JP3374528B2 - 残響音付加装置 - Google Patents

残響音付加装置

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JP3374528B2
JP3374528B2 JP12871094A JP12871094A JP3374528B2 JP 3374528 B2 JP3374528 B2 JP 3374528B2 JP 12871094 A JP12871094 A JP 12871094A JP 12871094 A JP12871094 A JP 12871094A JP 3374528 B2 JP3374528 B2 JP 3374528B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、楽音信号に残響音の効
果を付与する残響音付加装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図9は、ホール54内において楽器演奏
を行った際の聴取者に届く音の経路を示す。声楽や楽器
演奏等を行うと、音源50から楽音が発せられるとす
る。聴取者51は、音源50から発せられる楽音の直接
音52と初期反射音53L,53Rを聞くことができ
る。
【0003】直接音52は、音源50から直接聴取者5
1の耳に届く音である。初期反射音53は、音源50か
らホール54内の側方の壁または天井等に反射した後に
聴取者51の耳に届く音である。その他に、音源50か
ら後方の壁に反射してから壁や天井等に反射して聴取者
51に届く後部残響音がある。
【0004】音響効果の優れたホールにおいて楽器演奏
等を行うと、聴取者51は音の広がりを感じることがで
きる。よいホールの条件とは、音源50から楽音が発せ
られると、聴取者51の側方から初期反射音53が十分
に得られることであると言われている。側方からの初期
反射音を得るには、ホール54内の壁等の構造に工夫を
すればよい。
【0005】左右スピーカを音源とする場合、左右スピ
ーカの発生する音量を調整して音像を左右スピーカの任
意の中間位置に定位させることが行われている。図10
は、2つのスピーカを用いた仮想音源を示す。聴取者6
2の前方に左右2チャンネルのスピーカ61L,61R
が位置する。スピーカ61Lは、聴取者62の左前方に
あり、スピーカ61Rは聴取者62の右前方にある。
【0006】聴取者62は、スピーカ61Lとスピーカ
61Rのそれぞれから発せられる楽音により仮想音源が
エリア64内のいずれかにあると認識する。スピーカ6
1Lのみから楽音が発せられると、聴取者62は音源が
スピーカ61Lの位置にあると認識し、スピーカ61R
のみから楽音が発せられると、聴取者62は音源がスピ
ーカ61Rの位置にあると認識する。スピーカ61Lと
スピーカ61Rの両方から楽音が発せられると、聴取者
62はスピーカ61Lとスピーカ61Rの間に音源があ
ると認識する。
【0007】このように位置が変化する擬似的な音源を
仮想音源と呼ぶ。仮想音源は、スピーカ61L,61R
のない場所に音源があるように見せかけることができ
る。仮想音源の位置は、スピーカ61Lとスピーカ61
Rのそれぞれから発せられる楽音の音量バランスにより
決まり、スピーカ61Lの位置が最も左であり、スピー
カ61Rの位置が最も右である。
【0008】反射する壁等のない空間や音響効果が加味
されていない部屋では、スピーカ61L,61Rから発
せられる楽音の残響音を期待することができない。そこ
で、臨場感の豊かなホールを擬似するには、聴取者62
の斜め前方に位置する仮想音源63Lおよび仮想音源6
3Rが必要となる。初期反射音は、聴取者62の側方よ
り少し前に位置する仮想音源63Lまたは仮想音源63
Rから聞こえてくることが理想である。しかし、仮想音
源63L,63Rは、エリア64の外にあるため基本的
には生成することができない。
【0009】そこで、この様な仮想音源63L,63R
を生成するために、3次元音像定位の技術が知られてい
る。3次元音像定位を行うには、まず、聴取者62の位
置にダミーヘッドを用意し、仮想音源63Lまたは仮想
音源63Rの位置でインパルス信号を発する。ダミーヘ
ッドの位置におけるインパルス応答を測定し、その応答
特性をFIRフィルタの係数に合致させる。
【0010】係数が決定されたFIRフィルタに楽音信
