JP3373551B2 - 酸素輸送に適した水性エマルジョン - Google Patents
酸素輸送に適した水性エマルジョンInfo
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- JP3373551B2 JP3373551B2 JP13756392A JP13756392A JP3373551B2 JP 3373551 B2 JP3373551 B2 JP 3373551B2 JP 13756392 A JP13756392 A JP 13756392A JP 13756392 A JP13756392 A JP 13756392A JP 3373551 B2 JP3373551 B2 JP 3373551B2
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- Nitrogen Condensed Heterocyclic Rings (AREA)
- Medicinal Preparation (AREA)
- Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
- Gas Separation By Absorption (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鉄ポルフィリン錯体で
油脂を乳化処理して調製した酸素輸送に好適な油滴小球
( micro-sphere マイクロスフェア)を含有する水性分
散液に関する。更に詳しくは、本発明は医療面において
酸素輸送の特性に優れた鉄ポルフィリン錯体で油脂を被
覆した油滴小球を含有する水性エマルジョンに関するも
のである。
油脂を乳化処理して調製した酸素輸送に好適な油滴小球
( micro-sphere マイクロスフェア)を含有する水性分
散液に関する。更に詳しくは、本発明は医療面において
酸素輸送の特性に優れた鉄ポルフィリン錯体で油脂を被
覆した油滴小球を含有する水性エマルジョンに関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】ヘモグロビンやミオグロビンなどの中に
存在する鉄(II)ポルフィリン錯体は、酸素分子を可逆
的に吸脱着する機能を有するものである。従来から、こ
のような天然のポルフィリン鉄(II)錯体と類似の酸素
吸脱着機能を合成の錯体で実現しようとする研究は数多
く報告されており、その例としては、J.P.Collman,Acco
unts of Chemical Reseach, 10,265(1977); F.Basolo,
B.M Hoffman およびJ.A.Ibera,ibid, 8,384(1975) など
が挙げられる。
存在する鉄(II)ポルフィリン錯体は、酸素分子を可逆
的に吸脱着する機能を有するものである。従来から、こ
のような天然のポルフィリン鉄(II)錯体と類似の酸素
吸脱着機能を合成の錯体で実現しようとする研究は数多
く報告されており、その例としては、J.P.Collman,Acco
unts of Chemical Reseach, 10,265(1977); F.Basolo,
B.M Hoffman およびJ.A.Ibera,ibid, 8,384(1975) など
が挙げられる。
【0003】前記した合成の錯体、特に合成の金属ポル
フィリン錯体などを使用し、生理条件(生理塩水溶液(p
H 7.4)、室温ないし37℃)のもとでそれらの機能を発現
させ、医療面の用途に利用しようとする場合、合成すべ
き錯体を水に溶解させるとともに徴視的な疎水環境に包
埋固定することが必要になる。別言すれば、特性の優れ
た合成錯体のキャリアーが不可欠である。なお、これら
の医療面の用途としては、例えば人工血液、臓器保存液
または人工肺などの酸素供給液がある。
フィリン錯体などを使用し、生理条件(生理塩水溶液(p
H 7.4)、室温ないし37℃)のもとでそれらの機能を発現
させ、医療面の用途に利用しようとする場合、合成すべ
き錯体を水に溶解させるとともに徴視的な疎水環境に包
埋固定することが必要になる。別言すれば、特性の優れ
た合成錯体のキャリアーが不可欠である。なお、これら
の医療面の用途としては、例えば人工血液、臓器保存液
または人工肺などの酸素供給液がある。
【0004】従来より水溶液中で徴視的疎水環境を簡便
に調製する方法として、界面活性剤からなるミセル、及
びリン脂質からなる二分子膜小胞体の利用が良く知られ
ている。しかしながら、ミセルはその形態が動的であ
り、かつ二分子膜小胞体に比べて安定性に欠くととも
に、形成する疎水環境の疎水性が低いものである。この
ため、一般には形状が比較的安定で十分な疎水性領域を
提供することができる二分子膜小胞体が、錯体のキャリ
アーとして利用される場合が多い。しかしながら、この
種のリン脂質小胞体の疎水領域に対して、高濃度の錯体
を取込ませる方法は開発されていない。即ち、リン脂質
小胞体の二分子層間に、錯体を配向性高く、かつ、高濃
度に配置固定させ、生理条件下で安定に酸素を運搬でき
る酸素運搬系の開発が栄んに推進されているのが現状で
ある。
に調製する方法として、界面活性剤からなるミセル、及
びリン脂質からなる二分子膜小胞体の利用が良く知られ
ている。しかしながら、ミセルはその形態が動的であ
り、かつ二分子膜小胞体に比べて安定性に欠くととも
に、形成する疎水環境の疎水性が低いものである。この
ため、一般には形状が比較的安定で十分な疎水性領域を
提供することができる二分子膜小胞体が、錯体のキャリ
アーとして利用される場合が多い。しかしながら、この
種のリン脂質小胞体の疎水領域に対して、高濃度の錯体
を取込ませる方法は開発されていない。即ち、リン脂質
小胞体の二分子層間に、錯体を配向性高く、かつ、高濃
度に配置固定させ、生理条件下で安定に酸素を運搬でき
る酸素運搬系の開発が栄んに推進されているのが現状で
