゲル法による粉末にほぼ匹敵するものであ
る。
【0006】しかしながら、この方法で得られる単分散
粒子の粒子形状は、ほとんどが噴射方向に伸長した涙滴
形であり、この方法では球形単分散粒子はほとんど得ら
れないという問題があるし、あるいは球形単分散粒子が
得られたとしても再現性がなく、安定的に得ることは極
めて困難であるという問題もある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来技術の問題点を解消し、個々の粒子の粒度をより幅
広く人為的に制御することができ、安定して粒度の揃っ
より真球に近い球形の単分散粒子を製造することがで
きる球形単分散粒子製造方法および装置を提供するにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、溶融金属から球形単分散粒子を製造する
に際し、圧電アクチュエータにパルス圧力を発生させ、
このパルス圧力を伝達ロッドを介してダイアフラムに伝
達し、さらに前記ダイアフラムに密着する前記溶融金属
に伝達して、前記溶融金属を貯留する容器に設けられた
不活性ガス導入管から導入される不活性ガスにより前記
貯留容器内のガス圧を制御しつつ、前記ダイアフラムの
溶融金属側への臨界変位以上の変位によって表面エネル
ギーと釣り合う運動エネルギーを前記溶融金属に与え
て、前記貯留容器に設けられたオリフィスから前記溶融
金属を不活性ガス流中に1個ずつ単分散粒子として噴射
して、不活性ガスによる球形化促進雰囲気中を落下させ
つつ、球形化することを特徴とする球形単分散粒子の製
造方法を提供するものである。ここで、前記オリフィス
としては、前記貯留容器の底部に設けられた、前記溶融
金属との濡れ性のよい材料で構成されたものを用いるこ
とが好ましい。
【0009】また、本発明は、溶融金属を貯留するため
の第1の容器と、この第1の容器に前記溶融金属を補給
するための第2の容器と、この第2の容器の外周に設け
られる加熱装置と、前記第1の容器と前記第2の容器を
連通する補給管路と、前記第1の容器内のガス圧を制御
するための不活性ガス導入管と、前記第1の容器の底部
に設けられ、溶融金属を1個ずつ単分散粒子として噴射
するためのオリフィスと、このオリフィスの下方に単分
散粒子を球形化するための不活性ガス流を生じさせるチ
ャンバと、このチャンバに不活性ガスを導入する導入管
と、所定のパルス圧力を発生する圧電アクチュエータ
と、このパルス圧力を伝達する伝達ロッドと、この伝達
ロッドの先端に一体的に取り付けられ、前記第1の容器
を液密に保つように前記第1の容器内の前記溶融金属と
密着して前記溶融金属に前記パルス圧力を付加するため
のダイアフラムとを有し、不活性ガスにより前記第1の
容器内のガス圧を制御しつつ、前記圧電アクチュエータ
による前記パルス圧力の印加によって前記ダイアフラム
を前記溶融金属側に臨界変位以上変位させ、この変位に
よって表面エネルギーと釣り合う運動エネルギーを前記
溶融金属に与えて、前記貯留容器に設けられた前記オリ
フィスから前記溶融金属を1個ずつ液滴として噴射し
て、この液滴を、前記チャンバ内の不活性ガスによる球
形化促進雰囲気中を落下させつつ、球形化するよう構成
したことを特徴とする球形単分散粒子の製造装置を提供
するものである。ここで、前記オリフィスとしては、前
記貯留容器の底部に設けられた、前記溶融金属との濡れ
性のよい材料で構成されたものを用いるよう構成するこ
とが好ましい。
【0010】ここで、前記ダイアフラムの変位は、前記
臨界変位より大の所定変位に制御されるよう構成したも
のが好ましい。また、前記第1の容器の底部は逆円錐状
をなし、前記オリフィスはその頂点に設けられるのが好
ましい。前記第1の容器の底部の中心には突起を有し、
この突起に前記オリフィスが形成されるのが好ましく、
また、このオリフィスの出口側は拡径しているのが好ま
しい。また、オリフィス(内面)は溶融金属との濡れ性
がよい材料で構成されるのが好ましい。
【0011】
【実施態様】本発明に係る球形単分散粒子の製造方法お
よび装置を添付の図面に示す好適実施例に基づいて詳細
に説明する。しかし、本発明は図示例に限定されるもの
ではない。
【0012】図1は、本発明の球形単分散粒子の製造方
法を実施する球形単分散粒子製造装置の一実施例の模式
的断面図である。図2(a)、(b)および(c)は、