号を入力すると、聴取者は仮想音源63Lまたは仮想音
源63Rの位置から楽音が聞こえてくると認識すること
ができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】3次元音像定位を行う
には、最低2つのFIRフィルタが必要になる。また、
インパルス応答を測定した後に生成されるFIRフィル
タの係数は、フィルタの次数が多いために係数が多大と
なり、大容量の記憶素子が必要になる共にFIRフィル
タの回路構成が非常に複雑になり、高価な回路となって
しまう。
【0012】図11は、クロストークキャンセルにより
生成される仮想音源を示す。クロストークキャンセル
は、仮想音源を実現させるための一方法である。通常、
1つの音源(例えば、スピーカ71R)から発せられた
楽音は、聴取者72の左右の耳に到達する。本来、右の
スピーカ71Rから発せられる楽音は聴取者72の右耳
だけに聞こえて欲しい場合であっても、左耳の方にも楽
音が「漏れて」聞こえてしまうのが通常である。この
「漏れ」をなくそうとすることが、クロストークキャン
セルの目的である。
【0013】スピーカ71Rから発せられる楽音の内で
楽音SR1は、所定時間で聴取者72の右耳に到達し、
楽音SR2は一定の遅延時間の後聴取者72の左耳に到
達する。右のスピーカ71Rから発せられる楽音は、右
耳だけに聞こえて欲しいときには、楽音SR1のみを有
効とし、楽音SR2を消せばよい。
【0014】楽音SR2が聴取者72の左耳に到達する
距離は、楽音SR1が聴取者72の右耳に到達する距離
に比べてΔLだけ長いとする。つまり、楽音SR2は、
楽音SR1をΔLの距離だけ遅延した信号であると考え
ることができる。
【0015】右スピーカ71Rから左耳に達する楽音S
R2を消すために、左スピーカ71Lからキャンセル用
楽音CSR2を発生させる。キャンセル用楽音CSR2
は、左耳の位置で楽音信号SR2に対して逆位相となる
信号である。したがって、楽音SR2は、キャンセル用
楽音CSR2により打ち消される。その結果、楽音SR
1のみが聴取者72の右耳に聞こえて、左耳には何も聞
こえなくなる。右耳のみに楽音が聞こえるということ
は、聴取者72にとって右真横の仮想音源73から楽音
が聞こえることと等価となる。
【0016】クロストークキャンセルを行うには、聴取
者72から等距離の場所に左スピーカ71Lと右スピー
カ71Rを設置する必要がある。キャンセル用楽音CS
R2は、予め左スピーカ71Lと右スピーカ71Rの真
ん中に聴取者72がいるものとして生成するために、聴
取者72とスピーカ71L,71Rが所定の位置関係が
あるときにのみ、クロストークキャンセルが完全に行わ
れる。クロストークキャンセル回路の構成の詳細は、特
開平4−318896号に示されている。
【0017】本発明の目的は、クロストークキャンセル
の技術を用いて優れた音響効果を与える残響音を楽音信
号に付加する残響音付加装置を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明の残響音付加装置
は、加算手段(AD1)と、初期反射音生成手段(1)
と、クロストークキャンセル手段(2)と、残響音加算
手段(AD2、AD3)とを備える残響音付加装置であって、
加算手段(AD1)は、入力される2チャンネルの楽音信
号を加算して加算楽音信号を生成し、初期反射音生成手
段(1)は、加算楽音信号を適宜遅延して、複数の初期
反射音からなる2チャンネルの初期反射音信号を生成
し、クロストークキャンセル手段(2)は、チャンネル
毎の初期反射音を重み付け加算し、遅延および位相反転
した信号を他チャンネルの初期反射音信号と加算して、
2チャンネルのクロストークキャンセル信号を生成し、
残響音加算手段(AD2、AD3)は、入力される楽音信号と
クロストークキャンセル信号をチャンネル毎に加算して
2チャンネルの出力楽音信号を生成する。
【0019】
【作用】キャンセル付加初期反射音信号を入力楽音信号
に付加することにより生成される出力楽音信号を2チャ
ンネルの発音源から発音させると、初期反射音を2つの
発音源よりも外側に音像定位させることができる。これ
により、聴取者は側方または斜め前方から初期反射音が
聞こえるように感じる。
【0020】
【実施例】図2は、本発明の実施例による残響音付加装
置を用いて構成した電子楽器の全体構成を示すブロック