ある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、前記し
た従来技術の現状に鑑み、ポルフィリン環面上に末端親
水性アルキル置換基を導入し、ポルフィリンに両親媒性
構造を付与すれば、リン脂質二分子膜の疎水環境へそれ
を配向性高く包埋できるものと考え、先に種々の両親媒
性鉄ポルフィリン錯体を合成、これらの鉄ポルフィリン
錯体を脂質二分子膜中に包埋させることにより、水相系
での有効な酸素運搬系を提案した(特開昭 59-101490
号および特開昭 58-213777 号など)。
た従来技術の現状に鑑み、ポルフィリン環面上に末端親
水性アルキル置換基を導入し、ポルフィリンに両親媒性
構造を付与すれば、リン脂質二分子膜の疎水環境へそれ
を配向性高く包埋できるものと考え、先に種々の両親媒
性鉄ポルフィリン錯体を合成、これらの鉄ポルフィリン
錯体を脂質二分子膜中に包埋させることにより、水相系
での有効な酸素運搬系を提案した(特開昭 59-101490
号および特開昭 58-213777 号など)。
【0006】しかしながら、前記した本発明者らの先に
提案した酸素運搬系(特開昭 59-101490号および特開昭
58-213777 号)は、鉄ポルフィリン錯体の溶解濃度が
10mmol/lにとどまるものであり、すなわち酸素運搬量が
20ml酸素/100ml 媒体にとどまるものである。また、該
酸素運搬系は大量のリン脂質を利用するため、工業的規
模での製造法やあるいはその毒性について十分な検討が
なされなければならないものである。
提案した酸素運搬系(特開昭 59-101490号および特開昭
58-213777 号)は、鉄ポルフィリン錯体の溶解濃度が
10mmol/lにとどまるものであり、すなわち酸素運搬量が
20ml酸素/100ml 媒体にとどまるものである。また、該
酸素運搬系は大量のリン脂質を利用するため、工業的規
模での製造法やあるいはその毒性について十分な検討が
なされなければならないものである。
【0007】本発明者らは、前記した従来技術および先
に提案した酸素運搬系を改善し、生理条件下で安定、か
つより多量の酸素を運搬できる酸素運搬系の分子設計と
機能発現について鋭意研究を重ねた。その結果、両親媒
性の鉄ポルフィリン錯体を界面活性剤として油脂を乳化
した場合、乳化して得られるO/W型マイクロスフェア
(即ち、これは鉄ポルフィリン錯体被覆マイクロスフェ
アである。)は、酸素吸着席である鉄ポルフィリンが油
層側に位置するため(即ち、錯体部を微視的疎水環境に
配置した構造のものとなる。)、生理条件下でも安定な
酸素供給用の錯体が得られることを見い出し、本発明を
完成するに至った。
に提案した酸素運搬系を改善し、生理条件下で安定、か
つより多量の酸素を運搬できる酸素運搬系の分子設計と
機能発現について鋭意研究を重ねた。その結果、両親媒
性の鉄ポルフィリン錯体を界面活性剤として油脂を乳化
した場合、乳化して得られるO/W型マイクロスフェア
(即ち、これは鉄ポルフィリン錯体被覆マイクロスフェ
アである。)は、酸素吸着席である鉄ポルフィリンが油
層側に位置するため(即ち、錯体部を微視的疎水環境に
配置した構造のものとなる。)、生理条件下でも安定な
酸素供給用の錯体が得られることを見い出し、本発明を
完成するに至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明を概説すれば、本
発明は、下記一般式(I)で表わされる鉄−5 ,10,1
5,20−テトラ[α,α,α,α−o−(置換アミド)
フェニル]ポルフィリン錯体で油脂を乳化処理して調製
した油滴小球を含有することを特徴とした酸素輸送に適
した水性エマルジョンに関するものである。一般式
(I)
発明は、下記一般式(I)で表わされる鉄−5 ,10,1
5,20−テトラ[α,α,α,α−o−(置換アミド)
フェニル]ポルフィリン錯体で油脂を乳化処理して調製
した油滴小球を含有することを特徴とした酸素輸送に適
した水性エマルジョンに関するものである。一般式
(I)
【0009】
【化4】
[ここで、nは 1〜18の整数、R1 は親水性置換基、X
およびYは下記一般式(II)で示されるイミダゾール配
位子を示す。]一般式(II)
およびYは下記一般式(II)で示されるイミダゾール配
位子を示す。]一般式(II)
【0010】
【化5】
[ここで、R2 は水素またはC1 〜C3 のアルキル基、
R3 はアルキル基または疎水性置換基を示す。ただし、
R2 が水素の場合はXおよびYは同じ配位子であり、R
2 が水素以外の場合はYは存在しない。]
R3 はアルキル基または疎水性置換基を示す。ただし、
R2 が水素の場合はXおよびYは同じ配位子であり、R
2 が水素以外の場合はYは存在しない。]
【0011】以下、本発明の技術的構成を詳しく説明す
る。本発明において、前記一般式(I)で示される鉄−
5 ,10,15,20−テトラ[α,α,α,α−o−(置換
アミド)フェニル]ポルフィリン錯体(以下、単に鉄ポ
ルフィリン錯体という場合がある。)の置換基の特性が
極めて重要である。特に、油脂の乳化に際して使用され
る界面活性剤としての前記一般式(I)で示される鉄ポ
ルフィリン錯体において、XおよびYで示されるイミダ
ゾール配位子のR3 が疎水性置換基であることが重要で
ある。本発明者らの研究によれば、鉄ポルフィリン錯体
において配位イミダールが疎水性置換基を持たない場
合、油脂を乳化処理して油脂の表面にそのような鉄ポル
フィリン錯体を被覆しても安定な酸素錯体が得られず直
ちに劣化してしまう。本発明において、R3 としてはC
4 〜C20のアルキル基、トリチル基、置換トリチル基、
または下記一般式(III )で示されるカルボン酸アルキ
ルエステル基が好ましい。一般式(III )
る。本発明において、前記一般式(I)で示される鉄−
5 ,10,15,20−テトラ[α,α,α,α−o−(置換
アミド)フェニル]ポルフィリン錯体(以下、単に鉄ポ