それぞれ図1に示す装置10の要部の上面図、部分断面
正面図および底面図であり、図3(a)および(b)
は、それぞれ、図2(b)のA−A線およびB−B線矢
視図である。
【0013】同図に示すように、本実施態様に係る単分
散粒子製造装置10は、所定周波数の矩形波を発生させ
るファンクションジェネレータ12と、この矩形波を増
幅するパワーアンプ14と、増幅された矩形波の印加に
よって前記所定周波数のパルス圧力を発生する圧電アク
チュエータ16と、このアクチュエータ16に固定さ
れ、前記パルス圧力を伝達する伝達ロッド18と、この
伝達ロッド18の先端に取り付けられ、溶融金属20に
前記パルス圧力を付加するダイアフラム22と、前記溶
融金属20を貯留する第1の容器を構成する内側底面が
円錐形をなす溶湯室23を規定するオリフィスブロック
24と、オリフィスブロック24の底部中心に設けら
れ、溶湯室23に連通するオリフィス26と、溶湯室2
3に溶融金属20を補給するための第2の容器を構成す
る補給用溶融金属20を貯留する液溜め27および溶湯
室23と液溜め27とを連通する補給管路28を有する
円筒状部材30と、円筒状部材30の外周に設けられる
加熱装置32と、オリフィス26の下方に配設される不
活性ガス雰囲気の制御のためのチャンバ34と、単分散
粒子を冷却する冷却水を貯え、単分散粒子を回収するた
めの水槽36とを有する。水槽36を設ける代わりに、
不活性ガスチャンバ34の長さ(高さ)を増しても同じ
作用が得られる。
【0014】ここで、図2(a)および(b)に示すよ
うに圧電アクチュエータ16は、単分散粒子製造装置1
0の円筒状上部ブロック38内にその側面の4つのねじ
穴39に螺入される4本の止めねじ(図示せず)で固定
されるアクチュエータ押え40によって取り付けられ
る。また、圧電アクチュエータ16と伝達ロッド18と
の連結は、アクチュエータ16をアクチュエータ押え4
0と伝達ロッド18との間に挟み込み、アクチュエータ
押え40と伝達ロッド18とをボルト41aとナット4
1bとで固定することによって行われる。
【0015】ところで、圧電アクチュエータ16として
は、積層型圧電素子(例えば、(株)トーキン製NLA
・5×5×18、最大変位量14.7μm、周波数特性
1.7MHz)を好適に用いることができるが、一般に
圧電子素子は高温(例えば、前述の圧電素子では約37
0K)になると、圧電機能が損なわれるので、冷却を行
う必要がある。このため、本発明装置10においては、
図1、図2(b)および図3(a)に示すように水冷パ
イプ42を装置本体(上部ブロック38、アクチュエー
タ16など)に取り付け、アクチュエータ16を上記限
界温度以下に保持するよう構成される。
【0016】オリフィスブロック24は、図2(c)に
示すように円筒状部材30に3本のボルト43によって
液密に固定される。ダイアフラム22は、オリフィスブ
ロック24と円筒状部材30の中央部分によって規定さ
れる溶湯室23の天井を覆っている。ここで、図2
(b)および図3(b)に示すように円状のダイアフ
ラム22の外縁部分を円筒状部材30の内縁部分に載置
し、その上からダイアフラム押え44を載置し、円筒状
部材30とダイアフラム押え44とを4本のボルト45
によって固定することによりダイアフラム22が溶湯室
23を液密に覆う天井となる。
【0017】伝達ロッド18の先端はダイアフラム22
に密着しており、圧電アクチュエータ16のパルス圧力
(パルス状の変位)が伝達ロッド18を介してダイアフ
ラム22に伝達され、圧電アクチュエータ16の変位に
応じて変位する。ダイアフラム22の変位は、溶湯室2
3内の溶融金属20にパルス圧力を付加する。溶融金属
20にパルス圧力が付加される度にオリフィス26から
その口径φに応じた単分散粒子が噴射されることにな
る。ここで、ダイアフラム22は、例えば0.1mm厚
のステンレス(SUS)薄板などのように応答性のよい
薄膜を用い、圧電アクチュエータ16と伝達ロッド18
とを一体構造とすることにより圧電アクチュエータ16
の動きを正確にダイアフラム22に伝達することができ
るので、ダイアフラム22は、付加されるパルスに応じ
て正確に振動することができる。ここで、上記0.1m
m厚のステンレス板をダイアフラム22として用いた場
合の駆動精度を1μmとすることができる。また、この
ような圧電アクチュエータ16を使用する構成により、