図である。
【0021】鍵盤11は、演奏を行うための複数の鍵を
有し、演奏者が押鍵や離鍵等の操作を行うと、キーオン
/オフ信号や音高情報(キーコード)等の鍵操作情報の
信号を生成する。制御部14は、鍵盤11から検出され
る鍵操作情報に応じて、楽音を発生させるために必要な
楽音パラメータを生成する。
【0022】楽音発生部15は、制御部14から供給さ
れる楽音パラメータに基づいて、発音に必要な楽音信号
を生成する。生成された楽音信号は、残響音付加装置1
6に供給され、残響音が付加される。残響音付加装置1
6において、残響音が付加されて生成された左右2チャ
ンネルの楽音信号は、サウンドシステム17R,17L
のそれぞれにおいて発音される。サウンドシステム17
R,17Lは、発音源となるスピーカを含む。
【0023】ROM13は演算プログラムを記憶してい
る。制御部14は、ROM13に記憶されている演算プ
ログラムに従って、RAM12に備えられているレジス
タやバッファメモリ等のワーキングメモリを用いて楽音
パラメータの生成等の各種演算処理を行う。
【0024】楽音発生部15は、残響音付加装置16に
楽音の直接音に相当する楽音信号を供給する。残響音付
加装置16は、供給される直接音信号から初期反射音信
号と後部残響音信号を生成する。そして、初期反射音信
号のみについてクロストークキャンセルを行い、仮想音
源を聴取者の斜め前方に位置させる。残響音付加装置1
6の回路構成は、後に詳細に説明する。
【0025】残響音付加装置16において生成される仮
想音源の位置は、残響音付加装置16内の回路係数によ
り決定される。制御部14は、残響音付加装置16内の
回路係数を制御して、仮想音源の位置を任意に移動させ
ることができる。
【0026】図3は、図9に示すようなホール内におい
て楽音が発せられたときのエコーパターンを示す。エコ
ーパターンは、横軸に時間を示し、縦軸に音のレベルを
示す。聴取者の耳には、音源から発せられた楽音の直接
音21と初期反射音22と後部残響音23が到達する。
【0027】直接音21は、音源から直接聴取者の耳に
届くので、初期反射音22と後部残響音23に比べて音
源から聴取者までの到達距離が最も短くて、レベルが最
も大きい。
【0028】初期反射音22は、音源から発せられた楽
音がホール内の側方の壁等に反射してから聴取者の耳に
届くので、直接音21に比べてやや遅れて聴取者の耳に
到達し、音のレベルも直接音21に比べてやや減衰した
音になる。初期反射音22は、到達時間の異なる複数の
音から構成される。ホール内には、音を反射する壁、天
井または床等の対象物が複数存在するために、様々な場
所からの初期反射音が得られる。反射した場所または回
数が異なれば、反射音の到達時間およびレベルもそれぞ
れ異なる。
【0029】後部残響音23は、音源から発せられた楽
音がホール内の後方の壁等に反射して更に複数回の反射
をしてから聴取者の耳に届くので、初期反射音22に比
べて更に到達時間が遅れて、レベルも小さくなる。後部
残響音23は、後方もしくは側方の壁、天井または床等
に複数回反射した音が混じっており、これ以上細かく分
離できない位に様々な反射音が混在している。これらの
混在した様々な反射音をまとめて、後部残響音23とし
ている。
【0030】以上の直接音21、初期反射音22および
後部残響音23は、図2に示した残響音付加装置16に
おいて生成される。次に残響音付加装置16について説
明する。
【0031】図1は、残響音付加装置16の回路構成を
示すブロック図である。残響音付加装置には、図2に示
した楽音発生部15で生成された左チャンネルの楽音信
号Linと右チャンネルの楽音信号Rinがそれぞれ入
力される。
【0032】左チャンネル楽音信号Linと右チャンネ
ル楽音信号Rinは、それぞれ乗算器M1,M2におい
て所定の係数が乗じられた後に、加算器AD1において
加算されて左右2つのチャンネルが合成される。合成さ
れた楽音信号W0は、音源から聴取者に届く直接音と考
えることができる。
【0033】初期反射音生成部1は、直接音の楽音信号
W0を受けて、初期反射音の楽音信号WL1〜WL3,
WR1〜WR3を生成する。初期反射音信号WL1〜W
L3は、左チャンネル3本の初期反射音信号である。初
期反射音信号WL1〜WL3は、図3の初期反射音22
のエコーパターンに示したように聴取者までの到達時間