ルフィリン錯体という場合がある。)の置換基の特性が
極めて重要である。特に、油脂の乳化に際して使用され
る界面活性剤としての前記一般式(I)で示される鉄ポ
ルフィリン錯体において、XおよびYで示されるイミダ
ゾール配位子のR3 が疎水性置換基であることが重要で
ある。本発明者らの研究によれば、鉄ポルフィリン錯体
において配位イミダールが疎水性置換基を持たない場
合、油脂を乳化処理して油脂の表面にそのような鉄ポル
フィリン錯体を被覆しても安定な酸素錯体が得られず直
ちに劣化してしまう。本発明において、R3 としてはC
4 〜C20のアルキル基、トリチル基、置換トリチル基、
または下記一般式(III )で示されるカルボン酸アルキ
ルエステル基が好ましい。一般式(III )
【0012】
【化6】
[ここで、lは 3〜12の整数,mは 0〜12の整数を示
す。]
す。]
【0013】本発明において、前記一般式(I)で示さ
れる鉄ポルフィリン錯体において、置換基R1 は鉄ポル
フィリン錯体を水に溶解させるために重要な役割を演
じ、親水性置換基であることが好ましい。本発明におい
て、置換基R1 としては、ホスホコリン基、カルボキシ
ル基、またはオリゴ(オキシエチレン)基などの親水性
置換基が好ましい。
れる鉄ポルフィリン錯体において、置換基R1 は鉄ポル
フィリン錯体を水に溶解させるために重要な役割を演
じ、親水性置換基であることが好ましい。本発明におい
て、置換基R1 としては、ホスホコリン基、カルボキシ
ル基、またはオリゴ(オキシエチレン)基などの親水性
置換基が好ましい。
【0014】本発明において、前記一般式(I)で示さ
れる鉄ポルフィリン錯体において、X及びYで示される
イミダゾール配位子のR2 は、水素またはC1 〜C3 の
アルキル基が好ましい。
れる鉄ポルフィリン錯体において、X及びYで示される
イミダゾール配位子のR2 は、水素またはC1 〜C3 の
アルキル基が好ましい。
【0015】本発明において、前記一般式(I)で示さ
れる鉄ポルフィリン錯体で乳化処理される油脂として
は、トリグリセリド(大豆油など)が例示されるが、こ
のほかジグリセリド、脂溶性コレステロール誘導体、脂
溶性ビタミンなどであってもよい。
れる鉄ポルフィリン錯体で乳化処理される油脂として
は、トリグリセリド(大豆油など)が例示されるが、こ
のほかジグリセリド、脂溶性コレステロール誘導体、脂
溶性ビタミンなどであってもよい。
【0016】次に、前記一般式(I)で示される鉄ポル
フィリン錯体を用いて油脂を乳化処理し、該鉄ポルフィ
リン錯体で油脂表面を被覆した油滴小球(マイクロスフ
ェア)を含有する水性エマルジョン(水性分散液)の一
般的な調製法について説明する。
フィリン錯体を用いて油脂を乳化処理し、該鉄ポルフィ
リン錯体で油脂表面を被覆した油滴小球(マイクロスフ
ェア)を含有する水性エマルジョン(水性分散液)の一
般的な調製法について説明する。
【0017】本発明における鉄ポルフィリン錯体で油脂
を乳化処理し、鉄ポルフィリン錯体で油脂表面を被覆し
た構造の油滴小球(鉄ポルフィリン錯体被覆マイクロス
フェア)を含有するエマルジョンを調製するには、次の
ようにすればよい。
を乳化処理し、鉄ポルフィリン錯体で油脂表面を被覆し
た構造の油滴小球(鉄ポルフィリン錯体被覆マイクロス
フェア)を含有するエマルジョンを調製するには、次の
ようにすればよい。
【0018】まず両親媒性鉄ポルフィリン錯体(例え
ば、メソ−テトラ(α,α,α,α−o−(20-((2'-ト
リメチルアンモニオエトキシ)ホスホナトキシ)-2,2-
ジメチルエイコサンアミド)フェニル)ポルフィナト鉄
(III ))および過剰量の置換イミダゾール(イミダゾ
ール/鉄ポルフィリン錯体モル比= 1〜100 )を適当な
溶媒(例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、メタノ
ール)に溶解し、ロータリーエバポレーターでナスフラ
スコ内に乾固させる。
ば、メソ−テトラ(α,α,α,α−o−(20-((2'-ト
リメチルアンモニオエトキシ)ホスホナトキシ)-2,2-
ジメチルエイコサンアミド)フェニル)ポルフィナト鉄
(III ))および過剰量の置換イミダゾール(イミダゾ
ール/鉄ポルフィリン錯体モル比= 1〜100 )を適当な
溶媒(例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、メタノ
ール)に溶解し、ロータリーエバポレーターでナスフラ
スコ内に乾固させる。
【0019】次いで、油脂、例えば大豆油などのトリグ
リセリド(油脂/鉄ポルフィリン錯体モル比=0.1 〜10
0 ,好ましくは1 〜10)、水系媒質、例えば、水、リン
酸緩衝液(pH5 〜9 )、生理食塩水、Krebs-Ringers 液
などを夫々加えた後、振とう、あるいはミキサーで攪拌
する。
リセリド(油脂/鉄ポルフィリン錯体モル比=0.1 〜10
0 ,好ましくは1 〜10)、水系媒質、例えば、水、リン
酸緩衝液(pH5 〜9 )、生理食塩水、Krebs-Ringers 液
などを夫々加えた後、振とう、あるいはミキサーで攪拌
する。
【0020】以上のように、O/W型鉄ポルフィリン錯
体被覆マイクロスフェアの水性エマルジョンが調製され
る。さらに、窒素雰囲気下、 0〜100 ℃において(好ま
しくは 5〜60℃)超音波処理または高圧ホモジナイザー
を用いて乳化処理を行うことで、粒径の小さな該油滴小
球を含有する水性エマルジョンが得られる。これらの粒
径は室温または 5℃で数ケ月間保存後も変化はなく安定
である。
体被覆マイクロスフェアの水性エマルジョンが調製され
る。さらに、窒素雰囲気下、 0〜100 ℃において(好ま
しくは 5〜60℃)超音波処理または高圧ホモジナイザー
を用いて乳化処理を行うことで、粒径の小さな該油滴小
球を含有する水性エマルジョンが得られる。これらの粒
径は室温または 5℃で数ケ月間保存後も変化はなく安定