ダイアフラム22の正確な変位制御、高速駆動(高周波
数パルスにも追従可能)および任意波形での制御が可能
である。
【0018】一方、円筒状部材30の2つの液溜め27
の上側には円筒状の蓋部材46が載置されている。ま
た、その上側にはフラックスペーパーからなる断熱板4
8が載置され、その上側にある上部ブロック38と溶湯
金属20を貯留する円筒状部材30などとの間を熱的に
遮断している。ここで円筒状部材30、蓋部材46、断
熱板48および上部ブロック38とは上部ブロック38
のフランジ部38aにおいて6本のボルト49によって
固定されている。
【0019】溶湯室23と液溜め27との間を連通する
補給管路28は、ダイアフラム22の変位によって気泡
等が発生するのを防止するために溶湯室23側から液溜
め27側に向かって下降する傾斜を付けておくのが好ま
しい。また、液溜め27に貯留する溶融金属20の量は
特に制限はないが、気泡等が溶湯室23に入らないよう
に十分な量であるのが好ましい。また、蓋部材46には
2つの液溜め27に連通するそれぞれ2本の不活性ガス
導入管50が取り付けられ、ダイアフラム22の振動に
応じて液溜め27内の雰囲気を調整するように構成され
る。すなわち、ダイアフラム22に付加されるパルス圧
力波と良好な球形単分散粒子の安定な形成との均衡をと
るため、不活性ガス導入管50から不活性ガスを出入し
て液溜め27内のガス圧を精密に制御することが必要で
ある。
【0020】図2(b)、(c)および図3(b)に示
すように円筒状部材30の外周面(側面)および底面の
外縁部には加熱装置32を構成するバンドヒータが取り
付けられ、図示しない電源に接続されている。また、溶
融金属20の温度調節を行うために、円筒状部材30に
はその中心部分にまで熱伝対52が埋め込まれている。
ここで、加熱装置32として用いられるヒータは、特に
制限的ではなく、所要の温度に加熱保持できればどのよ
うなものでもよい。
【0021】チャンバ34には、不活性ガスを導入する
ための複数の導入管54が取り付けられ、オリフィス2
6から液滴状に噴射された溶融金属20の球形化を促進
する不活性ガス雰囲気となるように調整される。すなわ
ち、不活性ガス流によって球形化に最適な冷却速度にな
るように制御される。この不活性ガス雰囲気を保つため
の不活性ガスの流入量は、溶融金属20の冷却速度の制
御が球形化に最適であれば、特に限定されるものではな
く、溶融金属20の種類、温度、噴出速度、オリフィス
26の口径や長さなどの種々のパラメータに応じて適宜
選択すればよい。また、チャンバ34の長さ、即ち、オ
リフィス26から噴射された単分散粒子が不活性ガス雰
囲気を飛行する長さも、特に制限的ではなく、上記パラ
メータや不活性ガスの種類や流量等に応じて適宜選択す
ればよい。
【0022】本発明において製造される単分散粒子の材
質は、特に制限的ではなく、用途に応じ、種々の金属を
用いることができる。従って、溶融金属20の温度も用
いられる金属の融点以上で完全に溶融し、必要なだけ流
動できれば特に制限的ではない。
【0023】本発明においては、圧電アクチュエータ1
6によってダイアフラム22を溶融金属20側に所定変
位量以上変位させることによって、オリフィス26から
1回の変位によって1個の単分散粒子を噴射させて、ほ
ぼオリフィス26の口径に等しい単分散粒子を得るもの
である。ここで、ダイアフラム22の変位量が小さいと
オリフィス26から単分散粒子は噴射されないので、変
位量の限界値、すなわち臨界変位より大きく変位させて
単分散粒子を噴射させる必要がある。また、圧電アクチ
ュエータ16のパルス圧力の周波数も、特に制限的では
なく、単分散粒子の材料等に応じて適宜選択すればよ
い。
【0024】本発明においては、オリフィス26を構成
する材料として、単分散粒子(溶融金属)材料に応じて
最適な材質を選定することが可能であり、例えば、材質
の選定によって濡れ性等を改善することができる。ま
た、オリフィス26の口径(φ)と長さ(L)との比を
調整することにより直径と同寸法に近い値の球形粒子を
得ることができる。さらに、図4(a)、(b)および
(c)に示すようなオリフィス26を単分散粒子材料に
応じて最適化した形状のものを用いることができる。図
4(a)は通常のオリフィスであり図4(b)では、オ