と音量のレベルがそれぞれ異なる3本の信号である。初
期反射音信号WR1〜WR3は、到達時間と音量レベル
がそれぞれ異なる右チャンネルの反射音信号である。初
期反射音生成部1の詳細は、後に図6を参照しながら説
明する。
【0034】クロストークキャンセル回路2は、初期反
射音生成部1で生成される初期反射音信号WL1〜WL
3,WR1〜WR3に対して、クロストークキャンセル
処理を行い、初期反射音の仮想音源の位置を聴取者の斜
め前方に設定する。クロストークキャンセル回路2は、
キャンセル用信号を付加した左右2チャンネルの初期反
射音信号WL5,WR5を出力する。クロストークキャ
ンセル回路2の詳細は、後に図7を参照しながら説明す
る。
【0035】後部残響音生成部3は、直接音遅延信号W
W0を入力する。直接音遅延信号WW0は、初期反射音
生成部1において遅延処理された信号であり、直接音信
号W0に比べて所定時間だけ遅延した信号である。後部
残響音生成部3は、直接音(W0)から所定時間だけ遅
れて現れる後部残響音を生成する。直接音信号W0から
所定時間遅延した直接音遅延信号WW0を基にして、後
部残響音生成部3はさらに遅延させた左右2チャンネル
の後部残響音の楽音信号WWL1,WWR1を生成す
る。後部残響音生成部3の詳細は、後に図8を参照しな
がら説明する。
【0036】加算器AD2は、左チャンネルの直接音信
号と初期反射音信号と後部残響音信号を加算して、左チ
ャンネル出力楽音信号Loutを生成する。加算器AD
3は、右チャンネルの直接音信号と初期反射音信号と後
部残響音信号を加算して、右チャンネル出力楽音信号R
outを生成する。
【0037】加算器AD2(AD3)に入力される直接
音信号は、図2に示した楽音発生部15において生成さ
れた直接音信号Lin(Rin)に対して、乗算器M3
(M8)において係数倍された信号である。
【0038】加算器AD2(AD3)に入力される初期
反射音信号は、クロストークキャンセル回路2において
仮想音源の位置設定が為された初期反射音信号WL5
(WR5)に対して、乗算器M4(M6)で係数倍され
た信号である。
【0039】加算器AD2(AD3)に入力される後部
残響音信号は、後部残響音生成部3において生成された
後部残響音信号WWL1(WWR1)に対して、乗算器
M5(M7)で係数倍された信号である。
【0040】残響音付加装置16は、直接音、初期反射
音および後部残響音を含んだ左右2チャンネルの楽音信
号Lout,Routを出力する。楽音信号Lout,
Routは、その後サウンドシステムにおいて発音され
る。楽音信号Lout,Rout中の初期反射音の仮想
音源は、聴取者の斜め前方に位置設定されている。
【0041】図6は、図1に示した初期反射音生成部1
の回路構成を示すブロック図である。初期反射音生成部
1は、直接音信号W0を受けて、初期反射音信号WL1
〜WL3,WR1〜WR3を生成する。初期反射音信号
WL1〜WL3は左チャンネルの初期反射音信号であ
り、初期反射音信号WR1〜WR3は右チャンネルの初
期反射音信号である。
【0042】また、初期反射音生成部1は、直接音信号
W0に対して所定時間だけ遅延した直接音遅延信号WW
0を生成する。直接音遅延信号WW0は、後部残響音を
生成するための基となる信号であり、後部残響音生成部
に供給される。
【0043】直接音信号W0は、初期反射音生成部1内
の遅延線31に入力される。遅延線31は、直接音信号
W0が入力される入力端子からそれぞれの出力端子まで
の距離に応じた遅延を行う。各出力端子は、入力端子か
ら遠いほど長い遅延時間の遅延信号を出力する。遅延線
31は、入力信号W0に対して、信号WR1,WL1,
WR2,WL2,WR3,WL3,WW0の順で遅延時
間の長い遅延信号を生成する。
【0044】左チャンネルの初期反射音信号WL1,W
L2,WL3は、直接音信号W0を遅延線31で遅延し
た後に、それぞれ乗算器M12,M14,M16におい
て係数倍した信号である。右チャンネルの初期反射音信
号WR1,WR2,WR3は、直接音信号W0を遅延線
31で遅延した後に、それぞれ乗算器M11,M13,
M15において係数倍した信号である。
【0045】図7は、図1に示したクロストークキャン
セル回路2の回路構成を示すブロック図である。クロス
トークキャンセル回路2は、図6の初期反射音生成部で
生成された初期反射音信号WL1〜WL3,WR1〜W