である。
【0021】本発明において、前記のようにして調製し
た水性分散液へ窒素雰囲気下で少過剰の還元剤(例え
ば、亜ニチオン酸ナトリウムまたはアスコルビン酸の水
溶液)を添加すると、目的とする鉄(II)ポルフィリン
−(置換イミダゾール)錯体被覆油滴小球を含有する水
性分散液が得られる。なお、前記の還元剤添加による還
元の代わりに、パラジウムカーボン/水素ガスによる還
元も利用できる。例えば、鉄ポルフィリン錯体と置換イ
ミダゾールを乾燥ジクロロメタンあるいはベンゼン/メ
タノール混合溶媒に溶解し、少量のパラジウムカーボン
を添加後、これに水素を十分に吹き込み室温下で還元
し、鉄(II)ポルフィリン錯体溶液を調製し、パラジウ
ムカーボンを濾別して、得られた濾液を真空乾燥して調
製したものを使用してもよい。
た水性分散液へ窒素雰囲気下で少過剰の還元剤(例え
ば、亜ニチオン酸ナトリウムまたはアスコルビン酸の水
溶液)を添加すると、目的とする鉄(II)ポルフィリン
−(置換イミダゾール)錯体被覆油滴小球を含有する水
性分散液が得られる。なお、前記の還元剤添加による還
元の代わりに、パラジウムカーボン/水素ガスによる還
元も利用できる。例えば、鉄ポルフィリン錯体と置換イ
ミダゾールを乾燥ジクロロメタンあるいはベンゼン/メ
タノール混合溶媒に溶解し、少量のパラジウムカーボン
を添加後、これに水素を十分に吹き込み室温下で還元
し、鉄(II)ポルフィリン錯体溶液を調製し、パラジウ
ムカーボンを濾別して、得られた濾液を真空乾燥して調
製したものを使用してもよい。
【0022】本発明における鉄ポルフィリン錯体被覆油
滴小球の平均粒径は、前記調製法の条件により数μm〜
数十nmの範囲で調節することができる。また、水性分
散液中の鉄ポルフィリン錯体濃度は、数μM〜数十mM
まで調製することができる。
滴小球の平均粒径は、前記調製法の条件により数μm〜
数十nmの範囲で調節することができる。また、水性分
散液中の鉄ポルフィリン錯体濃度は、数μM〜数十mM
まで調製することができる。
【0023】本発明の鉄ポルフィリン錯体被覆マイクロ
スフェアの水性分散液の安定性は、次のことからもいえ
る。即ち、大豆油をリン脂質(例えば、卵黄レシチン)
で乳化したレシチンーマイクロスフェアの懸濁液が静脈
注射用脂肪乳剤として汎用されているほか、脂溶性薬物
の運搬体として臨床に広く応用されている。このように
してレシチンーマイクロスフェアは静脈内へ大量供与し
ても毒性のない、数少ない物質の一つである。一方、本
発明の鉄ポルフィリン錯体被覆マイクロスフェア(油滴
小球)は、トリグリセリンなどの油脂を芯物質としてい
ることから、同様に生体への適用性に優れているもので
ある。なお、該油滴小球の表面は鉄ポルフィリン錯体の
酸素吸着席で覆われているため、該錯体や油脂の処方、
調製法を変えることにより、その粒径や錯体濃度(別言
すれば酸素溶解量)を任意に調整することができるとい
う優位性をもっている。
スフェアの水性分散液の安定性は、次のことからもいえ
る。即ち、大豆油をリン脂質(例えば、卵黄レシチン)
で乳化したレシチンーマイクロスフェアの懸濁液が静脈
注射用脂肪乳剤として汎用されているほか、脂溶性薬物
の運搬体として臨床に広く応用されている。このように
してレシチンーマイクロスフェアは静脈内へ大量供与し
ても毒性のない、数少ない物質の一つである。一方、本
発明の鉄ポルフィリン錯体被覆マイクロスフェア(油滴
小球)は、トリグリセリンなどの油脂を芯物質としてい
ることから、同様に生体への適用性に優れているもので
ある。なお、該油滴小球の表面は鉄ポルフィリン錯体の
酸素吸着席で覆われているため、該錯体や油脂の処方、
調製法を変えることにより、その粒径や錯体濃度(別言
すれば酸素溶解量)を任意に調整することができるとい
う優位性をもっている。
【0024】本発明に係わる前記水性分散液中のおいて
油滴小球は、その油層を被覆した鉄ポルフィリン錯体が
酸素分圧差による可逆性酸素吸脱着機能を安定に発揮
し、生理条件下での酸素運搬系として機能する。その酸
素結合解離は迅速で、該油滴小球は生体内血流中でも酸
素を効率よく運搬できるものであり人工酸素運搬体とし
て使用することができる。
油滴小球は、その油層を被覆した鉄ポルフィリン錯体が
酸素分圧差による可逆性酸素吸脱着機能を安定に発揮
し、生理条件下での酸素運搬系として機能する。その酸
素結合解離は迅速で、該油滴小球は生体内血流中でも酸
素を効率よく運搬できるものであり人工酸素運搬体とし
て使用することができる。
【0025】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳しく説明
する。なお、本発明は実施例のものに限定されないこと
はいうまでもないことである。
する。なお、本発明は実施例のものに限定されないこと
はいうまでもないことである。
【0026】(i)出発物質の調製
(イ)メソーテトラ(α,α,α,α−o−(20-((2'-
トリメチルアンモニオエトキシ)ホスホナトキシ)-2,2
- ジメチルエイコサンアミド)フェニル)ポルフィナト
鉄(III )を、特開昭 59-101490号に従って調製した。 (ロ)1−ラウリルイミダゾールを次のように調製し
た。 イミダゾール( 20g、0.29mol )の乾燥テトラヒドロフ
ラン溶液に窒素下水素化リチウム( 2.1g 、0.26mol )
を添加し、12時間沸点還流する。そこへラウリルブロマ
イド( 64.8g、0.26mol )を滴下し、さらに12時間加熱
反応後、クロロホルム抽出、純水で洗浄した。無水硫酸
ナトリウムで脱水処理後、溶媒を減圧除去し、黄色油状
物を得た。これを減圧蒸留( 165℃/1 mmHg)で精製し
無色透明な粘調液体である1-ラウリルイミダゾール(4
9.1g )を収率80%で得た。 EI-Mass: [M-1]+ =235。元素分析:Found(%):C 76.2(7
6.2)、H 11.7(11.9)、N 12.1(11.8)(但し、括弧内の値