リフィス部分に少し突起を設けて溶融金属20の切れ性
をよくしているし、図4(c)では、突起に形成された
オリフィスの出口を拡径して、さらに切れ性をよくして
いる。この他にも単分散粒子材料に応じて種々のオリフ
ィス形状を採用することができる。ここで、本発明に用
いられるオリフィスの口径は、特に制限的ではなく、必
要な単分散粒子の径に応じて適宜選択すればよいが、例
えば、1〜1000μmφ、より好ましくは30〜50
0μmφ、さらに好ましくは50〜150μmφとする
のがよい。
【0025】本発明の球形単分散粒子の製造装置は、基
本的には以上のように構成されるが、以下にその作用と
ともに本発明の球形単分散粒子の製造方法について説明
する。
【0026】まず、溶湯室23、補給管路28、液溜め
27に十分な量の溶融金属20を入れ、加熱装置32に
よって一定温度に保持する。一方、圧電アクチュエータ
16が加熱されないようにパイプ42には冷却水を流し
ておく。また、導入管50および54から不活性ガスを
導入し、液溜め27のガス圧を精密に最適値に調整する
とともに、チャンバ34内の不活性ガス流が最適な冷却
速度となるように制御しておく。この他必要な準備を
【0027】次に、ファンクションジェネレータ12に
おいて所定周波数の矩形波を発生させ、パワーアンプ
(電力増幅器)14で増幅した後に圧電アクチュエータ
16に印加し、所定周波数、所定振幅の振動を発生さ
せ、一体構造の伝達ロッド18を介してダイアフラム2
2を同じ周波数のパルスで振動させ、ダイアフラム22
と密着している溶融金属20にパルス圧力波を生じさせ
る。すなわち、圧電アクチュエータ16が下方、溶融金
属20側に所定の臨界変位以上変位すると、伝達ロッド
18を介してダイアフラム22が前記臨界変位以上下方
に変位し、オリフィス26から溶融金属20を液滴状に
して単分散粒子として噴射する。この単分散粒子の噴射
はパルス圧力波の1周期に1個ずつ噴射する。この時、
液溜め27にはダイアフラム22の振動に応じて補給管
路28を通して溶融金属20が出入するので、液溜め2
7内の不活性ガス圧をダイアフラム22の振動に合わせ
て精密に制御し、単分散粒子形成のバランスをとるのが
よい。
【0028】こうして噴射された単分散粒子は、チャン
バ34内の不活性ガス流によって冷却速度を最適に制御
され、チャンバ34内を下降しつつほぼ真球近くまで
化し、球形単分散粒子となって水槽36内に突入し、
回収される。こうして、ほぼオリフィス26の口径に近
い直径を有するほぼ真球近くまで球形化した単分散粒子
を得ることができる。こうして得られた単分散粒子の粒
度分布は極めてばらつきの少ないものである。
【0029】
【実施例】圧電アクチュエータ16として積層型圧電素
子((株)トーキン製NLA・5×5×18)、ファン
クションジェネレータ12としてはFG−330
((株)IWATU製)、パワーアンプ14としてはN
F−4025((株)NF回路設計ブロック製)を用い
た。アクチュエータ16として用いた積層型圧電素子の
最大変位量は14.7μm、周波数特性は1.7MHz
である。水冷パイプ42に冷却水を通し、この圧電素子
が370K以上にならないように冷却した。また、用い
たダイアフラム22の厚さは0.1mm、直径15mm
のステンレス板を用いた。高温になる部材、オリフィス
ブロック24、ダイアフラム押え44、円筒状部材3
0、蓋部材46、伝達ロッド18、アクチュエータ押え
40などはセラミック製とした。
【0030】単分散粒子の材料として、低融点金属のウ
ッドメタル(融点343K)を用い、シースヒータによ
り480Kに加熱保持して、チャンバ34内にはArガ
スを圧力0.1atm、流量10l/minで導入管5
4から導入した。オリフィス26の口径は約130μm
のものを用いた。オリフィス26から噴射された粒子は
オリフィス26より約50cm下方で回収し、走査型電
子顕微鏡(SEM)による粒子形状観察および画像解析
装置による粒度分布測定を行った。また、粒子噴射の様
子を高速度ビデオカメラ(10000コマ/s)によっ
て撮影し、粒子形成機構のモデル計算を行った。これら
の結果を以下に示す。
【0031】なお、比較例1として、プラズマ回転電極
法によって得られた粉末の粒度分布(平均粒径=271
μm、標準偏差=14.6μm)を求めた。さらに比較
例2として、チャンバ34を設けておらず、Arガス雰