R3を受けて、仮想音源の位置設定が為された初期反射
音信号WL5,WR5を出力する。
【0046】左チャンネルの初期反射音信号WL1〜W
L3は、それぞれ乗算器M21,M22,M23で係数
倍された後に、加算器AD13において加算される。加
算された信号は、ハイパスフィルタ(HPF)32にお
いて低周波成分がカットされる。低周波成分は、音像定
位にほとんど影響しないために不必要となる。
【0047】低周波成分がカットされた信号は、遅延回
路33で遅延される。遅延が行われる遅延時間は、図1
1に示したように聴取者72の右耳に届く信号SR1と
左耳に届く信号SR2との距離差ΔLの時間に相当す
る。
【0048】遅延された信号は、反転回路34において
位相が反転され、逆位相の信号CWLが生成される。加
算器AD12は、左チャンネルの逆位相信号CWLと本
来の右チャンネル信号WR1〜WR3を加算し、右チャ
ンネル信号WR5を生成する。右チャンネル信号WR1
〜WR3は、右スピーカからそのまま聴取者の右耳に与
えるべき信号である。逆位相信号CWLは、左チャンネ
ル信号WL1〜WL3が聴取者の右耳に届く音を打ち消
すためのキャンセル用信号である。
【0049】同様に、クロストークキャンセル回路2に
入力される右チャンネル信号WR1〜WR3は、それぞ
れ乗算器M26,M25,M24で係数倍された後に、
加算器AD14で加算され、HPF35、遅延回路36
および反転回路37を介して、キャンセル用信号CWR
が生成される。加算器AD11は、キャンセル用信号C
WRと本来の左チャンネル信号WL1〜WL3を加算
し、左チャンネル信号WL5を生成する。
【0050】信号WL1〜WL3は、左スピーカからそ
のまま聴取者の左耳に与えるべき信号である。キャンセ
ル用信号CWRは、右チャンネル信号WR1〜WR3が
聴取者の左耳に届く音を打ち消す信号である。
【0051】クロストークキャンセル回路2から出力さ
れる信号WL5,WR5は、初期反射音信号にキャンセ
ル用信号が付加された信号である。もし、クロストーク
キャンセルが完全に行われたとしたら、左信号WL5に
含まれる信号WL1〜WL3は、聴取者の左耳だけに聞
こえ、右信号WR5に含まれる信号WR1〜WR3は聴
取者の右耳だけに聞こえることになる。つまり、聴取者
は、初期反射音が右真横または左真横から聞こえるよう
に感じる。
【0052】しかし、本実施例の残響音付加装置では、
聴取者の斜め前方から初期反射音が聞こえるようにし
て、臨場感あふれる音響効果を生成する。乗算器M24
〜M26の係数を制御することにより、初期反射音の仮
想音源の位置を変える。乗算器M21〜M26の係数
は、クロストークキャンセル量を決定する。係数が1で
あると、キャンセル量が最大となり仮想音源がほとんど
聴取者の真横になってしまう。乗算器の係数を例えば
0.6位にすると、聴取者の斜め前方の適切な位置に仮
想音源を設定することができる。
【0053】なお、本実施例のクロストークキャンセル
回路は、クロストークキャンセルを実現するための簡易
回路であるために、乗算器の係数を1にしてもクロスト
ークキャンセルが完全に行われず、多少斜め前方に仮想
音源が設定される。
【0054】また、聴取者個人個人の左右の耳の位置の
相違や、聴取者とスピーカとの相対的位置のずれによっ
てもクロストークキャンセルが完全に行われない。した
がって、乗算器の係数を1にしても、ほとんどの場合で
聴取者の斜め前方で初期反射音を定位させることができ
る。
【0055】乗算器M21〜M26は、それぞれの係数
を独立に設定することができるので、各初期反射音WL
1〜WL3,WR1〜WR3に対するキャンセル量にば
らつきを持たせて音像定位の場所を異ならせることによ
り、自然な残響音を生成することができる。
【0056】図4は、クロストークキャンセル量が大き
いときの仮想音源の位置を示す。図5は、クロストーク
キャンセル量が小さいときの仮想音源の位置を示す。左
右2チャンネルのスピーカ26Lと26Rから発せられ
る楽音は、聴取者27の耳に届く。直接音と後部残響音
は、エリア25から聞こえる。
【0057】キャンセル量が大きいときには、聴取者2
7の真横に近いエリア28L,28Rから初期反射音が
聞こえる。一方、キャンセル量が小さいときには、聴取
者から見てエリア28L,28Rより前方のエリア29
L,29Rから初期反射音が聞こえる。初期反射音が聞