はC15H18N4 に対する計算値)。 1H−核磁気共鳴ス
ペクトル(CDCl3 , TMS基準,δ(ppm) )1.0-1.8(23H,
m,alkyl chain)、4.0 (2H,t,Im- (CH2 ) −)、6.9,
7.1, 7.5(3H,s,Im )。
トリメチルアンモニオエトキシ)ホスホナトキシ)-2,2
- ジメチルエイコサンアミド)フェニル)ポルフィナト
鉄(III )を、特開昭 59-101490号に従って調製した。 (ロ)1−ラウリルイミダゾールを次のように調製し
た。 イミダゾール( 20g、0.29mol )の乾燥テトラヒドロフ
ラン溶液に窒素下水素化リチウム( 2.1g 、0.26mol )
を添加し、12時間沸点還流する。そこへラウリルブロマ
イド( 64.8g、0.26mol )を滴下し、さらに12時間加熱
反応後、クロロホルム抽出、純水で洗浄した。無水硫酸
ナトリウムで脱水処理後、溶媒を減圧除去し、黄色油状
物を得た。これを減圧蒸留( 165℃/1 mmHg)で精製し
無色透明な粘調液体である1-ラウリルイミダゾール(4
9.1g )を収率80%で得た。 EI-Mass: [M-1]+ =235。元素分析:Found(%):C 76.2(7
6.2)、H 11.7(11.9)、N 12.1(11.8)(但し、括弧内の値
はC15H18N4 に対する計算値)。 1H−核磁気共鳴ス
ペクトル(CDCl3 , TMS基準,δ(ppm) )1.0-1.8(23H,
m,alkyl chain)、4.0 (2H,t,Im- (CH2 ) −)、6.9,
7.1, 7.5(3H,s,Im )。
【0027】(ii)鉄(II)ポルフィリン錯体被覆油滴
小球を含有する水性エマルジョンの調製 前記ポルフィナト鉄(III )(1 mmol)と1-ラウリルイ
ミダゾール(2.5 mmol)のメタノール溶液を、ロータリ
ーエバポレータでナスフラスコ内で乾固させた。次に、
これにトリオクタノイルグリセリド(24 mmol ),pH
7.4の1/30mMリン酸緩衝液を100 mlをそれぞれ加え、振
とうしてから窒素雰囲気下で超音波処理(60W , 40分)
を行ない油滴小球を含有する水性分散液を調製した。走
査型電子顕微鏡観察により、平均粒径は約 100nmの微小
球の形態であることが確認された。また、これらの粒子
は、室温または 5℃で数ケ月間保存しても変化がなく安
定していた。
小球を含有する水性エマルジョンの調製 前記ポルフィナト鉄(III )(1 mmol)と1-ラウリルイ
ミダゾール(2.5 mmol)のメタノール溶液を、ロータリ
ーエバポレータでナスフラスコ内で乾固させた。次に、
これにトリオクタノイルグリセリド(24 mmol ),pH
7.4の1/30mMリン酸緩衝液を100 mlをそれぞれ加え、振
とうしてから窒素雰囲気下で超音波処理(60W , 40分)
を行ない油滴小球を含有する水性分散液を調製した。走
査型電子顕微鏡観察により、平均粒径は約 100nmの微小
球の形態であることが確認された。また、これらの粒子
は、室温または 5℃で数ケ月間保存しても変化がなく安
定していた。
【0028】次に、前記分散液に窒素雰囲気下で少量の
アルコルビン酸水溶液を添加し、鉄(II)メソーテトラ
(α,α,α,α−o−(20-((2'-トリメチルアンモニ
オエトキシ)ホスホナトキシ)-2,2- ジメチルエイコサ
ンアミド)フェニル)ポルフィリンービス(1-ラウリル
イミダゾール)錯体被覆油滴小球を含有する水性分散液
を調製した。そして、この懸濁液を十分に脱気しpH7.4
の1/30mMリン酸緩衝液で 500倍に希釈し、測定セルに窒
素下で密封した。このものの可視吸収スペクトルはλma
x561, 533, 430nmであり、これはデオキシ型に相当する
ものである。
アルコルビン酸水溶液を添加し、鉄(II)メソーテトラ
(α,α,α,α−o−(20-((2'-トリメチルアンモニ
オエトキシ)ホスホナトキシ)-2,2- ジメチルエイコサ
ンアミド)フェニル)ポルフィリンービス(1-ラウリル
イミダゾール)錯体被覆油滴小球を含有する水性分散液
を調製した。そして、この懸濁液を十分に脱気しpH7.4
の1/30mMリン酸緩衝液で 500倍に希釈し、測定セルに窒
素下で密封した。このものの可視吸収スペクトルはλma
x561, 533, 430nmであり、これはデオキシ型に相当する
ものである。
【0029】(iii) 酸素輸送特性の評価
前記のようにして調製した鉄(II)ポルフィリン錯体被
覆油滴小球を含有する水性エマルジョンに酸素ガスを吹
き込むと、直ちにスペクトルが変化し、λmax543, 428n
mのスペクトルが得られる。これは明らかに酸素化錯体
となっていることを示すものである。この酸素化錯体溶
液に窒素ガスを吹き込むことにより、可視吸収スペクト
ルは酸素型スペクトルからデオキシ型スペクトルへ可逆
的に変化し、酸素の吸脱着が可逆的に生起することを確
認した。なお、酸素を吹き込み、次に窒素を吹き込む操
作を繰り返し、酸素吸脱着を連続して行うことが出来る
ことも確認された。また、上記の酸素錯体の半寿命は25
℃において12時間以上であった。
覆油滴小球を含有する水性エマルジョンに酸素ガスを吹
き込むと、直ちにスペクトルが変化し、λmax543, 428n
mのスペクトルが得られる。これは明らかに酸素化錯体
となっていることを示すものである。この酸素化錯体溶
液に窒素ガスを吹き込むことにより、可視吸収スペクト
ルは酸素型スペクトルからデオキシ型スペクトルへ可逆
的に変化し、酸素の吸脱着が可逆的に生起することを確
認した。なお、酸素を吹き込み、次に窒素を吹き込む操
作を繰り返し、酸素吸脱着を連続して行うことが出来る
ことも確認された。また、上記の酸素錯体の半寿命は25
℃において12時間以上であった。
【0030】実施例2
実施例1においてメソーテトラ(α,α,α,α−o−