囲気でない以外は実施例と同一の装置および溶融金属を
用いてパルス圧力付加オリフィス噴射による単分散粒子
の製造を行った。この場合のオリフィスの口径は400
μm、溶融温度は423K、周波数は50Hzであっ
た。比較例2で得られた単分散粒子についてもSEMに
よる粒子形状観察および画像解析装置による粒度分布測
を行った
【0032】図5(a)および(b)は実施例によって
得られた代表的な噴射粒子のSEM写真を示す。これら
の写真から明らかなように、どちらの場合もほぼオリフ
ィス径に相当する直径約150μmの球形粒子が噴射さ
れていることがわかる。粒子噴射が可能となる臨界変位
(6.5μm)の直上の変位量7.5μmまでのもので
は図5(a)に示すような粒度のそろった球形単分散粒
子が得られる。変位量を7.5μmより大にすると図5
(b)に示されるようにほぼオリフィス径に相当する球
形粒子とともに球形小粒子も同時に噴射されるようにな
り、そのため粒度分布がバイモーダルな分布となり、図
6に示すように標準偏差が急激に増加する。ここで、図
6の斜線部分は、臨界変位以下の非噴射領域を示す。従
って、臨界変位の直上の変位量に設定して噴射すれば、
粒度のそろった球形単分散粒子が得られることがわか
る。これに対し、図7に示すように比較例2の単分散粒
子は、球形化が不十分であることがわかる。
【0033】一方、実施例で得られた球形単分散粒子は
平均粒径が150μm、標準偏差4.6μmであり、比
較例2の単分散粒子の平均粒径が406μm、標準偏差
が39.1μm、さらに比較例1のPREPにより得ら
れる粉末の平均粒径が271μm、標準偏差が14.6
μmであったので、図8に示すように、本発明の実施例
の単分散粒子の粒度分布は、平均粒径は同一ではない
が、比較例1および比較例2の粒子の粒度分布の分布幅
よりも狭く、粒度がよく揃ったものであることがわか
る。
【0034】また、高速度ビデオ撮影の結果より、粒子
の噴射は溶湯の運動エネルギーと表面エネルギーとが釣
り合う時に生じると考えることができ、図9に示す粒子
形成機構モデルから得られる下記粒径計算式に従って、
噴射粒子径についての制御が可能であることがわかっ
た。溶湯の運動エネルギーと表面エネルギー(表面張力
×Δx)のつり合いから 1/2・mv2 =πDγΔx が得られ、粒子の質量はm=4/3・πr3 ρで与えら
れることから、噴射粒子径は下記式で与えられる。 d=2r=(12Dγ/ρ)0.5 /v ここで、Dはオリフィスの口径(直径)、rは単分散粒
子の半径、vは溶融金属(溶湯)の速度、γは表面張
力、ρは溶湯の密度である。すなわち、オリフィス直径
Dと噴射速度vを制御することにより所望の粒子径を持
つ球形単分散粒子を得ることができる。
【0035】
【発明の効果】以上、詳述したように、本発明の方法
よれば、所望の粒子径を持ち、極めて粒度の揃った球形
単分散粒子を容易に安定して確実に得ることができる。
また、得られる単分散粒子の形状は極めて真球に近いも
のまで得ることができる。また、本発明の方法を実施す
る装置は、上記効果に加え、装置構成が簡単であるとい
う効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
図5(a)、(b)および図7は、「粒子構造」を示す
図面代用写真である。
【図1】 本発明に係る球形単分散粒子の製造装置の一
実施例の模式的断面図である。
【図2】 (a)、(b)および(c)は、それぞれ図
1に示す装置の要部の上面図、部分断面正面図および底
面図である。
【図3】 (a)および(b)は、それぞれ図2(b)
のA−A線およびB−B線矢視図である。
【図4】 (a)、(b)および(c)は、いずれも本
発明の球形単分散粒子の製造装置に用いられるオリフィ
スの形状を示す断面図である。
【図5】 (a)および(b)は、いずれも本発明の実
施例で得られた単分散粒子のSEM写真である。
【図6】 本発明の実施例で得られた単分散粒子の標準
偏差とダイアグラムの変位量との関係を示すグラフであ
る。
【図7】 比較例2で得られた単分散粒子のSEM写真
である。
【図8】 本発明の実施例、比較例1および比較例2の
粒度分布のグラフである。
【図9】 本発明の球形単分散粒子の製造方法において
得られる単分散粒子形成機構モデルを示す模式図であ
る。
【符号の説明】