こえてくる仮想音源の位置は、乗算器の係数を変化させ
ることにより、エリア28L,28Rまたはエリア29
L,29Rのように移動させることができる。
【0058】図8は、図1に示した後部残響音生成部3
の回路構成を示すブロック図である。後部残響音生成部
3は、直接音の遅延信号WW0を受けて、左右2チャン
ネルの後部残響音信号WWL1,WWR1を生成する。
【0059】直接音遅延信号WW0は、m個の並列ブロ
ックB1〜Bmに入力される。ブロックB1〜Bmは、
それぞれ信号WW0を基にして異なる残響音を生成す
る。ブロックB1は、信号WW0を受けて左右2チャン
ネルの残響音信号b1L,b1Rを生成し、ブロックB
2は、信号WW0を受けて残響音信号b2L,b2Rを
生成する。
【0060】ブロックB1に入力される信号WW0は、
乗算器MM11で係数倍された後に、加算器AA1にお
いて乗算器MM14から出力されるフィードバック信号
と加算される。加算器AA1の出力信号は、遅延線D1
において遅延された後に、乗算器MM12を介して左チ
ャンネルの残響音信号b1Lが生成される。そして、遅
延線D1において、残響音信号b1Lよりもさらに遅延
された信号が、乗算器MM13を介して右チャンネルの
残響音信号b1Rとなる。遅延線D1において、残響音
b1L,b1Rよりもさらに遅れた信号が、ローパスフ
ィルタLPF1で高周波成分がカットされた後に乗算器
MM14を介して加算器AD1にフィードバックする。
加算器AA1は、フィードバック信号を受けて、ホール
内の壁に反射して生成される残響音をシミュレートして
出力する。
【0061】同様にして、ブロックB2〜Bmのそれぞ
れにおいて、左右2チャンネルの残響音信号b2L〜b
mL,b2R〜bmRが生成される。生成される残響音
信号b1L〜bmL,b1R〜bmRは、図3の後部残
響音23のようにそれぞれ遅延時間が異なり、音量のレ
ベルが異なる。
【0062】左チャンネル残響音信号b1L〜bmL
は、加算器AD21で加算された後にオールパスフィル
タ(APF)41Lに入力される。APF41Lは、遅
延線を用いたフィードバック回路を含むので、さらに細
かい残響音を生成することができる。APF41Lにお
いて残響音を細やかにした後に、APF42Lでさらに
細かな残響音を生成し、残響音信号WWL1に変換され
る。
【0063】同様に、右チャンネルの残響音信号b1R
〜bmRは、加算器AD22で加算された後にAPF4
1RとAPF42Rを介して、残響音信号WWR1に変
換される。
【0064】後部残響音生成部3で生成された左右2チ
ャンネルの残響音信号WWL1,WWR1は、その後直
接音信号およびキャンセル用信号が付加された初期反射
音信号と加算される。
【0065】直接音、初期反射音および後部残響音が加
算された楽音信号を左右2チャンネルのスピーカから発
音させると、直接音と後部残響音については、両スピー
カの間に音像定位する。一方、初期反射音は、所定のク
ロストークキャンセルが行われるので、両スピーカより
も外側のエリアに音像定位させることができる。
【0066】聴取者は、直接音と後部残響音を前方のス
ピーカ位置付近から聞き取り、初期反射音については、
斜め前方(側方付近)から聞き取ることができる。聴取
者は、初期反射音を斜め前方から聞き取ることにより、
音響効果の優れたホール内で楽音を聞いているかのよう
な臨場感を味わうことができる。
【0067】また、クロストークキャンセル回路を用い
て、初期反射音の音像定位を行うことにより、3次元音
像定位のようなFIRフィルタを用いないで、簡単な回
路構成で残響音付加装置を実現することができる。
【0068】なお、図1の後部残響音生成部3で生成さ
れる後部残響音についても、初期反射音と同様にクロス
トークキャンセル回路によりクロストークキャンセルを
行い、なるべく多くの方向から聴取者に聞こえるように
すればより自然な残響音を生成することができる。
【0069】以上実施例に沿って本発明を説明したが、
本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種
々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に
自明であろう。
【0070】
【発明の効果】キャンセル付加初期反射音信号が付加さ
れた楽音信号を2チャンネルの発音源から発音させるこ