(20-((2'-トリメチルアンモニオエトキシ)ホスホナト
キシ)-2,2- ジメチルエイコサンアミド)フェニル)ポ
ルフィナト鉄(III )の代わりに、メソーテトラ(α,
α,α,α−o−(12- ヒドロキシカルボニル-2,2- ジ
メチルドデカンアミドフェニル)ポルフィナト鉄(III
)(特開昭 58-213777に従って調製した。)を、1-ラ
ウリルイミダゾールの代わりに1-ラウリル-2- メチルイ
ミダゾール(20mmol)を、トリオクタノイルグリセリドの
代わりにトリテトラデカノイルグリセリドを用いた以外
は全く同様な手法に従い、鉄(II)メソーテトラ(α,
α,α,α−o−(12- ヒドロキシカルボニル-2,2- ジ
メチルドデカンアミド)フェニル)ポルフィナト鉄−
(1-ラウリル-2- メチルイミダゾール)錯体被覆油滴小
球を含有する水性分散液を得た。可視吸収スペクトルは
λmax562, 535, 439nmで、デオキシ型に相当する。実施
例1と同様に、酸素ガスを溶液に吹き込むことにより酸
素化錯体に相当する可視吸収スペクトル(λmax 544, 4
23nm)を得た。この酸素化錯体溶液に窒素ガスを吹き込
むことにより、もとのデオキシ型スペクトルが得られ、
酸素の可逆的吸脱着を確認した。また、上記の酸素錯体
の半寿命は25℃において 6時間以上であった。
(20-((2'-トリメチルアンモニオエトキシ)ホスホナト
キシ)-2,2- ジメチルエイコサンアミド)フェニル)ポ
ルフィナト鉄(III )の代わりに、メソーテトラ(α,
α,α,α−o−(12- ヒドロキシカルボニル-2,2- ジ
メチルドデカンアミドフェニル)ポルフィナト鉄(III
)(特開昭 58-213777に従って調製した。)を、1-ラ
ウリルイミダゾールの代わりに1-ラウリル-2- メチルイ
ミダゾール(20mmol)を、トリオクタノイルグリセリドの
代わりにトリテトラデカノイルグリセリドを用いた以外
は全く同様な手法に従い、鉄(II)メソーテトラ(α,
α,α,α−o−(12- ヒドロキシカルボニル-2,2- ジ
メチルドデカンアミド)フェニル)ポルフィナト鉄−
(1-ラウリル-2- メチルイミダゾール)錯体被覆油滴小
球を含有する水性分散液を得た。可視吸収スペクトルは
λmax562, 535, 439nmで、デオキシ型に相当する。実施
例1と同様に、酸素ガスを溶液に吹き込むことにより酸
素化錯体に相当する可視吸収スペクトル(λmax 544, 4
23nm)を得た。この酸素化錯体溶液に窒素ガスを吹き込
むことにより、もとのデオキシ型スペクトルが得られ、
酸素の可逆的吸脱着を確認した。また、上記の酸素錯体
の半寿命は25℃において 6時間以上であった。
【0031】実施例3
実施例1においてメソーテトラ(α,α,α,α−o−
(20-((2'-トリメチルアンモニオエトキシ)ホスホナト
キシ)-2,2- ジメチルエイコサンアミド)フェニル)ポ
ルフィナト鉄(III )の代わりに、メソーテトラ(α,
α,α,α−o−(12- (オリゴ(オキシエチレン)ア
ミノカルボニル)-2,2- ジメチルデカンアミド)フェニ
ル)ポルフィナト鉄(III )(特開昭 60-58984 に従っ
て調製した。)を、1-ラウリルイミダゾールの代わりに
1-トリチル-2- メチルイミダゾール(20mmol)を、トリオ
クタノイルグリセリドの代わりにトリヘキサノイルグリ
セリドを用いた以外は全く同様な手法に従い、鉄(II)
メソーテトラ(α,α,α,α−o−(12- (オリゴ
(オキシエチレン)アミノカルボニル)-2,2- ジメチル
デカンアミド)フェニル)ポルフィナト鉄−(1-トリチ
ル-2- メチルイミダゾール)錯体被覆油滴小球を含有す
る水性分散液を得た。可視吸収スペクトルはλmax562,
535, 439nmで、デオキシ型に相当する。実施例1と同様
に、酸素ガスを溶液に吹き込むことにより酸素化錯体に
相当する可視吸収スペクトル(λmax 543, 424nm)を得
た。この酸素化錯体溶液に窒素ガスを吹き込むことによ
り、もとのデオキシ型スペクトルが得られ、酸素の可逆
的吸脱着を確認した。また、上記の酸素錯体の半寿命は
25℃において 6時間以上であった。
(20-((2'-トリメチルアンモニオエトキシ)ホスホナト
キシ)-2,2- ジメチルエイコサンアミド)フェニル)ポ
ルフィナト鉄(III )の代わりに、メソーテトラ(α,
α,α,α−o−(12- (オリゴ(オキシエチレン)ア
ミノカルボニル)-2,2- ジメチルデカンアミド)フェニ
ル)ポルフィナト鉄(III )(特開昭 60-58984 に従っ
て調製した。)を、1-ラウリルイミダゾールの代わりに
1-トリチル-2- メチルイミダゾール(20mmol)を、トリオ
クタノイルグリセリドの代わりにトリヘキサノイルグリ
セリドを用いた以外は全く同様な手法に従い、鉄(II)
メソーテトラ(α,α,α,α−o−(12- (オリゴ
(オキシエチレン)アミノカルボニル)-2,2- ジメチル
デカンアミド)フェニル)ポルフィナト鉄−(1-トリチ
ル-2- メチルイミダゾール)錯体被覆油滴小球を含有す
る水性分散液を得た。可視吸収スペクトルはλmax562,
535, 439nmで、デオキシ型に相当する。実施例1と同様
に、酸素ガスを溶液に吹き込むことにより酸素化錯体に
相当する可視吸収スペクトル(λmax 543, 424nm)を得
た。この酸素化錯体溶液に窒素ガスを吹き込むことによ
り、もとのデオキシ型スペクトルが得られ、酸素の可逆
的吸脱着を確認した。また、上記の酸素錯体の半寿命は
25℃において 6時間以上であった。
【0032】実施例4
実施例1においてメソーテトラ(α,α,α,α−o−
(20-((2'-トリメチルアンモニオエトキシ)ホスホナト
キシ)-2,2- ジメチルエイコサンアミド)フェニル)ポ
ルフィナト鉄(III )の代わりに、メソーテトラ(α,
α,α,α−o−(3-ヒドロキシカルボニル-2,2- ジメ