10 単分散粒子製造装置 16 圧電アクチュエータ 22 ダイアフラム 26 オリフィス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川 崎 亮 宮城県仙台市青葉区昭和町5−51−701 (72)発明者 黒 木 康 徳 宮城県仙台市青葉区下愛子上下17−2 かいや ま荘201 (72)発明者 真 壁 英 一 宮城県仙台市宮城野区苦竹三丁目1番25 号 株式会社 真壁技研内 (56)参考文献 黒木康徳、川崎亮、渡辺龍三,パルス 圧力付加ノズル噴射による単分散粒子の 試作,粉体粉末冶金協会講演概要集,平 成2年度春季大会,p.24−25 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22F 9/08

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】溶融金属から球形単分散粒子を製造するに
    際し、 圧電アクチュエータにパルス圧力を発生させ、このパル
    ス圧力を伝達ロッドを介してダイアフラムに伝達し、さ
    らに前記ダイアフラムに密着する前記溶融金属に伝達し
    て、前記溶融金属を貯留する容器に設けられた不活性ガ
    ス導入管から導入される不活性ガスにより前記貯留容器
    内のガス圧を制御しつつ、前記ダイアフラムの溶融金属
    側への臨界変位以上の変位によって表面エネルギーと釣
    り合う運動エネルギーを前記溶融金属に与えて、前記貯
    留容器に設けられたオリフィスから前記溶融金属を不活
    性ガス流中に1個ずつ単分散粒子として噴射して、不活
    性ガスによる球形化促進雰囲気中を落下させつつ、球形
    化することを特徴とする球形単分散粒子の製造方法。
  2. 【請求項2】前記オリフィスとして、前記貯留容器の底
    部に設けられた、前記溶融金属との濡れ性のよい材料で
    構成されたものを用いるよう構成した請求項1に記載の
    球形単分散粒子の製造方法。
  3. 【請求項3】溶融金属を貯留するための第1の容器と、
    この第1の容器に前記溶融金属を補給するための第2の
    容器と、この第2の容器の外周に設けられる加熱装置
    と、前記第1の容器と前記第2の容器を連通する補給管
    路と、前記第1の容器内のガス圧を制御するための不活
    性ガス導入管と、前記第1の容器の底部に設けられ、溶
    融金属を1個ずつ単分散粒子として噴射するためのオリ
    フィスと、このオリフィスの下方に単分散粒子を球形化
    するための不活性ガス流を生じさせるチャンバと、この
    チャンバに不活性ガスを導入する導入管と、所定のパル
    ス圧力を発生する圧電アクチュエータと、このパルス圧
    力を伝達する伝達ロッドと、この伝達ロッドの先端に一
    体的に取り付けられ、前記第1の容器を液密に保つよう
    に前記第1の容器内の前記溶融金属と密着して前記溶融
    金属に前記パルス圧力を付加するためのダイアフラムと
    を有し、 不活性ガスにより前記第1の容器内のガス圧を制御しつ
    つ、前記圧電アクチュエータによる前記パルス圧力の印
    加によって前記ダイアフラムを前記溶融金属側に臨界変
    位以上変位させ、この変位によって表面エネルギーと釣
    り合う運動エネルギーを前記溶融金属に与えて、前記貯
    留容器に設けられたオリフィスから前記溶融金属を1個
    ずつ液滴として噴射して、この液滴を、前記チャンバ内
    の不活性ガスによる球形化促進雰囲気中を落下させつ
    つ、球形化するよう構成したことを特徴とする球形単分
    散粒子の製造装置。
  4. 【請求項4】前記オリフィスとして、前記貯留容器の底
    部に設けられた、前記溶融金属との濡れ性のよい材料で
    構成されたものを用いるよう構成した請求項3に記載の
    球形単分散粒子の製造装置。
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黒木康徳、川崎亮、渡辺龍三,パルス圧力付加ノズル噴射による単分散粒子の試作,粉体粉末冶金協会講演概要集,平成2年度春季大会,p.24−25

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