とにより、聴取者は側方または斜め前方から初期反射音
が聞こえるような感じを受けるので、音響効果の優れた
ホールで自然な楽音を聞いているような環境を作り出す
ことができる。また、クロストークキャンセル手段を用
いることにより、簡単な回路構成で残響音付加装置を実
現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 残響音付加装置の回路構成を示すブロック図
である。
【図2】 本発明の実施例による残響音付加装置を用い
て構成した電子楽器の全体構成を示すブロック図であ
る。
【図3】 ホール内において楽音が発せられたときのエ
コーパターンを示すグラフである。
【図4】 クロストークキャンセル量が大きいときの仮
想音源の位置を示す概念図である。
【図5】 クロストークキャンセル量が小さいときの仮
想音源の位置を示す概念図である。
【図6】 図1に示す初期反射音生成部の回路構成を示
すブロック図である。
【図7】 図1に示すクロストークキャンセル回路の回
路構成を示すブロック図である。
【図8】 図1に示す後部残響音生成部の回路構成を示
すブロック図である。
【図9】 ホール内において楽器演奏等を行った際の聴
取者に届く音の経路を示す概念図である。
【図10】 2つのスピーカを用いたときの仮想音源を
示す概念図である。
【図11】 クロストークキャンセルにより生成される
仮想音源を示す概念図である。
【符号の説明】
1 初期反射音生成部、 2 クロストークキャンセ
ル回路、 3 後部残響音生成部、 11 鍵盤、
12 RAM、 13 ROM、 14 制御
部、 15 楽音発生部、 16 残響音付加装
置、 17 サウンドシステム、 21 直接音、
22 初期反射音、 23 後部残響音、 2
5 直接音・後部残響音エリア、 26 スピーカ、
27聴取者、 28,29 初期反射音エリア、
31 遅延線、 32,35 ハイパスフィル
タ、 33,36 遅延回路、 34,37 反転
回路、 41,42 オールパスフィルタ、 50
音源、 51 聴取者、52 直接音、 53
初期反射音、 54 ホール、 61,71スピー
カ、 62,72 聴取者、 63,73 仮想音
源, AD 加算器、 M 乗算器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−175674(JP,A) 特開 平7−95697(JP,A) 特開 平6−266379(JP,A) 特開 平6−110484(JP,A) 特開 平5−46194(JP,A) 特開 平6−149276(JP,A) 特開 平4−143799(JP,A) 特開 平4−73693(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G10K 15/12 G10H 1/00 H04S 1/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】加算手段(AD1)と、初期反射音生成手段
    (1)と、クロストークキャンセル手段(2)と、残響
    音加算手段(AD2、AD3)とを備える残響音付加装置であ
    って、 加算手段(AD1)は、入力される2チャンネルの楽音信
    号を加算して加算楽音信号を生成し、 初期反射音生成手段(1)は、加算楽音信号を適宜遅延
    して、複数の初期反射音からなる2チャンネルの初期反
    射音信号を生成し、 クロストークキャンセル手段(2)は、チャンネル毎の
    初期反射音を重み付け加算し、遅延および位相反転した
    信号を他チャンネルの初期反射音信号と加算して、2チ
    ャンネルのクロストークキャンセル信号を生成し、 残響音加算手段(AD2、AD3)は、入力される楽音信号と
    クロストークキャンセル信号をチャンネル毎に加算して
    2チャンネルの出力楽音信号を生成する残響音付加装
    置。
  2. 【請求項2】後部残響音生成手段(3)をさらに備え、 後部残響音生成手段(3)は、加算楽音信号に基づいて
    2チャンネルの後部残響音信号を生成し、 残響音加算手段(AD2、AD3)は、後部残響音信号もチャ
    ンネル毎に加算する請求項1に記載の残響音付加装置。
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