チルアセトアミド)フェニル)ポルフィナト鉄(III )
(特開昭 58-213777に従って調製した。)を、1-ラウリ
ルイミダゾールの代わりに1-(12- ドデシルオキシカル
ボニルドデシル)イミダゾール(2.5mmol) を、トリオク
タノイルグリセリドの代わりにトリデカノイルグリセリ
ドを用いた以外は全く同様な手法に従い、鉄(II)メソ
ーテトラ(α,α,α,α−o−(3-ヒドロキシカルボ
ニル-2,2- ジメチルアセトアミド)フェニル)ポルフィ
リン−(1-(12- ドデシルオキシカルボニルドデシル)
イミダゾール)錯体被覆油滴小球を含有する水性分散液
を得た。可視吸収スペクトルはλmax561, 533, 428nm
で、デオキシ型に相当する。実施例1と同様に、酸素ガ
スを溶液に吹き込むことにより酸素化錯体に相当する可
視吸収スペクトル(λmax 544, 429nm)を得た。この酸
素化錯体溶液に窒素ガスを吹き込むことにより、もとの
デオキシ型スペクトルが得られ、酸素の可逆的吸脱着を
確認した。また、上記の酸素錯体の半寿命は25℃におい
て13時間以上であった。
(20-((2'-トリメチルアンモニオエトキシ)ホスホナト
キシ)-2,2- ジメチルエイコサンアミド)フェニル)ポ
ルフィナト鉄(III )の代わりに、メソーテトラ(α,
α,α,α−o−(3-ヒドロキシカルボニル-2,2- ジメ
チルアセトアミド)フェニル)ポルフィナト鉄(III )
(特開昭 58-213777に従って調製した。)を、1-ラウリ
ルイミダゾールの代わりに1-(12- ドデシルオキシカル
ボニルドデシル)イミダゾール(2.5mmol) を、トリオク
タノイルグリセリドの代わりにトリデカノイルグリセリ
ドを用いた以外は全く同様な手法に従い、鉄(II)メソ
ーテトラ(α,α,α,α−o−(3-ヒドロキシカルボ
ニル-2,2- ジメチルアセトアミド)フェニル)ポルフィ
リン−(1-(12- ドデシルオキシカルボニルドデシル)
イミダゾール)錯体被覆油滴小球を含有する水性分散液
を得た。可視吸収スペクトルはλmax561, 533, 428nm
で、デオキシ型に相当する。実施例1と同様に、酸素ガ
スを溶液に吹き込むことにより酸素化錯体に相当する可
視吸収スペクトル(λmax 544, 429nm)を得た。この酸
素化錯体溶液に窒素ガスを吹き込むことにより、もとの
デオキシ型スペクトルが得られ、酸素の可逆的吸脱着を
確認した。また、上記の酸素錯体の半寿命は25℃におい
て13時間以上であった。
【0033】実施例5
メソーテトラ(α,α,α,α−o−(8-((2'- トリメ
チルアンモニオエトキシ)ホスホナトキシ)-2,2- ジメ
チルエイコサンアミド)フェニル)ポルフィナト鉄(II
I )(1mmol) 、1-ブチルイミダゾール(2.5mmol) 、トリ
オクタノイルグリセリド(24mmol)をベンゼン/メタノー
ル=9/1(v/v)混合溶媒に溶解し、10%Pd-Cを少量加え、
水素ガスを20分間吹き込んで還元し、触媒を濾別した
後、溶媒を減圧乾固して固体とした。これに凍結脱気し
たpH7.4 の1/30nMリン酸緩衝液を100ml を加え、振とう
してから、窒素雰囲気下で超音波処理(60W 、40分)を
行い、鉄(II)メソーテトラ(α,α,α,α−o−
(8-((2'- トリメチルアンモニオエトキシ)ホスホナト
キシ)-2,2- ジメチルオクタンアミド)フェニル)ポル
フィリン−ビス(1-ブチルイミダゾール)錯体被覆油滴
小球を含有する水性分散液を得た。可視吸収スペクトル
はλmax561, 535, 428nmで、デオキシ型に相当する。実
施例1と同様に、酸素ガスを溶液に吹き込むことにより
酸素化錯体に相当する可視吸収スペクトル(λmax 545,
425nm)を得た。この酸素化錯体溶液に窒素ガスを吹き
込むことにより、もとのデオキシ型スペクトルが得ら
れ、酸素の可逆的吸脱着を確認した。
チルアンモニオエトキシ)ホスホナトキシ)-2,2- ジメ
チルエイコサンアミド)フェニル)ポルフィナト鉄(II
I )(1mmol) 、1-ブチルイミダゾール(2.5mmol) 、トリ
オクタノイルグリセリド(24mmol)をベンゼン/メタノー
ル=9/1(v/v)混合溶媒に溶解し、10%Pd-Cを少量加え、
水素ガスを20分間吹き込んで還元し、触媒を濾別した
後、溶媒を減圧乾固して固体とした。これに凍結脱気し
たpH7.4 の1/30nMリン酸緩衝液を100ml を加え、振とう
してから、窒素雰囲気下で超音波処理(60W 、40分)を
行い、鉄(II)メソーテトラ(α,α,α,α−o−
(8-((2'- トリメチルアンモニオエトキシ)ホスホナト
キシ)-2,2- ジメチルオクタンアミド)フェニル)ポル
フィリン−ビス(1-ブチルイミダゾール)錯体被覆油滴
小球を含有する水性分散液を得た。可視吸収スペクトル
はλmax561, 535, 428nmで、デオキシ型に相当する。実
施例1と同様に、酸素ガスを溶液に吹き込むことにより
酸素化錯体に相当する可視吸収スペクトル(λmax 545,
425nm)を得た。この酸素化錯体溶液に窒素ガスを吹き
込むことにより、もとのデオキシ型スペクトルが得ら
れ、酸素の可逆的吸脱着を確認した。
【0034】応用例1
鉄(II)メソーテトラ(α,α,α,α−o−(20-
((2'-トリメチルアンモニオエトキシ)ホスホナトキ
シ)-2,2- ジメチルエイコサンアミド)フェニル)ポル
フィリン、1-ラウリルイミダゾールおよびのトリオクタ
ノイルグリセリドからなる鉄(II)ポルフィリン錯体被
覆油滴小球を含有する水性分散液(ポルフィリン濃度=
5mM、トリグリセリド濃度=5.7 wt%、媒質(生理食塩
水(9w/v%)を、家兎の血流中へ20ml/kg を脱血後、同
量投与し血中滞留時間を検討した(5羽実施)。投与後
一定時間毎に採血液の血奬層にある該油滴小球の可視吸
収スペクトル測定から、ヘムの残留量を測定したとこ
ろ、血流中半減期は約 3時間以上であった。そこへ窒素
または酸素を吹き込むとスペクトルはデオキシ錯体、酸
素配位錯体のものと一致し、該油滴小球がin vivo 血流
中でも酸素を可逆的に運搬していることが確認できた。
また、血尿は全く認められなかった。
((2'-トリメチルアンモニオエトキシ)ホスホナトキ
シ)-2,2- ジメチルエイコサンアミド)フェニル)ポル
フィリン、1-ラウリルイミダゾールおよびのトリオクタ
ノイルグリセリドからなる鉄(II)ポルフィリン錯体被
覆油滴小球を含有する水性分散液(ポルフィリン濃度=
5mM、トリグリセリド濃度=5.7 wt%、媒質(生理食塩
水(9w/v%)を、家兎の血流中へ20ml/kg を脱血後、同
量投与し血中滞留時間を検討した(5羽実施)。投与後
一定時間毎に採血液の血奬層にある該油滴小球の可視吸
収スペクトル測定から、ヘムの残留量を測定したとこ
ろ、血流中半減期は約 3時間以上であった。そこへ窒素
または酸素を吹き込むとスペクトルはデオキシ錯体、酸
素配位錯体のものと一致し、該油滴小球がin vivo 血流
中でも酸素を可逆的に運搬していることが確認できた。
また、血尿は全く認められなかった。
【0035】
【発明の効果】本発明の鉄(II)ポルフィリン被覆油滴
小球を含有する水性分散液(水性エマルジョン)におい
て、該油滴小球は生理条件下で酸素を可逆的に運搬する
ことができるという特性を有するものである。このた
め、本発明の鉄(II)ポルフィリン被覆油滴小球を含有
する水性分散液は医療面の応用において優れた酸素運搬
系を構築することができる。
小球を含有する水性分散液(水性エマルジョン)におい
て、該油滴小球は生理条件下で酸素を可逆的に運搬する
ことができるという特性を有するものである。このた
め、本発明の鉄(II)ポルフィリン被覆油滴小球を含有
する水性分散液は医療面の応用において優れた酸素運搬
系を構築することができる。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(56)参考文献 特開 平3−128321(JP,A)
特開 昭58−213778(JP,A)
特開 昭60−58984(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
A61K 31/409 - 31/80
A61K 9/107
A61P 7/08
C07D 487/22
CA(STN)
REGISTRY(STN)
Claims (5)
- 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 [ここで、nは 1〜18の整数、R1 は親水性置換基、X
およびYは下記一般式(II)で示されるイミダゾール配
位子を示す。] 一般式(II) 【化2】 [ここで、R2 は水素またはC1 〜C3 のアルキル基、
R3 はアルキル基または疎水性置換基を示す。ただし、
R2 が水素の場合はXおよびYは同じ配位子であり、R
2 が水素以外の場合はYは存在しない。] で表わされる鉄−5 ,10,15,20−テトラ[α,α,
α,α−o−(置換アミド)フェニル]ポルフィリン錯
体で油脂を被覆した油滴小球を含有することを特徴とし
た酸素輸送に適した水性エマルジョン。 - 【請求項2】 R1 が、ホスホコリン基、カルボキシル
基、またはオリゴ(オキシエチル)基から選ばれるもの
である請求項1に記載の水性エマルジョン。 - 【請求項3】 R3 が、C4 〜C20のアルキル基、トリ
チル基、置換トリチル基、または下記一般式(III ) 【化3】 (ここで、lは3 〜12の整数、mは0 〜12の整数)で示
されるカルボン酸アルキルエステル基から選ばれるもの
である請求項1に記載の水性エマルジョン。 - 【請求項4】 油脂が、トリグリセリドである請求項1
に記載の水性エマルジョン。 - 【請求項5】 鉄−5 ,10,15,20−テトラ[α,α,
α,α−o−(置換アミド)フェニル]ポルフィリン錯
体で油脂を被覆した油滴小球が、超音波乳化法により調
製されたものである請求項1に記載の水性エマルジョ
ン。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13756392A JP3373551B2 (ja) | 1992-05-01 | 1992-05-01 | 酸素輸送に適した水性エマルジョン |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13756392A JP3373551B2 (ja) | 1992-05-01 | 1992-05-01 | 酸素輸送に適した水性エマルジョン |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06263641A JPH06263641A (ja) | 1994-09-20 |
JP3373551B2 true JP3373551B2 (ja) | 2003-02-04 |
Family
ID=15201650
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP13756392A Expired - Fee Related JP3373551B2 (ja) | 1992-05-01 | 1992-05-01 | 酸素輸送に適した水性エマルジョン |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3373551B2 (ja) |
-
1992
- 1992-05-01 JP JP13756392A patent/JP3373551B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06263641A (ja) | 1994-09-20 |
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